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ユン・ドンジュ 越え行く者の詩

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ユン・ドンジュ 越え行く者の詩
詩人尹東柱(ユン・ドンジュ)が福岡刑務所で獄死し
て 65 年の歳月が流れました。
今もその清冽な詩と生涯が多くの人々の心をとらえ
続けています。
尹東柱が学んだ立教大学のチャペルで詩人を偲ぶひ
と時を、皆様とともに過ごしたいと願っています。
尹東柱 1942 年
立教大学在学中
〈プログラム〉
プログラム〉
〈1 部〉
追悼セレモニー
追悼セレモニー 14:
14:00~
00~14:
14:50
* 礼拝
* 尹東柱ゆかりの歌:Beautiful YunDongjoo
* 詩の朗読(韓国語・日本語・中国語)
《休憩》
〈2 部〉
講演 15:
15:10~
10~16:
16:30
うた
ユン・
ユン・ドンジュ 越え行く者の詩
講師プロフィール
講師プロフィール
NHK在職中の1995年、韓国KBSとの共同制
作、NHKスペシャル「空と風と星と詩~ユン・ド
ンジュ日本統治化の青春と死~」を制作。同一内容
のものが日韓で同時期に放送された放送史上初の番
組になる。その後ロンドン勤務を経て、NHKを退
社後、作家として数々の作品を発表。
著書:「吾輩はロンドンである」「リリー、モーツ
ァルトを弾いて下さい」「韓(から)の国の家族」
(日韓同時刊行)「わたしの歌を、あなたに
講師:
:多胡吉郎(たご きちろう)(作家)
~柳
兼子・絶唱の朝鮮」(日韓同時刊行)他
主催:詩人尹東柱を記念する立教の会
後援:立教大学チャプレン室
協力:尹東柱の故郷をたずねる会
問合せ先:立教大学チャプレン室
(柳時京:ユ・シギョン)
電話:03‐3985‐2696
FAX:03‐3985‐4724
Email:[email protected]
日時:2010年2月21日(日)
14:00~16:30
(受付:13:30~)
会場:立教大学(池袋)チャペル
(立教学院諸聖徒礼拝堂)
資料代:一般1000円
学生500円
(申込み不要)
「詩人尹東柱とともに・2009」
尹東柱の
尹東柱の生涯
1945年2月16日未明、玄界灘から北風が吹き込む福岡刑務所の独房で、ひとりの若者が
27歳の生涯を閉じた。民族が解放される半年前のことだった。母国の暗黒の時代にも筆を折る
ことなく母語で凛とした詩を書き続け、民族の良心を持つ詩人として韓国で敬愛されている尹東
柱。彼は1917年、間島(現・中国延辺朝鮮族自治州)で生まれた。中学生の頃から詩作を始
め、京城(現・ソウル)の延禧専門学校卒業後、戦時下の東京立教大学に留学した。その年の1
0月に京都同志社大学に編入したが、1943年7月14日、京都市左京区の下宿で特高に逮捕
された。罪名は治安維持法違反。そこですべての詩稿や日記、蔵書などが押収され失われた。
生前は1冊の詩集も世に出せず、詩人と呼ばれることがないままこの世を去ったが、没後3年
目の1948年、初めての詩集が韓国で発行された。残された詩と散文は数こそ少ないが、数ヶ
国語に翻訳され、国境を越えて多くの人々に読まれている。
民族の苦難に向き合い、生きるための根源的な問いと葛藤の中で、自らの足元を真摯に見つ
め、時代の荒波に押し流されることのなかった尹東柱の清らかな詩魂は、時代を超え、言葉の壁
をも越えて、我々の心に深く染み入ってくる。
日本にあった詩はすべて失われたが、立教大学在学中、大学の便箋に書いて手紙とともに朝鮮
の友人のもとに送られた5篇だけが、友人の手で奇跡的に守られ遺った。
(立教大学在学中の詩)
たやすく書かれた詩
1942・6・3
窓辺に夜の雨がささやき
六畳部屋は他人(ひと)の国、
詩人とは悲しい天命と知りつつも
一行の詩を書きとめてみるか、
汗の匂いと愛の香りふくよかに漂う
送られてきた学費封筒を受けとり
大学教授のノートを小脇に
老教授の講義を聴きにゆく。
かえりみれば 幼友達を
ひとり、ふたり、とみな失い
わたしはなにを願い
ただひとり思いしずむのか?
人生は生きがたいものなのに
詩がこう たやすく書けるのは
恥ずかしいことだ。
六畳部屋は他人(ひと)の国
窓辺に夜の雨がささやいているが、
灯火(あかり)をつけて 暗闇をすこし追いやり、
時代のように 訪れる朝を待つ最後のわたし、
わたしはわたしに小さな手をさしのべ
涙と慰めで握る最初の握手。
「空と風と星と詩」尹東柱全詩集 影書房
伊吹郷訳より
立教大学在学中の詩
「白い影」原稿 友人姜處重氏に
よって保管された
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