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米国環境産業動向 - 日本産業機械工業会

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米国環境産業動向 - 日本産業機械工業会
情 報 報 告
シカゴ
●米国環境産業動向
EPA、クリーンパワー計画を正式に発動
10 月 22 日、米環境保護庁(EPA)は、クリーンパワー計画(Clean Power Plan)を正式に施行し、
連邦公報に掲示した。クリーンパワー計画は、石炭火力発電所からの CO2 排気量を 2030 年までに
2005 年の水準よりも 32%削減することを目指すもので、既存の発電所からの排出量を規制する初の連
邦規則である。これが遵守されれば米国が国連に約束する CO2 排出量削減目標を達成されることとな
る。一方、10 月 23 日、ウェストバージニア、テキサス、ミシガンなどの 24 州と石炭採掘企業 1 社の
連合体が、同計画の撤回と履行の即時停止を求めてワシントン DC の控訴裁判所に訴えを起こした。同
連合体は、クリーンパワー計画の原案が発表されて以来これまで 2 度法的申し立てを起こしているが、
時期尚早として差し戻されており、連邦公報に正式に掲示されたことで法的論争の場が整ったと言える。
石油と天然ガスの大手 10 社、気候変動に取り組む共同宣言
10 月 16 日、世界の石油と天然ガスの大手企業 10 社が、12 月にパリで開かれる国連気候変動枠組み
会議に向けて気候変動に共同で取り組むとの宣言を発表した。宣言に参加したのは、ロイヤル・ダッ
チ・シェル、BP、BG グループ、トタル(Total)、スタトイル(Statoil)などで、10 社合わせて世界
の石油とガス生産量の 5 分の 1 を占め、世界のエネルギーの 10%近くを供給している。10 社は石油ガ
ス気候イニシアティブ(Oil and Gas Climate Initiative:OGCI)を結成し、世界の平均気温の上昇を
2℃以内に抑えるために、明確で安定した政策の実施を支援することを表明している。同 10 社は、排出
量の削減に熱心に取り組んでおり、過去 10 年間で排出量を全体で 20%削減することに成功している。
米国、G7 の中で最も石炭火力発電所の縮小に意欲的
10 月 21 日、環境コンサルタント E3G は、米国は、G7 先進国の中で石炭火力による発電量が最も多
いものの、それを縮小する動きも最も活発であることと報告した。米国の現在の石炭火力の発電能力は
288GW で、他の全 G7 諸国を合わせた発電量全体の 2 倍以上になるが、石炭火力発電から再生可能エ
ネルギー発電への移行にも最も意欲的に取り組んでいる。米国では、シェールガスの生産量の急増に伴
って、石炭が総電力量に占める割合は 40%以下と低下している。G7 全体では 2010 年以降に、63GW
の石炭火力発電所の建設計画を中止しているほか、老朽化した石炭火力発電所 124GW が既に廃業もし
くは 2020 年までに廃業予定である。一方、石炭離れの G7 の中で日本だけは例外で、福島原発事故の
影響で原子力発電所の操業が難しくなる中、石炭火力発電を 27GW 以上増設する計画が進んでいる。
オバマ政権、北極海底油田の採掘権の販売を中止
10 月 16 日、米内務省は、予定されていた 2016 年と 2017 年の北極海底油田の採掘権の販売を中止
すると発表した。また同省は、ロイヤル・ダッチ・シェル社とスタトイル(Statoil)社からの夫々
2020 年と 2017 年に期限が切れる既存採掘権の延長要請も却下した。数週間前にはシェル社が北極海底
油田から全面撤退する意思を発表しており、内務省では現在の石油市場が低迷して海底油田に対する関
心が低くなっていることを販売中止の理由に挙げている。また同時に、環境保護団体らの反対運動も背
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情報報告 シカゴ
景にあると考えられる。現在米国領の北極海で採掘権を持っているのは、BP、ココノフィリップなど
全部で 8 社あり、2020 年と 2022 年にも採掘権の販売が予定されているが、未だ最終決定されていない。
再生可能エネルギーの蓄電システム、2025 年までに 12.7GW に成長
10 月 14 日、ナビガント(Navigant)研究所は、世界の様々な再生可能エネルギー電力を電力会社の
グリッド(送電網)に統合するための蓄電システムは、2015 年の 196.2MW から 2025 年に 12.7GW へ
成長すると予想されると報告した。風力や太陽光など再生可能エネルギーによる発電は順調に成長を続
けているが、発電量が天候によって変動するためにグリッドの安定にとっては大きな課題となる。これ
に応えるのが、再生可能エネルギー電力をグリッドに容易に統合するために設計された蓄電システムで
ある。短期的に見ると再生可能エネルギー発電の多い僻地や島々における需要が先行し、先進電池コス
トの値下がりが市場の成長を支える牽引力の 1 つとなる。
テスラ社の電池をオフィスビルの電力源に
10 月 12 日、カリフォルニア州アーバインの不動産開発業者と新興企業アドバンスト・マイクログリ
ッド・ソリューションズ(Advanced Microgrid Solutions)は、テスラ社の電池をオフィスビルの電力
源として利用する計画を発表した。ビル内に駐車スペース 5 台分ほどの大型電池装置を設置し、エアコ
ンがフル稼働する真夏の午後など送電網の電力需要がピークになる際にビルの動力源をソフトウェアで
切り替える。アドバンスト社は、地域の電力会社サザン・カリフォルニア・エジソン(Southern
California Edison)に 50MW 相当の電池を供給する契約を結んでおり、そのうち約 1 万世帯を賄える
10MW の電池を、2016 年にアーバイン市に設置する。2015 年に全米で約 220MW の電池が設置される
と予想され、カリフォルニア州は電力会社各社に 2020 年までに全体で 1GW の蓄電システムを設置す
るよう義務付けている。これは大型の原子力発電所か天然ガス発電所に相当する発電量である。
フォルクスワーゲン社、米国で 48 万台、EU で 850 万台のリコール
フォルクスワーゲン社は、2009 年から 2015 年モデルのアウディとフォルクスワーゲンの 4 気筒ター
ボディーゼルエンジン車のリコールの実施を米国は 10 月 6 日、EU は 10 月 15 日に決定した。これは、
9 月下旬に発覚した排ガス基準を満たすための不正ソフトの搭載に対応するもの。対象は、米国で約 48
万 2 千台、EU で約 850 万台とされている。今回の不正は、大気浄化法(Clean Air Act)の重大な違反
であり、同社は今後、リコールだけでなく数十億ドル単位の罰金や回復コストに直面すると考えられる。
また、現在生産されている 2016 年モデルにも機能の違う新しい排ガスソフトが搭載されていることが
分かり、不正に当るかどうか現在調査中である。
燃料電池市場が急成長する中で、エネルギー省がさらに 2 千万ドル投資
10 月 9 日、米エネルギー省は、燃料電池業界が前代未聞のスピードで成長を続けており、売上高は
2013 年の 13 億ドルから 2014 年には 22 億ドルに達したことを報告した。また、同省は、新たに 10 件
のプロジェクトに 2 千万ドル以上を投資して、燃料電池と水素テクノロジーを開発するとともに小型燃
料電池 EV の普及を促進していくことを発表した。2006 年以降にエネルギー省が支援したプロジェク
トは、輸送燃料電池のコストを 50%以上削減した他、耐久性を 2 倍以上に高め、必要な白金の量を 5 分
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の 1 に低減することに貢献している。また、2014 年に 5 万台以上の燃料電池が米国から世界に輸出さ
れた。
ヒルトンホテル、EV 充電プログラムを開始
10 月 8 日、ヒルトンホテルは、今年末までに米国内の 50 のホテルに電気自動車(EV)充電器を設
置し、2016 年末には 100 件まで拡大するという電気自動車(EV)充電プログラムを発表した。GE の
子会社カレント(Current)社とテスラ社の充電システムを採用して全ての電気自動車に対応し、
Waldorf Astoria New York、DoubleTree by Hilton Durango、Hampton Inn by Hilton Reno、Hilton
Los Angeles Airport などヒルトン系の各ブランドにわたって幅広い地域に設置されると言う。更に、
2016 年には米国外のホテルへの拡大も計画している。EV の販売数は過去 2,3 年の間に飛躍的に伸びて
おり、米国では 2010 年以降に 35 万台以上が販売され、そのうち 12 万台が 2014 年に販売されたもの
である。
新興企業フィルド社、オンデマンドでガソリンを配達
10 月 29 日、シリコンバレーの新興企業フィルド(Filld)社は、昼夜を問わずオンデマンドで顧客が
希望する場所までガソリンを配達して充填するサービスを紹介した。フィルド社の顧客は、iOS のアプ
リを使って希望するガソリンと住所を指定して注文するが、一定量の注文のみを受け付ける競合者パー
プル(Purple)と違って“満タン”という選択もできる。深夜から朝までにガソリンを満タンにしたい
という需要が多く、顧客が立ち会わない場合はロック付きの注油口は予めロック解除しておく。ガソリ
ンの価格は近隣の平均ガソリン価格から決定され、そこにサービス料として 5 ドルが加算される。現在
はシリコンバレー周辺に限定されるが、近くサンフランシスコ湾岸全域から他の都市にも拡大する計画
である。
EU、EU と米国のデータ直接転送を禁止
10 月 6 日、EU の最高裁判所は、EU と米国のあいだで個人情報データの転送を認める協定『セーフ
ハーバー(Safe Harbor)』を無効とする判断を下した。15 年に及ぶ『セーフハーバー』協定は、EU
各国から米国にウェブ検索やソーシャルメディアの履歴といった個人情報を直接転送することを認める
もので、アップルやグーグルを含めた 4,500 社以上もの企業が恩恵を受けている。しかし先頃、米国政
府機関による無差別な監視が明らかになったため、個人情報の保護を目的に EU 当局が協定の取り消し
を決定した。EU 内の個人情報データを扱う米国技術企業にとって大きな打撃であり、アマゾン、フェ
イスブック、マイクロソフトといった大手テクノロジー企業は代替的な法的構造を既に用意しているが、
中小企業は EU 内にサーバーを設置したり、第 3 者の企業に委託するといった手法を模索している。米
国と EU の規制当局は新たな合意へ向けて交渉を開始しているが、現在のところ具体的な見通しは立っ
ていない。
グーグル社、建設材の環境と健康への影響を比較評価するデータベースを発表
10 月 27 日、グーグル社は、建築やエンジニアリング、建設業界に携わる人々が、環境と健康への影
響 に基 づ い て 建 設 材料 を 比較 評 価 す る こと の でき る オ ー プ ン ソー ス のデ ー タベ ー ス『 ク ォ ー ツ
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(Quartz)』を発表した。このデータベースは、建設テクノロジーのフラックス(Flux)、持続可能
ソフトウェアのシンクステップ(thinkstep)、非営利団体のヘルシービルディングネットワーク
(Healthy Building Network)の協力によって開発されたものであり、健康と環境に与える影響を総
合的にまとめた初めてのデータベースとなる。扱う建設材料は、コンクリートから乾式壁、断熱材まで
幅広く、約 100 もの建設製品を網羅している。
ダウ・ケミカル社、画期的な持続可能な包装樹脂を開発
10 月 27 日、ダウ・ケミカル社は、フィルムの硬さや丈夫さ、加工し易さという連立し難い特徴を絶
妙のバランスで統合した画期的な精密包装樹脂『インネイト(INNATE)』を発表した。特許を持つ分
子触媒と先進加工テクノロジーから生まれた INNATE は、現在最も難しい包装性能のギャップに応え
るものと言える。INNATE から作る共押出フィルムは、標準的なポリエチレン樹脂に比べて 2 倍程度
破損しにくいとされる。また、軽量であるために持続可能性が高く、フレキシブルな食品包装から産業
用配達袋まで、あらゆるプラスティックの領域で新たな包装の機会を広げるものと期待される。
IBM 社、法人ハイブリッド・クラウドサービスの拡充
11 月 3 日、IBM 社は、企業がプラットフォームの異なるクラウドサービスを購入して管理する手助
けをする仲介ソフト開発企業グラビタント(Gravitant)社を買収した。企業がクラウド・プラットフ
ォームの異なるソフトウェアやサービスを複数の IT 企業から購入する際には、複雑な設定や調整が必
要となり、時間と管理コストの負担が大きい。クラビタント社のハイブリッド・クラウドの仲介ソフト
を利用すれば、異種クラウド・プラットフォームを利用する企業の仕様に調整して配信を一括化し、管
理を簡便化することができる。また、法人向けのハイブリッド・クラウドの需要が当面更に増えていく
と予想される中で、IBM はグラビタント社の技術を自社製品に統合していく計画である。
“生分解可能”包装の誇大広告に、連邦取引委員会が制裁措置
“生分解可能”包装を誇大にうたったプラスティック製品が消費者の誤解を生んだとして、連邦取引
委員会は、添加剤メーカーの ECM バイオフィルムズ社のほか、それらの添加剤を利用して作ったプラ
スティック袋、ゴルフティー、プラスティックカップ、紙製品、食品コンテナー製品を“生分解可能”
の誇大広告と共に流通させた企業 5 社に、45 万ドルの民事罰金を含む制裁措置を課した。米国政府は、
虚偽や誤解を引き起こす環境広告に対する摘発を強化しており、今回はその動きの一環とされる。
また、石油大手エクソン・モービル社の気候活動に関する情報開示が虚偽である可能性が高まり、ニ
ューヨーク州司法長官が 11 月 6 日に捜査を開始した。捜査は石油業界全体に広がる可能性もある。
ネスレ社、容器のリサイクルを推進するために How2Recycle ロゴを導入
10 月 26 日、ネスレ社は、再生可能な製品の包装に『How2Recycle(ハウトゥーリサイクル)』のロ
ゴを付けて消費者にリサイクルを促進する計画を発表した。『How2Recycle』は、非営利団体グリーン
ブルー(GreenBlue)が開発した標章であり、再生可能な容器に付けて消費者に明確で正しいリサイク
ル情報を伝える。既に、洗剤のクロロックス(Clorox)や紙製品のキンバリー・クラークの他、ケロッ
グやマクドナルドなど 40 社以上が『How2Recycle』ラベルを採用している。
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石炭火力発電所に対する連邦初の石炭灰管理規則
10 月 19 日、米環境保護庁(EPA)は、石炭火力発電所からの残滓灰を安全に廃棄することを目的と
した初の連邦規則を施行した。また同日、同規則に基づいて提出されたカンザス州の石炭灰管理計画を
承認した。石炭灰は、不適切な廃棄や貯留をすると地下水や大気の汚染を引き起こすとされている。各
州では、必要に応じて、少なくとも連邦規則の要件を満たす州規則を制定し、廃棄物管理計画を EPA
に提出して承認を受けることが義務付けられる。
閉鎖された鉱山で汚染廃水が噴出
8 月 5 日、コロラド州の閉鎖されたゴールドキング鉱山を回復させる作業中に、300 万ガロンもの重
金属を含んだ酸性廃水が噴出してコロラド川とユタ川に流れ込み、川の水を黄土色に変えた。10 月 22
日に米内務省から発表された報告書によると、この事故は先に報じられたような“不可避な”事故では
なく“防止可能”である“象徴的な”事故だったことが判明した。掘り返す前に鉱山内の水量を物理的
に調べるための小穴を掘らなかったことが最大の原因と考えられ、今後も同様の事故が容易に起こり得
るという。現場では、10 月 14 日に、流出した廃水を処理するための一時的な処理システムが完成し、
現在も鉱山から流れ出てくる廃水を 1 分当り 550 ガロン処理しているという。
カリフォルニア州のビバリーヒルズなど 4 区域、州の節水命令を守らず罰金
10 月 30 日、カリフォルニア州の高級住宅地ビバリーヒルズなど 4 つの市が、同州の節水命令を守れ
ないためにそれぞれ$61,000 の罰金を課されたことが発表された。4 年にわたって旱魃が続くカリフォ
ルニア州では、今年 6 月から、2013 年レベルから水の消費量を 25%削減するという節水命令が出され
ており、カリフォルニア州全体としては 6~8 月までに 2,530 億ガロンが節水され、9 月までの 4 ヶ月
連続で目標を達成している。しかし、ビバリーヒルズでは現在も大量の水を使って芝生を維持している
富裕層がおり、9 月の 1 人当り水消費量は、ロサンゼルスの平均消費量の 68 ガロンに対して、169 ガ
ロンに上った。同市は、10 月から水を浪費する住民に罰金を科す制度を導入し、必要に応じては世帯
毎に節水計画を課すことも計画している。
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