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サクセスストーリー/在日外資系企業エグゼクティブの声
フォルシア・ジャパン株式会社(Olivier Fidry 氏)
自動車シート用フレームやメカニズム、内装部品で世界トップの実績を持つフランスのフォルシアは、世界の
主要な自動車メーカーのサプライヤーとして、自動車のシート、内装システム、排気システムと自動車の外
装の4つの事業を手がけている。優れた技術開発力を持ち、2012 年に横浜市に研究開発拠点を設立し
た。フォルシア・ジャパン株式会社の代表取締役 Olivier Fidry 氏に、日本でのビジネス活動や今後の展望
についてインタビューを行った。
フォルシアは世界 34 カ国、6,000 人のエンジニアを含む
10 万人を雇用し、約 330 箇所の生産拠点と研究開発
拠点を有している。これらの拠点は自動車市場での戦
は、欧米、アジアの顧客にサービスを提供し、世界規模
で事業を展開する自動車部品のサプライヤーである。
日系自動車メーカーはより早く製品を開発・商品化し、
略的な方向性を見据えた上で設置しており、日本では
販売するため、グローバルに展開しているサプライヤーを
2012 年、横浜市に研究開発拠点を設立した。同社は
求めているという。Fidry 氏は「フォルシアは自動車メーカ
自動車用シート、自動車内装システム、 排気システム
ーが欧州、北米、アジアの世界のどこに存在しようとも彼
の技術、自動車の外装の4つの主要な事業を核として、
らをいつでもサポート可能な技術力を持つ、唯一のグロー
さらなる事業拡大に向け、車両の軽量化、室内の空気
バルなサプライヤーである。」と自信を持つ。
環境のクリーン化、快適さの向上、カスタマイズ化といった
フォルシアは技術革新へ多くの投資を行い、毎年何百
自動車業界の直面する課題や先端技術開発に取組ん
という特許を公開しており、長期志向で安定した企業で
でいる。
あるという。「これまで競合他社の多くが自動車部門の統
合、再配置を行ってきた中で、フォルシアは長期的なかつ
戦略的なビジョンに基づき、事業を拡大している。これも
フォルシアの強みであり、顧客に信頼と自信を与えてい
る。」と Fidry 氏は胸を張る。
日本の魅力、日本でビジネスをする強み
日本での投資拡大によりビジネスが成長
フォルシア・ジャパンは 1992 年に設立された。その後、
日本市場の魅力は、日本には日系 3 大自動車メーカ
ーが存在し、それが世界の自動車メーカーのトップ 10 に
2001 年に日系自動車用シート大手と合弁会社を設
入っていることだという。これらの日系自動車メーカーは巨
立し、戦略的業務提携を結んだ。日系大手自動車メ
大な自動車市場において、世界の自動車生産の約 30%
ーカー向けに自動車シートの開発および生産を開始す
という高いシェアを占めている。
るためだった。2012 年には日系内装部品大手と提携
Fidry 氏は、「日本には自動車の設計、開発、製造な
し、合弁会社を設立、日系自動車メーカーとの業務を
どを行うエンジニアリングセンター、デザインのスタイリングセ
拡大してきた。さらに、同じ年、安全性、デザイン、快
ンターが設置されており、日本で意思決定が下される。だ
適さなどを追及した自動車シートの試作品の機能を評
からフォルシアは日本にいる。」と日本でビジネスをする強
価するため、横浜市に研究開発拠点を設置した。こう
み、魅力を語る。
した一連の体制強化により、Fidry 氏は「2014 年はメイ
また、「個人的には日本の住環境に魅力を感じている。
ン顧客の日系自動車メーカーとの取引により、同社の
来日当初は言葉の問題で生活が容易ではなかったが、
日本での事業も前年比 20%以上になるなど急速に成
日本の行政組織が整備されており、また日本の人々の
長した。」と語った。
おかげでどこへ行くにもアクセスしやすく、快適な生活を送
ることができる。これは日本でビジネスをする上で素晴らし
フォルシアの強み:re-global
いことだ。」と印象を述べた。
フォルシアの強みの一つは「re-global」だという。フォルシア
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フォルシアのビジネスモデル
製品の観点からいうと、日系大手自動車メーカーとそ
フォルシアは日本市場に参入してから約 15 年が経過
の提携先のフランス大手自動車メーカーのために日本で
している。今後もこれまでと同様、同社は顧客の事業拡
製品開発を行ってきた。日本で製品開発されたプラットフ
大をサポートするべく、日本で人的・技術資源に投資し
ォーム製品は世界中で生産され、海外の顧客へ供給さ
ていく予定だ。日本に日系自動車メーカーという顧客が
れた。「我々は世界規模でのビジネスを可能とする製品
いることから、将来的に新たに研究開発施設をオープン
開発拠点を日本に持っている。」と Fidry 氏は誇る。
することも考えているという。「他の自動車メーカーとも連
サービスの観点からいうと、フォルシアは欧米式のサプラ
イヤーであるため、作業工程を日本自動車メーカー独自
携し、さらなる事業拡大をしていきたい。」と Fidry 氏は述
べた。
の製品基準、作業工程や開発手順に合うよう調整しな
ければならない。一方で日系自動車メーカーはグローバ
ルにビジネス展開をするフォルシアを求めているため、フォ
ルシア・ジャパンはフォルシアと日系企業をつなぐ架け橋と
しての役割を担っているという。
今後の課題は日系自動車メーカーの仕事の効率性
や働き方を維持しつつ、彼らがグローバルにビジネス展開
しているフォルシアから恩恵を得られるよう、互いにノウハ
ウを共有し、事業を成長させていくことだという。
横浜市に製品開発拠点を設置
フォルシアはシートの機能評価を行うため、2012 年に
横浜市に製品開発拠点を設立した。横浜市を拠点先
フォルシア・ジャパン代表取締役社長
に選んだ理由は東京都内よりもコストが低く、事務所ス
Olivier Fidry 氏
ペースが広いなど、ビジネス環境が想像以上に良いことだ
という。だが、最大の理由はフォルシアの合弁企業や長
ジェトロのサポート
年の提携先企業の本社が横浜市に存在しており、顧客
フォルシアはジェトロから補助金の情報提供を受け、2
のそばでビジネスを行うという利便性を考慮したことであ
012年にアジア拠点化立地推進事業費補助金を活用
る。
し、横浜市に研究開発拠点を設置するに至った。Fidry
氏は「ジェトロから有益な情報、支援を得ることができた。」
日本での今後のビジネス展開
と感謝の意を述べた。
フォルシアはここ数年、アジアで急成長を遂げた。これ
はアジア市場で優位に立つ日系自動車メーカーの寄与
(2015 年 8 月取材)
するところも大きい。フォルシアはこれまでの欧米自動車メ
ーカーとの事業展開同様、日系自動車メーカーと連携し、
事業拡大することを強く望んでいる。
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同社沿革
1992 年
日本法人を設立。
2001 年
フォルシア・ジャパン株式会社、フォルシア・ニッパツ株式会社とフォルシア・ニッパツ九州株式会社を設立。
2005 年
日本法人フォルシア・ジャパンとフォルシア・インテリア・システムを統合し、新たに日本法人フォルシア・ジャパ
ンを設立。
2012 年
横浜市に研究開発拠点を設置。
フォルシア・ジャパン株式会社
設立:
2001 年 8 月
事業概要: 自動車部品の設計、製造および販売ほか
親会社:
フォルシア・ジャパン株式会社
住所:
〒204-0005 神奈川県横浜市保土ヶ谷区神戸町 134
横浜ビジネスパーク テクニカルセンター 3F
URL:
http://www.faurecia.com/en
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