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企業の物価見通しは実質金利の上昇を示唆

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企業の物価見通しは実質金利の上昇を示唆
景気循環研究所レポート
企業の物価見通しは実質金利の上昇を示唆
2016 年 7 月 4 日
短観・販売価格見通しは
企業経営者の物価見通しが一段と下振れている。4 日発表の日銀短観(6
1 年後・3 年後・5 年後の
月調査)・企業の物価見通しによると、販売価格の見通し(現在の水準と
いずれも過去最低を更新
比較した変化率)は、1 年後(0.2%)・3 年後(0.8%)・5 年後(1.1%)
のいずれも前回 3 月から低下し、14 年 3 月の調査開始以来の最低水準を
更新した(全規模合計・全産業、以下も同様)
。物価全般の見通し(前年
比)についても、1 年後(0.7%)と 5 年後(1.1%)が 3 月から低下して
過去最低を更新した。3 年後(1.1%)の物価見通し(同)は 3 月と同水
準だったが、調査開始以来で最も低い水準であることに変わりはない。
実質金利は短期でプラス
日銀短観・企業の物価見通しを、企業の貸出約定金利(新規)から差し
幅拡大、長期でもマイナ
引くことで、企業の実質金利を簡便的に算出することができる。企業の実
ス幅が縮小
感に近い実質金利は、貸出金利から「販売価格の見通し」を差し引いた実
質金利であろう。短期の新規貸出約定平均金利から、販売価格の見通し(1
年後)を差し引いた短期の実質金利は、6 月に 0.5%となり、3 月の 0.4%
からプラス幅が上昇した。一方、長期の新規貸出約定平均金利から、販売
価格の見通し(5 年後)を差し引いた長期の実質金利はマイナス 0.4%と
引き続きマイナス圏だが、マイナス幅は一段と縮小している(図 1)
。多
嶋中 雄二
景気循環研究所長
鹿野 達史
景気循環研究所副所長
シニアエコノミスト
くの企業は、日銀が 2 月から採用したマイナス金利政策以降も、実質金利
の低下を実感していない模様である。
図 1. 企業の販売価格見通しと実質金利の推移
2.5
(%)
販売価格見通し・5年後
2.0
宮嵜
浩
販売価格見通し・1年後
1.5
シニアエコノミスト
03-6627-5132
1.0
1.1
miyazaki-hiroshi@sc.mufg.jp
0.5
0.5
0.2
福田
0.0
圭亮
シニアエコノミスト
03-6627-5133
fukuda-keisuke@sc.mufg.jp
-0.4
-0.5
実質金利・短期
-1.0
実質金利・長期
-1.5
14
本レポートは、嶋中雄二の見方に基づ
き、宮嵜・福田が執筆を担当しています。
景気循環研究所
東京都千代田区大手町 1-9-2
大手町フィナンシャルシティ
15
16
(年、四半期)
(注1)実質金利・短期=新規貸出約定平均金利(短期)-販売価格見通し・1年後。
実質金利・長期=新規貸出約定平均金利(長期)-販売価格見通し・5年後。
新規貸出約定平均金利の直近は16年4-5月平均値。
(注2)販売価格見通しは「現在の水準と比べた価格の見通し」であるため、実質金利・長期は
厳密には実質金利ではないが、時系列の趨勢変化に大きな差異はないとみられる。
(資料)日銀「短観」「貸出約定平均金利の推移」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券
景気循環研究所作成
グランキューブ
(以
上)
みやざき
ひろし
(16.7.4 宮嵜
1
浩)
2016 年 7 月 4 日
本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。本
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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