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欧州環境情報 - 日本産業機械工業会

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欧州環境情報 - 日本産業機械工業会
情報報告 ウィーン
●欧州環境情報
○ ドイツ カザフスタンと環境・気候保護部門での協力拡大に合意
カザフスタンのアスタナにおいて、ドイツ連邦環境省のクルーク事務次官とカザフスタン
のイスカコフ環境相、Akschulakovエネルギー・鉱物資源副相が会談し両国間での環境、気候
保護分野での協力拡大に合意した。具体的な予定として、ドイツ連邦環境省の国際気候保護
イニシアチブの枠組内で、アルマトイにあるGerman-Kazakh大学で建築物の省エネルギーや中
央アジアでの再生可能エネルギーの可能性に焦点をあてたイニチアチブが近々実施されるほ
か、欧州復興開発銀行(EVRD)と共に中小企業における省エネルギー化、再生可能エネ
ルギー利用の拡大のための投資に対する融資も計画されている。
○ 欧州 太陽光発電が2020年までに欧州電力需要の12%を占めると目標を上方修正
欧州太陽光発電協会(EPIA)は、昨今の技術進歩やエネルギー価格高騰を考慮して2020
年までに欧州電力需要の12%を太陽光発電で賄うことが可能と発表した。グリッドパリティ
(発電コストと電力小売価格が同等となること)は、2010年からいくつかの欧州市場で見ら
れることになり、太陽放射量が高く電力価格も高いイタリアやスペインでは、それぞれ2010
年、2012年に到達する予定である。ドイツは2015年に到達して、その他EU加盟諸国も2020
年までに到達すると予想されている。
ただし、上記目標を達成するにはコスト削減に向けた投資が不可欠で、グリッドパリティ
に到達するまでの期間、フィードインタリフ制度の実施やグリッド接続での優先といった適
切な政策枠組みが必要と述べられている。
○ チェコ 週末の一部期間は7.5トン以上のトラックは走行禁止
チェコ政府は、2009年1月1日より7.5トン以上のトラックに対してすべての道路での週末
の一部期間の走行を禁止する。これは、Revicek運輸相とブルシーク環境相による共同提案に
よるもので9月3日に承認された。具体的には、金曜日の午後3~6時と日曜日の深夜から
夜10時までである。土曜日については、それほど影響が無いとの判断から対象外となった。
これにより、騒音・大気汚染からの開放や週末の渋滞緩和、交通事故低減といった効果が期
待されている。
○ 英国 農家のバイオガス利用が水環境に対して好影響と環境相が発言
英国のウーラス環境相は、「有機分のバイオガス利用が新たな環境法遵守に直面する農家
の一助になる」と発言した。農家は、2009年1月より肥料中窒素の河川への排出削減対策が
義務付けられているが、バイオガス利用によってエネルギー源を確保できるだけでなく処理
後の有機分は再度肥料として利用可能となり水環境への窒素排出が削減されるためである。
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英国では、バイオガス利用の潜在性が生かされていないとの認識から、7月に環境相が産業
界や非政府組織専門家と会談して政府と共に嫌気性分解の利用拡大方法について議論し、そ
の障害克服に取り組むことに対して合意している。
○ 英国 再生可能エネルギー資源としての森林の利用可能性について調査プロジェクト実施
英国の環境・食糧・農村地域省(DEFRA)は、再生可能エネルギー資源として短期間サイク
ルでの森林利用の可能性についての調査プロジェクトに対して3年間に渡り約150万ポンド
を融資すると発表した。同プロジェクトは、いくつかの地点で実際に植樹され、固有性また
は帰化性の広葉樹と共にユーカリのようなバイオマスとして利用可能なその他種類の植物に
ついて、環境影響や短期間サイクル利用時の持続可能性についてのモニタリングが実施され
る予定である。
○ アイルランド 有害廃棄物管理計画を発表
アイルランドは、2008-2012年の期間における同国の有害廃棄物管理計画を発表した。こ
れには、有害廃棄物の発生削減、適切な回収および管理の実施、自国内処理の増加、過去の
有害廃棄物を含有する過去の(負の)遺産の取り扱い、について記載されている。
同国では、2006年に28万4,000トンの有害廃棄物が発生しているがその内の半分は処理のた
めに海外輸出されている。最も排出量が多いのは、工業用溶媒や廃油などを排出する産業部
門で、それ以外の部門からは廃電池や廃電気・電子機器等が排出されている。
○ アイルランド 有害廃棄物管理計画を発表
アイルランドは、2007年における大気質に関する報告書を発表した。測定地点は26ヵ所あ
り、EU大気質指令に準じた時間平均および日平均の測定を実施している。交通量の多い都市
部では二酸化窒素とPM10が基準値に近い数値を示し、小さな町でも粒子状物質の発生する燃
料を使用している影響でPM10が基準値内ではあるものの比較的高い数値を記録している。そ
れ以外の大気汚染物質は総じて低めで特に問題はなかった。
○ オーストリア WEEE回収状況良好
オーストリア環境省によると、2003年に発効している廃電気・電子機器指令(WEEE指
令)における2007年の同国の回収率が7.68キログラム/人であることが分かった。参考まで
に、指令の回収目標は2006年12月31日時点で4キログラム/人であり、順調にWEEE回収
が実施されている。
○ オーストリア 世界最先端の環境技術サプライヤーを目指す
経済および政策、そして管理基盤として2008年6月に創立したAustria Clean Technology
(ACT)によると、2007年における同国の環境技術による年間売上げは60億ユーロで将来
的にも見通しが明るいと発表した。1993年に248社だった環境技術部門企業は、2007年には375
社に増加して2003~2007年の期間における売上げは年12%増だった。
ACTは、経済の推進力として環境技術を取り入れた作業計画を立てており、オーストリ
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ア外国貿易(AWO)と協力して、
「Clean Tech-Made in Austria」というトレードマークを
上市する計画や、最先端技術や市場、技術ポテンシャルの調査、品質基準の設定や訓練業務
だけでなく市場拡大戦略や技術移転を実施することで世界最先端の環境技術サプライヤー国
を目指している。
○ 中欧4ヵ国 環境相が会談を行い環境問題について会合
チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロバキアの中欧4ヵ国で形成する「Visegrad Group」
がブダペストで15回目の環境相会合が開催され、環境問題について共同声明を発表した。内
容は、EU枠組み内での環境保護分野において4ヵ国間で協力する重要性の再確認や今年の
12月のポーランドでのCOP14開催、来年上半期のチェコ議長国就任を考慮した話し合いが行わ
れた。
環境問題では、気候変動と温室効果ガス排出削減が最も重要な課題と位置づけられ、特に
自動車からのCO2排出削減について話し合われた。他テーマとしては、廃棄物の不法移動や環
境税について議論され、持続可能な廃棄物管理や消費関連の課題としては、包装廃棄物(特
にペットボトル)量や水使用量の削減、廃車問題について情報交換がなされた。
○ ドイツ バイオプラスチック産業への投資が増加
欧州バイオプラスチック協会の発表によると、ドイツの同産業への投資が増加しているこ
とが明らかになった。オーストラリアに本社のあるPlantic Technoogiesは、830万ユーロ以
上を投資してでんぷんを原材料とした新規製造施設をイエナに建設し、スイスのPyramid
TechnologiesとGerman Biopalsticsが共同出資するPyramid Bioplasticsもグベンに年産6万
トンの能力を持つポリ乳酸製造施設を2009年後半に稼動させる予定である。それ以外にも、
今 春に はBASF SEが ルー トヴ ィヒス ハッフ ェン に年 産6万 トンの 生分 解性 材料で ある
「Ecoflex」の製造施設を2010年に稼動させると発表するなど、ドイツにおけるバイオプラス
チック産業への投資が増加している。
同協会は、世界のバイオプラスチック製造能力について2011年までに現在の4倍にあたる年
間150万トンになると予想している。
○ チェコ 日本と排出権取引に関する覚書に署名
チェコのブルシーク環境相と日本の熊沢大使は9月23日、「京都議定書に基づく共同実施
およびグリーン投資スキームにおける協力に関する覚書」に署名した。チェコは、約1億A
AU(Asigned Amount Unit:割当量)の売却を予定しているが、ブルシーク環境相は大部分
のAAUを今年末までに予定されている民間企業へのオークション方式で売却したい意向を
示しており、最終的に日本がどれほど購入するかは今後交渉によって決められる。チェコは、
日本以外にもスペインとオーストリア、ニュージーランドと交渉を進めている。
排出権売却収入の利用先は、2009年初めに予定されている家庭部門における省エネルギー
に焦点をあてた新たな助成プログラム支援に使用される予定である。
○ REACH規制 欧州化学品庁のウェブサイトに「ECHA CHEM」という新セクションを開設
欧州化学品庁(ECHA)は、ウェブサイト中に新たに「ECHA CHEM」というセクションを
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設けた。同セクションでは、REACHプロセスの一般情報や文書が閲覧可能で、加盟諸国所轄官
庁および欧州委員会が提出する、1)高懸念物質(SVHC)、2)分類およびラベリング、3)
制限、に関する情報が公開されている。今後は、事前登録物質リストや認可対象となるSV
HC候補リスト、登録物質の一般情報が公開される予定だ。
○ ハンガリーに50MW分の風力発電地帯建設開始
ス ペ イ ン の Iberdrola Renovables は 、 ハ ン ガ リ ー の コ マ ー ロ ム ・ エ ス テ ル ゴ ム 県 の
Kisigmandにおいて総発電容量が50MWの風力発電地帯の建設を開始した。同社の2MWの風車を
25基設置する予定。
○ ルーマニアに30MW分の風力発電施設建設
スウェーデンのエネルギー企業であるEolus Vindは、総発電容量が30MWのルーマニアの風
力発電プロジェクトに対して総額1,500万ユーロを投資することを明らかにした。ルーマニア
のエネルギー当局によれば、同国の再生可能エネルギー電力のほぼすべてを占めるといって
もよい水力発電電力を輸出しない場合でも2020年までに風力発電を2,000MW導入する必要が
あり、輸出するのであれば4,000MW導入が必要とのこと。しかしながら、2007年末時点での導
入容量はわずか7.75MWとなっている。
○ ポーランド 新エネルギー政策案を発表
ポーランドのパヴラク副首相は、2030年までの新エネルギー政策案を発表した。同案には、
自国資源の利用や再生可能エネルギー利用増加、燃料・エネルギー部門の競争力強化、エネ
ルギー産業による環境影響の低減が盛り込まれている。同案は、2008年末までに発効される
予定だ。
○ EU 廃電池指令の国内法移行期限が過ぎるも7ヵ国のみが移行完了
廃電池の適切な回収・リサイクルを定めた廃電池指令(Directive 2006/66/EC)の国内法
移行期限である9月26日を迎えた。しかしながら、移行状況は芳しくなく、欧州委員会によ
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れば7ヵ国のみが完全移行して4ヵ国が部分的に移行しているという 。そのため、欧州委員
会は未移行の加盟諸国に対して状況を速やかに改善しなければ、然るべき対応措置をとると
している。
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英国のHaymarket Business Mediaが発行する環境専門紙「ENDS Europe Daily」によると、完全移行の7ヵ国はエス
トニア、スペイン、ラトビア、マルタ、オランダ、オーストリア、スロベニアであり、部分移行の4ヵ国はアイルラン
ド、リトアニア、ポーランド、フィンランドである。
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