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調査マニュアル 哺乳類編

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調査マニュアル 哺乳類編
哺乳類調査の方法
② フィールドサインを探します。
1.調査の企画
フィールドサインは、比較的最近哺乳類がその場
① いつ頃調査するか
所にいたことを示す痕跡です。調査範囲を注意深く
横浜市では哺乳類は通年活動しています。そこで、
目視して、フィールドサインを探しましょう。
子どもが生まれる3~6月頃、冬に備えて多くの食
物を食べる秋、及び足跡を見つけやすい冬と、ほぼ
哺乳類が利用しそうな環境を網羅するように、調
通年調査を行うことができます。上記の季節それぞ
査範囲の中をゆっくりと 30 分程度かけて歩いて、
れ1回以上、合わせて年3回以上調査するようにし
個体の確認に努めます。
ましょう。
③ 環境のにおいをよく嗅ぎ、けものの臭い(動物
② 調査を実施する時刻
園の檻のような臭い)がしたら、近くに糞や足跡、
哺乳類の多くは夜行性なので、個体を目撃できる
巣などがある可能性があるので探してみましょう。
のは多くの場合夕方や明け方です。フィールドサイ
④ 歩くルート は、比較的移動しやすい既存の園
ン(後述)は雨天を除く日中であればいつでも観察
路・道路・尾根道等を主なルートとします。
フィールドサインを確認できそうな環境が、この
できます。
哺乳類がよく通る場所・利用する場所を把握した
主なルートから見える場所にない場合やより広く広
ら、夕方や早朝、それらの場所を遠くから双眼鏡な
がっている場合は、危険個所を避けながら、主なル
どで観察すると、眺められる場所明るさがある時刻
ートの他に、調査ルートを設定します。
行きと帰りで別のルートを歩く、逆回りで歩いて
に調査するようにしましょう。
みる、など、調査地点を詳しく観察できるように工
夫します。
2.現地調査に出かける前に
① 調査地点ごとの調査対象種を確認し、哺乳類の
水田、畑、果樹園を調査する場合は、農作物、農
フィールドサインが確認できそうな環境、似ている
作業に影響を与えないよう、あぜなどを歩くように
動物との見分け方のポイントを、図鑑などで確認し
します。
ましょう。
⑤ フィールドサインを確認したら、特徴がよくわ
かるように撮影のアングルを考え、フィールドサイ
フィールドサイン
足跡・爪痕
糞
掘り返し
巣(巣穴)
食べ痕
抜け毛
死体
鳴き声
見つけやすい場所
湿地、砂・泥地、
畑・水田、雪の上など
石の上など目立つところ、
草むらの中など
畑・草地のモグラ塚
土がむき出しになった小崖、
草むらの中など
地上(ドングリ・果実類、ザリガ
ニや小型哺乳類の食べ残し等)
小道沿いの草むら、
竹やぶの中のけもの道など
道路など
巣の近くなど
ンの大きさがわかるように、ものさし、ボールペン
等を脇に置いて写真を撮影します。また、フィー
ルドサインが残されていた環境、連続する足跡など
の全体像や間隔、及び、種を見分けるポイントにな
る個所を拡大した写真を撮影します。
⑥ 個体を目撃するには、フィールドサインの確
認によって哺乳類がよく通る場所・利用する場所を
把握した後、風下側の離れた場所から双眼鏡で静か
に観察します。動物が現れたら、姿や動き方をじっ
くり観察して特徴をつかみます。
⑦ 個体やフィールドサインを確認した場所を、地
② また、調査地点への行き方、調査地点にある崖
図に記載します。フィールドサイン等の写真の後
などの危険個所を、確認しておきましょう。
に、地図にマークしたポイントも写真で撮影してお
くと、地図の位置と、写真の対応が、後日でもわか
3.調査地点に着いたら
りやすくなります。
① 調査員名、調査員ID、調査年月日、調査開始
時刻、天候、調査地点名及び地点IDを記録します。
1
哺乳類調査の方法
●調査の服装
4.調査の終わりに
・市民調査員証、腕章
① 調査終了の時刻を記録します。
・暑くても長袖・長ズボン
② 調査地点と、隣接する場所について、草刈など
(ハチは黒い色に引かれるので避けた方が良い)
の手入れや伐採などの改変状況、ごみの有無、人の
・軍手
立ち入りなどによる影響の有無、ノイヌ・ノネコの
・草・竹を踏み抜かない底が厚い靴
存在、飼い犬等ペットの持ち込み状況、アライグマ・
ハクビシン・タイワンリス等の外来種の有無など、
●調査の持ち物
気がついた点を記録用紙の「環境の状況等」の欄
・記録用紙・調査地点図
に記録します。
・筆記用具(黒。少雨でもにじまない鉛筆や油性ペ
ンがよい)
5.報告
・画板など(記録用紙を支える)
① 画像データ(デジタルカメラの写真)がある場
・虫眼鏡など(10 倍程度)
合は、記録用紙に記入します。
・双眼鏡など(あれば)
② 調査記録は、ホームページ、FAX、E-mail、郵
・カメラ・デジタルカメラなど(あれば)
送により環境創造局へ報告します。
・調査対象種について解説した付属の図鑑など
③ 当日の記録用紙IDと、画像データ・標本の対
・前回までの調査結果のコピー(あれば)
応がわかるようにして、保管します。
・虫除け、飲み物、防寒具、タオル、雨具など
●調査実施で気をつけること
・調査を実施する際は、必ず調査員証と腕章を携帯
しましょう。
・生き物調査を円滑に実施するためには、土地所有
カメラ・デジタルカメラなど
者の方や地域の方と良好な関係を築くことが非常
図鑑など
に重要です。
・地域の方に質問された時は、
「横浜市環境創造局の
生き物調査である」旨、丁寧に説明しましょう。
・土地所有者の方などから立ち入りを拒否された時
双眼鏡など
画板など
には、その時点で調査を中止し、記録用紙の「環
境の状況等」の欄に経緯を記述して報告してくだ
さい。
・調査に関する連絡先は以下の通りです。
飲み物
環境創造局公園緑地管理課動物園等担当
住所:〒231-0017 横浜市中区港町 1-1
電話:045-671-4106 FAX:045-633-9171
E-mail:[email protected]
2
筆記用具
哺乳類調査の方法
◆哺乳類の調査対象種
種名の前の番号は調査対象種番号
環境分類
1 市街地
典型種
保全種
4 アブラコウモリ
10 タヌキ
なし
2
4 アブラコウモリ
緑の多い住宅地 10 タヌキ
3
畑・果樹園
2 アズマモグラ
10 タヌキ
2 アズマモグラ
6 アカネズミ
3 ジネズミ
4 水田
2 アズマモグラ
4 アブラコウモリ
草地・林縁
2 アズマモグラ
4 アブラコウモリ
3 ジネズミ
5
2 アズマモグラ
6
針葉樹林
3 ジネズミ
5 ノウサギ
2 アズマモグラ
3 ジネズミ
10 タヌキ
2 アズマモグラ
3 ジネズミ
5 ノウサギ
2 アズマモグラ
3 ジネズミ
5 ノウサギ
2 アズマモグラ
4 アブラコウモリ
1 ヒミズ
7 竹林
8
9
落葉広葉樹林
常緑広葉樹林
10 水辺
2
3
6
9
3
6
9
3
9
11
8
11
12
8
9
11
6
7
11
6
7
11
6
7
11
6
7
11
3
8
9
目標種
アズマモグラ
ジネズミ
アカネズミ
ハツカネズミ
ジネズミ
アカネズミ
ハツカネズミ
ジネズミ
ハツカネズミ
キツネ
カヤネズミ
キツネ
イタチ
カヤネズミ
ハツカネズミ
キツネ
アカネズミ
ヒメネズミ
キツネ
アカネズミ
ヒメネズミ
キツネ
アカネズミ
ヒメネズミ
キツネ
アカネズミ
ヒメネズミ
キツネ
ジネズミ
カヤネズミ
ハツカネズミ
注)典型種:該当する環境分類に典型的に出現する種。
保全種:該当する環境分類の種の多様性がやや高い場合に出現する種で、当該環境分類で保全すべき種。
目標種:該当する環境分類の種の多様性が高い場合に出現する種で、当該環境分類の目標とすべき種。
3
哺乳類調査の方法
◆環境分類の考え方
本調査では、ふたつの環境の間に位置する移行帯(エコトーン)の環境分類について、以下のように区分
します。
【林縁の考え方】 樹林の外周で草本や低木の上に樹林の枝が伸びているような「林縁」の環境は、
「樹林」
ではなく、「5.草地・林縁」と区分します。
【水辺の考え方】 「10.水辺」の環境分類には、「常時冠水はしないものの、抽水植物や湿性植物が生育し、
水中・水際の環境と連続している環境」を含めます。
【10.水辺】
【5.草地・林縁】
浮葉植物
出典:「市民協働生き物調査の仕組みづくり
3月)の掲載図「図 7-1
【6.針葉樹林】
【7.竹林】
【8.落葉広葉樹林】
【9.常緑広葉樹林】
-横浜市市民協働による陸域生物相・生態系調査検討委員会の報告-」(横浜市,2007 年
Eco-tope 環境分類(案)における移行帯の取り扱いについて」より
環境分類における移行帯の取り扱い
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