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白浜町 - 和歌山県ホームページ

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白浜町 - 和歌山県ホームページ
平成21
平成21年度
21年度
認知症地域支援体制構築等推進事業
報 告 書
白
浜 町
認知症地域支援体制報告書目次
はじめに
認知症地域支援体制の変遷・地域安心システム図
1. 啓発活動について
1-1 サポーター養成講座の取組み
1-2 コミュニティ育成支援事業との関係
2. 認知症予防について
2-1 MMSE を活用した個別訪問
2-2
サポート医及び地域医療機関との連携
3. 認知症ケアについて
3-1 地域ケア会議での事例検討会
3-2
3-3
4.
やすらぎ支援事業
家族交流会事業
安心・安全活動での取り組みについて
4-1
4-2
徘徊登録及び捜索情報配信システム
徘徊模擬訓練報告
5.
モデル地域意見交換会報告
6.
まとめ
7.
その他資料
1
はじめに
3 年目の認知症地域支援体制を進める中で、軽度認知症の方々が非常に多く、
地域で生活するうえで、介護サービスをはじめとする各種サービスを利用し在
宅で生活する様子を多く見てきました。介護サービスの利用は24時間・36
5日のうちのほんのわずかな時間であり、サービス利用以外の時間の方が長い
のが現状です。そのため、家族がいる場合は別として、独居であったり、老々
介護であったりするケースが多くありました。少しでも、認知症地域支援体制
が充実するように、関係機関を始めいろいろ努力してまいりましたが、最近で
は特に認知症地域支援体制と高齢者虐待との関係でどのような仕組み作りが必
要であるか、どのようにすれば予防できるのかという視点で考えるようになり
ました。被虐待者への支援策は介護サービスを初め各種用意されていますが、
虐待者又は擁護者への支援サービスがないのが現状です。そのような中で、現
場レベルでは地域支援事業の活用を試行的に行っています。
平成19年度から取り組んだモデル事業は今年度で終了になりますが、地域
支援事業のメニューとなり、新たな展開と体制の充実を図るべく取組みを継続
する体制作りを行なっています。
また、この一連のシステムが他の事業及び制度、例えば孤独死対策・災害時
要援護者対策、限界集落対策であったりする事業もこのシステム中で一緒に対
応できるような仕組みづくりを行う予定です。
最後にこの 3 年間、地域支援体制は‘誰のための、何の事業なのか’
‘何のた
めにこの事業を行っているのか’を常に念頭におきながら、事業担当者各々が、
本当の意味での住民主体体制構築が行えるように、多職種・多機関が連携する
ことが大切であることを意識しながら実施してきました。そしてさらなる体制
充実のためこの報告書を作成し、今後活用していけたらと考えます。益々高齢
化する地域社会に対して住民・関係機関・行政が三位一体となり、役割分担し
た上で連携しながらセーフティーネットをどのように張りめぐらせるのかがそ
の時々で違います。その際にはこの報告書を基に再度議論してければとも考え
ています。
また、これまでの間、ご多忙のなか当町の事業に数々のご指導とご教示を賜
りました認知症介護研究・研修東京センターの永田久美子氏・種智院大学の山
下裕史氏・和歌山県立医科大学の大饗義人氏・認知症サポート医の三谷健一郎
氏及びこのモデル事業の県担当としてご協力頂きました金尾晃宏氏に厚くお礼
を申し上げますとともに、今後とも引き続きご指導・ご助言を頂けることを願
っております。
2
認知症地域支援体制の変遷
◎SOS白浜徘徊登録
+捜索情報配信
◎地域ケア会議での
◎家族介護者交流・
相談事業
◎やすらぎ支援事業
◎センター方式研修会
◎地域デイサロン
◎認知症予防教室
◎いきいきサロン
◎認知症サポート
医講演会
◎SOS白浜徘徊登録
+捜索情報配信
◎地域ケア会議での
事例検討会
◎実態調査
◎かかりつけ医との連携
◎保健師のスクリーニング
◎サポーター養成講座
+座談会
◎家族介護者交流・
相談事業
◎やすらぎ支援事業
◎センター方式研修会
◎地域デイサロン
◎認知症予防教室
◎いきいきサロン
◎認知症サポート
医講演会
◎コミニティ育成支援
事業+座談会
地域支援事業
3
事例検討会
◎実態調査
◎かかりつけ医との連携
◎保健師のスクリーニング
◎サポーター養成講座
+座談会
地域支援事業
◎ネットワーク研修会
緊 急
安 全
継続・支援
ケ
ア
康
防
健
予
発
解
啓
理
◎・・・モデル事業
認知症地域支援体制構築等推進事業
白浜モデル ~地域安心システム~
緊 急
安 全
継続・支援
ケ
ア
康
防
健
予
発
解
啓
理
◎・・・モデル事業
認知症地域支援体制構築等推進事業
白浜モデル ~地域安心システム~
◎ネットワーク研修会
以上のように3年間のシステム作りにおいて体制が変化していることがわか
ると思います。これはそれぞれの事業が単独で成り立つのではなく、それぞれ
に関連しているうえ、円状に関連していることが担当者間でも共有されました。
また、視覚的に捉えた方が各担当の立ち位置が事業全体の中でどの位置なの
か、何をしなければならないのかが一目でわかります。森を見て木を見ず。ま
た、木を見て森を見ずにならない双方向に見られるメリットがあります。
今後も引き続きこの体制図を用いて関係機関の会議の際に活用し、より充実
した体制を視覚的に理解しながらさらに充実した体制構築が行う際に活用でき
ると考えています。
【関係機関連携図】
社会福祉協議会
行
介護サービス事業所
地域住民
政
医療機関
以上の図のように地域住民の方を含め関係機関が一丸となった体制作りが大切
であり、かつ役割を持った上での連携体制づくりも併せて行うことが大切です。
なぜなら、どこかの機関だけに負荷がかかれば機能しなくなります。そのため、
バランスを持って行うことが望まれます。
4
1. 啓発活動について
1-1 サポーター養成講座の取組み
モデル事業当初はサポーター養成講座の実施回数を多くすることにのみ労力
を費やしていたような感じがしますが、その後一方的な講座の開催では住民の
方々に本当に役立ててもらえるのか、フォローアップの研修はどうすれば良い
のかと壁にぶち当たりました。担当者間で協議しながら、講座に参加してもら
った方々の‘声’を聞きながら、医師の講演会を日常生活圏域で実施しフォロ
ーアップ体制も行いました。さらにそれが、地域デイサロンでも医師による認
知症予防や健康づくりの講座へとつながりました。平成 20 年度はサポーター養
成講座は座談会とのセットにし、今年度はコミュニティ育成支援事業として介
護予防の講座とのセットへとさらなる展開を図りました。このような中で住民
の方々に飽きられない仕組みを少しずつ行えたように実感していますし、医師
を初め理学療法士・歯科衛生士会等の関係機関との連携体制も構築できました。
コミュニティ育成支援事業の担当は社会福祉協議会地域福祉課ですので、担当
地域の地域アセスメントの実施によりそれぞれの地域でどのような仕掛けを行
えば良いかを分析してもらいながら、地域支援事業として継続実施します。
サポーター養成講座受講者に配布したオリジナルステッカー
5
1-2
コミュニティ育成支援事業との関係
先に述べたコミュニティ育成支援事業とは、介護予防講座をはじめ高齢者が
地域生活をするうえで必要な知識・技術を習得してもらうことを目的とし、ま
た関係機関との顔の見える関係づくり、その他地域生活上の課題等双方向の関
係構築を目的とした事業です。
平成19年度においては、サポーター養成講座を開催していましたが、一方
的な講座になる傾向が強いため、平成20年度にはサポーター養成講座と座談
会として行って開催してきたのが、平成21年度ではその発展系として地域支
援事業に組み込み認知症の理解のみならず、介護予防・生活支援を目的に双方
向の関係作りの継続として実施しました。そのため、メニューが多くなり講座
開催の同地域・同団体においても飽きることなく継続できるメリットがありま
す。地域に出て継続的に実施できる仕組みができた感じがします。
今後はさらにメニューを増やすとともに地域住民の方々の‘声’を関係機関
がそれぞれの事業等において反映させることができるかが課題とも言えます。
益々高齢化する中で、自助・互助・協助・公助のシステム体系には必要なこと
だと考えています。地域住民の方々の目線で専門職が必要な支援体制を構築す
ることがとても大切だからです。
6
2.認知症予防について
2-1 MMSE を活用した個別訪問
今年度も個別訪問活動を続けてきました。相談件数は昨年より増えています。
普及啓発の効果もあり、重度化した状態での相談は少なくなりつつあります。
本人・家族が脳機能テストでの低下を受け止め、前向きに診断を受けてスムー
ズに適切なケアのルートに乗れることも増えてきました。このことにより、周
囲が本人の変化に早く気付き、軽度若しくは中等度前半の状態までに関わるこ
とができたら、支援もスムーズに進みやすいことが多いとわかりました。また、
要介護認定を受ける以前の状態であった場合、本人の老いに伴う変化に添った
介護予防事業につながっていることが、後々スムーズに介護保険サービスへと
移行しやすく、家族の負担・疲弊軽減にもつながると実感しています。
受診後は、介護認定を受けサービスを利用されている方や家族の見守りのみ
で過ごされている方、脳腫瘍等で治療を受けられた方等経過は様々です。
<個別訪問活動の展開図>
本人・家族等からの相談
サポート医・かかりつけ医からの連絡
民生委員からの通報・スクリーニング活動 等
訪問:脳機能検査等の実施
受診勧奨
受診
医療
原因疾患治療
介護保険
等
受診拒否
家族の見守り
サービス利用
介護予防・いきいき
不定期見守り
サロン・デイサロン等
訪問時の本人・家族の受け入れは様々ですが、遠方の家族、特に男性の場合に
は理解が得られにくいのが現状です。
個別訪問での受診勧奨は、地域の医療機関やサポート医の協力、診断後の受
け皿となる見守り体制、近所の支え、地域支援事業、介護保険サービス、ケア
の要となる介護支援専門員等があってこそできる活動です。今後も適切な支援
がスムーズに行えるよう連携強化を図って行きたいと考えています。
7
2-2 サポート医・医療機関との連携
平成20年度に実施した地域における医療分野の取り組みは、実施できませ
んでした。平成21年度は西牟婁郡医師会認知症サポート医の三谷健一郎医師
に介護予防事業地域デイサロンにおける認知症予防講座の講師として、開催地
区6会場全てでご講演をいただき、高齢者への認知症早期発見に対する知識の
普及・啓発を行いました。
脳の病気としての認知症の理解、サポート医の存在と役割が徐々に浸透して
来つつあると思います。今後、確定診断を担う医療機関やかかりつけ医との連
携を図っていきたいと思います。
8
3.認知症ケアについて
3-1 地域ケア会議における取り組み
戦後 50 年続いた行政保護による社会福祉は、2000(平成 12)年度から施行さ
れた介護保険制度によって、市場原理に基づいたサービス供給主体を多様化し、
住民の自己決定と自己選択によるサービス契約へと軸足を移しました。サービ
ス供給主体が多様化すれば、当然、連携やチームアプローチの大切さが強調さ
れなければなりません。しかし、実際のところは事業所の採算性と効率性が求
められるために、個人プレイの相談援助になることが多いのです。その結果、
各事業所や関係機関が利用者にどのようにかかわっているのか、周囲から見え
づらいことがあります。そのような意味からも、地域ケア会議を活用したネッ
トワークの構築が必要になります。白浜町では、各関係機関との連携や地域の
ネットワーク形成を目的に、定期的に地域ケア会議を開催してきました。
特
に、支援困難事例を用いた事例検討会を開催することで、保健・医療・福祉・
行政の関係性が「顔の見える関係性」になりました。今後、判断能力の不十分
な利用者の支援を担う成年後見制度との関係によって、法律関係者との連携も
求められています。多職種・多機関が一体となって、地域を生活基盤とする利
用者本人のための事例検討会は、その重要性を増しているといえます。
地域における連携とは、本人にかかわる各関係機関がそれぞれの専門職の立
場から自分の業務を果たすことが重要なのではなく、それぞれの専門職の立場
からその専門性を手段として本人の何を援助するのかが最も問われます。つま
り、事例検討会を開催することによって、各関係機関が集結し、本人を中心と
した連携のための援助観を共有して、援助方針を導き出すことが重要です。そ
の結果、組織を育て、新たな社会資源を生み出すことができます。
われわれ援助者側にとって、困難事例とは何を意味するのでしょうか。困難
事例を客観的に説明することは、なぜ難しいのでしょうか。その理由は、まず
困難事例の多様性にあります。例えば、認知症など判断能力の不十分な高齢者
をとりまく問題は、近隣住民とのトラブル、多重債務問題、家族のアルコール
依存の問題、家族からの虐待などと関連し、ある一つの枠組みの中に整理する
ことが難しいのです。2つめには、原因の複合性です。つまり、複合的な原因
によって、さらに困難性が増幅されることにあります。どちらが原因なのか、
結果なのか明確にできないのです。3つめには、困難事象をもたらす原因が援
助する側にある場合です。援助者側による事例への向き合い方によって、困難
事例を生み出し、さらに状態を悪化させることがあります。これらが、困難事
9
例の構造が明らかにならない一因となっています。困難事例の解決方法につい
て、正攻法のマニュアルや即効性のある模範解答はありません。専門職として
どのような支援が求められるのかではなく、どのようなメカニズムで困難事例
が発生するのかに焦点を当てなければならないのです。困難事例とは何かを明
らかにすることこそが、困難事例に対してどのようにアプローチすべきなのか
を導き出す根拠になります。
このような事例検討会を積み重ねることで、組織内機構の課題や連携や調整
のありかたの問題が明確になることがあります。各関係機関全体で、認知症に
なっても地域で暮らしやすい街作りをめざすために、事例検討会は有効となり
ます。
10
3-2 やすらぎ支援事業
家族が疲弊してしまい、介護ストレス等から虐待などが起きてしまう現実が
町内でも起こっていることから、平成 20 年度より認知症高齢者を介護する家族
を支援する事業としてやすらぎ支援事業を立ち上げました。
1 回目の養成講座を 7 月に開催し、11 名が受講、9 名の方が支援員とし登録
されました。2 回目の養成講座は 2 月に実施。やすらぎ支援員を養成することだ
けでなく、学習機会としても開催し、48 名の参加があり、16 名が登録されまし
た。平成 20 年度実績は 1 名の利用者に対して 2 名の支援員の活動のみで、活動
実績は伸びませんでした。ニーズがあると思われていたにも関わらず、啓発不
足やこれまでに実績がない為、なかなか利用に結びつきませんでした。また、
家族を支援する事業として委託を受けている為、独居の認知症高齢者の支援に
は対応できないという課題もありました。
平成 21 年度からは社協単独事業として、独居の認知症高齢者にも対応できる
ように事業化を行いました。また、地域ケア会議等や家族介護者支援事業など
での啓発などからも少しずつ利用者も増えてきました。
また、支援員活動のフォローアップとして『やすらぎ支援員交流会』を 2 度
開催し、支援員活動の現状を報告、支援員間での意見や情報の交換を行いまし
た。そして、第 3 回養成講座を開催し、24 名の参加を得ることができました。
3 月末現在ではその中から 4 名の方が支援員登録をされています。
平成 21 年度を振り返ると 17 人の利用者に対して 15 人の支援員が活動しまし
た。利用者とひとくくりにしても、すべての人がそれぞれの性格や特性を持っ
ているので、関わる支援員同士やコーディネーターとが常に話し合い、関わり
方を探り、少しでも心地よい時間をすごしてもらえるにはどのように関わった
らよいかを模索しています。そんな関わりを続ける中で、家族に代わって話し
相手を行うことが本事業の支援員の基本姿勢だと考えていましたが、家族の悩
みや話を聞く事がその家族のやすらぎにつながるというケースもあり、やすら
ぎ支援の関わりの姿勢がひとつではない事を感じています。また、近所の方が
支援員として訪問する事で、支援員活動以外の時間に利用者と出会った際にも
声をかけ合ったり、その姿を見た近隣の住民から「どうして○○さんと関わっ
ているの?」などと聞かれ、認知症について理解のある支援員が説明をするこ
とで、他の住民も関わりを持つきっかけが生まれてきています。これまで気に
はなっていたけど、それとなく見守るだけで関わりを持てなかった人たちの背
中を押すことにもつながっていくかもしれません。
やすらぎ支援事業は単に家族に代わって見守りや話し相手を行う事業ではな
く、講座を受けて認知症について理解のある地域の住民が支援員として関わり、
11
活動することで、身近な地域に関心のある人が少しずつ増え、理解者が増え、
出来る限り住み慣れた地域で暮らしたいという本人や家族の思いを実現できる
地域づくりにつながっていくのではないかと感じています。そんな可能性をた
くさん秘めたやすらぎ支援事業が今後より広がっていくことを強く望んでいま
す。
【やすらぎ支援事業実績】
●平成 21 年度支援員活動実績
◎介護家族がいる方への支援
平成 21 年度利用者数
15 人
≪地域支援事業≫
月
4
5
6
7
8
9
利用者数
2
3
5
5
5
6
10 11 12
6
9
1
2
3
合 計
8
8
8
73
8
利用者
利用時間 11 19 27 25 26 36 40 42 46 33 32 39 376 時間
支援員 活動人数
4
5
5
6
6
7
7 10 10
8
◎介護家族がいない一人暮らしの方への支援
平成 21 年度利用者数
9 10
87
≪社協単独事業≫
2人
月
4
5
6
7
8
9
10 11 12
1
2
3
合 計
利用者数
1
0
0
0
0
0
0
0
1
1
1
1
5
利用時間
2
0
0
0
0
0
0
0
2
6
8 10
支援員 活動人数
1
0
0
0
0
0
0
0
1
1
1
利用者
1
28 時間
5
●支援員養成講座実績
講座実績
日時
受講者数 登録者数
第 1 回養成講座 平成 20 年 7 月 24 日
11
第 2 回養成講座 平成 21 年 2 月 11 日
44
第 3 回養成講座 平成 22 年 2 月 12 日
24
4
合計
79
29
12
備考
9
16 前回受講者も含めると 48 名参加
前回受講者も含めると 28 名参加
(※登録は 4 月 14 日現在)
●フォローアップ研修
講座実績
日時
受講者数
やすらぎ支援員交流会
平成 21 年 7 月 29 日
10 人
やすらぎ支援員交流会
平成 21 年 12 月 3 日
10 人
合計
20 人
●支援員活動者数
平成 20 年度
2 人
平成 21 年度
15 人
13
3-3 家族交流会事業
1. 白浜町の現状
現在、白浜町において要介護者のいる世帯が全世帯に対して占める割合は非
常に高く、それに伴い在宅で介護をされている方も多く、その心身へのストレ
スや不安は計り知れません。被保険者へサービスを入れることで、介護者の負
担はある程度軽減されますが、介護者への直接的なケアという面ではほとんど
サービスが行われていない現状がです。その為、介護者から具体的な悩みや相
談が上がってくることが少なく、現状把握が困難な状況にあります。集いの中
で介護者の悩みや不安を聞くことで、どのようなサービスが必要かを判断し、
ケアマネージャーと連携し適切なサービスを入れることで虐待やネグレクトと
いった最悪のケース至るのを未然に防ぐ必要があります。
2. 介護者のおかれている状況(全国と白浜町の比較)
全国と白浜町共に介護者の抱える問題は被保険者の病気についてが1位とな
っています。次いで多いのが、自分の病気やストレスについてが、ここ最近増
加している傾向にあります。また特に認知症介護に携わる介護者は終日介護を
要する場合があり自分のプライベートの時間が持てないといった状況にありま
す。
白浜町のアンケートからは家族間の問題や金銭的な問題は上がっていません。
同居している介護者の悩みやストレスの原因の割合
白浜町在宅介護者の集いアンケート調査より(平成2 1 年度)
同居している介護者の悩みやストレスの原因の割合
厚生労働省国民生活基礎調査(平成1 9 年)
その他 11%
その他 9%
収入・家計・借金等
11%
家族の介護や病気
41%
自由にできる時間が
ない 10%
家族との人間関係
11%
自分の病気や介護
18%
家族の介護や病気
自分の病気や介護
家族との人間関係
自由にできる時間がない
収入・家計・借金等
その他
収入・家計・借金等
0%
自由にできる時間が
ない 17%
家族との人間関係 2%
自分の病気や介護
24%
14
家族の介護や病気
46%
家族の介護や病気
自分の病気や介護
家族との人間関係
自由にできる時間がない
収入・家計・借金等
その他
3. 平成21年度事業実施概要
平成20年度実施時におけるアンケート調査により、実施回数を増やしてほ
しいとの声が多数寄せられました。平成21年度は20年度から引き続き認知
症に重点を置き、白浜地区、日置川地区においてそれぞれ年間2回ずつの集い
を開催しました。
また、白浜・日置川会場共に 6 月開催時において、WACわかやまに来ていた
だき参加者とスタッフが一緒になりビジョンを使った「認知症高齢者疑似体験」
を行いました。
開催地区
白浜地区
日置川地区
月 日
6 月 18 日
2 月 16 日
6 月 16 日
2 月 18 日
講
包括支援センター保健師
和歌山県介護支援専門員協会会長
包括支援センター保健師
和歌山県介護支援専門員協会会長
師
NPO 法人認知症サポートわかやま
白浜はまゆう病院臨床心理士
NPO 法人認知症サポートわかやま
NPO 法人認知症サポートわかやま
それぞれの講義終了後には時間を設けピアカウンセリングを行いました。
参加者は回を増すごとに増え、出される意見も多くなっている。
4. ピアカウンセリングにより寄せられた意見(抜粋)
・ 困っているがどのようなサービスが使えるのか情報が届かない。
自分はご近所の方の情報によって介護申請までたどりついた。
・ このような集いがあることをもっと地域に情報発信してもらいたい。
・ 家族間で介護方法の食い違いでうつになりそうになったこともある。
・ 男性はSOSの発信までが遅い。
・ もっとたくさんの人を助けてあげてほしい。
・ 叩いたり蹴ったりしてはいけないと分かりつつも瞬間的にでてしまうことがある。後で反省する
のだが。
・ 父がアルツハイマーで気が短く些細なことで怒る。
・ 夜寝てくれない。1 時間か 2 時間寝たら朝まで起きている。自分も寝ることができずベットに縛
り付けた経験がある。
・ 母親が認知症で夜になると妄想がある(誰か着ている等)
・ 参加して他の方の意見を聞いていると自分の悩みがちっぽけであることに気付いた。
15
5. まとめと今後の展開
ピアカウンセリングにより寄せられた意見(抜粋)より、年々認知症に関す
る相談や悩みが増加している傾向にあります。特に認知症介護をされている方
は身体的な負担より精神的な悩みを抱えていらっしゃる方が非常に多いです。
自分の虐待経験を涙ながらに語る参加者も数名おられました。しかし、参加さ
れた方々は自分の体験を話したり、他の介護者の意見を聞くことで精神的にリ
ラックスし満足して帰られたことから、ある一定の効果は見られました。
また、このような事業の啓発がまだまだ十分でないこともあり広報誌やマスメ
ディアを使った啓発がさらに必要であると感じました。
平成22年度は21年度のアンケート調査や地域福祉座談会の意見を基に事業
のプランニングを行う予定です。また、認知症と介護技術、ストレスを 2 部門
に分け、回数を大幅に増やし、各部門の専門職や関係機関とのネットワークを
よりいっそう充実させ家族介護者をサポートしたいと考えています。
社会福祉協議会
地域包括支援センター
22 年度プラン(白浜町)
●介護技術の提供
PT、介護福祉士、歯科衛生士、 介護
経験者等
●介護ストレスの軽減
ニーズ把握
臨床心理士、保健師等
組織化も視野に
年間4回開催
NPO法人 認知症サポート
わかやま(共催事業)
●認知症の正しい知識提供
NPO、認知症サポート医等
年間 12 回の開催
当事者の参加も加
16
家族介護者
●介護者同士の
情報交換
4.安心・安全活動での取り組みについて
4-1 徘徊登録・情報配信システムについて
認知症の中核症状のひとつ見当識障がいにより起こる徘徊。この徘徊の可能
性のある方を登録し、緊急時に個人の登録情報である氏名、身体的特徴、写真
等を関係機関で共有し、早期の発見を目指すのが『SOS白浜』です。
SOS白浜は、年に1度、ネットワーク作りを目的とした会議を開催し、関
係機関の連携と情報の共有、課題の抽出を行っています。
登録は、民生課福祉係に別紙申請書に必要事項を記入し、顔と全身の写真を
添付した上で申請します。申請は受理した段階で警察と消防に情報提供を行い、
常時、緊急時の対応に備えるようにしています。
次に、緊急時の対応については、下図の通り行います。
<緊急時の連絡調整体制①SOS徘徊登録のある方>
<緊急時の連絡調整体制①SOS徘徊登録のある方>
捜索願
①
警察署
役場総務課
消防署(消防団)
②
地域包括支援センター・福祉係
安心・安全メール配信
③
その他関係機関
郵便局・公共交通機関・介護保険サービス事業所・社会福祉協議会・
④
町内会(区)・民生委員等
①徘徊による行方不明と判断される場合、親族より警察へ捜索願が出されま
す。
②警察は、総務課防災対策室に町内放送の依頼をするとともに、捜索の必要
に応じ消防署及び消防団に捜索を依頼します。
また、土曜、日曜、休日及び夜間の対応として、警察署は消防署に連絡を
行い、町内放送の依頼を行うこととなります。
17
③役場総務課防災対策室は、町内放送を行うとともに、地域包括支援センタ
ー及び福祉係に詳細を伝え、地域包括支援センター及び福祉係が、関係機
関への情報提供、情報収集を行います。
また、防災対策室は、安心・安全メールの配信を行い、配信登録をしてい
る町民の方々から、広く情報提供を求めます。
※安心・安全メールとは、役場総務課が行う携帯電話やパソコンの電子メー
ルを通じて不審者情報や防災情報、防犯情報等を一斉に配信し、情報の共
有を図るための取り組みです。
④情報提供を行う機関は、外回りの多いところを中心とし、また、交通機関
を利用し、遠方に出てしまう可能性があるため、公共交通機関にも情報の
提供を行います。
また、担当地区民生委員や近隣住民と話すことにより、直近の目撃情報や
普段立ち寄りそうなところ等の情報の収集を行います。
4-2 徘徊模擬訓練の実施について
徘徊登録・情報配信システムの課題を発見するため、認知症高齢者徘徊模擬
訓練を平成21年6月27日(土)に開催しました。
今回の徘徊模擬訓練を実施するに当たり、関係機関が各々の役割を明確にし、
その役割を達成するための取り組みを行いました。その過程のなかで、ネット
ワーク会議や関係職員による打ち合わせ、また、対象地域の役員の皆さまへの
説明会や認知症サポーター養成講座を経て、
『SOS白浜』の検証のみに捉われ
ず、今後の地域住民への支援・地域づくり・福祉教育の観点より必要な支援の
あり方についても検証を行いました。
<徘徊模擬訓練における視点> 前日オリエンテーションより
①社会福祉協議会は、地域福祉の推進の立場より、今後の地域住民への支援・
地域づくり・福祉教育の観点より必要な支援について検証。
②地域包括支援センターは、地域包括ケア体制構築におけるコーディネート
機関として、介護サービス事業所を初め行政内部機関との連携のあり方・
早期発見・早期対応のために、今後必要な支援体制について検証。
③地区代表の方々は、日頃の地域において自分たちでどのような取り組みを
行う必要がるのかと同時に、現時点での自分たちの地域を再認識してもら
い、住民参加型での関係機関との連携のあり方について検証。
④役場総務課は、防災との兼ね合いの中で、まちづくりの一環としてどのよ
うにして対応や対策が必要かについて検証。
18
⑤役場福祉係は、
『SOS白浜』の検証と同時に、民生委員児童委員等の各種
関係団体との関係においてどのように支援・対応が可能であるかについて
検証するとともに、今後の対策を検証。
白浜町認知症高齢者徘徊模擬訓練イメージ
今回の訓練では、土曜日の設定として、役場の通常業務を行っていない場合
の情報配信システムについて検証を行いました。
Aさんの
所在不明発覚
警察署から
関係機関への
連絡
総務課から
関係機関への
連絡
包括から
関係機関への
連絡
捜索活動
①徘徊の事実確認
②警察署に行方不明者の捜索依頼
③消防本部への連絡
④役場総務課防災担当者への連絡
⑤地域包括支援センター・役場福祉係への連絡
⑥安心・安全メールの配信
⑦防災無線による放送
⑧町内介護サービス事業所へのFAX
⑨安心・安全メールの配信
※住民の方、介護サービス事業所職員により3
度の発見。声かけや通報、保護していただく
ことができました。
19
4-3 ネットワーク会議の今後について
『SOS白浜』は、現在、警察署・白浜町社会福祉協議会・消防署・白浜町
総務課防災対策室・白浜町総務課庶務係・白浜町地域包括支援センター・白浜
町民生課福祉係で構成しています。
今回の徘徊模擬訓練を通して、このネットワークをもっと拡げることの重要
性を感じています。認知症サポーター養成講座を通して、地域住民や金融機関
の方々への認知症の理解を深めていただくことの重要性。社会福祉協議会や行
政の職員と地域住民や民生委員の皆さまとの意見交換の場を持つことの大切さ。
事業の評価を常に行い、今後の課題を発見していくこと。
また、各関係機関ともその役割の重要性に改めて気づき、今後の対応を検討
しています。
【徘徊模擬訓練後の動向】
①白浜町民生委員児童委員協議会での『SOS白浜』と徘徊模擬訓練につい
ての説明
②白浜町広報誌と白浜町社会福祉協議会広報誌面による町全域への認知症の
理解と徘徊模擬訓練の紹介
③白浜町総務課による安心・安全メールの啓発活動
④『SOS白浜』ネットワーク会議及び住民座談会の共同開催
・地域住民を会議に参加していただく。
・地域の民生委員を会議に参加していただく。
・別紙 種智院大学山下裕史先生の講評をいただく。
※ネットワーク会議からの今後課題
①南海大地震のような震災のためにも、一人暮らしで不安な方のためのメール配信や
登録システム作りを進める必要があるのではないか。
②徘徊者を発見した後の保護する先を検討しておかなければならないので
はないか。
③担当がいない時でもすぐに対応できるシステムを各部署で構築しておく
必要があるのではないか。
④前回徘徊時の発見場所を確認し、地図に落とし込むなどのシステムを構
築しておく必要があるのではないか。
⑤こういった問題は、地域の問題である。昭和の頃の近所付き合いがなく
なってしまったことが原因ではないか。
⑥安心メールなどのシステムは、日頃からの近所付き合いがあって初めて
活用できる。行政の制度、システムにだけ頼るのではなく、両立しなけ
ればならない。
など
20
講評
(種智院大学 山下裕史)
認知症高齢者徘徊模擬訓練
in 日置区(2009/06/27)
日置区
~ 住民の感想と今後に向けた課題 ~
1.放送を聞いた住民の感想
認知症高齢者徘徊模擬訓練の「訓練」という言葉から、一般住民の立場から
参加の意識は低かった。模擬訓練実施の放送を聞いた住民は、一度は近所のよ
うすを見てみたものの、地域の周辺住民に何も変化が起こらなかったため、訓
練への参加の意欲が喚起されなかった。しかし、今後実際に認知症高齢者が徘
徊により行方不明となった場合、住民としてどのように対応すればよいのか不
安である。一方、自分自身にとって関わりのない人の場合には、さらに関心は
薄れることが想定される。
2.総務課の課題
日置川事務所が担当となって放送を流した。連絡系統について問題はなかっ
たが、徘徊者が発見された際に日置川消防署ではなく白浜本署へ直接連絡を入
れてしまった。再度、連絡系統を再確認しマニュアルを作成する。また、安心・
安全メールによる情報提供を行ったが、まだまだ一般住民に認知されておらず
広報不足が考えられる。役場、警察署、消防署について定期的に担当者が変更
されるため、このような模擬訓練は定期的に開催される必要がある。さらに、
模擬訓練開催のたびに連絡系統の検証を行っていく必要性がある。
3.福祉係の課題
『SOS白浜』に関わる各関係部局の役割は円滑に機能した。ところが、認
知症高齢者の徘徊事件が実際に発生した場合は訓練よりも時間がかかると想定
される。日頃から、警察署、消防署、役場、社協と事例を活用したネットワー
クや調整が大切であり、各関係機関との連携体制づくり、地域体制づくりとし
ての再検討が求められる。さらに、発見後の保護機関や保護方法についても検
討が求められる。
4.地域包括支援センターの課題
各介護サービス事業所等に対して FAX やメールの一斉送信など、効率的な連
絡方法の検討が求められる。
『日置の郷』施設内では放送が聞こえないため、施
設内でも聞こえるようなシステム導入が求められるのではないか。さらに、休
21
日中の職員に対しての連絡体制をどのように行うのか検討が必要である。また、
町営住宅で暮らす世帯は高齢者が増えているため放送が聞き取りづらく、放送
後の調査では模擬訓練に関心をもった住民がいなかった。まして、観光客にお
いても同様である。
5.社会福祉協議会の課題
日常業務の範囲でも要援護家族の状況を把握していくことが求められる。白
浜警察署も模擬訓練に協力的であったことで、認知症に関する意識付けの機会
につながった。今後は一般住民にも、地域づくりの視点から協力を求めていく
ことが必要であるし、地域の商店等にも報告・連絡できるシステムづくりが求
められる。一方、交通量の多い国道沿いでは放送が聞き取りづらいことが判明
した。
6.反省会での検討課題
『SOS白浜』を毎月の広報で掲載したり、消防団や商工会の集会等を活用
して広く啓発してみてはどうか。また、銀行、郵便局、JA等に必ず登録して
もらうなど、企業等にも PR していくべきではないか。
7.まとめと今後の課題
今回の模擬訓練で、認知症高齢者に対する一般住民の理解や関心の低さがう
かがえた。日頃からの、認知症理解のための学習会、地域住民との「つながり
意識」、「われわれ意識」の醸成が求められる。
各関係機関においては、①連絡系統の検証とマニュアル作成、②事例を活用
した連携体制づくり、③発見後の保護機関や保護方法の検討、④FAXやメー
ルの一括送信による連絡方法の検討、⑤施設内職員への連絡システムなど、早
急な整備の検討が必要である。
地域のセーフティネットとして公的機関のみならず、一般住民、商店等への
意識づけ、交通量の多い国道沿いへの放送手段の検討が課題である。さらに、
商工会や民間企業等にも『安心・安全メール』を広くPRしていくことが求め
られる。
22
白浜SOS
情報登録届
平成
年
月
日
【本人の状況】
ふりがな
氏
名
(写
生年月日
住
明治・大正・昭和
年
月
日(
歳)
〒
所
℡
身長:
cm / 体重:
㎏ / 頭髪:
視力( 普通・弱視・全盲 )
特
聴力( 普通・やや難・難聴 ):
徴
言語( 普通・やや不自由・不自由 )
その他(
)
過去の徘徊暦
かかりつけ
医療機関
主治医:
℡
病名・服薬中の薬
*日頃の呼び名など
その他
【申請者】
ふりがな
氏
名
(携帯)
自宅の住所
℡
(携帯)
自宅以外の連絡先
℡
【現在関わりのある機関など】
機関名
状況
民生課福祉係
民生課介護保険係
社会福祉協議会
福祉事務所
地域包括支援センター
民生委員
その他(利用している事業所など)
*この用紙は、本人の写真を添付して白浜町民生課へ提出してください。
23
真)
白浜SOS(徘徊時の捜索)事業への個人情報提供についての同意書
白
浜 町
長
様
私は徘徊時の捜索情報として、別紙「白浜SOS情報登録届」の
情報について下記の関係機関に提供することに同意します。
【関係機関】
白浜町 ・ 白浜警察署 ・ 白浜町消防本部 ・ 白浜郵便局 ・ 富田
郵便局
JR 白浜駅 ・ 明光バス ・ 明光タクシー ・ 白浜観光タクシー
白浜第一交通 ・ 白浜町自治連絡協議会
白浜町民生児童委員協議会 ・ その他(
平成
(本
年
人)
月
白浜町老人クラブ連合会
)
日
住 所
氏 名
(代理人)
・
印
住 所
氏 名
印
24
白浜町SOS
白浜町SOS 捜索情報提供【依頼・解除】届
各関係機関
御中
依頼 ・
次の対象者の捜索についての協力を
解除 します。
【届出者情報】
氏名
続柄
TEL
【依頼書】
本本本本
ふりがな
人人人人 情情情情 報報報報
氏
名
旧姓(
警察への
通報
有・無
)
性 別
住
男・女
所
年 齢
行方 不明にな った状況
日
時
平成
年
月
午前・午後
日
時
分
歳
曜日
初めて・二度目・度々
最後に見かけた場所
場
所
今までに保護された場所・以前行きたがっていた場所など
確認状況
名前
言える・言えない
住所
言える・言えない
特徴
身
長:
体
型:
太め・普通・やせ気味
体
重:
視
力:
普通・弱視
頭
髪:
聴
力:
普通・やや難・難聴
上着衣:
その他:
下着衣:
(眼鏡・履物・持ち物などの特徴)
【解除連絡】
連絡日時
連絡日時
※
平成
午前・午後
年
月
時
日
曜日
分
発見等の連絡
警察への通報【有】の場合
警察署、届出者、白浜町地域包括支援センター又は白浜町民生課福祉係
警察への通報【無】の場合
届出者、白浜町地域包括支援センター又は白浜町民生課福祉係
白浜町地域包括支援センター 43-6596
43-5702
白浜町民生課福祉係
25
5. モデル地域合同セミナー報告
モデル地域合同セミナーでは全国各地の取組みが報告されました。県が主導
のところもあればモデル市町村主導のところ、委託事業所が主導のところと支
援体制づくりが多種多様でした。しかし内容的には同じような取組みを行って
いることが報告内容から読み取れました。
このセミナー報告会でも課題は事業評価をどのようにするのか、特に数量的
な分析ができない中でいかに評価をするかが大変難しいように感じました。認
知症地域支援体制構築の評価は今後5年後、10年後にどのような体制が構築
できていて、
‘認知症の方が地域でその人らしく暮らせる町づくり’ですからす
ぐに結果は出ないと言う意見が多数を占めていました。そのために必要なこと
はこのモデル事業をきっかけとして体制作りを継続することであると実感しま
した。気の長くなる話ではありますが、担当が異動で代わっても継続できる仕
組みづくりの始まりであるとも言えます。このような中で評価を言われると体
制作りの中の各事業において数量的に分析できる事業を評価していくしかない
ように感じました。
モデル事業が終了しても機会があれば報告会に参加して各地の取組みがどの
ように変化しているのか、また参考にできるところは取り入れてさらなる充実
を図りたいと思いますし、担当者が異動で代わっても、新しい担当者の方にも
理解してもらうためにも報告会を活用したいと考えています。
26
6. まとめ
種智院大学
山下
裕史
6-1 ~他市町村が認知症ケア体制に取り組む上でのポイント~
人々が抱えている生活上の課題は、多様化し複雑化しています。複合的な原因
によって、さらに深刻な様相を示している事例が目立ってきています。このよ
うな深刻な事例の問題を解き明かしていくためには、縦割りによる専門分化し
た援助では、十分な対応ができない状況になってきています。それぞれの隣接
する領域の専門家との連携や協力が今求められているのです。いわば、各専門
職の単独な個人プレイで、昨今の生活上の諸問題に対処することは困難であり、
かつ限界があることを意味します。今日にある生活課題は、複数の各専門職に
よる相互の連携や協力、チームワークによって、問題を解明し、解決していか
なければなりません。
ところが、福祉の現場は変則勤務に加え、人間の具体的な生活課題にかかわ
り、規範的な制度や社会通念による日常業務に忙殺され、時間との戦いによる
勤務状況です。各機関における職員配置とクライエントの担当件数は妥当性を
超え、過重労働を余儀なくされているため、事例検討会や地域ケア会議のため
の研修時間などの余裕的時間が措置制度の頃と比較し、極端に不足しています。
このような多忙な業務のなかでも、サービスの質と職員の資質向上のために時
間を作り出していく必要があります。時間的余裕が用意されていない社会福祉
の実践現場で、わずかな時間をうまく活用し、ゆるぎない努力を積み重ね、事
例検討を継続していくことで、専門職の資質向上につながります。具体的な事
例検討を蓄積し、その収集と分析から援助の法則を導きだしていかなければな
りません。今こそ、丁寧かつ慎重な事例検討会を活用した地域ケア会議が求め
られています
27
6-2 今後の展開について
2000(平成 12)年度から施行された介護保険制度は、市場原理、競争原理に
基づいたサービス提供を理念に掲げ、利用者の自己決定と自己選択によるサー
ビス契約へと移行しました。その調整役としてケアマネジャーを配置し、各サ
ービス供給主体の調整機能としてケアマネジメントが注目されました。ケアマ
ネジメントは、利用者と社会資源を結びつけることに焦点が置かれており、展
開方法としては理解しやすいものです。ケアマネジメントのプロセスは、各段
階において取り組むべきことが明確になっており、展開の見通しがつきやすい
構造になっています。ところが、昨今の厳しい経済状況の中で、援助の枠組み
を明確にされているということは、言い換えれば、その枠組みの中でしか援助
対象を捉えていないことを意味します。さらに、ケアマネジメントの展開過程
のわかりやすさは、ひとつ間違えれば、介護保険制度主導、ケアマネジャー主
導の援助に陥りやすい危険性があります。
本人を中心とした援助に焦点をあて、事例検討会を積み重ねることで、困難
事例の発生メカニズムが明らかになり、地域を基盤として活躍する地域包括支
援センターの役割やコミュニティーソーシャルワーカーの役割が明確になって
いきます。本人の何を援助しなければならないか、それは援助の本質を問い続
けることにつながり、「事例の見方」「ものの見え方」を通して、事実の認識を
していくことこそが、人と社会との関係を正確に捉えることができるのです。
今後も、事例検討会を活用し、人と社会環境との関係性から生活事象を正確に
捉え、チームアプローチによる援助の「技」を磨くことで、誰もが安心して暮
らせる街作りをめざしていきます。
28
7. その他資料
認知症地域支援体制はコーディネーターを中心に各事業担当者へと広げる仕掛
けで行いました。詳細については、以下のとおりです。
今後も引き続くこの体制の中で異動があったとしてもその時々で配置された職
員がこの報告書を元に各事業の体制の再編及び今後の方向性の指針としていた
だけると考えています。
★ 認知症ケア講演会レジュメ
平成 21 年 11 月 15 日実施
日
時
平成 21 年 11 月 15 日(日)
場
所
リヴァージュスパひきがわ
講
師
沖田 裕子 氏
内
タイムスケジュール
13:30
13:30~16:30
容
開会(司会=社協:大久保局長)
挨拶・講師紹介(包括:三宅センター長)
40
沖田講師 認知症ケアについて
~認知症の方を地域で支援するには~
50
・ パーソン・センタード・ケア
・ 認知症とは
アルツハイマー型、脳血管性、高次脳機能障害との違い
14:45~55
55
休憩
レビー小体病、前頭側頭葉型認知症、若年性認知症
症状(中核・周辺症状)
、治療(アリセプトの役割・新薬)
・ 言動の理解とニーズの把握,ケア
混乱の3パターン(かゆみ・排泄・薬)
手がかり(言葉・背景・病前の生活)
聞くことから始める(言葉・表情・しぐさ)
・ センター方式の活用について
16:05
質疑応答 愛の園:介護支援専門員(事例)
白浜町社会福祉協議会:介護支援専門員(医師との連携)
16:25
挨拶(社協:大久保局長)アンケート記入
29
★ コーディネーター会議メンバー
氏
名
坂井
平
めぐみ
尚之
所
属
資
地域包括支援センター
保
格
健
師
社会福祉協議会地域福祉課
社会福祉士
武田
信吾
ぱる白浜
認知症介護指導者
雑賀
正彦
地域包括支援センター
社会福祉士
★ 認知症地域支援体制(モデル事業)アドバイザー
氏
永田
名
久美子
所
属
認知症介護研究・研修
東京センター
主任研究主幹
内
容
センター方式の活用
事例検討会
地域支援体制
地域ケア会議
山下
裕史
種智院大学
講師
地域支援体制
各事業における助言
社会福祉協議会における
コミュニティソーシャルワー
クについて
30
★ 各種事業担当者一覧
担 当 事 業 名
氏
名
尚之
所
サポーター養成講座&座談会
平
コミュニティ育成支援事業
奥田 恵美
地域福祉課
認知症予防と個別スクリーニング
坂井 めぐみ
白浜町民生課
属
白浜町社会福祉協議会
地域包括支援センター
地域ケア会議事例検討会
由井 陽美
白浜町民生課
ケアマネ勉強会
坂井 めぐみ
地域包括支援センター
やすらぎ支援事業
庄司 和哉
白浜町社会福祉協議会
地域福祉課
家族交流会事業
羽根 一誠
白浜町社会福祉協議会
地域福祉課
SOS白浜ネットワーク
中本 佳邦
白浜町民生課
福祉係
グループホームの地域展開
武田 信吾
ぱる白浜
認知症地域支援体制(総括)
雑賀 正彦
白浜町民生課
地域包括支援センター
31
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