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久慈市公共施設等総合管理計画 (1239kbyte)

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久慈市公共施設等総合管理計画 (1239kbyte)
久慈市公共施設等総合管理計画
平成 27 年
久慈市
目次
公共施設等総合管理計画について ..................................................... 1
第 1 章 公共施設等の現況及び将来の見通し ........................................... 2
1 市の概況 ...................................................................... 2
2 公共施設等の状況 .............................................................. 3
3 人口の現況と課題 .............................................................. 8
4 財政の現況と課題 ............................................................. 13
第2章 公共施設等の総合的かつ計画的な管理に関する基本的な方針 ..................... 22
1 計画期間について ............................................................. 22
2 全庁的な取組体制の構築及び情報管理・共有方策 ................................. 22
3 現状や課題に関する基本認識 ................................................... 23
4 公共施設等の管理に関する基本的な考え方 ....................................... 25
第3章 施設類型ごとの管理に関する基本的な方針 ..................................... 28
1 集会施設 ..................................................................... 28
2 文化施設 ..................................................................... 28
3 図書館 ....................................................................... 29
4 博物館等 ..................................................................... 29
5 スポーツ施設 ................................................................. 30
6 レクリエーション・観光施設の状況 ............................................. 30
7 産業系施設 ................................................................... 31
8 学校 ......................................................................... 31
9 その他教育施設 ............................................................... 32
10 幼保・こども園 ............................................................. 33
11 幼児・児童施設 ............................................................. 33
12 高齢福祉施設 ............................................................... 34
13 その他社会保健施設 ......................................................... 34
14 医療施設 ................................................................... 34
15 庁舎等 ..................................................................... 35
16 消防施設 ................................................................... 35
17 公営住宅 ................................................................... 36
18 その他 ..................................................................... 37
19 公営企業の公共施設 ......................................................... 37
20 道路 ....................................................................... 37
21 橋りょう ................................................................... 38
22 上水道 ..................................................................... 38
23 下水道 ..................................................................... 38
24 その他のインフラ ........................................................... 39
第4章 フォローアップの実施方針 ................................................... 40
公共施設等総合管理計画について
1)公共施設等総合管理計画の策定の背景
本市では、拡大する行政需要や住民ニーズの高まりにより、多くの公共施設を建設してきました。
その結果、本市が所有する公共施設は、市役所や支所などの行政系施設、義務教育を提供するための
小中学校、図書館、市民文化センターや体育館など多くの市民の方々に利用される文化施設やスポー
ツ施設、公営住宅など多岐にわたっています。これまでは、新しい公共施設をどのように整備してい
くかに重点が置かれ、施設の所管課がそれぞれの施設特性(機能)に合わせて個別に対応していたた
め、公共施設の全体像を統一的に整理したものはありませんでした。
しかし、それらの施設が今後、更新時期を迎えることから、多額の修繕や建て替え費用に対する財
源の確保が必要となります。また、現下の厳しい財政状況の中、少子高齢化の進行と人口減少に対応
していくには、今後は既存公共施設をできる限り有効に活用し、時代とともに変化する市民ニーズに
適切に対応する必要があります。このようなことから、身の丈に合った行政運営を目指し、公の施設
の見直しと効率的な施設の保全管理を進めてきました。
このような現況を踏まえ、これからの公共施設等のあり方を考える公共施設マネジメントに取り組
むこととし、その基礎資料として、市が保有する公共施設の全体像と各用途別施設の現状分析をまと
めた「久慈市公共施設白書」を作成しています。
2)公共施設等総合管理計画の目的
公共施設等総合管理計画は、厳しい財政状況が続く中で、今後、人口減少等により公共施設等の利
用需要が変化していくことが予想されることを踏まえ、公共施設等の全体の状況を把握し、長期的な
視点をもって、更新・統廃合・長寿命化などを計画的に行うことを目的とした計画です。
公共施設等総合管理計画で示された方針に基づき、今後、公共施設再編計画などを策定するなど、
公共施設等の総合的なマネジメントを進めていきます。
3)計画期間
平成 27 年度(2015 年度)から平成 56 年度(2044 年度)までの 30 年間とします。
4)対象とする公共施設等
公共施設等総合管理計画において対象とする公共施設等は、公営企業会計に属する公共建築物、道
路・橋梁・上下水道施設などの公共インフラを含む、全ての公共施設等とします。
1
第1章
公共施設等の現況及び将来の見通し
1 市の概況
久慈市は、岩手県北東部の沿岸に位置し、東側は太平洋に面した海岸段丘が連なり、西側は、遠島
山など標高 1,000m 以上の山嶺を有する北上高地の北端部にあたります。平成 18 年 3 月には、旧久慈
市と旧山形村が合併し、新久慈市が誕生しています。
図 1-1 本市の地図および地区区分、人口重心
公共施設等総合管理計画では、久慈地区・長内地区・宇部地区・山根地区・大川目地区・夏井地区・
侍浜地区・山形地区の8地区を地区区分として設定します。山形地区は旧山形村の地区であり、その
他の地区は旧久慈市の地区です。人口重心1は、久慈地区にあり、人口分布は東寄りとなっています。
1
人口重心とは、人口の 1 人 1 人が同じ重さを持つと仮定して、その地区の人口が、全体として平衡を保つことのできる点をい
います。
2
2 公共施設等の状況
(1)公共施設の概況
表 1-1 公共施設の一覧
※対象施設一覧の大分類・中分類は、総務省更新費用試算ソフト内の用途分類に準拠しました。
※小分類は、総務省更新費用試算ソフト内の施設名称例を参考に分類しました。
※延床面積が 50 ㎡以上の公共施設を調査対象としました。
※複合施設の場合は、それぞれの分類毎に施設数を計上しています。
平成 26 年 3 月 31 日時点で、本市が保有する 50 ㎡以上の建物を含む公共施設は 205 施設あり、総
延床面積は 225,469 ㎡となっています。
これらの施設について、維持管理や運営状況等の現状を分析するため、総務省が用いている区分(大
分類・中分類は総務省更新費用試算ソフトに準拠)や本市の公共施設の実情に即した区分(小分類)
により分類しています。
3
(2)公共施設(行政財産)の県内自治体比較
図 1-2 2012 年度行政財産建物延床面積及び 2010 年人口の県内自治体比較
800,000
700,000
一関市
奥州市
600,000
花巻市
500,000
北上市
400,000
宮古市
300,000
(((( ))))
2
0
1
2
年
度
行
政
財
産
建
物
延
床
面
積
遠野市
久慈市
釜石市
㎡
200,000
洋野町 八幡平市
大船渡市
二戸市
岩泉町
100,000
陸前高田市
九戸村
軽米町
普代村
0
葛巻町
野田村
0
20,000
40,000
60,000
80,000
100,000
120,000
140,000
2010年人口
2010年人口(
年人口(人)
※本グラフは、行政財産建物延床面積と人口の関係について、県内の自治体と比較するため、本白書における他のデータと
は別の総務省による公表資料に基づく分析を行なっているものです。
縦軸は、平成 24 年度(2012 年度)公共施設状況調経年比較表(総務省)によるものです。
横軸は、平成 22 年(2010 年)国勢調査(総務省統計局)によるものです。
縦軸と横軸とで年度が異なりますが、それぞれ国から公表されている最新の調査結果を利用しています。
※盛岡市は、他の団体とプロット場所が大きく外れるためグラフの枠外とし、平均からも対象外としています。
※町・村については、プロット場所が固まってしまう傾向にあるため、近隣団体を除いて対象外としています。
岩手県内の自治体との比較により、本市の 2010 年時点における人口規模(36,872 人)における、
平均延床面積を統計的に算出すると 195,729 ㎡程度です。これは、2012 年度時点における本市の行
政財産建物延床面積 217,658 ㎡と比べて 21,929 ㎡(10.1%)少ない水準となっており、その分本市の水
準が過剰となっています。
4
(3)普通会計公共施設の地区別の状況
図 1-3 地区別の延床面積と住民一人当たりの延床面積(平成 25 年度)
(千㎡)
90
75
(㎡/人)
20
72
60
延
床 45
面
積
45
44
(住民一人当たりの延床面積平均 6㎡/人)
30
17
15 住
民
一
人
当
10 た
り
の
延
床
面
5 積
17
15
12
9
3
0
0
久慈
長内
宇部
山根
大川目
夏井
侍浜
山形
地区別延床面積でみると、人口の 35.7%を占める久慈地区の 7 万 2 千㎡(32.2%)
、人口の 25.2%
を占める長内地区の 4 万 4 千㎡(19.9%)、人口の 7.6%を占める山形地区の 4 万 5 千㎡(20.3%)
が平均延床面積(2 万 8 千㎡)を超えており、宇部、山根、大川目、夏井、侍浜の各地区は平均を下
回っています。
一方、住民一人当たりの延床面積では、人口が比較的少ない山根、夏井、山形の各地区で面積が大
きく、人口が比較的多い久慈、長内、宇部、大川目、侍浜の各地区で面積が小さくなっています。
ただし、人口が比較的少ない地区のなかでも住民一人当たりの施設数にはバラつきがあるため、今
後の公共施設等のあり方を検討するにあたっては、地区のバランスも踏まえながら検討を行っていく
ことが必要であると考えられます。
5
6
1970
1969
1968
1967
1965
1966
1964
1963
1962
1961
整備率(累計)
1971
その他
1972
保健・福祉施設
1973
子育て支援施設
1974
社会教育系施設
1975
市民文化系施設
新耐震基準(
新耐震基準(65
65
65%)
%)
1990
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
1981
医療施設
スポーツ・レクリエーション系施設
2000
1999
1998
1997
行政系施設
産業系施設
2010
2009
2008
2007
2006
2004
2005
公営住宅
学校教育系施設
2014
2013
2012
2011
2003
2002
2001
1996
1995
1994
1993
1980
1978
1979
1977
1976
1960
1959
1958
1957
1956
1955
0.0%
20.0%
60.0% 整
備
率
累
計
40.0%
80.0%
100.0%
以前に整備された施設を大分類別に延床面積でみると、学校教育系施設や、産業系施設、行政系施設が多くを占めます。
観点から課題がある公共施設や老朽化が深刻な状況にある公共施設が多くあることが分かります。1981 年(昭和 56 年)度
旧耐震基準が適用されていた時期である 1981 年(昭和 56 年)度以前に整備されたものも 35%にのぼり、安心・安全の
設整備が続けられてきたといえます。
本市の公共施設の整備状況(延床面積)を建築年度別にみると、特定の時期に極端に集中しておらず、断続的に公共施
0
2
4
6
延 10
床
面
積 8
12
14
16
旧耐震基準(
旧耐震基準(35
35
35%)
%)
1991
1992
(千㎡)
18
)
(
図 1-4 大分類別の建築年度別延床面積の推移
(4) 普通会計公共施設の年度別の設置状況
(5) 公営企業等の施設
公営企業が有する公共施設は、上水道会計では浄水場、ポンプ場、配水池等、下水道会計では久慈
浄化センター、ポンプ場等の施設を有しています。
(6) インフラの状況
① 道路
市が所有し、管理する一般道路は、総延長 691km、面積は 3,612k㎡となっています。
② 橋りょう
橋りょうは、5,260m、37k㎡有しています。
③ 上水道
上水道の管路については、以下の表のような状況です。
種別
延長(m
延長(m)
導水管
4,440
送水管
31,951
配水管
296,834
合計
333,225
当市の水道事業は、1 上水道 5 簡易水道で構成されております。
上水道は 2 か所の水源と、浄水場(2 施設)・ポンプ場(7 施設)・配水池(9 施設)・加圧ポンプ場(6
施設)を有しています。
簡易水道は 7 か所の水源と、浄水場(10 施設)・配水池(10 施設)を有しています。
④ 下水道
下水道の管路については、以下の表のような状況です。
種別
延長(m
延長(m)
コンクリート管
12,122
塩ビ管
86,934
その他
2,539
合計
101,595
また、下水道事業は、浄化センター(1 施設)、漁業集落排水処理場(6 施設)、ポンプ場(4 施設)、
汚水処理場(1 施設)を設置しています。
⑤ その他
上記のほか、都市公園 12 箇所、343,300 ㎡などのインフラを保有しています。
7
3 人口の現況と課題
(1)本市全体の人口の推移と推計
国勢調査に基づく人口の推移は、1980 年(昭和 55 年)に 43,683 人を記録して以降、減少が進み、
2010 年(平成 22 年)には 36,872 人と 30 年間で 6,811 人減少(▲15.6%)しております。
また、年齢区分別の人口構成割合をみると、年少人口(0~14 歳)は、1980 年(昭和 55 年)に人
口の 26.6%を占めていましたが、2010 年(平成 22 年)には 14.1%に減少しています。老年人口(65 歳
以上)は、1980 年(昭和 55 年)に人口の 9.4%を占めていましたが、2010 年(平成 22 年)には 26.4%
に増加しています。
さらに、国立社会保障・人口問題研究所が平成 25 年 3 月に公表した試算によると、2040 年(平
成 52 年)の人口は 24,391 人、人口構成割合では年少人口は 9.6%、老年人口は 42.2%になると推計さ
れています。
全国的に人口が減少し、少子高齢化が進んでいますが、本市においても同様であることを示してい
ます。
図 1-5-1 久慈市全体の人口推移
45.00%
50,000
45,000
43,683
43,402
42,758
40.00%
41,225
40,178
40,000
39,141
35.00%
36,872
34,741
35,000
32,714
30.00%
30,601
28,496
30,000
26,429
人
口 25,000
人
25.00%
(((( ))))
24,391
65歳以上
15~64歳
20.00%
15歳未満
20,000
高齢化率
15.00%
15,000
10.00%
10,000
5.00%
5,000
0.00%
0
1980年
昭和55年
1985年
昭和60年
1990年
平成2年
1995年
平成7年
2000年
平成12年
2005年
平成17年
2010年
平成22年
2015年
平成27年
8
2020年
平成32年
2025年
平成37年
2030年
平成42年
2035年
平成47年
2040年
平成52年
(2)地区別の人口推計
① 久慈地区
図 1-5-2 久慈地区の人口推移
久慈地区の人口は 2000 年(平成 12 年)の 14,045 人をピークとし、2010 年(平成 22 年)には 13,497
人と減少が始まっています。
② 長内地区
図 1-5-3 長内地区の人口推移
長内地区の人口は 1995 年(平成 7 年)の 9,916 人をピークとし、2010 年(平成 22 年)には 9,129
人と減少が始まっています。
9
③ 宇部地区
図 1-5-4 宇部地区の人口推移
宇部地区の人口は 1960 年(昭和 35 年)の 5,146 人をピークとし、2010 年(平成 22 年)には 3,371
人と減少が大幅に進んでいます。
④ 山根地区
図 1-5-5 山根地区の人口推移
山根地区の人口は 1955 年(昭和 30 年)の 2,534 人をピークとし、2010 年(平成 22 年)には 383
人と減少が深刻な状況にあります。
10
⑤ 大川目地区
図 1-5-6 大川目地区の人口推移
大川目地区の人口は 1965 年(昭和 40 年)の 3,684 人をピークとし、2010 年(平成 22 年)には 2,535
人と減少が大幅に進んでいます。
⑥ 夏井地区
図 1-5-7 夏井地区の人口推移
夏井地区の人口は 1950 年(昭和 25 年)の 3,554 人をピークとし、2010 年(平成 22 年)には 2,659
人と減少が大幅に進んでいます。
11
⑦ 侍浜地区
図 1-5-8 侍浜地区の人口推移
侍浜地区の人口は 1960 年(昭和 35 年)の 3,833 人をピークとし、2010 年(平成 22 年)には 2,494
人と減少が大幅に進んでいます。
⑧ 山形地区
図 1-5-9 山形地区の人口推移
山形地区の人口は 1960 年(昭和 35 年)の 7,311 人をピークとし、2010 年(平成 22 年)には 2,804
人と減少が深刻な状況にあります。
12
4 財政の現況と課題
(1)歳入
図 1-6 普通会計歳入の推移
(百万円)
35,000
314億円
314億円
290億円
290億円
30,000
4,637
253億円
253億円
5,004
2,841
25,000
2,563
2,309
207億円
207億円
195億円
195億円
196億円
196億円
201億円
201億円
200億円
200億円
2,935
20,000
7,893
1,926
1,445
1,821
1,692
1,507
2,398
1,723
1,519
2,605
2,079
1,601
1,757
1,837
3,063
2,656
2,351
1,092
2,125
783
2,184
745
2,518
715
1,979
720
7,078
7,021
7,131
6,697
7,190
3,770
4,049
4,205
4,074
4,038
平成18年度
平成19年度
平成20年度
平成21年度
平成22年度
15,000
6,407
4,074
1,517
690
3,054
649
2,340
646
8,486
8,220
3,959
3,916
4,091
平成23年度
平成24年度
平成25年度
10,000
9,559
5,000
0
市税
地方交付税
その他一般財源
市債
国庫支出金
都道府県支出金
その他特定財源
本市の平成 25 年度の普通会計の歳入は 290 億円です。その内訳は、地方交付税が 82 億円と最も多
くおよそ 3 割を占め、次いで国庫支出金が 64 億円、その他特定財源の 50 億円となっています。
歳入の推移をみると、平成 22 年度までは 200 億円前後で推移していましたが、その後、平成 24
年度には 314 億円に達し、平成 25 年度は減少に転じています。
市税は、30 億円台後半から 40 億円程度で推移しており、その内訳は図 1-5 の通りです。
地方交付税は、震災復興特別交付税の影響により近年増加傾向にあります。
その他一般財源は、地方譲与税や地方特例交付金などであり、近年減少傾向にあります。
市債は、横ばいで推移しています。
国庫支出金および都道府県支出金についても、復旧復興事業の影響により増加傾向にあります。
その他特定財源は、繰入金や寄附金などであり、近年増加傾向にあります。
13
(2)歳出
図 1-7 普通会計歳出の推移
(百万円)
35,000
292億円
292億円
30,000
276億円
276億円
2,041
2,059
25,000
4,689
225億円
225億円
2,606
201億円
201億円
192億円
億円
192
192億円
192億円
194億円
194億円
192億円
192億円
2,784
1,968
2,801
20,000
15,000
1,562
867
2,932
1,551
651
3,002
1,685
721
2,946
3,429
3,631
3,447
2,088
1,722
757
2,890
1,901
870
2,822
5,896
2,926
6,630
2,860
2,290
3,907
2,042
2,433
3,559
223
3,625
160
3,819
3,893
1,884
10,000
1,948
5,000
2,804
1,988
2,283
2,202
3,680
291
2,704
178
2,067
2,751
138
2,152
2,737
150
2,205
2,813
229
2,428
3,411
208
2,501
3,549
3,382
3,166
3,101
3,083
3,074
2,955
2,982
平成18年度
平成19年度
平成20年度
平成21年度
平成22年度
平成23年度
平成24年度
平成25年度
5,078
0
人件費
物件費
維持補修費
扶助費
補助費等
投資的経費
公債費
積立金・投資・出資金・貸付金
繰出金
本市の平成 25 年度の普通会計の歳出は 276 億円です。その内訳は、投資的経費2が 58 億円で最も
多くおよそ2割を占めており、次いで物件費が 50 億円、扶助費3が 36 億円となっています。
歳出の推移をみると、義務的経費のうち人件費は人員削減等の行政改革により減少しているものの、
扶助費は国の施策や景気の動向による生活保護費などの増大により、年々増加傾向にあります。投資
的経費は、東日本大震災からの復興に向けた投資により増加傾向にあります。公債費は年々減少傾向
で推移しています。
2
投資的経費とは、その経費の支出の効果が単年度または短期的に終わらず、固定的な資本の形成に向けられるものです。
扶助費とは、社会保障制度の一環として、児童・高齢者・障害者・生活困窮者などに対して国や地方公共団体が行う支援に
要する経費のことです。
3
14
(3) 公共施設の将来の更新費用
図 1-8 公共施設の更新費用試算(普通会計建物)
22.5万㎡
38.7億円
年更新費用試算額 : 38.7億円
現在までのストック : 22.5万㎡
公共施設投資的経費 既存更新分及び新規整備分直近
既存更新分及び新規整備分直近2
直近2箇年度平均 : 32.6億円
32.6億円
公共施設投資的経費 既存更新分直近
既存更新分直近2
直近2箇年度平均 : 25.7億円
25.7億円
(億円)
40年間の更新費用総額
40年間の更新費用総額 : 1,551.5億円
1,551.5億円
年更新費用試算額との比較 : 1.1倍
1.1倍
1.5倍
年更新費用試算額との比較 : 1.5倍
70.0
60.0
50.0
40.0
30.0
20.0
10.0
大規模改修
現時点で大規模改修時期到来資産の大規模改修
現時点で耐用年数到来資産の建替え
2053
2052
2051
2050
2049
2048
2047
2046
2045
2044
2043
2042
2041
2040
2039
2038
2037
2036
2035
2034
2033
2032
2031
2030
2029
2028
2027
2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
0.0
既存更新分+新規整備分(2箇年度平均)
既存更新分(2箇年度平均)
建替え
既存更新分
新規整備分
※2011、2012、2013年度投資的経費は平均から除外
これからかか
る更新費用
更新にかけて
きた金額
公共施設の更新
公共施設の更新で、
の更新で、
毎年 6.1 億円の不足が
見込まれます
現在本市が保有する普通会計の施設を、耐用年数経過後に同じ規模(延床面積)で更新したと仮定
した場合、今後 40 年間の更新費用の総額は 1,551.5 億円で、試算期間における平均費用は年間 38.7
億円となります。
震災前の期間である 2009 年度、2010 年度(平成 21 年度、22 年度)の平均の公共施設にかけてき
た投資的経費は、年平均 32.6 億円ですので、その投資的経費に比べて 1.1 倍の費用がかかる試算と
なります。既存の施設の更新にかけてきた金額は年平均 25.7 億円で、2009 年度、2010 年度(平成
21 年度、22 年度)の既存更新分と、これからかかる更新費用を比べた場合、今後 40 年間でこれまで
の 1.5 倍程度の支出が必要となります。
15
全ての期間において公共施設に関する建替更新や大規模改修のためのコストが不足するというわ
けではありませんが、2014 年度~2026 年度(平成 26 年度~平成 38 年度)や 2046 年度~2051 年度
(平成 58 年度~平成 63 年度)など集中する時期がありますので、全庁的な観点からの計画性をもっ
て、公共施設更新問題に取り組んでいくことが必要です。
図 1-9 公共施設の更新費用試算(普通会計建物+その他施設)
22.9万㎡
現在までのストック : 22.9万㎡
1,569.6億円
40年間の更新費用総額
40年間の更新費用総額 : 1,569.6億円
年更新費用試算額 : 39.2億円
39.2億円
32.6億円
億円
公共施設投資的経費 既存更新分及び新規整備分直近
既存更新分及び新規整備分直近2
直近2箇年度平均 : 32.6
25.7億円
公共施設投資的経費 既存更新分直近
既存更新分直近2
直近2箇年度平均 : 25.7億円
(億円)
年更新費用試算額との比較 : 1.2倍
1.2倍
1.5倍
1.5倍
年更新費用試算額との比較 :
70.0
60.0
50.0
40.0
30.0
20.0
10.0
大規模改修
現時点で大規模改修時期到来資産の大規模改修
現時点で耐用年数到来資産の建替え
2053
2052
2051
2050
2049
2048
2047
2046
2045
2044
2043
2042
2041
2040
2039
2038
2037
2036
2035
2034
2033
2032
2031
2030
2029
2028
2027
2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
0.0
既存更新分+新規整備分(2箇年度平均)
既存更新分(2箇年度平均)
※2011、2012、2013年度投資的経費は平均から除外
建替え
既存更新分
新規整備分
現在本市が保有する普通会計の施設に、公営企業会計(病院会計、上水道会計、下水道会計) の施
設の更新費用を考慮に入れた場合、今後 40 年間の更新費用の総額は 1,569.5 億円で、試算期間にお
ける平均費用は年間 39.2 億円となります。
これは、普通会計の施設のみの更新を考えた場合の 38.7 億円と比べて 1.01 倍となります。
表 1-2 現時点で耐用年数到来資産の建替えの大分類別内訳
(単位:千円)
スポーツ・
市民文化系施設 社会教育系施設
レクリエーション系施設
産業系施設
学校教育系施設 子育て支援施設 保健・福祉施設
医療施設
行政系施設
公営住宅
その他
建替え
2,123,259
0
2,384,693
1,377,455
4,100,962
354,136
333,061
0
570,687
2,643,135
692,139
大規模改修
2,318,987
331,612
927,763
1,511,812
6,148,950
177,617
170,793
214,000
238,252
463,401
220,009
4,442,247
331,612
3,312,457
2,889,268
10,249,913
531,753
503,855
214,000
808,940
3,106,536
912,149
合計
表 1-3 現時点で耐用年数到来資産の建替えの地区別内訳
(単位:千円)
久慈地区
長内地区
宇部地区
山根地区
大川目地区
夏井地区
侍浜地区
山形地区
建替え
3,695,337
1,214,429
895,522
766,981
321,333
317,629
698,156
6,670,142
大規模改修
3,158,802
2,737,089
1,272,030
152,332
839,082
1,457,476
1,205,713
1,900,674
6,854,139
3,951,519
2,167,552
919,314
1,160,416
1,775,105
1,903,869
8,570,817
合計
16
(4) インフラ資産の将来の更新費用
図 1-10 インフラ資産の更新費用試算
40年間の更新費用総額
848.2億円
40年間の更新費用総額 : 848.2億円
1.1倍
倍
年更新費用試算額との比較 : 1.1
2.2倍
年更新費用試算額との比較 : 2.2倍
21.2億円
年更新費用試算額 : 21.2億円
公共施設投資的経費 既存更新分及び新規整備分直近
18.9億円
既存更新分及び新規整備分直近2
直近2箇年度平均 : 18.9億円
9.6億円
公共施設投資的経費 既存更新分直近
既存更新分直近2
直近2箇年度平均 : 9.6億円
(億円)
35.0
30.0
25.0
20.0
15.0
10.0
5.0
道路整備額
橋りょう整備額
下水道整備額
上水道整備額
既存更新分
新規整備分
2053
2052
2051
2050
2049
2048
2047
2046
2045
2044
2043
2042
2041
2040
2039
2038
2037
2036
2035
2034
2033
2032
2031
2030
2029
2028
2027
2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
0.0
既存更新分+新規整備分(2箇年度平均)
既存更新分(2箇年度平均)
※2011、2012、2013年度投資的経費は平均から除外
道路、橋梁、上下水道などのインフラ資産についても、建物と同様、耐用年数が来れば更新してい
かなければなりません。
インフラ資産についても、耐用年数経過後に、現在と同じ面積、延長等で更新したと仮定して試算
した結果、今後 40 年間の更新費用の総額は 848.2 億円で、試算期間における平均費用は年間 21.2
億円となります。過去 2 年間(平成 21 年度~22 年度)における投資的経費は、年平均約 18.9 億円
ですので、現状の 1.1 倍の費用がかかる試算となり、公共施設以上に財政的負担が大きいことが分か
ります。
既存の施設の更新にかけてきた金額は年平均 9.6 億円で過去 2 年間(平成 21 年度~22 年度)の既
存更新分と、これからかかる更新費用を比べた場合、今後 40 年間でこれまでの 2.2 倍程度の支出が
必要となります。
17
(5) 公共施設等の将来の更新費用
図 1-11 公共施設とインフラ資産の更新費用試算
40年間の更新費用総額
40年間の更新費用総額 : 2,417.8億円
2,417.8億円
60.4億円
年更新費用試算額 : 60.4億円
51.5億円
公共施設投資的経費 既存更新分及び新規整備分直近
既存更新分及び新規整備分直近2
直近2箇年度平均 : 51.5億円
35.3億円
公共施設投資的経費 既存更新分直近
既存更新分直近2
直近2箇年度平均 : 35.3億円
(億円)
年更新費用試算額との比較 : 1.1倍
1.1倍
1.7倍
年更新費用試算額との比較 : 1.7倍
90.0
80.0
70.0
60.0
50.0
40.0
30.0
20.0
10.0
道路整備額
橋りょう整備額
下水道整備額
公共施設整備額
上水道整備額
既存更新分
新規整備分
2053
2052
2051
2050
2049
2048
2047
2046
2045
2044
2043
2042
2041
2040
2039
2038
2037
2036
2035
2034
2033
2032
2031
2030
2029
2028
2027
2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
0.0
既存更新分+新規整備分(2箇年度平均)
既存更新分(2箇年度平均)
※2011、2012、2013年度投資的経費は平均から除外
現在本市が保有する公共施設(普通会計建物+その他施設)とインフラ資産の更新費用を加えた公共
施設等の今後 40 年間の更新費用の総額は 2,417.8 億円で、試算期間における平均費用は年間 60.4
億円となります。
これは、公共施設(普通会計建物+その他施設)のみの更新を考えた場合の 39.2 億円と比べて 1.54
倍となります。
震災前の期間である 2009 年度、2010 年度(平成 21 年度、22 年度)の平均の公共施設等にかけて
きた投資的経費は、年平均 51.5 億円ですので、現状の 1.1 倍の費用がかかる試算となります。
既存の施設等の更新にかけてきた金額は年平均 35.3 億円で、2009 年度、2010 年度(平成 21 年度、
22 年度)の平均の既存更新分と、これからかかる更新費用を比べた場合、今後 40 年間でこれまでの
1.7 倍程度の支出が必要となります。
全ての期間において公共施設に関する建替更新や大規模改修のためのコストが不足するというわ
けではありませんが、2014 年度~2026 年度(平成 26 年度~平成 38 年度)や 2046 年度~2050 年度
(平成 58 年度~平成 62 年度)など集中する時期がありますので、全庁的な観点からの計画性をもっ
て、公共施設更新問題に取り組んでいくことが必要です。
18
(6)歳入・歳出全体ベースでの財政推計
公共施設等総合管理計画の策定にあたり、公共施設等以外も含めた将来の歳入・歳出に関する財政
推計を行いました。
なお、この財政推計は、公共施設等総合管理計画の策定のために、今後の人口推計や扶助費の推移
などから試算した将来の歳入・歳出に、施設白書で把握された将来の公共施設等の更新を全て実施し
た場合に生じる歳入・歳出を加えた試算となっています。実際の市政運営にあたっては、更新を行う
公共施設等の検討や更新時期の見直しにより、以下の財政推計とは異なる結果となります。
図 1-12
歳入内訳推移
35,000,000
実績
30,000,000
シミュレーション
29,020,080
25,000,000
23,576,228
その他特定財源
21,032,732
単
位
20,181,460
20,000,000
都道府県支出金
20,405,833
19,812,044
19,557,723
18,450,365
千
円
国庫支出金
17,342,885
17,089,141
17,512,270
16,616,587
地方債
15,000,000
その他一般財源
地方交付税
10,000,000
地方税
実質的な歳出額
5,000,000
0
H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 H38 H39 H40 H41 H42 H43 H44 H45 H46 H47 H48 H49 H50 H51 H52 H53 H54 H55 H56
歳入については、近年は震災復興関係で財源が確保されている影響もあり歳入は高い水準となって
いますが、今後は震災復興関係財源分の減少のほか、人口減少や交付税の減額などにより、歳入は減
少していくことが見込まれます。
19
図 1-13
歳出内訳推移
35,000,000
実績
シミュレーション
30,000,000
27,669,267
投資的経費
25,009,666
25,000,000
積立金・投資・出資貸
付金等
単
位
20,790,358
20,515,729
20,259,265
20,565,229
20,000,00019,486,302
繰出金
19,419,018
19,025,719
17,442,848
千
円
補助費等
17,842,752
17,468,020
維持補修費
15,000,000
物件費
公債費
10,000,000
扶助費
人件費
5,000,000
実質的な歳入額
0
H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 H38 H39 H40 H41 H42 H43 H44 H45 H46 H47 H48 H49 H50 H51 H52 H53 H54 H55 H56
現状の公共施設等を全て更新する場合、歳出については、近年の震災復興関係による歳出と比較す
ると低い水準となることは見込まれるものの公共施設等の更新費用や扶助費の増加などの影響もあ
り、歳入と比較すると減少はしない見通しです。
図 1-14
公共施設投資の必要額と使用可能な金額の比較
更新費用追加
必要費用 =CCCD=CE+CH
14,000,000
12,000,000
災害復旧事業
費 (=BE)
10,000,000
単
位
普通建設事業
費(補助事業費
及び単独事業
費に限る)
(=BD)
8,000,000
千
円
維持補修費
(=BA)
6,000,000
4,000,000
施設等関連費
用に使用可能な
金額
=BA+BD+BE+
DB+DC
2,000,000
19% 28% 31% 27%
6%
3%
9% 12% 17% 31% 16% 9%
28% 34% 2% 11%
4%
13% 41% 41% 34%
2%
0
理想施設関連
投資水準からの
乖離額の割合
(BQ=BN/BA)
H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 H38 H39 H40 H41 H42 H43 H44 H45 H46 H47 H48 H49 H50 H51 H52 H53 H54 H55 H56
現状の公共施設等を全て更新する場合、公共施設投資の必要額と使用可能な財源額を比較すると、
年度によっては使用可能な財源が上回る年度があるものの、全体としては公共施設投資の必要額と比
較して使用可能な財源額が不足している状況であることが分かります。
20
第2章 公共施設等の総合的かつ計画的な管理に関する基本的な方針
1 計画期間について
計画期間は、将来の人口や財政の見通し等をもとに長期的な視点に基づき検討する趣旨から、長期
の期間とすることとする必要があるため、以下のとおりの期間に設定しました。
(計画期間)
2015 年度から 2044 年度(30 年間)
2 全庁的な取組体制の構築及び情報管理・共有方策
公共施設に関する情報は、公共施設マネジメントシステムを導入し、公会計管理台帳などとあわせ
て財産管理を所管する部署で一元的に管理する体制とします。公共施設の利用状況などは、各施設所
管課により適時にシステム入力を行い、公共施設の現状をいつでも把握できる状態とします。
公共施設等に関する基本計画として位置づけられる公共施設等総合管理計画に沿って、より具体的
な個別施設計画を策定するにあたっては、全庁的な体制での検討を行っていきます。
21
3 現状や課題に関する基本認識
(1) 人口減少および少子高齢化による公共施設に対する市民ニーズの変化
久慈市の人口は、昭和 55 年に 43,683 人を記録して以降、減少が続き、平成 22 年時点では 36,872
人まで減少しています。今後もこの傾向は継続することが考えられ、平成 52 年には 24,391 人まで減
少すると推計されています。これと同時に、年少人口、生産年齢人口の減少および老年人口の増加に
より、少子高齢化が見込まれます。
これらに伴う世代構成の変化により、子育て支援施設や学校教育系施設では余剰が発生し、高齢者
を対象とした保健・福祉施設の需要が高まるなど、公共施設へのニーズが変化することが予想されま
す。また、地区外への人口流出のみならず、地区内でも市街地に人口が集中することも予想され、地
区によって人口の増減や年齢構成等の推移も異なることが見込まれます。このような状況変化に合わ
せた、施設規模の見直し、既存公共施設の活用や整備を通じ、市民ニーズに適切に対応する必要があ
ります。
(2) 公共施設の老朽化
本市の公共施設の整備状況を建築年度別に延床面積でみると、昭和 40 年代後半から行政系施設や
学校教育系施設が集中的に整備され、その多くが今後 20 年の間に耐用年数を迎えることとなり、老
朽化や耐震化の問題に直面しています。旧耐震基準が適用されていた時期である昭和 56 年度以前に
整備されたものは 35%にのぼり、安心・安全の観点から課題がある公共施設や老朽化が深刻な状況
にある公共施設が多くあることが分かります。老朽化施設については、必要性の精査も行ったうえで、
今後のあり方を検討していく必要があります。
(3) 公共施設の更新時期の集中およびその他施設やインフラ資産の更新
現在本市が保有する普通会計の施設を、耐用年数経過後に同じ規模(延床面積)で更新したと仮定
した場合、今後 40 年間の更新費用の総額は 1535.8 億円で、試算期間における平均費用は年間 38.3
億円となります。
過去2年間
(平成 21 年度~22 年度)
における既存の公共施設の更新にかけてきた金額は年平均 25.7
億円であり、過去2年間(平成 21 年度~22 年度)の既存更新分の年平均額と、これからかかる年更
新費用試算額を比べた場合、今後 40 年間でこれまでの 1.4 倍程度の支出が必要となります。特に今
後 20 年の間に大規模改修や建替えが集中しており、過去 2 年間(平成 21 年度~22 年度)の既存更
新分以上の費用が毎年必要となります。また、平成 60 年頃にも多額の更新費用が見込まれます。加
えて、普通会計建物以外のその他施設やインフラ資産についても更新が必要となるため、それらを加
味した上で、整備金額が集中する“負担の山”を考慮に入れながら検討していくことが必要です。
(4) 合併に伴う公共施設の重複および分散配置
本市は、平成 18 年3月に旧久慈市と旧山形村が合併して発足しています。旧久慈市と旧山形村で
は、機能が重複している施設も多くあるため、今後の公共施設へのニーズに対応した施設を残してい
くことが必要です。
22
また、旧久慈市は、昭和 29 年 11 月に2町5村が合併して発足しています。現存する本市の公共施
設について、旧山形村を含めた8町村が各々、住民福祉の向上と地域振興のために建設した施設等を
引き継いでいるものもあります。そのような施設で、機能が重複しているものや地理的に集中してい
るものについては、重複の解消や分散配置などを考えていく必要があります。
これらを踏まえ、公共施設の重複や分散配置を課題として認識し、今後の検討を行っていくことが
必要です。
(5) 公共施設にかけられる財源の限界
本市は、平成 23 年3月に発生した東日本大震災で被災しており、平成 25 年度では、平成 22 年度
に比べて約 1.5 倍の財政規模となっています。しかし、本市では、財政規模は平成 32 年頃には震災
前の水準に戻ると考えており、現在よりも公共施設にかけられる費用は縮小していくことが予想され
ます。
また、合併算定替による普通交付税の金額は、平成 28 年度から5年間の経過措置を経て減少する
ことが見込まれます。
これ以外にも、生産年齢人口の減少等に伴って市税収入の減少が見込まれ、扶助費等の歳出は増加
することが見込まれます。整備された公共施設等の機能を適切に保つためには、維持管理や運営に係
る経常的な費用も毎年度必要となります。さらに、大規模修繕なども必要となります。
このように、公共施設の整備更新や維持管理に支出できる財源には限界があることを前提に、公共
施設のあり方を検討する必要があります。
23
4 公共施設等の管理に関する基本的な考え方
(1)点検・診断等の実施方針
・現状行っている定期点検を引き続き適切に行っていきます。
・公共施設マネジメントシステムで点検・診断等の実施結果を蓄積することで、点検・診断等の
状況を全庁的に適時に把握していきます。
・施設間における保全の優先度の判断を行うにあたっては、劣化診断等を実施するなどにより、
経年による劣化状況、外的負荷(気候天候、使用特性等)による性能低下状況および管理状況
を把握し、予防保全的な観点からの検討を行います。
(2)維持管理・修繕・更新等の実施方針
・施設の重要度や劣化状況に応じて長期的な視点で優先度をつけて、計画的に改修・更新します。
・地域に対する公共施設の譲渡や地区団体への指定管理委託を進めるなど、市民主体の維持管理
を進めていきます。
・維持管理を行っていくための財源を捻出するため、受益者負担の見直しを行っていきます。
・公共施設マネジメントシステムで、維持管理や修繕に関する情報を蓄積していくことで、維持
管理上の課題を適時に把握するとともに、今後の修繕に関する計画を立てるのに役立てます。
・今後も維持していく公共施設については、中長期的修繕計画を策定することを検討します。
・管理運営にあたっては、PPP4/PFI5の積極的な活用を推進します。
・市民ニーズの変化に柔軟に対応していくことを可能とするため、用途変更をしやすい施設設計
を行うなどの工夫をしていきます。
・新しい技術や考え方を積極的に取り入れ、維持管理・修繕・更新等を合理的に進めていきます。
(3)安全確保の実施方針
・点検・診断等により高度の危険性が認められた公共施設等について、ソフト・ハードの両面か
ら安全を確保します。
・安全の確保にあたっては、災害拠点かどうか、多数の市民の利用がある施設であるかどうかな
どの視点から、対応の優先度を検討します。
・今後維持していくことが難しい施設については、市民の安全確保の観点から、早期での供用廃
止といった措置を適切にとっていきます。
(4)耐震化の実施方針
・災害拠点かどうか、多数の市民の利用がある施設かどうかなどの視点から、耐震化の優先順位
を検討します。
4
Public Private Partnership の略。公共サービスの提供に民間が参画する手法を幅広く捉えた概念で、民間資本や民間のノウ
ハウを利用し、効率化や公共サービスの向上を目指すもの
5
Public Finance Initiative の略。公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用する
ことで、効率化やサービス向上を図る公共事業の手法をいう
24
・建築から 50 年以上経過した建物で耐震化が完了していないものもありますので、耐震化の検討
を進めていきます。
・道路、橋梁、上下水道をはじめとするインフラについても耐震化の検討を進めていきます。
(5)長寿命化の実施方針
・地区ごとに公共施設の耐用年数到来年度を把握し、公共施設の更新の対応時期を把握します。
・市民とともに、大切に公共施設を取り扱っていくことで、少しでも長く公共施設を利活用して
いけるようにしていきます。
・個別施設のインフラ長寿命化計画の策定を進めていきます。
(6)統合や廃止の推進方針
・公共施設等の将来の更新費用の試算結果として、そのための財源が明らかに不足していること
が明確となりました。公共施設の総量縮減だけで、その財政的な対応をすることはできません
が、可能な限りの公共施設の縮減を進めていく必要があるということが明らかです。
・統合や廃止による総量縮減の目標は、施設類型ごとの管理に関する基本的な方針や財政推計及
び震災前直近2年間の更新費用実績額と今後見込まれる更新費用試算額との比較等の観点か
ら、40%に設定します。
・公共施設の見直しにあたって、総量縮減は財源確保の一つの手段であると捉え、単純な面積縮
減とすることなく、既存の公共施設の状態に囚われない、行政サービスとして必要な水準や機
能などを意識して検討を行っていきます。
・当該サービスが公共施設等を維持しなければ提供不可能なものであるか、民間に代替できない
かなど、公共施設等とサービスの関係について十分に留意していきます。
・少子高齢化や人口減少などの人口動態の変化に対応した公共施設の再編を進めます。
・地区ごとの人口動態や市民ニーズを踏まえた再編を進めます。
・合併前の旧久慈市と旧山形村が住民福祉の向上と地域振興のために建設した施設等を引き継い
でいることから、機能が重複した施設を多く保有していますので、公共施設の類型ごとに必要
な公共施設の総量を見直し、機能の重複を解消していきます。
・公共施設の多機能集約化(1つの公共施設に複数の機能を盛り込み、スペース効率の改善と機
能間の連携性を高める取り組み)の取り組みを進めていきます。
・近隣市町村との広域連携を一層進めていき、広域の観点から必要な公共施設等の保有量を検討
していきます。
・インフラについても、必要性を十分に精査を行い、将来コストを見据えた保有量に抑えます。
(7)総合的かつ計画的な管理を実現するための体制の構築方針
・公共施設マネジメントシステムの運用を開始し、公共施設等に関する情報を全庁的に一元管理
していきます。
・公共施設マネジメントシステムは、公会計管理台帳とも連携させ、地方公会計制度の財務諸表
や財産に関する調書とも整合性を図ることで、一貫した資産データに基づくマネジメントを
25
進めていきます。
・職員一人ひとりが、経営的視点を持って、全体の最適化を意識した公共施設マネジメントの視
点を持つため、研修会等を実施していきます。
・本市では、これまでも、民間活力の活用を意図した指定管理者制度の積極的な導入を進めてき
ましたが、検証を行い、市民サービスの向上に努めるとともに、導入していない施設について
は同制度の導入について検討を進めていきます。
26
第3章 施設類型ごとの管理に関する基本的な方針
1 集会施設
(1)現状や課題に関する基本認識
公民館は、概ね各地区毎に設置し、市民活動の拠点として位置づけられている施設です。
昭和 50 年代に建築したものなど、老朽化が進行している施設も多くみられます。年間利用者数で
は、中央公民館枝成沢分館、中央公民館久慈湊分館、山根公民館の利用者が少ない状況です。利用者
数とフルコストの関係では、山形公民館、山根公民館などが、利用者数に比してフルコストが高くな
っています。
今後の更新を検討するにあたっては、利用者数を適切に踏まえた規模とすることなどを検討する必
要があります。また、市民活動の拠点とする観点からは、他の施設が有している機能を集約するなど
の検討が必要です。
運営は、全て本市の直営で行われています。
その他集会施設は、その多くが昭和 50 年代に建築したものです。
大川目農村総合センターなど、公民館との複合施設となっており、公民館と一体的に運営されてい
る施設もあります。その他の単独の施設については、利用度が低い施設が多くみられます。公民館と
もあわせて、各地区で必要な集会機能の精査が必要である状況となっています。
(2)管理に関する基本的な考え方
集会施設は、各地区における市民活動の拠点として位置づけ、必要な集会機能を確保していきます。
地区別に必要な集会機能については、利用者数や地区の実情などを考慮して見直しを行っていきます。
老朽化した施設の建替更新などの検討にあたっては、他の施設類型の集会機能を含めて集約化を進め
ることや他の機能との複合化を検討していくことで、スペースを有効活用していきます。
運営にあたっては、地域コミュニティの核としての機能を持てるようコミュニティセンター化への
移行、地域団体に対する指定管理の推進なども検討していきます。
2 文化施設
(1)現状や課題に関する基本認識
市民文化センターは、久慈地区に文化会館(アンバーホール)、山形地区に山村文化交流センター(お
らほーる)をともに 1998 年(平成 10 年)頃に建築しています。合併前の旧行政区ごとに、ホールを
有している状況となっていますが、利用状況については大幅な差がある状況となっています。
両施設とも直営で運営していますが、フルコストが、文化会館(アンバーホール)が年間 274,018
千円、山村文化交流センター(おらほーる)が年間 43,084 千円、2施設合計で年間 317,103 千円と多
額であり、その一方で一定程度の収入も見込める性質の施設であることを踏まえ、運営方法の見直し
等を検討していくことが必要となっています。
(2)管理に関する基本的な考え方
27
市民文化センターは、それぞれの施設の利用度が大幅に異なる状況であることを考慮し、今後のあ
り方を検討していきます。また、指定管理者制度の導入など、民間活力をいかした運営手法を検討し
ていきます。
その他文化施設は、文化財保管機能を他の施設で担うことができないかを検討したうえで、老朽化
により安全性が保たれなくなったときの対応を検討していきます。
3 図書館
(1)現状や課題に関する基本認識
図書館は、久慈地区と山形地区に2施設設置しており、久慈地区の図書館は 1981 年度(昭和 56
年度)に建築し、老朽化が進んでいます。山形地区の山形図書館は、山村文化交流センター(おらほ
ーる)と複合化されており、利用者の利便性を高めるとともに、効率化が図られています。
今後はより多くの市民に利用してもらうため、移動図書館車や他の公共施設における図書の配置な
どとあわせて、適正な図書館機能のあり方を検討していくことが求められます。
なお、久慈地区の図書館については、集客性や利便性向上のため、中心市街地への移転を計画して
います。
(2)管理に関する基本的な考え方
図書館は、市内に設置している図書館のほかに移動図書館車を運行していますが、他の公共施設に
おける図書の取り扱いなども含め、各図書館の今後のあり方について、指定管理者制度の導入など、
民間活力をいかした運営手法を検討していきます。
4 博物館等
(1)現状や課題に関する基本認識
博物館は、久慈地区に三船十段記念館があります。この施設には、名誉市民・三船久蔵十段の遺品
や書道作品等が展示され、資料館の隣には柔道場も併設されています。
貴重な収蔵物を今後とも管理することは重要であり、利用者増によるコストの低減を実現するため、
運営上の創意工夫が求められます。
(2)管理に関する基本的な考え方
三船十段記念館は、柔道のまちづくりを推進する本市にとって今後も大切にしていくべきものであ
りますが、本市として相応のコスト負担が生じている状況を踏まえ、展示内容の複合化や指定管理者
制への移行も考慮に入れながら、入館者数の増加策を検討していきます。建物の更新にあたっては、
機能を他の施設に集約することなども視野に入れ、慎重に検討を行っていきます。
28
5 スポーツ施設
(1)現状や課題に関する基本認識
体育館については、市内に6施設を設置しており、久慈地区、山根地区、侍浜地区に併せて4施設、
山形地区に2施設あります。
久慈地区以外の体育館は 1985 年(昭和 60 年)前後に建築したものであり、今後、老朽化対策も視
野に入れていく必要があります。また、久慈地区の市民体育館は、延床面積、年間利用者数、年間フ
ルコスト等において、本市の体育館全体の過半数を占めており、同地区の第二体育館や他の地区の体
育館についても、今後の建替えなどに合わせ、規模や利用状況等を勘案して提供するサービスを検討
していくことが必要です。
利用者数が極めて少ない施設については、利用者が特定の住民に集中している傾向にあります。
プールについて、本市は8施設を有しており、他の類似団体や近隣団体と比較しても高い水準にあ
りますが、プールのある小中学校が少ないことから、ほとんどのプールが学校の教育活動にも使用さ
れております。昭和 40 年から昭和 50 年代に建築したものや学校に併設されているものもあります。
また、利用者数は屋内温水プールとその他のプールとで差があり、夏場にしか利用出来ないプール
については、今後のあり方を考えていくことが必要です。
その他スポーツ施設については、野球場、総合運動場、屋内ゲートボール場の3施設あり、野球や
ゲートボールなど専門性の高いスポーツの活動拠点となっている施設もあります。
専門的な施設については、近隣自治体を含めた広域的な視野で検討する必要があります。
(2)管理に関する基本的な考え方
体育館やプールなど地域の住民が利用する施設については、利用状況などを考慮して今後の更新を
検討していきます。特に、著しく利用者数の少ない施設や利用者に偏りがある施設については優先的
に見直しを検討していきます。プールについては、学校プールの配置や他自治体との保有量の比較結
果などを踏まえて検討していきます。
また、広域利用が可能な施設については、本市だけではなく周辺市町村との共同利用など、広域的
な観点での配置を検討していきます。
6 レクリエーション・観光施設の状況
(1)現状や課題に関する基本認識
レクリエーション・観光施設は、本市に7施設を設置していますが、そのうち4施設は山形地区に
あります。観光交流センターは、利用者数に比べフルコストが高くなっています。こうした状況を踏
まえ、本市全体の観光戦略の観点からの検討が必要となっています。
レクリエーション・観光施設の多くは指定管理者制度を導入しています。
(2)管理に関する基本的な考え方
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レクリエーション・観光施設は、合併前の旧久慈市・旧山形村のそれぞれの振興の観点から配置さ
れている現状にありますが、合併後の久慈市としての観光戦略などを踏まえより有効な配置を検討し
ていきます。また、PPP/PFI の導入可能性や民間移譲なども検討し、民間や地域を巻き込んだ本市の
活性化を実現する観点から施設のあり方を見直していきます。
7 産業系施設
(1)現状や課題に関する基本認識
労働会館・勤労会館については、久慈地区に2施設、長内地区に1施設を設置しています。
久慈職業訓練センターは既に耐用年数を経過しているものの、現在は国・県の職業訓練事業の会場
ともなっており、地域の職業訓練事業の中核を担っていることから、安全管理の面から早急にあり方
を検討する必要があります。
その他産業施設については、6施設を設置しています。
魚市場については、延床面積は産業系施設のほぼ半分に相当しますが、既に耐用年数が到来してい
るため、安全管理の面からも早急にあり方を検討する必要があります。
(2)管理に関する基本的な考え方
労働会館・勤労会館については、その機能を精査し、集会施設など他の施設類型の施設との集約な
どを検討していきます。久慈職業訓練センターは既に耐用年数を経過しているものの、現在は国・県
の職業訓練事業の会場ともなっており、地域の職業訓練事業の中核を担っていることから、安全管理
の面から早急にあり方を検討していきます。
その他産業施設については、市内産業のインフラとしての機能を果たしているものもあるため、市
内の産業などの動向も鑑み更新を検討していきます。
8 学校
(1)現状や課題に関する基本認識
小学校は、平成 20 年度から平成 26 年度までに8校を統合し、現在 15 校ですが、延床面積でみる
と近隣団体に比べて多い状況です。本市では「学校再編のための基本方針」を策定しており、方針に
沿って計画を進めています。
また、文部科学省が平成 27 年1月 27 日に公表した「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等
に関する手引~少子化に対応した活力ある学校づくりに向けて~」によれば、学級数が少ないことに
よる学校運営上の課題として、クラス替えができないことや遠足などの集団活動・行事の教育効果が
下がること、人間関係や相互の評価が固定化しやすいなどのデメリットが挙げられています。
しかし、学校は、地域コミュニティの核としての性格を有することから、地域の状況や特性を十分
に考慮する必要があります。
そのため、今後教育活動に支障を及ぼす可能性のある小学校については、保護者や地域住民との協
議を重ね、スクールバス等による通学手段の確保やICT等を活用した授業のあり方と統廃合をセッ
30
トに考えた検討が必要となります。
また、今後、約 15 年の間に多くの小学校で耐用年数が到来することが見込まれており、今後の方
針を検討していく必要があります。
中学校は、平成 20 年度から平成 26 年度までに2校統合し、現在8校ですが、延床面積でみると近
隣団体に比べて多い状況です。本市では「学校再編のための基本方針」を策定しており、方針に沿っ
て計画を進めています。
また、文部科学省が平成 27 年 1 月 27 日に公表した「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等
に関する手引~少子化に対応した活力ある学校づくりに向けて~」によれば、学級数が少ないことに
よる学校運営上の課題として、クラス替えができないことや部活動の種類が限定されること、体験学
習などの集団活動・行事の教育効果が下がること、人間関係や相互の評価が固定化しやすいなどのデ
メリットが挙げられています。特に、部活動は希望する部活動が無いなどの制約のほか、合同チーム
になった場合の保護者の負担が増えるという課題もあります。さらに、複式学級となる場合には、免
許外指導の教科が生まれる可能性があることなどの課題も挙げられています。
そのため、今後教育活動に支障を及ぼす可能性のある中学校については、スクールバス等による通
学手段の確保と統廃合をセットにして進めるなどの検討が必要となります。
また、今後、約 15 年の間に多くの中学校で耐用年数が到来することが見込まれており、今後の方
針を検討していく必要があります。
(2)管理に関する基本的な考え方
小学校・中学校については、文部科学省が平成 27 年1月 27 日に公表した「公立小学校・中学校の
適正規模・適正配置等に関する手引~少子化に対応した活力ある学校づくりに向けて~」を参考に、
本市で策定した「学校再編のための基本方針」に適宜修正を加えながら、適正規模を下回る学校につ
いては、保護者や地域住民との協議を重ね、スクールバス等による通学手段の確保やICT等を活用
した授業のあり方を検討の上、統廃合を含めた検討を行います。
学校は、児童・生徒が日常的に使用する施設であるため、すでに耐用年数が到来している学校につ
いては、早急にあり方を検討していきます。
また、学校は、公共施設の中でも大規模な施設であり、地区の中核的な施設であることに鑑み、更
新を行う際には周辺の公共施設の機能の複合化を図るなどの検討を行います。
9 その他教育施設
(1)現状や課題に関する基本認識
給食センターは、長内地区に学校給食センター、山形地区に山形地区学校給食センターを設置して
います。
本市の面積規模を考えると、所定の時間までに小中学校へ給食を届けるためには、2つの拠点は必
要となりますが、小中学校の再編とあわせて、今後の給食センターのあり方を考えていく必要があり
ます。
31
(2)管理に関する基本的な考え方
小中学校へ給食を適時に届ける観点から、給食機能を維持していきます。
10 幼保・こども園
(1)現状や課題に関する基本認識
現在運営中の保育所は、市内に8箇所あり、他の類似団体や近隣団体と比べると多く、そのうち、
5箇所は山形地区に設置しています。
園児数とフルコストの関係では、園児数に比してフルコストが高くなっている施設もあり、コスト
面での運営方法等の見直しを検討していく必要もあります。
また、へき地保育所や児童館は、久慈地区に1箇所、山形地区に5箇所ありますが、各施設ともに
入所児童数が減少していることから、集団保育のニーズ等を踏まえながら、施設運営のあり方の検討
が必要な状況となっています。
(2)管理に関する基本的な考え方
保育所は、半数以上が耐用年到来年度を迎えていますが、乳幼児が日常的に使用する施設であるこ
とも考慮し、耐震性や安全確保について早急にあり方を検討します。
また、保育所の運営コスト面や集団保育のニーズなどを踏まえながら、今後の各公立保育所の施設
運営のあり方や施設の供給量の検討を行っていきます。
11 幼児・児童施設
(1)現状や課題に関する基本認識
学童保育所・子育て支援センターは市内に6施設あり、公設の学童保育所は5施設、子育て支援セ
ンターは1施設あります。
利用者数に比してコストが特別大きい施設はありませんが、今後も引き続き運営方法を検討してい
く必要があります。
また、多くの施設はここ 10 年内に建築した施設ですが、計画的に点検や改修等を行いながら、今
後のあり方について検討していく必要があります。
(2)管理に関する基本的な考え方
学童保育所の多くの施設がここ 10 年内に建築したものですが、小学校の敷地内又は近隣に設置し
ている施設であることから、小学校の施設管理や施設整備とも整合性を諮りながら、今後の学童保育
所の運営・管理のあり方を検討します。
12 高齢福祉施設
(1)現状や課題に関する基本認識
32
デイサービスセンターは、指定管理者制度を導入し、指定管理料0円で運営している施設も多く、
本市のコスト負担は抑えられ、また、地区や延床面積、利用者数についても特定の施設に大きな偏り
はありません。しかしながら、今後の建替え更新にあたっては、本市の負担は大きなものとなること
が見込まれます。介護保険制度の成立から期間も経過し、民間事業者も育ってきている社会環境を踏
まえ、今後の施設の更新については検討していく必要があります。
その他高齢福祉施設は、指定管理者制度を導入し、指定管理料0円で運営している施設もあり、本
市のコスト負担は抑えられています。しかしながら、減価償却費が年間で 24,761 千円かかっている
ことからも分かるように、今後の建替え更新にあたっては、本市の負担は大きなものとなることが見
込まれます。介護保険制度の成立から期間も経過し、民間事業者も育ってきている社会環境を踏まえ、
今後の施設の更新については検討していく必要があります。
利用者数とフルコストの関係では、山形老人福祉センターは、利用者数に比してフルコストが高く
なっており、コスト面での運営方法等の見直しが必要なことも考えられます。
(2)管理に関する基本的な考え方
高齢福祉施設は、高齢化に伴い、需要の増加が見込まれますが、2042(平成 54)年以降は高齢者人
口が減少に転じると推計されていることも踏まえながら、民間事業者の動向を見据え、行政として維
持することの必要性を検討していきます。
13 その他社会保健施設
(1)現状や課題に関する基本認識
その他社会保健施設は、元気の泉、福祉の村の2施設で、いずれも久慈地区にあります。
年間利用者1人当たりのフルコストは、
福祉の村が 3,663 円/人であるのに対し、元気の泉が 23,444
円/人と差がある状況となっています。
(2)管理に関する基本的な考え方
その他社会保健施設については、現在ある必要な機能の維持を検討するとともに、指定管理者制度
の導入や民間移譲等、コスト面での運営方法についても検討します。
14 医療施設
(1)現状や課題に関する基本認識
診療所は、山形地区に国民健康保険山形診療所があります。この施設の年間ネットコスト収支差
額は 99,518 千円であり、これが市の負担となっています。利用者 1 人当たりのネットコスト収支
差額は約 9,700 円となっています。
市内には県立久慈病院や民間の医療機関などがあります。
(2)管理に関する基本的な考え方
33
施設の利用状況を勘案し、広域的な利用を踏まえて、地域包括ケアの考え方を取り入れながら、施
設としての必要性について継続的に検討をします。
15 庁舎等
(1)現状や課題に関する基本認識
庁舎は久慈市役所のみです。
久慈市役所は、昭和 49 年に建築し、平成 36 年には耐用年数が到来します。庁舎の建替えも見据え
た検討が必要な時期が近づいてきており、庁舎のあり方の検討を進める必要があります。
支所は、宇部支所、山根支所、侍浜支所、山形総合支所・山形総合センターを各々の地区に設置し
ています。山形総合支所・山形総合センター以外は複合化されており、山根支所は既に耐用年数が到
来しています。
各地区に行政窓口の機能は必要と考えられますが、サービス水準を検討したり、さらに他の施設と
複合化したりするなども考えられるため、行政センターのみならず周辺の施設の建替えの時期などを
踏まえて検討していく必要があります。
その他庁舎等は、久慈地区に消費生活センターがあります。
平成 22 年度に建築された施設であり、耐用年数到来年度は 30 年以上先ですが、計画的に点検や改
修等を行いながら、今後のあり方について検討していく必要があります。
(2)管理に関する基本的な考え方
庁舎は、平成 36 年に耐用年数が到来するため、防災時の拠点となることなどを踏まえ、耐震性や
安全確保の観点を重視しつつ、建替えについて検討します。その他庁舎等は、庁舎と隣接した施設で
あることから、庁舎のあり方とあわせて検討を行います。
また、庁舎の更新とあわせ、支所について、公民館など他の施設に機能の移管も含めた検討を行い
ます。
16 消防施設
(1)現状や課題に関する基本認識
消防署は、長内地区、山形地区に1施設ずつ設置しています。
2 施設とも耐用年数到来年度は 30 年以上先ですが、計画的に点検や改修等を行うとともに、消防
施設は市民の安全に不可欠な施設であるため、消防能力を維持しながら、可能なコスト削減策を検討
していきます。
屯所は市内に 8 施設あり、そのうち 7 施設は山形地区にあります。
コストはどの施設も大きな差はありませが、フルコストでみた場合、減価償却費がかかっている施
設とかかっていない施設とで差があります。いずれの施設も平成 4 年度以降に建築したものですが、
計画的に点検や改修等を行うとともに、消防施設は市民の安全に不可欠な施設であるため、消防能力
を維持しながら、可能なコスト削減策を検討していきます。
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地区防災センターは、市内に 5 施設あり、そのうち 4 施設が平成 25 年度以降に建築しています。
施設整備年度であり維持管理費、事業運営費は 0 円の施設が多いですが、今後指定管理を予定してお
りコストが生じることとなります。また、減価償却費がかかっており、建替え更新を行う場合にはコ
スト負担を負うことになるため、計画的に今後のあり方を検討していくことが必要です。
その他消防施設は、久慈地区に消防防災資機材倉庫、田屋水防倉庫を建築しています。
2 施設ともコストは 0 円ですが、消防防災資機材倉庫は減価償却費がかかっており、建替え更新を
行う場合にはコスト負担を負うことになるため、計画的に今後のあり方を検討していくことが必要で
す。また、田屋水防倉庫は既に耐用年数が到来しており、安全管理の面からも早急にあり方を検討す
る必要があります。
(2)管理に関する基本的な考え方
消防施設は、消防能力を維持していく観点から、計画的に点検や改修等を行い、老朽化対策を進め
ていきます。また、コストがかかっている施設は多くありませんが、建替え更新を行う際にはコスト
負担を負うことになるため、計画的な更新を進めていきます。
17 公営住宅
(1)現状や課題に関する基本認識
公営住宅は、市の各地区に広がっていますが、すでに耐用年数を迎えた施設も多くあります。今後
老朽化が進んでいくなか、建替え更新のための負担を踏まえ、公営住宅の総量や PPP/PFI 導入など他
の手段への転換の検討などが求められます。
また、小規模な公営住宅も多いことから、日々の管理の観点も踏まえ、更新にあたっては、比較的
大規模な施設に集約するなどの対策が必要な状況となっています。
その他公営住宅のほとんどが教員住宅ですが、教員住宅については、特に山形地区の施設数が半数
以上を占めており、廃校となった学校の教員住宅も残されています。また、既に耐用年数が到来して
いる施設も多くあり、今後、施設の集約等も含め、あり方を検討する必要があります。
(2)管理に関する基本的な考え方
人口の減少見通しも踏まえ、老朽化が進んでいる住宅の更新を慎重に検討していく、また教員住宅
については、近年の道路整備や冬季間の除雪の充実により、交通アクセスは大きく改善され、通勤圏
が拡大している状況を踏まえながらあり方を検討していくなど、総量の適正化を進めていきます。
18 その他
(1)現状や課題に関する基本認識
駐車場・駐輪場は、久慈地区に駅東口前自転車専用駐車場があります。
年間利用者数は 132,192 人であり、年間利用者1人当たりフルコストは8円/人です。ただし、今
後老朽化が進んでいくなか、建替え更新のための負担は課題となります。
35
なお、本計画において対象としている駐車場・駐輪場は、建屋があり、かつその建屋が 50 ㎡以上
の場合のみであり、市内のすべての駐車場・駐輪場を対象としているわけではありません。
普通財産は6施設あります。
延床面積は合計 4,486 ㎡であり、年間のフルコストは 24,255 千円かかっています。これらの施設
については、積極的に利活用を進めています。
仮設施設は、東日本大震災で被災した事業者の産業復興のために整備された施設です。施設譲渡制
限期限日経過後は、入居者に無償譲渡していくこととしています。
(2)管理に関する基本的な考え方
駐車場、駐輪場については、交通政策の検討のなかでその必要性を検討します。普通財産について
は、利活用を推進するほか、状況によって売却や除却も検討していきます。仮設施設については、段
階的に解消していきます。
19 公営企業の公共施設
(1)現状や課題に関する基本認識
各公営企業の運営にあたって必要な公共施設を保有しています。
(2)管理に関する基本的な考え方
各公営企業が供給するインフラ(上下水管路など)の供給量の検討とあわせて、公共施設の保有量
も検討していきます。
20 道路
(1)現状や課題に関する基本認識
山間地域を多く抱える本市において、道路は重要な生活インフラを兼ねています。道路の老朽化が
交通の安全性に関わる原因となる可能性もあり、パトロールや定期的な点検、適切な維持管理を行っ
ていく必要があります。
しかしながら、今後の維持管理等に伴う負担は重くなることが見込まれるため、交通量等も含めて
今後の整備を検討する必要があります。
(2)管理に関する基本的な考え方
今後も市道の整備は、本市の財政状況を踏まえ、緊急性や重要性等を勘案して整備を行っていくこ
ととします。また、既存の市道については、地域・沿道の利用状況等も踏まえて、維持・修繕や今後
の方針を検討します。
維持管理については、トータルコストの縮減を目指して、計画的かつ予防保全的な取り組みを行い、
道路利用者の安全確保等に努めてまいります。
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21 橋りょう
(1)現状や課題に関する基本認識
本市は橋りょうを 319 橋有し、今後急速に老朽化が進展する見通しであり、更新に伴う負担は重
くなることが見込まれるため、平成 23 年3月に策定した「橋梁長寿命化修繕計画」に基づき、計画
的かつ適切な維持管理に努める必要があります。
(2)管理に関する基本的な考え方
橋りょうについては、5年に1回の頻度で近接目視による点検を行い、健全性を評価し、緊急性や
重要性等を勘案して、本市の財政状況を踏まえ、
「橋梁長寿命化修繕計画」に基づき、計画的かつ予
防保全的な取り組みを行い、橋りょうの長寿命化を図るとともに、道路利用者の安全確保等に努めて
まいります。
22 上水道
(1)現状や課題に関する基本認識
本市は水道施設を多数有しておりますが、これまで整備した施設の多くは老朽化が進行しており、
今後、大規模更新・再構築の時期を迎えることになります。
(2)管理に関する基本的な考え方
水道は市民生活に直結する重要なインフラであり、水道水の安定的な供給を図るべく、アセットマ
ネジメントを実践し、適切な施設管理を行います。また、施設の更新にあたっては、水需要の予測か
ら適正な規模・時期での更新とし、併せて施設の耐震化を図り、コストの縮減に努めます。
日々の管理については、トータルコストの縮減のため、定期的な施設の点検・修繕を実施し、水道
水の安定供給に努めます。
23 下水道
(1)現状や課題に関する基本認識
本市の下水道は、整備が必要な地区を多数有しており、今後の整備・更新に伴う負担は非常に重く
なることが見込まれます。そのため、整備の必要性を吟味し、可能な限りの長寿命化と負担の平準化
に取り組んでいくことが重要です。
(2)管理に関する基本的な考え方
下水道は市民生活に直結する重要なインフラであるため、管渠等施設の状態を健全に保つために、
定期的な点検・診断を実施します。また、予防保全型の長寿命化計画を策定し、適正な維持管理・修
繕・更新等を計画的に実施し、トータルコストの最小化に努めます。
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日々の管理については、トータルコストの縮減を目指して予防保全型の点検・診断等を行い、安全
確保にも努めます。
24 その他のインフラ
(1)現状や課題に関する基本認識
道路・橋りょう・上下水道のほかにも、漁港・公園(都市公園、農村公園、漁村公園)・汚水処理
施設等の多くのインフラを保有しています。これらについても、維持管理や更新などが必要となって
います。
(2)管理に関する基本的な考え方
インフラを適切に維持管理を行っていくため、定期的な点検・診断を実施します。また、災害に強
い施設整備を目指し、予防保全型の長寿命化計画を策定し、適正な維持管理・修繕・更新等を計画的
に実施し、トータルコストの最小化に努めます。
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第4章 フォローアップの実施方針
・公共施設等総合管理計画で示した「公共施設等の総合的かつ計画的な管理に関する基本的な方
針」や「施設類型ごとの管理に関する基本的な方針」に関する進捗状況について、評価を実施
していきます。
・進捗状況に関する評価の結果、その他状況の変化等があった場合には、公共施設等総合管理計
画を改定します。
・公共施設等総合管理計画を踏まえた個別施設計画などの策定にあたっては、議会や住民との協
議を重ねていきます。
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