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ビッグデータによる経済統計のあり方を展望 東大日次物価指数セミナ ー

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ビッグデータによる経済統計のあり方を展望 東大日次物価指数セミナ ー
2014/10/30
日本経済新聞 印刷画面
ビッグデータによる経済統計のあり方を展望 東大日次物価指数セミナ
ー開催
2014/10/30 18:25 日本経済新聞 電子版
東京大学大学院の渡辺努研究室と日本経済新聞デジタルメディアは30日、「『物価から見た
日本経済』~日経・東大日次物価指数の役割」と題したセミナーを都内で開催した。同物価指
数の特徴や、マクロ経済指標としての有用性などについて3人の有識者が講演した。
最初に講演した政策研究大学院大学の伊藤隆敏教授は、東大指数のようなビッグデータを
用いた経済指標について、集計の速さや正確性について言及し「実際の経済の動きを政策当
局が認識するまでの『認識ラグ』を短縮することができ、マクロ経済予測の正確性向上につな
がる」と評価した。
東大指数の目的について(1)バイアス(ずれ)のない正しい物価指数を作ること(2)速報性の
高い物価指数を作ること、の2つがあると説明した。その上で現在、消費者物価指数(CPI)と
比較して2割程度にとどまっている品目のカバー率について「外食や光熱水費などに範囲を
広げていけば、より正確な物価指数を作ることができる」と指摘した。
同物価指数の開発者である東京大学大学院の渡辺教授は、東大指数の特徴と課題につい
て説明した。指数について価格を変えずに内容量を変える「実質値上げ」を反映できるのか、
との質問が多く寄せられていることを紹介。これについては現状の日次指数では反映できて
いないものの、「計算手法の改善により、近い将来は実質値上げも反映できるようにしたい」と
述べた。1年前に存在しなかった新商品の価格が計測できないことについても「商品の新陳代
謝を上手に取り込む方法を考えている」と述べ、今後も指数の改良を続ける方針を示した。
ゴールドマン・サックス証券の馬場直彦日本経済担当チーフエコノミストは、東大指数につい
て「市場は日銀の物価安定目標の達成可能性の判断や、物価連動債の価格決定に役立てる
のではないかと期待している」と話した。また価格と売り上げの両方のデータがあることで、物
価の動きがコスト増などの供給要因なのか、需要側の要因なのか分析できると説明した。
例えば消費増税前後の物価の動きを見てみると、増税直後の4月には消費者は価格の上
昇に対して非常に敏感な態度を見せ、売り上げが大きく減った。ただ、そうした態度は徐々に
解消していると説明。「消費増税のショックは徐々に癒えてきている」と話した。
また、生鮮食品を除くCPIの予測に東大指数がどの程度有用かということについては、東大
指数と同じカバー範囲の物品のCPIには相関性が非常に高いが、CPI(生鮮食品を除くコア指
数)全体の予測に使うにはやや弱いと指摘。CPIを予測するという観点から見ると「今ある指
数に加えて、(販売数量の変化を加味しない)CPIと同じ方法での日次物価指数も同時に公表
するべきだ」と話した。
http://www.nikkei.com/news/print-article/?R_FLG=0&bf=0&ng=DGXLASFL30HAZ_Q4A031C1000000&uah=DF_SOKUHO_0001
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日本経済新聞 印刷画面
3人が登壇したパネルディスカッションでは、今後のCPIの動きなどについて議論が交わされ
た。渡辺教授は日次物価指数(消費増税の影響を除く)がマイナス0.5~1.0%程度で推移して
いることを挙げ、「日次物価指数は下落局面ではCPIへの先行性が高い。これからCPIも追随
する可能性がある」と述べた。一方、伊藤教授は、1997年の消費増税後にCPIが下落したこと
と比較すると「当時はアジア通貨危機の影響もあった。東大指数が下がっているからCPIが下
がるとはいえないのではないか」と渡辺教授の見方に疑問を示した。
渡辺教授は他の2人の講演者から指摘を受けた点について、今後の対応を説明した。商品
のカバー率の拡大については、「様々な企業から誘いをいただいている」と説明。第1弾として
カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が提供する共通ポイント「Tポイント」との連動を検討
していることを明かした。販売数量の変動を加味しない「CPIに近い日次物価指数」の作成に
ついても、今後公表を検討する考えを示した。
7月から公表が始まった日経・東大日次物価指数は、日本経済新聞デジタルメディアが収集
したスーパーマーケットのPOS(販売時点情報管理)データを元に、東京大学大学院の渡辺
教授らが開発した物価指数。全国約300店のスーパーで販売している食料品や日用品などの
商品販売データを集計し、1日ごとの物価の動きを公表している。現在はCPIが対象としてい
る財やサービスの2割程度のカバーにとどまるが、長期的にみたCPIとの連動性は高い。また
速報性に優れることに加えて、短期間の値引き販売や、消費者が安い類似商品に乗り換える
ことによる実質的な物価下落など、CPIが把握できない物価の動きをつかむことができるとさ
れる。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
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