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Instructions for use Title 宗谷暖流潮境の水塊構造(序報)

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Instructions for use Title 宗谷暖流潮境の水塊構造(序報)
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宗谷暖流潮境の水塊構造(序報)
青田, 昌秋
低温科學. 物理篇 = Low temperature science. Series A,
Physical sciences, 41: 207-215
1983-03-22
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/18473
Right
Type
bulletin
Additional
Information
File
Information
41_p207-215.pdf
Instructions for use
Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
MasaakiAOTA1
9
8
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.2
1
4
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宗谷暖流潮境の水塊構造(序報)*.料
青田昌秋
(低温科学研究所)
(昭和 5
7年 1
0月受理〕
1
.
まえがき
オホーツク海・北海道沿岸には著しく性質を異にする 3つの水塊が存在する。 3つの水塊
とは対馬暖流分岐である宗谷暖流,オホーツク海固有の表層低塩分水および冬季に形成される
中冷水である。
これらの水塊は春から秋にかけて,この沿岸の距岸1O ~20 浬,水深 200m 以
浅の陸棚上で顕著な潮境(フロント)を形成する。
文部省・特定研究“海洋の動的構造研究"のなかの“陸棚域における海水流動特性研究"
班は 1981年度からこの沿岸・陸棚域の海洋構造の調査を開始した。
ここでは 1982年度の観測結果の一部を用いて宗谷暖流・中冷水の潮境周辺の海洋構造に
ついて報告する。
I
I
. 観測海域および観測方法
1982年 5月 か ら 宗 谷 暖 流 と そ の 沖 合 の 中 冷
水の潮境を中心に観測を行なった。観測はオホー
ツク海・北海道沿岸のほぼ中央に位置する紋別
沖
,
距岸 20~40
t
里の海域である。
46
第 1図に観測
域を示す。
5
,6月の観測では XBT(Expendable Bathythermograph),アンデーラ流速計 CM-4による
水温および定置測流を行なった。また 8月の観測
では XBT,CTD (Conductivity,Temperature,
Depth) により水温,塩分の測定を行なった。
CTDによる水温,塩分の測定では船舶の動
揺のため海中で、計器が上下動し微細な海洋構造が
乱される。筆者はこの問題を解決するため直径
30cmのフロートとシーアンカーを CTD計 器 に
取り付けて自由落下式にして測定を行なった。
* 北海道大学低温科学研究所業績
第 1図 観 測 海 域
A,B,Cは観測線, x印は流速計設置点
l
J
l
を示す。観測線 A 上の A 印は CTD i
点1
',2
'を示す
第 2487号
**北海道大学低温科学研究所流氷研究施設
研究報告第 1
0
3号
低温科学物理篇第4
1輯 昭 和 5
7年
m品秋
育
208
1
1
1
.
観測結果
1
. 紋別沖水温観測 (
1
9
8
2年 5月 1
5日)
1982年 5月 1
5日紋別港北東方向
0浬 ま で 5t
m毎 の XBTによる
距岸 4
5
水温観測を行なった。第 2図に 5月 1
日(第 1図測線 A)の 水 温 の 鉛 直 断 面
図を示す。宗谷暖流は第 2図水温鉛直
0
0
_4
C 以上の範囲で
断面図で 3
5月
守
。
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o
E
中旬にはすでに中層以浅で距岸 1
0浬
,
中層以深では 2
0数浬沖まで達している
ことがわかる。
a
2
5浬以遠の水深 20m
以深は 2C以下の中冷水で占められて
0
3浬から 1
7浬の水
いる。一方,距岸 1
深 20~50m 層には水温
lSCを中心
とする冷水塊が宗谷暖流域に存在して
第 2図
いることが認められる。
。
2
. 分離冷水塊の拡がりと時間変動の
観測 (1982 年 6 月 20~23 日)
1
9
8
2年 6月 1
7日
,
紋別沖水温鉛直断面図(1982年
5月 1
5日測線 A)
同じく紋別港
0浬 ま で 2
.
5t
里毎の
北東方向の距岸 3
XBTによる水温分布の観測を行なっ
0浬 ま で の 全 層 に お よ び そ
流は距岸 2
ている。注目すべきことはさきの 5月
o
n
v
の沖側の中冷水と著しい潮境を形成し
(22EPEU口
た。第 3図にその結果を示す。宗谷暖
50
1
5日の観測でとらえられた冷水域が今
回の観測では認められないことであ
X
.
B
.
T
I MONBETSU N.E l
INE
1
5
0
1
SORACHI
る。さきの観測の損)
1点間隔は 5浬毎で
あり,
.
5浬毎で
この回の測点間隔は 2
より密な測定である。このことは宗谷
暖流域への冷水の流入が間欠的である
ことを示唆している。
第 3図 紋 別 i
lJl水温鉛直断面図 (1982年
6月 1
7日測線 A)
この冷水域の出現・消滅の実態をみるため 6 月 20~23 日,紋別港沖の宗谷暖流・中冷水
の潮境を中心として距岸 15~23 浬に 6x7 浬の凹辺形をなす測点を定めて,アンデーラ流速計
CM-4によって水瓶・塩分・流向・流速の測定を行なった。測点は第 1図に示した。 i
!
J
)
l
深は各
点とも 1
0m,5
0m の 2層とした。測定の時間間隔は 2
0分である。
第 4図に流速計設置時の
宗谷暖流潮境の水塊構造
209
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巴20EPE 凶白
JUNE20,1982
TEMPERATURE
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MONBETSU N.E l
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SEIKO-MARU
150
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4
第 4図
9
5
第 7図 水温,塩分量,流速の変動 (1982年
6月 20-23 日,測点 3,測深 1
0rn)
'
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JUNE 23,
1982
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MONBETSU N.E L
SEIKO・MARU
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第 5図
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5
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1
2
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JUNE 20-23 '
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1
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第 8図 水温,塩分量,流速の変動
u
内
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(ωZZE﹁Zト肉峰山出口
(1982年
6月 20-23 日,測定 3,
浪
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1
深 50m)
JUNE 23,
1982
・
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)
TEMPERATURE
X.B.T
MONBETSU N.E L
lNE
150
SEIKO・ MARU
第 4図
紋別1
中水温鉛直断面図 (1982年 6月 20 日調l
線 A)
第 5図
紋別 J
中水温鉛直断面図 (1982年 6月 23 白羽l
線 A)
第 6図
紋別 7
'
1
水 温 鉛 直 断 面 図 (1982年 6月 23 日測線
'
第 6図
C
)
2
1
0
青田昌秋
6月 20日の測線 A,第 5,6図には流速計回収時の 6月 23日の測線 B,測線 C の水温の断面図
また第 7,8図にはさきに述べたアンデーラ流速計 CM-4による水瓶・塩分・流速の
を示す。
5浬)の測深 10mおよび 50m層の結果を示す。
観測のうち測点 2(距岸 1
3
. 宗谷暖流・中冷水潮境周辺の海洋の微細構造の観測 (
1
9
8
2年 8月 8日)
1
9
8
2年 8月 8日同じく紋別港北東側線 A 上の距岸 1
6,2
6深の 2点で CTDによる水温,
l
J定を行なった。第 9図に当日の出Ij線 A の XBTによる水温断面図を示す。
塩分の m
CTDによる観測に際しては船舶の動揺による水塊の微細構造の乱れをなくすためフロー
トとパラシュートを CTD本体に取り付けて自由落下式の測定を試みた。測定の時間間隔は約
。
TEMPERATURE(
O
c
)
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2324
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50
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1982
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150
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第 9図
32
33
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今
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紋別i
中水温鉛直断面図 (
1
9
8
2年
第1
0図
8月 8日調)
1
線 A)
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2324
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8 AUGUST. 1982
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水組,塩分量,密度,安定度の鉛直
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9
8
2年 8月 8日測点 1
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分布 (
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第1
1図
26N.M
水温,塩分量,宿度,安定度の鉛直分布 (
1
9
8
2年 8月 8日測点 2
'
)
10'
2
1
1
宗谷暖流潮境の水塊構造
1 秒である。この方法では多少の差はあるが水深にしておおよそ 20~50cm 毎の測定距離間隔
であった。 CTDによる水温,塩分量の鉛直分布を第 1
0,1
1図に示す。
I
V
.
考 察
1
. 宗谷暖流域に出現する冷水塊の挙動
これまでの観測でも夏季この沿岸域に冷水塊が存在することは知られていた。しかしなが
ら測定の時間間隔,距離間隔が大きいため,この冷水塊は定常的に存在するか否か,その空間
的規模,出現頻度など詳しいことは何も知られていなかった。ここではさきの観測結果に基づ
いて,冷水塊の挙動について二,三の考察を行なう。第 3図,第 4図,第 5,6図に示した紋別
北東方向の水温の鉛直断面図は 1982年 6月 1
7,20,23日の 3日間隔の観測結果である。 6月
17日(第 3図)で水温 60C 以上の宗谷暖流水は 20浬以遠の中冷水本体と直接に接しており,
さきの 5月の観測で見出された冷水塊は認められない。 3日後の 6月 初 日 ( 第 4図)には距岸
15~20 浬の水深 20~60 m 層に 2C以下の中冷水の温度を示す水塊が中冷水本体と分離した形
0
で存在している。
さらに 3日後の 6月 23日の測線 Bの水温断面には
O
l
Cを中心とする水塊
が明らかに認められる。なお視Ij線 Bから宗谷暖流の流向方向に約 6浬隔った測線 C の 断 面 図
(第 6 図)の距岸 15 浬水深1O ~40m 層にも小規模の分離水塊が認められるが,
その水温は 2~
4Cで測線 Bの分離水塊ほど顕著で、はない。
0
5浬(測点 2
) の表層 10mおよび 50m層の水温,塩分,流速の変
第 7,8図は紋別沖距岸 1
動を示している。上下層とも流速計設置時には比較的に高温,高塩分の水域であったが約 10
時間後には水温 20C以下,塩分量 33%以下の低塩分水が通過しており 6月 23日になると再び
暖流系水に復していることを示している。流れは沿岸に平行な南東成分と離岸方向の成分で
示したがほぼ沿岸に平行な南東流である。宗谷暖流域を通過する低温,低塩分の水塊に注目し
第7
,8図)で認められる水温の低下は沖合の中冷水のフロントの岸への接近
てみる。測点 3(
によっても起こり得る。しかしここには示さなかったが他の測点の水温,流向の変動を考え合
せると,中冷水のフロント移動によるものとは考えられない。
すなわち,宗谷暖流域内に出現した冷水塊は宗谷暖流の流向とほぼ同じ方向に間欠的に
1点 の 結 果 か ら 分 離 冷 水 域 の
流れているものといえる。詳しい解析は次回に報告するが,全誤)
中心は測点 3の 50m層付近にあると考えられた。
この水温,塩分量の変動と流向,流速から
宗谷暖流域を通過する冷水塊の流向方向の長さを見積ってみる。ここでは宗谷暖流の指標で
ある塩分量 33.6%より低血分でかっその水温が 2C 以下の水を冷水塊と定義し,第 7,8図中
0
の矢印の範囲を冷水塊通過中と考える。第 7,8図に示すように上層では間欠的に水温が上昇
しているが,下層の 50m層ではほぼ 2 日間継続して OoC以下である。流れは潮汐変動を示し
2
.
5cm/sec下 層 は 30cm/sec
ているが平均するとほぼ岸に平行な南東流で,流速は上層で約 3
である。
図から冷水塊通過の中央に位置していたと考えられる下層の冷水継続時間はほぼ 54時間
である。
れる。
このことからこの冷水塊の流れ方向の長さは 31
.5浬強(約 58km) であったと考えら
2
1
2
背回昌秋
さきに示した流速測定期間中の 3回の水瓶分布およびこの流速計による冷水塊の長さの見
積値を考え合せると,この間の冷水境の規模は,厚さ 20~50
m,幅 2,3浬 (
4ないし 5km) か
ら 7,8浬 (
1
4,5km),長さ 30浬 (
5
5km) であったと考えられる。もちろん分離冷水塊の大き
さは様々のものが考えられるが,この観測によってはじめてその実態の一面を見ることができ
T
こといえる。
2
. 宗谷暖流,中流水潮境の微細構造
1
9
8
2年 8月 8日紋別沖 1
6i
里および 2
6浬の CTD観測結果(第 1
0,1
1図)で, CTD測点 l
'
(
1
6浬点)は,第 9図の水温分布からわかるように,宗谷暖流域に流入した冷水塊の存在する海
域であり, CTD測点 2
'(
2
6浬点)は宗谷暖流と中冷水本体の潮境に近い海域である。
両測点とも表層 10mは高温,低塩分水で覆われておりその下層と大きな密度躍層を形成
0,1
1図右側に密度内の鉛直分布を示した。測点 l
'(
第1
0図)の 10mから 60m
している。第 1
層は分離冷水塊であり,その下は高温,高塩分の宗谷暖流水で底層に達している。
また測点 2
(
第1
1図)の 20mから 40m層は中冷水の先端部であり, 50mから 120mは 宗 谷 暖 流 ・ 中 冷
2,1
3図
水の混合域である。さらにその下層には宗谷暖流水のもぐり込みが認められる。第 1
には両測点の T-S 夕、イヤグラムを示した。両測点とも測深間隔は 20~50
cmである。測点 l
'
(
1
6浬点)の分離冷水塊の存在する 1
0m~60 m 層では深さとともに徐々に密度は増大している
が詳細にみると多くの密度逆転がみられ T-S図で多くのループを示している。また,中冷水
'(
2
6t
里)の中冷水の先端部 (
2
0m-40m層)および宗谷暖流・中冷水の混合域
と接する測点 2
(50m-120m層 ) で も 多 く の ル ー プ が 認 め ら れ 両 水 塊 の 複 雑 な 混 合 過 程 の 一 断 面 を 示 し て
いる。
32
第四国
33
SAL
lNITY(
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34
TS:<イヤグラム測点 l
'(
1
9
8
2年 8月 8日測線 A 1
6浬点)
(%0)
213
宗谷暖流潮境の水塊構造
o
33
SAL
lNITY(
%0)
第1
3図
TSタイヤグラム測点 2
'(
1
9
8
2年 8月 8日測線 A26浬点)
第1
0,1
1図右側に密度および安定度の鉛直分布を示した。ここで安定度の算出にあたって
は平均化,水層の厚さの均一化はほどこしていない。すなわち厚さ 20~50 cm毎の各測定から
計算したものである。
安定度の鉛直分布から水温,塩分の構造と同じく密度の鉛直構造も多重構造をなしている
ことが認められる。とくに測点 l
'の分離冷水域,測点 2
'の中冷水域で
転が起つており札,両水塊がシ一ト状に入りまじつて混合過程が進んでいることを示している。
一方,各水域の平均的な密度は 10-13図から宗谷暖流域で 2
6
.
7-27.0,暖流域内の分離冷水
6.2-26.5,中冷水先端部で 26.2-26.5,宗谷暖流・中冷水の混合域で 26.5-26.8である。
塊は 2
すなわち,宗谷暖流,中冷水,分離冷水塊および表層低塩分水の各水塊は微視的には複雑な
混合過程を示しているが,巨視的には密度的に安定して存在している。また暖流域内に存在
する分離冷水塊の密度はその沖合の中冷水先端部のそれに等しく,かっその塩分量も等しく
32.5- 3
3
.
2
%
0である。このことから分離冷水塊の起源は中冷水であり,
中冷水先端部の分離移
流によるものと考えられる。
海洋の水塊の多重構造の生成,混合過程についてはまだ解明されていない点が多い。宗谷
暖流,中冷水,分離冷水塊の潮境にみられた櫛歯状に入り組んだ複雑な構造の生成機構も未だ
不明である。さきに述べた 3水塊の水温,塩分,密度条件では,宗谷暖流と中冷水の接点での
両水塊の水平貫入,
分離冷水塊と下層の暖流水の聞では熱塩対流(三重拡散一この場合はター
ナー現象)による多重構造の生成も考えられる。
また速度シヤー,内部波も関係している可能
性も考えられる。
今後はシヤーの効果,内部波の影響も考慮に入れて解析を進めていく予定である。
2
1
4
育回昌秋
v
. あとがき
宗谷暖流と中冷水の潮境周辺の水温観測,測流, CTD観測によって,宗谷暖流域に認めら
れる分離冷水塊の動き,空間的広がりおよびその起源について推察した。また CTDの自由落
下法による水温,塩分の詳しい測定を試み,宗谷暖流,中冷水,分離冷水塊の微細構造を観察
した。
おわりにのぞみ,この観測に察し全面的な御協力をいただいた第一管区海上保安本部・紋
別海上保安部・名和芳雄部長,同巡視船・伊藤和男船長はじめ乗組員の皆様,勢幸丸・松井伸
一船長に心よりお礼申し上げます。
CTDデーターのコンピューターへの取り込みに関しては当施設,福士博樹・大井正行両
)。 また御教示,御指導をいただいた東大・理学部・永田豊教授,北大理
技官の御協力を得た 4
学部・金成誠一教授,東海大・海洋学部・稲葉栄生助教授ならびに安田訓啓講師,東水大・海
洋環境・松山優治助手の皆様,低温研の皆様にここにあわせてお礼申し上げます。また海洋観
測のための準備,測器の保守に御協力いただいた当施設・加藤賢三郎技官にお礼申し上げま
す。なお,この研究の費用の一部は文部省科学研究費・特定研究
(
1
)海洋の動的研究費によ
った。
文 献
1
) 本井達夫・小野延雄・青回昌秋 1
9
8
2 オホーツク海・北海道沿岸に夏現われる冷水塊 低温科学,物
理篇, 41,1
9
9
2
0
6
.
2
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9
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. Pergamonp
r
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s
s,1
7
0p
p
.
3
) 寺本俊彦編 1
9
7
4 海洋物理学 1
. 東京大学出版会, 2
4
8p
p
.
4
) 福士博樹・大井正行 1
9
8
2 CTDプログラムの入力プログラムについて. 低温科学,物理篇,資料集,
4
1
.
Summary
The c
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