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1.「小平市都市計画マスタープラン」とは

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1.「小平市都市計画マスタープラン」とは
1.「小平市都市計画マスタープラン」とは
1-1 位置づけ及び性格
「小平市都市計画マスタープラン」は、都市計画法第 18 条の 2 で規定する「市町村の都
市計画に関する基本的方針」であり、地方自治法に基づき策定された「小平市第三次長期
総合計画-こだいら21世紀構想・前期基本計画-」を基本とし、さらに東京都の「都市計画
区域の整備、開発及び保全の方針」に基づきながら、市民の意向を反映して行うまちづくり
の将来像とその実現までの道筋を示すものです。
「小平市都市計画マスタープラン」は、今後の市民や事業者等によるまちづくりへの指導、
誘導の指針となるものであり、また国や公共機関に対しては、市のまちづくりの基本的な考
え方を示すことにより、理解と協力を得るためのプランであるという 2 つの側面を持つもので
す。
地方自治法
都市計画法
小平市第三次長期総合計画
- こだいら21世紀構想・前期基本計画 -
小平都市計画 都市計画区域の整備、
開発及び保全の方針 (東京都)
小平市都市計画マスタープラン
小平市の定める都市計画
(地区計画など)
小平市緑の基本計画などの都市整備・まちづくりに
関する部門別計画
- 15 -
1-2 改定の背景と目的
小平市都市計画マスタープランは、平成 11 年 10 月に策定され、当面の事業目標年次は、
当時の本市の総合行政計画(上位計画)である「小平市新長期総合計画・後期基本計画」
の計画目標年次に合わせ平成 17 年としていました。
上位計画である「小平市第三次長期総合計画-こだいら21世紀構想・前期基本計画
-」が平成 18 年 3 月に新たに策定され、本計画においても行政計画としての調整・整合を
図ることが求められます。
また、近年のまちづくりでの市民参画機運の向上や、まちづくりの担い手の増加とともに、
都市計画法においても民間による都市計画提案制度が創設されるなど、市民参画によるま
ちづくりへの対応が求められています。
さらに、本市の都市整備やまちづくりでは、地域ニーズに則した道路整備や交通ネットワ
ークの改善、原風景を形成している自然境環である緑の維持、都市空間での貴重なオープ
ンスペース1である大規模公有地や企業所有敷地での大規模な都市開発事業による土地利
用転換が進みつつあるなど、当初の都市計画マスタープランに基づく事業の進行に対する
指摘とともに、新たな課題への対応が求められています。
以上のように、本市の新たな上位計画の策定や都市整備・まちづくりの動向、本市の新た
なまちづくり課題への対応を図るために、都市計画マスタープランを改定しました。
また、小平市都市計画マスタープランは、市民のもっとも身近にある小平市が、市民の意
向を反映し、個々の地域の特性を活かしたまちづくりの将来展望を描き、実現するための基
本的な方向や都市施設の整備方針などの考え方を見直すとともに、市民参加による身近な
視点からのまちづくりを進めていくため、実現方策を提示することを目的として新たな取り組
み方針を設けました。
1-3 目標年次
まちづくりの理念やまちづくりの目標を実現するためには、相当な時間を要すると考えら
れ、本計画の最終年次は設定しないものとします。ただし「小平市都市計画マスタープラン」
の改定に伴う当面の具体的な事業目標年次は、平成 19 年度から平成 28 年度の 10 か年と
します。
なお、今後の経済・社会情勢の変化によっては、適合しえなくなる場合も想定され、内容
の見直しや修正等の必要性が生じた場合には、基本理念を継承しながら、経済・社会情勢
の変化に適切に対応するため、本計画の見直しを行うものとします。
1
公園や広場など、建物などのない空間。
- 16 -
1-4 小平市都市計画マスタープランの構成
本計画は、下図のような構成内容とします。
【地域別構想】
【全体構想】
小平市の将来像及びまちづくり・都市整備
の施策の基本的な方針を位置づけます。
地域の特性を活かした将来像を明らかにし、
地域に密着したまちづくりを行うための指針
となるものです。
めざすべき将来の都市像
小川駅周辺地区
1.まちづくりの理念
2.将来の都市像とまちづくりの目標
花小金井駅周辺地区
3.目標人口
4.まちづくりの方向
小平駅周辺地区
5.将来の都市構造
鷹の台駅周辺地区
部門別整備方針
一橋学園駅周辺地区
1.土地利用の方針
2.道路交通ネットワークの整備方針
新小平駅・青梅街道駅周辺地区
3.防災・防犯のまちづくりの整備方針
4.水と緑と公園の整備方針
東大和市駅周辺地区
5.住宅・住環境の整備方針
6.個性あるまちづくりの方針
実現方策
【連携と協働のまちづくり】
都市計画マスタープランの実現へ向けて取り組み方針を提示します。
1.連携と協働のまちづくりの方針
2.まちづくり活動・事業の進め方-(仮称)地区計画等提案型まちづくり条例の創設へ向けて-
3.地域のまちづくり推進のための庁内体制と支援体制
4.広域連携によるまちづくりの推進
- 17 -
2.めざすべき将来の都市像
2-1 まちづくりの理念
平成 18 年 3 月に策定された「小平市第三次長期総合計画-こだいら21世紀構想・前期
基本計画-」に基づき、“こだいら”に住み、働き、学び、そして訪れる人々も含め、多くの
人々が、共通のふるさととして愛着を持ってこの地にかかわり続けたいまち、そのようなまち
“こだいら”を創り上げるために、次の基本理念をもとにまちづくりを進めていきます。
みんなが「いい表情(かお)を持つ」こと
この地が「いい郷(さと)であり続ける」こと
そして「いい明日(あした)を予感させる」こと
2-2 将来の都市像とまちづくりの目標
まちづくりの理念を基調として、「小平市第三次長期総合計画-こだいら21世紀構想・前
期基本計画-」では、次のように本市が目標とする将来都市像が位置づけられています。
本計画においても、将来の都市像とまちづくりの目標として位置づけます。
躍動をかたちに
進化するまち
こだいら
‐緑と住みやすさを大切に さらに自立し活力あるまちの実現をめざします‐
「小平市第三次長期総合計画-こだいら21世紀構想・前期基本計画-」の基本的施策
の体系の中から、都市整備・まちづくりに関するまちづくりの目標(本計画の部門別整備方
針のテーマ)を次のように設定し、将来都市像の実現と住宅都市“こだいら”のより一層の住
みやすさの追求を図ります。
・ いきいきとして充実した生活が送れる活力あるまち
・ 通行しやすく便利で人にやさしい交通環境のまち
・ 防災・防犯を進め、安全で安心して生活できるまち
・ 水環境の再生や緑を守り生み出す地球環境にやさしいまち
・ 住みやすく快適な生活環境を維持し続けられるまち
・ 地区の個性を活かし身近な環境・資源を大切にするまち
- 18 -
2-3 目標人口
計画目標年次である平成 28 年度の目標人口は、「小平市第三次長期総合計画-こだい
ら21世紀構想・前期基本計画-」の将来人口推計に基づき、おおむね 191,000 人と想定し
ます。なお、上記計画での平成 32 年度の将来人口は、おおむね 192,000 人と想定されてい
ます。
2-4 まちづくりの方向
「小平市第三次長期総合計画-こだいら21世紀構想・前期基本計画-」では、まちづくり
の方向(将来の土地利用)が位置づけられています。
それらのまちづくりの方向を基本に、次のような視点から、都市整備・まちづくりの推進を
図ります。
各駅を中心とした生活圏域の形成
本市は、市内の7つの駅及び近隣の2つの駅の周辺を中心に、商業・業務機能の強化、文化機
能の整備、公共交通機能の整備を進めています。
今後も、それらの取り組みを継続し、便利さのより一層の向上を図るとともに、駅周辺の交通結
節拠点性の向上や若者などの新たな担い手が活力づくりに参加できる場・機会の創出を図るな
ど、だれもが快適に過ごすことができる身近な魅力ある生活圏の形成をめざします。
良好な住宅環境の維持
本市は、その都市形成過程から、低層低密度な住環境を形成してきており、本市を居住地とし
て選択する理由の多くは、緑豊かな静かな住環境を志向しています。
本市の良好な住環境を維持するためには、ゆとりのある敷地に適度な密度を確保していくよう誘
導するとともに、大規模敷地での土地利用転換や都市開発事業の実施にあたっては、周辺環境
への影響などに十分配慮した計画的な事業化誘導を図ります。
また、住宅地内の安全で快適な交通環境を確保するために、幹線道路の整備による通過交通
の拡散的流入の抑制や住宅地内での人にやさしい道路整備などを進めます。
緑の保全と創造
本市の特色の一つでもある緑については、市民と行政がそれぞれの立場で可能な限り維持し
ていくとともに、新たな緑を創造していくことに努めます。
また、環境の維持、防災、景観の維持などの視点から、玉川上水、野火止用水をはじめ、歴史
ある街道沿いの緑やまとまりのある農地などのネットワークづくりを進めます。
幹線道路沿いの土地利用
幹線道路沿いの土地利用については、それぞれの交通特性を基本としながら、背後に立地す
る住宅地の環境保護にも配慮し、沿道サービス型の土地利用、または商業・業務施設の立地を誘
導します。
連携と協働のまちづくり推進のシステムづくり
まちづくりの方向に基づく取り組みを推進するためには、行政だけではなく、市民や事業者の連
携と協働による取り組みが必要となります。
そのため、より身近な都市空間・環境の改善・向上をめざした市民参加のまちづくりの推進を図
るためのシステムづくりに努めます。
- 19 -
2-5 将来の都市構造
1.都市の拠点
生活圏に必要な都市の機能を構成する要素の中で主だったものを都市の拠点として設
定します。都市拠点の分類は、商業拠点、産業拠点、公共サービス施設ゾーン、市街地開
発拠点、みどりの中心拠点とします。
①商業拠点
主として商業・業務機能を担う地域であり、各駅の周辺の商業地域、近隣商業地域を商
業核として設定します。
· 小川駅周辺商業核
· 花小金井駅周辺商業核
· 小平駅周辺商業核
· 鷹の台駅周辺商業核
· 一橋学園駅周辺商業核
· 新小平駅・青梅街道駅周辺商業核
· 東大和市駅周辺商業核
それらの商業拠点の各駅は、市民生活に不可欠な交通上の拠点機能を担う場所であり、
それぞれの駅を交通拠点として設定します。
②産業拠点
主として工業系の機能を担う地域であり、工業地域、準工業地域の工業系市街地を核と
して設定します。
· 小川東町三丁目地区(工業地域)
· 小川東町五丁目地区(準工業地域)
· 天神町一丁目地区(準工業地域)
· 御幸町地区(準工業地域)
· 上水本町五丁目地区(準工業地域)
· 小川町一丁目地区(準工業地域)
③公共サービス施設ゾーン
主として公共施設の集積及び公共施設と連たんする業務機能の誘導を図る地域であり、
市役所周辺地区を核として設定します。
④市街地開発拠点
市街地開発事業などの面的整備事業を実施し
ている地区、及び実施予定の地区を市街地開発
の核として設定します。
· 小川町一丁目地区(土地区画整理事
業)
· 小川駅西口地区(再開発事業)
· 小平駅北口地区
⑤みどりの中心拠点
2ha 以上のまとまりのあるみどりがある地区をみ
どりの中心拠点に位置づけます。特に公園・緑地については市民のいこいの場、スポーツ・
レクリエーションの場として位置づけます。
· 大沼田公園
· 小金井公園
· 南部公園
- 20 -
·
·
·
·
·
·
鎌倉公園
けやき公園
小平中央公園
青梅橋公園(東京都薬用植物園)
前沢公園(萩山公園)
小平霊園
2.都市軸
①都市の構造上の骨格となる道路
· 新五日市街道(小平 3・3・3 号線)
· 府中街道(小平 3・3・8 号線)
· 新青梅街道(小平 3・4・4 号線)
· 新小金井街道(小平 3・4・7 号線)
· 国立駅大和線(小平 3・4・23 号線)
②鉄道
· 西武新宿線(花小金井駅、小平駅)
· 西武国分寺線(鷹の台駅、小川駅)
· 西武多摩湖線(一橋学園駅、青梅街道駅)
· 西武拝島線(小川駅、東大和市駅)
· JR武蔵野線(新小平駅)
③緑のネットワーク
水と緑の空間等を活用した、連続性のある市民生活の快適空間、自然環境を保全対象と
して設定します。本市では、玉川上水等のグリーンベルト・水辺空間を含む小平グリーンロ
ード(市内一周緑道)を軸に設定します。
また、現在、交通の軸として機能するとともに風致地区に指定されている青梅街道を、将
来的には沿道景観が形成されるよう、緑地の整備や歩行者空間の整備・拡充等をすること
によって、将来的なみどりのネットワークの東西の軸として充実を図ります。
- 21 -
■都市構造図
- 22 -
3.部門別整備方針
3-1 土地利用の方針
いきいきとして充実した生活が送れる活力あるまちづくり
■基本的考え方
■土地利用の方針の構成
身近な生活空間において魅力ある住
① 住宅地
環境が実感できる住宅都市としての土地
② 商業地
利用の適正な配置・誘導を図るとともに、
③ 工業地
各駅を中心とした生活の便利さと、各種
④ 幹線道路沿道
生産機能(工業)の環境整備・向上等の
⑤ 生産緑地
2
推進を図り、コンパクト な生活圏が集合
した住宅都市としてのまちづくりを推進し
ます。
1.住宅地
ゆとりのある敷地や市街地内のオープンスペースを確保し、また通過交通を抑制するとと
もに、中高層住宅などの混在による日当たりやプライバシー 3に配慮するなど、良好な住宅
環境の形成をめざします。
①低層低密度住宅地
第一種・第二種低層住居専用地域では、低層低密度の住宅地を基本とした土地利用とし
ます。
②中・高層住宅地
中・高層化住宅を想定する住宅地では、現状の住宅地の環境維持を基本としますが、戸
建て住宅とアパート、マンション等の形態的な混在による環境の阻害が心配される地区につ
いては、住民によるまちづくりのルールである地区計画制度などの活用により良好な環境の
維持と創出を図ります。
2.商業地
駅周辺の商業地は、生活圏域形成の拠点として、日常生活に必要な店舗、市民生活との
密着、魅力や活気、文化的な雰囲気、緑との共存など、それぞれの駅が持つ周辺の地域特
性を活かした商業エリアとしての形成をめざします。
一部の駅周辺の商業地では、空き店舗の発生など、商業機能の低下がみられる地区もあ
ります。それらの地区では、住民や事業者との参画・協働などを推進し、商業機能面のみな
らず、コミュニティビジネス4の創出、介護サービス事業所の設置など、ソフト面での取り組み・
対応も含めて、地域の生活拠点にふさわしい多様な機能の立地・集積へ向けての取り組み
の誘導を図ります。
また、市街地開発事業を予定している駅周辺商業地では、大規模商業集積の整備も想
定されるため、既存の地元商業との共存共栄をめざして、商店街の環境整備事業の推進や
2
3
4
小型で充実しているさま。無駄を省いて小さくまとめてあるさま。
私生活上の秘密と名誉を第三者に侵されない法的権利。
地域・コミュニティの様々な課題・ニーズに対応し、継続的に事業を行い、解決をしていくこと。
- 23 -
前述のソフト施策も含めた商業振興施策との連携によるまちづくりの推進を図ります。
○ 小川駅周辺
○ 花小金井駅周辺
○ 小平駅周辺
○ 鷹の台駅周辺
○ 一橋学園駅周辺
○ 新小平駅・青梅街道駅周辺
○ 東大和市駅周辺
その他の商業地については、主に幹線道路
沿いでの自動車利用に対応し、市民生活に密
着した沿道サービス型商業5 などの立地をめざ
します。それらの立地・誘導にあたっては、周辺
の駅周辺商業地への影響や周辺住宅地の環
境へ配慮し、開発事業者などとの協議・調整を
図ります。
さらに、小平グリーンロード(市内一周緑道)
は、本市の貴重な観光資源でもあり、近年、新
たな観光産業機能の立地もみられ、今後、自然
環境と産業振興施策との連携による調和ある都
市機能の立地・誘導に努めます。
3.工業地
工業地や住宅地との混在がみられる幹線道路沿いの利便性の高い地域などは、住宅等
の立地を抑制しつつ工業的土地利用への誘導をめざします。
また、まちの活性化や発展を進めるために、周辺地域の環境に配慮しながら大規模工場
などの立地を維持し、調和を保ちながら地域への融合を進めます。
近年の産業構造の転換に伴い、IT化・研究開発型のものづくりへの取り組みが求められ
ています。今後の工業機能などの立地・誘導には、若い人たちの起業を育成していくインキ
ュベーター6機能の創出や、経験豊富なシルバー世代なども含めた起業・創業を支援するた
めのSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス7)の立地・誘導などについても産業振興施策
との連携に基づき、新たな活力づくりをめざした生産環境として創出に努めます。
5
6
7
交通の利便を活かして、幹線道路の整備に伴い新たな駐車場併設の商業施設で集客を図る商業。
ベンチャー-ビジネスを軌道に乗せるまでの施設・機器・資金などの援助を行う場。
業務機能の一極集中を防ぎ、職住近接の促進を図るため自宅(居住地)近くに小規模な事務所の集積を図っ
たり、自宅そのものをオフィス兼用化すること。
- 24 -
4.幹線道路沿道
主要幹線道路の沿道については、背後に隣接する住宅地への騒音等の環境保護に努
め、沿道サービス型の土地利用を誘導します。
また、他の幹線道路の沿道についても、騒音等による環境に配慮し緩衝性の高い建物に
よる市街化を誘導し、隣接地域の住環境に配慮した沿道サービス施設や商業・業務施設の
立地を誘導します。
5.生産緑地
生産緑地は農地として都市の緑地機
能の維持として大きな役割を担うととも
に、一方では災害時のオープンスペー
スや農業体験・環境学習などの場とし
て役割も期待されていますが、近年、
農業生産の後継者不足や相続の発生
などによる宅地化の傾向にあります。
生産緑地の市としての取り組みは、
農業と調和した快適な市街地の形成を
図るためにその保全を進めるとともに身
近な農業体験・レクレーションの場とし
ての活用なども含め、都市農業振興施
策との連携による多様な利用と保全に
努めます。
- 25 -
3-2 道路交通ネットワークの整備方針
通行しやすく便利で人にやさしい交通環境のまちづくり
■基本的考え方
■道路交通ネットワークの整備方針の構成
道路交通ネットワークの整備にあたっ
① 道路ネットワーク
ては、都市間流動や交通環境の整序化
② 公共交通網の整備
を目指した道路ネットワークの構築を図る
③ 歩行者空間の整備とネットワーク
とともに、歩行者・自転車にやさしい身近
④ 拠点地区の交通施設の整備
な生活空間での道路づくりや市内移動
の便利さを確保するための公共交通の
充実、拠点地区の中心である駅周辺の
交通利便性の向上を推進し、少子高齢
社会にも対応する便利で人にやさしい住
宅都市の形成を推進します。
1.道路ネットワーク
道路の機能は、交通機能と空間機能
に区分されます。規格の高い道路では、
交通機能が重視され、都市間相互の
連結、混雑の解消、時間距離の低減な
どの役割があります。
また、空間機能では、緑の空間、景
観、延焼遮断機能、公共交通の確保、
土地利用の誘導効果、街区の形成や
市街化を図るなどの役割があります。こ
れらにより地域開発の誘導効果、産業
の振興、土地利用の促進、市街地の
防災機能の強化など良好な都市環境
や居住環境の確保のためにも道路整
備の必要があります。
市内の道路は、次の表のとおり6種類に分類することができます。道路ネットワークの整備
については、主要幹線道路、幹線道路、地区幹線道路(補助幹線道路)、地区内集散道路
(生活道路)、歩行者専用道等を適切に組み合わせて道路の機能が発揮できるよう体系的な
整備(道路ネットワーク化)をめざします。
市では、社会生活や経済活動を支え、個性ある街並みの形成を図るため都市計画道路
の整備や地域の生活に密着した道路の整備を進め、さらに災害時にも必要な安全で便利
な道路空間を確保していきます。
- 26 -
■市内の道路の分類
区分
主な役割
主要幹線道路
・都市間の連結
・通過交通の処理
・バス路線の確保
幹線道路
・都市間の連結
・通過交通の処理
・バス路線の確保
地区幹線道路
(補助幹線道路)
地区内集散道路
(生活道路)
狭あい道路等
歩行者専用道等
対象道路の例
小平3・3・3号新五日市街道線
小平3・3・8号府中所沢線
小平3・4・4号新青梅街道線
小平3・1・2号東京立川線
小平3・4・7号府中清瀬線
小平3・4・5号高井戸小平線
小平3・4・23号国立駅大和線
・生活道路と幹線道路の接 小平3・4・6号花小金井学園線
続
小平3・4・9号田無花小金井線
・バス路線の確保
小平3・4・10号小平大和線
小平3・4・11号小川駅東線
小平3・4・12号小川駅西線
小平3・4・13号小平八坂線
小平3・4・14号東京街道線
小平3・4・15号花小金井駅南線
小平3・4・16号花小金井駅北線
小平3・4・17号小金井久留米線
小平3・4・18号府中小平線
小平3・4・19号小平駅久留米線
小平3・4・20号恋ヶ窪小川線
小平3・4・21号小川西町線
小平3・4・22号国分寺東村山線
小平3・4・24号小川橋青梅橋線
小平3・5・1号三鷹駅国分寺線
・地区内の交通処理
開発道路
・個々の宅地へのアクセス 位置指定道路等
の確保
・個々の宅地へのアクセス 行き止まり道路
の確保
幅4メートル未満の道路
・歩行者・自転車の優先
小平グリーンロード
①主要幹線道路・幹線道路の整備
主要幹線道路・幹線道路の対象となる都市計画道路については、都市の骨格であり通過
交通を円滑に処理し、災害時における避難路、延焼遮断帯などの役割のほかに物流を促
進し国内経済を活性化させ、また都市景観を形成するなど、社会的に重要な役割・機能が
あります。
市内に予定されている都市計画道路については、広域的なみちづくりを進めるため東京
都と十分に調整及び協力をしながら、環境対策にも配慮し計画的な整備を行っていきま
す。
②地区幹線道路(補助幹線道路)の整備
市街地内部で発生する交通を集約し、幹線道路へ連絡する道路であり、自動車と歩行者
の分離が可能な通行機能(バリアフリーにも配慮しつつ)及び防災機能などの確保をめざし
- 27 -
ます。
■都市計画道路の整備状況
路線名
延 長
整備済
概 成
(m)
(m)
(m)
平成18年3月31日現在
優先
未整備
備 考
整備
(m)
路線
1 小平3・1・2号(東京立川線)
3,070
240
2,830
2 小平3・3・3号(新五日市街道線)
8,580
310
0
8,270 一部事業中
3 小平3・3・8号(府中所沢線)
3,000
700
880
1,420 一部事業中
4 小平3・4・4号(新青梅街道線)
2,700
2,700
0
0
5 小平3・4・5号(高井戸小平線)
390
0
0
390
6 小平3・4・6号(花小金井学園線)
4,280
0
2,760
1,520
7 小平3・4・7号(府中清瀬線)
3,380
3,380
0
0
400
240
160
0
9 小平3・4・10号(小平大和線)
3,590
990
1,020
10 小平3・4・11号(小川駅東線)
130
130
0
0
11 小平3・4・12号(小川駅西線)
120
70
0
50
12 小平3・4・13号(小平八坂線)
80
30
0
50
13 小平3・4・14号(東京街道線)
970
140
830
0
14 小平3・4・15号(花小金井駅南線)
50
50
0
0
15 小平3・4・16号(花小金井駅北線)
430
430
0
0
16 小平3・4・17号(小金井久留米線)
3,300
3,300
0
0
17 小平3・4・18号(府中小平線)
3,110
2,420
690
0
540
0
0
540
2,630
0
0
2,630
780
700
0
80
21 小平3・4・22号(国分寺東村山線)
1,780
430
0
1,350
22 小平3・4・23号(国立駅大和線)
1,320
490
0
830
23 小平3・4・24号(小川橋青梅橋線)
680
160
520
0
24 小平3・5・1号(三鷹駅国分寺線)
600
200
400
0
45,910
17,110
10,090
18,710
8 小平3・4・9号(田無花小金井線)
18 小平3・4・19号(小平駅久留米線)
19 小平3・4・20号(恋ヶ窪小川線)
20 小平3・4・21号(小川西町線)
合
計
0
一部事業中
1,580 一部事業中
●
●
●
一部事業中
●
●
一部事業中
●
●
整備率 37.3%
(平成11年3月 29.8% )
※概成・・・概ね幅員8m以上の現道がある区間
●優先整備路線:東京都・28市町では平成18年4月に「多摩地域における都市計画道路の整備方針」を
策定しました。この整備方針では未着手の都市計画道路を対象として、必要性について確認するとともに
「第三次事業化計画」(平成 18 年度~27 年度)優先整備路線の選定を行っています。
③地区内集散道路(生活道路)の整備
歩行者と自動車の共存の中で歩行者を優先した地区内集散道路の整備をめざします。
なお、新たな開発事業の発生に際しては、通過交通の進入抑制に配慮しながら、周辺道
- 28 -
路とのネットワーク形成の誘導に努めます。
④狭あい道路の整備
狭あいで隅切りがない道や、行き止まり状態になっている道路は、防災上、交通安全上の
課題があり、良好な環境を確保する必要があります。まちづくりと連動して拡幅、隅切り等の
整備について地域住民と連携して行っていきます。
また、狭あい道路の多い地区では、住民によるまちづくりのルールである地区計画制度
等を活用した区画道路の整備・促進をめざします。
⑤歩行者専用道等の整備
小平グリーンロード(市内一周緑道)は、都市空間の貴重な自然環境資源であるとともに、
市民や市外からの来訪者も含めて、散策を楽しむ場として機能しています。
周辺の幹線道路の整備に合わせた交通ネットワークの形成を推進し、安全かつ快適な歩
行者空間の整備や自転車が走行しやすい環境の確保をめざします。
2.公共交通網の整備
今後より一層の高齢社会の到来に
伴い、車や自転車を利用することを
困難に感じる人が増えていくことが
予想されます。また、本市の分散型
の拠点的機能の立地状況などに基づ
き、市内の移動手段としての公共交
通の役割は、ますます重要なものと
なり、また、公共交通の利用増大は、
自動車交通の抑制にもつながるため、
地球環境にやさしいまちづくりへの
貢献も期待されます。
しかし、市内には鉄道駅の数は多
いが、市内での移動は必ずしも便利とはいえないため、それを補う他の公共交通機関
とのネットワークの充実が求められます。
①既存バス路線の充実
市内を通るバス路線については、路線延長や運行本数を増やしてほしいという共通
的な市民ニーズがあり、バス事業者への要請や協議を行っていきます。また、幹線道
路沿いには、公共施設、病院、駅などの交通結節点が集中していることから、各地域
内の生活交通との乗り継ぎをよくすることで交通利便性の向上を図ります。
②地域で支える生活交通の充実
まちづくりの一つとして、それぞれの地域でそこに住む人々が支えるという視点で、
「にじバス」の試行運行や、最寄駅へのアクセスや買い物等を目的とした商店街への
アクセスなど、地域ごとのニーズに応じたコンパクトな地域内交通を支援する取り組
みをとおして、充実を図っていきます。
③鉄道と道路の立体交差化の検討
地域を分断している鉄道の連続立体交差事業の具体化へ向けては、多摩北部都市広
域圏協議会の構成市のひとつとして、国、東京都及び鉄道事業者に対して、他の構成
市とともに、その実現について要請していきます。
- 29 -
3.歩行者空間の整備とネットワーク
居住者の安全性と快適性が確保されたまちづくりのために、人々が歩くことを楽しみなが
ら活動できる歩行者優先の道路づくりを進めていきます。
幹線道路(都市計画道路)は、歩行者交通の安全性を確保するための歩道の整備を行
い、生活道路(地区内集散道路)については、通過交通を抑制する道路整備などを進め、
「人にやさしい安全な道路づくり」を推進します。
①歩道の整備と歩行者のための安全対策
幹線道路などでの歩道の設置にあたっては、歩行者のすれ違いが可能な十分な歩道幅
の確保、そのための道路構成幅の改良による歩道の拡幅、車椅子の通行に配慮した段差
の解消、電線の地中化による電柱の撤去や道路標識の位置変更、交差点の改良、視覚障
がい者用誘導ブロック8 の適正な設置など小平市福祉のまちづくり条例に基づく整備を図り
ます。
また、歩道部への沿道敷地からの樹木のはみ出しや、沿道店舗の置き看板なども、歩行
者の安全性確保を図るために、沿道地権者・事業者へ改善を要請します。
②生活道路への通過交通の抑制と自動車走行の適正化
生活道路については、安全で快適に歩くことを楽しめる、人にやさしい道路整備を推進し
ます。
人にやさしい道路整備として、交通管理者である警察と連携して交通規制の見直しを行
い、自動車のスピード抑制、通過交通の流入抑制を図るほか、歩車共存型のコミュニティ道
路として、ハンプ9の設置や特殊路面標示の導入を提案していきます。
また、通学路となる生活道路では、地域の方々の交通安全活動と連携して、児童・生徒の
安全性を確保することに努めます。
③自転車走行の適正化
本市は、地形的に平坦であることや、
手軽な交通手段として利用しやすいた
め、自転車利用が増大しています。ま
た、自転車は、地球環境にやさしい交
通手段としての利用価値が評価されて
います。
しかし、市内の道路は、歩道幅が狭
い道路が多く、自転車走行が禁止され
ている歩道部(原則、自転車は車道走
行、許可されている歩道のみで走行可
能)での歩行者と自転車の集中など、
自転車走行に伴う危険性が生じています。
幹線道路などの幅の広い道路では、道路整備に合わせて自転車が走行できる道路幅の
確保に努めるとともに、自転車利用のルールの表示、さらに、自転車利用者のマナー向上
を図るための啓発活動など、交通管理者との連携を含めた対応に努めます。
④生活道路の整備の具体化へ向けての取り組み
生活道路の整備に向けては、沿道地権者など住民の理解と協力・合意が必要です。その
ため、地区のまちづくりについての住民の主体的な検討・参画が必要です。
8
9
目の不自由な方を目的の場所まで案内する点状突起を配列するブロック等。
車道路面に凸型舗装等を施し、その上を車が通過する際に、車の速度に応じた加速度で車を垂直に押上げる
道路構造で、速度抑制効果をもつ。
- 30 -
具体化へ向けては、住民合意に基づく実証実験(社会実験)による取り組み課題や事業
効果の検証を行い、アクションプラン 10 を策定するなどの地域で取り組むまちづくりとして事
業化していくこと検討していきます。
また、地域の意向に基づき、市が歩行者優先型のまちづくり・道路づくりとしての「くらしの
みちゾーン11」の導入についても検討していきます。
4.拠点地区の交通施設の整備
①駅前広場の整備
市内各駅については、将来の駅乗降客数に対応するとともに、7駅の駅勢圏を生活圏と
したコンパクトなまちの集合した都市づくりを図るためにも、拠点としてそれぞれの位置づけ
にふさわしい機能、景観、規模などを検討し、駅前広場等の施設の整備を進めます。
②すべての市民に隔てなくやさしい公共交通施設整備
高齢社会では、高齢者をはじめとする交通
弱者が公共交通機関を利用する機会が増え
ます。公共交通の核となっている駅周辺地区
が医療・福祉や行政機能等をはじめとする公
共施設の立地場所として、市民の生活をより
向上させるものとして重要と考えられます。
また、駅については、駅構内のエレベータ
ー・エスカレーター設置や誘導設備の設置、
周辺商店街や公共施設へのアクセス、便利さ
に配慮した駅改札の整備など、福祉的視点
に立った公共交通施設の整備を図るよう要請
していきます。
③自転車対策施設の整備
自転車は誰もが使える手軽な交通手段で
すが、放置された自転車等は、街の景観を
損なうばかりか、歩行者、特に車いす使用者
の通行を妨げ、緊急災害時の対応にも重大
な障害をもたらします。
今後も放置自転車撤去の強化や安全利
用の前提となるルール・マナーの周知徹底な
どに努めるとともに、自転車駐車場の情報提
供等により、自転車の放置から自転車駐車
場利用への自発的な転換を促す対策を実施
することで、利用率の向上を図ります。
また、自転車駐車場の整備にあたっては、鉄道事業者へ協力を要請していきます。
10
11
実現方策を具体的な活動や事業レベルに落とした行動計画。
国土交通省が支援する、身近な道路から通過交通を排除し、安全な道路空間の確保に向けての取り組
み。
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■都市計画道路網図
3-3 防災・防犯のまちづくりの整備方針
防災・防犯を進め、安全で安心して生活できるまちづくり
■基本的考え方
■防災・防犯のまちづくりの整備方針の構成
自然災害は、十分な予知・予測が困
① 延焼遮断帯の機能強化
難な面もあり、日ごろからの一定の準備
② オープンスペースの確保
や対策が必要であり、都市基盤施設の
③ 防災活動拠点の機能強化
整備においても、防災機能面での対応
④ 災害時の避難系統の高度化
を図り、非常時に備えたまちづくりを推進
⑤ 分流地区の雨水整備及び雨水流出抑
します。
制対策の推進
また、地域社会でのトラブルや犯罪
⑥ 防犯のまちづくり
は、拡散化、組織化、凶悪化しつつあり、
本市の住宅都市としての魅力を堅持して
いくためにも、犯罪を寄せつけないまち
づくりに努め、安全で安心して暮らすこと
の出来る住宅都市の形成を推進します。
1.延焼遮断帯の機能強化
道路には、防災面での役割・機能が求められ
ます。本市の道路については、次のような取り組
みにより、「災害に強いみちづくり」を推進します。
①主要幹線道路・幹線道路・地区幹線道路
幹線道路は、延焼遮断帯としての機能をはじ
め、住民の避難路、消火活動のための空間など
の機能があります。このため、幹線道路沿道は、
延焼遮断帯としての整備を基本とし、建築物の不
燃化、耐震化を誘導し、延焼遮断帯としての機能
強化を図っていきます。特に、府中街道や新青
梅街道などは、東京都緊急道路障害物除去路線
として、あかしあ通りなどは、小平市緊急道路啓
開路線として震災時の救援・救護活動や緊急物
資を輸送する道路の機能も持っています。
また、防災機関の活動の動脈としての機能及
び住民の避難路としての安全性を確保するため、広域的な幹線道路ネットワークの形成を
図っていきます。
②区画道路(避難路の確保)
災害時の地域の避難・救助活動あるいは延焼防止の機能を確保するため、開発行為に
かかる指導等により、狭あい道路の拡幅、整備を図ります。
2.オープンスペースの確保
木造住宅が密集している地区及び狭あい道路・袋小路の地区では、火災の延焼による被
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害が拡大する危険度が高いだけではなく、緊急自動車が進入できない場所もみられます。
そのため、生活道路や用水路などオープンスペースの整備といった住環境の改善や防
災面の向上を図っていきます。
一方、良好な環境を維持している低層住宅地では、宅地内の緑の保全、緑化の促進など
により防災面の維持向上を図ります。
3.防災活動拠点の機能強化
市内の小中学校には、災害時において避難所や防災活動の拠点としての役割を果たす
ため、周辺市街地の不燃化・耐震化や隣接したオープンスペースにより、避難所までの経路
の確保に努めます。
また、市内に多く分布する公園や用水路などは、火災の延焼防止及び延焼拡大抑制等
の緩衝帯効果が期待されますので、今後も整備を進めます。さらに、用水路は震災時の消
防水利、生活用水として活用を図ります。
4.災害時の避難系統の高度化
震災時の延焼火災から住民の生命を守るため、移動距離が短い範囲に避難場所を確保
する必要があります。
また、阪神・淡路大震災の教訓から災害発生時に的確な応急対策を行うための食料・飲
料水・救助資機材等を常時備蓄した災害対策拠点や避難場所・ヘリポート12・仮設住宅用地
等様々な防災機能を備えた施設の整備が必要です。
そのため、小平市地域防災計画において必要とされる施設整備などの検討を行います。
5.分流地区の雨水整備及び雨水流出抑制対策の推進
近年の急激な都市化の進展は、雨水の浸透域を減少させ、保水、遊水機能を低下させ
ています。その結果、「都市型水害」といわれる水害が頻発するようになっています。このよう
な浸水の被害から住民の生命や財産を守るために、雨水の流出抑制型下水道による整備
を推進します。
したがって、公共・公益施設、大規模民間施設および一般住宅についても、雨水流出抑
制施設の設置を進めていきます。
6.防犯のまちづくり
犯罪を寄せつけないまちを実現していくためには、防犯に配慮した日常の近隣関係をで
きるだけ活発にするとともに、「犯罪に強い空間の創出」をめざし、日ごろから地域の人たち・
防犯協会などの関係機関・行政が連携して防犯についての取り組みを推進していきます。
地域での取り組みとしては、地域コミュニティに基づく防犯活動への取り組みや、暗がりの
解消のための自治会の防犯灯・商店街の街路灯の充実、子どもの危険察知・回避能力の
向上に有効な地域安全マップの普及活動など、市民参加によるまちづくり活動を推進して
いきます。
また、地域の特性に応じて東京都市長会を通じ、交番の設置を要請していきます。
12
ヘリコプター用の発着場。
- 34 -
- 35 -
■緊急道路障害物除去路線・
緊急道路啓開路線網図
3-4 水と緑と公園の整備方針
水環境の再生や緑を守り生み出す地球環境にやさしいまちづくり
■基本的考え方
■水と緑と公園の整備方針の構成
緑は、本市の歴史を伝える貴重な財
① みどりのネットワーク『みどりの活用』
産であり、人の心にうるおいとやすらぎを
② 保全・守るべき緑『みどりの保全』
与えるだけでなく、防災に強いまちをつく
③ 管理すべき緑『みどりの創出』
るなどの効用を持っています。
④ 親水性のある水辺空間の創出『水環
本市では、水と緑を保全・活用し、さら
境の再生』
に新たな緑を生み出し、緑豊かな地球環
⑤ 多彩な参画による水と緑のまちづくり
境にやさしい住宅都市の形成を目指した
まちづくりを推進します。
本市には、古く開拓時代の歴史を物語るみどりが多く残されています。今日では世代を
超えた生活のゆとり、やすらぎやレクリエーションの場として、また、良好な景観形成、防災
上や環境保全上の観点から広く、公園、緑地など形を変え、さまざまなみどりの効果が期待
されています。
このようなみどりは市民生活に密着したものであり、市民とともに将来にわたり保全し、また、
新たに生み出していく必要があります。
みどりに関する「グランドデザイン13」としては、「緑の基本計画」にまとめ、緑化に関する計
画目標や公園緑地の配置方針などを明らかにしています。
1.みどりのネットワーク『みどりの活用』
① 小平グリーンロードと市内に点在する公園・用水路・緑地を道路整備による歩行者空間の
ネットワークで結び付け、みどりのネットワーク化を図ります。
② 大規模な事業所、寺社など市有地以外の安定した緑地について、それらの施設の一部開
放を要請し、みどりの拠点として位置づけネットワークの充実強化を図ります。
2.保存・守るべき緑『みどりの保全』
①樹林・竹林
樹林地は、約半分が民有地に属しており、保存樹林・保存竹林にしても相続発生にともな
い売却される可能性があり、今後も減少傾向が続くと思われるため、都市緑地法の制度の
活用を視野に入れた計画的な緑地の配置により公有地化を図り樹林・竹林の保全に努めま
す。
②屋敷林
青梅街道・東京街道・鈴木街道・五日市街道沿いの地域では、わずかに残された屋敷林
と農地の保全を図り、開発予定地については計画的な公園・緑地の配置を行うとともに、現
状の屋敷林を生かした開発指導を行い、郷土景観と調和を図りながらみどり豊かなまちづく
りをめざします。
③農地(生産緑地・宅地化農地等)
13
比較的長い期間で、総括的に規模や方向性について示す考え方。
- 36 -
生産緑地は、新鮮な農産物を提供するだけでなく、都市のみどりの空間をなす重要な自
然環境でもあります。また、防災面からは緊急時の避難場所や延焼遮断の役割も担ってお
り、きわめて準公共的な空間であるといえます。生産緑地のこれらの役割を守っていくため
にも、生産緑地の維持に極力努めるとともに適正に管理するよう指導していきます。
しかしながら、相続により農地を手放したり、後継者不足等から、宅地化されていくことが
今後も予想されます。
生産緑地が長期に保全できるよう相続税等の土地税制の改正や生産緑地制度の拡充等
を国等に要請していきます。また、農業体験ファーム(体験農園)・学童農園を実施するとと
もに、新たな農業経営の形態を研究していきます。
一方、大規模に農地が残された地区では、農地と宅地の混在化を未然に防ぎ、農地と宅
地の調和のとれた街区を形成するため、計画的な都市基盤整備が重要です。また、相続等
によって宅地化される場合は、一団の農地として保全が図れる開発指導を行っていきます。
宅地化農地については良好な住宅環境の形成に役立てるような計画的な開発の誘導を
行うとともに、地区計画制度や開発事業における手続及び基準等に関する条例等の活用に
より乱開発の防止や緑の保全を図ります。
3.管理すべき緑『みどりの創出』
①道路植栽
主要幹線道・幹線道路・地区幹線道路の
道幅の構成を検討し、街路樹・植樹帯の設置
に努めます。
②生垣
公共の空間や民有地内の緑化を推進して
いくとともに、生垣等により道路に面する部分
の緑化に努めます。
③公園・公共施設
市の地域特性を踏まえながら体系的な公
園配置を行い、利用度の高い公園をめざす
とともに、子ども達の遊びの多様性を踏まえ、
子どもの視点や子育て世代の視点を取り入
れた公園の整備を図ります。
また、既存公園については高齢化、少子
化にともなう利用形態の変化により、地域の
特性を活かした特色ある公園としてリニューア
ル14 していくとともに、プレイパーク15 や思い出
ベンチのような新しい試みについても実現をめざし市立公園の持つ魅力を維持していきま
す。
公有地や公共施設に新しい緑の空間を生み出すために、公共施設の屋上緑化や芝生
化などの緑化を推進していきます。
14
15
改修などを行い、本体を新しくすること。
子どもたちの好奇心を大切にして、自分の責任で自由に遊ぶことを基本とした遊び場。
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④緑地
まとまりをもった樹林地など、良好な自然地につい
ては特別緑地保全地区の指定を視野に入れ保全に
努めます。
風致地区として指定した青梅街道、鈴木街道及び
東京街道のけやき並木・屋敷林などの沿道景観及び
玉川上水の歴史的景観などを保全していきます。
4.親水性のある水辺空間の創出『水環境の再生』
① 用水近隣の関係市民の理解・協力のもとに、用水
路のネットワーク形成を明らかにし、新たな視点で活
用区分の見直しと流水の系統化を検討し、「用水路
の活用ビジョン」として再構築します。
② 用水路の活用について、地域の特色を活かした用
水路の整備を進めます。また市民との協働により、用
水路を活用したビオトープ16 公園などの整備を行って
いきます。
5.多彩な参画による水と緑のまちづくり
緑の保全の推進にあたっては、その維持・管理面
での経済的・人的な負担が大きく、民間の緑は所有
者のみでの維持が困難な面もあります。
また、多彩な緑の保全・活用・創出にあたっては、
行政のみでの取り組みの限界もあります。
そのため、次のような多彩な参画による緑の保全・
活用・創出への取り組みについて検討し、具体化を
めざします。
① 緑の保全・活用・創出への市民参加型の資金調達(緑の公募債、保存樹林の信託化、緑
のトラスト制度17など)による財政面での参画
② 緑の保全・活用・創出への人的参画(市民ボランティア、公園の花木や道路植栽などへの
アドプト制度18)
③ ビオトープ公園などの市民参画による協働整備や市民団体への管理委託
④ 緑地協定 19 等の推進による民有地の生垣化、屋上緑化や商店街での店先緑化などのル
ール化
⑤ 東京都の新しい独自の仕組みである民設公園制度等、民間による公園づくりの様々な仕
組みについての研究
16
池を設けたり草木を植えたりして、野生の生きものが住みやすい空間を再現したもの。ドイツ語で「生息場所」
の意味。
17 市民が募金などにより買い取り、あるいは所有者からの寄贈・受け、契約を結ぶことにより緑を保全
する制度。
18 自治体と市民がお互いの役割分担について協議、合意を交わし、この合意に基づいて継続的に美化活
動を進める制度。
19 緑地の保全、または緑化の推進に関する事項について、土地所有者などの全員の合意により協定をむすぶ
制度
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- 39 -
■水と緑と公園の整備方針図
※「小平市緑の基本計画」より
3-5 住宅・住環境の整備方針
住みやすく快適な生活環境を維持し続けられるまちづくり
■基本的考え方
■住宅・住環境の整備方針構成
本市は、豊かな自然環境と閑静な住宅
① 良質な民間住宅の供給と誘導
地が特徴といえますが、市街地の形成過
② 公共住宅の充実
程や地形により地域特性や住宅の市街地
③ 安心して住み続けられる高齢者・障
の形態が異なります。また、健全な地域社
がい者の住宅・住環境
会を形成し、定住人口を確保するために
④ 適正な開発に向けた誘導
は、多様な住宅ニーズに対応した住宅の
供給が必要となります。そのため、「個性的
で魅力的な住み良い宅地の誘導及び住環
境の醸成」を基本に、住み続けたいと思う
住宅都市の整備を推進します。
1. 良質な民間住宅の供給と誘導
①良質な宅地の誘導
農地が多い特性を考慮し、良質な住宅及び住宅
地の供給を促進するため、農地等を活用した土地
区画整理事業を推進し、都市計画との連動による
面的な基盤整備を図るとともに、農地との調和がと
れた良好な住宅市街地の形成を進めます。
土地区画整理事業の施行地区等は、特に良好
な住環境が形成されるよう、住民によるまちづくりの
ルールである地区計画制度や建築協定20等の活用を図ります。
②良質な民間住宅建設の誘導
住宅の建替えにあたっては、居住者ニーズ及び社会的要請に応える機能・性能を持つ
良好な民間住宅のストック21形成、または改善の誘導に努めます。
農地等を活用した計画的な宅地化について、ガイドライン等の整備を図るとともに、開発
事業における手続及び基準等に関する条例などの活用により良質な民間住宅の供給を誘
導します。
2. 公共住宅の充実
①市内の都営住宅については施設の維持管理や建替えを含めて、引き続き東京都が管理す
べきものとし、要請していきます。
②市内のUR22賃貸住宅の建替えが行われる場合は、周辺地区との調和を図りつつ基盤整備
や環境整備を進める要望をしていきます。
3.安心して住み続けられる高齢者・障がい者の住宅・住環境
高齢者や障がい者等が安心して生活を送ることができるよう、小平市福祉のまちづくり条
20
住宅地としての環境や、建築物の利用を増進し、土地の環境を改善するために、土地所有者がその全員の合
意によって建築物の敷地、位置、構造、用途、形態、等に関して定めた協定。
21 物を蓄えること。また蓄えた物。
22 独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)
- 40 -
例に基づき、まちづくりを進めます。また、病院・診療所及び条例の適用されない小規模な
店舗等については、バリアフリー化に必要な項目について事業者等に対し、自発的・積極
的にバリアフリー化に取り組むよう啓発・周知することを検討します。
また、住宅に困窮する高齢者に対しては、高齢者に配慮した設備と生活協力員を配置し、
住み慣れた地域の中で安心して暮らすことができるように建設された集合住宅(シルバーピ
ア)の運営を行います。
4.適正な開発に向けた誘導
①地区計画制度や建築協定等への支援
豊かな自然環境と閑静な住宅地としての環境の維持・向上を図るために、地域住民が自
ら取り組む土地利用や建築行為に関するルールづくりである地区計画制度、建築協定、緑
化地域制度23、景観地区制度24、景観協定25等の活用を図ります。
②形態混在の防止(階数に差のある建物の混在による日当たりやプライバシーの保護)
本市は、低層低密度な住環境を基調として市街地が形成されてきました。また、平成17
年4月1日より絶対高さ 25mを定める高度地区を導入し、建物形態の混在の抑制に取り組
んでいます。
今後、面的なまとまりのある住環境を維持・向上するためには、地区の住環境目標を共有
するための地域でのまちづくり活動や地区計画制度や建築協定の活用・導入について支
援していきます。
③大規模な土地利用転換の適正な誘導
本市では、大規模な開発計画での事前手続きの適正化を図り、各住宅の敷地面積の最
低限度や公園・緑地の確保を図ることにより、良好な住環境・都市環境を創出するため平成
17年4月に「小平市開発事業における手続及び基準等に関する条例」を施行しました。
大規模な土地利用転換の適正な誘導をするためには、この条例をもとにして大規模敷地
や公共施設などの土地利用転換・開発動向に関する市民への情報開示やそれら土地の利
活用についての市民や事業者、行政の連携・協働による検討、協議・調整するシステムづく
りを図ることについて(仮称)地区計画提案型まちづくり条例創設の検討の中で合わせて検
討します。このことを通じて、周辺環境に調和した開発内容の適正化及び環境の保全に努
めます。
④大規模住宅団地建替えの計画的な誘導
市内には、企業社宅などの民間大規模住宅団地が立地しており、それらの建替えや新た
な住宅開発の進展が予想されます。
それらの民間大規模住宅団地の建替えなどに際しては、既存建築物の高さ・密度と大き
くかけ離れることによる周辺環境への影響の抑制や敷地内の緑の保全などについて、事業
者との協議・調整による適正な開発事業の誘導に努めます。
また、一団地の住宅施設の都市計画が指定されている住宅団地の見直しについては、
地域に必要な道路、公園の整備や緑の保全など骨格的な事項を定めた上で、地区計画等
の活用により引き続き良好な住環境を確保していきます。
23
緑が不足している市街地などにおいて、一定規模以上の建築物の新築や増築を行う際に敷地面積の一
定割合以上の緑化を義務付ける制度。
24 都市計画の地域地区の 1 つ。良好な景観の形成を図る観点から、建築物の形態意匠の制限などを定め
る制度。
25 景観計画区域内の一団の土地の所有者及び借地権を有するものが、全員の合意により地域の実情に応
じて工作物に関する事項等を定める取り決め。
- 41 -
3-6 個性あるまちづくりの方針
地区の個性を活かし身近な環境・資源を大切にするまちづくり
■基本的考え方
■個性あるまちづくりの方針の構成
本市の良好な環境資源を維持するとと
① 景観形成の推進
もに、より快適で魅力ある、市民が誇れる
② ユニバーサルデザインに配慮した都
まちづくりが求められます。
市施設の実現
また、本市の都市空間は、全体的に均
③ 活力ある産業などを活かしたまちづくり
質なイメージがありますが、各地区には、
④ 産(民)学官連携や地域施設資源など
それぞれの歴史や文化に育まれた地域
と取り組むまちづくり
資源が存在します。
そのため、これからのまちづくりは、各
地区ごとにそれらの身近な地域資源や
環境を活かした個性にあふれ、住むこと
が楽しい住宅都市の形成を推進します。
1.景観形成の推進
市の原風景としては、玉川上水や野火止用水などの用水路、農地、屋敷林、武蔵野の面
影を残す雑木林、街道沿道のけやきなどの並木等があります。
一方では、それらのうち、農地や屋敷林、雑木林の宅地化や街道の樹木などの伐採は進
行しています。
都市景観形成を考えるにあたっては、これらの自然や歴史的景観を維持し、または農の
ある風景を保全していくことと同時に、市街地と調和のとれた小平市の特徴ある都市景観を
創出していくことが重要です。
また、市内7駅が市のまちづくりの拠点と位置付けられており、各駅周辺のそれぞれ特色
のある都市景観の創出により、小平市を印象付ける顔としての景観形成を図ります。
① 景観法制定を受けたまちづくりの市の考え方
平成 16 年に制定されました景観法で
は、良好な景観の形成に関する事項を横
断的かつ一体的に定めることが可能とな
りました。しかしながら、この取り組みを進
めていくためには、市民の景観に対する
考え方を共有し、美しいまちなみについ
ての方針を定める必要があります。
景観形成に向かっては、まちの中にあ
る建築物の色、商店街、広告物等の看板、
電柱、道路、小平の緑を構成している小
平グリーンロードや用水路、屋敷林や樹
林地を対象として検討し、良い景観を守
るために景観法制定を受けて、市の対応
を検討します。
- 42 -
②景観に関する地区計画などまちづくりに対する情報提供や意識啓発
各地区の景観形成への取り組みの誘発にあたっては、まちづくりに関する情報提供や地
区計画制度の導入・活用によるなど、景観まちづくりの具体化のための意識啓発に努めま
す。
2.ユニバーサルデザインに配慮した都市施設の実現
市民にとって快適な居住空間を創出するためには、バリアフリーやユニバーサルデザイン
を視野に入れた街並みを計画し実現していくことです。
高齢者、子育て中の市民や障がい者等自由に社会参加ができるように、市民が生活しや
すい、住み良いまちにするための検討を行い、「小平市福祉のまちづくり推進計画」によるま
ちづくりの推進を図ります。
また、道路や公園などの都市基盤施設、公共施設へのアクセスルートや公共施設内での
誘導サインなどのユニバーサルデザインに配慮した整備を推進します。
3.活力ある産業などを活かしたまちづくり
①小平グリーンロードの活用
小平グリーンロードを中心にして、市民、商業事業者、農業事業者、鉄道事業者、大学、
行政が協働し、商業や農業、また、文化や自然などを含めた諸事業を総合的に展開し、小
平らしさの創造を進めます。また、小平グリーンロードがすばらしい観光スポット及び地域の
財産になることをめざします。
②商店街の魅力を増すまちづくり
駅周辺拠点の商店街などでは、商業振興施策と連携し、買物空間としての道路や店舗フ
ァサード26 などの環境整備事業の推進や、道路への広告物や商品のはみ出し陳列の規制
などに取り組み、消費者に支持され、経営向上に役立つまちづくりを推進します。
③都市農業の発展とまちづくり
大都市近郊の都市農業としての立地特性を活かした観光農業による事業展開など、多角
経営化による新たなビジネス展開の場としての活用も検討するとともに、市内の遊休化する
おそれがある農地については、市民参加型による新たな担い手の参画による農地の保全を
図ります。
4.産(民)学官連携や地域施設資源などと取り組むまちづくり
市内7大学に蓄積された情報・技術・ノウハウを今後の市民参加のまちづくりの情報及び
人的資源として、産業界・市民・大学・行政がともに取り組むまちづくりプラットフォーム27の形
成を図り、多彩なアイデアや潜在的魅力要素の活用によるまちづくりの展開をめざします。
また、市内の神社仏閣などの地域施設資源や工業系事業所などは、新たな都市観光要
素や産業観光要素・ものづくり支援拠点などとして、周辺地区でのまちづくり活動との連携を
支援していきます。
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店の正面部分のデザイン。
情報発信拠点。まちづくり活動の情報交流や具体化のための相互協力の場。
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