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HT23136
平成23年度 ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI (研究成果の社会還元・普及事業) 業 務 完 了 報 告 書 HT23136 生命の神秘と誕生 -赤ちゃんの発育と子宮の病気- 開 催 日 : 平成23年8月6日(土) 平成23年8月7日(日) 実 施 機 関 : 奈良県立医科大学 (基礎医学校舎4階会議室) (実施場所) 実 施 代 表 者 : 小林 浩 (医学部・教授) (所属・職名) 受 講 生 : 高校生(41名) 関 連 URL : http://www.naramed-u.ac.jp/info/tokimeki2011.pdf 【実施内容】 受講生に分かりやすく研究成果を伝えるために、また受講生に自ら活発な活動をさせるためにプログラ ムを留意、工夫した点: A.講義内容 1. 内容を分かりやすくするため、スライドは絵を多く取り入れました。 2. 講義の中に対話形式を導入しました。 B.実習内容 1. より良く興味を持って頂くため、超音波断層装置は、リアルタイム3Dを用いました。 2. 顕微鏡実習では、実施協力者の援助も加え、顕微鏡の使用方法、両眼による標本観察から開始しま した。その後に、標本観察によるスケッチの指導も、学生2名に指導者1名の割合で実施しました。 3. 個人が行う実習時間(超音波装置を用いた実習)と指導者指導時間(顕微鏡を用いた実習)をより多く 取れるよう、実習を2グループに分けて実施しました。 当日のスケジュール: 平成23年8月6, 7日(土、日曜日) スケジュール 時間 内容 1日目と2日目は同一日程 実習1と2は2グループに分け交互に実施 10:00-10:20 受付 10:20-10:50 開会式(自己紹介、オリエンテーション、科研費の説明、前半アンケート記入) 10:50-11:30 講義1 子宮および関連臓器の解剖と生理学 11:30-11:40 休憩 11:40-12:20 講義2 妊娠中の赤ちゃんの超音波画像供覧 12:20-14:20 昼食と休憩(この時間帯におけるオープンキャンパスへの参加可能) 14:20-15:00 講義3 子宮がんの原因と予防 15:00-15:20 coffee time 15:20-15:50 実習1 超音波シミュレーション機器による胎児確認 15:50-16:20 実習2 顕微鏡観察 16:20-16:30 後半アンケート記入 16:20-17:00 修了式(未来博士号授与)、解散 実施の様子: 子宮の関連臓器の解剖と生理学の講義風景です。 子宮や卵巣の機能と月経周期やそれに関連するホルモン環境など多くのことを学びました。一見難しい 講義のようにも思われますが、みんなにも、理解できるように優しい表現と絵を多く用いて講義を行って います。講義においても、プログラムに参加していただく雰囲気作りを大事にしました。今回、対話形式 を導入したため、挙手をしている人を認めます。 妊娠中の超音波画像を供覧している風景です。胎児の動画画像を真剣に見ています。 胎児画像は、受講生には、かわいく見える様でした。実際の胎児の画像で、顔などが3D画像にて見えて いるため、画像の理解と胎児への興味が倍増しました。 子宮を妊娠に結び付けて考えることで、自身の身体における子宮の重要性をアピールすることができま した。 子宮がんの原因と予防の講義風景です。先ず、癌の発生原因を勉強しました。その中で、子宮頚癌は ウィルスによって発生する癌であることを学びました。その原因ウィルスは、ヒトパピローマウィルス (HPV)でした。このHPVを知っていた人は、全体の半数に満たなかったです。しかし、昨年に比較すると、 もう子宮頚癌予防ワクチンを接種した人もおり、社会的な啓発活動が進んできていることに気付きました が、まだまだ知らない人や知らない部分が多いことにも気付かされました。子宮が自分にとって、大事な 臓器であることを理解した後の講義でもあるため、みなさん真剣に聴講しています。 病理実習の風景です。 両眼でみる顕微鏡は、初めて使用したため戸惑う人が多かったですが、徐々に慣れてきました。高校で 使用している顕微鏡に比べ格段に画像が奇麗に見えるようで、感動している人もいました。スケッチする ことによって、正常組織がどのような変化をたどり、癌化していくのかを学びました。 シミュレーション機材(ファントム)を用いて胎児超音波の体験をしている風景です。 2D画像と3D画像を両方とも試しました。リアルタイムに3Dの画像として見ることができるため、大変楽し い体験でもあったようです。この実習終了後アンケート調査によって、妊娠中の胎児を見ることができる 超音波擬似体験実習により、胎児が育つ子宮の大事さをより深く認識することが出来たことが判明しま した。 修了証書「未来博士号」を受け取っている風景です。 1日、頑張りました。お疲れ様です。しかし、大変ためになったという御意見を数多く頂きました。 事務局との協力体制: 1. 今回の企画を実施するにあたり、振興会への連絡調整と提出書類の確認・修正等をして頂きました。 2. 顕微鏡の搬送、案内の張り紙貼付、机の配置・移動、電気配線の確保など、前日の準備の大半をし て頂きました。 3. 当日は、受付、アンケート用紙の回収、写真撮影、おやつ・昼食の配布などのサポートを全てして頂き ました。 4. 終了後ホームページの作成をしていただきました。 5. 今回の企画を終了するにあたり、障害保険加入者名簿、委託費の管理、支出報告書、返納報告書、 業務完了報告書の確認・修正等をして下さいました。 広報体制: 1. 当教室のHP及び同日開催された奈良県立医科大学オープンキャンパスのHPを活用しました。 2. 広報用ポスターを作成しました。 3. 奈良県内各高校へは、奈良県立医科大学オープンキャンパスの広報に同封し、ポスターと実施案内 状を郵送しました。 4. 奈良県および近隣県の予備校に、ポスターと実施案内状を郵送し、掲示板へ連絡事項として掲載し て頂けるよう依頼しました。 5. 奈良県内高校数校の学年主任の先生に直接電話をし、生徒に出席して頂けるよう呼び掛けました。 安全配慮: 1. 受講生5名に、一人の割合で、女性医師または女子大学生(奈良県立医科大学在校)を配置しまし た。 2. 受講生すべてを対象とした障害保険に加入しました。(障害保険に加入して頂くことは事前に受講生 へ通知し、当企画への申し込みをうけました。)また、実施協力者も同様に障害保険に加入して頂きまし た。 3. 帰宅が遅くならない(日中に帰宅できる)ように、PM5:00に企画が終了するように計画しました。 4. 昼食を提供するため、食物アレルギーが無いかを事前に個々より回答を得ました。 今後の発展性、課題: 子宮頚癌からどのように子宮を守るかを自身で考えるというのが本プログラムの主旨でした。そのため、 受講生は、癌の発生の原因が、ヒトパピローマウィルスであることを学びました。今回実施した受講生41 名のアンケート調査では、既に子宮頸癌予防ワクチン(HPVワクチン)を接種した人は9名、全体の22% 存在し、このHPVワクチンを接種群は、未接種群に比較し、子宮頸癌の知識を多く知っていました。HPV ワクチン自体の存在を知らない人は、17名(41%)でした。受講生(高校2,3年生)に近い年代の女生徒 が、公費負担助成の接種対象者に成ってから1年以上に成りますが、やはり、接種対象者でなければ、 知識の習得には興味がわかなかったと思われる結果でした。しかし、子宮頸癌の知識を講義と実習から 獲得したことによって、講義及び実習終了後のアンケート調査ではHPVワクチンを接種したいと答える人 がほぼ全員でした。「一定の年代に単にHPVワクチン接種をするのではなく、HPVワクチン接種をする前 に、子宮頸癌と言う病気の知識、そしてその病気の怖さを知って頂き、その病気は癌の中で唯一、ワク チンと検診により予防できるということを教えれば、皆自ら進んでワクチンを接種したいと考える。」という ことが今回のプログラムにより示唆されました。しかし、その知識はどこで誰がおしえるのかという大きな 問題も含まれています。アンケート調査では、最も多かったのは、家族(母親)、学校および友人より知識 を得たという人でした。昨年はテレビ番組などによるマスメディアよりの知識習得が多かったのですが、 今回は違った様相を呈しました。この理由として、マスメディアによる宣伝頻度が減少したこと、また学校 や親が子宮頸癌予防ワクチンの知識を、次世代の子どもたちに伝え始めた結果によると考えます。しか し、この率は、まだ20%程度であり更なる啓発活動が必要と考えます。 数少ない受講生によるアンケート調査の結果ではありますが、子宮頸癌の原因ウィルスに対する知識 の高校生への浸透は、まだ十分とは言えないため、今後もマスメディアを含め多種の手段を用いて、啓 発活動を行っていくことが重要です。また、各個人が子宮の重要性を、講義などを通じて認識した後に、 自らが進んでワクチンを接種して子宮頸癌を予防するという過程も重要でした。その結果として、現在の ワクチン接種群が20歳以降に子宮頸癌検診を受診する率は、各個人のHPVワクチン接種をしたときの 知識の習得差により大きな違いをもたらすように思えました。 【実施分担者】 大井 豪一 医学部・准教授 春田 祥治 医学部・助教 安田 美加 医学部附属病院・研修医 【実施協力者】 10 名 【事務担当者】 西岡 秀 法人企画部研究推進課・主事