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底辺からの再スタート 長崎ハウステンボスの再建

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底辺からの再スタート 長崎ハウステンボスの再建
時代の変化に対応する経営手法 ∼難局を乗越える底力∼
∼
底辺からの再スタート
第2回
長崎ハウステンボスの再建
∼
バブル経済の時期に計画されたテーマパークが次々と姿を消してゆく中、長崎県佐世保市にある
「ハウステンボス」もまた、長らく存亡の危機に立たされていた。しかし 2010 年 11 月、実に 18 年間
続いた赤字を打ち破り、ついに黒字を達成した。今回は、この偉業の立役者である大手旅行会社 H・I・
S 会長、澤田秀雄の手腕について掘り下げてみたい。
ハウステンボスの開業は 1992 年。東京ディズニーランドとディズニーシーを合わせたのとほぼ同じ
広さを誇る園内には、3 つのホテルと 250 戸の別荘郡が作られ、建設費には 2,200 億円の建設費が投入
された。建設当時は本格的なオランダの街並みを忠実に再現した巨大テーマパークとして話題を集め
たが、立地的条件の悪さからリピーターを獲得できない問題、子供に受けないなどの問題で伸び悩み、
2003 年に 2,300 億円の負債を抱え経営破綻。
澤田社長自身が社長に就任し再建が開始された。ハウステンボスの再生は長崎県知事・佐世保市長
の要望によるものだったが、その条件として澤田は佐世保市議会へ自ら再生計画の説明に出向き、固
定資産税 10 年分、総額 74 億円免除の約束を取り付けたのだった。
しかしこのとき、施設内は 18 年間の赤字続きで社員のモチベーションはすっかり下がっていたとい
う。そこで澤田社長は、社員にまずは 3 つの改善をお願いした。
①朝の 15 分間の清掃を徹底すること。
社長自らも掃除に参加し、来場者から見えないバックヤードまで整理整頓を心がけた。
②明るく、元気に仕事を行うこと。まずは来場者への挨拶を笑顔で行うこと。
③経費を 2 割削減、来客数を 2 割増やすことで黒字を勝ち取り、
これまで無かったボーナスを獲得しようと呼びかけた。
経費削減には社員のモチベーションアップが欠かせない。「今までの 1.2 倍の速さで仕事をするよう
に」つまり、30 分かかるところを 20 分で仕上るようにするようにしたという。リピーター獲得の問題
には、キャンペーン作戦で挽回を図った。夏休みには、アイドルグループによる「AKB48DAY」、アニ
メ「ワンピース」とのタイアップ企画を催し、それまで苦手としていた子供への求心力を強化した。
秋には、
「ガーデニングワールドカップ」秋から冬にかけては、イルミネーション「光の王国」を打つ
などしてその時期の旅行客に合わせた変化を持たせた。また敷地の1/3 をフリーゾーン(無料地区)
として開放し、残りについても入場料を安くして飲食や買い物で稼ぐ作戦に出た。特に「佐世保グル
メストリート」とした一区画では、佐世保バーガー、肉巻きおにぎり、九十九島の牡蠣料理など、地
元の名物が人気を集めたという。
そして遂に、経常利益 4 億 29 百万円となり、創業以来初めて黒字を計上した。
100 年企業を目指す際、時代の変化や天災などの外的環境から、不遇の時期にぶつかる事もあるでし
ょう。そんな時諦める事無く立ち上ることができるかは、経営者の手腕、リーダーシップと社員のモ
チベーションにかかっていると言えます。
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