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レーザー共同研究所の研究現場の公開(概要)
現場公開説明用資料 平成 24 年 11 月 19 日 レーザー共同研究所の研究現場の公開(概要) レーザー共同研究所公開のポイント ・ 日本原子力研究開発機構(理事長 鈴木篤之、以下、原子力機構)では、 (財) 若狭湾エネルギー研究センター、(株)レーザックスと共同で、有効な原子炉 の解体方法の一つとして、二次廃棄物が少なく、遠隔操作及び狭隘部での作 業が可能なレーザー切断技術の適用に向けて共同研究を行っている。 ・ 福島第一原子力発電所の燃料デブリの取り出すための技術の 1 つとして、レ ーザーの利用研究を進めている。 ・ レーザーによる材料の切断時に対応する現象を数値シミュレーションにより 再現し、観察結果と直接比較することで切断性能に影響を与える因子の定量 評価を可能にした。 原子力機構は、原子力施設の解体に係わる様々な技術や知見を蓄えるための研究 開発を行なっており、特に原子力機構敦賀本部レーザー共同研究所(以下レーザー 共同研究研)では、原子炉施設の廃止措置をより安全かつ効率的に行えるよう、同 原子炉廃止措置研究開発センター(「ふげん」)、(財)若狭湾エネルギー研究センター、 (株)レーザックスと共同で高出力ファイバーレーザーを利用した切断技術の研究 開発を進めています。 1.ふげんの原子炉の解体に向けた切断試験 レーザー切断は、直径 1mm 以下に集光したレーザー光を熱源とし、薄い板 材の金属は高速で切断することができ、切断溝の幅が狭いことから二次廃棄物 が少なく、さらに、ファイバー伝送が可能なことから遠隔操作性にも優れた特 徴を有しております。 「ふげん」の原子炉は圧力菅型で、224 本の圧力管(全長:4942mm、内径: 117.8mm、厚さ:4.3mm)とカランドリア管(全長:4,880mm、内径:156.4 mm、厚さ:1.9mm)、それらを収めるカランドリアタンク(全高:5,040mm、 炉心タンク部の外径:4,910×25mm、ダンプスペース部:外径 7,950mm×厚 さ 27mm、上下の管板厚さ:最大 150mm)で構成されています。これらの構 造物は、約 25 年間の運転で燃料からの中性子照射によって放射化され、単位重 量当たりの内蔵放射能量(主にコバルト 60)は「ふげん」の施設の中で最も高く なっています。 1 このため、この炉心部の解体方法として、図1のように放射線を遮へいする こと、切断時に発生する粉じんを抑制するために原子炉上部に解体用プールを 設置し水中において、レーザー切断工法等により遠隔で解体することを検討し てきております。 これまでに、本装置を使用し、気中切断においては、レーザー出力 10kW に おいて厚さ 100mm のステンレス製鋼材の切断を実証、水中切断では、レーザ ー出力 6kW において厚さ 30mmのステンレス製鋼材の切断を確認しておりま す。 今後は、「ふげん」の炉内構造材で使用している 150mm のステンレス製鋼材 及び炭素鋼材の切断実証に向けて、試験を継続して行くこととしています。 原子炉建屋 バンドソー装置 カランドリアタンク 炉心タンク部 解体物収納容器 切断装置 ・レーザー切断等 図1 解体用プール 「ふげん」の原子炉解体イメージ 2 (a)レーザー照射中の様子 図2 (b)水中切断後の試験片 ステンレス鋼(SUS304)の水中でのレーザー切断試験の状況 2.福島第一原子力発電所の燃料取出し等への適用 レーザー光は、光を任意の時間幅にスライスし、パルス的に照射する方式(パ ルス照射)等により、機械切断法では切断が困難な著しく硬いセラミックス材料 でも、その内部に大きな熱応力を与えて破砕することができます。このような 特性を活かし、福島第一原子力発電所での使用済み燃料集合体の解体、燃料デ ブリベッド(セラミックス)取出し等への適用を目指した研究開発を進めていま す。 照射実験の一例として、図3に炉心溶融に至った場合に想定される燃料デブ リを模擬した試験体(セラミックスペレット等)のレーザー照射破砕試験の状況 を示します。今後、さらに物性や照射条件を変えた実験を行い、データを蓄積 していくこととています。 図3 セラミックスペレット(アルミナ)を対象としたレーザー照射破砕試験 (セラミックス:金属酸化物で、高温での熱処理によって焼き固めたもの。) 3 3.レーザー切断プロセスシミュレーションコードの開発 レーザー共同研究所では、計算機によりレーザー切断を再現する技術(数値 シミュレーション)として、レーザー切断プロセスシミュレーションコード (SPLICE)の開発を進めており、実験結果との比較対比により概ね実験結果を再 現し得ることから、それを基に、より高出力なレーザーを用いた時の切断性能 や実験では観測困難な切断メカニズムなどを調べています。 図4に数値シミュレーションと大気中切断実験の一例を示します。 図4 数値シミュレーションと実験による切断状況 当研究所では、以上のようなレーザー切断試験等で得られた物理的・工学的 知見、レーザー切断の状態を計算機により再現する技術(数値シミュレーショ ン)を活かした共同研究を進め、原子力分野だけでなく一般産業分野のレーザ ー切断技術の高度化に取り組んでいます。 なお、レーザー共同研究所では、12 月 11、12 日に敦賀本部アトムプラザホ ールで成果報告会を開催し、企業、大学等との共同研究の成果を含め、ご報告 (29 テーマ)することとしております。 (添付のプログラム参照) 以 4 上