Comments
Description
Transcript
「岡山県警察速度管理指針」の概要 1 速度管理指針の公表の趣旨等
「岡山県警察速度管理指針」の概要 1 速度管理指針の公表の趣旨等 平成26年の岡山県における人身交通事故件数は12,271件と12年連続して減少したほ か、死者数も90人と昭和30年以来59年ぶりに100人を下回りましたが、人口10万人当た りの死者数は、4.7人と、 ○ 全国ワースト14位 であり、県内の交通情勢は、依然として厳しい状況にあります。 交通事故抑止やその被害軽減等の対策を効果的に推進するためには、適切な速度管理 を行うとともに、その速度管理に対するドライバーの皆さんの理解を深めることが重要 です。 そこで、岡山県警察では、速度管理の基本的な考え方や大綱方針について分かりやす く示した「速度管理指針」を策定し、公表しています。 2 岡山県における総合的な速度管理の必要性 (1) 県内の交通事故発生状況 過去5年の死亡事故をみると、その約4割が速度超過 を伴っており、速度超過が死亡事故発生の一因となって いるといえます。 また、平成27年1月から9月までに発生した軽傷事故 及び重傷事故では、速度超過を伴う割合が減少していま すが、死亡事故ではその割合が増加しています。 さらに、過去5年間の死亡事故453件のうち30キロメ ートル毎時を超える著しい速度超過を伴うと認められる 事故が44件も発生しています。 (2) 負傷程度と走行速度の関係 過去5年の人身交通事故をみると、軽傷事故では速度 超過を伴う割合が6.4パーセントであるのに対し、死亡 事故では41.1パーセントと、軽傷事故の6.4倍も高いこ とから、速度超過は、重大な結果を招く危険な交通違反 であることが分かります。 速度超過を伴う割合(死亡事故) 速度超過を伴わない事故 速度超過を伴う事故 45.1% 58.9% 54.9% 41.1% 過去5年 平成27年9月末 速度超過を伴う事故の割合 (負傷程度別) 41.1% 16.4% 6.4% 軽傷事故 重傷事故 死亡事故 (3) 危険認知速度と走行速度の関係 過去5年の人身交通事故について、車両の危険認知速 度(注1)別に被害者の致死率をみると、車両の走行速 度が60キロメートル毎時を超えた場合、それ以下の場合 に比べて約13.3倍も致死率が高くなっており、車両の走 行速度が、死亡事故の発生に大きく影響していることが 分かります。 速度別の致死率(全事故) 6.77% 0.51% 60km/h以下 60km/h超 また、過去5年の人対車両の形態の人身交通事故に ついて、車両の危険認知速度別に被害者の致死率をみ ると、車両の速度が30キロメートル毎時を超えた場合、 それ以下の場合に比べて11.9倍も致死率が高くなるこ とから、歩行者の交通を他の交通より優先すべき生活 道路では、車両の走行速度を30km/h以下に管理するこ とが、死亡事故の抑止につながるといえます。 速度別の致死率(人対車両事故) 13.80% 1.16% 30km/h以下 30km/h超 3 速度抑止対策による交通事故抑止効果 これまで、岡山県警察では、車両の速度超過による重大事故の抑止を図るため、 ○ 制限速度遵守の必要性についての広報 ○ ペースメーカー実践車による速度抑止 ○ レッド走行(注2)、駐留監視(注3)の街頭活動 ○ 交通事故分析結果等に基づく速度違反取締り ○ 道路管理者との連携による速度の出しにくい道路環境の整備 などを展開した結果、平成26年中の速度超過を伴う交通事故による死者数は25人と前年 の34人に比べて9人減少しました。 4 交通事故と走行速度の相関関係 以上の分析結果から、車両の走行速度と負傷程度には密接な相関関係が認められ、交 通死亡事故等の重大事故を抑止するためには、適切な速度管理を行うことが重要である ことが分かります。 5 岡山県警察における速度管理の在り方 岡山県警察では、以上の分析結果を踏まえ、「生活道路」、「幹線道路」及び「その他 道路」の3つに区分し、それぞれの交通事故の発生実態等を踏まえた速度管理を推進す ることとしています。 (1) 区分ごとの事故の特徴(過去5年間の事故を分析) ア 生活道路(注4) 軽傷事故をみると車両相互の形態の事故が9割以上を占めていますが、死亡事故 をみると6割以上が人対車両の形態であり、その約3割に速度超過が認められます。 また、人対車両の形態の死亡事故の被害者の8割を子供又は高齢者が占めていま す。 生活道路における 死亡事故の形態 【生活道路における死亡事故の形態】 区分 人対車両 車両相互 車両単独 計 発生件数 速度超過を 伴う割合 15 5 4 24 33.3% 20.0% 75.0% 37.5% 車両単独 16.7% 人対車両 62.5% 車両相互 20.8% イ 幹線道路(注4) 死亡事故の4割に速度超過が認められます。 また、死亡事故の形態別では、車両相互に比べ車両単独の方が、速度超過が認め られる割合が高くなっています。 【幹線道路における死亡事故の形態】 幹線道路における死亡事故の 区分 人対車両 車両相互 車両単独 計 ウ 発生件数 速度超過を 伴う割合 95 129 56 280 47.4% 32.6% 44.6% 40.0% その他道路(注5) 死亡事故の約4割に速度超過が認められます。 死亡事故を道路形状別にみると、単路での発生が約 6割を占めており、その半数に速度超過が認められま す。 速度超過を伴う割合 超過あり 40.0% 超過なし 60.0% その他道路における死亡事故の 道路形状別の速度超過の状況 速度超過なし 速度超過あり 33 35 33 単路 (2) 12 交差点 路線ごとの対策 ア 生活道路 ○ 通行車両の速度抑制 ○ 通過交通の流入抑制 イ 幹線道路・その他道路 ○ 通行車両の速度抑制 (3) 速度管理の概要 路線ごとの交通事故の特徴等を踏まえて下記の施策を推進し、道路、地域の実情に 応じた適切な速度管理を行います。 ○ 交通安全教育 運転免許の更新時講習、事業所等を対象とした交通安全教室において、速度 抑制の重要性に関する交通安全指導・教育のほか、関係機関・団体と連携した 街頭啓発活動を推進します。 ○ 交通指導取締り 交通事故の分析結果等に基づき指定した速度取締り重点路線(時間帯)を中 心とし、ドライバーの緊張感を高めるためのレッド走行及び主要交差点等にお ける駐留監視活動並びに速度取締りを実施します。 ※ 速度取締りは、重点路線(重点時間帯)以外の路線(時間帯)等において も実施します。 ○ 交通規制・道路環境整備 ・ ドライバーの速度遵守を図るため、速度規制の理由を特に示す必要のある 場所等については、「通学路」等の補助標識の設置による明示化を推進して います。 ・ 生活道路では、歩行者等の安全な通行を確保するため、道路管理者と連携 し、学校周辺の通学路を含む地域を中心に通過交通の流入規制や速度抑制を 図るためのゾーン30(注6)の整備など、面的な交通規制を地域の実情に応 じて推進しています。 ・ 幹線道路・その他道路では、規制速度が40キロメートル毎時及び50キロメ ートル毎時の道路を中心に交通事故の発生実態、車両の実際の走行速度等を 総合的に勘案し、速度規制の見直しを推進しており、平成26年中に1路線、 平成27年9月末までに2路線について、規制速度の引き上げを行っています。 ○ その他の指導取締り 速度取締りに併せ、交通事故の発生実態等に応じ、 ・ 合図(ウインカー)不履行 ・ 信号無視 ・ 一時不停止 ・ 横断歩行者等妨害等 ・ シートベルト装着義務違反 ・ 携帯電話使用違反 の指導取締りを重点的に実施します。 特に生活道路においては、通過交通の流入を抑制し、通学児童等を保護す るため、 ・ 通行禁止違反 の取締りを重点的に実施します。 注1: 「危険認知速度」とは、運転者が相手方車両、人等を認め、危険を認知し た時点の速度をいい、具体的には、ブレーキ、ハンドル操作等の事故回避 行動をとる直前の速度をいう。危険を認知せず、事故回避行動をとらなか った場合は、事故直前の速度をいう。 注2: 「レッド走行」とは、パトカー等による赤色灯を点灯させての交通指導取 締り等の活動をいう。 注3: 「駐留監視」とは、パトカーを駐留させて警戒活動を行うことをいう。 注4: 「生活道路」の事故の特徴は、国道以外の速度規制が30キロメートル毎時 以下の道路及び速度規制のない市町村道で発生した死亡事故のうち約500メ ートル以上にわたり、民家、建物等が連立し、市街地的形態をなしている 地区(市街地)で発生したものを集計したもの。 注5: 「幹線道路」の事故の特徴は、全ての国道(高速道路を除く。)、速度規 制が40キロメートル毎時以上の県道で発生した死亡事故を集計したもの。 注6: 「その他道路」の事故の特徴は、「生活道路」及び「幹線道路」以外の道 路で発生した死亡事故を集計したもの。 注7: 「ゾーン30」とは、区域(ゾーン)を指定して、最高速度30キロメートル 毎時の区域制限や路側帯の設置・拡幅を実施するとともに、その区域の道路 交通の実態に応じて通行禁止等の交通規制等の対策を行うことにより、区域 内の速度抑止や通過交通の抑制を図るもの。 上記の分析は、原付以上の車両が第1当事者となった人身交通事故のデータを用 いています。