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文部科学省の予算事業と今後の取組について

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文部科学省の予算事業と今後の取組について
資料2-1
文部科学省の予算事業と今後の取組について
(「先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム」の取組状況について)
平成22年7月28日
文部科学省高等教育局専門教育課
プログラムの経緯
平成18年度~
先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム開始
経団連との関わり
連携
「産学官連携による高度な情報通信人材の育成
強化に向けて」(平成17年6月 経団連)
高度IT人材育成拠点の形成
平成18年度~
世界最高水準のソフトウェア技術者育成拠点の形成
⇒ 6拠点
トップレベル層の高度IT人材は、年間1,500人の
輩出が必要
<筑波、東大、名古屋、大阪、九大、慶應>
平成19年度~
「重点支援校」を設定して、筑波大、九大に実務
家教員の派遣等の支援を開始(平成18年度~)
⇒ 2拠点
高度なセキュリティ人材育成拠点の形成
<奈良先端、情セ大>
産学・大学間の有機的な連携のもと、先進的な教材や実践的な教育手法等が輩出
<教育用スライド、ビデオ教材、PBL教材、教員用テキスト、インターンシップ事例 等>
平成20年度~
普及展開の
フェーズへ
~現状と課題~
・全8拠点で毎年度輩出される学生数は300人弱
・実践的な教育は産業界出身教員に依存する傾向が強く、FDによる
大学教員の教育力向上が急務
・教材の個別性や知財の問題等により、円滑な普及展開が課題
NII(国立情報学研究所)を中核に実施
~拠点における成果の効果的・効率的な普及展開等~
○教材の洗練(収集・改編・共同開発等) ○ポータルサイトの構築
○ガイドライン策定(著作権問題等対応) ○シンポジウムの開催等の広報活動
○教員等の教育力向上支援
○社会人向け教育プログラムの展開 等の事業を新たに実施
充実
平成21年度からは
(平成19年12月 経団連)
対応
拠点間教材等洗練事業
平成20年1月 NIIに先端ソフトウェア工学・国際研究センター(GRACE)を設置
平成20年6月 先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム・シンポジウム開催
ナショナルセンター構想
①実践的ICT教育に関する研究
②モデルカリキュラムの策定
③大学と企業のコーディネーション
④教育アセットの展開
⑤FD機能
⑥融合型専門職大学院の附設
の6機能を備えたナショナルセンターの
設立が不可欠
実現をバックアップ
総務省
「高度ICT人材育成に関する研究会報告書」
(平成20年5月)
IT戦略本部
「IT政策ロードマップ」(平成20年6月)
1
先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム<概要>
○大学間及び産学の壁を越えて結集し、教育内容・体制を強化することにより、専門的スキルを有するとともに、社会情勢の
変化等に先見性をもって対処できる世界最高水準のIT人材を育成するための取組を支援
○各拠点が開発した教材等の洗練(教材収集・他大学等の活用のための改編等)・ポータルサイトを通じた当該教材等の普及
などに各拠点が共同して取り組む「拠点間教材等洗練事業」を支援
○「拠点間教材等洗練事業」の一環として、各大学等が実践的なプロジェクト演習(PBL:プロジェクト・ベースド・
ラーニング)を遠隔で実施できる学習用クラウドコンピューティング基盤等を整備
高度IT人材育成拠点
8拠点:延べ36大学68企業
H18~21ソフトウェア6拠点(申請26件)
H19~22セキュリティ2拠点(申請10件)
対象:大学院修士課程
補助期間:4年
補助上限額:1億円程度
産業界
拠点大学院 連携大学
拠点
拠点
関係省庁・関係機関等
拠点
拠点
拠点間教材等洗練事業(H20~)
拠点
連携大学
拠点
拠点
・求められる人材像の明確化
・キャリア開発計画の提示
・能力の可視化
・実務家教員コーディネーション 等
拠点
連携・支援
他の大学等と連携し、産業界の
協力を得て実践的教育を実施
フィードバック
高度かつ実践的な教育を実施するために
○企業の一線で活躍する実務家教員の招へい
○先進的な教材・カリキュラムの開発
汎用性のある教材の提供等
成果の普及・展開
先導的ITスペシャリスト育成加速化ネットワーク構築事業(H21補正予算9.6億円)
拠点間教材等洗練事業(H21補助金額1.9億円)
○教材の洗練(収集・改編・共同開発等)
○ポータルサイトの構築・運営
○ガイドライン策定(著作権問題等対応)
○シンポジウムの開催等の広報活動
○教員等の教育力向上支援
○社会人向け教育プログラム展開
「拠点間教材等洗練事業」の中心的実施機関である国立情報学研究所に、実践的
なプロジェクト演習(PBL:プロジェクト・ベースド・ラーニング)を遠隔で実施できる学
習用クラウドコンピューティング環境基盤等を整備
2
ITSP各拠点の概要
社会的ITリスク軽減のための
情報セキュリティ技術者・管理者育成
<奈良先端科学技術大学院大学拠点>
◎奈良先端科学技術大学院大学、
京都大学、大阪大学、北陸先端科学技術大学院大学
高度IT人材育成のための
実践的ソフトウェア開発専修プログラム
<筑波大学拠点>
次世代情報化社会を牽引する
ICTアーキテクト育成プログラム
<九州大学拠点>
◎筑波大学、電気通信大学、東京理科大学
◎九州大学、九州工業大学、
熊本大学、宮崎大学、福岡大学
首都圏
情報理工実践プログラム
<東京大学拠点>
OJLによる最先端技術適応能力を持つ
IT人材育成拠点の形成
<名古屋大学拠点>
◎東京大学、東京工業大学、
国立情報学研究所
◎名古屋大学、南山大学、愛知県立大学、
静岡大学
高度なソフトウェア技術者育成と実プロジェクト教材
開発を実現する融合連携専攻の形成
<大阪大学拠点>
◎大阪大学、大阪工業大学、京都大学、高知工科大学、
神戸大学、奈良先端科学技術大学院大学、
兵庫県立大学、立命館大学、和歌山大学
先端ITスペシャリスト育成プログラム
<慶應義塾大学拠点>
◎慶應義塾大学、早稲田大学、中央大学、
情報セキュリティ大学院大学
研究と実務融合による
高度情報セキュリティ人材育成プログラム
<情報セキュリティ大学院大学拠点>
◎情報セキュリティ大学院大学、
中央大学、東京大学、国立情報学研究所
3
先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム<実績>
1.高度IT人材の育成
⇒ 連携大学も含め、延べ36大学が参画 → 平成20年度に229人、平成21年度に254人の学生が修了
-学生の就職企業例-
NTTデータ、NTTドコモ、KDDI、新日鐵ソリューションズ、
日立製作所、日本IBM、富士通、アクセンチュア 等
2.有機的な産学連携体制の構築
-連携企業例-
⇒ 延べ68企業・団体が本プログラムに参画
(実務家教員の派遣やインターンシップの受入等の協力を実施) NTTデータ、トヨタ自動車、NEC、
新日鐵ソリューションズ、日立製作所、日本IBM、
富士通、パナソニック、三菱電機 等
3.実践的な教育プログラムの構築
⇒ 各大学の修士課程において10~20単位程度の実践的な産学連携科目が構築
・実務家教員の参画により実現した、最先端技術を扱う専門講義体系
・チームを構成して企業の実問題を扱う「PBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)」科目
・企業におけるプロジェクトの一員として実務体験を行う、比較的長期のインターンシップ
など
4.教材の開発
⇒ 各教育拠点にて482の教材が開発(平成21年度末現在)
各拠点にて開発された教材を全国に展開するための配信システムが平成22年3月に完成
指導書、スライド、教材用のプログラム、ビデオコンテンツなどの公開教材206点を収集
4
5.卒業者に対して産業界から高い評価
⇒ ①「文部科学省の『先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム』では、産学連携を通じて産業界の期待する
高度IT人材の一期生が本年3月に巣立った」(「新IT戦略の策定に向けて」平成21年5月12日 日本経団連)
②受入れ企業の担当者へのアンケートにおいて「先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム」の修了生は、
一般の新入社員と比較して多くの点で優れていると評価
(「積極性・主体性」、「問題意識」、「実行力」、 「論理的思考力」、「ドキュメント作成力」等の約7割が優れていると評価)
【技術力】
【人間力】
実行力
10
忍耐力
10
問題意識
19
15
積極性・主体性
14
16
15
16
19
リーダーシップ力
6
チームワーク力
10
14
4
コミュニケーション力
0%
16
19
20%
40%
マネジメント力
10
計画力
01
10
10
18
17
7
12
23
9
プレゼンテーション力
12
13
10
17
60%
80%
00
10
10
100%
優れている
やや優れている
7
9
7
6
企画力
状況判断力
15
9
7
10
0
17
1
18
12
1
19
0
劣っている
やや優れている
同じ
同じ
やや劣っている
優れている
論理的思考力
17
プログラミング力
14
19
ドキュメント作成力
9
0%
10
16
20%
10
40%
5
13
60%
1
80%
0
やや劣っている
劣っている
2
100%
※「分からない」及び「未回答」を除く。
6.学生の能力向上
⇒ ①プログラムの教育効果を定量的測定
・日本経団連と連携し、学生向けスキル診断ツールを開発し、入学時、1年後、修了時
にスキル診断を実施(筑波大学)
・情報処理学会や米国IEEEにおけるソフトウェアエンジニアリングの知識体系を参考に、
年複数回の知識調査を実施(名古屋大学)
・(独)情報処理推進機構(経済産業省所管)が公表するスキルマップを踏まえたスキル
進捗テストを年複数回実施(奈良先端科学技術大学院大学) など
②米国シリコンバレーの企業・大学への武者修行(東京大学)
・マイクロソフト、サン・マイクロシステムズ、スタンフォード大学、カリフォルニア大学バー
クレー校などを訪問。
・「今後のソフト開発の進展が見たいので今後も連絡が欲しい。」など、企業から高い評価
・UC・バークレーでのセッションは時間を超過し、白熱した議論
・開発ソフトが張り合えることに学生達が自信を得る。
5
7.修了生アンケート
⇒ 他のカリキュラムと比較して「先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム」のカリキュラムは多くの点で優れて
いると評価
(「チームワーク力」、「コミュニケーション力」、「ドキュメント作成力」、「設計」、「要求」等の約8割が優れていると評価)
【人間力】
【技術力】
【ソフトウェア工学の知識】
8.大学院教育システム改革の進捗
⇒ 各拠点において、修了生に「ITSP」(ソフトウェア拠点)、「Security Specialist」
(セキュリティ拠点)のサーティフィケート(履修証明)を授与
例えば、九州大学では、平成21年度より、事業の成果を元に専攻の改組
(「情報知能工学専攻」)が行われた。
その他のソフトウェア拠点(5拠点)についても、コースを設けるなど補助期間
終了後も継続して実施。
6
9.中間評価
⇒ 事業実施3年目に、専門家や有識者により構成される委員会において書面評価及び現地調査を行い、合議
評価により中間評価を実施。ソフトウェア、セキュリティともに、おおむね成果が認められたとの評価。
・平成18年度採択(ソフトウェア)拠点:平成20年度に中間評価を実施(平成20年12月22日公表)。
・平成19年度採択(セキュリティ)拠点:平成21年度に中間評価を実施(平成22年3月30日公表)。
10.社会的な反響
⇒ 各拠点における取組などが新聞等に取り上げられるなど、社会的な注目度も高い
朝日新聞 2006年11月12日 朝刊
日経コンピュータ 2009.4.15号
7
「先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム」
平成22年度予算について
背景・課題
○ 我が国では、現在、IT分野における高度な専門性を有する人材の不足が大きな課題となっている。このような
重要分野における人材の脆弱性は、我が国の国際競争力に関わる深刻な問題であり、学会、産業界の双方
から、早急に効果的な人材育成・強化システムを構築する必要が指摘されている。
事業内容
【対 応】
○ 大学間及び産学の壁を越えて潜在力を結集し、教育内容・体制を強化することにより、専門的スキルを有する
とともに、社会情勢の変化等に先見性をもって対処できる世界最高水準のITスペシャリストを育成するため
の教育拠点の形成を支援する。
○ 各拠点における多様な教育プロジェクトの実施を通じて得られた教材等の成果を効果的・効率的に普及展開
する「拠点間教材等洗練事業」を実施し、高度IT人材育成方策を普及・展開する。
【内 容】
○ 平成19年度に選定したセキュリティ拠点への支援を継続。 (セキュリティ拠点,H19~)
2件 × 78百万円 = 156百万円
○ 平成20年度より実施している拠点間教材等洗練事業の一層の充実を図り、高度IT人材育成に向けた成果の
普及を引き続き実施。 (拠点間教材等洗練事業,H20~)
1件 × 184百万円 = 184百万円
8
行政事業レビュー(公開プロセス)について
○「公開プロセス」の基本的な考え方のポイント(抄)
平成22年4月8日 行政刷新会議
公開プロセスの位置づけ
・行政事業レビュー(以下「レビュー」という。)は、各府省において、事業の実態を十分に把握・点検し、その結
果を今後の事業執行や予算要求等に反映する取組である。
・公開プロセスは、レビュー対象事業の一部について、レビューの内容を、公開の場で、外部有識者等を交え
て、検証するものである(事業仕分けの基本原則に従って取り組む)。
○文部科学省公開プロセスの概要
日程 : 平成22年6月3日(木)~4日(金)
場所 : 文部科学省講堂
対象事業数 : 12事業
評価結果:「廃止」・・・7件、「廃止を含めた抜本的見直し」・・・1件、「要改善」・・・4件
(参考1)内閣府行政刷新会議(URL:http://www.cao.go.jp/sasshin/kaigi.html)
(参考2)文部科学省行政事業レビュー(URL:http://www.mext.go.jp/a_menu/kouritsu/detail/1293397.htm)
9
○「先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム」の評価
日程 : 平成22年6月3日(木)
評価者 : 青野
市川
伊永
清水
椿原
永田
西寺
藤原
敏博
眞一
隆史
幹裕
治
眞三郎
雅也
和博
前徳島大学長
クレディ・スイス証券(株)チーフ・マーケット・ストラテジスト
首都大学東京都市教養学部教授
清水法律事務所弁護士
前(社)日本工学教育協会専務理事
関西大学法学部教授
山梨学院大学法学部政治行政学科教授
東京学芸大学客員教授/大阪府知事特別顧問
評価結果 : 廃止(要改善4名、廃止4名)
とりまとめコメント :
本事業については、廃止4名との結果を踏まえ、廃止という結論とし、第一に、本事業がどのような人材を育成
しようとしているのかや、そのための戦略など事業の目的や手法、投資効果をさらに明確にすべき、第二に、IT
分野のスペシャリストの育成は、そもそも大学や高専の本来業務であり、大学等の教育活動強化や大学等の経
常経費で行うよう基盤的経費の在り方を検討すべき、というまとめにしたい。
(以下、評価者のコメント)
・ 世界最高水準のIT人材育成に成功しているとは判断できなかった。よって、この事業によるIT人材育成の正
確な費用対効果が明確でない以上、国費投入を継続することは中止すべきである。
・ IT人材の育成については、大学の本来業務である。何故、特定大学に対して補助金を出す必要があるのか
理解できない。本当に先導的スペシャリストを育成するなら、科研費で大学の研究を行う中において行うべきだ。
・ 大学院・大学教育の強化が先。
・ 物品購入費について、このプログラムから出費するべきか否かの精査を要する。
・ 国立情報学研究所への分担金について、必要理由などを明確にする必要があり、改善の余地あり。
・ ITスペシャリストの育成の目標をしっかりと立てて頂きたい。
・ 国立情報学研究所に丸投げになっていないか注意をしてほしい。
・ 成果の把握が不十分。
10
国立大学法人運営費交付金による高度IT人材育成の支援(筑波大学の例)
事業名 : 大規模情報コンテンツ時代の高度ICT専門職業人育成
事業概要 :
産学連携による「先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム」の成果を一層発展させるため、
『高度ICT専門職業人育成推進室』を設置し、以下の点に関するさらなる取組を実施。
(1)大規模情報コンテンツ時代を迎え、Webや大規模マルチメディアコンテンツを中心とした新し
いタイプの情報システム技術の開拓が重要となっている。このため、「組込みソフト系」及び「エ
ンタープライズ系」といった伝統的情報基盤分野に加え、Webサイエンスやクラウドコンピュー
ティングなどの次世代情報通信技術分野に対応した人材育成システムを構築。
(2)次世代技術の体系化と創造的な高度専門技術者の養成には、教育のみを産学連携で実施す
るのでは不十分であり、新製品や新しいサービスをソリューションとして提供するための具体的
な目的のある研究開発において連携し、そこで生み出される成果をリアルタイムに活用した人
材育成を実施。
(3)従来の産学連携の枠組みを越えた教育研究における連携を図るため、産業界の専門技術者
を連携大学院教員として認定し、海外も含めた産業界の現場において、より直接的に教育研
究を実施できる人材育成モデルへと発展。
事業計画期間 : 平成22年度~平成24年度(3年)
総予算額(予定) : 123,100千円(平成22年度予算:41,200千円)
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