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発電所付着生物の殻を用いた水質浄化
Ⅳ㩷 㩷 㩷 Ⴚ 㔚ਛ⎇ႎ๔ 䋰䋳䋭䋰䋱䋵 発電所付着生物の殻を用いた水質浄化 −濾材および吸着材としての特徴− 背 景 沿岸立地発電所の冷却水路系に付着、成長するムラサキイガイやフジツボなどの付 着生物は、水路系の機能を低下させるため、定期的に除去する必要がある。除去した 付着生物は埋立や焼却処分されているが、用地の不足や堆積時の悪臭発生などの問題 点があり、除去した付着生物の有効利用策の開発が急務となっている。当所では、ム ラサキイガイを有効利用するため、タンパク質分解酵素を用いて貝の軟体部と殻を分 ける方法を開発し、軟体部の分解抽出物が養魚飼料添加物として活用できることを明 らかにした。一方、残った貝殻の有効利用や処理法について検討する必要がある。 目 的 発電所脱硫排水中のアンモニア(NH4-N)、生活排水中の栄養塩(N、P)などの浄化に 発電所から除去した付着生物の殻が使用できるか検討する。 主な成果 1. 濾材としての特徴 (1)硝化菌が増殖し熟成した濾過槽を付設した循環濾過システム(総水量 10L、濾材量約 130mL)の濾材のアンモニア(初期アンモニア濃度 50mg/L)の酸化速度はプラスチッ ク濾材 58.7、ムラサキイガイ殻 128.6、カキ殻 137.4、フジツボ殻 103.1mg/L-濾材/ 日であり、付着生物殻ではプラスチック濾材の約 2 倍の速度を示した。 (2)ムラサキイガイ殻を濾材とした濾過槽では、初期アンモニア濃度(50−1000mg/L)が 高いほどアンモニア酸化速度が速くなり、初期濃度 1000mg/L では 484.0mg/L-濾材/ 日となった。 2. pH 調製材としての特徴 (1)プラスチック濾材ではアンモニア酸化に必要な pH6 以上を保つため、炭酸水素ナト リウムの添加を要したが、付着生物殻では炭酸カルシウムが溶脱し pH 調整が行わ れるため、約 3 か月の実験期間中 pH6 を下回ることはなかった。また、この性質を 利用し、付着生物殻の減容処理が可能なことが示された。 (2)付着生物殻を濾材に用い新たにセットした循環濾過システムにおいて、硝化菌の 増殖前にアンモニア濃度の低下が観察され、付着生物殻はアンモニアストリッピン グ注)用資材としても活用できることが示唆された。 3. 栄養塩の吸着材としての特徴 (1)付着生物殻はリンを吸着する性質を有しており、0.5mm 程度に破砕するか、800℃1 時間加熱処理した殻は、24 時間以内に 90%以上のリン(初期濃度 2mg-PO4-P/L)を吸 着した。また、加熱処理したムラサキイガイ殻の 1 日当たりの最大吸着量は 5mg/g殻片と推定された。 (2)加熱処理した付着生物殻はアンモニアを吸着しないが、リン酸溶液を添加すると、 アンモニア濃度の低下が認められ、リンの添加により水酸化アパタイト (Ca5(OH)(PO4)3)が生成され、それがアンモニアを吸着したことが示唆された。 今後の展開 発電所から除去した付着生物殻を用いた水質浄化システムの構成やその運用法など について検討する。 注) pH をアルカリ性にしてアンモニウムイオンを遊離のアンモニアとして、空気で曝気してアンモニアを除去す る方法 特許 1)「付着生物殻を有効活用した水質浄化材」 特願 2003-151308 2)「貝エキス・貝肉・貝殻の分離抽出装置」 特願 2003-151362 研究報告 䌕䋰䋳䋰䋳䋴 キーワード:貝殻,付着生物,水質浄化,ムラサキイガイ,リサイクル 関連研究報告書 生物系廃棄物のリサイクル技術に関する文献調査 (U00059)2001. 生物廃棄物の有効利用技術の開発(その1)(U02010) 2002. 養魚試料添加物としてのムラサキイガイ分解・抽出物の効果 (U01034) 2002. 担当者 連 絡 先 本田 晴朗 (我孫子研究所・応用生物部) (財)電力中央研究所 我孫子研究所 事務部 研究管理担当 Tel. 04-7182-1181(代) E-mail : [email protected] 䌛㕖ᄁຠ䊶ਇ⸵ⶄ䌝㩷 4㩷 㩷 ⽷࿅ᴺੱ㔚ജਛᄩ⎇ⓥᚲ