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色素増感型太陽電池

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色素増感型太陽電池
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色素増感型太陽電池
2509 尾関 竣哉
2625 長坂 一生
2508 稲ヶ部 春己
2641 渡邉 航平
要旨
電池の変換効率の向上を目的としてチタンペーストの改良、ガラスの電導面に傷をつけて傷上にチ
タンペーストや炭素を密集させる、ガラスの接着面を感光用接着剤を用い密着し電解液の乾燥を防ぐ、
色素溶液の濃度による効率の変化に注目をして実験を行った。また、以前使用していたマローブルーは
酸化しやすいことがわかったため、今回はハイビスカスを使用した。
本文
1. 目的
電池の変換効率向上のため、チタンペーストの改良、ガラスの導電面に傷をつけペーストや炭素
を密集させる。また、感光用接着剤を用いて電解液の乾燥を防ぎ電池を長持ちさせる。
2. 使用した材料・器具
(1) 材料
酸化チタン(Ⅳ)
(粉末状),純水,酢酸溶液(pH3),エタノール,ハイビスカス色素 ,
2-プロパノール,グラファイト棒,ヨウ化物電解質溶液,
(2) 器具
ビーカー,シャーレ,電気炉,OHP,テスター,導電性ガラス,ろうと,ろ紙,ガラス棒,フィルムケ
ース,薬さじ,乳棒,乳鉢,マイクロピペット,感光性接着剤,クリップ,ガスバーナー,セロハン
テープ,
3. 研究・実験の手順
作製方法(ケニス株式会社ナノクリスタによる)
(1)酸化チタンペーストを作る
乳鉢に粉末状の酸化チタン 6g を入れ、pH3 酢酸 9ml を 1ml ずつ加え混ぜる。
(2)酸化チタンペーストの導電性ガラスへの塗布
①導電性ガラス二枚をエタノールで洗浄し、ティッシュペーパーで拭く。
②テスターを用いて導電面を調べる。
③導電面を上にしてセロハンテープでマスキングする。
④酸化チタンペーストを約 5 マイクロリットル塗布し、ガラス棒を用いて均一に塗布する。
⑤テープをはがしてペトリ皿に入れ蓋をして乾燥させる。
(3)ハイビスカス色素による着色
①ハイビスカスに純水を加え、ハイビスカス色素溶液を作る。
②酸化チタンをコーティングした導電性ガラスをハイビスカス色素溶液に 10 分浸す。
③導電性ガラスを純水で洗い、2-プロパノールで洗浄する。
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(4)炭素コーティング
導電性ガラスの導電面にグラファイト棒で炭素をコーティングする。
(5)組み立て
①酸化チタンコーティングされた導電性ガラスを 2-プロパノールで洗浄しティッシュ
にのせ水分をふき取る。
②酸化チタンコーティングをした導電性ガラスと炭素コーティングをした導電性ガラ
スを 4mm~5mm ずらして重ね、クリップでとめる。
③ヨウ化電解質溶液を隙間にたらししみこませる。
実験
グループの目標である発電効率向上のために導電性ガラスにいかに多くの二酸化チタンペー
ストを沈着させるか、色素溶液の濃度によって効率は変化するのか、導電性ガラスの接着面を
接着し、乾燥を防ぐことで効率は上がるのかということに注目して研究を行った。
<前々回の結果>
チタン傷
炭素傷
電流(mA)
なし
なし
0.15
なし
あり
0.17
実験1*二酸化チタンペーストの沈着
第20回自然科学系部活動研究発表・交流会での岐山高校の発表を参考に導電性ガラスの導電面
に紙やすりで傷をつけるという方法をとった。
これは傷をつけたガラスの隙間に多くの二酸化チタンペーストが入り込むことで発電効率が向
上するというのを目的としている。
ハイビスカス 1.6g に対し純水 12ml でハイビスカス色素溶液を作り、チタン傷・炭素傷の有無に
よる発電効率の変化について実験を行った。
<結果>
チタン傷
炭素傷
電流(mA)
あり
あり
0.01
あり
なし
0.01
なし
あり
0.00
なし
なし
0.02
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実験2*色素溶液の濃度による発電効率の変化
二酸化チタンペーストを焼き付けたガラスに色素を沈着させるときに用いる溶液の濃度によっ
て発電効率は変化するかどうかを調べるために三種類の濃度を試した。三種類ともチタン傷、炭
素傷なしで実験を行った。
<結果>
ハイビスカス(g)
純水(m l)
電流(mA)
1.6
10
0.02
1.6
12
0.02
1.6
14
0.01
実験3*導電性ガラスの接着による乾燥防止
色素電池が長持ちしない理由として、電解液、色素の乾燥が原因の一つであると考えた。
そこで乾燥を防止する方法として、導電性ガラスの接着面を感光用接着を用いるとことで乾燥
を防げるかどうか、また、乾燥していない場合でも使えなくなった場合、長持ちしない他の理
由が考えられる。それも考慮しつつガラスの接着による乾燥防止を目指す。
結果的に発電することができなかった。
原因
・接着剤を乾燥させるまでに時間がかかりすぎて、チタン電極の色素が乾いてしまう。
・接着剤が広がってチタンの部分を覆ってしまって発電ができない。
・電解液を注入するのが困難になる。
4,結果・考察
今回のデータには二つの導電性ガラスに付けた傷によって発電効率が左右されていない。
しかし、前々回の結果からもわかるように導電性ガラスの傷をつけることで効率は上がるようであ
る。
今回の実験で低い発電効率を記録した理由として以下のものが挙げられる
・二酸化チタンペーストの状態が悪かった。この原因として二酸化チタン粉末の劣化、硝酸と二
酸化チタンを混ぜる際に気泡が多く入ったことが原因であると思われる。
・チタンペーストを塗る際に気泡が多く入った。また気泡が入ることでチタンペーストにむらが
でき、剥がれる原因となったと思われる。
・色素液を染み込ませる際の滴下の衝撃でペーストが剥がれる。
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剥がれたペースト
剥がれなかったペースト
・チタン面につける傷が深すぎて導電面が削れてしまった。
・二酸化チタンの劣化の原因は湿気によるものと考えられるため、二酸化チタンを新しいものに
買い替えることで改善されると思われる。
・滴下によって色素を染み込ませると衝撃でペーストが剥がれることが分かったため、今後は染
色液に浸すという方法でペーストに色素を染み込ませる。
・ペーストに気泡が入るのは静かにペーストを塗れば改善される。
・感光用接着剤を用いた電解液の乾燥を防ぐという方法は困難であることがわかった。
5,参照
ケニス株式会社ナノクリスタ
第 20 回自然科学系部活動研究発表・交流会 岐阜県立岐山高等学校 化学部太陽電池班
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