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蛋白質核酸酵素
ー供給経路アルギニン分解力スケード小山内 カ イ コ ガ精 実 包 で は, 蛋 白質 の分 解 に 始 まり, ア ル ギ ニ ンを 基 質 と して 解 糖 と共 役 す る 精 子 へ のエ ネル ギ ー 供 与 系 が 存 在 す る。 雄 生 殖 器 官 の さま ざ ま な 分 泌 物は こ こで 初 め て 混 合 され, 別 々に 局 在 して い た酵 素 と基 質 に よ る カ ス ケー ドが 起 こる 。 反 応 を 開 始 す るの は特 Database Center for Life Science Online Service 異 な エ ン ドペ プチ ダ ー ゼ で あ る イニ シア トリン で, 蛋 白 質 を ア ル ギ ニ ンC末 端 で の み 切 断 す る と と もに, 精 子 成 熟 の た め の 諸 生 理 的 変 化 を も惹 起 す る 。本 稿 で は, これ ま で 見 い だ さ た この 精 包 ア ル ギ ニ ン分 解 系 類 似 の エ ネル ギ ー 生 産 経 路 も列 挙 し, そ の 関 連 を 考 察 した。 は じめ に カ イ コガ に は, 受精 を 行 な う有 核 精 子 と, ギ ニ ンが いわ ば精 子 呼 吸 の基 質 と して働 く こ とを 示 した 核 を もた な い 無 核精 子 の2種 類 が あ り, 精 巣 で無 核 精 子 ば か りで な く, 蛋 白質 が 積 極 的 に分 解 して, 呼 吸 のた め は ば らば らに 分 離 して個 々の精 子 とな るが, 有 核 精 子 は のエ ネ ルギ ー を供 給 す る こ とを確 証 した 例 と して た いへ 1個 の精 原 細 胞 の 分裂 の繰 返 しで 形成 さ れ た256個 ん 興 味 深 い。 が そ の ま ま束 に な って存 在し, 貯 精 嚢 に送 られ て貯 蔵 され る。 貯精 嚢 で は, しか しな が ら, これ ら の系 の個 々 の反 応 は 必 ず しも珍 い ずれ も運 動 性 を 欠 く。 蚕 の精 子成 ら しい もの では な く, これ ま で知 られ た 酵 素反 応 の組 合 熟, す な わ ち 無 核精 子 の運 動 性 獲 得, 有 核精 子束 の解 離 せ か らな りた っ てい る。 精 子 成 熟 化 の過 程 で は, これ ら と有 核精 子 の運 動 性獲 得 の た め の精 包 に お け る 代謝 に 関 の反 応 が 一 連 の カ ス ケ ー ドと して作 動 す る こ とが 大 き な す る筆者 らの研 究 は, い くつ か の これ ま で知 られ て い な 特 徴 で あ る。 した が っ て, 以 上 め カ イ コガ 精 包 に お け る か った新 しい知 見 を 引 き 出 した 。 雄 の生 殖 器 官 の各 分 泌 ア ル ギ ニ ン分 解 系 と と もに, 進 化 の過 程 で こ の ア ル ギ ニ 腺 の 分泌 物 中 に は, さ ま ざ ま な酵 素 と基 質 が 別 々 に局 在 ン分 解 系 とお お い に 関 連 を 有 す る と考 え られ る, これ ま して貯 え られ て お り, 射 精 に よっ て初 め て これ らが 一 時 で報 告 され た ア ラ ニ ン蓄 積 系 とプ ロ リ ン経 路 に つ い て も に混 合 しあ い, 射 精 時 にそ れ ら の分 泌 物 に よっ て, 雌の 触 れてみたい。 交 尾 嚢 内 に構 築 され た 精 包 中 で上 記 の精 子 成 熟 化 のた め の さ ま ざ ま な反 応 が 始 ま る。 活 性 化 され た 無 核 精 子 の撹 な お, カイ コ ガ精 包 内 に お け る精 子 成 熟 化 の 過 程 に は 少 な く と も100分 が 必 要 で あ るが, そ の 間, 精 包 め 容 積 拌作 用 に よっ て, これ ら の反 応 が 促 進 され, 精 包 は 一 種 に は変 化 が見 られ ず, 精 包 は 一 種 の閉 鎖 系 とみ なす こ と の反 応 槽 で あ る こ とが まず 明 らか に な った 。 さ ら に, お が で き る。 精 子 の成 熟 が 完 了 す る と, 運 動 性 を獲 得 した そ ら く高 等 な 生 物 と して は 初 め て と思 わ れ る細 胞 外 解 糖 有 核 精 子 と無 核 精 子 は 受 精 嚢 に移 行 す る。 こ こで無 核 精 系 の存 在, こ の解 糖 作 用 と共 役 して い る活 発 な ア ル ギ ニ 子 は消 失 し, 有 核精 子 は 自 らの莢 膜 を 脱 い で, 真 に受 精 ン分 解 系 と, そ の基 質 と して の ア ル ギ ニ ンを供 給 す る 特 可 能 な運 動 能 を獲 得す る。す なわ ち, カ イ コ ガ に お い て 殊 な蛋 白質 分 解 系 の存 在 も確 認 され た 。 これ らは, ア ル は, 精 子 の成 熟 は精 包 で, さ らに 受精 能 の 獲 得 は受 精 嚢 Minoru Osanai, Institute of 東 京 都 老 人 総 合 研 究 所 生 物 学 部 Gerontology, Sakaecho, (〒173 Itabashi-ku, 板 橋 区 栄 町 Tokyo 173, 35-2) [Department of Biology, Tokyo Metropolitan Japan]An Energy-Supplying Pathway for Sperm Maturation, Arginine Degradation 【ア ル ギ ニCascadeKey ン分解力ス word ケ ー ド】 【イニ シア トリン】 【精 包 】 【精 子 成 熟】 417 54 蛋 白 質 核 酸 酵 素 Vol. 32 No. 5 (1987) で行 なわ れ る とい う複雑 な 過 程 を 経 る。 しか し, 観 点 を る種 の細 菌 や 酵 母 が ア ル ギ ニ ンのみ を唯 一 の窒 素 源 と し 変 えれ ば, 一 般 精 子 の精 巣 か ら受精 に 至 る過 程 を, 段 階 て要 求 し, しか も蛋 白 質合 成 を行 な うの で, ア ルギ ニ ン ご とに 区切 りを つ け て 経 過 す る とみ な す こ と も で き よ が 他 の ア ミノ酸 に転 換 され る ら しい と い うこ とは わ か っ う。 て いた 。 しか し, ア ル ギ ニ ンが 積 極 的 に呼 吸 の基 質 にな り うる とい う報 告 は な い^<1)>。 アル ギ ニ ンの 細菌 に お け る I. ア ル ギ ニ ン の 分解 系 と エ ネ ル ギ ー生 産 異 化 作 用 は, 4つ の主 要 な代 謝 経 路, す な わ ち, (1) ル ギ ナ ー ゼーウ レア ー ゼ経 路, (2) ア ミジ ナ ー ゼ経 路, (3) 1. 微 生 物 に お け る ア ル ギ ニ ン異化 経 路 A. 原生動 物をも含めた微生物で知 ら れ たアルギニ ンの異 化 (4) ア ア ル ギ ニ ン トラ ンス ア ル ギ ニ ンデ イ ミナ ーゼ 経 路, ア ル ギ ニ ンデ カル ボ キ シ ラー ゼ経 路 の う ち1つ, あ るい は そ れ 以上 の経 路 を通 っ て進 行 す る (図1)。(1) では アル ギ ニ ンが 加 水 分 解 を受 け て 尿 素 とオ ル ニ チ ンを に 転 換 され る こ とは い ろ い ろ な微 生物 で報 告 され た。 あ 生じ, 尿 素 は 炭 酸 ガ ス と ア ンモ ニ アに 分 解 され るが, オ Database Center for Life Science Online Service アル ギ ニ ンが 分 解 して グ ル タ ミ ン酸, そ して ア ラ ニ ン 図1. 微生物 (原生 動 物 も 含 む) の ア ル ギ ニ ン 異 化経 路 〔略 語 〕GOT : ア メ パ ラ ギ ン酸-グ ル タ ミン酸 ア ミン トラ ンス フ ェ ラー ゼ, GPDH : グ リセ ロール-3-リ ン酸 脱 水 素 酵 素=α-グ リセ ロール リン 酸 脱 水 素 酵 素, GPT : ア ラニ ン グル タ ミ ン酸 ア ミノ トラ ンス フ ェ ラー ゼ, LDH : 乳酸 脱水 素 酵 素, PDHC : ピル ピ ン酸 脱 水素酵 素複合体。 418 Database Center for Life Science Online Service ア ル ギ ニ ン分 解 カス ケ ー ド 図2. 55 カイコガ雄生殖器官 (左) とその分泌物に よって雌交尾嚢内に構築 された精包 (右) の構造 ルニ チ ンは さ ら に グ ル タ ミ ン 酸 ま た は プ ロ リ ン に ま で 代 与 え た アル ギ ニ ンが 主 と して蛋 白質 合 成 に利 用 され る こ 謝 さ れ る 。 酵 母 や ア カ パ ン カ ビ な ど の ほ か, も 見 い だ さ れ た 。(2) ア メ ーバ で と を見 いだ した 。 し か し, こ の正 常 の ア カ パ ン カ ビ で ア ル ギ ニ ンは トラ ン は, オ ル ニ チ ンア ミノ トラ ンス フ ェ0ラー ゼ は ア ル ギ ニ ン グ ア ニ ジ ノ化 合物 とオ ル ニチ に よ っ て誘 導 され るが, 生 じた オ ル ニ チ ンは, グル タ ミ の 経 路 で は, ス ア ミジ ナ ー ゼ に よ っ て, ン に な り, 後 者 は さ ら に グ ル タ ミ ン 酸 ま た は プ ロ リ ン と ン酸 形 成 よ りも プ ロ リ ンまた は ポ リア ミ ン合 成 に利 用 さ な る 。 肺 炎 桿 菌 が そ の 例 で あ る^<5)>。(3) で は, アル ギ ニ れ る。Bacillus licheniformis で は, ア ル ギ ニ ンお よび プ ン は ま ず ア ン モ ニ ア と シ トル リ ン に 分 解 さ れ, シ トル リ ロ リンか ち グル タ ミ ン酸 ま で の代 謝 経 路 が 調 べ られ ンは さ ら に カ ルバ モ イル リ ン酸 とオ ル ニチ ンに 分 か れ る が, 前 者 はATPを 生 じな が ら ア ン モ ニ ア と 炭 酸 ガ ズ に 完 全 分 解 され る。 オル ニチ ンは (1), (2) と 同 様, ら に グ ル タ ミ ン酸 ま た は プ ロ リ ン に 分 か れ る 。(4) は, ア ル ギ ニ ン は 脱 炭 酸 に よ り ア グ マ チ ン と な り, 種 細 菌 や テ トラ ヒ メ ナ, (4) は 低 下 した^<10)>。 枯 草 菌 で も同 様 の こ とが 報 告 され た が , で プ ロ リンか ら グル タ ミ ン酸 形 成 へ の 活 性 の ほ う が 強 さら は乳酸菌な ど の各 は サ ル モ ネ ラ 菌, 赤 痢菌 な ア ル ギ ナ ー ゼ-ウ 蛋 白質 合 成 の 成 分 と して の ア ル ギ ニ ンが い ち ば ん お もで あ って, 次 に 他の ア ミノ酸へ の 転 化 (これ も蛋 白質 合成 の 成 分 と して 必 要 で あ る), (1) の経 路 に つ い て 少 ア ル ギ ニ ン は 有 効 な 窒 素 源 で, し エ ネル ギ ー源 で , せ いぜ い プ ロ リ ンの ほ うが ア ミノ酸 と ア して は まだ 効 率 よ く燃 え る と い った と こ ろ の よ う で あ ル ギ ナ ー ゼ は 転 写 レベ ル で 誘 導 さ れ う る 。 し か し, そ の 分 解 経 路 と し て は ア ル ギ ニ ン か ら グ ル タ ミ ン 酸-γ-セ ア ル デ ヒ ドま で は 確 定 さ れ た も の の, る。 ミ そ こか ら グル タ ミ 2. ア カパ ン カ ビの ア ル ギ ニ ン A. ン酸 へ の 活 性 は 弱 い 。 Castaneda ら(1967)^<3)>は 欠 損 株 を 用 い て, そ して, そ の次 に 異 化 作用 う捉 え 方 は ま った くな く, グ ル コ ー スが お も な微 生物 の レア ー ゼ 経 路 こ こ で は 次 節 と の 関 連 で, 詳 述 す る 。 酵 母 で は, い^<11)>。 す な わ ち, 微 生 物 に おけ る ア ル ギ ニ ンの 代謝 は , が 続 く。 これ も, エ ネ ル ギ ー源 と して の ア ル ギ ニ ン とい ど で 発 見 さ れ た^<6∼8)>。 B. す る と, 細 胞 の 生 長 は 促 進 され た が, ア ル ギ ナ ー ゼ 活 性 さ に尿 素 とプ トレッ シ ンに 分 解 され る。 この反 応 は ポ リア ミ ン生 成 の た め に 重 要 で あ る 。(3) , そ の 存 在 が 確 認 され た^<9)>。 多 量 の グル コ ー ス を培 地 に 添 加 カ イ コ ガ精 包 に お け る エ ネ ル ギ ー 供 与 系 と して の ア ル ギ ニ ンカ ス ケ ー ドと 精子 成 熟 の機 序 生 長 と 分 解 酵 素 活 性 を 測 定 し, 培 地 に 精 包 形 成 と その 生 理 学 的 意 義 最 近, 筆 者 ら の グ ル ー プ で, ア ル ギ ニ ンを主 体 とす る 419 56 蛋 白 質 Database Center for Life Science Online Service 表1. 核 酸 酵 素 Vol. 32 No. 5 (1987) 性 的 二 型 を 示 す 酵 素 と そ の 分 布 エ ネ ル ギ ー供 与 系 の存 在 が カイ コガ の精 包 で 明 らか に な C. った 。 精 包 は 昆 虫 に広 く存 在 が 知 られ て い る の み な ら カ イ コ ガ雄 成 虫 の ア ル ギ ナ ー ゼ活 性 は 雌 成 虫 の5倍 以 アルギナーゼ ず, ダ ニ, タ コや イ モ リに ま で分 布 して い る。 雌 交 尾 嚢 上 もあ る。 しか も, こ の高 い雄 の活 性 は貯 精 嚢 に95% 内 に構 築 され る もの を も含 め て, す べ て雄 生殖 器 官 の 分 以 上 が 局在 して い た^<14,15)>。 射 精 時 に放 出 さ れ る貯 嚢 中 の 泌 物 で形 成 され る。 精 子 を 内蔵 して い る 以外 は細 胞 を ま アル ギ ナ ー ゼ 活性 の ほ とん どす べ て は, 雌 内 に構 築 され った く含 まず, また, 細 胞 に覆 わ れ て もい な い。 カイ コ た精 包 へ移 行 す る。 この事 実 は, こ の 高 い酵 素 活性 が精 ガ成 虫 雄 の生 殖 器 官 に は, 精 巣 と, 精 子 を貯 蔵 す る貯 精 包 で 働 く, す な わ ち, ア ル ギ ニ ンを加 水分 解 して 尿 素 と 嚢 (vesicula seminalis) オル ニチ ンに な る とい う可 能 性 を示 唆 した 。 tusdeferens) sorygland) と, 両 者 を連 結 す る精 管 (duc の ほ か, 貯 精 嚢 を狭 ん で付 属 腺 (acces 表1に, これ ま で 知 られ た, 雌雄 で 活 性 を 異 に す る さ と射 精 管 (ejaculatory duct) が あ る。後 の ま ざ まな 酵 素 と動 物 種 を 示 した。 性 染 色 体 の 型 に よ ら 2つ は さ らに そ の 各 々が 形 態 的 に 細 分 され る。 最 も重 要 ず, 雄 に局 在 す る酵 素 が ほ とん どで あ る。 糖 代 謝 に 関 係 な部 分 は, 射 精 管 の 最 先 端 部 で前 立 腺 (glandula prosta した も のが 多 く, そ れ も最初 のLDHを dca)と 初 段 階 に近 い もの が 多 い よ うに 思 わ れ る。 最 近, ラ ッ ト 呼 ば れ る。 貯 精 嚢 に隣 接 す る乳 白腺 も グ リコ ー ゲ ンを 多量 に保 有 分 泌 す るの で重 要 で あ る (図2)。 カ 除 け ば, 解 糖 の では 乳 酸 が 精 子 呼 吸 の好適 な 基 質 とな る こ とが わ か った イ コガ の射 精 時 に は, 付 属 腺, 貯 精 嚢 お よび 射 精 管 が 収 の で, LDHは, 縮 して, そ の 内容 物 を 雌 体 内 に 送 り込 み, 交 尾 嚢 中 に 精 してエ ネル ギ ーを 得 るた め に大 きな 役 割 を 果 た す と考 え 哺 乳 類 や 鳥類 で 乳酸 蓄 積 の た め や 分 解 包 を形 成 す る。 精 生 殖 器 官 の 各 分 泌 腺 に 局 在 して い る酵 られ る^<27)>。 こ の よ うに, 性 に よ って 特 有 の酵 素, そ れ も 素 とそ の基 質 が, 精 包 内 で一 時 に会 合 し混 合 し あ う た 雄 性 生 殖 器 官 ない しは 精 子 に 局在 す る酵 素 は, 精 子 あ る め, 精 子 成 熟 の た め に 必 要 な反 応 が精 包 内 で起 こ る。 し いは そ の形 成 お よび 成 熟 過 程 で, 何 らか の 重 要 な 働 きを た が っ て, 精 包 を一 種 の反 応 槽 と み な す こ と が で き す る可 能 性 が 大 きい 。 アル ギ ナ ー ゼ は, もち ろ ん 解 糖 系 る^<12)>。 の酵 素 では な いが, アル ギ ニ ンの 分 解 過 程 では, や は り B. 精 包 に お け る グ リコ ー ゲ ン顆 粒 の崩 壊 第 一 段 階 に位 置 して い る。 水 解 酵 素 で 一 方 的 な 不 可 逆 反 雄 の 乳 白 腺 お よび 貯 精 嚢 下 部 に 存 在 す るPAS陽 性顆 応 を媒 介 す るが, カ イ コ ガは一 般 昆 虫 と同 様, 尿 素 サ イ 粒 は, 交 尾 時 に 主 と して 精 包 の外 質 お よび 内 質 に 移 入 さ クル が 完 結 してい な い の で, アル ギ ニ ンが 精 包 内 反 応 の れ るが, 時 間 と と もに 消 失 す る。 こ のPAS陽 基 質 の1つ に な る こ とが 考 え られ た 。 性顆 粒 は α-ア ミラー ゼ処 理 で 消失 す るの で, グ リコ ー ゲ ンで あ る D. と同 定 さ れ た^<13)>。 精 包 内 で の グ リコー ゲ ン顆粒 の 減 少 精 包 へ 移 送 され る遊 離 の ア ミノ酸 量 が あ ま り多 くな い は, 精 包 内 に 雄 生 殖 器 官 由 来 の グ リコ ー ゲ ン ホス ホ リラ こ とは, 雄 の生 殖 器 官 の各 腺 に含 まれ る ア ミノ酸 量 か ら ー ゼ が存 在 して い る こ とを 示 唆 した 。 事 実, 貯 精 嚢 の ほ 推 定 で きる。 と くに, 尿 素 は, これ ら雄 の各 腺 にお い て か, 乳 白 腺 に も こ の酵 素 の高 い 活 性 が 認 め られ た 。 は ま っ た く検 出 され なか った 。 これ に 対 して, 精 包 の形 精 包 に お け るア ラニ ン と尿 素 の 蓄積 成 とそ の後 の ア ミノ酸 プ ー ル の変 化 を示 した のが 図3で 420 Database Center for Life Science Online Service アル ギニン 分 解 カ ス ケー ド 図3. 57 精 包 内 に お け る ア ミノ酸 プ ール の変 化^<38)> あ る。 ア ル ギ ニ ンは 交 尾 開 始 直 後 に 急 増 す るが, そ の後 漸減 し, 精 包 中 の レベ ル は 低 い 。 こ の こ とは, 遊 離 の ア ル ギ ニ ンが精 包 形成 時 に 多 量 生 成 され るが, ア ル ギ ナ ー ゼ に よ って 加 水 分 解 され た こ とを示 唆 す る。 事 実, そ の 生 産 物 の1つ で あ る 尿 素 量 の増 加 は 著 し い^<28)>。 とこ ろ が, も う1つ の 生 産 物 で尿 素 と等 モル 生 産 され る は ず の オ ル ニ チ ンの レベ ル は 低 い 。 こ の こ とは, オ ル ニ チ ンが さ らに他 の物 質 に転 換 され た こ とを 示 す 。 これ ま で の知 見 か ら, ま ず グル タ ミン酸, プ ロ リンが 考 え られ た が, いず れ も レベ ル は低 か った 。 グル タ ミン酸 か ら生 ず る グ ル タ ミンは あ る程 度 の レベ ル を 示 した 。 しか し, 何 とい っ て も時 間 と とも に増 加 し, 高 い レベ ルを 示 した の は ア ラ ニ ンで あ った 。 そ こ で, カ イ コ ガ精 包 内 で の反 応 は, 図4に 示 す よ うに, 解 糖 系 と共 役 し た ア ル ギ ニ ン分 解 カ ス ケ ー ドで あ る こ とが 推 定 さ れ た 。 カ イ コガ精 子 は NH_3^+を 嫌 うた めか, グル タ ミン酸 の 一 部 は グ ル タ ミン 形 成 に 向か うが, 主 流 は あ く まで ア ラ ニ ン と2-オ キ ソ グ ル タ ル酸 形 成 に進 む 。しか し, この 反 応 が 進 む 場 合 に は, 当然, 解 糖 系 に よる ピル ビ ン酸 の 形 成 が な され ね ば な ら な い。 そ こ で, ^<14>Cで標 識 した ピル ビ ン酸 お よび グ ル コ ー ス-1-リ ン酸 (グ リコ ー ゲ ン の代 わ りに, そ の第 一 段 階 図4. 精 包 内 に お け る精 子 成 熟 のた め のエ ネ ル ギ ー供 与 系 : アル ギ ニ ン分 解 カ ス ケ ー ド OXO : 2-オ キ ソ グル タル 酸=α-ケ PA : ビル ビ ン酸 。 トグ ル タル 酸, を分 解 物 と して) を精 包 と と もに 保 温 した と ころ, いず れ も, ア ラニ ンに転 換 され る こ とが 証 明 され た^<29)>。 また, ^<14>Cで 標 識 した2-オ キ ソ グル タル酸 , オル ニ チ ン, ピル 421 58 蛋 白 質 核 酸 酵 素 Vol. 32 No. 5 (1987) ビ ン酸, グル コー ス-1-リ ン酸 は い ず れ も よ く放 射 性 炭 酸 ガ ス を放 出 し, 精 包 中 に 含 まれ た精 子 の 呼 吸 の 基質 とな るこ とがわ か った 。 ピル ビ ン酸 の酸 化 の 割 合 は2-オ キ ソ グル タル 酸 の 濃度 しだ い で増 加 した り減 少 した りす る の で, 2-オ キ ソ グ ル タ ル酸 が 呼 吸 基 質 と して の機 能 と と もに ピル ビ ン酸 酸 化 の調 節 を も行 な っ て い る可 能 性 が あ る。 この カ ス ケ ー ドの酵 素 反 応 で は, 高 ア ル ギ ナ ーゼ 活 性 の ほ か, グ リコ ー ゲ ン, ホ ス ホ リ ラー ゼ とGPT活 性 の存 在 が す で に確 認 され た 。 最 近, カ イ コガ幼 虫 や蛹 で は, 尿 酸 を分 解 して 尿素 を生 ず る代 謝 系 の存 在 が 明 らか にな った が, そ の 活 性 は それ ほ ど高 い も の で は な か っ た^<30)>。 精 包 で は, 標 識 され た オ ル ニ チ ンが炭 酸 ガ ス に 容 易 に分 解 され, か つ ア ル ギ ナ ー ゼ 活性 が 高 い の で, た と え尿 酸 か ら の尿 素 形 成 が 働 く と して も, アル ギ ニ ン分 解 Database Center for Life Science Online Service に よる尿 素形 成 の ほ うが 強 い よ うに 思 わ れ る。 E. ア ル ギ ニ ン生 成 系, 呼 吸 基 質 と して の蛋 白 質 と アルギニ ン ア ル ギ ニ ンが精 包 内 で2-オ キ ソグ ル タ ル酸 に転 化 さ れ, 精 子 の エ ネル ギ ー源 た り うる こ とは, 以 上 でほ ぼ 証 明 さ れ た が, 次 の疑 問 は, こ の遊 離 の ア ル ギ ニ ン源 が 何 で あ るか で あ った 。 ア ル ギ ニ ン リ ン酸 の線 も 考 慮 し た が, か な りの量 の遊 離 ア ル ギ ニ ンが 供 給 され る点 を考 え 合 わ せ, 蛋 白質 由来 と仮 定 した 。 そ の場 合, 3つ の可 能 性 が 生 ず る。雄 の 射 精 時 の 分 泌 物 に は, (1) アル ギ ニ ン 図5. に 富 む 蛋 白質 が 存 在 す る, (2) 切 り出 す 系 が 存 在 す る, (3) ア ル ギ ニ ンだ け 特 別 に ア ル ギ ニ ンだ け切 り 出 す (a) カイ コ ガ貯 精 嚢 内 容 物 か ら の アル ギ ニ ンの 生 成 保 温 前 の 貯 精 嚢 内 容 物 中 の ア ミノ酸, 温 した も の (自 己 分解), たもの。 (c) (b) そ の ま ま保 前 立 腺 の 分 泌液 を加 え て保 温 し 系 と, ア ル ギ ニ ンに 富 む蛋 白質 の両 方 が存 在 し, 一 時 に 多 量 の ア ル ギ ニ ンを放 出す る, の3つ で あ る。 カ イ コ ガ ら, 前 立 腺 は一 種 の エ ン ドペ プチ ダー ゼ を 含有 す る こ と 雄 の前 立 腺 に は, 貯 精 嚢 に 存在 す る無 核精 子 の 運 動 能 を が わ か った^<36)>。 この 前 立 腺 分 泌 物 を25℃ 獲 得 させ^<31,32)>, か つ 有 核精 子束 の解 離 を ひ き 起 こ す 因 温 す る と, 他 の ア ミノ酸 の変 化 は あ ま りな い の に もか か 子^<33)>, す な わ ち, 精 子 の 成 熟 化 の た め の 引 き金 とな る因 わ らず, アル ギ ニ ンの み が 急増 した。 この こ とは, こ の 子 が 含 まれ て い る こ とは す で に 知 られ て い た 。 前 立 腺 の 腺 がC末 端 で アル ギ ニ ンを 残 して切 る特殊 な エ ン ドペ プ 分 泌 物 を保 温す る前後 で 蛋 白質 量 に 変 化 が あ るか ど うか チ ダ ーゼ とエ キ ソペ プチ ダ ーゼ の 両 者 を 含 ん で い る こ と を電 気 泳動 で 調 べ て み る と, 大 き く消 失 す る2つ の バ ン を 示 唆 した 。 貯 精 嚢 は 保 温 前 後 で グ リシ ンの増 加 を除 け で10分 間保 ドが あ っ た。 しか し, この 蛋 白質 は 塩 基 性 では な い よ う ば, に思 わ れ た^<34)>。 カ イ コ ガ雄 の生 殖 器 官 中, 大 きな 部 分 を 腺 分 泌 物 を加 え て保 温 す る と, ア ルギ ニ ンだ け が と くに 遊 離 ア ミノ酸 レベ ル の 変 動 は あ ま り な い が, 前 立 占 め る の は 貯精 嚢 で あ り, さ ま ざ まな 物 質 を含 む こ の器 増 大 した 。 トリプ シ ン付 加 の場 合 には, アル ギ ニ ン と と 官 の蛋 白質 分 離 が 良 好 に進 め ば, アル ギ ニ ン に富 む 蛋 白 も に リジ ンも増 加 した 。 同 様 に前 立 腺 分 泌 物 の 付 加 を, 質 の存 在 が 確 認 され るか も しれ な い。 乳 白腺, 貯 精 嚢 そ して射 精 管 の上 部, す な わ ち 精 包 腺 に 筆 者 は, こ の精 包 の精 子 成 熟 化 の場 と して の生 理 学 的 つ い て別 々 に行 な う と, いず れ の腺 につ い て もア ル ギ ニ 反 応 が, プ ロ テ ア ーゼ の作 用 に よ る も ので は な い か と考 ンだけ の著 しい増 量 が み られ た 。 と くに貯 精 嚢 は 生 殖 器 え, 貯 精 嚢 の 内容 物 に トリプ シ ンを与 え てみ た ところ, 官 中 に 占め るそ の相 対 的 に大 き な体 積 と も あ い ま っ て 無 核 精 子 の 運 動 獲 得 と とも に, 有 核 精 子 束 シ ス トの消 化 (約11mg/カ と, そ れ に 伴 う解 離 も 同時 に進 行 した^<35)>。 こ の こ とか 以 上 の遊 離 の ア ル ギ ニ ンを産 生 した。 乳 白 腺 (約2mg/ 422 イ コガ), 25℃, 10分 間 保温 で50nmoL アル ギ ニ ン分 解 カ ス ケ ー ド 表2. カ イ コ ガ前 立 腺BAEE分 解酵素活性に及ぼすエ ン ドペ プチ ダ ーゼ 阻 害 剤 の効 果^<47)> 59 種 プ ロテ ア ー ゼ 阻 害剤 の影 響 を 示 した 。 用 い た 活 性 阻 害 剤 の うち 最 も阻 害 効果 の 著 しか った も の はp-NPGB^* で, 1.0nMの 0.1nMア 低 濃 度 で100%活 性 を抑 えた 。 そ の他, ンチ パ イ ン と0.1nMの ロ イペ プチ ン が 次 い だ 。 これ らは す べ て, セ リン プ ロ テ ア ーゼ 阻 害 剤 中 の ト リプ シ シ阻 害 剤 に 属 す る。 マ ウ ス顎 下 腺 には ア ル ギ ニ ン のC末 端 を 残 して切 断 す るエ ン ドペ プ チ ダ ー ゼ (マ ウス 顎 下 腺 エ ン ドプ ロテ イ ナ ー ゼArg-C) が 知 られ て い る^<38)>。 カ イ コガ 雄 の 前 立 腺 の エ ン ドペ プ チ ダ ー ゼ も, こ れ に類 似 の セ リン プ ロテ ア ーゼ の よ うに思 わ れ る。 F. 前 立 腺 に 存 在 す る エ ン ドペ プ チ ダー ゼ, イ ニ シ ア トリンの 役 割 カイ コガ の プ ロテ アー ゼ は, 主 と して消 化 器 官 を 中心 と して 研 究 され て きた^<39)>。 羽 化 時 に まゆ を消 化 し, 脱 出 Database Center for Life Science Online Service 孔 を あ け る コ クナ ーゼ も元 を た だ せ ば 消 化 器 由来 で あ る^<40)>。 発 生 段 階 を 追 っ て プ ロ テ ア ー ゼ の活 性 変 化 に関 す 阻 害 剤 は 水, エ タ ノール あ る い はDMSO (ジ メチ ル ス ル ホ キ シ ド) に 溶 解 した 。NS : 有 意 差 な し。PCMPS : p-ク ロ ロ 第 二 水 銀 フ ェ ニル ス ル ポ ン酸, E-64c : L-ト ラ ン ス-エ ポ キ シサ ク シ ニル ロイ シ ル ア ミ ド 〔3-メチ ル〕 ブ タ ン, IAA : モ ノ ヨー ド酢 酸, TLCK NEM : N-エ : Nα-p-ト シ ル-L-リ ジ ン ク ロ ロメ チル ケ トン チル マ レ イ ミ ド, TPCK : N-p-ト シル-L-フ ェ ニ テ ア ーゼ が 存 在 して, か つ 蛋 白質 を基 質 と して エ ネ ル ギ ー を生 産 す る カ ス ケ ー ドの引 き金 に な る とい うの は初 め て の知 見 で あ った 。 : フ ェ ニル メタ ンス ル こ こ で, こ の雄 生 殖 器 官 の前 立 腺 に のみ 存 在 す る エ ン : p-ニ トロフェ ニル-p'-グ ア ニジ ノ ドペ プチ ダ ーゼ^<38)>の さ ま ざ まな 重 要 な 生 理 学 的 役 割 に ル ア ラ ニ ン ク ロ ロ メチ ル ケ トン, PMSF ホ ニル フ ロ リ ド, p-NPGB る研 究 も行 な わ れ た 。 しか しなが ら, 生 殖 器 官 中 に プ ロ 安息香酸。 つ い て述 べ てお きた い (図6)。 こ の酵 素 は 少 な く と も カ イ コ ガ) では, アル ギ ニ ンそ れ だ け よ りも ア ミノ酸 全 4つ の異 な った 作 用 を有 し, いず れ も, そ の イ ニ シ エ ー 部 の種 類 が 増 量 して い る よ うに 思 わ れ た。 ト リプ シ ン付 タ ー と して働 く。 加 では 前 立 腺 付 加 の 場 合 と似 た 蛋 白質 分 解 の パ タ ー ンが 得 られ た (図5)。 (1) 無 核 精 子 の 運 動 性 獲 得 : カ イ コガは 受 精 に参 画 す る有 核 精 子 の他 に多 数 の無 核 精 子 を もつ 。 激 し く運 動 以 上 の結 果 は, 雄 の 生 殖 器 官 の 各 腺 は い ず れ も カル ボ す る無 核 精 子 は, 移 動 を す る こ とはほ とん どな く, 高 粘 キ シペ プ チ ダ ーゼ を 含 む が, 前 立 腺 だ け に は アル ギ ニ ン 性 の精 包 内 で のエ ネ ルギ ー供 与 系 カ ス ケ ー ドの反 応 を 促 のC末 端 を残 して切 る, きわ め て特 異 的 な エ ン ドペ プチ 進 す るた め, 内 容 物 の撹 伴 子 と して働 く^<35)>。 精 包 が形 成 ダ ー ゼが 局 在 してい る こ とを 示 した 。 そ こで, され る と, さ っそ く不 動 の精 子 を含 む 射 精 嚢 と前 立 腺 の 成 ア ミノ酸 エ ス テル (BAEE, TAME, 4種 の合 TLME, BTE 内容 物 は 混 じ り合 い, 無 核 精 子 は運 動 を 開始 す る^<31,32,35)>。 E)^*を 用 い て, 前 立 腺 のエ ス テ ラ ーゼ 活 性 を 測 定 し こ う して精 包 の反 応 槽 と して の役 割 は確 定 す る^<12)>。 貯精 た^<37)>。TLMEとBTEEに 嚢 の 内容 物 に トリプ シ ンや マ ウ ス 顎下 腺 エ ン ド プ ロテイ つ い ては ま った く活 性 を 認 め なか った が, BAEEを 基 質 に した と きに 高 い酵 素 活 性 を 見 いだ した 。TAMEは ほ とん ど分 解 され な か った。 ト リプ シ ンで は, TAMEの BAEEが 分 解 が 最 も強 く, TLMEと そ れ に次 ぐ。TAMEとBAEEの 違 とTLMEも *BAEE 察 され た 。 しか し, Shepherd (1974)^<41)>は,カ イ コガ に 近 縁 の ヤ マ マ ユ ガ科 昆 虫 で, 無 核 精 子 の運 動 性 獲 得 因 子 は ペ プ チ ドで あ る こ とを報 告 して お り, エ ン ドペ プチ ダ 基質 にす る 点 で, ト リプ シ ンは 前 立 腺 の ー ゼ に よる蛋 白質 分 解 物 が , 直 接 の効 果 を もつ こ と も考 こ の前 立 腺 のBAEE分 : Nα-ベ 加 え る モ デ ル実 験 で も同一 の 現 象 が 観 分 解 度 の相 エ ン ドペ プ チ ダ ーゼ と同一 の 酵 素 とは み な しえ な い。 表2に ナ ー ゼArg-Cを 解酵素活性に及ぼす各 え られ, 検 討 を要 す る。 (2) 有 核 精 子 束 の解 離 : (1) と同 じ く 精 包 内 で 行 ン ゾイル-L-ア ル ギ ニ ンエ チ ル エ ス テ ル トシル-L-リ ジ ン メ チル エ ス テル, BTEE ール エ ス テ ル 。 : N-ベ , TAME : α-p-ト シル-L-ア ル ギ ニ ン メチ ル エ ス テ ル, TLMR : Nα-pン ゾ イル-L-チ ロシ ンエ チ ル エ ス テ ル, NPGB : グ ア ニ ジ ノ安 息 香 酸 ニ トロ フ ェ ノ 423 Database Center for Life Science Online Service 60 蛋 白 質 図6. 核 酸 酵 素 Vol. 32 No.5 (1987) カイ コ ガ雄 の前 立 腺 分 泌物 に含 まれ る イ ニ シ ア トリン の精 子 成 熟 に 及 ぼ す 働 き な わ れ る精 子 成 熟 化 め も う1つ の生 理 学 的 変 化 で あ る。 性 化酵 素 が混 合 され て酵 素 の活 性 化 が 起 こ り, 酵 素 作 用 有 核 精 子 束 シ ス トは蛋 白質 で構 築 され て い る の で, 前 立 が 開 始 され る こ とは 生殖 機 構 の 開始 を ひ き起 こす 反 応 で 腺 の エ ン ドペ プ チ ダー ゼ あ るい は ト リプ シ ンや マ ウス顎 あ り, 興 味 深 い。 下 腺 エ ン ドプ ロテ イ ナ ー ゼArg-Cを た あ と消 化 され, 加 え る と, 膨 潤 し (4) 遊 離 の ア ル ギ ニ ンを 生産 して ア ル ギ ニ ンを基 質 有 核 精 子 は初 め て ば ら ば ら に分 離 す とす るエ ネ ル ギ ー供 与 系 の 引 き金 : ア ル ギ ニン が エ ネ ル る^<35)>。 そ の際, 無 核 精 子 の運 動 は, 分 離 しは じめ た有 核 ギ ー 源 とな りうる こ とは こ れ ま で も理 論 的 に は可 能 で あ 精 子 の 隙 間 に 入 り込 み, 機 械 的 に も分 離 を 促進 す る。 (3) カル ボ キ シペ プ チ ダー ゼ の活 性 化 : カイ コガ雄 った が, 積 極 的 な反 応 とみ なす の は, 実 際 に は は な は だ 特殊 といわ ざ るを得 な い。 しか も, こ の ア ル ギ ニ ン分 解 の貯 精 嚢 や精 包 腺, 乳 白腺 に存 在 す る カル ボ キ シペ プ チ に よ るエ ネ ル ギ ー供 与 系 を 活発 に作 動 させ る た め に は, ダ ー ゼ は, そ の ま まで は 活 性 を示 さ ず, トリプ シ ンま た 遊離 の アル ギ ニ ンを 多量 に供 給 す る系 が必 要 とな る。 大 は 前 立 腺 の 分泌 物 の 付 加 に よ って初 め て 活 性 を 生 ず る。 局 的 に 見 れ ば, これ も きわ め て 特殊 な, 蛋 白質 が積 極 的 こ れ らの カル ボ キ シペ プ チ ダー ゼ は プ ロ酵 素 の 形 で各 腺 な 呼 吸 基質 とな る こ とを意 味 す るが, こ の反 応 の 引 き金 に 局在 し, 射 精 に よ る前立 腺 との混 合 に よ って 活 性 を発 と して 前立 腺 エ ン ドペ プチ ダ ーゼ は 機能 す る (図4)。 トリ これ らの重 要 な機 能 を有 す る前 立 腺 エ ン ドペ プ チ ダー プ シ ンあ るい は ト リプ シ ン様酵 素 で 活 性 化 され る こと が ゼ に 名 前 を 与 え た い と考 え た。 しか し, 存在 器 官 に 由来 報 告 さ れ た 。 カル ボキ シ ラー ゼA^<42)>やBも, ト リプ シ ン す る プ ロ ス タ グ ラ ン ジ ン とい う名 は, 他 の 作用 物 質 (そ に よ って プ ロ カル ボキ シ ラー ゼA, Bか ら活 性 化 さ れ る れ も現 在 では 原 義 とは か け 離 れ た意 味 に な って し ま った こ と も知 られ てい る こ とか ら^<43,44)>, 前 立 腺 エ ン ドペ プ チ が) にお 株 を 取 られ て しま った 。 こ う して, この酵 素 は 現 す る も の と思 わ れ る。 カイ コガ の コ クナ ー ゼ は, ダー ゼ に よ る カ イコ ガ生 殖 腺の カル ボキシペ プチ ダー ゼ 4つの 機能 を有 す る とい う特 性 に 基 づ きイニ シ ア ト リン の 活 性 化 の メ カ ニ ズ ムは 特 殊 な もの とは い え な い 。 た (initiatorin) と命 名 され た 。 イ ニ シ ア ト リンは, 1つ で だ, 射 精 時 に, 別 々の 腺 に局 在 してい た 酵 素 前 駆 体 と活 4つ の機 能 を 有 し, 射精 に よ って 無 核 精 子 の運 動 性 獲 得 424 アル ギニン 分 解 カ ス ケ ー ド 61 か ら有 核 精 子 束 解 離 に至 る生 理 学 カ ス ケ ー ドと生 化 学 的 ミノ酸 の高 濃 度 化 に よ って 浸 透 圧 を 高 め るだ け で な く, カス ケ ー ドを 同時 に開 始 させ, ひ い ては, 精 子 の 成 熟 化 さ らに アル ギ ニ ンか ら グル タ ミン酸 へ の代 謝 も さか ん で の た め の諸 反 応 を促 進 す る こ とに な る。 イ ニ シ ア トリン あ る よ うに 思わ れ る。 ア ル ギ ニ ン源 とな る物 質 は 蛋 白質 は低pH下 と とも に ア ル ギ ニ ン リン酸 も推 定 され てい る。 で安 定, 高pH下 pHは9.7, で不 安 定 であ るが, 最 適 マ ンガ ン添 加 で安 定 化 させ る こ と が で き る^<37)>。 現 在, この酵 素 の精 製 を進 め て お り, さ ら に いろ II. ア ラ ニ ンの蓄 積 と プ ロ リン経 路 い ろ な性 質 が 明 らか にな る こ とが 期 待 され る。 G. エ ネ ルギ ー 供与 系 と し て の ア ル ギニ ン分 解 カ ス ケ ー ドが 他 の動 物に も 存 在 す る可 能 性 エ ネ ル ギ ー源 と して, 遊 離 エ ネ ル ギ ーを 他 の動 物 には, こ の よ うな ア ル ギ ニ ン分 解 に よ るエ ネ 貯 え る こ と で, 一 時 的 に は まず, ア ラ ニ ンの 形 を と る こ ル ギ ー供 与 系 が な い のだ ろ うか 。 シ ョウ ジ ョウバ エ 雄 の とが 多 い。 した が っ て, 解 糖 系 の共 役 的 作 動 が 必 要 で あ 付 属 腺 で は グ ル タ ミ ン酸 が 多 量 に蓄 積 され てお り^<45)>, 交 る。解 糖 が さか ん に 進 む の に, PDHC活 性 が 相 対 的 に低 尾 時 に雌 に移 行 す る こ とや, そ の付 属 腺 お よび 精 巣 には い場 合, GPTが 高活 性GPTが 第2は, ア ミノ酸 酸 化 に よる エ ネ ル ギ ーの放 出 であ り, 存 在 す る こ とが 見 い だ され た^<46)>。 イエ バ エ雄 の射 精 管 で は, Database Center for Life Science Online Service 有 能 な エ ネ ル ギ ー源 と して の ア ミノ酸 の か か お りは2 つ あ る。 第1は 働 い て ア ラニ ンの蓄 積 を ひ き起 こす 。 ア ル ギ ニ ンに富 む 蛋 白質 を含 む^<47)>。 エ ネ ル ギ ー源 と して プ ロ リ ンが よ く知 られ て い るが , ア シ ョ ウジ ョウバ エは カ イ コ ガ と異 な り, 精 子 には 有 核 ・ スパ ラ ギ ン酸 や グ ル タ ミ ン酸, さ らに ロイ シ ンや イ ソ ロ 無 核 の区 別 が な く, 雄 の射 精 嚢 で す で に 運 動 性 を獲 得 イ シ ンな どが 利 用 され る こ とも あ る。 アル ギ ニ ン分 解 カ し, 射 精 に よっ て精 包 を 作 る こ とは な い。 し か し な が ス ケ ー ドも, こ の範 疇 に入 る だけ で な く, プ ロ リン酸 化 ら, 以上 の諸 事 実 は, ハエ に も カ イ コガ類 似 のエ ネ ルギ と類 似 の代 謝 系 で そ の変 形 ともみ な し う る。 た だ し, カ ー 生成 系 の存 在 を示 唆 した イ コガ精 包 で は, ア ル ギ ニ ンを供 給 す る系 が 完 備 して い 。 事 実, カ イ コ ガほ ど明 瞭 で は な いが, 雌 の子 宮 に射 精 され た 雄 の 内分 泌 物 の混 合 物 る点 が きわ だ った 特徴 で あ る。 は, まず, ア ル ギ ニ ンの増 加 をひ き起 こす が, さ らに 尿 素量 の増 加 と とも に低 下 し, ア ル ギ ニ ン分 解 に よ るエ ネ ル ギ ー供 与 体 の存 在 を裏 づ け る デ ー タが 得 られ た^<48)>。 目 を異 に し, 生 理 的 変 化 も相 異 な る2種 の昆 虫 でそ の存 在 1.嫌 気 下 に お け る動 物 組 織 に お け るエ ネル ギ ー生 成 と ア ラニ ンの 蓄 積 さ ま ざ まな 条 件 的 嫌 気 生 物 が 嫌 気 下 あ る い は 低 酸 素 が確 認 され た こ とは, こ の ア ル ギ ニ ン分 解 カ ス ケ ー ドに 分 圧 下 に置 か れ る と, 酸 化 還 元 平 衡 を維 持 し な が ら, よる エ ネ ル ギ ー供 与 系 が, 少 な く とも昆 虫 界 には 広 く分 A TPを 布 す る代 謝 系 で あ る こ とを 示 唆 す る。 動 す る。 寄 生 性 扁 形 動 物 や 干 潟 に住 む 二 枚 貝, カ タ ツ ム 効 率 よ く得 るた め, い ろ い ろ複 雑 な 代 謝 系 が 作 他 の動 物, た とえ ば 哺 乳 類 では ど うだ ろ うか 。 この 進 リを 含 む 陸 棲 貝, 土 中 ・泥 中 に棲 息 す る ミ ミズや ゴ カ 化 した 動 物 には さ ま ざ まの 調 節 機 構 が 備 わ り, 器 官 の 分 イ, ユ ス リカ幼 虫 な ど では, 遊 離 の ア ミノ酸 プ ー ル が グ 担 も細 分 ・専 門 化 され て い る反 面, 相互の協関が緊密 リコ ー ゲ ン と と も に重 要 なエ ネ ル ギ ー源 とな り, ア ラニ で, カ イ コ ガ精 包 の よ うな 準 閉 鎖 系 を 形 づ く る こ と もな ンや プ ロ リンの よ うな ア ミノ酸 の 蓄 積 と とも に, コハ ク い。 した が って, す べ て の反 応 が 円 滑 に進 む の で, た と 酸, 酢 酸, プ ロ ピ オ ン酸, イ ソ酪 酸, イ ソバ レ リン酸, え ア ルギ ニ ン分解 カス ケ ー ド系 が 存 在 して も検 出 す る こ メチ ル 酪 酸 な ど の有 機 酸 が 嫌 気 下 の最 終 生 産 物 と して, とは 困 難 で あ って, 環 境 条 件 の 劣 悪 化 ・病 的 な場 合 に の 高 濃 度 で 体 内 に 蓄 積 され る。 しか も, これ ら の物 質 の蓄 み 表 面 に 出 現 す るで あ ろ う。 積 は, 糖 とア ミノ酸 両 代 謝 の 連 携 に よ っ て 可 能 と な 高 張 食 塩 水 に 入 れ られ た 二 枚 貝^<49,50)>や ウナ ギ (腸)^<51)> る^<52)>(図7)。 で も ア ラ ニ ンの蓄 積 が 認 め られ た。 この場 合 に は, ア ラ た とえ ば, カ ンテ ツ^<53)>で は, 酸 素 が 欠 乏 す る と ミ トコ ニ ンほ ど顕 著 で は な いが, す べ て の ア ミノ酸 プ ー ルが 増 ン ドリア に お け る反 応 の酸 化還 元 共 役 が 作 動 し, ケ トカ 大 す る こ とか ら, 蛋 白質 の分 解 が さ か ん に な る こ とは 明 ル ボ ン酸 脱 水素 酵 素 と フマ ル酸 還 元 酵 素 の間 の相 互 作 用 白で あ る が, ア ミノ トラ ンス フ ェ ラー ゼ の 阻害 剤 を付 加 に よっ て, ロイ シ ンが イ ソバ レ リン酸 に 転 換 され, す る と, ア ラニ ンの蓄 積 量 が 減 じて, 代 わ りに オ ル ニ チ 子 のATPを ン レベ ルが 上 昇 した 。 高 張 液 に対 して, Na^+排 泄 と組織 ホ エ ノ ール ピル ピ ン酸 は, リン ゴ酸 を 経 て フ マ ル酸 とな 水保 持 の ため, ATP生 り,ーや は り1分 子 のATPの 生 産 と と も に コハ ク酸 とな 産 を 増 大 させ, 細 胞 中 の 遊 離 ア 1分 生 ず るが, 同時 に解 糖 に よ って 生 じた ホ ス 425 Database Center for Life Science Online Service 62 蛋 白 質 図7. 核 酸 酵 素 Vol. 32 No. 5 (1987) 条 件 的 嫌 気 性 動 物 の 解 糖 と ア ミノ酸 異化 作用^<64)> 嫌 気 下 の た め, 酸 化 還 元 平 衡 が とら れ て い る 。 グ リ コー ゲ ン の ほ か, グ ル タ ミン酸, ア ス パ ラギ ン酸, バ リン, ロイ シ ン な どの ア ミ ノ酸 が 基 質 と して 働 き, さ ま ざ まな 有 機 酸 と と もに ア ラ ニ ンが 蓄 積 す る。G3P : グ リセ ル アル デ ヒ ド-3-リ ン酸, 3PGP : 3-ホ ス ホ グ リセ ロイ ル リン 酸, PEP 元 型 の フ ラ ビ ン蛋 白 質, OCA : ホス ホ ェ ノ ー ル ピル ビン酸, : 2-オ キ ソイ ソ カ プ ロ ン酸, OVA トピ ンを 作 って 決 算 し, 酸 化還 元平 衡 の難 問 を も解 決 し っ て蓄 積 す る。 カキ の心 筋 で は, リン ゴ酸 脱 水 素酵 素 と グ リセ ル ア ル デ ヒ ド-3-リ ン酸 脱 水 素 酵 素 が 共 役 し て, 酸 化還 元平 衡 が と られ, GOTに FP_<ox>とFP_<red>: そ れ ぞ れ 酸 化 型 と還 : 2-オ キ ソイ ソバ レ リ ン酸 。 リン ゴ酸 生 成 促進 の た め, ア スパ ラギ ン酸 の よ るア ミノ基 転 移 が, さ らにGPTと て い る^<55)>。 この 最後 の反 応 は ア ラ ノ ピ ン生 成 反 応 と類 似 して い る。 Duffy ら (1972) は, マ ウス を低 酸 素状 態 で飼 育 した 共 役 して と き, 脳 内 で 乳 酸 と と もに ア ラ ニ ンの蓄 積 が 生 ず る こ と ピル ビ ン酸 か ら ア ラ ニ ンを 生 ず る。 この ア ラ ニ ンは, 酸 を 発 見 した 。 この 場 合, グ リコ ー ゲ ンの分 解 が進 む と と 化還 元 平 衡維 持 の た め, ピ ル ビン酸 と還 元 的 縮 合 を 行 な もに, ア スパ ラギ ン酸 量 も減 じ, GPTとGOTの い, ア ラ ノ ピ ン と して蓄 積 され る こ と も あ る^<54)>。 これ ら 作 用 に よ っ て ア ラ ニ ン と オ キザ ロ酢 酸 が 形 成 され る。 す の 例 で わ か る よ うに, 嫌 気 下 に お け る動 物 組 織 のエ ネル な わ ち, そ とに は 一 種 の2-オ キ ソ グル タル酸/グ ル タ ミ ギ ー獲 得 は, 効 率 よ くATPを 還 元 型NADやNADPを 生 産 す る こ と と, 生 じた 酸 化 型 に戻 す と い う方 向 に 代 謝 系 が 作 動 す る。 も っ と多 くのエ ネ ル ギ ー を急 速 に必 要 とす る頭 足 類 や ン酸 往 還 回 路 が 働 い て い るこ とに な る, Felig 共同 (1973)^<57)> は, ヒ トが 激 し く運 動 す る とき, 筋 肉中 に 活 発 な 解 糖 作 用 が 起 こ るた め, ピル ビ ン酸 の過 剰 生 産 が 生 ず るが, こ れ は さ ら に, 筋 肉 内GPTの 働 き で ア ラ ニ ンに 転 換 さ ホ タ テ ガ イ (閉殻 筋) では, 解 糖 に よっ て生 じたATP れ, 血 液 に よっ て肝 臓 に運 ばれ る の で, 筋 肉 由来 の静 脈 を利 用 す る と とも に, 能 率 よ くア ル ギニン リ ン酸 か ら高 血 中 の ア ラニ ン濃 度 が 上 昇 す る こ とを見 いだ した 。 ア ラ エ ネ ル ギ ー リ ン酸 を放 出 した ア ル ギ ニ ン との縮 合 で オ ク ニ ンは肝 臓 内 でGPTに 426 よ って ピル ビ ン酸 とな り, グ ル Database Center for Life Science Online Service アルギニン分解カス ケー ド 図8. カ イ コ ガ休 眠 卵 に お け る数 種 ア ミノ酸 プ ー ル の 変 化^<74)> 卵 中 の大 部 分 の遊 離 ア ミノ酸 は, 休 眠 突 入 時 と覚 醒 後25℃ レベ ル を 保 ち, 量 も多 くな い。 コ ー ス に合 成 され た あ と血 中 に放 出 さ れ, に戻 され る。 類 似 の 現 象 は, 結局は筋 肉 空 腹 の ヒ トに 高 炭 水 化物 食^<58)>や 低蛋 白質 食^<59)>を 与 え た と きに もみ られ た。 こ う し て, 筋 肉 と肝 臓, 2つ の器 官 に わ た る ア ラ ニ ン-グル コ ー ス 回路 の存 在 が 明 らか に な った 63 に 加 温 した と きを 除 き, ほ とん ど一 定 の 2. 昆 虫 に お け る エ ネル ギ ー生 成 にか か わ る プ ロ リ ン 異化経路 昆 虫 の血 リンパ (hemolymph) 比 べ て10倍 や 細 胞 に は, 哺 乳 類 に もの 高濃 度 の 遊 離 ア ミノ酸 が 含 まれ て い る こ とは よ く知 られ て お り, 浸透 圧 を維 持 す る の に役 立 つ 。 低 酸 素 下 か ら完 全 好 気 条 件 に 転 換 す る まで の 期 間 が 長 と考 え られ た^<62)>。 昆 虫 は一 般 に プ ロ リ ンお よび グ ル タ ミ 期 にわ た る場 合 には, 一 部 を エ ネル ギ ー取 得 に 利 用 す る ン酸, グル タ ミンに 富 み^<63)>, しか も この3つ の ア ミノ酸 ほか, 大 部 分 の遊 離 エ ネル ギ ーを 他 の 物 質 に 転 換 して 貯 の総 和 が 全 ア ミノ酸 に 占 め る割 合 は, 種 類 を 問 わ ず ほ ぼ 蔵 す る。 こ の例 と して, 休 眠 中, チ トク ロ ム系 の不 備 に 等 し く^<64)>, か つ 他 の ア ミノ酸 に 比 べ て 高 い 代 謝 回 転 率 を よ り物 質 の酸 化 能 力 が 低 下 した カ イ コ ガ休 眠 卵 を あげ る 示 した 。 さ ら に, 昆 虫 の活 動 (筋 肉運 動) に 際 して, プ こ とが で き る (図8)。 こ の卵 で は, 休 眠 突 入 時 に 解 糖 系 ロ リ ンの減 少 が さ ま ざ ま な種 類 で見 い だ され た 。 が エ ネ ル ギ ー准 得 のた め 作 動 す るが, 性が き プ ロ リ ンの酸 化 は, まず プ ロ リンの量 的 低下 と関 連 し に も増 加 た ア ラ ニ ンの化 学 量 論 的増 加 に よっ て 明 らか に な った 。 PDHC活 わ め て低 く^<60)>, ア ラニ ンが 短 期 間 の 間 に10倍 し, 生 存 のた め 低 温 下 に保 つ と, 休 眠 覚 醒 まで に グル タ す なわ ち, こ の一 連 の反 応 系 で は, プ ロ リンは グ ル タ ミ ミン酸, グ ル タ ミ ンお よび 多 量 の プ ロ リンの 形 で エ ネ ル ン酸 に転 化 され, ア ミノ基 をGPTに ギ ー保 存 が 図 られ る^<61)>。 こ の卵 を25℃ に 保 温 す る と, チ トク ロム系 の完 備 と と もに, これ らの ア ミノ酸 は 酸 化 よ って ピ ル ビ ン酸 に 移 し, ア ラ ニ ンの蓄 積 を ひ き起 こす 。 事 実, され て, 胚 発 生 の エ ネ ルギ ー を供 給 す る。 プ ロ リンは そ られ た^<65)>。 ア ラ ニ ン と と もに 生 じ た2-オ の1分 子 が 完 全 に酸 化 され る と14分 酸 はTCA回 す る こ とが 知 られ てい るが, 子 のATPを 生産 ミ トコ ン ド リア 膜 へ の 透 過 性 が 大 き い こ とや ア ミノ酸 中 で は 易溶 解 性 で あ る 点 な ど を考 慮 す れ ば, 優 れ た 呼 吸 基 質 とい え る。 ツ ェツェ バ エ の飛 翔 の ご く初 期 で は, グル タ ミン酸 の 増 加 が 認 め キ ソグ ル タ ル 路 で 完 全 酸 化 され, 多大 の エ ネ ル ギ ー を 生 産 す る。Sacktor & Wormser-Shavit キ ンバ エ の飛 翔 時 に お け る解 糖 系 とTCA回 (1966)^<66)>は, 路 のす べ て の物 質, 各 種 ア ミノ酸, 各 種 リン酸 エ ス テ ル な ど, お び た だ しい数 の物 質 の量 的 変 化 を調 べ た。 ま ず, 飛 翔 開 始 時 に は ピル ビ ン酸 が激 減 し, 大 部 分 が ア ラ ニ ンに 転 換 さ 427 Database Center for Life Science Online Service 64 蛋 白 質 図9. GluDH 核 酸 酵 素 Vol. 32 No. 5 (1987) 昆 虫 飛 翔 筋 と脂 肪 体 に お け る プ ロ リンの 代 謝 経 路^<83)> : グル タ ミン酸 脱 水 素 酵 素 。(Kahn ら, 1978に よる) れ るが, 乳 酸 や クエ ン酸 の 蓄 積 は な い 。 ピル ビ ン酸 の 目 る こ とか ら, 飛 翔 筋 で見 いだ され た プ ロ リ ン酸 化 系 が こ 減 りを補 うた め, こ で も作 動 してい る可 能 性 が あ る^<69)>。 トレハ ロー ス, グル コ ー ス, グ リコ ー ゲ ンの分 解 が さ か ん に な る が, 一 方, プ ロ リ ンも激 減 し, ア ミノ基 を ア ラ ニ ンに 供給 す る。 グル タ ミン酸 も少 し減 るが, 2-オ キ ソ グル タル 酸 の 減 少 は 認 め られ な か っ た。 お わ りに 蛋 白質 の代 謝 に伴 う異 化 作 用 が 動 物 組 織 で 行 なわ れ る場 合, 一 般 に非 顕 性 で あ り, 恒 常 的 な も の この よ うに昆 虫 飛 翔 筋 は エ ネ ル ギ ー獲 得 のた め, 好 気 で, そ れ に伴 っ て生 ず る エ ネ ル ギ ー生 産 は 副 次 的 な も の 下 で プ ロ リン酸 化 系 を もつ が, 炭 水 化 物 分 解 との参 画 の で あ る。 した が っ て, 反 応 速 度 も小 さ く, ア ラニ ンの増 度 合 は 種 類 に よ って 異 な り, だ い た い3つ 加 も検 知 され る ま で に は至 らな い。 しか し, 異 常 環 境 下 の型 に分 け ら れ る^<67)>。(1) 上 記 キ ンバ エ型 で は, お も な エ ネ ル ギ ー源 に置 か れ る と, こ の潜 在 的 な代 謝 系 は顕 性 とな り, 積 極 は 糖 に 依 存 して お り, そ れ に 補 助 的 に プ ロ リ ンも参 画 す 的 に活 動 しは じめ る。 本 稿 で は, ア ミノ酸 代 謝 に よる さ る。(2) マ メ コガ ネ型 で は, これ とは 逆 に プ ロ リ ンが 主 ま ざ ま な エ ネ ル ギ ー供 与 系 を例 示 した 。 哺 乳 類 にお け 要 な エ ネル ギ ー源 とな り, 糖 質 は 副 次 的 な も の とな る。 る ア ラニ ン-グ ル コー ス 回路^<57)>は,筋 肉 と しては 異 常 環 (3) 境 に置 か れ て も, 肝 臓 の活 躍 で恒 常 性 回復 に 向か う機 構 ツ ェ ツ ェバ エ型 で は, エ ネ ル ギ ー源 は ま った く プ ロ リンに 依 存 し, 多 量 の ア ラ ニ ンが 蓄 積 す る。 で あ る。 昆 虫 飛 翔 筋 に お け る一 時 的 な ア ラニ ンの急 増 これ ら の昆 虫 で, 呼 吸 基 質 と し て の プ ロ リ ンの合 成 は, 静 的 状 態 か ら激 しい動 的 状 態 に対 処 す る た め の代 謝 は, プ ロ リ ン分 解 系 の存 在 す る筋 肉 の ミ トコ ン ドリア と 活 動 の結 果 で あ る^<66)>。 低 酸 素 下 に お け る寄 生 性 生 物 や 軟 は 別 の脂 肪 体 でな され, 筋 肉 に移 送 ・蓄 積 され る。 合 成 体 動 物 の場 合 も, こ の異 常 環 境 下 で効 率 よ くATPを 系 は 筋 肉 で の分 解 系 の逆 反 応 に類 似 し, プ ロ リ ン合 成 の 産 す る た め に起 こ る^<52)>。 高 張 海 水 に置 か れ た 二 枚 貝 にお 基 質 と しては 脂 肪 が あげ られ て い る^<68)>。 こ の関 係 は, 前 け る ア ラ ニ ンの蓄 積^<49)>は, 急 に生 じた 異 常 環 境 状 態 に対 記 哺乳 類 に おけ る筋 肉 と 肝 臓 の協 関 に よる ア ラニ ン-グ 処 す るた め の反 応 で あ っ た。 ル コー ス 回路^<57)>と 類 似 して い る (図9)。 生 カ イ コガ幼 虫 非 常 に 特殊 な ア ル ギ ニ ン分 解 カス ケ ー ドを もつ カ イ コ の プ ロ リン消 費 は か な り大 き く, ア ラニ ンの合 成 も起 こ ガ精 包 の場 合 で も, 精 子成 熟 の た め に 生 じ た “異 常 環 428 ア ル ギ ニ ン 分 解 カス ケ ー ド 境” が 引 き出 した反 応 系 か も しれ な い 。 しか も, 精 包 で 8) は, 生 殖 とい う, 生物 が一 度 は越 え ね ば な らぬ 関 門, 個 体 に と っ ては 大 き な 生理 学 的 変 化 に 対処 す るた め, さ ら 65 Goldschmidt, M. Microbiol., 9) 22, Davis, R. H., Bacteriol., に, も っ と積 極 的 に これ らの 機 構 を と り入 れ, 活 用 す る 10) よ うにな った もの と も考 え られ る。 こ こで は, 雄 生殖 器 官 にそ れ ぞ れ 局 在 してい た 酵 素 と 基 質 が 一 度 に 混 合 さ 11) Laishley, E. 96, 322-329 De Hawer, M., Growth Differ., の よ うに, カイ コガ は, 蛋 白質分 解^<38)>に よ るエ ネ ル ギ ー 生産 系 を積 極 的 作 動 を 行 な う機 構 に ま で高 度 に 体 系 化 14) 53, 15) し, 精 子 の特 別 なエ ネル ギ ー供 与 系 に した 。 カイ コガ精 包 へ は, まず 雄 貯 精 嚢 か ら多 量 の グ ル タ ミ Database Center for Life Science Online Service ン酸 が移 入 され る の で, こ の ア ミノ酸 が アル ギ ニ ン分 16) 17) が グル コー ス (精原 細 胞) か ら ピル ビ ン酸 (精 母 細 胞) 18) 19) 精 子 の よ うに, 容 積 の小 さな 細 胞 では, 解 糖 系 の よ うな お お が か りな代 謝 系 を容 れ る よ り, もっ と急 速 か つ 容 易 に酸 化 さ れ て エ ネ ル ギ ー を産 む 物 質, 20) 21) 23) が, 精 子 を と りま く環 境 で発 達 して きた のか も し れ な T., A., W. 168 A. T.: Ann. Middelhoven, 3) Cataneda, Acta, W. 93, 650-652 M., O. 6) S., 25) 26) M. net.,9, 147-162 W. 141, J. N.: Mora, W. J. O. K., Gen. J.: Hill, Acta, K., L., Chambers, 148, 435-437 E.: J. E., Richmond, R. 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B.: Kuphyk, (1973) J., Cavener, A., 139, (1963) Owens, 140-141 Sheehan, Physiol., Science, 30) ŽR“c•-Ž}•EˆäŒû–¯•v : “úŽ\ŽG, J., Jpn., (1963) Blanco, W., H.: Blanco, H., Streele, 28•zOsanai, (1973) B., Sci. (1978) 139- (1964) Coetzee, 686-691 Walker, Biochim. Martuscelli, W., 237-240 Friedlich, 133, J.: Acta, Prozesky, Merwe, 5) 33, Aigaki, (1985) Comp. W. 1353-1354 29•zOsanai, W. chim.Biophys. 77, Microbiol., (1979) 2) 4) Rev. Y., 514 Seric. J. 1303-1304 chem.Genet., 27) (文献番号を太字にしたもの特には重要な文献であることを示す) M.: H., 141, Zinkham, J. 1•zAbdelal, J. Devel. (1986) 27, T.: (1964) H.: 73 Yonezawa, Zinkham, Zinkham, Repr., 献 Kasuga, Differ., J. M.: 257-269 (1985) (1963) Ogiso, 文 M., Osanai, 601-602 81-82 24) 本稿を草するにあた り多 くの方 々から有 益な ご助言 を賜わ っ た。 ことに東京都老人総 合研 究所生 物学部相垣敏郎お よび春 日 博子, 両氏の努力な しに, カイ コガ精包の研究の進展は考え ら れない。 ここに厚 く謝意を表 したい。 Bacteriol., (1980) た め に通 常 の細 胞 とは異 な った 特 殊 な エ ネ ル ギ ー供 与系 い。 J. (1984) 653-657 Insect 22) T., Aigaki, Blanco, 143, す な わ ち, TCA 回 路 に 近 い物 質 が好 適 な基 質 と して採 られ, そ の供 給 の M., Young, A.: Wiame, 81, Suppl., Osanai, ence,144, へ と変 化 し, 精 子 で は 乳酸 を とる こ とがわ か った^<27,70)>。 L. J. R., Acta, 28, 519-526 155, Port, W.: Laralle, Growth Science, 解 系 の ス パ ー カ ー と して働 い て い る可 能 性 が 充 分 に あ る^<28)>。 ラ ッ トで は精 子 形 成 の過 程 で, 主 要 エ ネ ル ギ ー源 H., Aigaki, B B., R. Aigaki, Devel. Osanai, Appl. (1970) Bernlohr, H., Osanai, き 出 し, 結 果 と して グル タ ミン酸 を 生 成, 補 給 す る。 こ M.: (1968) 糖 系 お よび アル ギ ニ ン分 解 カ ス ケ ー ドの 開 始 と と も に, T.: M. Biophys. Kasuga, B. (1971) 299-305 J., れ, 精 子 成 熟 の た め の反 応 が進 行 す る^<12∼15,28,29,35∼37)>。 解 12) 13) Lockhart, Lawless, 102, Biochim. ア ル ギ ニ ンのみ を供 給 す る特 殊 な 蛋 白質 分 解 系 ま でが 動 C., 350-357 P.: (1967) Biochim. Biophys. 35) T., 2, Osanai, tia,43, ˆó•ü’† 904 M., Kasuga, H., Osanai, M.: Zool. (1985) Kasuga, H., Aigaki, T.: Experien (1987) 429 66 蛋 白 質 36•zKasuga, H., Biochem., 37•zAigaki, 39) Eguchi, M., Kafatos, F. 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