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友人関係の質と性格特性についての考察 - 教養学部

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友人関係の質と性格特性についての考察 - 教養学部
友人関係の質と性格特性についての考察
教養学部
教養学科現代社会専修
社会学専攻
05LL134 半村千晶
2008/12/16 提出
要約
この論文は、友人関係に影響を及ぼす性格特性を調べることを目的とする。
分析にあたって、埼玉大学の学生を対象に質問紙調査を行なった。調査では友人関係の
深さについて、雑談をする程度、誘い合って一緒に遊びに行く程度、困ったことがあった
ら相談したり頼ることができる程度、心から信頼することができる程度の4つの段階に分
け、それぞれについて友人数を回答してもらった。また、性格特性を測定するものとして、
「BigFive 尺度」
(和田,1996)の外向性、情緒不安定性、開放性、誠実性、調和性と、質問
項目から因子分析し抽出した友人関係の情緒性、友人関係の利便性を用いた。また、友人
関係の特徴を測定するものとしては、「友人関係尺度」(岡田,1995)の気遣い、ふれあい回
避、群れを使用した。
まず、性格特性について相関分析を行なった結果、友人数と正の相関関係があった性格
特性は、外向性、調和性、であった。外向性は、程度の浅い関係の友人数と正の相関関係
があった。また、友人関係の情緒性は程度に関係なく4つの段階すべての友人数と正の相
関関係があるという特徴が見られた。
次に、友人関係尺度と相関分析を行なった結果、ふれあい回避と4つの段階すべての友
人数に負の相関関係が見られた。また、男女別に相関分析を行なうと、男性は浅い関係の
友人数とふれあい回避に負の相関関係が見られるのに対し、女性は深い関係の友人数とふ
れあい回避に負の相関関係が見られるという特徴があった。
最後に、重回帰分析を行なった結果、外向性が情緒性に影響を与えるということがわか
った。
i
目次
第1章
問題の所在
第2章
方法
2.1 調査の方法
2.2 質問紙の構成
2.3 測定尺度
2.4 コンピュータへの入力
第3章
結果
3.1 因子分析
3.2 信頼性分析
3.3 加算尺度
3.4 相関分析
3.5 重回帰分析
第4章
考察
4.1 相関分析の考察
4.2 重回帰分析の考察
まとめ
おわりに
参考文献
ii
第1章
問題の所在
大学生の友人関係について、溝上(2004)は「人生や将来の問題を話し合う相手や機会が、
現代大学生にはあまりに少なすぎる」と述べている。また、和田(1990)によると、
「1980 年
代の青年は、非常に良好な友人関係を営んでおり、親友や友人の数も多いという調査結果
がいくつも確認される。しかしながら、それは相互の領域を侵さないという暗黙の了解を
前提としており、「本音の話」や「人生いかに生きるべきか」といった内面に関する話はほ
とんどなされていない」という。一般的に、近年の大学生は深い付き合いを避け、浅い友
人関係を好んで築く傾向があるようである。さらに、溝上(2004)は同じ著書の中で、「楽し
いだけ、一緒にいるだけの友人ではなく、人生や将来の問題も話し合える友人づくりをふ
だんから心がけることが重要である。友人いないところにはまったくいないが、いるとこ
ろにはゴロゴロいるというのが実際だろう。」と述べている。
――――――――――――
大学生の友人関係について、溝上(2004)は「人生や将来の問題を話し合う相手や機会が、
現代大学生にはあまりに少なすぎる」と述べている。また、和田(1990)は次のように述べる。
1980 年代の青年は、非常に良好な友人関係を営んでおり、親友や友人の数も多い
という調査結果がいくつも確認される。しかしながら、それは相互の領域を侵さ
ないという暗黙の了解を前提としており、「本音の話」や「人生いかに生きるべき
か」といった内面に関する話はほとんどなされていない。
(和田、1990:ページ数)
一般的に、近年の大学生は深い付き合いを避け、浅い友人関係を好んで築く傾向があるよ
うである。さらに、溝上(2004)は同じ著書の中で、「楽しいだけ、一緒にいるだけの友人で
はなく、人生や将来の問題も話し合える友人づくりをふだんから心がけることが重要であ
る。友人いないところにはまったくいないが、いるところにはゴロゴロいるというのが実
際だろう。」と述べている。
――――――――――――
多くの大学生にとって友人関係への関心は高いと考えられる。特に、大学入学と共に、
ひとり暮らしを始める学生にとっては、友人がいないと社会的に孤立しかねない状況にな
る。また、大学ではゼミや研究室などを除いて特定のメンバーで授業を受ける機会がなく
なる。自然に友人ができる機会は減り、自分から友人を作る努力をしないと友人ができな
くなる。しかし、一方で大学に入ると、サークルや部活、アルバイト、就職活動、と高校
に比べて行動の幅や時間的な余裕は広がり、自分で動けば、人と知り合うチャンスは高校
よりも増す。したがって、溝上(2004)が言うように、大学生活においては、友人ができる人
1
とできない人、友人が多い人と少ない人とという二極化が進むのではないかと思う。この
ことは、栗原(1989)によっても指摘されており、若者は「親にも話せないことを相談し、互
いに自分をぶつけあう、アイデンティティの形成に深いかかわりをもつ親密な友人関係を
もつ若者」と「自他を傷つけあわない、群れていることの安心感から成り立つという自己
中心主義的な友人関係をもつ若者」の二つのタイプに二極化しつつあるということである。
では、友人関係を築くことに影響を与える個人の要因は、何なのだろうか?
今回は友人関係の質、友人数、性格特性に注目した。友人と一口に言っても、挨拶を交わ
す友人から、一緒に遊ぶ友人、悩みを相談する友人などいろんな種類の「友人」がある。
今回は、友人関係を築くのにどのような性格特性が影響するのか、ということと、「友人」
の程度によって、影響する性格特性は違うのか、ということを検証するため、埼玉大学の
学生を対象に質問紙調査を実施した。
先行の卒業論文から、友人数と外向性に正の相関関係があるという結果がでている。今
回は、友人関係の質の程度に関係なく、外向性と正の相関関係があるのか、他の性格特性
との相関関係はないのか、ということを含めて検証すぇdぇえする。
2
第2章
方法
2.1 調査の方法
2008 年 10 月 10 日(金曜日)の 7.8 限に、社会心理学入門を履修している埼玉大学学生を
対象に調査を行なった。回答時間は、約 30 分であり、講義終了後に質問紙を回収した。集
計の結果、回答者は 274 人であった。
回答者の内訳は以下の通りである。
性別
学年
住環境
学部
男性
156 人
女性
118 人
1 年次
190 人
2 年次
47 人
3 年次
26 人
4 年次以降
11 人
自宅
104 人
下宿
153 人
寮
15 人
その他
1人
教養
43 人
教育
82 人
経済
58 人
工学
42 人
理学
49 人
2.2 質問紙の構成
2 女性)
F1
性別(1 男性
F2
学年(1.1 年次
F3
学部(1 教養
Q1
所属している団体(9 項目の中から選択)
Q2
Big Five 尺度(60 問)
Q3
友人関係尺度(17 問)
2.2 年次
2 教育
3.3 年次
3 経済
4.4 年次以降)
4 工学
3
5 理学
6 その他)
Q4
程度別の友人数(4 問)
Q5
友人と知り合うきっかけに関する質問(5 問)
Q6
友人関係に何を求めるかについての質問(9 問)
Q7
よく見るテレビ番組についての質問(27 項目の中から選択)
以上の調査項目のなかから、Q2Big Five 尺度、Q3友人関係尺度、Q4程度別の友人数、
Q6友人に何を求めるかについての質問の4つを使用した。
2.3 測定尺度
ここでは分析に使用した尺度について説明する。
Q2 Big Five 尺度
Q2では、和田(1996)によって作成された Big Five 尺度を使用した。
Big Five 尺度とは性格特性論の立場から、人の基本的性格特性は5次元で説明できると、
仮定して作られた尺度である。
Big Five モデルとは、性格特性の基本次元が、外向性(Extraversion)、
情 緒 不 安 定 性 (Neuroticism) 、( 経 験 へ の ) 開 放 性 (Openess to experience) 、 調 和 性
(Agreeable)、誠実性(Conscientiousness)の5つに集約されるとする仮説である。以下、そ
れぞれの性格特性について説明していく。
外向性(Extraversion)(外向性-内向性)
これは、人との関係などで、外界に積極的に働きかけるか、そうでないかという次元であ
る。外向性の人は、積極的であり、つねに強い刺激を求め活動的であるが、極端になると
無謀な面が現れる。一方、内向性の人は控えめで刺激を求めず、もの静かな生活を望むが、
極端になると臆病・気後れという面が強くなる。
情緒不安定性(Neuroticism)(情動性-非情動性)
これは危機に敏感に反応するか否かの次元である。情動性の人は、敏感であり、ストレス
があると不安や緊張などの感情的な反応をもちやすく極端になると神経症になることもあ
る。一方、非情動性の人は危機があっても動じることなく、情緒が安定しているが極端な
場合は感情が平板であることになる。
4
開放性(Openess to experience)(遊戯性-現実性)
これはイメージや思考などが豊穣か否かの次元である。遊戯性の人は、遊び心があり、新
しいものに好奇心をもって近づく。しかし、極端になると社会から逸脱し夢想や妄想をも
ったりする。一方、現実性の人は堅実で地に足をついた着実な生き方をするが、極端にな
ると権威や伝統にしがみつかずにはいられない権威主義者になったりする。
調和性(Agreeable)(愛着性-分離性)
これは人との関係において、周りの人に同調しやすいか、あるいは自主独立の道をすすむ
かという次元である。愛着性の人は共感性や思いやりをもって、人と親和的な協調関係を
結ぶ。極端な場合は人に追従して集団の中に埋没し、自己を見失う危険ももっている。
誠実性(Conscientiousness)(統制性-自然性)
これははっきりとした目的や意思をもって物事をやり抜こうとするか否かの次元である。
統制性の人は意思が強く勤勉に生きようとするが、極端になると強迫的で仕事中毒におち
いりやすいとされる。一方、自然性の人は環境や自分をありのままに受け入れて、仕事に
こだわりをもたない。しかし、極端な場合には無気力で怠惰な人だと思われる。
Q3 友人関係尺度
Q3 では岡田(1995)によって作成された友人関係尺度を利用した。
現代の青年の特徴として、自分の内面について話すこと(自己開示)を避ける、傷つけあ
うことを極端に恐れる、形だけの円滑な関係を求めることなどが挙げられている。この尺
度は、友人に気を使いながら関わる「気遣い」尺度、深い関わりを避けてお互いの領域を
侵さない「ふれあい回避」尺度、表面的な面白さを志向する「群れ」尺度の3つに分かれ
ている。
2.4 コンピュータへの入力
個々のデータはまず、Excel に入力した。基本的に、○がついた選択肢の番号を入力した。
ただし、Q1 と Q7 に関しては、当てはまる選択肢を複数選ぶ形式になっているため、○が
ついた項目を 1、○がついていないものを 0 と入力した。その後、データを SPSS に読み込
んだ。また、調査で使用した質問紙は巻末に添付している。
5
第3章
結果
この章では分析して得られた結果を示す。
3.1 因子分析
まず、Q6 友人に何を求めるか、の質問について因子分析を行い、分析に必要な因子を作成
した。
(表 3-1 Q6 因子分析)
回転後の因子行列 a
因子
1
2
.120
.406
.738
.279
.664
.333
.610
.205
.842
.169
.380
.334
.198
.649
.752
.207
.390
.202
因子抽出法: 主因子法
回転法: Kaiser の正規化を伴うバリマックス法
a. 3 回の反復で回転が収束しました。
Q06-01
Q06-02
Q06-03
Q06-04
Q06-05
Q06-06
Q06-07
Q06-08
Q06-09
表 3-1 の通り、2因子が抽出された。第一因子は、Q6-2、Q6-3、Q6-4、Q6-5、Q6-8、Q6-9
の得点が高く、第二因子は Q6-1、Q6-6、Q6-7 の得点が高かった。第一因子を友人関係の
情緒性、第二因子を友人関係の利便性とした。
3.2 信頼性分析
まず、BigFive 尺度の5尺度について信頼性分析を行なった。
(表 3-2 外交性
信頼性分析)
6
信頼性統計量
Cronbach
のアルファ
.898
標準化された
項目に基づい
た Cronbach
のアルファ
.899
項目の数
12
α係数は、.898 を示した。よって、この因子は信頼性が高いと言える。
(表 3-3 情緒不安定性
信頼性分析)
信頼性統計量
Cronbach
のアルファ
.912
標準化された
項目に基づい
た Cronbach
のアルファ
.913
項目の数
12
α係数は、.912 を示した。よって、この因子は信頼性が高いと言える。
(表 3-4 開放性
信頼性分析)
信頼性統計量
Cronbach
のアルファ
.864
標準化された
項目に基づい
た Cronbach
のアルファ
.865
項目の数
12
α係数は、.864 を示した。よって、この因子は信頼性が高いと言える。
(表 3-5 誠実性
信頼性分析)
信頼性統計量
Cronbach
のアルファ
.804
標準化された
項目に基づい
た Cronbach
のアルファ
.804
項目の数
12
α係数は、.804 を示した。よって、この因子は信頼性が高いと言える。
7
(表 3-6 調和性
信頼性分析)
信頼性統計量
Cronbach
のアルファ
.786
標準化された
項目に基づい
た Cronbach
のアルファ
.789
項目の数
11
α係数は、.786 を示した。よって、この因子は信頼性が高いと言える。
次に、友人関係尺度についての信頼性分析を行った。
(表 3-7 気遣い
信頼性分析)
信頼性統計量
Cronbach
のアルファ
.582
標準化された
項目に基づい
た Cronbach
のアルファ
.592
項目の数
6
α係数は、.582を示した。よって、この因子は信頼性が高いと言える。
(表 3-8 ふれあい回避
信頼性分析)
信頼性統計量
Cronbach
のアルファ
.474
標準化された
項目に基づい
た Cronbach
のアルファ
.499
項目の数
6
α係数は、.474を示した。よって、この因子は信頼性が高いと言える。
(表 3-9
群れ
信頼性分析)
信頼性統計量
Cronbach
のアルファ
.592
標準化された
項目に基づい
た Cronbach
のアルファ
.595
項目の数
4
α係数は、.592 を示した。よって、この因子は信頼性が高いと言える。
8
次に、因子分析で抽出した、利便性、情緒性の信頼性を調べるため、信頼性分析を行なっ
た。
(表 3-10 情緒性
信頼性分析)
信頼性統計量
Cronbach
のアルファ
.850
標準化された
項目に基づい
た Cronbach
のアルファ
.854
項目の数
6
α係数は、.850 を示した。よって、この因子は信頼性が高いと言える。
(表 3-11 利便性
信頼性分析)
信頼性統計量
Cronbach
のアルファ
.505
標準化された
項目に基づい
た Cronbach
のアルファ
.501
項目の数
3
α係数は、.501 を示した。よって、この因子は信頼性が高いと言える。
3.3 加算尺度
ここでは、分析に必要な加算尺度を作成する。
Big Five 尺度
Q2 の以下の項目をそれぞれ足し合わせて、尺度を作成した。
方法は、和田(1996)に従っている。
また、*印は逆転項目である。
外向性
1,6*,11,16,21*,26*,31,36*,41,46*,51,56*
情緒不安定性
2,7,12,17,22,27,32,37,42*,47,52,57
9
開放性
3,8,13,18,23,28,33,38,43,48,53,58
誠実性
4*, 9*,14*,19*,24*,29,34*,39*,44,49*,54,59*
調和性
5,10*,15*,20,25,30,35,40*,45*,50*,55,60*
友人関係尺度
Q3 の以下の項目を足しあわせて尺度を作成した。
方法は岡田(1995)に従っている。
*印は逆転項目である。
気遣い
11,12,13,14,15,17
ふれあい回避
群れ
2,4*,5,7,9,16*,
1,3,6,8,10
この論文で使用する尺度は以下の通りである。
外向性、情緒不安定性、開放性、誠実性、調和性、友人関係の情緒性、友人関係の利便性、
気遣い、ふれあい回避、群れ、Q4-1 (雑談する程度の友人数)、Q4-2(誘い合って一緒に遊
びに行く程度の友人数)
、Q4-3(困ったことがあったら相談したり頼ることができる友人数)、
Q4-4(心から信頼することができる友人数)
10
3.4 相関分析
まず、Q4 程度別の友人数と Big Five の相関分析を行なった。
(表 3-12 Q4 程度別の友人数と Big Five の相関)
相関係数
Q04-01
Q04-01 Q04-02 Q04-03 Q04-04 外向性 情緒不安定性 開放性
Pearson の相関係
**
**
**
**
**
**
Q04-02
Pearson の相関係 .588**
Q04-03
有意確率 (両側)
.000
N
269
Pearson の相関係 .260**
.000
267
Q04-04
有意確率 (両側)
.000
N
269
Pearson の相関係 .201**
.397**
.726**
.000
262
.000
263
外向性
有意確率 (両側)
.001
N
264
Pearson の相関係 .336**
.301**
.195**
.115
.002
258
.069
253
-.100
-.055
-.289**
**
.443**
有意確率 (両側)
.000
.000
N
262
258
情緒不安定 Pearson の相関係 -.169** -.121
**
**
**
**
*
*
**
**
.051
259
.108
259
.379
254
.000
254
開放性
.151*
.104
.067
.436**
.015
261
.095
261
.286
256
.000
258
誠実性
有意確率 (両側)
.003
N
265
Pearson の相関係 .113
.029
.055
-.018
有意確率 (両側)
.066
N
265
Pearson の相関係 .143*
有意確率 (両側)
.021
N
263
.645
261
.144*
.020
259
.376
261
.207**
.001
259
.770
256
.176**
.005
254
**
**
*
*
**
-.154*
**
.014
257
.207**
-.086
.170**
.001
258
.150*
.017
254
.167
257
-.182**
.004
255
.006
259
.073
.242
257
**
.224**
.000
257
**.相関係数は 1% 水準で有意 (両側) です。
*. 相関係数は 5% 水準で有意 (両側) です。
結果、Q4-1 (雑談する程度の友人数)、Q4-2(誘い合って一緒に遊びに行く程度の友人数)
と外向性に正の相関があった。また、Q4-3(困ったことがあったら相談したり頼ることが
できる友人数)と調和性に正の相関があった。
11
調和性
*
**
有意確率 (両側)
.006
N
263
Pearson の相関係 .184**
調和性
誠実性
次に、男女に分けて相関分析を行なった。
(表 3-13 Q4 程度別の友人数と Big Five の相関
男)
相関係数a
Q04-01
Q04-01
Pearson の相関係
Q04-02
Pearson の相関係
.645**
.000
151
Q04-03
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係
.268**
.420**
.001
152
.000
150
Q04-04
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係
.202*
.396****
.014
148
.000
146
外向性
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係
.299**
.309**
.280**
.234**
.000
144
.001
145
.005
141
-.090
-.153
-.071
有意確率 (両側)
.000
N
148
情緒不安定性Pearson の相関係 -.185*
開放性
誠実性
調和性
Q04-02
**
情緒不安定
性
開放性
*
**
Q04-03
**
Q04-04
*
外向性
**
**
**
**
*
**
**
**
**
**
*
**
**
**
-.360**
誠実性
*
*
*
*
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係
.024
148
.219**
.007
150
.283
144
.166*
.045
146
.066
145
.233**
.005
147
.404
141
.178*
.033
143
.000
143
.525**
.000
146
-.204*
.014
145
.158
.042
.095
.024
.176*
-.138
.084
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係
有意確率 (両側)
N
.055
149
.220**
.007
149
.613
145
.111
.182
145
.253
146
.231**
.005
146
.774
142
.290**
.000
142
.033
146
.177*
.034
144
.099
144
-.214*
.010
144
.314
146
.094
.258
146
**
.220**
.008
145
**.相関係数は 1% 水準で有意 (両側) です。
*. 相関係数は 5% 水準で有意 (両側) です。
a. 性別 = 男
結果、程度に関係なく、友人数と、外向性のそれぞれに正の相関があった。また、Q4-1 (雑
談する程度の友人数)、Q4-3(困ったことがあったら相談したり頼ることができる友人数)
と開放性にそれぞれ正の相関があった。さらに、Q4-1 (雑談する程度の友人数)、Q4-3(困
ったことがあったら相談したり頼ることができる友人数)
、Q4-4(心から信頼することがで
きる友人数)と調和性に正の相関があった。
12
調和性
**
(表 3-14 Q4 程度別の友人数と Big Five の相関
女)
a
相関係数
Q04-01
Q04-01 Q04-02 Q04-03 Q04-04 外向性 情緒不安定性 開放性
Pearson の相関係
**
**
*
**
Q04-02
Pearson の相関係 .518**
Q04-03
有意確率 (両側)
.000
N
118
Pearson の相関係 .247**
Q04-04
外向性
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係
調和性
**
.478**
**
調和性
*
**
.007
117
.214*
.021
116
.000
117
.398**
.000
116
.671**
.000
116
.349**
.299**
.066
-.027
.000
114
-.167
.075
115
.001
114
-.162
.084
115
.486
113
-.036
.706
114
.778
112
-.033
.732
113
.181
.128
-.082
-.107
有意確率 (両側)
.053
N
115
Pearson の相関係 .040
.172
115
.385
114
.259
113
.000
112
.506
112
.012
-.001
-.071
.230*
-.029
.319**
有意確率 (両側)
.672
N
116
Pearson の相関係 .057
有意確率 (両側)
.544
N
114
.900
116
.187*
.047
114
.995
115
.182
.053
113
.456
114
.024
.802
112
.015
112
.141
.143
110
.760
113
-.136
.156
111
.001
113
.035
.717
111
有意確率 (両側)
N
情緒不安定 Pearson の相関係
有意確率 (両側)
N
開放性
Pearson の相関係
誠実性
**
誠実性
*
**
*
-.227*
.017
111
.379**
-.064
**
*
.232*
.014
112
**.相関係数は 1% 水準で有意 (両側) です。
*. 相関係数は 5% 水準で有意 (両側) です。
a. 性別 = 女
結果、Q4-1 (雑談する程度の友人数)、Q4-2(誘い合って一緒に遊びに行く程度の友人数)
と外向性に正の相関があった。
13
次に、Q4 程度別の友人数と友人関係尺度の相関分析を行った。
(表 3-15 程度別の友人数と友人関係尺度の相関)
相関係数
Q04-01
Q04-02
**
Q04-03
**
Q04-04
**
**
**
**
**
**
**
**
**
**
Q04-01
Pearson の相関係数
Q04-02
Pearson の相関係数
.588**
.000
269
Q04-03
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係数
.260**
.443**
.000
269
.000
267
Q04-04
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係数
.201**
.397**
.726**
.001
264
.000
262
.000
263
気遣い
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係数
.006
-.065
-.055
-.087
有意確率 (両側)
N
ふれあい回避 Pearson の相関係数
.916
270
.293
266
.369
266
.162
261
-.200**
-.248**
-.281**
-.202**
.001
271
.063
.301
272
.000
267
.241**
.000
268
.000
267
.185**
.002
268
.001
263
.162**
.009
263
群れ
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係数
有意確率 (両側)
N
気遣い
ふれあい回避
**
**
-.026
.667
268
.175**
.004
269
**
-.189**
.002
270
**. 相関係数は 1% 水準で有意 (両側) です。
結果、程度に関係なく友人数とふれあい回避に負の相関があった。また、Q4-2(誘い合
って一緒に遊びに行く程度の友人数)と群れに正の相関があった。
14
群れ
次に男女別での相関分析を行った。
(表 3-16 程度別の友人数と友人関係尺度の相関
男)
相関係数a
Q04-01
Q04-02
**
Q04-03
**
Q04-04
*
**
**
**
**
**
*
*
*
*
Q04-01
Pearson の相関係数
Q04-02
Pearson の相関係数
.645**
.000
151
Q04-03
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係数
.268**
.420**
.001
152
.000
150
Q04-04
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係数
.202*
.396**
.769**
.014
148
.000
146
.000
147
気遣い
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係数
.038
-.002
-.008
-.086
有意確率 (両側)
N
ふれあい回避 Pearson の相関係数
.640
154
.979
150
.921
151
.298
147
-.219**
-.304**
-.169*
-.164*
.006
154
.081
.319
154
.000
150
.231**
.004
150
.038
151
.196*
.016
151
.047
147
.208*
.012
147
群れ
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係数
有意確率 (両側)
N
気遣い
ふれあい回避
**
**
-.010
.906
153
.219**
.006
153
**
-.247**
.002
153
**. 相関係数は 1% 水準で有意 (両側) です。
*. 相関係数は 5% 水準で有意 (両側) です。
a. 性別 = 男
結果、Q4-1 (雑談する程度の友人数)、Q4-2(誘い合って一緒に遊びに行く程度の友人数)
とふれあい回避に負の相関があった。また、Q4-2(誘い合って一緒に遊びに行く程度の友
人数)、Q4-4(心から信頼することができる友人数)と群れに正の相関があった。
15
群れ
(表 3-17 程度別の友人数と友人関係尺度の相関
女)
相関係数a
Q04-01
Q04-01
Pearson の相関係数
Q04-02
**
Q04-02
Pearson の相関係数
.518**
.000
118
Q04-03
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係数
.247**
.478**
.007
117
.000
117
Q04-04
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係数
.214*
.398**
.671**
.000
116
-.158
.090
116
-.186*
.044
117
.253**
.006
118
.000
116
-.127
.177
115
-.423**
.000
116
.174
.060
117
有意確率 (両側)
.021
N
116
気遣い
Pearson の相関係数 -.053
有意確率 (両側)
.569
N
116
ふれあい回避 Pearson の相関係数 -.135
有意確率 (両側)
.147
N
117
群れ
Pearson の相関係数
.050
有意確率 (両側)
.587
N
118
**. 相関係数は 1% 水準で有意 (両側) です。
Q04-03
**
Q04-04
*
気遣い
ふれあい回避
**
**
*
**
**
**
**
-.085
.367
114
-.266**
.004
116
.097
.298
116
-.034
.721
115
.114
.224
116
-.131
.159
117
*. 相関係数は 5% 水準で有意 (両側) です。
a. 性別 = 女
結果、Q4-3(困ったことがあったら相談したり頼ることができる友人数)、Q4-4(心から
信頼することができる友人数)とふれあい回避に負の相関関係があった。また、Q4-2(誘
い合って一緒に遊びに行く程度の友人数)と群れに正の相関があった。
16
群れ
最後に、Q4 程度別の友人数と友人関係の情緒性、友人関係の利便性の相関分析を行った。
(表 3-18 程度別の友人数と友人関係の情緒性、友人関係の利便性の相関)
相関係数
Q04-01
Q04-02
**
Q04-03
**
Q04-04
**
情緒性
**
**
**
**
**
**
Q04-01
Pearson の相関係数
Q04-02
Pearson の相関係数
.588**
.000
269
Q04-03
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係数
.260**
.443**
.000
269
.000
267
Q04-04
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係数
.201**
.397**
.726**
.001
264
.000
262
.000
263
情緒性
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係数
.238**
.294**
.292**
.343**
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係数
有意確率 (両側)
N
.000
267
.148*
.015
270
.000
263
.105
.088
266
.000
263
.043
.480
266
.000
258
.049
.426
261
利便性
*
**
**. 相関係数は 1% 水準で有意 (両側) です。
*. 相関係数は 5% 水準で有意 (両側) です。
結果、程度に関係なく友人数と友人関係の情緒性に正の相関があった。
17
利便性
**
.482**
.000
266
次に男女別に相関分析を行った。
(表 3-19 程度別の友人数と友人関係の情緒性、友人関係の利便性の相関 男)
相関係数a
Q04-01
Q04-02
**
Q04-03
**
Q04-04
*
情緒性
**
利便性
**
**
**
**
*
**
**
*
**
*
Q04-01
Pearson の相関係数
Q04-02
Pearson の相関係数
.645**
.000
151
Q04-03
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係数
.268**
.420**
.001
152
.000
150
Q04-04
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係数
.202*
.396**
.769**
.014
148
.000
146
.000
147
情緒性
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係数
.224**
.224**
.368**
.400**
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係数
有意確率 (両側)
N
.006
152
.233**
.004
153
.000
148
.185*
.024
149
.000
149
.163*
.047
150
.000
145
.185*
.025
146
利便性
**
.483**
.000
151
**. 相関係数は 1% 水準で有意 (両側) です。
*. 相関係数は 5% 水準で有意 (両側) です。
a. 性別 = 男
結果、程度に関係なく友人数と情緒性に正の相関があった。また、Q4-1 (雑談する程度の
友人数)と、利便性に正の相関があった。
18
(表 3-20 程度別の友人数と友人関係の情緒性、友人関係の利便性の相関 女)
相関係数 a
Q04-01
Q04-02
**
Q04-03
**
*
*
**
**
**
**
*
Q04-01
Pearson の相関係数
Q04-02
Pearson の相関係数
.518**
.000
118
Q04-03
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係数
.247**
.478**
.007
117
.000
117
Q04-04
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係数
.214*
.398**
.671**
.021
116
.000
116
.000
116
情緒性
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係数
.236*
.265**
.198*
有意確率 (両側)
N
Pearson の相関係数
有意確率 (両側)
N
.011
115
.048
.610
117
利便性
.004
115
-.013
.888
117
.034
114
-.114
.221
116
Q04-04
情緒性
利便性
**
.289**
.002
113
-.140
.136
115
**
.504**
.000
115
**. 相関係数は 1% 水準で有意 (両側) です。
*. 相関係数は 5% 水準で有意 (両側) です。
a. 性別 = 女
結果、Q4-1 (雑談する程度の友人数)、Q4-2(誘い合って一緒に遊びに行く程度の友人数)、
Q4-4(心から信頼することができる友人数)と情緒性に正の相関があった。
19
3.5 重回帰分析
相関分析の結果、Q4 程度別の友人数と、友人関係の情緒性に正の相関があることが分か
った。そこで、友人関係の情緒性に影響を与える性格特性があるのか重回帰分析を行なっ
て調べる。
従属変数を友人関係の情緒性、独立変数を Big Five、Q4 程度別の友人数、にして重回帰
分析を行なった。
(表3-21 重回帰分析
従属変数
友人関係の情緒性)
係数a
モデル
1
2
(定数)
Q04-04
(定数)
Q04-04
外向性
非標準化係数
B
標準誤差
18.577
.713
1.403
.251
13.633
1.362
1.220
.245
.112
.027
標準化係
数
ベータ
.357
.310
.262
t
26.043
5.600
10.010
4.971
4.204
有意確率
.000
.000
.000
.000
.000
a. 従属変数: 情緒性
重回帰分析の結果、有意なのは、Q4-4(心から信頼することができる友人数)、外向性であ
った。
次に、従属変数を利便性、独立変数を Big Five、Q4 程度別の友人数として重回帰分析を行
なった。
(表3-22 重回帰分析
従属変数 利便性)
係数a
モデル
1
(定数)
外向性
非標準化係数
B
標準誤差
7.463
.686
.042
.014
標準化係
数
ベータ
.197
a. 従属変数: 利便性
20
t
10.875
3.029
有意確率
.000
.003
結果、有意なのは外向性のみであった。
第4章
考察
この章では第3章で得られた結果をもとに考察する。
4.1 相関分析の考察
4.1-1
Q4程度別の友人数と Big Five の相関分析の考察
まず、Q4程度別の友人数と Big Five の相関分析を行った結果について考察する。相関
分析を行なった結果、Q4-1 (雑談する程度の友人数)、Q4-2(誘い合って一緒に遊びに行く
程度の友人数)と外向性にそれぞれ正の相関があった。しかし、Q4-3(困ったことがあっ
たら相談したり頼ることができる友人数)、Q4-4(心から信頼することができる友人数)と
外向性のそれぞれには、正の相関関係は見られなかった。これらの結果から、以下の2つ
のことが考えられる。1つ目は、比較的浅い関係の友人数に外向性が影響するということ
である。刺激を求め、積極的に外界に働きかける人のほうが友人関係を築きやすいと考え
られる。もう一つは、相談する、頼るなど深い関係の友人数に必ずしも外向性は影響しな
いのではないかということである。前の年度の卒業論文では、埼玉大学生への質問紙調査
から、友人数と外向性に正の相関関係があるという分析結果が出ている。しかし、今回の
質問紙調査からは、より深い関係の友人数と外向性の間には正の相関関係は見られない。
したがって、深い友人関係を築く上では、必ずしも外向性が影響するとは言えない。これ
らのことから、まず、単なる知り合いや浅い友人関係になる段階では、外向性が影響する
が、その後、その友人と相談したり、頼りあう深い関係に発展するかどうかという段階で
は、外向性は影響しないのではないか、と考えられる。
また、Q4-3(困ったことがあったら相談したり頼ることができる友人数)と調和性に正
の相関関係が見られた。共感性が高く、親和的な協調関係を結ぶことができる人は、友人
に援助を求めることができると考えられる。
次に、男女に分けてQ4程度別の友人数と Big Five の相関分析を行なった結果について
考察する。男女別で相関分析を行った結果、男性は程度に関係なく友人数と外向性に正の
相関関係があった。また、Q4-1 (雑談する程度の友人数)、Q4-3(困ったことがあったら相
談したり頼ることができる友人数)と開放性にそれぞれ正の相関関係があった。また、Q4-1
(雑談する程度の友人数)、Q4-2(誘い合って一緒に遊びに行く程度の友人数)、Q4-3(困っ
たことがあったら相談したり頼ることができる友人数)と調和性にそれぞれ正の相関関係
が見られた。逆に女性では、Q4-1 (雑談する程度の友人数)、Q4-2(誘い合って一緒に遊び
に行く程度の友人数)と外向性にそれぞれ正の相関関係が見られるのみであった。
これらの結果から、友人数と性格との相関関係において性差があるということがわかる。
21
男性は、程度に関係なく、友人数と外向性にそれぞれ正の相関関係があり、深い段階の友
人数にも、外向性が影響を与えると考えられる。また、女性では正の相関関係がなかった
が、男性は、開放性、調和性と友人数の間にそれぞれ正の相関関係がある。このことから、
男性は女性に比べて、友人関係を築く上で性格特性の影響を受けやすいと考えられる。
4.1-2
Q4程度別の友人数と友人関係尺度の相関分析の考察
まず、Q4程度別の友人数と友人関係尺度の相関分析を行った結果について考察する。
程度に関係なく、友人数とふれあい回避に負の相関関係があった。また、Q4-2(誘い合っ
て一緒に遊びに行く程度の友人数)と群れに正の相関関係が見られた。ふれあい回避尺度
とは、「お互いのプライバシーには入らない」「お互いの領分には入らない」など深い関わ
りを避けて互いの領域を侵さないことを内容とした尺度である。この結果から、友人関係
を築く上では、相手へ積極的に働きかけ、ある程度、相手の領域に踏み込むことが必要な
のではないか、と考えられる。また、群れ尺度とは、「ウケるようなことをよくする」「み
んなで一緒にいることが多い」など集団で表面的な面白さを指向する関わり方をする尺度
のことである。
次に男女に分けて、Q4程度別の友人数と友人関係尺度の相関分析を行なった結果につ
いて考察する。男性では、Q4-1 (雑談する程度の友人数)、Q4-2(誘い合って一緒に遊びに
行く程度の友人数)とふれあい回避に負の相関関係があり、Q4-3(困ったことがあったら
相談したり頼ることができる友人数)、Q4-4(心から信頼することができる友人数)とは、
負の相関関係は見られなかった。逆に、女性では、Q4-1 (雑談する程度の友人数)、Q4-2(誘
い合って一緒に遊びに行く程度の友人数)と、ふれあい回避に負の相関関係はなかったが、
Q4-3(困ったことがあったら相談したり頼ることができる友人数)、Q4-4(心から信頼する
ことができる友人数)とふれあい回避に負の相関関係があった。これらの結果から、男性
は浅い初期の段階の友人数とふれあい回避に負の相関があり、逆に女性は関係が深まる段
階の友人数とふれあい回避に負の相関があるということがわかる。
人間関係の深さと、ふれあい回避の傾向の関係について、岡田(2007)によると、「日常的
な雑談をするとか、一緒に食事をするといった、気持ちの交流が生まれ関係が深まるよう
な「ふれあい場面」になると、逃げ出したくなってしまう」という「ふれあい恐怖」の傾
向が、現代の青年に見られるという。同著によると、「これは必ずしも重い心の病を負った
人におきるのではなく、むしろ一見するとごく普通に生活しているように見える若者の間
で見られる」という。また、「ふれあい恐怖は、どちらかと言うと成績優秀、まじめ一本で
過ごしてきた男子学生に多く、母親から親離れできないことなども指摘されている。」とあ
る。今回の調査の結果、特に男性で浅い初期の段階の友人数とふれあい回避に負の相関が
見られた。ただ、岡田(2007)の調査とどの程度共通点があるのかということについては、今
後さらに調べる必要がある。
22
また、女性では関係が深まる段階の友人数とふれあい回避に負の相関関係があった。に
よると、女性は友人と個人的な悩みや家族関係、恋愛関係などの対人関係にまつわる情緒
的な話題について深く詳しく話す傾向があるという。個人的な話題について語り合うこと
で、互いの見解や考え方を知り、価値の共有をはかることが重要である、という。今回の
結果で女性では関係が深まる段階の友人数とふれあい回避に負の相関関係があった。これ
は、女性では関係が深まる段階では、友人と密にコミュニケーションを交わすことが重要
なのではないかと考えられる。友人数と Big Five の相関分析では、男性は外交性、調和性、
解放性といった性格特性との相関があったのに対し、女性では浅い段階の友人数と外交性
に相関がみられたものの、そのほかの性格特性のの相関は見られなかった。この結果と合
わせて考えて、女性は友人関係を築く上で性格特性よりもコミュニケーションを密にとり、
ふれあうことによって互いの性格や価値観を共有し、情緒的に結びつくことが重要なので
はないか、と考える。
4.1-3
Q4程度別の友人数と友人関係の情緒性、友人関係の利便性の相関分析の考察
まず、Q4友人数と友人関係の情緒性、友人関係の利便性の相関分析を行った結果につ
いて考察する。程度に関係なく、友人数と友人関係の情緒性に正の相関関係があった。ま
た、男女別に相関分析を行なった結果、男性も程度に関係なく友人数と情緒性に正の相関
関係があった。女性は、Q4-3(困ったことがあったら相談したり頼ることができる友人数)
を除く友人数と友人関係の情緒性に正の相関があった。以上の結果から、友人関係の情緒
性は友人数に大きく影響を与えると考えられる。
4.2 重回帰分析の考察
従属変数を友人関係の情緒性、独立変数を Q4 程度別の友人数、Big Five、としたとき、
有意なのは、外向性と Q4-4(心から信頼できる友人数)であった。このことから、外交性
が友人関係の情緒性に影響を与えていると考えられる。また、相関分析では、Q4-3(困っ
たことがあったら相談したり頼ることができる友人数)、Q4-4(心から信頼することができ
る友人数)と外向性に正の相関関係はなかったが、友人数と友人関係の情緒性に正の相関
関係があり、友人関係の情緒性に外向性が影響を与えていることを考えると、外向性が、
深い関係の友人数に影響を与えないとは言えない。また、従属変数を友人関係の利便性、
独立変数を Q4 程度別の友人数、Big Five としたとき、有意なのは外向性のみであった。こ
のことから、友人関係の情緒性、友人関係の利便性、共に外向性が影響を与えていると言
うことができる。
23
まとめ
相関分析、重回帰分析を行った結果、友人数と相関があった性格特性は、外向性、調和
性、友人関係の情緒性の3つであった。
まず、外向性は、浅い関係の友人数と正の相関が見られた。また、男性は程度に関係な
く、友人数と正の相関が見られた。さらに友人関係の情緒性を従属変数として重回帰分析
を行った結果でも、外向性は有意であった。このことから、外向性は友人数に影響を与え
る性格特性であると言える。今回の質問紙調査では、主に、自分のことを「話し好き」「陽
気な」「外交的」「社交的」「活動的」「積極的」などにあてはまると回答した人を外向性が
高い、と定義している。やはり、自己開示が自分で進んでできるような人、さらに自分を
そのように認知している人のほうが、友人数も多いのだろうと考えられる。しかし、深い
関係の友人数と外向性は正の相関が見られなかった。
次に、調和性は相談したり、頼ることができる友人数と正の相関があり、また、男性で
は、雑談する程度の友人や信頼できる友人数とも正の相関があった。
質問紙では、主に、「温和な」「寛大な」「親切な」「良心的な」「協力的な」「素直な」など
に当てはまると回答した人を調和性が高い、と定義している。これらの形容詞からは、穏
やか、優しいなど女性的なイメージがある。男性は、女性らしさも備えた両性性の人のほ
うが友人が多いのではないか、と考える。
最後に、友人関係の情緒性については、ほぼすべての友人数と正の相関関係が見られた。
情緒性は、「一緒にいると楽しい」「一緒に遊びに行く」「悩みを相談する」「一緒にいると
気が晴れる」「一緒にいると安心する」「相手の悪いところを指摘する」ことが、よくある
と回答した人ほど高いと定義した。
「一緒に遊びに行く」など人と群れることができるだけ
でなく、「悩みを相談する」など自己開示できる人はやはり友人数も多くなるということだ
ろう。
おわりに
参考文献
堀洋道(監修)山本眞理子(編)2001.『心理測定尺度集Ⅰ-人間の内面を探る〈自己・個人
内過程〉』サイエンス社.
堀洋道(監修)吉田富士雄(編)2001. .『心理測定尺度集Ⅲ-人間と社会のつながりをとら
える〈対人関係・価値観〉』サイエンス社.
小塩真司
著 2004.『SPSS と Amos による心理・調査データ分析-因子分析・共散構造分析
まで』東京図書
24
溝上慎一
著 2004『大学生の自己と生き方』ナカニシヤ出版
丹野義彦 2003『性格の心理-ビックファイブと臨床から見たパーソナリティ』サイエンス社
岡田努 2007『現代青年の心理学-若者の心の虚像と実像』世界思想社
栗原彬 1989『やさしさの存在証明-若者と制度のインターフェイス』新曜社
25
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