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フラットレートの計算
債券価格と金利 将来のキャッシュフローが確実 将来のキャッシュフロ が確実 →確定利付き証券(fixed income securities)の分析 将来のキャッシュフローが不確実 →リスクとリターン 株式(equities)の分析 →リスクとリターン、株式(equities)の分析 資本資産評価モデル(CAPM) 1 講義の内容 (c.f. Lenberger, chap3-4) 永久債、年金型商品、割賦償還 永久債 年金型商品 割賦償還 単利運用と複利運用 利回りの定義・概念 満期保有利回り(単利、複利) スポ トレ ト スポットレート 直利、実質金利 スポットレートに基づく現在価値計算 2 1 金利の期間構造:満期の長さとスポットレート 金利の期間構造 満期の長さとスポットレ ト の関係(長短金利の関係、予想・政策反映) ・純粋期待理論仮説 ・流動性選好仮説 金利リスク(金利上昇と債券価格下落) ・デュレーション ・コンベキシティ 3 銀行経営と金利リスク 銀行の国債保有過去最高 潜在的な金利上昇リスク 財政赤字増大 経常収支の悪化 少子高齢化による貯蓄低下 調達・運用のミスマッチ(貸出先不足) 4 2 金融システムリポート(2011.11) 金利リスク量 有価証券保有残高 金利更改期間と期間ミスマッチ 有価証券利鞘 5 6 3 7 債券の評価 5年後に満期を迎える額面100万円の利付 債(クーポン率5%)の現在価値は,金利が 3%のとき,いくらになるか 8 4 債券の評価 105 現在価値 0 5/(1.03) = 4.854 5/(1.03) ( )2 = 4.713 5/(1.03)3 = 4.576 5/(1.03)4 = 4.442 5 5 5 5 1 2 3 4 5 year 105/(1.03)5 = 90.574 109.159 9 債券の評価 長期債はクーポンと元本支払の現在価値 長期債はク ポンと元本支払の現在価値 の合計として評価することが可能 C3 C5 C1 C2 C4 2 3 4 1 r (1 r ) (1 r ) (1 r ) (1 r ) 5 5 5 5 5 105 109 .159 2 3 4 1.03 (1.03) (1.03) (1.03) (1.03) 5 PV 10 5 永久債 永久債(perpeturity):毎年一定額の利子 永久債(perpeturity):毎年 定額の利子 を永久に払い続ける債券 金利を10%とすると,1年後から毎年10万 円を永久に支払う債券の価格はいくら か? 11 永久債の現在価値 無限等比級数の和 初項/(1-公比) PV C C C C 10 100 2 3 1 r (1 r ) r 0.1 (1 r ) 12 6 成長型永久債のケース 1年後に10万円の利子を支払い,その後 1年後に10万円の利子を支払い その後 毎年4%の割合で利子が増えていくタイプ の永久債がある。金利を10%とすると,こ の成長型永久債の価格はいくらか? 13 成長型永久債の現在価値 PV C3 C1 C2 1 r (1 r ) 2 (1 r ) 3 C1 C1 (1 g ) C1 (1 g ) 2 C 10 1 166.666 1 r (1 r ) 2 r g 0.1 0.04 (1 r ) 3 14 7 年金型投資商品の価値 年金型投資商品(annuity):特定の期間, 年金型投資商品(annuity):特定の期間 毎年一定額の支払が行われる資産 期間 キャッシュフロー 1 2 ・・・ t 現在価値 t + 1・・・ 永久債 ((1年目に支払開始) 年目 支払開始) C r 永久債 (t+1年目に支払開始) C 1 t r (1 r ) 1年目からt年目まで支払う 年金投資商品 C C 1 t r r (1 r ) 15 成長型年金型投資商品のケース 毎年一定割合(g)で利子が増えるタイプの 毎年 定割合(g)で利子が増えるタイプの 年金型投資商品の現在価値はいくらか? ⇒ 宿題 16 8 成長型年金型投資商品の現在価値 PV C1 C1 (1 g ) C1 (1 g ) 2 C1 (1 g ) t 1 1 r (1 r ) 2 (1 r ) 3 (1 r ) t 1 1 (1 g ) t C1 t ( r g ) ( r g ) (1 r ) 17 問題:割賦償還融資のケース あなたは100万円の融資を銀行から受け ました。銀行は10%の金利で毎年返済を 行うように要求しています。5年間で返済完 了するためには,あなたは毎年いくら返済 すればよいでしょうか。 18 9 解答:割賦償還融資のケース 1年目から5年目まで支払う年金の現在価 値が100万円になるように,支払額を計算 すればよい 1 C C 5 0.1 0.1 (1 0.1) 100万円 1 1 1 100万円 / 3.791 26 .38万円 C 100万円 5 0 . 1 0 . 1 (1 0.1) 19 割賦償還融資の償還例(金利部 分は10%払う例) 年 年初の残高 年末の利払額 年末の返済額 融資の償還額 年末残高 1 1,000,000 100,000 263,797 163,797 836,203 2 836,203 83,620 263,797 180,177 656,025 3 656,025 65,603 263,797 198,195 457,830 4 457830 457,830 45783 45,783 263797 263,797 218014 218,014 239816 239,816 5 239,816 23,982 263,797 239,816 0 20 10 単利と複利(運用) 単利:元本のみに利子(再投資しない) 複利:元本と受け取った利子も再投資する 100円を年10%で運用したときの将来価値 450 400 350 単利 複利 300 250 円 200 150 100 50 0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 21 年 単利と複利 i 期間 ii 期間金利 iii iv v 年率 1年後の価値 複利 1 6% 6% 1.06 6.000% 2 3 6 1.032 = 1.0609 6.090 4 1.5 6 1.0154 = 1.06136 6.136 12 .5 6 1.00512 = 1.06168 6.168 52 .1154 6 1.00115452 = 1.06180 6.180 365 .0164 6 1.000164365 = 1.06183 6.183 22 11 連続複利 年6%で半年ごとに利払いを行う債券に100円投資した 場合,半年後に103円,1年後には100×(1.03)2= 106.09円の価値となる 年r%のm回複利への投資は,[1+(r/m)]m-1の年複利の投資と 等しい 連続複利:利払いが連続的に行われると考えたときの複 利 mを無限大にまで増加させると, [1+(r/m)]mは,erに近づく。 r lim 1 e r m m m e:自然対数の底 23 利回りの定義(金利の種類) 利付債(国債想定) 額面(B) クーポン(C) (C/B:クーポンレート) 満期までの期間(N) 債券価格(P) 24 12 満期保有利回り(利付債) 複利 rt , N (年一回C支払) (年 回C支払) Pt N C (1 r i 1 t,N ) i B (1 rt , N ) N 単利 rt s (年一回C支払) Pt N C B (1 Nrt s ) 25 利付債の利回り計算例 N=3年、クーポンレート6%(年一回払い) B=100 P=90.05円→複利=10% 単利 10 3% 単利=10.3% P=102.71円→複利=5% 単利=4.9% 26 13 単利と複利の関係 単利、複利 単利利回り C/B 複利利回り 債券価格 額面 27 年にm回利払いあるケース の複利 Pt N t 0 C /m B (1 ( rt , N / m )) mt (1 ( rt , N / m )) mN →exercise 28 14 スポットレート 割引債(ゼロクーポン債)の満期保有利回 割引債(ゼロク ポン債)の満期保有利回 り(複利) Pt st , N B (1 s t , N ) N 例(B=100) N=1,P=90.09 → N=2,P=85.73 → N=3,P=77.22 → st , N =10% =8% =9% 29 債券の現在価値 利付債現在価値(利払い年1回) PV t PV t N C (1 s i 1 t ,i ) i B (1 s t , N ) N 例)先のスポットレート値使うとN=3,C=6の 利付債の現在価値は N 6 6 (1 0 .1) (1 0 .08 ) i 1 2 106 92 .44 (1 0 .09 ) 3 30 15 実質金利 1+実質金利 (1+名目金利)/(1+期待イン 1+実質金利=(1+名目金利)/(1+期待イン フレ率) →実質金利~=名目金利-期待インフレ率 100万円を年5%の金利で運用すると,1年後に は105万円を受け取る。 インフレにより財の価格が年2%上昇すると,1年後に インフレにより財の価格が年2%上昇すると 1年後に は現在購入可能な財より2%少ない財しか購入できな い。すなわち,実質は105/1.02=102.94万円分しか 購入できない 31 その他の利回り概念ほか 直利:クーポン/債券価格=C/P 直利:ク ポン/債券価格=C/P 実効利回り 実際の再投資の利回りは最終利回りとは 一致しないかもしれないとして計算得られ た利回り 一般には、連続複利<複利の関係 32 16 スポットレートの推計 N種類の割引債価格より推計 N種類の利付債価格より推計 I<N種類の利付債価格より推計 33 N種類の利付債より推計 P1 C1 B (1 s t ,1 ) P2 C2 C2 B (1 s t ,1 ) (1 s t , 2 ) 2 .......... ...... CN CN CN B PN ..... 2 (1 s t ,1 ) (1 s t , 2 ) (1 s t , N ) N 未知数n個、方程式n本 34 17 行列式を使った表現 P1 B C1 P2 C2 P C 3 3 0 B C2 C3 d1 d 2 B C3 d 3 0 0 P C Dとおくと(D : 割引関数ベクトル) D C 1 P 1 1/ i st ,i 1 d i →excercise 35 利付債の種類がNより少ない場合 割引関数に既知の関数を当てはめて推計 J 1 d (i ) 1 a j f j (i ) (1 st ,i ) i j 1 ex. f j (i ) i jとすると J 1 a1i a2i 2 a3i 3 .... a J i(多項式) I本(N>I>J)あれば、未知数a1,,,aJ推計 可能→N種類のスポットレート計算可能 36 18 金利の期間構造 期間構造:金利の水準と満期の長さの関係 利回り曲線:横軸に満期までの長さ、縦軸に スポットレートの水準をグラフ化したもの Cf. 利付債の満期利回りではクーポンの影響う けてしまう。 ←投資家の将来金利の予想、期間選好を反映 市場の予想をみる上で有益な情報 37 38 19 利回り曲線のパターン スポットレート inverted hump flat normal 満期までの長さ 39 利回り曲線の決定理論 金利裁定 純粋期待理論仮説 流動性選好仮説 市場分断仮説 40 20 金利裁定(先物カバー付き) 1円をK期間運用すると想定 運用方法1:残存期間Kの割引債に投資 (1 s t , k ) k 運用方法2:1期物割引債+先物 (1 s t ,1 )(1 f t ,t 1,1 )(1 f t , t 2 ,1 )...( 1 f t , t k 1,1 ) f t ,t j ,1 : t jから始まる1期間の先物レート(t時点) 41 両者は均衡では 致するはず 両者は均衡では一致するはず。 (1 s t , k ) k (1 s t ,1 )(1 f t , t 1,1 )(1 f t , t 2 ,1 )...( 1 f t , t k 1,1 ) 対数をとると k 1 s t , k (1 / k ) s t ,1 f t , t i ,1 1 t時点におけるSt,kとSt,1の関係(期間構造) St,kとft,t+i,1は平均と限界の関係 42 21 純粋期待理論仮説 先物レートは当該期間のスポットレートの現時 先物レ トは当該期間のスポットレ トの現時 点での予想値に等しいとの見方 f t ,t i ,1 E ( st i ,1 ) E : 期待値示す記号 将来スポットレート上昇予想→曲線右上がり 将来スポットレート不変予想→曲線水平 将来スポットレート下落予想→曲線右下がり 将来、上昇して下落と予想→ハンプ型 43 流動性選好仮説 先物レートはスポットレートの予想値(現時点) 先物レ トはスポットレ トの予想値(現時点) よりも高いとの見方 f t ,t i ,1 E ( st i ,1 ) st ,k (1 / k ) st ,1 E ( st i ,1 ) ( : term premium o) 利回り曲線は右上がり傾向(将来スポットレー ト不変と予想していても右上がり) 投資家の短期運用志向を反映(流動性選好) 44 22 市場分断仮説 長期債の市場と短期債の市場は分断。 長期債の市場と短期債の市場は分断 それぞれの需給で利回り決まるとの考え。 利回り曲線の形状と将来の予想とは無関 係 45 純粋期待理論について 利回り曲線の形状から市場の予想(金融政 策への見通し含む)を読み取ること多い。 スポットレートの予想を利回り曲線から逆算し た先物レート(implied forward rate)から計 算する。 46 23 Implied forward rate 47 計算例 48 24 Forward rate,短期金利予想 Forward rateの一番上の行がスポットレート 2行目(3行目)が来期(来々期)のforward rate 短期金利のところは逆算された予想値 →exercise 49 金融政策と利回り曲線 -経済財政白書(H.22)より抜粋- 50 25 51 52 26 金利リスク 金利リスク:予期せざる金利(スポットレー 金利リスク 予期せざる金利(スポットレ ト)の上昇に伴う債券価格の下落(損失) 債券価格と金利の関係 金利リスクの指標 ・デュレーション ・コンベキシティ 金利リスクの回避(immunization) 53 金利と債券価格の関係 当面利回り曲線はフラットと考える(St,ii=S)。 当面利回り曲線はフラットと考える(St S)。 5年後に満期を迎える額面100万円の利付債(クーポン 率5%)の価格は,スポットレート2%のときいくらになるか C3 C5 C1 C2 C4 1 r (1 r ) 2 (1 r ) 3 (1 r ) 4 (1 r ) 5 5 5 5 5 105 109.238 2 3 4 1.02 (1.02) (1.02) (1.02) (1.02) 5 PV 金利が 上がる(下がる)と債券価格は 下がる(上がる) 54 27 債券価格 満期の長期化 ク ポ 上昇 クーポン上昇 最終利回り 55 金利リスクの指標 ∆P=(-修正duration)P∆s ∆P ( 修正d ation)P∆s +(1/2)(convexity)P∆s2 ∆s:利回り曲線の平行シフトと想定してもよい dP 1 d 2P | s0 ( s s0 ) | s0 ( s s0 ) 2 ... 2 ds 2 ds 2 dP d P 2 | s0 | s0 1 Ps 2 Ps ds P ds P P 2 P ( s ) P ( s0 ) 56 28 修正d ation DN/(1+s) =(-dP/ds)/P 修正duration B C i N ( 1 ) (1 s ) N s DN i N P P 0 convexity it C i2 d P 1 (1 s ) ( 1 ) i i P ds 2 P 2 B N 2 N ( N 1) (1 s ) P 57 58 29 Duration(Macaulay) C B (1 s )i N (1 s ) N DN i N P P 0 平均回収期間(クーポン価値で加重平均) 割引債 は N=N(利付債ではD 割引債ではD (利付債 は N<N)) クーポンレートの減少関数 Nに関して単調増加とは限らない 修正duration= DN/(1+s) =(-dP/ds)/P59 計算例(N=3,C/B=7%) 60 30 (C/B),NとDNの関係 61 convexity C i2 d 2P 1 (1 s ) ( 1 ) i i P ds 2 P B ( 1 s) N 2 N ( N 1) P i(i+1)の加重平均 債券価格と金利の曲線の傾きの変化 →exercise 62 31 63 Immunization(免疫化) 資産と負債のデュレーションを一致させる 資産と負債のデ レ ションを 致させる ことで純資産の変化(金利リスク)を回避 例)金融機関など(短期調達長期運用) ポートフォリオのデュレーション DA PAi DAi (資産全体のデュレーション) PA ( PA PAi , PAi : 資産iの価額、DAi : 資産iのDN ) 負債についても同様に DL PLi DLi PL 64 32 問題(デュレーションと免疫化) 額面が1000万円である4種類の債券(A,B,C,D)のキャッ 額面が1000万円である4種類の債券(A B C D)のキャッ シュフローが辞表で与えられているとする。スポットレート が一律15%であるとき、各債券のデュレーション(DN)を 求めなさい。 1年後CF 2年後CF 3年後CF A 100 100 1100 B 50 50 1050 C 0 0 1000 D 1000 0 0 65 1年後CF現在価値 2年後CF現在価値 3年後CF現在価値 現在価値(合計) A 86.9 75.6 723.2 885.7 B 43.4 37.8 690.7 771.9 C 0 0 657.9 657.9 D 869.5 0 0 865.9 DA 2.71 DB 2.83 DC 3 DD 1 66 33 2年後に償還を迎える割引債(2000万円)で資金 調達し、同時に金利リスクがゼロになるような資 産運用を考える。先の問題の債券Cと債券Dの2 種類で金利リスクがゼロになるようにするために はそれぞれいくら投資すればよいか(convexity 部分 無視する) の部分は無視する) 67 債券Cと債券Dの購入価額をそれぞれx、yy 債券Cと債券Dの購入価額をそれぞれx とおくと、1)調達額=x+y、2)資産と負債 のデュレーションを一致させればよい。 x y 2000 /(1.15) 2 1515 xDC yDD 3x y 2 1515 x y x 757.5 y 757.5 債券Cを757.5 / 657.9 1.15単位 債券Dを757.5/869.5 0.87単位 購入すればよい 34 68 その他・注意点 デュレ ションは時間の関数(毎期調整しなければならな デュレーションは時間の関数(毎期調整しなければならな い) 変動利付債(クーポンが短期スポットレートに依存して変 動)では金利改定時における債券価格は額面価格に等 しい(D=0、厳密には次回利払い日までの期間) 利回り曲線の平行シフト以外の金利リスクへの対応 ・右上がりからフラット化→D長期化 右上がりから ラ ト化 D長期化 ・フラット化から右上がり化→D短期化 ・金利の上下変動化→同じDでconvexityの大きい債券投 資(短期と長期(中期のぞく)に投資) 69 35