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西アフリカの稼働中LNGプロジェクト
西アフリカの稼働中LNGプロジェクト 2013年12月19日 調査部 竹原 美佳 1 本日の内容 1.アフリカのLNGと日本 2.西アフリカのLNGプロジェクト ~ナイジェリア、赤道ギニア、アンゴラ~ 3.西アフリカのLNGプロジェクトにおけるリスク事例 2 アフリカのLNG輸出国 日本のアフリカからの LNG輸入(2012年) 赤道ギニ ア 32% アフリカのLNG輸出:世界のLNG貿易の16% アルジェリア、エジプト、ナイジェリア、赤道ギニア、 アンゴラ(2013年6月~) アルジェリ ア 2% エジプト 12% ナイジェリ ア 54% 3 サハラ砂漠以南のアフリカのLNGと日本の 接点 ナイジェリアLNG 日本が輸入するアフリカLNG中最大のシェア、プラント 建設に日本企業が参加 赤道ギニアLNG 日本企業がLNG事業に出資、8割が日本向け アンゴラLNG 日本企業が傭船(LNG輸送)業務を受注 モザンビークLNG(計画中) 日本企業が上流・LNG事業に出資 4 震災後、アフリカからのLNG輸入が増加 日本のLNG地域別輸入推移(2011年~2013年1-10月) 10,000 万トン/年 8,000 5% 10% 8% 6,000 4,000 2,000 0 2011年 アジア 大洋州 2012年 欧州 北米 13年1‐10月 中南米 中東 アフリカ 通関統計にもとづき作成 アフリカからの輸入比率は1割前後で推移 5 ナイジェリアからのLNG輸入が伸長 日本の対前年比LNG輸入伸長国上位国(2012年) 400 万トン/年 300 200 100 0 カタール ロシア ナイジェリア 赤道ギニア 豪州 通関統計にもとづき作成 輸出余力、現在主に利用しているLNGと類似の熱量 6 参考:日本のLNG輸入推移(アフリカ、 国別) 1,000 800 万トン/ 年 600 400 日本のアフリカからのLNG輸入 推移(国別) (通関統計にもとづき作成) 200 0 2011年 アルジェリア 2012年 エジプト 13年1‐10月 ナイジェリア 赤道ギニア N2% 窒素 CH4% メタン C2% エタン C3% C4+% プロパン 発熱量 MJ/m3(n) ナイジェリア 0.03 91.7 5.52 2.17 0.58 43.41 赤道ギニア 0.00 93.41 6.52 0.07 0.00 41.95 参考:マレーシア 0.14 91.69 4.64 2.6 0.93 43.67 参考:サハリン 0.07 92.53 4.47 1.97 0.95 43.3 西アフリカLNGの組成 Source : GIIGNL(国際LNG輸入者協会) 7 ナイジェリアで稼働中のプロジェクト 2004年 2006年 2002年 FID/EPC 1999年 1995年 FID/EPC (T1・2) 6.4MMt US$3.6B (T4・5) 出荷(T1・2) US$2.2B FID/EPC 8.1MMt (T3) 出荷 3.2MMt (T3) US$1.8B 出荷(T6) FID/EPC (T6) 4.1MMt US$1.7 B LNG出荷能 力計22Mt 世界の液化能力の8% 随伴ガス活用、焼却処理(フレア)低減 NLNG(ナイジェリアLNG) LNG(T1~6):22MMt/y コンデンセート:1.5MMt/y LPG:1.0MMt/y 原料ガス:3.5Bcfd ニジェールデルタ随伴ガス 事業者国営NNPC・Shell・ Total・Eni JV) 8 LNG販売先(NLNG) 中国 2% 台湾 6% インド 7% その他 4% ポルトガル 6% フランス 11% 韓国 9% スペイン 20% 日本 24% トルコ 5% メキシコ 4% 出荷量(2012年) 約1,958万トン Source:GIIGNL, Facts & Figures on NLNG 2013 ブラジ ル 2% 長期売買契約 (SPA):16件 (液化能力の9 割) Spot Master Agreement(FOB ベース)31件 Enel, Repsol, Gas Natural, Botas, GDF, Galp, BG, Endesa, Eni, Inerdrola, Shell, Total他 日本、韓国、台 湾、中国、インド、 クウェート、ブラ ジル他 9 ナイジェリアで計画中のプロジェクト Brass LNG:T1・2(10MMt/y) NNPC, Total, Eni ,(Oando) Chevron 06年撤退 ConocoPhillips13年撤退 Olokola(OK) LNG:T1・2 (10MMt/y) NNPC, Shell BG09年、Chevron13年撤退 新規LNG:コスト上昇、治安、石油法改正の遅延、国内企 業優先政策などを受け停滞、IOC撤退相次ぐ 10 赤道ギニアで稼働中のプロジェクト 2007年 2004年 出荷 (T1) 2002年 FEED (T1) Bectel FID(T1) Sales 3.7MMt/y LoU (BG/T1) FIDから出荷まで世界最速 EG LNG(赤道ギニアLNG) LNG(T1):3.7MMt/y コンデンセート:6万b/d LPG:2万b/d、メタノール2万b/d 原料ガス:0.6Bcfd, Albaガス 田 事業者:Marathon、国営Sonagaz、 三井物産、丸紅 11 LNG販売先(EG LNG) 韓国 11% 長期売買契約 (SPA):1件 台湾 6% BG(FOB) 日本 83% 出荷量(2012年) 約360万トン 9割は東アジア(主に日本向け) Source:GIIGNL, Facts & Figures on NLNG 2013 12 アンゴラで稼働中のプロジェクト 2013年 2007年 三井物産・日本郵船 子会社が長期定期傭 船(LNG輸送)契約を 受注(4隻×約20年) 出荷 (T1) 2005年 FID(T1) 5.2MMt/y Dual FEED (T1) Bechtel KBC/Techinip ALNG(アンゴラLNG) LNG(T1):5.2MMt/y コンデンセート,LPG 原料ガス:1Bcfd, 随伴ガス 事業者:国営Sonangol,Chevron, Total, BP, Eni 13 LNG販売先(ALNG) 販売は低調な滑り出し 長期売買契約 (SPA):0件 2013年6月の出荷開始以降 11月までに5船のみ出荷 事業者のポート フォリオ販売* 第1船:ブラジル(8月着) 第2船:中国CNOOC福建(9月 着) 第3・4船:韓国、日本Tepco (10月着) 第5船:Tepco(11月着) *SonangolはTrafiguraとLNGトレー ディングJV”Sonaci DT”を設立 14 リスク事例①:法規制の強化(ナイジェリア) 米司法省(DOJ)は1995年から2004年にかけて締結されたナイジェ リアLNGのEPC契約(総額60億ドル超)について、米国海外腐敗行 為防止法(「FCPA」*)に違反しナイジェリアの公務員**に対し贈賄 を計画したとしてEPC受注企業ならびに贈賄共謀に関与した企業 (米国外企業を含む)を起訴。 各企業はFCPA違反の共謀の事実ならびに贈賄罪を認め、DOJと 訴追延期(DOJに対する罰金および米SECに対する内部統制等の 条項に対する違反金支払い)で合意(総額:15億ドル超)。 *US Foreign Corrupt Practices Act **国営NNPCによる間接的な政府出資は49%であったがナイジェリア LNG社の役員と従業員は、FCPA上「外国公務員」とみなされた。 出所:モリソン・フォースター外国法事務弁護士事務所 ニュースレター ( 2012. 02.10) http://www.mofo.jp/topics/legal‐ updates/tlcb/20120210.html 15 リスク事例②:出荷障害(ナイジェリア) NLNGの出荷トラブル、フォースマジュール(2013年) 2月~4月:原料供給パイプライン損壊 盗掘により液化プラントへの原料ガス供給ライン損壊 5月~6月:原料供給パイプライン損壊 盗掘により液化プラントへの原料ガス供給ライン損壊 6月~7月:海上保安機関(NIimasa)との課税トラブル NLNGは法律で免税とされているが、海上保安機関Nimasa ( Nigeria Maritime Administration and Safety Agency)はNimasa Act(07年制定)にもとづきセキュリティ対応のため1,000億ナイラ (約6.28億ドル)を課税、 LNGローディング作業を約3週間妨害(7 月に1.4億ドルの支払いで合意)。 16 リスク事例③:稼働遅延・ガス回収トラブル(アンゴラ) 2012年稼働予定が2度の火災で1年半遅延、さらに稼働後 間もなくメンテナンスに・・・ 2012年6月、コミッショニング時にガス処理プラントで小 規模な火災が発生 2013年4月、高圧ケーブルとコンプレッサーの接続部分 へのオーバーロードにより火災が発生 →2013年7月出荷 2013年11月、原料ガス供給ラインでガス漏れが見つか り前倒しでメンテナンス 施工管理、複数供給源からの原料ガス回収に課題? 17 複数ソースの随伴ガスを回収・利用 (ナイジェリア・アンゴラLNG) Gbaran/ Ubie Soku Bonny EA Bonga NLNG SDPC(Shell) TEPNG(Total) NOAC(Eni) NLNG Angola LNG 18 参考:プロジェクト比較 ナイジェリア LNG アンゴラLNG 赤道ギニア LNG 参考:モザ 参考:タンザ ンビークLNG ニアLNG (計画中) (計画中) 事業者 メジャーズ (Shell他) メジャーズ (Chevron 他) 米中堅 (Hess、日本 企業) 米大手/ メジャー他 (Anadarko /Eni他) 欧州大手 他 (BG/ Statoil他) EPC TSKJ Bechtel Bechtel 未定 未定 - 有 有 (三井、丸紅) (三井) - 日本企業の - 出資 原料ガス 随伴ガス 随伴ガス 構造性ガス 構造性ガス 構造性ガス 副産物 有 (LPG他) 有 (LPG他) 有 (LPG他) - - 19 選択肢は拡大 品質 (熱量 他) 多様化 安定 ポートフォ リオLNG 非在来型 (CBM) LNG 新興国 LNG 新興/中 堅事業者 稼働中 LNG 大手LNG 事業者 画一化 契約(価 格、期間、 仕向地 条項) リスク 20 まとめ 震災後の原発代替需要で“使いやすい”ナイジェ リアからのLNG供給が伸びた。 サブサハラのLNGと日本の関係は今後ますます 深まる可能性がある。 大手事業者が操業中の成熟LNGプロジェクトで あってもリスクに直面する可能性がある。 LNGの選択肢は拡大しており、消費側に求めら れるのは多様化と柔軟性(リスクへの対応力) 21