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サンデン・フォレスト 哺乳類モニタリング 調査報告書 平成26(2014)年10月 関 敏 雄 1 サンデン・フォレスト哺乳類モニタリング調査報告書 関 敏 雄 · 田 口 秀 雄 · 原 島 早 苗 1・調査の目的 平成 10 年のアセス時より平成 24 年までに 5 回の環境調査を実施している。里山環境 から工場の造成、その後の保護活動等を含め一帯の環境は大きく変わった。過去の調査 結果と比較し、哺乳類相の変化を明らかにするため調査を行った。 2・調査 調査は下記の 5 回実施した。 第1回 平成 25 年 10 月 17 日 第2回 11 月 8 日 第3回 平成 26 年 2 月 5 日 (積雪期) 第4回 5月8日 第5回 8月5日 (夜間) 3・調査場所 サンデン・フォレスト赤城事業所内。 4・調査方法 下記の方法で調査を行った。 (1) フィールド・サイン法と目視法 調査地域を可能な限り詳細に踏査して、目視とフィールド・サイン(足跡、食痕、糞、 巣、モグラ塚等)により種を確認し記録した。 (2) センサーカメラ(赤外線自動撮影装置)法 調査地域内の獣道、水場、及び林内にセンサーカメラ(米国製 Moultrie 社の D-55IR と D-55)を10台設置した。設置場所は図1のとおりである。写真撮影の映像により 種を確認し記録した。 (3)バットデティクター法 コウモリ類の調査ではバットデティクターを使用し、夜間にコウモリの発する超音波 をとらえ周波数を記録した。 2 確認種の位置情報は、調査地内をメッシュで区分(図1)し、確認した位置をコー ドで示した。 5・結果 今回の調査で確認された哺乳類は、5目 10 科 15 種及びコウモリ 3 種(鳴き声)で あった。 (表1) (1)フィールド・サイン・目視法調査ではイノシシの足跡(図 10)堀跡(図 11.15)、 アズマモグラの塚(図 16)坑道、キツネの糞(図 13)アナグマの足跡、ニホンリスの 食痕(図 12) 、ハクビシンの足跡、ニホンジカの足跡、テンの糞(図 17)ノウサギの 足跡(図 14)そしてハタネズミ(図 21)アカネズミ(図 24) 、ジネズミ(図 23)ヒミ ズ(図 22)の死体を確認した。 (2)センサーカメラ法で撮影された種はイノシシ(図 16)ニホンジカ(図 7)キツネ (図4)タヌキ(図 5)ノウサギ(図 2)テン(図 3)イヌ(図 8) 、ネコ(図 9)であ った。上記の哺乳類以外に鳥類やヒト(観察会の子供・作業員)も撮影されていた。 (3)夜間調査ではバットデティクターを使用し、東門付近で 3 種の超音波を記録した。 20~25kHz、40~50kHz、65~70kHz 前後をピークとする周波数帯超音波であった。 6・考察 大型哺乳類はイノシシとニホンジカが確認できた。イノシシは平成 23 年の第 4 回環 境調査で初めて確認されたが、最近は調査地でも頻繁に出没するようになった。ニホ ンジカは平成 10 年のアセス時のみ記録されていたが、現在はシカもイノシシ同様に調 査地域内のいたる場所で確認されている。これは近隣に生息していたものが侵入した と推測される。サンデン・フォレスト事業所内の自然が保全されていることをしめす。 さらに増加すれば植生被害に対する防除対策も必要になる。 中型哺乳類は里山で生息している種はほとんど確認できた。ハクビシンは初記録で あったが、以前情報のあったムササビは確認できなかった。 小型哺乳類はアズマモグラの塚と坑道が確認できた。またジネズミ、ヒミズ、ハタネ ズミ、アカネズミの死体を拾得した。アカネズミは平成 10 年のアセス以来の確認で、 ヒミズとハタネズミは当地域初確認である。なおコウモリ類で記録された 20~25kHz 超音波は環境省レッドリストの掲載種コウモリの可能性も考えられる。 最後に事業所内はきれいに草刈りや笹刈りが実施されている。人間の目には環境に 配慮しているように見えるが、薮は哺乳類の繁殖や生息場所として必要な環境である。 哺乳類の隠れるような場所としての藪は残すべきである。 3 疑響理秘 ふ ヽミートヽド ‖ ・ 図 図 6イ ノシシ 図 3テ ン 図4キ ツネ 図 9ネ コ 図10 イノシシ足跡 図14 ノウサギ足跡 てん 図11 イノシシ堀り跡 図15 イノシシ堀り跡 (タケノコ) 図12 松ぼっくり食痕 図16 モグラ塚 図13 キツネの糞(ジネズミ) 図17 テンの糞 サンデン哺乳類調査 糞分析結果 図18 採取日 2013.11.8 捕食種 キツネ 被捕食種 ハタネズミ、アカネズミ、ノウサギ、 小鳥(種不明)、昆虫(種不明)、輪ゴム 図19 採取日 2013.11.8 捕食種 テン 被捕食種 アカネズミ.昆虫(種不明).種子 2 種類(種不明) 図20 採取日 捕食種 2013.11.27 キツネ 被捕食種 ジネズミ.コガネムシ 図21 ハタネズミ 図23 ジネズミ 図22 ヒミズ 図24 アカネズミ 表2 モグラ・ネズミ類測定 種名 頭胴長 尾長 118.2 48.6 ヒミズ 89.3 ジネズミ ハタネズミ アカネズミ ※ 後ろ足長(爪含まず) 耳長 体重 性別 17.8 12.4 36.4 ♂ 27.2 15.4 ― 21.6 ♂ 73.8 49.1 12.6 10.3 8.9 ♀ 114.4 105.8 23.6 14.0 31.8 ♂ 長さは mm 体重はg 計 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ Vulpes unlpes Nyctereutes procyonoides Martes melampus Martes itatsi Meres meles Paguma laruata Sus scrofa leucomystax アカネズミ キツネ タヌキ テン イタチ アナグマ 6目 ウシ 18種 ニホンジカ シカ 12科 イノシシ ハクビシン イノシシ ジャコウネコ イタチ イヌ ○ ○ Apodemus speciosus ハタネズミ ネズミ ネコ ○ Microtus monteblli ニホンリス リス ネズミ ノウサギ ウサギ 〃 ③ Cervus Nippon Sciurus lis Lepus brachyurus 7種 ○ ○ 9種 ○ ○ ○ ○ ○ 18種 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ sp.(65~70kHz 前後をピークとする周波数 ) ○ sp.(40~50kHz 前後をピークとする周波数 ) ○ sp.(20~25kHz 前後をピークとする周波数 ) ○ ウサギ Chiroptera 〃 ② Chiroptera Chiroptera ①コウモリ目の一種 ヒナコウモリ ○ コウモリ ○ Mogera wogura アズマモグラ ○ ○ ○ Urotrichus talpoides Crocidura dsinezumi ヒミズ 今回 モグラ モニタリング ジネズミ アセス トガリネズミ 学名 モグラ 種 科 目 表1 サンデンフォレスト哺乳類生息確認種 写真、足跡 写真、堀跡 足跡 足跡 糞、足跡 写真、糞 写真、糞 写真、糞 死体 死体 食痕 写真、足跡 超音波 超音波 超音波 塚,坑道 死体 死体 8―H他 2―B他 5―B 1―B 9―E 8―C 5―H 6―I 1―B 3―B 9―E 他 6―I 他 9―E 9―E 9―E 5―I 他 11―F 8―H 確認状況及び地点