Comments
Description
Transcript
全文 - 東芝ソリューション株式会社
T-Soul!! “T-Soul” とは,東芝ソリューションの社員の中にある情熱,思い。 本コーナーでは, 技術力を支える “人の力” や “組織の力” などにフォーカスした当社の様々な取り組み事 例をお伝えします。 お客様のシステム導入の舞台裏で活躍する影武者たち 〜いつも安全を最優先,お客様に安心してシステムをご利用いただくために〜 東芝ソリューションには,システム導入に伴う建設工事を担う, “建設担当部門” がある。「縁の下の力もち」として, お客様に導入するシステムの設置環境づくりを請け負う彼らは,システム構築には不可欠な存在だ。 システムの導入に、なくてはならない準備作業 今や社会は ITに支えられて成り立っている。その社 会や企業の心臓部ともいえるシステムが稼動するために は,サーバやパソコンなどの機器に電源が入っていたり, ネットワークがつながっていることが不可欠だ。今回紹 介する建設担当部門は,これらの機器に命を吹き込む 作業を担う組織である。 日本では,システムを導入する際の建設工事 (電源・ ネットワーク工事,地震対策など) は,国土交通省・建 設業法上の建設業許可を取得した会社が実施すると定 められている。通常,これらはソリューション会社が請 け負うのではなく,許可を得ている施工会社に依頼す るケースが多いが,東芝ソリューションは特定建設業許 可を取得しているため,建設工事元請会社として工事を 実施できる体制が整っている。システムを構築する担 当者と,実際の工事を監督する担当 (建設担当) が同じ 東芝ソリューションの社員同士なので,きちんと連携し て仕事を進めることができるのだ。 これは, お客様にとっ て,アプリケーションから工事までの作業を一つの会 社に任せられるという安心感を持っていただくことにつ ながる。建設担当部門は,工事を担う専門組織として, 2003 年10月の東芝ソリューション発足以前から存在し ており,現在は約 20 名の建設担当がグループ会社や 施工会社14社の600名と連携して全国の現場を担当し ている。 すると判った時点からプロジェクトに加わります。あらか じめお客様や技術担当者からシステムの詳細をヒアリン グしたり,実際に工事を行う施工業者と話し合ったりし ながら,必要となる工事内容を決めていきます」 ( 建設 担当・伊藤巧グループ長) 。 ただ,システムの導入が決まった時点では, 「工事は まだずっと先だろう」という意識のお客様が多く,工事 のご相談をすると,そのタイミングの早さに大変驚かれ ることもある。そこで,建設担当は,まずシステム設置 場所の図面など,工事に必要な情報をお客様からご提 供いただき,打ち合わせを行い,何を決めておかなけれ ばならないかをご理解いただく。 「例えば,サーバを設 置するには,そのサーバを置くスペースだけがあればい いという訳ではありません。 メンテナンスするためのスペー スを考慮し,稼働時のノイズ問題をどうするか,熱はど こに逃がすか,排気場所はどこが適しているか,電気 の最大容量や配線コードの長さは足りるかなど,検討す べき項目は想像以上に多 いのです。私たち建設担 当は,さまざまな事柄を総 合的に検討し,お客様と 社内の担当者の意見をまと めながら機器の設置イメー ジを考えます。これらは, お客様にご迷惑をかけな いようにするためのとても 大切な作業です。 (建設担 」 及川 淳子 Oikawa Junko 建設担当 主任 当主任 及川淳子) 。 建設担当が仕事を始める,驚きのタイミング 伊藤 巧 Ito Takumi 建設担当 グループ長 18 工事に要する期間や工 事を始める時期は,案件 によってさまざまである。 しかし,どの案件にも共 通しているのは,電源や ネットワーク工事の計 画 は,システム稼動の直前 にするのでは遅いというこ と。 「たとえ2年先に稼動 するシステムであっても, 導入時に工事案件が発生 「東芝ソリューション テクニカルニュース」2008年冬季号 Vol.16 納期までにシステムを稼動させるため, 全力を尽くす アプリケーション開発が終わると,システムの導入作 業が始まる。現場では,電源やネットワークなどの工事 の後にサーバを搬入し, システムの現地調整を行う。 「現 地調整では,技術担当者が現場に到着したときにサー バが正常に稼働していなければシステムの検証作業な どができず,仕事になりません。どんなに立派なサー バを導入しても,安全に工事して稼動しなければ意味 がないのです」 (及川) 。 また,建設担当にとっての「お客様」は,発注して下 さったお客様だけではない。社内の営業や技術担当者 からの信頼がなければ仕事にならない。彼らに信頼さ れ,仕事が安全に進めることができる環境が整って, 初めてエンドユーザであるお客様にご満足いただける仕 事ができるのだ。 建設担当主任の加藤哲生は, 「当然のことだが,納 期通りにシステムを稼動することができなければ,建設 担当がコーディネートしている意味がない」という。時 には,途中で工事の範囲を超えた問題が発生すること もあるが,このような時こ そ建設担当としての力を発 揮し,お客様や技術担当 者と調整しながら対応す る。 「現場は水物。どんど ん流れています。流れの 中で予測できることは予め 想定しておき,かつ,突然 の問題に臨機応変に対応 できてこそ,納期が守れ 加藤 哲生 Kato Tetsuo 建設担当 主任 るのです。 ( 」加藤) 。 事故が 「ゼロである」 ための使命 システムの導入当日には,お客様や施工業者と連携 し,遵法に則った,きめ細やかなサポートを実践する。 ここで一番重要なのは, 「安全に工事作業が進むように 気を配り,万が一施行会社の作業員の行動が不安全行 動があれば,その場で注意し改善させる」ことだ。 工事の際に品質事故や人災が発生すると,どんなに 高い技術力でアプリケーションを構築しても,会社とし て指名停止となり,お客様と取引ができなくなることが 多い。これは,長期間かけて構築したアプリケーショ ンが,たった1回の事故が原因で水の泡になってしま い, お客様にご迷惑をかけることを意味する。たとえば, データセンターの工事では,運用中のシステムの配線一 本が抜けるだけでも大きな被害になることもある。また, 安全帯やヘルメットを使用せずに落下事故が発生すれ ば,人災につながる。こうした事故を起こさないために, 建設担当は細心を尽くして工事現場を監督するのだ。 「事故が『ゼロであること』が私たち建設担当の使命 です。これは決して簡単なことではありませんが,でき て当たり前の仕事です。努力の甲斐もあって,今までの 事故はゼロですが,これが『お客様に安心して仕事をご 依頼いただくために絶対に必要なこと』だと思います。 工事現場における事故を気にされるお客様が増えてい ますので,今後,建設担当が活躍する場も増えていく のではないかと感じています。 ( 」加藤) また,現場の安全を守るためには,現場の施工業者 に信頼されなければならない。建設担当は,施工会社 の責任者を通し,実際に作業をする人に指示を出す。 的確で,最適・最善の指示は,彼らの信頼を得ること につながり,それが結果的に「良い現場」を作るので ある。 入社して11年目を迎え る建 設 担 当の 井 和 田 剛 は,これまで担当した案 件で一番印象に残ったの は「某官公庁様向けネット ワーク構築物件」だったと いう。これは,配属後3 年目,当時まだ20代前半 だった井和田が,約半月 井和田 剛 Iwata Go 建設担当 の施工期間,施工業者の 約10名と連携した仕事で ある。 「当時,現場の作業段取りをうまく進めるための事前 資料を作ったり,お客様と細かい調整をしたりと,きめ 細かい仕事を心がけました」 (井和田) 。配属当初は,そ の若さゆえに経験の多い現場の人たちに話を聞いてもら うことにさえ苦心した。しかし,毎日現場に足を運び, 交流を深めながら真剣に仕事に取り組んだ。この井和 田の姿勢と成長をみて,施工会社の責任者が「現場で 君を見る目が少し変わったかな・・・」とポツリと言ってく れたそうだ。 「とても嬉しくて,今でも仕事をするうえで のモチベーションになっています。その後も,無事故で 気持ちよく作業ができる現場にすることを心がけていま す。このような環境で施工された工事は,結果的に, 安全・高品質・納期遵守と三拍子揃い,お客様にも喜 んでいただけると信じています」 (井和田) 。 建設担当が存在することでプロジェクトがスムーズに 進む。現場が混乱したり,工事が原因で納期が遅れる こともない。システム導入案件の影で,彼らのような「縁 の下の力持ち」の存在があるからこそ, 東芝ソリューショ ンはお客様に安心してシステムを導入し,ご利用いただ くことができるのである。 広報担当者からひとこと お 客様に安心してシステムをご利用いただくために,でき て当たり前のことを確実にやる。たとえ地味な仕事であ っても,そのための努力は決して惜しまない。この “ 縁の下の 力持ちの姿勢 ” を,同じ東芝ソリューションの社員として見習っ ていきたいと思いました。 「東芝ソリューション テクニカルニュース」2008年冬季号 Vol.16 19