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(案)に寄せられた意見と県の考え方 (PDF:197KB)
レッドリスト(案)に寄せられた意見と県の考え方 愛媛県版レッドリスト(案)について、4月 30 日(水)から5月 29 日(木)までの期間でパブ リック・コメントを実施したところ、7人の方から 30 件の意見をいただきました。 案に対する意見と考え方は、次のとおりです。 なお、いただいた意見は、適宜集約・要約しています。 寄せられた意見の要旨 1 〇レッドリストの改訂間隔が 10 年は長す 県の考え方 レッドリストの選定は、過去 10 年間も ぎる。もっと短い間隔で見直しを行って しくは3世代のどちらか長い期間におけ はどうか。 る個体数の増減を評価の要件としている ことから、改訂の間隔は 10 年が適当と考 えます。 2 〇環境省のレッドリストの基準と異なる 愛媛県版レッドリストのカテゴリーの 基準を設けることは適当でなく、要注意 定義は、前回と同様に、定量要件の面積 種(AN)と情報不足(DD)の違いが分 条項以外は環境省カテゴリー(環境省、 からない。 2012)に準拠しており、愛媛県が環境省 と異なる基準を設定しているわけではあ りません。 (環境省カテゴリーの面積条項 は日本全体を対象としたものであるため に本県では設定していません)。 要注意種(AN)は、「愛媛県内の分布 域からすると、現時点で種として絶滅の おそれがあるものではないため絶滅危惧 ⅠA 類(CR)、同ⅠB 類(EN)、同Ⅱ類(VU)、 準絶滅危惧(NT)、情報不足(DD)のラ ンクには該当しないが、県内の生物多様 性の保全の観点から今後の個体数や生息 条件の変化にとくに注意する必要がある と考えられる種」を指します。 情報不足(DD)は、「既に『個体数が 希少』あるいは『生息地が局限』など絶 滅危惧(EX~VU)に該当する要素を持っ ているが、いずれのランクにも判定する に足る情報がない種」を指します。言い 換えると、情報不足(DD)は情報が充足 すれば絶滅危惧のランクに入る可能性が 高い種、要注意種(AN)は現時点では絶 滅危惧には含まれない種と言えます。 絶滅危惧種とは狭義には絶滅危惧ⅠA 類(CR)、同ⅠB 類(EN) ・同Ⅱ類(VU) までを指し、準絶滅危惧(NT)と情報不 足(DD)は含まれません。しかし(NT) は生息条件の変化によっては今後、絶滅 危惧に移行するおそれがある種、情報不 足(DD)は評価する情報が不足している が情報が得られた場合は絶滅危惧に含ま れる可能性がある種としてレッドリスト に掲載されています。いずれも絶滅危険 性がすでに高まっている、あるいはその 可能性があるという意味で、普通は絶滅 危惧ⅠA 類(CR)~絶滅危惧Ⅱ類(VU)・ 準絶滅危惧(NT)・情報不足(DD)まで をレッドリスト種として扱っています。 要注意種(AN)についてはレッドリスト 種ではありませんが、県内の生物多様性 の保全の観点から注意する種という意味 でリストに含まれています。リストや一 覧表では要注意種(AN)も含まれていま すが、絶滅危惧種と混同しないように、 記載方法を検討します。 3 〇レッドリストに掲載されてもレッドリ 要注意種(AN)についてはレッドリス スト種として扱わないという位置づけが ト種ではありませんが、県内の生物多様 理解できない。 性の保全の観点から注意する種という意 味でリストに含まれています。リストや 一覧表では AN も含まれていますが、絶 滅危惧種と混同しないように、記載方法 を検討します。 4 〇調査項目によって、I類をⅠa(CR) カテゴリー区分ではⅠ類とⅡ類はおも とⅠb(EN)を区別せずにいるが、Ⅰ類 に定性的要件で区別されますが、絶滅危 とⅡ類を分ける根拠があれば、CR と EN 惧ⅠA類(CR)と絶滅危惧ⅠB類(EN) を区分することは可能であり、区別するべ は、定量的要件が揃うだけの分布情報が きである。 必要となります。過去のデータが少ない 分類群や研究者の少ない分類群では定量 的要件を揃えることは難しい場合があ り、絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)と絶滅危惧 Ⅱ類(VU)までの区分となっている分類 群もあります。各分類群では調査データ の蓄積が進んでおり、今後は絶滅危惧ⅠA 類(CR)と絶滅危惧ⅠB 類(EN)の区分 も可能となると思われます。 5 〇愛媛県の動植物の現状について、最も詳 県民の皆様が経験的に感じられている しい専門家が作成したリストについて、 絶滅の危険度が、専門家が示したランク 一般の方にパブリック・コメントで意見 と異なる場合は、検証を行うなどして、 を求める意味合いはどこにあるのか。 納得いただけるものとすることが、今後、 生物多様性保全活動を推進していくうえ で非常に重要であると考え、パブリッ ク・コメントを実施しました。 6 ■哺乳類 ニホンカモシカは、本県に隣接してい 〇4月初めに、徳島県の奥祖谷でニホンカ る徳島県、高知県には生息しており、そ モシカを目撃した。徳島県に生息してい の分布域は拡大していると言われていま て、愛媛県には生息していないのか。 す。本県ではかつては石鎚山系に生息し ていましたが、県内の確実な記録は、愛 媛県総合科学博物館にある戦後まもなく 捕まった高瀑方面の毛皮であり、その後 聞き取り調査による記述や目撃情報はあ るものの確実な記録は得られておらず、 記録から 50 年以上を経ていることから絶 滅と評価しました。 7 ■鳥類 本県におけるコウノトリの飛来状況に 〇野鳥№64 コウノトリ科コウノトリ(環境 ついては、御指摘のとおりです。 省CR)について、DD新規とされてい そこで、本県の飛来状況について科学 るが、次の理由により、絶滅危惧Ⅰ類(C 的に慎重な検討を行い、カテゴリー定義 R+EN)が適当。 (理由①) 愛媛県に飛来したコウノトリの記録と を例外なく厳密に適用した結果、 ・愛媛県において平成 18 年以前に複数 の個体が繁殖、渡来していたという記録 しては、昭和 47 年から翌 48 年にかけて がない。 1羽の野生個体が宇和町他に飛来滞在 ・愛媛県において野生個体の渡来は不 越冬したという記録がある。また平成 18 定期であり、いずれも渡来数は1羽であ 年から昨平成 25 年までの8年間、愛媛 ること。 県には、野生個体を含め兵庫県豊岡市産 ・したがって、著しく個体数が減少し の個体など最大4羽群を始めとする計 つつある、もしくは、生息環境が急激に 6羽超のコウノトリが8年連続して宇 悪化しているという判断ができない。 和町他に飛来滞在している。これらの記 ・兵庫県豊岡市で放鳥された個体につ 録から愛媛県西予市宇和町他へのコウ いては、現段階では野生個体と判断しな ノトリの飛来実績ならびに定着状況は い。 安定していると考える。 (理由②) といった4点を考慮し、下記の「DD(情 報不足)」の判断基準および具体的要素の 隣県・香川県レッドデータブック(平成 a、b により「DD(情報不足)」と評価し 16 年3月刊)には「1975(昭和 51)年 ました。 11 月に高松市の神内池に(コウノトリ) ■「DD(情報不足)」の判断基準■ 1個体が飛来し話題になった。環境省で 「環境条件の変化によって、容易に絶 絶滅危惧ⅠA 類に指定されたことや今 滅危惧のカテゴリーに移行し得る属性 後も飛来の可能性を含めて絶滅危惧Ⅰ (具体的には、次のいずれかの要素)を 類に選定」とある。僅か一度の飛来滞在 有しているが、生息状況をはじめとして、 を受けて速やかにRDBに絶滅危惧ⅠA ランクを判定するに足る情報が得られて 類に選定掲載された香川県と、現時点に いない種」 至ってもなお「DD(情報不足)」としか a) どの生息地においても生息密度が低 判定しない愛媛県の対応との間には余 く希少である。 りに乖離がある。 8 ■昆虫類 b) 生息地が局限している。 シコクコルリクワガタ(=ミナミコル 〇シコクコルリクワガタはシコクルリク リクワガタ)Platycerus takakuwai namedai ワガタではないか。(和名誤り) Fujuta, 1987;シコクルリクワガタ(=シ コクニセコルリクワガタ,ニセコルリク ワガタ)Platycerus sugitai Okuda et Fujita, 1987. です。 今回のレッドリストで扱うのは東予の カ ガ マ シ 山 な ど に 分 布 す る Platycerus takakuwai namedai ですので和名はシコク コルリクワガタとなります。 9 ■昆虫類 セアカナガクチキに変更します。 〇セアカナガナガクチキはセアカナガク チキではないか。(和名誤り) 10 ■昆虫類 ナカツメクラチビゴミムシに変更しま 〇ナカツメクラチビゴムシはナカツメク す。 ラチビゴミムシではないか。 (和名誤り) 11 ■昆虫類 御意見のとおり、生息環境はやや狭い (シジミチョウ科ミドリシジミ類) 範囲ですが、既知の生息地は経済活動の 〇絶滅危惧Ⅱ類(VU)予定の6種(№200 影響を受けづらく、今後も生息環境に特 ~205)より、分布域も狭く希少なため、 段の変化はないものと判断しました。 エゾミドリシジミ、ヒサマツミドリシジ ミは絶滅危惧Ⅱ類(VU)以上が適当。 アカシジミは過去に比べると減少傾向 12 ■昆虫類 (シジミチョウ科ミドリシジミ類) にあるかもしれませんが、現在も県内各 〇過去には普通種であったが、近年急速に 地で比較的容易に生息を確認しているこ 減少しているため、アカシジミは少なくと とから、レッドリスト種とは扱わないこ も準絶滅危惧種(NT)が適当。 13 ■昆虫類(ヤガ科 キシタバ類) ととしました。 御指摘のとおり、この種は元々珍しい 〇絶滅危惧Ⅱ類(VU)予定のズミがホス 種で、リスト種の候補となりましたが、 トのカバフキシタバは、数年前、四国中 減少要因などで評価すべき基礎データが 央市の2ヶ所で本県で初めて発見した 乏しく、また、既知の生息地が開発等の が、ナマリキシタバも露岩石のシモツケ 影響を今後も受ける可能性がほとんどな をホストとし、過去に東中予の3ヶ所で いことから、今回の改訂ではリスト掲載 しか記録がなく希少なため絶滅危惧Ⅱ を見送りました。 類(VU)が適当。 14 ■昆虫類(ヤガ科 キリガ類) 評価すべき基礎データが乏しく、また、 〇今治市丘陵地域の池畔で絶滅危惧ⅠB ハンノキの自生地が最近多く発見された 類(EN)のハンノキをホストとするウ ことから、新しい自生地での発生状況を スミミモンキリガは、数年前同地域で本 今後調査することを念頭に、今回はリス 県初発見したが、これまでの数次の調査 ト掲載を見送りました。 でも3ヶ所で数頭確認できたのみで、特 定希少動物のハッチョウトンボ同様極 めて脆弱な環境下にあるため、絶滅危惧 ⅠB 類(EN)が適当。 15 ■昆虫類(ヤガ科 キリガ類) 御指摘の種は元々珍しい種で、近年減 〇準絶滅危惧種(NT)予定のエグリキリ 少しているとは認められず、今後の継続 ガ、ミスジキリガ(№214、215)同様記 録も少なく希少なため、カギモンキリ ガ、タカオキリガ、マダラキボシキリガ、 調査が必要と判断し、今回はリスト掲載 を見送りました。 フタスジキリガは準絶滅危惧種(NT) が適当。 16 ■昆虫類(ヤガ キリガ類) 御指摘の種は元々珍しい種で、近年減 〇情報不足(DD)予定のモンハイイロキ 少しているとは認められず、今後の継続 リガ(№279)同様に記録が少なく希少 調査が必要と判断し、今回はリスト掲載 なため、ウスベニキリガ、ヨモギキリガ、 を見送りました。 エゾモクメキリガは情報不足(DD)が 適当。 17 ■昆虫類(シャチホコガ科) 御指摘のとおり、アカシャチホコは当 〇ブナアオシャチホコ(№275)は情報不 初 DD としてリストアップしましたが、 足(DD)予定のブナがホストであるが、 DD としての評価にも耐えるだけのデー アカシャチホコはブナより希少なマン タが揃わなかったことから、継続調査が サクをホストとし記録も少なく希少な 必要と判断しました。 ため、情報不足(DD)以上が適当。 18 ■昆虫類(オサムシ科) 御指摘のアイヌハンミョウは環境省の 〇絶滅危惧Ⅱ類(VU)予定のコニワハン レッド種であるため慎重に検討しました ミョウ(№69)と混生し、個体数が大幅 が、県内では広く分布しており、出現最 に減少しているため、アイヌハンミョウ 盛期はあまり採集家が活動しない時期 は絶滅危惧Ⅱ類(VU)が適当。 (春)であることから、採集報告は少ないの ・昨年今治市大三島で四国で初めて発見さ ですが、減少しているとは認められず、 れたため、トウキョウヒメハンミョウは 絶滅危惧Ⅱ類(VU)としました。 DDが適当。 19 ■昆虫類(オサムシ科) 御指摘のトウキョウヒメハンミョウの 〇昨年今治市大三島で四国で初めて発見 大三島での分布は、自然分布ではなく、 されたため、トウキョウヒメハンミョウ 最近侵入した可能性が指摘され、これを は情報不足(DD) が適当。 否定するデータもないことから、今回は リスト掲載を見送りました。 20 ■昆虫類(クワガタムシ科) Platycerus は最近頻繁に和名が変わって 〇ミナミコルリクワガタは、引き続き絶滅 います。ミナミコルリクワガタはシコク 危惧Ⅱ類(VU)のシコクコルリクワガ コ ル リ ク ワ ガ タ Platycerus takakuwai タより、分布域も旧新宮村に限定され希 namedai の以前の和名で、この2つは同じ 少なため絶滅危惧Ⅱ類(VU)以上が適 種です。 当。 21 ■昆虫類(コガネムシ科) 御指摘のとおりトラハナムグリに関す 〇絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)予定のアカマダ る最近の記録は全くなく、絶滅危惧Ⅰ類 ラコガネは、昨年東温市や愛南町でも再 に該当すると考えておりましたが、レッ 発見されたが、トラハナムグリは、過去 ドリストに掲載すべき裏付けデータがな に旧面河村、旧柳谷村、旧津島町での記 く、次回の見直しで再検討することとし、 録しかなく希少なため、絶滅危惧Ⅰ類 今回はリスト掲載を見送りました。 (CR+EN)が適当。 22 ■昆虫類(コガネムシ科) 御指摘のアオアシナガコガネ、キンス 〇アオアシナガコガネ、キンスジコガネ ジコガネについては、両種とも慎重に検 は、準絶滅危惧(NT)のツノクロツヤ 討しましたが、減少の傾向は認められる ムシ(№166)や準絶滅危惧(NT)予定 ものの、現在でも恒常的に発生を続けて のヒゲコガネ(№169)、クロカナブン(№ いると判断し、同様の状況にある非常に 172)と同等以上に記録地も限定され希 多くの他の種とともに,次回に再検討す 少なため準絶滅危惧(NT)以上が適当。 ることとし、今回はリスト掲載を見送り ました。 23 ■昆虫類(カミキリムシ科) 御指摘の種は、東予、南予、島嶼部で 〇アカアシオオアオカミキリは、戦後早く の調査が不十分であり、現時点では絶滅 の松山市での記録以降確認されておら とすることは適当でないと判断しまし ず、絶滅した可能性が高いため、絶滅 た。 (EN)が適当。 24 ■昆虫類(カミキリムシ科) 甲虫類については、非常に種数が多い 〇クロソンホソハナカミキリ、ヒゲシロホ ことから、普通種であっても、明らかに ソコバネカミキリ、シナカミキリ、フチ 以前よりは減少している種の方を優先し グロヤツボシカイミキリは、引き続き てリストに掲載し、ある時期にあるポイ (VU)のフタスジカタビロハナカミキ ントに行けばほぼ間違いなく採集される リ(№98)、ウスアヤカミキリ(№100) ような種は、希少であっても生息環境が より、クロソンホソハナカミキリは鬼北 安定していればレッドリストには掲載し 町成川渓谷と松野町滑床渓谷、ヒゲシロ ないことを基本的な方針として評価しま ホソコバネカミキリは西条市成就社、シ した。 ナカミキリは西条市瓶ケ森林道、フチグ その結果、御指摘の種は、今回はリス ロヤツボシカミキリは内子町小田深山 ト掲載を見送りました。 に記録地も限定され希少なため、絶滅危 惧Ⅱ類(VU)以上が適当。 25 ■昆虫類(タマムシ科) 元々珍しい種ですが、最近は冬期に以 〇トゲフタオタマムシは、情報不足(DD) 前より多く採集されており、減少傾向に 予定のアオマダラタマムシ同様、鬼北町 あるとは判断できなかったため、今回は 成川渓谷での記録しかないため、情報不 リスト掲載を見送りました。 足(DD)が適当。 26 ■昆虫類(ツチハンミョウ科) 御指摘のマメハンミョウは、発見され 〇マメハンミョウは四国中央市赤星山で る頻度は低いのですが、ダイズ畑に被害 の記録以降 20 年間ほど記録がなかった が出るほど大発生する種です。 が、昨年新居浜市別子山地区の調査で再 発見されたため、VU以上が適当。 27 ■昆虫類 最近も塩塚嶺などで発見しており、今 回はリスト掲載を見送りました。 ムカシゲンゴロウ科はコツブゲンゴロ 〇昆虫類№245 のウワジマムカシゲンゴロ ウ科のシノムニとすることが一般的で ウは、コツブゲンゴロウ科ではなくムカ す。 シゲンゴロウ科では。 28 ■陸・淡水貝類 貝類リストの表題「淡水貝類」につい 〇「貝類」は、 「淡水貝類」と「海産貝類」 ては、編集段階の誤記であり、 「陸・淡水 に分類しているが、「淡水貝類」に 「陸産」の種が含まれていることと、汽水 産貝類」に変更します。 貝類の陸産・淡水産、海産の区分けは 域で出現する種が含まれていること、 便宜的であり、陸産貝類の中には海浜棲 「海産貝類」に汽水域で出現する種が含 陸貝ともいわれる海岸の高潮帯のみに棲 まれていることで、「淡水貝類」と「海 む貝や内湾奥のアシ原内に棲む貝も含め 産貝類」というカテゴリーが非常に分か ています。 りにくい。リスト自体は「貝類」でまと また、淡水産貝類の中にも河口域に棲 め、ブックで生息域別に説明するか、リ む汽水産の貝も含めていますが、これら ストのカテゴリー区分を再検討しては のなかには海産貝類として取り扱われる どうか。 ものもあります。 なお、生息域による区分は前回の区分 を踏襲したものですが、改訂するレッド データブックでは、各論「貝類」として 1つにまとめることにしました。 29 ■海岸動物 御指摘の件につきましては、意見が分 〇「海岸動物」に、回遊性のトゲナシヌマ かれたところでありますが、便宜上、ミ エビと淡水で一生を送るミナミヌマエ ナミヌマエビについては、海岸動物とし ビが含まれている。「海岸動物」に無理 て区分し、淡水産であることを明記する 矢理入れるのではなく、環境省版と同じ こととしました。 ように、「その他の無脊椎動物」という カテゴリーでよいのではないか。 30 ■海岸動物 クロベンケイガニは、県内でも大きな 〇クロベンケイガニという県外では普通 分布中心のひとつであった重信川河口か に見られる種が(NT)とされているこ らその流域での個体数が、連続的な減少 とやトゲナシヌマエビがリストに入っ 傾向にあることからリストに掲載しまし ていることから、下流・汽水域の水際環 た。 境が非常に悪化しているという事態を また、両側回遊性の生活史を持つこと 示唆していると判断されるが、回遊性の から、瀬戸内海全域における生息環境の 種(ヌマエビやヒメヌマエビなど)がリ 悪化をも示している可能性はあります ストに少ない。他の種は減少傾向が認め が、河口域を通過する際の水域環境の悪 られないということか。 化が個体数減少の主因というわけではな く、他の淡水エビ類とは状況が異なると 考えます。