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Ⅱ 主な広域行政の制度概要及び諸手続

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Ⅱ 主な広域行政の制度概要及び諸手続
Ⅱ
主 な 広域行政の
広域行政 の 制度概要及び
制度概要及 び 諸 手続
第1
1
⑴
一部事務組合
一部 事務組合
制度概要
根拠法令
地方自治法第 284 条~第 291 条
⑵
目的・効果
一部事務組合は、2つ以上の地方公共団体がその事務の一部を共同して処理する
ために設ける特別地方公共団体である。
一部事務組合が処理する事務は、法 284②で「普通地方公共団体及び特別区の事
務の一部」と定められているのみであり、これ以外、特に事務の範囲について制限
はない。
一部事務組合が成立すると、共同処理するとされた事務は、関係地方公共団体の
権能から除外され、一部事務組合に引き継がれる。
一部事務組合を設けた場合において、組合内の地方公共団体につき、その執行機
関の権限に属する事項がなくなったときは、その執行機関は同時に消滅する。例え
ば、教育事務の全部を一部事務組合で処理することとなったときは、組合を設立し
た地方公共団体の教育委員会は消滅することになる。
また、一部事務組合は法人格を有する特別地方公共団体であるので、規約で定め
られた事務を共同処理するために、必要な範囲において権利義務の主体となり得る。
(総務省資料)
⑶
構成要素
特別地方公共団体である一部事務組合は、3つの構成要素、すなわち、区域、構
成員、機能を有する。
区
域
一部事務組合の区域は、組合を構成する地方公共団体を包括する区域とな
る。当該組合の権能は、この区域内のみに及ぶ。
構成員
一部事務組合の構成員は、組合を組織する地方公共団体であり、住民は、
間接的に組合の構成員となるにとどまる。
7
機
能
規約で定める「共同処理する事務」の範囲内において条例、規則を制定し、
財産を取得、管理及び処分し、法律に定める権限を行使することができる。
質疑応答
●
同一事務につき2以上の一部事務組合に加入すること
(昭和 24.10.29
問
自行発第 10 号
滋賀県総務部長宛
行政課長回答)
普通地方公共団体が同一事務を共同処理するため2つ以上の一部事務組合に加入するこ
とができるか。たとえば、中学校事務処理のため乙村が通学の関係上、当該団体のA部落
については甲村と、B部落については丙村といずれも組合を結成し、双方各別に当該事務
を処理する場合。
答
同一種類の事務であっても、それぞれ別の区域に関するものであるから、各事務のため
別個に一部事務組合を設けてもさしつかえない。
●
一部事務組合と町村との一部事務組合設立の可否
(昭和 32.4.19
問
自丁行発第 49 号
愛媛県総務部長宛
行政課長回答)
地方自治法第 284 条第1項(現行法では第2項)により設立された一部事務組合が同法
第 292 条の規定により第 284 条第1項(現行法では第2項)を準用して、新たに他の市町
村と一部事務組合(愛媛県市町村職員退職手当組合(仮称))を設けることはできるか。
答
お見込みのとおり。
●
一部事務組合の設置
(昭和 39.6.10
問
自治行発第 69 号
群馬県企画室長宛
行政課長回答)
県と市町村が共同して、市町村の行政区域について、工業団地およびこれに付随する住
宅団地の取得、造成、管理および処分に関する事務を処理する目的で一部事務組合を設け
る場合に、組合を設ける市町村の行政区域から一部の区域を除外し、当該除外した区域に
おいて、県又は市町村が単独で同一内容の事務を行うものとしてさしつかえないか。
答
⑷
お見込みのとおり。
複合的一部事務組合
ア
制度趣旨
複合的一部事務組合とは、法 285 に規定する市町村及び特別区の事務に関し、
相互に関連するものを共同処理するための市町村の一部事務組合をいい、共同処
理する事務が市町村間で異なる場合でも1つの組合で処理することができる点に
おいて、法 284 に規定されている一部事務組合の特殊型ともいうべきものである。
従来から、市町村が協力して広域的処理をする手法の一つとして、法 284 の一
部事務組合の制度が活用されてきたが、当該制度は、その処理する事務がすべて
の関係地方公共団体に共通であることを前提として設けられたものであり、例え
ば表1のようなケースは認められても、表2のようなケースは認められていなか
った。
8
このため、表2の場合には、一部事務組合がいくつも設置され、組合ごとに議
会や管理者等の組織を設ける必要があったため、効率的な運営という点で問題が
あった。
そこで、昭和 49 年の地方自治法の一部改正により、複合的一部事務組合の制度
が新たに設けられ、
「相互に関連する事務」を共同処理する市町村の一部事務組合
の場合には、関係する市町村のすべてに共通する事務を共同処理しない場合でも、
一部事務組合を設けることができることとなった。
表1:関係市町村間で事務が同一である場合 表2:関係市町村間で事務が異なる 場合
※
○印は関係市町村で事務を共同処理することを示している。
複合的一部事務組合
「相互に関連する事務」とは、次のようなものが考えられるが、何が相互に関
連する事務であるかについては、関係市町村の自主的な判断に委ねられている。
①
目的が同一である事務(例:養護老人ホームの設置運営と特別養護老人ホー
ムの設置運営のように共に老人福祉を目的とする事務)
②
事務内容に関連があるもの(例:ごみ処理施設の設置とその施設の余熱利用
により給湯される養護老人ホームの設置)
③
一定の地域の一体的な計画に基づく施設整備の事務(例:○○計画に基づく
各種施設の整備)
なお、複合的一部事務組合となるには、共同処理する事務は少なくとも2つ以
上の地方公共団体において共通するものでなければならず、2団体で構成されて
いる一部事務組合は複合的一部事務組合になり得ない。
また、複合的一部事務組合を設置することができるのは、市町村及び特別区に
限られ、都道府県については除外されている。
イ
特例
複合的一部事務組合には、一部事務組合にはない2つの特例が認められている。
(ア) 規約による特別議決
複合的一部事務組合の規約には、その議会の議決すべき事件のうち当該一部
事務組合を組織する市町村又は特別区の一部に係るものその他特別の必要が
あるものの議決の方法について特別の規定を設けることができる(法 287 の2
①)。
9
複合的一部事務組合では、組合を組織する市町村のうち、一部の市町村のみ
に係る事務を共同処理する場合が予定されているので、このような場合に、特
に必要があれば、規約で当該市町村の意向が採択に十分に反映されるよう制度
的に保障するものである。
「特別の規定」とは、通常の表決方法である過半数表決方法の特例方法をい
う。例えば、規約で「○○に関する議事は、関係市町村から選出されている(出
席)議員の過半数の賛成を含む全(出席)議員の過半数でこれを決する」とい
うような議決方法の特例を定めることができる。
(イ) 理事会制
複合的一部事務組合には、当該一部事務組合の規約で定めるところにより、
管理者に代えて、理事をもって組織する理事会を置くことができる(法 287 の
2②)。
理事会制をとることができることとしたのは、複合的一部事務組合が多くの
場合、多数の市町村で組織され、その共同処理する事務も多種類にわたり、か
つ、構成している市町村の一部のみにかかる事務をも処理するので、事務の執
行を 1 人の管理者に委ねるよりも、各市町村を代表する者が、理事となって理
事会を構成し、合議により執行権を行使する方が、複合的一部事務組合の運営
が円滑に行われると考えられるからである。
理事は、当該複合的一部事務組合を組織する市町村の長又は当該市町村の長
がその議会の同意を得て当該市町村の職員のうちから指名する者をもって充
てる(法 287 の2③)こととされており、理事会の組織及び運営については、
政令で次のように定められている(令 211)。
・
理事会に、代表理事1人を置く。
・
代表理事は、理事が互選する。
・
代表理事は、理事会に関する事務を処理し、理事会を代表する。
・
理事会の組織及び運営に関し必要な事項は、理事会が定める。
なお、理事会は、管理者に代えて置かれる執行機関であり、その職務権限は
原則として管理者と同一である。したがって、理事会は、当該組織を代表し、
組合の事務を管理及び執行する権限を有し、議会に議案を提出し、予算を調整
し、財産を取得する等の事務を担任する。
⑸
特別法の適用
一部事務組合についての一般法は地方自治法であるが、共同処理事務の内容によ
り、同法のみでなく、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(教育組合)、地方
公営企業法(企業団)、水防法(水防組合)、港湾法(港湾管理組合)などの他の特
別法の適用を受けるものがある。
10
2
諸手続
⑴
設立
ア
一部事務組合の設立手続
一部事務組合を設立するときは、関係地方公共団体において、議会の議決を
経る前に、組合の運営方針や規約内容について協議(事実上の協議)を行った
上で、それぞれの議会の議決を経て行う協議(法定上の協議)により規約を定
め、都道府県の加入するもの及び数都道府県にわたるものにあっては総務大臣、
その他のものにあっては都道府県知事の許可を得なければならない(法 284②、
290、293)。
なお、法律の定めはないが、許可申請に当たって手続上の不備が生じないよ
う、関係地方公共団体の議会の議決を経る前に総務大臣又は都道府県知事と事
前協議を行うこととしている。
以上をまとめると、地方公共団体は、関係地方公共団体と事実上の協議及び
許可権者と事前協議を行った上(事実上のプロセス)で、法律に定められた手
続として、それぞれの議会の議決を経て行う協議により規約を定めて、許可権
者に許可申請を行う(法定上のプロセス)こととなる。
一部事務組合の設立手続の流れ
A地方公共団体
関係団体の事実上の協議
B地方公共団体
事実上のプロセス
設立許可権者に対する事実上の連絡・調整
※関係団体が数都道府
都道府県が加入す
市町村が加入する
県にわたる場合は、総務
るものにあっては
ものにあっては都
大臣が関係都道府県知
総務大臣
道府県知事
事の意見を聴いて許可
法定上のプロセス
A地 方 公共 団体 の 長が 議 案を 議会 に 提出
B地 方 公共 団体 の 長が 議 案を 議会 に 提出
A地方公共団体の議会の議決
B地方公共団体の議会の議決
A・B地方公共団体の長の協議
A・B地方公共団体の長から設立許可権者に対して許可申請
設立許可
11
■
一部事務組合設立の議案(参考例)
議案第〇〇号
〇〇一部事務組合の設立について
地方自治法第284条第2項の規定により、平成〇年〇月〇日から、〇市(町村)と〇〇に関する事務を
共同処理するため、次のように規約を定め、〇〇一部事務組合を設立するものとする。
平成〇年〇月〇日提出
〇市(町村)長
氏
名
○○一部事務組合規約(略)
イ
複合的一部事務組合の設立手続
(ア) 関係地方公共団体が従来単独で処理していた事務を複合的一部事務組合で共
同処理する場合
通常の一部事務組合についての手続と同様
(イ) 既存の一部事務組合をすべて解散して、新規に設立する複合的一部事務組合
に引き継ぐ場合
甲
消防
組
合
A B C D
○ ○ ○ ○
解
乙
組
A
老人ホーム
散
解
丁
合
B C D
○ ○ ○
散
組
丙
組
A B C D
○ ○ ○
電算
解
散
合
A B C D
消防
○ ○ ○ ○
老人ホーム
○ ○ ○
電算
○ ○ ○
①
甲・乙・丙組合は、関係市町村A・B・C・Dにおいて組合の解散議決を
行う前に、令 218 の2の規定に基づき、令5の事務承継の特例を設けるため、
規約変更の手続を行う。この規約例としては、附則に「組合の解散があった
場合においては、新設する丁組合がその事務を承継する」のように定める。
②
関係市町村A・B・C・Dは、甲、乙、丙組合の解散及び解散に際して組
合に存する財産を丁組合に帰属させる旨を、それぞれの議会の議決を経て行
う協議により決定し、都道府県知事に甲・乙・丙組合の解散を届け出る。
③
関係市町村A・B・C・Dは、議会の議決を経て行う協議により規約を定
め、丁組合の設立を都道府県知事に申請する。この場合において、令 218
の2の規定に基づき令5の事務承継の特例を設けるため、丁組合の規約にお
いても丁組合が、解散する甲・乙・丙組合の事務を承継する旨を定めておく。
この規約例としては、附則に「組合は、○年○月○日をもって解散する甲組
12
合、乙組合及び丙組合の事務を承継する。」のように定める。
また、組合規約の施行期日(丁組合の設立年月日)については、甲・乙・
丙組合の解散する日の翌日を定めておく。
④
都道府県知事は、丁組合の設立を許可する。
(ウ) いくつかの一部事務組合がある場合に、そのうちの1つの組合を残して他の
一部事務組合はすべて解散し、残った一部事務組合が複合的一部事務組合とな
って、他の一部事務組合で共同処理していた事務を併せて共同処理する場合
甲
組
消防
A B C D
○ ○ ○ ○
合
乙
組
合
A
B C D
○ ○ ○
老人ホーム
丙
電算
解散
規約変更
甲
組
組
合
A B C D
○ ○ ○
解散
合
A B C D
消防
○ ○ ○ ○
老人ホーム
○ ○ ○
電算
○ ○ ○
①
乙・丙組合は、関係市町村A・B・C・Dにおいて組合の解散議決を行う
前に、令 218 の2の規定に基づき令5の事務承継の特例を設けるため、規約
変更の手続を行う。この規約例としては、附則に「組合の解散があった場合
においては、甲組合がその事務を承継する。」のように定める。同時に、甲
組合の規約においても解散する乙・丙組合の事務を承継する旨を定めておく。
この規約例としては、附則に「組合は、○年○月○日をもって解散する乙組
合及び丙組合の事務を承継する。」のように定める。
また、変更後規約の施行日については、附則において乙・丙組合の解散す
る日の翌日を定めておく。
②
関係市町村A・B・C・Dは、乙組合又は丙組合の解散及び解散に際して
組合に存する財産を甲に帰属させる旨を、それぞれの議会の議決を経て行う
協議により決定し、都道府県知事に乙・丙組合の解散を届け出る。
③
関係市町村A・B・C・Dは、議会の議決を経て行う協議により甲組合の
共同処理する事務及び規約変更について都道府県知事に許可申請する。
④
都道府県知事は、甲組合の規約変更を許可する。
13
(イ)及び(ウ)のスケジュール例
4 /1 付 け で 組 合 設
A、B、C、Dの
立又は規約変更の
議会開催期間
3/15
2/20
①
組合解散議決
②
財産処分議決
③
組合設立又は規約
許可
3/18
3/20
▲
▲
A、B、C、Dによる
A、B、C、Dによる
①~③の協議
解散届出と組合設立
▼
▲ 3 /31
付けで
組合解散
又は規約変更の申請
変更議決
なお、(イ)及び(ウ)のケ-スについて解散する組合の収支は、解散した組合の管
理者だった者が決算し、事務を継承した複合的一部事務組合の管理者(理事会)
において、これを複合的一部事務組合の監査委員の審査に付し、その意見を付け
て複合的一部事務組合の議会の認定に付されることになる(令 218 の2及び令
5)。
質疑応答
●
複数の組合を解散して単一の組合を設ける場合、解散組合の財産を新組合に帰属させる
手続を解散手続に併せて行うことができるか
(昭 49.10.14
問
静岡県)
同一市町村で構成する複数の一部事務組合を解散して、引き続いて、これらの組合で処
理していた構成市町村の事務を処理する単一の一部事務組合を新たに作る場合にあっては、
次のような方法をとることが可能であると考えるがどうか。
1
解散組合は、必要があれば、新しく設立される組合に解散に伴う財産を帰属させる手続
も併せてとったうえで自治法第 288 条の解散手続をとる。
(注)事案は島田市と金谷町の2市町間での従前のし尿、ごみ、消防に関する3つの組合
を、1つに統合しようとするものであるが、いずれの組合も他と対等であることから、
1つの組合を存続させる方法をとらないために、新たな設立を考えたわけである。
2
新組合の設立に当たっては、知事の許可は、旧組合の解散と時間的に間げきが生じない
ように行う。(例えば、解散が3月 31 日なら、許可は4月1日とする。)
3
新組合は、規約の附則において、
「○○組合(解散する組合)の事務は、当組合が承継す
る」旨を定めておく。
答
お見込みのとおり。
14
ウ
予算・条例の議決等
(ア) 予算
設立された組合が地方公共団体として活動していくためには、予算の裏付け
が必要である。そこで、設立後直ちに組合議会を招集し、組合の当該年度の予
算を成立させなければならない。そのためには、設立申請の時点において組合
の当該年度の予算案を用意しておくことが適当である。
(イ) 条例・規則等
組合が地方公共団体として設立当初から整備しておくことが望ましい条例
については、設立後招集される組合議会において制定する必要がある。また、
規則等についても定める必要がある。そこで、申請時までに条例案、規則案等
を作成しておかなければならない。その具体的な内容としては、公告式、議会、
執行機関、定数及び任用、勤務条件、分限・懲戒・服務、組合が処理する事務
の実施に関するものなどが挙げられる。
一方で、一部事務組合の成立によって、その権能に属することとなった事務
に関する関係地方公共団体の条例又は規則は、組合の設立によって当然には消
滅しないが、これらの効力は停止されると解される。したがって、当該組合が
解散すれば、自動的に効力を発し、適用されることになる。
(ウ) 議決事件の通知
一部事務組合の管理者(又は理事会)は、当該一部事務組合の議会の議決す
べき事件のうち政令で定める重要なものについて当該議会の議決を求めよう
とするときは、あらかじめ、これを当該一部事務組合を組織する地方公共団体
の長に通知しなければならない。当該議決の結果についても同様である(法 287
の3)。
議決すべき事件のうち政令で定める重要なものとは次に掲げるものである
(令 211 の2)。
エ
①
条例を設け、又は改廃すること
②
予算を定めること
③
決算を認定すること
④
以上のほか、重要な事件として一部事務組合の規約で定める事件
規約
(ア) 意義
地方公共団体の組合については、法律又はこれに基づく政令に特別の定めが
あるものを除くほか、組合に加入する普通地方公共団体に関する規定を準用す
るものとしており(法 292)、一部事務組合の規約に記載された事項は、「法
律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるもの」に該当すると解されている。
したがって、規約の規定は、当該一部事務組合に優先的に適用される。当然の
ことながら、規約の内容は、法令に違反するものであってはならない。
15
(イ)
規定すべき事項
一部事務組合を設立するに当たっては、関係地方公共団体の協議により規約
を定めることとされており、規約の必要的記載事項として、次の7項目を掲げ
ている(法 287①)。
①
一部事務組合の名称
②
一部事務組合を組織する地方公共団体
③
一部事務組合の共同処理する事務
④
一部事務組合の事務所の位置
⑤
一部事務組合の議会の組織及び議員の選挙の方法
⑥
一部事務組合の執行機関の組織及び選任の方法
⑦
一部事務組合の経費の支弁の方法
これらの必要的記載事項のほかに、必要があれば、任意的記載をすることを
妨げないとされている。
【例1】一部事務組合の議会の組織及び議員の選挙の方法
議会の議員の定数、任期、被選挙資格、選挙の方法、議長、副議長に
関すること等は一切規約に任されているが、議会の権限、招集及び会期、
委員会、会議、請願、規律、懲罰、事務組織等は、法 292 により、それ
ぞれの事項について地方自治法の普通地方公共団体の議会に関する規定
が準用される。議会の権限は、共同事務に関する範囲に限定される。
質疑応答
●
組合議会の議員の選挙
( 昭 26.8 .28
問1
地 自 行 発 第 257 号
長野県総務部長宛
行政課長回答)
役 場 事 務 組 合 の 規 約 に 組 合 議 員 の 選 挙 の 方 法 を 規 定 し て い る が 、公 職 選 挙
法はこの選挙に関し当然に適用になるか。
2
規約に公職選挙法に抵触する規定を設けることができるか。
3
組合規約に、選挙期日、選挙の告示、立候補の届出、推薦届出に関し公職
選挙法の特例規定を設けることができるか。
答1
組合の議会の議員の選挙については、規約において規定すべきであるが、
規 約 に お い て 規 定 さ れ た 事 項 以 外 に つ い て は 、第 292 条 の 規 定 に よ り 公 職 選
挙法の規定が準用されるものと解される。
2
一般的にはお見込みのとおり。
3
お見込みのとおり。
16
【例2】一部事務組合の執行機関の組織及び選任の方法
組 合 を 代 表 す る 管 理 者 の 選 任 方 法 は 、一 般 に 、「 こ の 組 合 の 管
理者は○町の長にある者を充てる」
( い わ ゆ る 充 て 職 )と か 、
「関
係町村の互選による」とするものが多い。
教 育 事 務 の 全 部 又 は 一 部 を 目 的 と す る 一 部 事 務 組 合 に あ っ て は 、管 理 者
の ほ か に 、必 ず 地 方 教 育 行 政 の 組 織 及 び 運 営 に 関 す る 法 律( 以 下「 地 教 法 」
という。)にいう教育委員会を置かなければならない(地教法2)。
な お 、 監 査 委 員 は 義 務 的 設 置 で あ る ( 行 実 昭 41.1 .13) 。 公 平 委 員 会
も設置が義務付けられており、条例で設置することになっている。
質疑応答
●
一部事務組合の監査委員の設置
( 昭 41.1 .13
問
自 治 振 第 13 号
愛知県総務部長宛
行政課長回答)
県 及 び 市 を も っ て 組 織 す る 一 部 事 務 組 合 に お い て 、 地 方 自 治 法 第 195 条 第 1 項
の規定により監査委員を義務設置しなければならないか。また、義務設置とした
場合、監査委員の定数、選任の方法、任期、事務局、職員等は規約において任意
に定めてよいか。
な お 、規 定 し な い 場 合 は 地 方 自 治 法 第 292 条 の 規 定 に よ り 、第 195 条 か ら 第 202
条までの監査委員に関する規定の適用を受けることになるか。
答
監査委員は義務設置であり、その定数、選任の方法および任期に関する事項な
らびに事務局および職員の設置に関する事項は規約に規定しなければならないも
のと解する。
●
専任職員がいない一部事務組合の公平委員会の設置
(質疑応答
問
地方公務員法)
専任職員のいない一部事務組合においても、公平委員会を設置する義務はある
のか。
答
設置すべきであると解される。地方公務員法第7条第3項において「地方公共
団体の組合は、条例で公平委員会を置くものとする。」と規定されており、専任
職員の有無、多寡によっては設置しなくてもよいとは規定されていない。
また、組合に公平委員会がない場合、組合との兼務職員が懲戒処分等を組合の
管理者から受けることがあれば、不服申立ての道がなくなることになる。
公平委員会の行う不服申立て制度は労働基本権制限の代償措置のひとつであっ
て、公務員として労働基本権を制限し、懲戒権を管理者に与える一方で、職員の
権利を保護する道をとざすのは問題である。
17
(ウ) 規約例
以下に、規約例を掲げる。
(例1)一部事務組合規約
○○一部事務組合規約
第1章
総
則
(組合の名称)
第1条
この組合は、〇〇一部事務組合(以下「組合」という。)という。
(組合を組織する地方公共団体)
第2条
組合は、次の市町村(以下「関係市町村」という。)をもって組織
する。
〇
市
〇
町
〇
村
(組合の共同処理する事務)
第3条
組合は、次に掲げる事務を共同処理する。
⑴
〇〇に関する事務
⑵
〇〇に関する事務
(組合の事務所の位置)
第4条
組合の事務所は、〇市〇町〇番〇号に置く。
第2章
組合の議会
(議会の組織及び議員の選挙の方法)
第5条
組合の議会の議員(以下「組合議員」という。)の定数は〇人とし、
関係市町村からそれぞれ次のとおり選出する。
2
〇
市
〇人
〇
町
〇人
〇
村
〇人
前項の組合議員は関係市町村の議会において、議会の議員のうちから選
挙する。
3
組合議員に欠員を生じたときは、その組合議員の属していた関係市町村
は、ただちにこれを補充しなければならない。
(議員の任期)
第6条
組合議員の任期は、関係市町村の議会の議員の任期による。
第3章
組合の執行機関
(執行機関の組織及び選任の方法)
第7条
組合に管理者、副管理者及び会計管理者を置く。
2
管理者は、関係市町村長のうちから互選により選出する。
3
副管理者は、管理者が組合議会の同意を得て、関係市町村の副市町村長
18
のうちからこれを選任する。
4
会計管理者は、管理者の補助機関である職員のうちから、管理者が命ずる。
(執行機関の任期)
第8条
管理者及び副管理者の任期は、それぞれの属する市町村長及び副市
町村長の任期によるものとする。
(補助職員)
第9条
2
組合に職員を置く。
前項の職員の定数は、条例をもって定め、管理者が任免する。
(監査委員)
第 10 条
2
組合に監査委員2人を置く。
監査委員は、管理者が組合議会の同意を得て、識見を有する者及び組合
議員のうちから各1人を選任する。
3
監査委員の任期は、識見を有する者のうちから選任された者にあっては
4年とし、組合議員のうちから選任された者にあっては組合議員の任期に
よるものとする。ただし、後任者が選任されるまでの間は、その職務を行
うことを妨げない。
第4章
組合の経費
(経費支弁の方法)
第 11 条
組合の経費は、次に掲げる収入をもって充てる。
⑴
関係市町村の負担金
⑵
〇〇の収入
(負担金)
第 12 条
関係市町村の負担金は、次の割合をもって関係市町村が負担する。
人口割
〇パーセント
均等割
〇パーセント
〇〇割
〇パーセント
附
則
この規約は、平成○年○月○日から施行する。
19
(例2)複合的一部事務組合規約
○○一部事務組合
第1章
総
則
(組合の名称)
第1条
この組合は、〇〇一部事務組合(以下「組合」という。)という。
(組合を組織する地方公共団体)
第2条
組合は、次の市町村(以下「関係市町村」という。)をもって組織
する。
〇
市
〇
町
〇
村
(組合の共同処理する事務)
第3条
組合は、次表右欄に掲げる市町村に係る同表左欄の事務を共同処理
する。
共同処理する事務
1
2
3
4
5
市
〇〇に関する事務
〇〇に関する事務
〇〇に関する事務
〇〇に関する事務
〇〇に関する事務
町
村
〇市、〇町、〇村
〇市、〇町
〇町、〇村
〇市、〇村
〇市、〇町、〇村
(組合の事務所の位置)
第4条
組合の事務所は、〇市〇町〇番〇号に置く。
第2章
組合の議会
(議会の組織及び議員の選挙の方法)
第5条
組合の議会の議員(以下「組合議員」という。)の定数は〇人とし、
関係市町村からそれぞれ次のとおり選出する。
2
〇
市
〇人
〇
町
〇人
〇
村
〇人
前項の組合議員は関係市町村の議会において、議会の議員のうちから選
挙する。
3
組合議員に欠員を生じたときは、その組合議員の属していた関係市町村
は、ただちにこれを補充しなければならない。
(議員の任期)
第6条
組合議員の任期は、関係市町村の議会の議員の任期による。
(特別議決)
第7条
組合の議会の議決すべき事件のうち、関係市町村の一部に係るもの
20
については、当該事件に関係する市町村から選出されている議員の出席者
の過半数の賛成を含む出席議員の過半数でこれを決する。
第3章
組合の執行機関
(理事会)
第8条
組合に理事会を置く。
2
理事は、関係市町村の長をもって充てる。
3
理事会に代表理事を置く。
4
代表理事は、理事が互選する。
5
代表理事は、理事会に関する事務を処理し、理事会を代表する。
6
前各項に定めるもののほか、理事会の組織及び運営に関し必要な事項は、
理事会が定める。
(理事の任期)
第9条
理事の任期は、関係市町村の長の任期による。
(会計管理者)
第 10 条
2
組合に会計管理者を置く。
会計管理者は、○市の会計管理者をもって充てる。
(補助職員)
第 11 条
2
組合に職員を置く。
前項の職員の定数は、条例をもって定め、理事会がこれを任免する。
(監査委員)
第 12 条
2
組合に監査委員〇人を置く。
監査委員は、理事会が組合議会の同意を得て、識見を有する者及び組合
議員のうちから選任する。この場合において、組合議員のうちから選任す
る監査委員の数は〇人とする。
3
監査委員の任期は、識見を有する者にあっては4年とし、組合議員のう
ちから選任された者にあっては組合議員の任期による。ただし、後任者が
選任されるまでの間は、その職務を行うことを妨げない。
第4章
重要な議決事件の通知
(関係市町村の長に通知する事件)
第 13 条
地方自治法施行令(昭和 22 年政令第 16 号)第 211 条の2第4号
の規定に基づく規約で定める重要な議決事件は、次に掲げるものとする。
⑴
地方自治法(昭和 22 年法律第 67 号)第 96 条第1項第〇号の規定に
基づき、〇〇を〇〇すること。
⑵
地方自治法第 96 条第1項第〇号の規定に基づき、〇〇を〇〇するこ
と。
第5章
組合の経費
(経費支弁の方法)
第 14 条
組合の経費は、次に掲げる収入をもって充てる。
⑴
関係市町村の負担金
⑵
〇〇の収入
21
(負担金)
第 15 条
関係市町村の負担金は、次の割合をもって関係市町村が負担する。
人口割
〇パーセント
〇〇割
〇パーセント
附
則
この規約は、平成○年○月○日から施行する。
22
(エ)
複合的一部事務組合の理事会規程例
理事会を置いた場合の理事会規程例を掲げる。
例
文
解
説
〇〇一部事務組合理事会規程
(代表理事の職務)
第1条
2
代表理事は、理事会を総理する。
ここでいう代表とは、理事会の
代表理事に事故があるとき、又は代表 代 表 と し て 内 部 管 理 事 務 の 処 理 や
理事が欠けたときは、代表理事があらか 対 外 的 意 思 表 示 を 行 う と い う 意 味
じめ指名する理事がその職務を代理す で あ り 、 長 と 同 等 の 権 限 を 持 つ 、
としての意味はない。
る。
代表理事について、その職務代理者
をあらかじめ、このように決めておく
ことが理事会運営上不可欠である。
(招集)
第2条
2
理事会は、代表理事が招集する。
理事の〇分の1以上から会議の目的
たる事項を示して開催の請求があった
ときは、代表理事は、理事会を招集しな
ければならない。
3
理事会を招集するには、代表理事はあ
招集通知は通常文書をもってする
らかじめ理 事に対 し招 集の日時及 び場 と と も に 招 集 日 と 十 分 間 隔 を お い て
所並びに会 議の目 的た る事項を通 知し すること。
なければならない。
(議事)
第3条
理事会は、理事の過半数の出席が
なければ開会することができない。
2
理事会の議事は、出席した理事の過半
理事会の議決についても、特別議決
数の同意をもって決し、可否同数のとき 制をとることが考えられるが、通常は
は、代表理事の決するところによる。
必要ないと考えられる。
(書面表決等)
第4条
やむを得ない理由のため、会議に
例文のように他の理事を代理人と
出席できない理事は、あらかじめ、通知 して表決を委任する他に、理事の属す
された会議の目的たる事項について、書 る市町村の職員を代理人として表決
23
例
文
解
説
面をもって表決し、又は他の理事を代理 を委任する等の方法も考えられる。
人として表決を委任することができる。
この場合において、前条の規定の適用に
ついては、出席したものとみなす。
(議事録)
第5条
理事会の議事については、会議の
次第及び出席した理事の氏名を記載し
た議事録を作成しなければならない。
2
議事録には出席理事全員が署名しな
議事録への署名は、代表理事が理事
会において指名した理事〇人が行う
ければならない。
こと等としても差し支えない。
(雑則)
第6条 この規程の施行に関し必要な事項
は、理事会において別に定める。
附
則
この規程は、平成○年○月○日から施行
する。
24
オ
公
表
一部事務組合が設立されたとき、これを住民に周知する方法は法律上規定され
ていない。
規約についても、これを告示することは法的に要求されていない。
しかしながら、一部事務組合の事務は、住民サービスに直接かかわる事務も多
く、関係地方公共団体の住民に対し、当該事務の執行主体が組合に変わった旨及
び規約の内容について公表することが適当である。
公表の方法としては、役場に掲示するほか、より多くの住民の目に触れるよう
広報誌やホームページなどを活用することが考えられる。
質疑応答
●
一部事務組合の規約の公布
(昭和 27.6.26.
問
地自行発第 192 号
静岡県総務部長宛
行政課長回答)
市と町と村で組織した一部事務組合の組合規約を変更したときは、法 292 において準用
する法 16⑤の規定により規則や規程と同様の方法で公布すべきであるか。又は公布を要せ
ず、知事が許可した日若しくは何月何日から施行すると附則に規定すれば足りると解すべ
きであるか。
答
法律上は公布の必要はないが、加入市町村において公表するようにすることが適当であ
る。
25
⑵
規約変更
ア
規約変更の許可申請
組合の規約変更の手続については、設立手続と同様である。
一部事務組合は、これを組織する地方公共団体の数を増減し若しくは共同処理
する事務を変更し、又は組合の規約を変更しようとするときは、関係地方公共団
体において事実上の協議を行った上で、それぞれの議会の議決を経て行う協議に
よりこれを定め、都道府県の加入するもの及び数都道府県にわたるものにあって
は総務大臣、その他のものにあっては都道府県知事の許可を得なければならない
(法 286①、290、293)。
なお、法律の定めはないが、許可申請に当たって手続上の不備が生じないよう、
関係地方公共団体の議会の議決を経る前に総務大臣又は都道府県知事と事前協議
を行うこととしている。
イ
規約変更の届出
一部事務組合が、組合の名称、事務所の位置又は経費の支弁の方法のみに係る
組合の規約を変更しようとするときは、関係地方公共団体において事実上の協議
を行った上で、それぞれの議会の議決を経て行う協議によりこれを定め、直ちに、
都道府県の加入するものにあっては総務大臣、その他のものにあっては都道府県
知事に届け出なければならない(法 286②、290)。
数都道府県にわたる一部事務組合にあっては、関係都道府県知事を経て総務大
臣に届け出なければならない(法 293)。
ウ
財産処分
組合を組織する地方公共団体の数を増減する場合及び共同処理する事務を変
更する場合において、財産処分を伴うときは、財産処分の手続が必要になる(法
289、290)。(解散に伴う財産処分については、31 頁参照)
【例1】組織する地方公共団体が増加した場合の財産処分例
事業を経営している組合において、収益があがっているケースで、新た
に地方公共団体が加入する際に、既に組合を組織している地方公共団体の間
で収益を配分する場合
【例2】事務が変更になった場合の財産処分例
小・中学校に関する事務を共同処理している組合において、小学校に関
する事務を廃止し、その土地、建物等を処分し、その収入を組合の経費を充
てずに、関係地方公共団体で処分する場合
26
関係団体の数の増減、事務の変更及び規約変更の手続の流れ
関係団体による団体数の増減、事務の変更及び規約変更の発案
A地方公共団体
関係団体の事実上の協議
※ 財産処分を
財産処分 を 行 う 場合
関係団体の事実上の
B地方公共団体
事実上のプロセス
協議(積極・消極財産
の分類、財産処分の内
※関係団体が数都道
変更許可権者に対する事実上の連絡・調整
容の決定)
府県 に わた る場 合 は、
都道府県が加入する
市町村が加入するも
総務大臣が関係都道
財産処分の内容に関
ものにあっては総務
のにあっては都道府
府県知事の意見を聴
し、変更許可権者との
大臣
県知事
いて 許 可
事実上の連絡・調整
A地 方 公共 団体 の 長に よ る議 案の 提 出
A地方公共団体の議会の議決
B地 方 公共 団体 の 長に よ る議 案の 提 出
長による議案の提出
議会の議決
B地方公共団体の議会の議決
法定上のプロセス
A・B地方公共団体の長の協議
関係団体の長の協議
財産処分に関する協議書の写を添付
A・B地方公共団体の長から変更許可権者に対して許可申請
変更許可
■
組合を組織する地方公共団体の数の増加の議案(参考例)
【従前から一部事務組合を組織していた地方公共団体の場合】
議案第○○号
○○一部事務組合を組織する地方公共団体の数の増加及び○○一部事務組合規約の変更について
地方自治法第286条第1項の規定により、平成○年○月○日から、○○一部事務組合に○市(町村)を
加入させることとし、○○一部事務組合規約を次のように変更するものとする。
平成○年○月○日提出
○市(町村)長
○○一部事務組合規約の一部を変更する規約(略)
27
氏
名
【新たに一部事務組合に加入する地方公共団体の場合】
議案第○○号
○○一部事務組合への加入について
地方自治法第286条第1項の規定により、○○に関する事務を共同処理するため、平成○年○月○日か
ら、次の規約により、○○一部事務組合に加入するものとする。
平成○年○月○日提出
○市(町村)長
氏
名
○○一部事務組合規約(略)
(注)規約案は、変更後の規約の全文を掲げること。
■
組合を組織する地方公共団体の数の減少の議案(参考例)
【減少後も一部事務組合を組織する地方公共団体の場合】
議案第○○号
○○一部事務組合を組織する地方公共団体の数の減少及び○○一部事務組合規約の変更について
地方自治法第286条第1項の規定により、平成○年○月○日から、○○一部事務組合から○市(町村)
を脱退させることとし、○○一部事務組合規約を次のように変更するものとする。
平成○年○月○日提出
○市(町村)長
氏
名
○○一部事務組合規約の一部を変更する規約(略)
【一部事務組合から脱退する地方公共団体の場合】
議案第○○号
○○一部事務組合からの脱退について
地方自治法第286条第1項の規定により、平成○年○月○日から、○○一部事務組合を脱退するものと
する。
平成○年○月○日提出
○市(町村)長
■
氏
名
組合の共同処理する事務の変更の議案(参考例)
議案第○○号
○○一部事務組合の共同処理する事務の変更及び○○一部事務組合規約の変更について
地方自治法第286条第1項の規定により、平成○年○月○日から、○○一部事務組合の共同処理する事
務を○○に変更し、○○一部事務組合規約を次のように変更するものとする。
平成○年○月○日提出
○市(町村)長
○○一部事務組合規約の一部を変更する規約(略)
28
氏
名
■
組合の規約変更の議案(参考例)
議案第○○号
○○一部事務組合規約の変更について
地方自治法第286条第1項〔第2項〕の規定により、○○一部事務組合規約を次のように変更するもの
とする。
平成○年○月○日提出
○市(町村)長
氏
名
○○一部事務組合規約の一部を変更する規約(略)
(備考)組合の名称、事務所の位置又は経費の支弁の方法のみに係る規約変更の場合には、「第1項」
を「第2項」に置き換えること。
質疑応答
●
一部事務組合の規約改廃
(昭和 29.12.15
問
自丁行発第 217 号
山形県町村会長宛
行政課長回答)
山形県非常勤消防団員公務災害補償組合は、加入市町村 233 市町村の議決を経て別
紙規約により昭和 27 年1月 23 日知事の許可を得て設けた地方自治法に基づく一部事
務組合であるが、町村合併の進捗に伴いこの規約の一部を組合議会において改正した
いが、可能であるか。
答
組合規約の変更は、法 286 条①の規定によって行うべきであり、組合議会において
規約改正に関する提案、執行をすることはできない。
●
「関係地方公共団体」と一部事務組合の関係
(昭和 34.3.16
問
自丁行発第 30 号
名古屋港管理組合総務部長宛
行政課長回答)
一部事務組合が、法 286①の規定により組合規約の変更をする場合において次のと
おり解してよろしいか。
1
当該一部事務組合は、同法同条同項に規定する「関係地方公共団体」には含まれ
ないから、組合を組織する地方公共団体と協議をし又は協議を受ける必要はない。
2
答1
2
●
(略)
お見込のとおり。
(略)
組合規約の変更の協議に関する議会の議決と専決処分
(昭和 40.9.24
自治行第 123 号
全国市町村職員退職手当組合連合会会長宛
行政
課長回答)
問
A市(町村)の加入する市町村職員退職手当組合に該当A市(町村)以外の市町村
があらたに加入し、又は脱退する場合のA市(町村)と関係市町村との協議について
A市(町村)議会においてこれを地方自治法第 180 条第1項の規定に基づき軽易な事
項として専決処分の対象として指定することは差し支えないとおもうがどうか。
答
お見込みのとおり。
29
⑶
解散
ア
解散手続
一部事務組合を解散するときは、関係地方公共団体において事実上の協議を行
った上で、それぞれの議会の議決を経て協議を行い、都道府県が加入するものに
あっては総務大臣に、その他のものにあっては都道府県知事に届け出なければな
らない(法 288、290)。
数都道府県にわたる一部事務組合にあっては、関係都道府県知事を経て総務大
臣に届け出なければならない(法 293)。
なお、解散は届出制であるが、解散に当たって手続上の不備が生じないよう、
関係地方公共団体の議会の議決を経る前に総務大臣又は都道府県知事と事前協議
を行うこととしている。
そのほか、一部事務組合の解散に際して、事務の承継や決算の認定方法、財産
処分等が協議の対象になる場合もある。
解散手続の流れ
関係団体による組合解散の発案
財産処分 を 行 う 場合
A地方公共団体
関係団体の事実上の協議
B地方公共団体
関係団体の事実上の
協議(積極・消極財産
事実上のプロセス
の分類、財産処分の内
容の決定)
設立許可権者に対する事実上の連絡・調整
※関係団体が数都道
都道府県が加入する
市町村が加入するも
府県にわたる場合
財産処分の内容に関
ものにあっては総務
のにあっては都道府
は、関係都道府県知
し、設立許可権者との
大臣
県知事
事を経て、総務大臣
事実上の連絡・調整
へ届 出
A地 方 公共 団体 の 長に よ る議 案の 提 出
B地 方 公共 団体 の 長に よ る議 案の 提 出
長による議案の提出
A地方公共団体の議会の議決
B地方公共団体の議会の議決
議会の議決
法定上のプロセス
A・B地方公共団体の長の協議
関係団体の長の協議
財産処分に関する協議書の写を添付
A・B地方公共団体の長から設立許可権者に対して届出
解
散
30
■
組合解散の議案(参考例)
議案第○○号
○○一部事務組合の解散について
地方自治法第288条の規定により、平成○年○月○日限りで○○一部事務組合を解散するものとする。
平成○年○月○日提出
○市(町村)長
イ
氏
名
解散に伴う財産処分
(ア) 財産処分の手続
一部事務組合が財産処分を行うときは、関係地方公共団体において事実上の
協議を行った上で、それぞれの議会の議決を経て行う協議によりこれを定める
(法 289、290)。
なお、協議がととのった場合は、後日に争を残さないように関係地方公共団
体の長において協議書を作成し、署名押印の上、各1通ずつ保管することが適
当である。
(イ) 財産処分の対象
解散に伴う財産処分の対象となる財産とは、法6③(都道府県の廃置分合・
境界変更に伴う財産処分)、法7⑤(市町村の廃置分合・境界変更に伴う財産
処分)における「財産」と同じ意味であり、債権、債務などを含めた積極・消
極財産のすべてを意味する。また、行政実例においては、負債は財産に含まれ
(行実昭 24.10.11)、一方、公用文書類、公法上の未徴収金、歳 計 現 金 は 財
産処分の対象ではなく、事務承継の対象となるものであるとされている(行実
昭 26.11.21)。
なお、法 237 においては、「この法律において『財産』とは、公有財産、物
品及び債権並びに基金をいう。」と定めており、「財産」についての立法解釈
を行っている。ここで、同条及びこれに続く数条を参照すれば、負債は財産に
含まれず、公用文書及び公法上の未徴収金は、それぞれ物品、債権として「財
産」に含まれることは明らかであるから、財産処分の対象となる財産の範囲と
同条における財産の範囲は異なることになる。
【地方自治法における「財産」と財産処分の対象の範囲】
法 237 が定める財産
財産処分の対象となる財産
公有財産、物品、債権
(法6、7、289)
*事務承継の対象
負債等
公用文書類
公法上の未徴収金
歳計現金等
(消極的財産)
負担金の納付義務
31
質疑応答
●
市町村の廃置分合、境界変更と財産処分
(昭和 24.10.11
問1
2
山連第1号
山口県総務部長宛
連絡行政部長回答)
(略)
負債は財産として法第7条第3項(現行法は第5項)又は昭和 23 年法律第 179 号附
則第2条第7項の規定により処分すべきであると思うがどうか。
3・4(略)
答1
2
(略)
お見込のとおり。
3・4(略)
■
組合の財産処分の議案(参考例)
議案第○○号
○○一部事務組合の解散に伴う財産処分について
地方自治法第289条の規定により、○○一部事務組合の解散に伴う財産処分を別紙のとおり関係市町
村の協議の上、定めるものとする。
平成○年○月○日提出
○市(町村)長
氏
名
(別紙・協議書を添付)
■
財産処分に関する協議書(参考例)
○○一部事務組合の解散に伴う財産処分に関する協議書
地方自治法第289条の規定により、○○一部事務組合の解散に伴う財産処分を次のとおり定める。
平成○年○月○日
〇市長
氏
名(印)
〇町長
氏
名(印)
○村長
氏
名(印)
(関係団体の長の連名)
1
○市に帰属せしめる財産
(1)
(2)
2
○町に帰属せしめる財産
(1)
(2)
3
○村に帰属せしめる財産
(1)
(2)
32
ウ
解散に伴う事務承継等
(ア) 事務承継の手続
一部事務組合等が解散する場合、行政実例では令5の規定(普通地方公共団体
の廃置分合の場合の事務承継)が準用される(行実昭 26.11.21)ものとしてお
り、それぞれの地域の区分に応じて関係地方公共団体がその事務を承継すること
とされている。
つまり、組合の解散があった場合においては、それぞれの地域の区分に応じて
関係地方公共団体がその事務を承継することとなり、その地域により承継の区分
を定めることが困難である場合には、都道府県が加入する組合にあっては総務大
臣、その他のものにあっては都道府県知事が事務の承継先を指定することとな
る。
(イ) 事務承継の対象
事 務 承 継 の 対 象 に つ い て は 、法 令 上 の 規 定 は な い が 、行 政 実 例 や 通 説 に
よる対象項目としては以下のとおりとされている。
対象項目
① 公法上の積極的財産
例
(ア) 地方税等の未徴収金
(イ) 国県支出金、地方交付税の未収入金
② 公法上の消極財産
③ 金銭会計に属する財産
負担金の納付義務
(ア) 歳計現金
(イ) 予算に属する未収金、未払金
④ 物品会計に属する物品
⑤ 公用文書類
(ウ) 事務承継と財産処分の区分
事務承継の内容が上記のような手続に基づいて定められる一方で、財産処分は
関係地方公共団体の協議によって定められる。
しかしながら、一部事務組合の場合には、事務承継の対象と財産処分の対象と
の区別や、事務の承継先など必ずしも明確でないことが多い。
そこで、令 218 の2では、「市町村及び特別区の組合に関しては、令1の2か
ら6までの規定にかかわらず、規約で特別の定めをすることができる。」と定め
られている。したがって、組合は、解散に先立って一部事務組合等の規約変更を
行い、同条に基づき、規約において「事務の承継については、関係地方公共団体
の議会の議決を経て行う協議をもって定める」旨を規定しておけばよい。
ただし、一部事務組合等の関係地方公共団体が合併関係市町村と同一である又
は包含されることにより一部事務組合等を解散する場合など、解散手続に入る前
から、特段の問題なく事務の承継先の区分を行い得ることが明らかな場合は、あ
えて規約変更の手続を行う必要はない。
33
(エ) 解散の場合における決算手続
組合が解散された場合には、令5の準用により、組合の収支は解散日をもって
打ち切られ、組合の管理者がこれを決算する(いわゆる「打ち切り決算」)。
この決算は、旧組合の管理者から事務を承継した団体の長に送付され、長はこ
れを当該団体の監査委員の審査に付し、その意見を付けて議会の認定に付さなけ
ればならない。
また、その決算をその認定に関する議会の議決とともに、都道府県の加入する
組合については総務大臣に、その他のものにあっては都道府県知事に報告し、か
つ、その要領を住民に公表しなければならない。
なお、決算手続についても令 218 の2の規定より規約に特別の定めをすること
ができるが、地方自治法が定めた決算制度の趣旨を逸脱するような規定を設ける
ことはできないと解されている。したがって、少なくとも、調製、監査、認定が
3つの自主的な機関によって行なわれることが必要である。
質疑応答
●
廃置分合に伴う事務の承継
(昭和 26.11.21
地自発第 36 号
各都道府県総務部長宛
地方自治庁次長通知)
一 「承継すべき事務」には公用文書類のみならず公法上の未徴収金、歳計現金も含むも
のであること。
二
公法上の未徴収金は、次により承継すること。
(一)地方税
⑴
賦課期日、課税標準の算定期間の末日その他課税事由発生の日以前に廃置分合が
あったときは、当然賦課徴収に関する一切の事務は廃置分合後あらたに属すること
となった普通地方公共団体(以下新団体という。)が処理する。
⑵
賦課期日、課税標準の算定期間の末日その他課税事由発生の日以後に廃置分合が
あったときは、新団体はいまだ使途されない賦課徴収及びこれに伴う一切の事務を
承継する。
なお、新団体が賦課徴収する場合、課税客体、課税標準、税率等の課税の実体に
関する事項については、賦課期日、課税標準の算定期間の末日その他課税事由発生
の日において当該地域の属していた普通地方公共団体の条例を定めるところによ
るべきことは、もちろんである。
⑶
法定外普通税等において同種の税目について賦課期日が異なる等の理由で重複
課税となる場合は、住民の利益を不当に侵害しないようにいずれか一方を条例で免
除すべきである。
(二)その他の収入
地方税の例による。
三
歳計現金
(一)廃置分合により従来存続していた普通地方公共団体(以下前団体という。)が消
滅する場合
34
地方自治法施行令第5条第2項の規定による決算において生じた歳計現金は、新
団体が承継する。この場合前団体の地域が2以上の新団体に属したときは、各新団
体が承継すべき歳計現金は、三の(二)の例によるものとする。
(二)廃置分合後も前団体が存続する場合
廃置分合のときまでに前団体がなした歳入のうち新団体に属すべき地域からの
収入額から、廃置分合のときまでに前団体がなした歳出中新団体に属すべき地域に
対する支出額を差し引いた額を新団体が承継する。
なお、右の場合、新団体に属すべき地域に対する支出額が新団体に属すべき地域
からの収入額を超過しているときは、当該年度末又は適当な時期にその超過分を新
団体から前団体に還付すべきことはもちろんである。
●
組合の解散前に承継のための条例の提案の可否
(昭 38.12.16
問
自治丁行発第 92 号
福岡県総務部長宛
行政課長回答)
福岡県及び北九州市で組織する北九州水道組合の事務及び財産等を引継ぐことについ
て、両構成団体で協議がととのい、同組合を昭和 39 年1月1日から解散する議決を両構
成団体ですでに行った。その結果、北九州市では昭和 39 年1月1日から市水道局を発足
させるため、関係諸条例を整備しなければならないが、この場合、市長は施行期日を昭
和 39 年1月1日とする当該関係条例を一部事務組合の解散前である昭和 38 年 12 月市議
会に提案できるか。
答
できる。
●
一部事務組合の解散とその決算の監査執行等
(昭和 27.8.9
問1
自行行発第 25 号
西宮市監査委員宛
行政課長回答)
昭和 26 年4月1日、A市に合併されたB村は、従来隣接C村と競輪及び競馬事務を
設立していたのであるが、B村が合併したため組合は解散した。A市議会は、組合が
存続中に開催した競輪競馬の収益金に関してその権利を引き継いだとの見解のもとに、
第 98 条第2項の規定によりA市の監査委員に対して監査の要求をした。監査委員は、
この一部事務組合に行った事務を監査することができるか。
2
右の組合が解散されたため、当然決算を行わなければならないが、この決算は、法
第 292 条の規定により令第5条の規定を準用し、旧組合の管理者が行い、これをA市
及びC村の長に送付し、長は、監査委員の審査の結果を付して、それぞれの議会の認
定に付すのが適当と思うがどうか。
3~6
答
(略)
合併前に組合解散の手続を経るべきものとして現行法は構成されているものであり、
所問の場合、右の正規の手続がとられていないようではあるが、合併によって組合はも
はや存在しなくなったものであるから、組合は解散されたものと考え、次のように解す
ることが適当である。
1
監査することはできない。
2
お見込のとおり。
3~6
(略)
35
●
一部事務組合の解散に伴う事務は、誰がどのように行うか
(「地方財務問答集」)
問
昭和 50 年 11 月 30 日に一部事務組合を解散する場合、
1
一部事務組合の条例を廃止する条例は必要か。
2
決算の調整は誰が、いつまでにし、誰に提出するのか。
3
決算の審査は誰がするのか。
答1
一部事務組合を解散する場合の解散の条件については、法律上は何らの規定もない
ので、関係地方公共団体の協議に基づいて解散を決定し、その手続を了した時から存
立の基礎を失い自然消滅することになります。
したがって、組合を解散することに伴う一部事務組合条例の廃止条例を制定する必
要はありません。
2
組合解散の場合の組合の収支は、組合の解散の日をもって打ち切られるから、収支
決算については旧組合の管理者がこれを行い、関係団体の長に対して送付されます。
なお、組合の決算事務の場合には出納整理期間の観念はないとされているので、組
合の解散期日までに事務上の処理が整うよう配慮されることが必要です。
3
決算書の送付を受けた関係団体の長は、これを当該団体の監査委員の審査に付し、
審査に付した決算については監査委員の意見を付けて当該団体の議会の認定に付さな
ければなりません(令5③)。
なお、決算の認定に関しては、議会の議決を要するとともに都道府県の加入する組
合にあっては総務大臣、都道府県が加入しない組合の場合には都道府県知事に報告す
るとともに当該決算の要領を住民に公表しなければならないとされています(令5④)。
おって、この決算の調整及び認定等に関しても、規約で特別の定めをすることがで
きるとされています(令 218 の2)。
解
●
説
諸報告の廃止について
従来、一部事務組合及び広域連合に対しては、条例の制定・改廃、予算の議決、決算
の認定等の一定の事項について県知事へ報告(以下「諸報告」という。)を求めていた
が、平成 23 年の地方自治法の一部改正(平成 23 年法律第 35 号)の趣旨を踏まえ、県
通知(「一部事務組合等行政に関する諸報告について」(平成 20 年4月1日付け市町村
第 31 号))による諸報告についても廃止した(「地方自治法に基づく報告、申請等につ
いて(通知)」平成 23 年7月 29 日付け市町村第 381 号)。
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