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米国小売売上高速報 (2006 年 3 月)
経済指標解説 米国 みずほ総合研究所 経済調査部 エコノミスト 中村 正嗣 (03-3201-0549) [email protected] 2006/4/14 米国小売売上高速報 (2006 年 3 月) ○ 小売売上高は前月比+0.6%、コア小売は同+0.3%と 2 月の減少から持ち直す ○ 1∼3 月の小売売上高は前期比+3.2%と個人消費の高い伸びを示す内容 ○ 雇用・所得情勢は改善が続いており引き続き消費は底堅く推移する公算 3 月の小売売上高は前月比 米国商務省によれば、3 月の小売売上高は前月比+0.6%と、2 月の減少から持ち +0.6%と前月の減少から持 直した。内訳では、電子・家電製品(同▲1.1%)が 2 ヵ月続けて減少となったが、 ち直し、1∼3 月期は前期比 全体の約 2 割を占める自動車(前月比+1.6%)の持ち直しや建材・造園(同+1.2%) +3.2%と高い伸びを示す が堅調な水準となり、総じて良好であった。振れ幅の大きい自動車を除くベースで は前月比+0.4%、自動車、建材・造園、ガソリンスタンドを除いたコア小売は同 +0.3%と前月から持ち直した(図表 1)。 今年は復活祭が 4 月にずれ込んだため、衣料品や総合小売店でお祝い、ギフト用 の買い物が減少する影響が見られたようだ。しかし、今回 2 月の小売売上高が上方 修正(前月比▲1.3%→▲0.8%)されたことと合わせて、小売全体、コア小売は 1 月 の水準まで戻している(図表 2)。これによって 1∼3 月期の小売売上高は前期比+ 3.2%、コア小売は同+2.2%の高い伸びとなった。 雇用・所得情勢の改善が続い ており、引続き消費は堅調 堅調な消費の背景には、雇用・所得情勢の改善が続いていることが挙げられる。 米国労働省によれば、3 月の失業率は 4.7%、非農業部門雇用者増加数は前月比+ 211 千人となった(図表 3)。失業率は 01 年 7 月以来の水準にまで低下し、雇用者は 2 ヵ月連続 20 万人超の増加と雇用環境は良好だ。 低い失業率(=労働需給の高まり)を背景に時間当り賃金は前年比+3.4%と堅調 な水準で、上昇率に緩やかな加速傾向も見られる。家計の雇用所得の動きを捉える 総賃金指数(=総労働時間指数×時間当り賃金)は 3 ヵ月前比年率で+6.3%と雇用 環境の好調さを反映し高い水準を続けている(図表 4)。 4 月の小売売上高は復活祭のずれ込みの影響もあり高水準となることも予想され る。4∼6 月期の伸び率が 1∼3 月期ほど高く上昇するとは見込みにくいが、個人消 費は雇用・所得情勢に下支えされ、引き続き底堅く推移するだろう。 懸念材料はエネルギー価格 の高まり 個人消費の下振れ要因として懸念されるのはガソリン等エネルギー価格の高ま りだろう。これから米国はドライブシーズンを迎えガソリン消費量が高まるが、米 国エネルギー省は、今夏(4∼9 月)のガソリン平均価格が前年同期比+13.7%となる 見通しを発表している。足元のガソリン価格は、2 月末の 2.3$/ガロンから 2.7$/ ガロンまで上昇している。4 月のミシガン消費者信頼感指数を見ても、 「現状楽観・ 先行き不透明」と将来への懸念は払拭されていない(図表 5)。地政学的リスクが高 まる中、エネルギー価格の動向には注視が必要だろう。 当レポートは情報提供のみを目的として作成されたものであり、商品の勧誘を目的としたものではありません。本資料 は、当社が信頼できると判断した各種データに基づき作成されておりますが、その正確性、確実性を保証するものでは ありません。また、本資料に記載された内容は予告なしに変更されることもあります。 図表 1 小売売上高 自動車 家具・内装 電子・家電製品 建材・造園 食品・飲料 ヘルスケア ガソリンスタンド 衣料品 スポーツ・レジャー 総合小売店 その他店舗 非店舗小売 外食 除く自動車 コントロール コア 0603 (前月比) (寄与度) 0.6% 0.6% 1.6% 0.3% 0.5% 0.0% -1.1% 0.0% 1.2% 0.1% 0.0% 0.0% 0.8% 0.0% -0.1% 0.0% 0.0% 0.0% 0.6% 0.0% 0.1% 0.0% 1.2% 0.0% 1.6% 0.1% 0.2% 0.0% 0.4% 0.3% 0.3% 0.2% 0.3% 0.2% 小売売上高業種別変化率 0602 (前月比) (寄与度) -0.8% -0.8% -2.8% -0.6% -2.4% -0.1% -3.5% -0.1% 0.4% 0.0% 0.9% 0.1% 0.4% 0.0% -1.8% -0.2% -1.1% -0.1% -0.6% 0.0% -0.1% 0.0% -0.1% 0.0% 3.1% 0.2% -1.5% -0.2% -0.3% -0.2% -0.3% -0.2% -0.1% -0.1% 0601 (前月比) (寄与度) 3.0% 3.0% 4.1% 0.9% 6.6% 0.2% 7.1% 0.2% 6.9% 0.6% 0.2% 0.0% 0.7% 0.0% 4.5% 0.4% 2.6% 0.1% 3.8% 0.1% 1.9% 0.2% 5.0% 0.1% -2.0% -0.1% 3.2% 0.3% 2.7% 2.2% 2.3% 1.6% 1.9% 1.2% 0601∼03 (前期比) (寄与度) 3.2% 3.2% 5.2% 1.1% 4.8% 0.1% 3.5% 0.1% 8.0% 0.7% 1.1% 0.1% 1.6% 0.1% 1.0% 0.1% 1.6% 0.1% 3.9% 0.1% 1.9% 0.2% 4.3% 0.1% 2.0% 0.1% 2.9% 0.3% 2.7% 2.1% 2.0% 1.5% 2.2% 1.4% (注)コントロールは自動車、建材・造園を除いたもの。コアはコントロールからガソリンスタンドを除いたもの。 (資料)米国商務省 図表 2 小売売上高 図表 3 非農業部門雇用者数(左目盛) 失業率(右目盛) (千人) 114 112 110 108 106 104 102 100 98 400 コア 全体 コントロールグループ 雇用統計 (%) 5.5 5.3 300 5.1 200 4.9 100 0409 0412 0503 0506 0509 (注)それぞれ04年9月を100として指数化。 コントロールは自動車、建材・園芸を除くベース。 コアはコントロールからガソリンスタンドを除くベース。 (資料)米国商務省 図表 4 0512 4.7 0603 4.5 0 0409 0509 0603 (資料)米国労働省 家計の所得動向 図表 5 3ヵ月前比年率(%) 総賃金指数(雇用統計) 賃金・報酬(個人所得統計) 12.0 0503 120 ミシガン消費者信頼感指数 現状指数 総合指数 110 10.0 100 8.0 90 6.0 80 4.0 70 期待指数 2.0 0409 0503 0509 (注)総賃金指数=総労働時間指数×時間当り賃金 (資料)米国労働省、米国商務省 0603 60 0404 0408 0412 0504 0508 0512 (注)ミシガン消費者信頼感指数(66年1∼3月期=100) (資料)米国ミシガン大学 以上 0604