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IPM モータ搭載小回り制御可能 リーチフォークリフト(QuaPro-R)

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IPM モータ搭載小回り制御可能 リーチフォークリフト(QuaPro-R)
【日本機械工業連合会会長賞】
IPM モータ搭載小回り制御可能
リーチフォークリフト(QuaPro-R)
住友ナコ マテリアル ハンドリング株式会社
愛知県大府市
1.
機器の概要
リーチフォークリフトとは、マストが前後に動くフォークリフトで、コンパク
トなボディが特長のバッテリ式フォークリフトである。
車体が小さい為小回りが利き、狭いスペースでも使用できることから、倉庫を
中心に使用されている。
近年流通業・倉庫業においてフォークリフ
トの省エネ、省スペース化への要望は高く、
市場全体の 85~90%を占める小型フォーク
リフトのカテゴリでは、
特にその要望が強い。
QuaPro-R はこれらの要望に応えるのを目
的に開発・販売開始したもので、各種制御の
最適化や、IPMモータの採用等により、単
価の高い最新のバッテリなどを使用せずに省
エネルギー化を実現した。さらに、旋回制御
の採用と車両の小型化による省スペース化と
作業効率向上を達成し、省エネルギー化に結
びつけた。
— 34 —
図1 Quapro-R外観
2.
2.1
機器の技術的特徴および効果
技術的特徴
(1) IPMモータの採用と走行制御を最適化
走行モータには高効率なIPMモータを採用
した。
モータは全閉タイプものを採用し、騒音低減
にも貢献している。
IPMモータの制御には、電流の指令を効率
が最もよくなるよう制御する最大効率制御を採
用した。
図2 IPMモータ
(2) 旋回制御の採用
ハンドル操作量に応じて走行モータのトルクを抑制し、旋回中の無駄な加速
を抑えると共に消費エネルギーを削減した。旋回中の危険な加速も抑えられる
ので横転などの危険動作を回避し安全性も向上している。
また、新技術の小回り制御を設定することで省スペース化を実現している。
(3) 加速制御の最適化
アクセル特性、加速特性を見直すことで、スムーズなアクセルフィーリング
の向上と電力消費を低減した。
(4) 荷役ACモータの採用と荷役制御の最適化
荷役モータにはACモータを採用し、その制御にはモータ回転数に応じて、
最も効率が良くなる様、電流指令を制御している。
(5) 油機効率の向上
油機の回路の見直しや高効率品の採用により圧力損失を削減することで荷役
モータの発生させた動力を無駄なく荷物に伝達し、電力消費を抑えている。
(6) 省スペース化(作業効率向上による省電力化)
小回り制御、車両サイズの見直しにより、省スペース化を実現した。
具体的には、省スペース性を表す最小直角積付通路幅を、当社従来機比
Δ130mm(2670mm →2540mm)を実現している。
これによりハンドルの切り返しが減り、作業効率が向上した。
— 35 —
図3 直角積付通路幅イメージ
2.2
効果
(1) 省エネ性
消費電力は、従来機比△24%の削減を実現した。これは、1充電あたり約2
時間の稼動時間が延長できる量に相当する。
また、従来機で 75%放電までと同じだけの稼動量で比較した場合、消費量が
少なくなる分、バッテリの放電深度は少なく済む為、バッテリの寿命延長が望
める。消費電力が少なくなった分、充電量も少なくなりそれに伴う CO2 排出量
も低減できる。
また、小回り制御により狭い通路でのステアリングの切り返し作業が大幅に
削減され、作業効率で 33%向上(従来機比)するため、より多くの仕事ができ、
切り返しにかかっていた分の消費を抑えることができる。
表1に省エネ性の比較表を示す。
— 36 —
表1 省エネ性比較表
(2) メンテネンス性・経済性
走行用IPMモータは、防塵性が高く粉塵によりグリス切れ等の不具合が発
生しにくい構造である。また走行用、荷役用の両モータ共にブラシやコンタク
タが不要となりメンテナンス費用の削減が可能。
3. 用途
リーチフォークリフトは、倉庫業、運輸業、製造業と多くの業種の物流の場に
おいて使用されており、倉庫や工場での棚や、トラックへの荷物の積み降ろしや
荷物の運搬等に使用されている。
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