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1 制度概要 第2 広域連合

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1 制度概要 第2 広域連合
第2
広域連合
1
制度概要
⑴
根拠法令
地方自治法第 284 条、第 291 条の2~第 291 条の 13
⑵
目的・効果
広域連合は、地方公共団体及び特別区が、広域にわたり処理することが適当であ
ると認める事務に関し、広域にわたる総合的な計画(以下「広域計画」という。)を
作成し、これらの事務の管理及び執行について広域計画の実施のために必要な連絡
調整を図り、並びにこれらの事務の一部を広域にわたり総合的かつ計画的に処理す
るために設ける特別地方公共団体である。
当該制度は、地方公共団体の組合の一形態として創設されたものであるが、従来
の組合が有していた「事務の共同処理方式」という性格だけにとどまらず、都道府
県や市町村の区域を越えて広域にわたり処理することが適当であると認められてい
る事務について、広域計画の作成や連絡調整などの権能を有する弾力的、機動的な
行政機構としての性格を持つ。
また、構成員としての住民を明確にしていることや、組織する地方公共団体に対
して一定の勧告ができること、更には国等からの権限や事務の移譲を受けられるこ
となど、一部事務組合にはない仕組みが設けられている。
広域連合が成立すると、共同処理するとされた事務は、関係地方公共団体の権能
から除外され、広域連合に引き継がれる。
(総務省資料)
⑶
構成要素
特別地方公共団体である広域連合は、3つの構成要素、すなわち、区域、構成員、
権能を有する。
区
域
広域連合の区域は、規約で定めることとされ(法 291 の4①ⅲ)、その場
合には「当該広域連合を組織する地方公共団体の区域を合わせた区域」(法
291 の4②)とするとされている。ただし、都道府県の加入する広域連合に
ついては、広域連合の処理する事務が都道府県の区域の一部に係る場合等に
は、その区域を特に「広域連合の区域」として定め、広域連合に加入しない
市町村の区域を除くことができるものとされている。
37
構成員
広域連合は、県、市町村又は特別区を関係地方公共団体とするが、究極的
には、当該区域内に住所を有する住民が構成員となると考えられる。
これは、議会の議員及び長の選挙について、住民の直接投票によることが
できること(法 291 の5)及び直接請求を認めていること(法 291 の6①
及び②)などによる。
権
能
地方公共団体の事務で広域にわたり処理することが適当なものに関し、権
能を有する。主なものとしては以下のとおり。
⑷
①
広域計画の作成
②
広域計画の実施のための連絡調整
③
これらの事務の一部の広域にわたる総合的かつ計画的な処理
④
国等から移譲を受けた権限、事務の処理
処理する事務
広域連合は、広域計画を作成し、地方公共団体の事務で広域にわたり処理するこ
とが適当であると認める事務及びこれに関連して国等から移譲された事務を総合的
かつ計画的に処理するために設けられたものであり、この趣旨に合致するものであ
れば、基本的に処理する事務について制限はない。ただし、国や都道府県から移譲
される事務のみをもって設置の目的とすることはできない。
「広域にわたり処理することが適当であると認める事務」とは、
「広域にわたり処
理することが適当であると認め」られるものであれば、組織する地方公共団体相互
間において全てが同一の事務でなくとも構わない。
(広域連合により処理する事務の例)
・
産業廃棄物に関する事務と一般廃棄物に関する事務
・
流域下水道の設置管理と公共下水道の設置管理
・
防災事務と消防事務
⑸
国等からの権限移譲
一部事務組合の場合、国又は都道府県の事務・事業を特定の一部事務組合で処理
させようとする場合であっても、当該一部事務組合を組織する地方公共団体へいっ
たん事務・事業を配分した後に組合に持ち寄るといった迂遠な方法しかなく、その
意図が十分に発揮されない場合も想定し得る。
そこで、広域連合では、国や都道府県の事務・事業を広域連合に直接配分し得る
規定を置くことにより、特定の広域連合への事務・事業の配分を可能にし、国や都
道府県からの事務・事業の配分を促進できるようにしたものである。
ア
国からの権限移譲
国は、その行政機関の長の権限に属する事務のうち広域連合の事務に関連する
ものを、別に法律又はこれに基づく政令の定めるところにより、当該広域連合が
処理することとすることができる(法 291 の2①)。
なお、広域連合に対する国の権限等の移譲は、個別の法令の定めるところによ
り行われるものであるが、移譲の可否は広域連合の規模、能力、事務の範囲等に
38
より総合的に判断されるものであることから、一定の条件を満たした広域連合に
一律に措置する方法のほか、個別の広域連合ごとに措置する方法も可能である。
イ
都道府県からの権限移譲
都道府県は、その執行機関の権限に属する事務のうち都道府県の加入しない広
域連合の事務に属する事務に関連するものを、条例の定めるところにより、当該
広域連合が処理することとすることができる(法 291 の2②)。
なお、都道府県が、その執行機関に属する事務を広域連合が処理することとす
る場合においては、法 252 の 17 の2②等の条例による事務処理の特例制度が準
用されていることから、都道府県が上記の条例を制定し、又は改廃する場合にお
いて都道府県知事と広域連合の長とが協議を行う必要がある。
ウ
国に対する権限移譲の要請
都道府県の加入する広域連合の長は、その議会の議決を経て、国の行政機関の
長に対し、当該広域連合の事務に密接に関連する国の行政機関の長の権限に属す
る事務の一部を当該広域連合が処理することとするよう要請することができる
(法 291 の2④)。
エ
都道府県に対する権限移譲の要請
都道府県の加入しない広域連合の長は、その議会の議決を経て、都道府県に対
し、当該広域連合の事務に密接に関連する都道府県の事務の一部を当該広域連合
の長が処理することとするよう要請することができる(法 291 の2⑤)。
なお、広域連合の長は、権限移譲等の要請を行う場合は、要請を行おうとする
内容について十分検討を行うとともに、必要に応じ、国の関係行政機関の長、都
道府県知事等に対しあらかじめ連絡を行うものとする。
⑹
組織
広域連合の組織は、議会(議決機関)と長、選挙管理委員会その他の執行機関で
構成されている。
広域連合の議会の議員は、区域内に住所を有する者の直接公選又は関係地方公共
団体の議会による間接選挙によって選出される(法 291 の5①)。
広域連合の長は、区域内に住所を有する者の直接選挙又は関係地方公共団体の長
による間接選挙によって選出される(法 291 の5②)。
広域連合は普通地方公共団体と同様の直接請求を認めることとされていることか
ら、選挙管理委員会を置くこととされている。
その他の執行機関では、監査委員は、一部事務組合と同様に必置と解される。
39
⑺
一部事務組合と広域連合の主な相違点
区
分
一
部
事
務
組
合
広
域
連
合
団体の性格
・特別地方公共団体
・同左
構成団体
・都道府県、市町村及び特別区
・都道府県、市町村及び特別区
ただし、複合的一部事務組合にあっ
ては、市町村及び特別区
設置目的等
・構成団体の事務の一部の共同処理
国等からの事
務権限の移譲
・多様化した広域行政需要に適切かつ効
率的に対応するとともに、国からの権限
移譲の受入体制を整備
・国又は都道府県は、広域連合に対し直
接、権限、事務の移譲を行うことができ
る。
・都道府県の加入する広域連合は国に、そ
の他の広域連合は都道府県に権限、事務
を移譲するよう要請することができる。
・構成団体に規約を変更するよう要請す
ることができる。
・広域計画を策定し、その実施について構
成団体に対して勧告することができる。
・広域計画は、他の法定計画と調和が保
たれるようにしなければならない。
・広域連合は、広域連合の長、国の地方
行政機関の長、都道府県知事、区域内の
公共的団体等の代表者又は学識経験を有
する者から構成される協議会を設置でき
る。
構成団体との
関係等
設置の手続
・構成団体が、その議会の議決を経た ・同左
協議により規約を定め、都道府県の加
ただし、総務大臣は、広域連合設置の
入するもの及び数都道府県にわたるも 許可をするときは、国の関係行政機関の
のは総務大臣、その他のものは都道府 長に協議する。
県知事の許可を得て設ける。
直接請求
・法律に特段の規定はない。
組織
・議会-管理者(執行機関)
・議会-長(執行機関)
ただし、複合的一部事務組合にあっ
ては、管理者に代えて理事会を設ける
ことができる。
議員等の選挙
・議会の議員及び管理者は、規約の定 ・議会の議員及び執行機関の選出につい
めるところにより、選挙され又は選任 ては、直接公選又は間接選挙による。
される。
40
・普通地方公共団体に認められている直
接請求と同様の制度を設けるほか、広域
連合の区域内に住所を有するものは、広
域連合の長に対し規約の変更について要
請することができる。
2
諸手続
⑴
設立
ア
広域連合の設立手続
広域連合の設立のための手続は、概ね一部事務組合に準ずる。
広域連合を設立するときは、関係地方公共団体において事実上の協議を行った
上で、それぞれの議会の議決を経て行う協議により規約を定め、都道府県の加入
するもの及び数都道府県にわたるものにあっては総務大臣、その他のものにあっ
ては都道府県知事の許可を得なければならない(法 284③、291 の 11、293)。
広域連合の設立手続の流れ
①
事実上の協議
事前に関係地方公共団体間において、広域連合設立に関する基本的事項及
び規約案等について協議し、案を作成する。
②
事前協議
法律の定めはないが、許可申請に当たって手続上の不備が生じないよう、
関係地方公共団体の議会の議決を経る前に総務大臣又は都道府県知事と事前
協議を行う。
③
関係地方公共団体の議会の議決
広域連合を設立しようとする関係地方公共団体の議会において、広域連合
の設立及び規約案の内容について、これに同意する旨の議決を行う。
④
許可申請
広域連合を設立しようとするすべての関係地方公共団体の議会において③
の議決が行われた場合には、関係地方公共団体の長は協議により広域連合の
規約を定め、都道府県の加入するもの及び数都道府県にわたるものにあって
は総務大臣、その他のものにあっては都道府県知事に対して広域連合の設立
の許可の申請を行う。
申請はすべての関係地方公共団体の長の連名で許可権者に対して行う。
⑤
設立の許可
総務大臣又は都道府県知事の許可を得て、広域連合が設立される。
なお、総務大臣は、設立を許可しようとするときは、国の関係行政機関の
長に協議しなければならない(法 284④)。
また、数都道府県にわたる広域連合の許可については、総務大臣は関係都
道府県知事の意見を聴いてこれを行う(法 293)。
イ
許可後の手続
広域連合の設立の許可が行われ、広域連合が設立された段階で、広域連合の議
会の議員及び長の選挙を行う。
また、広域連合が設けられた後、速やかに、その議会の議決を経て、広域計画
を作成しなければならない。
41
■
広域連合設立の議案(参考例)
議案第〇〇号
〇〇広域連合の設立について
地方自治法第284条第3項の規定により、平成〇年〇月〇日から、〇市(町村)と〇〇に関する事務を
処理するため、次のように規約を定め、〇〇広域連合を設立するものとする。
平成〇年〇月〇日提出
〇市(町村)長
氏
名
〇〇広域連合規約( 略 )
ウ
規約
(ア) 規定すべき事項
広域連合を設立するに当っては、関係地方公共団体の協議により規約を定め
ることとされており、規約の必要的記載事項として、次の9項目を掲げている
(法 291 の4①)。
①
広域連合の名称
②
広域連合を組織する地方公共団体
③
広域連合の区域
④
広域連合の処理する事務
⑤
広域連合の作成する広域計画の項目
※
広域連合の規約に定める「広域連合の処理する事務」及び「広域計画の
項目」については、できる限り明確かつ具体的なものとする。
⑥
広域連合の事務所の位置
⑦
広域連合の議会の組織及び議員の選挙の方法
※
議会の議員の定数、任期、被選挙資格、議長、副議長に関すること等は
一切規約に委ねられている。
※
議会の議員の選挙方法については、法 291 の5の規定により、広域連合
の選挙人による直接投票又は広域連合を組織する地方公共団体の議会にお
ける選挙に限られている。議員の定数、被選挙資格、任期、選挙の方法、
広域連合を組織する地方公共団体の議会において選挙する場合の当該議会
において選挙すべき議員数、投票の方法等、選挙の具体的方法については、
規約で定める。
⑧
※
広域連合の長、選挙管理委員会その他執行機関の組織及び選任の方法
広域連合の長の選任方法は規約事項とされているが、法 291 の5の規定
により、広域連合の選挙人の直接投票又は組織する地方公共団体の長によ
る間接選挙に限られている。
※
選挙管理委員会及び監査委員の組織、権限、選任方法等は、規約で定め
られる。
⑨
広域連合の経費の支弁の方法
42
なお、広域連合の議会の議員又は長その他の職員は、当該広域連合を組織す
る地方公共団の議会の議員又は長その他の職員と兼ねることができる(法 291
の4④)。
(イ) 規約例
以下に、規約例を掲げる。
○○広域連合規約
(組合の名称)
第1条
この広域連合は、○○広域連合という。
(広域連合を組織する地方公共団体)
第2条
○○広域連合は、□□市、△△市、☆☆町及び◇◇村(以下「関係市
町村」という。)をもって組織する。
(広域連合の区域)
第3条
○○広域連合の区域は、□□市、△△市、☆☆町及び◇◇村の区域と
する。
(広域連合の処理する事務)
第4条
○○広域連合は、次に掲げる事務を処理する。
⑴
一般廃棄物の処理に関すること
⑵
消防事務に関すること
(広域連合の作成する広域計画の項目)
第5条
○○広域連合の作成する広域計画には、次の項目について記載するも
のとする。
⑴
一般廃棄物の処理及び消防事務に関すること
⑵
前項に掲げる事務についての連絡調整に関すること
(広域連合の事務所)
第6条
○○広域連合の事務所は、□□市□□丁目□番地に置く。
(広域連合の議会の組織)
第7条
○○広域連合の議会の議員(以下「広域連合議員」という。)の定数
は○○人とする。
(広域連合議員の選挙の方法)
第8条
広域連合議員は、関係市町村の議会の議員のうちから、関係市町村の
議会において選挙する。
2
関係市町村において選挙すべき広域連合議員の定数は次のとおりとする。
⑴
□□市
○○人
⑵
△△市
○○人
⑶
☆☆町
○○人
⑷
◇◇村
○○人
43
3
関係市町村の議会における選挙については、地方自治法第 118 条第1項の
例による。
4
広域連合の議会の解散があったとき又は広域連合議員に欠員が生じたとき
は、速やかに、これを選挙しなければならない。
(広域連合議員の任期)
第9条
広域連合議員の任期は、関係市町村の議会の議員としての任期による。
(広域連合の執行機関の組織)
第 10 条
○○広域連合に、広域連合の長、副広域連合の長及び会計管理者を
置く。
(広域連合の執行機関等の選任の方法)
第 11 条
広域連合の長は、関係市町村の長のうちから、関係市町村の長が投
票により、これを選挙する。
2
前項の選挙は、広域連合の事務所において行うものとする。
3
副広域連合の長は、広域連合の長が広域連合の議会の同意を得て、関係市
町村の長のうちから選任する。
4
会計管理者は、広域連合の長の補助機関である職員のうちから広域連合の
長が命ずる。
5
広域連合の長が欠けたときは、速やかに、これを選挙しなければならない。
(広域連合の執行機関の任期)
第 12 条
広域連合の長及び副広域連合の長の任期は、関係市町村の長として
の任期による。
(補助職員)
第 13 条
○○広域連合に、第 10 条に規定するもののほか、この広域連合に必
要な職員を置く。
(選挙管理委員)
第 14 条
○○広域連合に、選挙管理委員会を置く。
2
選挙管理委員会は、4人の選挙管理委員をもってこれを組織する。
3
選挙管理委員は、関係市町村の選挙権を有する者で、人格が高潔なものの
うちから、○○広域連合の議会においてこれを選挙する。
4
選挙管理委員会の委員の任期は、4年とする。ただし、後任者が就任する
時まで在任する。
(監査委員)
第 15 条
2
○○広域連合に、監査委員2人を置く。
監査委員は、広域連合の長が、○○広域連合の議会の同意を得て、人格が
高潔で、広域連合の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた
識見を有する者(次項において「識見を有する者」という。)及び広域連合
議員のうちから、それぞれ1人を選任する。
3
監査委員の任期は、識見を有する者のうちから選任される者にあっては4
年とし、広域連合議員のうちから選任されたものにあっては広域連合の議会
の議員の任期による。ただし、後任者が選任されるまでの間は、その職務を
44
行うことを妨げない。
(広域連合の経費の支弁の方法)
第 16 条
2
○○広域連合の経費は、次に掲げる収入をもって充てる。
⑴
関係市町村の負担金
⑵
事業収入
⑶
国及び県補助金
⑷
地方債
⑸
その他
前項第1号に規定する負担金の額は、○○広域連合の予算において定める
ものとし、その2分の1は関係市町村の財政力指数に応じて、その他の2分
の1は関係市町村の人口に応じて、それぞれ各関係市町村に按分するものと
する。
(その他)
第 17 条
附
この規約の施行に必要な事項は、広域連合の長が規則で定める。
則
この規約は、平成○年○月○日から施行する。
45
⑵
規約変更
ア
規約変更の許可申請
広域連合の規約変更の手続については、設立手続と同様である。
広域連合は、これを組織する地方公共団体の数を増減し若しくは処理する事務
を変更し、又は広域連合の規約を変更しようとするときは、関係地方公共団体に
おいて事実上の協議を行った上で、それぞれの議会の議決を経て行う協議により
これを定め、都道府県の加入するもの及び数都道府県にわたるものにあっては総
務大臣、その他のものにあっては都道府県知事の許可を受けなければならない(法
291 の3①、291 の 11、293)。
なお、法律の定めはないが、許可申請に当たって手続上の不備が生じないよう、
関係地方公共団体の議会の議決を経る前に総務大臣又は都道府県知事と事前協議
を行うこととしている。
イ
規約変更の届出
広域連合は、事務所の位置又は経費の支弁の方法のみに係る広域連合の規約を
変更しようとするときは、関係地方公共団体において事実上の協議を行った上で、
それぞれの議会の議決を経て行う協議によりこれを定め、直ちに、都道府県の加
入するものにあっては総務大臣、その他のものにあっては都道府県知事に届出を
しなければならない(法 291 の3③、291 の 11)。
数都道府県にわたる広域連合にあっては、関係都道府県知事を経て総務大臣に
届け出なければならない(法 293)。
ウ
権限等が移譲される場合の規約変更
国や都道府県から広域連合に対して権限が移譲されたとき(変更されたときを
含む。)は、広域連合の長は、直ちに次の措置を講じなければならない(法 291
の3④)。
①
広域連合の処理する事務又は広域連合の経費の支弁の方法に係る規約につき
必要な変更を行い、
②
都道府県の加入するものにあっては総務大臣( 数 都 道 府 県 に わ た る も の に
あっては関係都道府県知事を経て総務大臣)、その他のものにあっては都道府
県知事に届け出るとともに、
③
エ
その趣旨を関係地方公共団体の長に通知する。
規約変更の要請
広域連合の長は、広域計画に定める事項に関する事務を総合的かつ計画的に処
理するため必要があると認めるときは、その議会の議決を経て、当該広域連合を
組織する地方公共団体に対し、規約を変更するよう要請することができる(法 291
の3⑦)。
この要請があったときは、広域連合を組織する地方公共団体は、これを尊重し
て必要な措置を執るようにしなければならない(法 291 の3⑧)。
46
■
広域連合を組織する地方公共団体の数の増加の議案(参考例)
【従前から広域連合を組織している地方公共団体の場合】
議案第○○号
○○広域連合を組織する地方公共団体の数の増加及び○○広域連合規約の変更について
地方自治法第291条の3第1項の規定により、平成○年○月○日から、○○広域連合に○市(町村)を
加入させることとし、○○広域連合規約を次のように変更するものとする。
平成○年○月○日提出
○市(町村)長
氏
名
○○広域連合規約の一部を変更する規約(略)
【新たに広域連合に加入する地方公共団体の場合】
議案第○○号
○○広域連合への加入について
地方自治法第291条の3第1項の規定により、○○に関する事務を処理するため、平成○年○月○日か
ら、次の規約により、○○広域連合に加入するものとする。
平成○年○月○日提出
○市(町村)長
氏
名
○○広域連合規約(略)
(注) 規約案は、変更後規約の全文を掲げること。
■
広域連合を組織する地方公共団体の数の減少の議案(参考例)
【減少後も広域連合を組織している地方公共団体の場合】
議案第○○号
○○広域連合を組織する地方公共団体の数の減少及び○○広域連合規約の変更について
地方自治法第291条の3第1項の規定により、平成○年○月○日から、○○広域連合から○市(町村)
を脱退させることとし、○○広域連合規約を次のように変更するものとする。
平成○年○月○日提出
○市(町村)長
氏
名
○○広域連合規約の一部を変更する規約(略)
【広域連合から脱退する地方公共団体の場合】
議案第○○号
○○広域連合からの脱退について
地方自治法第291条の3第1項の規定により、平成○年○月○日から、○○広域連合を脱退するものと
する。
平成○年○月○日提出
○市(町村)長
47
氏
名
■
広域連合の処理する事務の変更の議案(参考例)
議案第○○号
○○広域連合の処理する事務の変更及び○○広域連合規約の変更について
地方自治法第291条の3第1項の規定により、平成○年○月○日から、○○広域連合の処理する事務
を○○に変更し、○○広域連合規約を次のように変更するものとする。
平成○年○月○日提出
○市(町村)長
氏
名
○○広域連合規約の一部を変更する規約(略)
■
規約変更の議案(参考例)
議案第○○号
○○広域連合規約の変更について
地方自治法第291条の3第1項〔第3項〕〔第4項〕の規定により、○○広域連合規約を次のように
変更するものとする。
平成○年○月○日提出
○市(町村)長
氏
名
○○広域連合規約の一部を変更する規約(略)
(備考)事務所の位置又は経費の支弁の方法のみに係る規約変更の場合には「第1項」を「第3項」に
置き換え、権限が移譲された場合の規約変更の場合には「第1項」を「第4項」に置き換えること。
48
⑶
解散
一部事務組合の解散は届出制をとっているが、広域連合は許可制とされている。
ア
許可制の趣旨
広域連合の制度は、国又は都道府県の権限又は事務の受入体制の整備をその大
きな目的の一つとして制度化されたものであるが、国又は都道府県の権限を移譲
した後には当該事務の処理に必要な組織を改廃してしまうことも考えられるこ
とから、広域連合は移譲された権限又は事務を長期にわたり安定的に処理するこ
とを制度的に保障する必要がある。
そこで、解散についても、広域連合を組織する地方公共団体の意思のみでこれ
を決定し、届出をすれば足りることとはせず、設置を許可した者の許可にかから
しめることとしているものである。
イ
解散手続
広域連合を解散するときは、関係地方公共団体において事実上の協議を行なっ
た上で、それぞれの議会の議決を経て協議を行い、都道府県が加入するもの及び
数都道府県にわたるものにあっては総務大臣、その他のものにあっては都道府県
知事の許可を受けなければならない(法 291 の 10①、291 の 11、293)。
なお、法律の定めはないが、解散に当たって手続上の不備が生じないよう、関
係地方公共団体の議会の議決を経る前に総務大臣又は都道府県知事と事前に協
議を行うこととしている。
ウ
国との連絡調整
国から権限又は事務を移譲されている広域連合を解散しようとするときは、総
務大臣及び当該権限又は事務を移譲している国の行政機関の長と連絡調整を図
り、解散後の事務処理に遺漏のないよう措置すべきである。
■
広域連合の解散の議案(参考例)
議案第○○号
○○広域連合の解散について
地方自治法第291条の10第1項の規定により、平成○年○月○日限りで○○広域連合を解散するものと
する。
平成○年○月○日提出
○市(町村)長
49
氏
名
⑷
一部事務組合に関する規定の準用
ア
議決事件の通知
広域連合の長は、当該広域連合の議会の議決すべき事件のうち政令で定
める重要なものについて当該議会の議決を求めようとするときは、あらか
じめ、これを当該広域連合を組織する地方公共団体の長に通知しなければ
な ら な い 。当 該 議 決 の 結 果 に つ い て も 同 様 で あ る( 法 287 の 3 、291 の 13)。
イ
財産処分
広域連合が財産処分を行うときは、関係地方公共団体において事実上の
協議を行った上で、それぞれの議会の議決を経て行う協議によりこれを定
め る ( 法 289、 291 の 13) 。
解
●
説
広域計画の地方公共団体の長への送付等の廃止について
平成 23 年の地方自治法の一部改正(「地方自治法の一部を改正する法律」
(平成 23
年法律第 35 号))により、地方分権改革推進計画に基づく義務付けの廃止の一つとし
て、広域連合の作成する広域計画の地方公共団体への長への送付、公表及び総務大臣
又は都道府県知事への提出が不要になった。
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