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中高年女性における日常身体活動量と大腰筋、固有背筋の筋断面積の

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中高年女性における日常身体活動量と大腰筋、固有背筋の筋断面積の
2007 年 9 月
中高年女性における日常身体活動量と大腰筋、
固有背筋の筋断面積の関係 33
(原著論文)
中高年女性における日常身体活動量と大腰筋、固有背筋の筋断面積の関係
田中 聡1)、堂本時夫2)、沖 貞明1)、加藤洋司2)、西原貞光3), 4)、石井里枝3)、畠山典子3)、
笠置恵子2)、安武 繁2)、小山 矩2), 3)
1)県立広島大学保健福祉学部理学療法学科、2)県立広島大学保健福祉学部看護学科、3)広島県立保健福祉
大学保健福祉学部放射線学科、4)現所属:徳島大学医学部保健学科放射線技術科学専攻
(投稿:2007 年 2 月 26 日、採択:2007 年 5 月 14 日)
要 旨
本研究では、肥満予防に効果的な日常身体活動量が大腰筋、固有背筋の筋断面積の増強に関係するか検討を行った。
対象は、市報を通じて募集した研究協力者女性 73 名(年齢:38~61 歳、平均 50.3±5.7 歳)である。ライフコーダにて
1 日当たりの平均歩数を測定し、臍レベルで撮影した MRI 画像より大腰筋と固有背筋の筋断面積と内臓脂肪面積、皮下
脂肪面積を求め比較した。その結果、歩数が多い群は内臓脂肪面積の有意な減少を認めたが、筋断面積は両筋とも歩数と
の間に統計学的有意差は認めなかった。歩行動作に重要な筋である大腰筋、固有背筋はウォーキングに加え、個別的な筋
力トレーニングが必要であると考えられる。
キーワード
中高年女性、身体活動量、内臓脂肪、筋断面積
序 文
肥満症は各種疾患のリスクファクターであり、肥満予
防が重要と唱えられ、あらゆる施策が行われている。わ
が国では平成 12 年に全ての国民が健やかで心豊かに生活
できる活力ある社会の実現を目的として「健康日本 21」
が策定された。この中の「身体活動・運動」の領域では、
身体活動・運動に対する意識の向上、日常生活における
歩数の増加、運動習慣者の増加などについて、具体的な
数値目標値を掲げ運動の重要性を唱えている。
身体活動量と生活習慣病の罹患率には高い関連性が指
摘されており、Hakim ら1) は、日系人高齢者を対象に研
究を行った結果、1日に 2 マイル以上歩く群は1日に 1
マイル未満しか歩かない群に比較して明らかに死亡数や
冠動脈疾患の罹患率が低いことを報告している。また、
生命予後に関する研究も報告されており、澤田2) らは
対象者の最大酸素摂取量(観察時の有酸素能力)を測定
し5つの群に分け、最も低い有酸素能力群を基準にして
著者 連絡 先:田中 聡
〒723-0053 広島 県三 原市 学 園町 1-1
県立広 島大 学 保健 福祉 学部理 学 療 法学科
Tel:0848-60-1235(直通)
Fax:0848-60-1226(共用)
e-mail:[email protected]
他の群を比較した結果、最も低い有酸素能力群に対して
いずれの群も有意に低い相対危険度を示したと述べてい
る。
様々な要因で肥満は発生するが、それを抑制するため
には、食事による過剰エネルギーの摂取を抑えることと
運動によるエネルギー消費が重要である。特に運動とし
ての歩行は、ウォーキングと称され簡便な運動でありな
がら様々な効果があげられる。女性の日常生活習慣とし
てのウォーキングはコレステロールや中性脂肪などの血
液性状改善に効果があり 3)、骨との関係においても歩行
数と踵骨強度との間には正の相関を認められている4)。糖
尿病患者に対する運動療法は既に確立されているが、そ
の効果は持続的運動の継続により、筋の毛細血管分布の
増加や筋組成の変化(遅筋の割合を高める)によるイン
シュリン感受性の増強などが知られている 5, 6)。一方、歩
行に関する筋は加齢とともに筋量減少を示すことが知ら
れており、何らかの筋力トレーニングによる筋量の維持
が必要とされている 7)。
我々は平成 17 年度より、地域の中高年女性を対象に肥
満予防・改善を図る目的で歩行を主とした日常身体活動
と体組成(脂肪や筋量)との関係について調査を進めて
いる。
34 田中 聡、堂本時夫、沖 貞明、加藤洋司、西原貞光、石井里枝、畠山典子、笠置恵子、安武 繁、小山 宗
形態・機能 第 6 巻第 1 号
ROI
内臓脂肪面積計測
MRI画像
二値価処理
筋断面積計測
皮下脂肪面積計測
図1 脂肪面積・筋断面積の測定
歩行に重要な役割を果たす大腰筋の機能は、股関節屈
曲の主動作筋であるだけでなく、腰椎・骨盤のスタビラ
イザーであり、直立2足歩行を行う人間にとって合目的
な機能・構造をしている 8)。久野 9) らは大腰筋とライフ
スタイルとの関係を調査した結果、高齢であっても過去
に身体活動量が多い職業従事者の方がより大きな筋断面
積を維持している傾向があることを報告している。一方、
同じく歩行動作と姿勢保持に重要な働きを持つ固有背筋
は、身体活動量とその筋断面積の関係が明かになってい
ない。そこで本稿では、身体活動量を定量化し、大腰筋、
固有背筋の筋断面積との関係を明らかにすることは有益
と考え、さらには脂肪蓄積を抑制する程度の日常的歩行
習慣が、この両筋の筋量増加に結びついているかを検討
した。
対 象
市報を通じて募集した研究協力者女性 73 名を対象と
した。年齢は 38 ~ 61 歳、平均 50.3 ± 5.7 歳、身長は
141.9 cm ~ 168.1 cm、平均 154.6 ± 4.8 ㎝、体重は
40.1 kg ~ 87.8 ㎏、平均 56.3 ± 10.1 ㎏であった。なお対象
者は、研究の開始に先立って研究の趣旨と計画、対象者
の精神的・肉体的負担、データの扱いなどについて説明
し、同意が得られた者に限定した。本研究は広島県立保
健福祉大学の研究倫理委員会の承認を受けて行った。
方 法
1.身体計測と歩行数測定
対象者には、身長、体重などの身体計測を行ったのち、
スズケン社製生活習慣記録機ライフコーダ EXの取り扱い
の説明を行い、2ヶ月間装着してもらった。その間の記録
はライフコーダ専用通信・管理ソフト「ライフライザー
02 ベーシック」を使用し一日の平均歩数を求めた。
2.脂肪面積と筋断面積の測定(図1)
臨床用 MRI 装置 MRH-500AD(日立メデイコ社製、静磁
場強度 0.5T)を使用し腹部 MRI を撮影した。被験者は仰
臥位で全身用コイル設定し、スピンエコー(SE)法(繰
り返し時間(TR)
:600 ms、エコー時間(TE)
:18 ms、撮
像視野(FOV):350 mm × 350 mm)により臍部を含む
11 cm にわたって 10 mm 厚の断層画像を得た。腹部脂肪
面積および筋断面積の算出は、臍部を通る高さの断層像
のみを用い MRI 装置からオリジナル画像を DICOM 経由で
パーソナルコンピュータに転送した。
1)脂肪面積の抽出と計測
皮下脂肪領域と思われる部分に感心領域(ROI)を設定
し、ROI 中の density の平均値と標準偏差を得た。次に
標準偏差値を 2 倍した値が脂肪領域の下限値と上限値に
対応すると考え、その範囲内に含まれる部分を二値化処
理して抽出した。二値化された画像の中で、内臓脂肪に
相当する領域と皮下脂肪に相当する領域とに分割し、各
領域の面積を画像解析ソフトウェア Image J Ver.1.33u
(NIH,USA)により計測した。
2)筋断面積の計測
パソコン画面上で大腰筋あるいは固有背筋を囲んで
感心領域(ROI)を設定し、その範囲内の面積を Scion
Image(NIH,USA)測定した。
3.解析
身体活動量として一日の平均歩数と皮下脂肪面積、内
蔵脂肪面積、両者を合わせた腹部全体脂肪面積と大腰筋
と固有背筋の筋断面積の関係を解析した。なお、筋断面
積は左右断面積の合計値を採用した。
統計学的解析は一元配置分散分析を行い、有意性のみ
られた場合、多重比較として Fisher の PLSD 法を用いて
検定を行った。なお統計量はすべて平均値±標準偏差で
示し、有意水準は危険率 5% 未満とした。
2007 年 9 月
中高年女性における日常身体活動量と大腰筋、
固有背筋の筋断面積の関係 35
表1 歩行表1
数により分
類した3群間の対象者の概要
歩行数により分類した対象者の概要
年齢
身長
体重
BMI
7,000歩未満
(n=19)
51.5±5.9
155.6±5.3
59.8±12.7
24.7±5.1
7,000~10,000歩未満
(n=23)
50.3±5.5
155.8±4.5
57.3±9.3
23.6±4.2
結 果
1.身体活動量
ライフコーダによる解析の結果、全対象者の一日平均歩
数は 2,852 歩から 19,530 歩であり、平均 9,564 ± 3,391 歩
であった。一日平均歩数を 7,000 歩未満、7,000 歩~
10,000 歩未満、10,000 歩以上の3群に分け比較検討し
た。3群間の年齢、身長、体重、BMI のいずれも統計学
的有意差は認めなかった(表 1)。
2.脂肪面積
全対象者の平均皮下脂肪面積は 184.6 ± 90.9 cm²、平
均内臓脂肪面積は 75.3 ± 37.1 cm²、平均全体脂肪面積
は 260.3 ± 115.8 cm² であった。3群に分けた脂肪面積
の測定結果を表 2 に示す。脂肪面積は、いずれも一日平
均歩行数が多い群ほど減少する傾向にあった。内臓脂肪
面積は、10,000 歩以上に対し 7,000 未満(p <0.01)、お
よび 7,000 歩以上~ 10,000 歩未満の群間 (p <0.05) に有
意差を認めた。全体脂肪面積では 7,000 歩未満と 10,000 歩
以上の間に有意な減少を認めた (p <0.01)。一方、皮下
脂肪面積は統計学的有意差を認めなかった。
3.筋断面積
大腰筋断面積の左右合計平均値は 15.4 ± 3.2 cm² であ
り、固有背筋断面積の左右合計平均値は 38.3 ± 6.9 cm²
10,000歩以上
(n=31)
49.6±5.7
153.0±4.4
53.4±8.1
22.8±3.3
群間比較
n.s
n.s
n.s
n.s
average±SD
であった。3群間に分け比較した結果を表 3 に示す。一
日平均歩数との関連性はなく統計学的有意差も認めな
かった。また、筋断面積と年齢の関係をみたところ、大
腰筋は加齢により縮小傾向にあるものの相関関係は認め
ず(r=-0.16、p=0.168)、固有背筋においては全く相関を
認めなかった(r=0.012、p=0.92)。
考 察
これまでの肥満予防研究において運動量と体重の減少
についての報告は多くなされているが、腹部の皮下脂肪
と内臓脂肪に分けての報告は少ない。Li10) らは、平均
BMI36 kg/m2 の 10 人を対象に減量治療(低カロリーダイ
エット)を行った結果、皮下脂肪厚の減少率はわずかで
あったが、腹膜前脂肪厚は有意に減少したと報告してい
る。一方、林ら 11) らは、3ヵ月間の有酸素運動と自体重
を負荷とした筋力トレーニングを行った結果、内臓脂肪
面積に有意な減少は得られなかったが、運動の実践によ
りインシュリンの分泌が良好に改善される可能性を示唆
した。我々の研究の着目点は、一般成人女性の普段の日
常身体活動量が腹部脂肪や歩行に重要な役割を果たす筋
断面積にどのような影響を及ぼしているかを検討してい
る点である。今回の対象者は平均年齢 50.3 歳の女性で平
表2表2一日平均歩行数と脂肪面積の関係
一日平均歩行数と脂肪面積の関係
7,000歩 未 満
7,000~ 10,000歩 未 満
10,000歩 以 上
皮 下 脂 肪 面 積 (cm²)
225.4± 115.8
177.5± 85.2
164.1± 69.4
内 蔵 脂 肪 面 積 (cm²)
89.4± 37.3
83.1± 39.3
61.2± 31.0
**
全 体 脂 肪 面 積 (cm²)
314.8± 143.4
259.8± 112.1
*
226.3± 86.1
**
*p < 0.05, **p < 0.01.
36 田中 聡、堂本時夫、沖 貞明、加藤洋司、西原貞光、石井里枝、畠山典子、笠置恵子、安武 繁、小山 宗
形態・機能 第 6 巻第 1 号
一日平均歩数と筋断面積の関係
表3 表3
一日平均歩数と筋断面積の関係
7,000歩未満
7,000~10,000歩未満
10,000歩以上
群間比較
群間比較
大腰筋断面積(cm2)
15.3±2.8
16.6±2.6
14.5±3.6
n.s
固有背筋断面積(cm2)
37.4±6.0
39.5±4.9
37.9±8.6
n.s
筋断面積は左右の合計値を示す
均 BMI が 23.5 の標準的な体型であり、一日平均歩数は
9,564 歩であった。厚生労働省の調査による 50 歳代女性
の一日平均歩数 8,121 歩であり、約 1,400 歩上回る値で
日常生活活動量は高い対象である。結果より腹部脂肪面
積については、皮下脂肪、内臓脂肪ともに歩行数の多い
群ほど減少する傾向にあったが、皮下脂肪面積において
は統計学的には有意な減少は得られなかった。この点は
先に述べた Li らの報告と一致している。脂肪と運動に
ついて諸家の報告は様々であるが、Despres ら 12) は、平
均年齢 38.8 歳の女性 13 名に 14 週間の運動の介入を行っ
た結果、体重が平均 3.7 kg 減少したものの内臓脂肪は有
意な減少をみなかったと報告した。一方、Mourier ら13)
は平均年齢 45 歳の 2 型糖尿病患者 24 人を対象に自転車
運動を 2ヵ月間行った結果、内臓脂肪が 48% と激減した
ことを報告している。我々の結果も示すように、生活習
慣として持続的な歩行運動が内臓脂肪面積の減少に有意
に働いていることは明らかと考える。Shimomura14) らは、
ラットに運動を用いた内臓脂肪組織における酵素活性や
GLUT-4 の mRNA 発現量を観察し、運動が脂質の取り込み
を制限させるように直接働くことで、内臓脂肪組織に脂
質を蓄積させにくくしている可能性を示唆している。今
回の対象者は日常的に活動性が高い人が多く、その活動
性に応じた内臓脂肪面積であるといえる。
次に筋断面積と日常活動量の関係を検討する。今回、
筋断面積を計測した大腰筋は、第 12 胸椎と 5 つの腰椎椎
体および横突起から起こり、骨盤と股関節の前方を通り
小転子へ付着する筋で主に股関節屈曲の運動を司り、歩
行時の骨盤と股関節を安定化させる重要な働きを持つ。
大腰筋の筋力低下は歩行時の股関節屈曲角度を減少さ
せ、トゥクリアランスが低下し転倒の一要因となる。久
野ら 9) は 20 歳から 84 歳までの男女計 129 名の大腰筋横
断面積を MRI を用いて計測した結果、加齢による影響は、
大腿部を構成する筋に比べ大腰筋横断面積の低下率は高
く、女性においては 20 歳代を基準とした場合、50 歳代
では 25.9% の低下率となり、70 歳代では 46.6% とほぼ半
減したと報告している。また、金 15) らは大腰筋と歩行能
力に注目し興味ある研究を行っている。大腰筋横断面積
と女性の歩行速度、歩幅には有意な相関を認め、加齢に
よる大腰筋の筋量低下は歩行速度に影響を及ぼす可能性
を示唆している。以上のことから大腰筋は日常身体活動
量以外の因子の影響を受けることが伺え、我々の結果に
average±SD
示すように歩行数と筋断面積の直接的な関連はなかった
と考える。
一方、固有背筋の筋量に関する研究は少なく、竹内ら16)
の、脊柱の後弯変形を有する症例では脊柱起立筋の断面
積と CT 値の低下を報告した例や、小宮ら 17) の加齢によ
る固有背筋断面積と CT 値の低下の報告がある。固有背筋
は立位姿勢や歩行時には持続的に収縮している筋であ
り、歩行数の多い人では筋断面積の増大が期待されたが、
今回の歩行数程度の身体活動の影響は受けないものと考
えられた。
一日平均歩行数と筋断面積の関係について更に検討を
加える。石黒ら4)は、平均年齢 68.8 歳の男性 31 名と女
性85名を対象に一日当たりの歩行数と下腿の前脛骨筋部
と腓腹筋外側頭部の超音波画像からの筋厚を比較したと
ころ、有意な相関を認めなかったと報告している。また、
高橋ら18) は 60 代、70 代の高齢者を対象に 1 日 30 分、
80%VT 強度の心拍数でウォーキングを週 5 回、12 週間行っ
た結果、大腿部伸筋群、屈筋群、大腰筋のすべての筋断
面積には顕著な変化はみられなかったと報告し、ウォー
キングだけでは筋量を増やすまでの刺激にはならないこ
とを示唆している。しかし、高齢者であっても筋断面積
の増大が得られることを高橋18) らは報告している。70 歳
以上の高齢者に対し自体重を利用した筋力トレーニング
を週 5 回、6ヵ月間行った結果、大腿部伸筋群で約 6%、屈
筋群で約 13%、大腰筋で約 11% の筋断面積の増加を認め
たと報告した。高齢者であっても筋肥大の起こる可能性
を示唆している。
今回の我々の結果から、身体活動レベルが高いと内臓
脂肪面積が減少することが確認できたが、筋の増大を起
こ す ま で に は 至 ら な か っ た。筋 の 増 大 を 起 こ す に は
ウォーキングだけでなく、個別に筋力トレーニングを行
う必要があることが確認できた。今後は歩行数だけでな
く、速度や歩幅などの因子からの検討や、運動療法とし
て介入した場合の脂肪面積や筋断面積に及ぼす影響を更
に検討していくことが重要である。
まとめ
・中高年女性の一日平均歩行数と腹部皮下脂肪面積、内
臓脂肪面積および大腰筋、固有背筋の筋断面積の関係
を検討した。
・歩行数の多い群は、内臓脂肪面積、全体脂肪面積が有
2007 年 9 月
中高年女性における日常身体活動量と大腰筋、
固有背筋の筋断面積の関係 37
意に減少していた。
・大腰筋、固有背筋と歩行数との間には有意な関係は認
めなかった。
・大腰筋、固有背筋を肥大させるには、歩行以外の個別
的トレーニングが必要と考えられた。
謝 辞
本研究に被験者としてご協力いただいた M 市の皆様に
感謝の意を表します。本研究は、学術振興会平成 16 ・ 17
年度科学研究費(課題番号 :16500453)
「遺伝的要因を考
慮した日常身体活動と腹部脂肪蓄積の関係解析」の一部
助成に基づくことを附記する。
文 献
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38 田中 聡、堂本時夫、沖 貞明、加藤洋司、西原貞光、石井里枝、畠山典子、笠置恵子、安武 繁、小山 宗
形態・機能 第 6 巻第 1 号
Relationship between physical activity and cross-sectional area of psoas
major and postvertebral muscles in middle-age and elderly females
S atoshi TANAKA 1 ) , Tokio DOMOTO 2 ) , Sadaaki OK I 1 ) , Youji KATO 2 ) , S a d a m it s u
NISHIHARA 3 ) , 4 ) , Rie ISHII 3 ) , Noriko HATAKEYAMA 3 ) , Keiko KASAGI 2 ) , Shigeru
YASUTAKE 2 ) , Tadashi KOYAMA 2 ), 3 )
1)
Department of Physical Therapy, Faculty of Health and Welfare, Prefectural University of
Hiroshima, 2 ) Department of Nursing, Faculty of Health and Welfare, Prefectural University
of Hiroshima, 3 ) Department of Radiological Science, Faculty of Health and Welfare,
Hiroshima Prefectual College of Health Sciences, 4 ) Radiologic Science, School of Health
Sciences, Faculty of Medicine, The University of Tokushima
Key words
Middle-age and elderly females, Physical activity, Viscer al fat, Cross-sectional area of muscles
Abstract
The purpo se o f this stud y was to investigate the relatio nship bet ween p hysical activity and
cross-sectio nal area ( CSA) o f p soas major and postvertebr al muscles in midd le-age and elder ly
fe males. T he subjects were 73 volunteer females fro m 38 to 61 year s o ld (50.3±5.7[ mean±SD]
years, height 154.6±4.8 cm ,bod y weight 56.3±10.1kg)a nd were cla ssified into three gro up s b y the
numbers o f walking steps per day.P hysical activities were measured by the nu mber o f walking
steps p er day using Lifecorder E X ( SUZUKEN CO., LT D.JAP AN).Visceral fat area( VFA,cm 2 ),
subcutaneo us fat area(SFA,c m 2 ) and the CSA o f p soas major and postver tebr al muscles wer e
measured fro m lumb ar axial images b y MRI. I t was fo und fro m the result that VFA significantly
decreased in the gro up with large numb er o f walking steps per day. Ho wever, the number o f
walking steps per d ay had no significant effect o n neither o f the CSAs of the muscles. The results
suggest that pso as major and po stver tebr al muscles strengthening exer cise need o ther training than
the walking.
Fly UP