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オラル授業が目指す真の日本語使用活動とは

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オラル授業が目指す真の日本語使用活動とは
第十三回フランス日本語教育シンポジウム 2012年 フランス・セルジーポントワーズ
13ème Symposium sur l’enseignement du japonais en France, Cergy-Pontoise France, 2012
オラル授業が目指す真の日本語使用活動とは
―質問の適切性から考える―
山崎智子 1・萩原幸司 2
1
Institut Japonais,2 フランス国立社会科学高等研究院博士課程
キーワード:オラル授業,真の日本語使用活動,不適切な質問
0. はじめに ―オラル授業に於ける不適切な質問―
教室活動、特にオラル授業を検討する際、恰も教室という場を現実社会でコミュニ
ケーションするための予行練習の場として考える傾向がある。しかしフランスでは、サ
イバースペースを除き、教室外で日本語の使用機会を持つ学習者は多いとは言えない。
そうした状況だからこそ、教室会話は予行練習としてではなく、それ自体が真の日本語
使用活動としてインタラクティブに展開されるべきではないだろうか。
ところが、この理想を目指した実践はしばしば挫折する。その原因はこれまで、教師
の力量不足や学習者の消極性等に帰せられてはいたが、初級教科書等に見られる不適切
な質問が原因として検証されることは少なかったのではないだろうか。教室で真の日本
語使用活動を目指す上で、教材中の質問が障壁となり得る状況は否定できない。そうし
た質問の殆どは、その課で学習する文型や表現を活かすべく無理に設定されたものであ
り、インタラクションの能力育成を目指したものではないからである。本論では、そう
した質問を文型別ではなく特性別に検討し、不適切な質問を克服して理想の教室活動を
目指す方策について考えていく。
教材中の会話文を俎上に上げる点で、本論は川口(2005)と基本姿勢を共有している。
即ち、「文型・文法教育と会話教育はともに「自然な会話」をモデルとして矛盾なく共
存することができる(同 p.10)」と考えられるように、不適切な教材であってもそれを
否定するのではなく、建設的な使用法を模索するものである。その姿勢に於いて筆者達
は、西川・迫田(2012)の対談中「西川
以前から、文型積み上げ式の教科書が批判さ
れたりしていますね。僕、こういう教材批判、あまり好きじゃないんですよ(笑)。教
材を批判するのって、その教材を学習者に応じて使いこなす力がないことを、自ら告白
しているのと同じじゃないですか(同 p.12)
」と指摘されているような、従来の教材批
判論者とは一線を画する立場を取っている。
学習者にとって真の日本語使用の助けとならない質問は、学習者の反応から主に、1.
「知りません」、
「分かりません」等と答えられる質問、2. 話題として不適切な質問、
3. 両義的な質問、という 3 つのグループに分けられ、それらは更に、話題や使用語彙
の特徴から下位分類が可能である。以下、フランスで人口に膾炙している教科書群の質
問と共に、各グループの難点に対処してみよう。以下に示す例の出典は『みんなの日本
語 初級 II 本冊』
(以下『みんな初級 II』)、
『テーマ別中級から学ぶ日本語』
(以下『テー
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マ別中級』
)
、
『日本語上級読解 ―30 の素材から見えてくる日本人の「いま」』
(以下
『上級読解』
)である。
1. 「知りません」
、
「分かりません」等と答えられる質問
1.1 純粋に知識を問う質問
(話題例:郵便料金、日本大使館の電話番号、最近のニュース)
質問 1:日本からあなたの国へ手紙を出すのにいくらの切手が要りますか。
(『みんな初級 II』p.33)
回答例:130 円の切手が要ります。
日本郵便のサイトに拠ると、日本からフランスの場合(第 2 地帯)
、航空便で定形の
25g までは 110 円(
「国際通常郵便料金表」p.4)になる。質問 1 の文を変えずに教室で
訊いたところ、興味が無い、郵便料金を知らないと答える学習者が多かったが、一人だ
け、日本からの封書を見せてくれた学生がいた。これは稀な事例と言えよう。
こうした問題への対処としては、その課での習得を目指す文型や表現を使いながら、
他の話題に関して幾つか質問を試みるのが妥当であろう。
質問 2:あなたの国の日本大使館の電話番号をご存知ですか。
(『みんな初級 II』p.200)
回答例:在フランス日本大使館の場合、01.48.88.62.00 です。
学習者の殆どが、どうしてそんなことを訊くのかという疑問を抱いてしまい、答えら
れなかった。そこで、無理な質問に対しては深く考えずに「はい」か「いいえ」で答え
ても構わない、と指示するに留めた。
ここで「ご存知ですか」という質問に対し、回答例以外の返事を考えてみると、発話
者が対話者との関係を考慮しなければならないことに気付かされる。
「はい、
{知ってい
ます/存じております}
」と前置きして電話番号を言う」か、そうでなければ「いいえ、
{知りません/存じません}」と答えることになるのではないだろうか。しかし、質問
2 の答えは必要性が無い限り知識として備えていない特殊な内容なので、問われた方は
質問自体の意義に疑問を抱かざるを得ないだろう。
更に類似例として、以下のような質問が挙げられる。
質問 3:最近のニュースを教えてください。
(『みんな初級 II』p.43)
回答例:九州で地震があったそうです。
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質問 3 に対しては、
「知らない」、
「新聞を読んだりニュースを見たりしていない」等
と答えられてしまう。近年の傾向として、新聞を読んだりニュースを見たりする学習者
が減っており、答えられない者や、世界で何が起こっているか関心が無い者もいる。ま
た、知っていても日本語でどう言っていいか分からず、答えられない場合もある。そん
な時は、知っている単語や表現だけでもできるだけ発話してもらえば、周囲の学習者に
も参加してもらって学び合う良い機会になる。それでも答えが文として完成されていな
いようであれば、最終的に教師が手伝って文を構築できれば良いのではないだろうか。
他にも「知らない」或いは「分からない」で答えられてしまう質問には、以下のよう
なものがある。
質問 4:最近テレビでどんなニュースを見ましたか。
(
『テーマ別中級』p.109)
問題点:テレビでニュースを見ない学習者がいる。
質問 5:日本のサラリーマンは日曜日をどのように過ごすか知っていますか。
(
『テーマ別中級』p.85)
問題点:どうしても答えなければいけない時、想像するか、典型的な答えを考えるか、
実在の人物を例に挙げるかしなければならない。
質問 6:皆さんの国には何型の人が多いですか。
(
『テーマ別中級』p.94)
問題点:予備知識が無いと、果たして「何型」と訊いて血液型のことを指していると認
識できるものだろうか。また質問が血液型のことだと分かっても、自分の血液
型を知らない人も少なくない。
1.2 知的推測・思考判断を問う質問
(話題例:円相場)
質問 7:日本の円はこれから高くなりそうですか、安くなりそうですか。
(『みんな初級 II』p.35)
回答例:安くなりそうです。
経済に関心があったり、日頃から為替相場を観察していたりすれば、或る程度の予想
もできるだろうが、そうでなければ答えられない質問である。更に、質問 7 自体では円
と比較する通貨も明示されていないため、却って簡単には答えられなくなっている。
通貨の変動は国際政治や国際情勢に影響されるもので、分析は簡単ではない。
「知ら
ない」や「分からない」という答えを避けるために、ファイナンス関連のサイトを参考
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に、問題とする通貨に対しての円相場の変動が分かる折れ線グラフをプロジェクターか
プリントで提示するか、数値をグラフにして板書してみてはどうだろうか。
1.3 仮定が想像できない質問
(話題例 : 子供に習わせたいこと、パーティーですてきな人に会った時)
質問 8:あなたは子どもにどんなことを習わせたいですか。
(『みんな初級 II』p.45)
回答例:ピアノや水泳を習わせたいです。
考えた末に「何もさせたくありません」と答えられる質問であるが、その答えに対し
てどうして何もさせないか訊き返すこともできる。
子供がいない高校生や大学生は、どうしてそのようなことを訊くのか訝る人もいれば、
どうしてか訊き返す学習者もいる。教師から将来を想像するように言わないと、思い浮
かべられないようである。既に親となっている学生に対しては、年齢に拠っても違うが、
現在どのような習い事をさせているか、または近い将来どのような習い事をさせたいか、
未完了アスペクト「させる」での返答が可能になる。子供が既に自立している人には、
どのようなことをさせていたか語ってもらうことができる。その場合は完了アスペクト
「させた」での返答になる。
他にも、学習者が関心を持てず答えが考えられない質問がある。
質問 9:パーティーですてきな人に会ったら、名前のほかに何を知りたいですか。
(『みんな初級 II』p.29)
回答例:結婚しているかどうか知りたいです。
文法項目の中に「たら」がある課で、好きな俳優や歌手を挙げてもらい、「似たよう
な人に会ったら」を想像してもらったが、男性陣の多くは別に関心が無いようだった。
女性陣はそのような人がいても話し掛けないそうだ。内気な学習者が多いのだろうか。
それとは逆に、女性好きな男子で多様な回答を出してくれた人もいた。
2. 話題として不適切な質問
2.1 現実に訊くべきでない質問
(話題例:所持金)
質問 10:今財布にいくらお金が入っていますか。
(『みんな初級 II』p.7)
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回答例:2 万円ぐらい入っています。
警察等の尋問は除いて、このような質問は道徳的、倫理的、人道的に人に訊くべきこ
とではなく、訊かれても言えない内容である。また、仮に正直に大金を持っていると答
えた場合、大変危険である。
この課で習得を目指す「~ている」の練習からは外れるが、質問 10 のような常識に
反する質問に対しては、「答えられません」または「秘密です」と返答できることを教え
るべきで、無理に答えさせるべきではないだろう。
2.2 学習者に拠っては答えられない質問
(話題例:お父さん)
質問 11:お父さんに褒められたことがありますか。どんなときですか。
(『みんな初級 II』p.23)
回答例:はい。家の仕事を手伝ったとき、褒められました。
「父はいません」との反応が返ってくる可能性を考えて、
「お父さんまたはお母さん、
お爺さんやお婆さん、兄弟、姉妹、誰でもいい」と前置きして、回答の幅を広げておく
のが予防策である。
質問 12:お母さんは料理を作るのが上手ですか。
(『みんな初級 II』p.25)
回答例:はい、上手です。
父親は外で働き母親は家で料理するという固定観念が前提とされているが、フランス
のみならず、世界中で家族の役割は多様化している現在、父親が主夫になり、母親が外
で働いている家庭もある。また離婚、単身赴任等により片親の場合、教室の雰囲気を悪
くしてしまうことがあるかも知れない。ここでも質問 11 と同様、家族構成全員を取り
上げて回答に幅を持たせると良いのではないだろうか。
他にも、同様な問題を含んだ質問には、以下のようなものがある。
質問 13:
「お父さん」という言葉を聞いて、どんなことを思い出しますか。
質問 14: 子供のとき、お父さんとどんなことをしましたか。
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質問 15:お父さんがいつも言っていた言葉を覚えていますか。それはどんな言葉です
か。
(以上『テーマ別中級』p.103)
2.3 学習者の経験を前提としている質問
(話題例:悪天候、コーヒー、お酒)
質問 16:雨で学校が休みになったことがありますか。
(『みんな初級 II』p.27)
回答例:はい、あります。
経験を述べる「~たことがある」の練習であるが、「雨で学校が休み」になる状況自
体、学習者の想像を絶するようである。パリの学生に訊いたところ、訝しく思われたが、
アジア諸国や季節的に降水量の多い地域に於いては、質問 16 で経験の共有を得られる
に違いない。
同じ文型に沿った質問としてフランスで最も無難なのは、質問 16 の文頭「雨で」を
「スト(ライキ)で」に代えたものであろう。
地域性に関係無く、個人の習慣に関わる質問もある。
質問 17:夜コーヒーを飲むと、寝られなくなりますか。
(『みんな初級 II』p.21)
回答例:いいえ、寝られます。
質問 18:お酒を飲みすぎて、気分が悪くなったことがありますか。
(『みんな初級 II』p.37)
回答例:はい、会社の忘年会で飲みすぎました。
質問 17 及び 18 の問題点は、コーヒーやお酒を飲まない人にはここでの文型や表現に
沿って答えられず、「{コーヒー/お酒}は{飲みません/飲めません}」と返すしかな
いことである。また、質問 18 の課では複合動詞を練習しているが、それを使っての返
答を要求するのにも無理がある。
しかし開いた質問にしてみると、「~と+可能形」の文型を活かすことができる。例
えば、「どんなスポーツをすると、体が鍛えられますか」のような質問が可能であり、
その方が情報交換としても有意義であろう。
更に特殊な習慣を想定した質問もある。
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質問 19:家の中に、たとえば人形のように、家族同様に扱ったり、話しかけたりする
ものがありますか。
(『上級読解』p.97)
質問 19 で注意しなければならないのは、質問者も回答者も当然のようにこうした擬
人化を実践しているかのように思われてしまうことである。心理的に順応できず、質問
に応じられない学習者もいることだろう。
3. 両義的な質問
3.1 文意が両義的な質問
(使用語彙例:初めて)
質問 20:初めて人に会ったとき、何と言えばいいですか。
(『みんな初級 II』p.19)
回答例:「初めまして」と言えばいいです。
或る学習者の回答:
「こんにちは」と言えばいいです。
文の両義性を無くすために質問を明確化すべきである。既習の連体修飾を質問文に残
すのであれば、語彙を一つ導入して「初対面の人に会ったとき、何と言えばいいですか」
と訊くことができる。
3.2 語義が両義的な質問
(使用語彙例:両親)
質問 21:あなたの国では両親は子供にどんな手伝いをさせますか。
(『みんな初級 II』p.192)
回答例:食事の準備を手伝わせます。
質問が一般化されているのにも関わらず、文中で使われているのは総称、即ち「父親」
と「母親」から成る「両親」であり、抽象概念の「親」ではない。「両親」は、対話者
の「御両親」か、話者にとっての「私の両親」の意味でしか使用されない。また、現実
の家庭では「父親」と「母親」が常に揃っているとは限らず、別居していたり、離婚し
ていたり、死別していたりする場合もある。例えば、学習者が「父親」の話題に黙って
しまった場合、対話者はその学習者の家庭環境を察しなければならず、同様に「母親」
に関しても訊くべきではないだろう。また「手伝い」については、子供に手伝いをさせ
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る国または家庭は、良く思われるのか、悪く思われるのか、その価値判断も疑問であり、
各家庭の文化にも相違がある。
4. 結論
教材中では、習得を目指す文型や表現に合わせた答えを引き出すため、無理に作成さ
れた質問文が頻出している。その不自然さに惑わされず、それをどのように扱っていく
かが教師の力量と言える。特に『みんなの日本語 初級 I』及び同『初級 II』は、CD を
使った聞き取り練習が用意されており教室練習にも便利であるが、そこで単に不適切な
質問を聞かせて機械的に答えさせるのではなく、それを創造的に利用して発展させるこ
とでより大きな効果が得られるだろう。
また、真の教室活動は、インタラクション能力即ち「交話力」(OJAE(2010))の育
成を目指したものであるべきである。ヨーロッパに於ける外国語教育の指針ともなって
いる CEFR(Council of Europe(2001)
)では、所謂 4 技能に加え、インタラクション能
力が話す能力を補完するものとして加えられている。つまり、単に話せるだけではなく、
対話者との関係や場面に応じて適切な言語行動ができる能力が求められているのであ
る。例えば、CEFR 準拠口頭能力評価法である OJAE (Oral Japanese Assessment Europe)
の掲げる評価基準では、C2 レベルになると、
「言語・非言語標識を駆使し、相手の反応
を確認しながら、違和感を起こさせずにやり取りすることができる」までになる。
(
「OJAE CDS(Can-do Statements)6 段階全体基準表」より(http://www.ojae.org/)
)
。教
室活動がそもそも違和感を起こさせるようなインタラクションであっては、最終到達目
標としても、こうした能力の育成は望めない。
本論で述べたように、不適切な質問に対し、配慮して建設的に取り組むことで、学習
者が真に日本語を使用できるオラル授業の展開が可能になるであろう。
尚、本シンポジウムでの筆者達の発表に対する講評として、大島(2012)では、「教
科書にはこのような不自然さが存在することをしっかり意識した上で、各教師が各現場、
各学習者のレベル等の状況に応じて、より自然な発話を教えられるように、その場で出
来うる最良の方法で個別に対応していくということが必要であろう(同 p.16)
」との所
見が述べられている。この境地こそ、オラル授業が目指す真の日本語使用活動とは何か
について質問の適切性から考えた、筆者達の主張が到達する地平である。各自が自身の
オラル授業で、自身が目指す真の日本語使用活動を実現していくために、本論が気付き
の一助になることを願うものである。
例文引用文献
柿倉侑子・三上京子・鈴木理子・山形美保子(2000)
『日本語上級読解 ―30 の素材
から見えてくる日本人の「いま」
』, アルク.
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第十三回フランス日本語教育シンポジウム 2012年 フランス・セルジーポントワーズ
13ème Symposium sur l’enseignement du japonais en France, Cergy-Pontoise France, 2012
スリーエーネットワーク(編)
(1998)
『みんなの日本語
初級 II 本冊』, スリーエーネッ
トワーク.
松田浩志・太田純子・木川和子・荒井礼子(2007)
『テーマ別中級から学ぶ日本語』, 研
究社.
参考文献
大島弘子(2012)
「第 13 回フランス日本語教育シンポジウム報告 セッション C 教室
活動」『フランス日本語教師会便り』66, pp.15-16.
川口義一(2005)「日本語教科書における会話とは何か ―ある本文会話批判―」
『早稲田大学日本語教育研究』6, pp.1-13.
西川寛之・迫田久美子(2012)
「第 1 特集 教え方に悩んでいませんか 4 つのレッスン
でできる教師になる! 上手な日本語の教え方 ベテラン教師二人が示す道しるべ」
『日本語教育ジャーナル』2012 年秋号, pp.10-13.
Council of Europe (2001) Common European Framework of Reference for Languages:
Learning, Teaching, Assessment (CEFR), Council of Europe.
OJAE(2010)『CEFR 準拠日本語口頭産出能力評価法欧州共通言語参照枠レベル例示:
研究報告・基準ビデオ搭載 DVD』, OJAE.
参考サイト
在フランス日本国大使館 http://www.fr.emb-japan.go.jp/jp/annai/kaikanjikan.html(2012 年
10 月 30 日参照).
日本郵便 http://www.post.japanpost.jp/cgi-charge/(2012 年 10 月 30 日参照).
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13ème Symposium sur l’enseignement du japonais en France, Cergy-Pontoise France, 2012
En vue de la réalisation des activités en japonais dans le cours d’oral
-en réfléchissant si la question est adéquate ou nonYAMAZAKI Tomoko1 et HAGIHARA Kôji2
1Institut Japonais, 2doctorant à l’EHESS
Mots clefs : cours d’oral, réalisation des activités en japonais,si la question est adéquate ou non
Même en France considérée comme environnement plurilinguistique et pluriculturel, des
questions des manuels peuvent empêcher la réalisation des activités en japonais dans le cours
d’oral. Dans cet article, nous examinons de telles questions en les catégorisant par leurs propriétés, et recherchons des méthodes selon lesquelles nous surmontons des questions
inadéquates et réalisons des activités de classes selon nos idéaux. On considère la classe comme
terrain d’entraînement afin de préparer la communication dans la société réelle. Or, en France, il y a des apprenants qui n’ont pas beaucoup d’occasions pour utiliser le japonais en dehors de la classe. Ainsi, les dialogues en classe ne doivent pas être conçus comme entraînement pour la
préparation mais comme réalisation des activités en japonais. Jusqu’ici, on renvoie l’échec de la mise en pratique de cet idéal à l’insuffisance des enseignants ou à la passivité des apprenants
sans jamais s’interroger, par exemple, si des questions des manuels élémentaires sont adéquates ou non. En ce qui concerne les questions qui ne permettent pas aux apprenants la réalisation des
activités en japonais, nous pouvons les catégoriser selon les réactions des apprenants en trois
groupes :
1. Questions acceptant des réponses comme : « je ne le connais pas » ou « je ne le sais pas »
2. Questions pratiquement difficiles à répondre
3. Questions possédant l’ambivalence
En nous affrontant à des questions inadéquates d’une manière constructive avec soin, nous pouvons développer le cours d’oral où les apprenants peuvent réaliser les activités en japonais.
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