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イプシロンロケット上段モータの 推進薬に対する超音波検査の適用
イプシロンロケット上段モータの 推進薬に対する超音波検査の適用 ○木村憲志, 山口洋幸, 佐藤明良, 湊将志(IHI エアロスペース) 佐藤英一(ISAS/JAXA) 2014年12月16日 1 This document is provided by JAXA. 上段モータに対するUTの適用方法 送信探触子をロケットモータ内部に配置し、受信探触子をロケットモータ外表面に 配置する方法で、受信探触子側の欠陥を検出するのに有効な手法である。 透過法 受信探触子 (接触方式) 受信探触子 (非接触方式) 超音波の伝播 推進薬 送信探触子 モータ断面図 2 This document is provided by JAXA. 透過法の評価方法 欠陥の評価については、対象部位表面の凹凸やノイズレベルに応じて、対象部 位毎に設定する必要があるが、健全部での透過波の超音波強度が1/2に低下 する範囲を欠陥と健全部の境界と考えて評価を行なった。 透過波0 透過波1/2 透過波1 送信 受信 欠陥 超 音 波 強 度 透過した超音波波形 3 This document is provided by JAXA. 透過法のUTシステム 高電圧パルサー 推進薬の透過長さ(m) 固体推進薬は、超音波の高い音響減衰材料であるため、路程が長いほど入力信 号をより高出力にする必要があり、送信探触子への印加電圧の高電圧化(高電 圧パルサ・レシーバの開発)により必要な超音波の透過強度を得ている。 1.0 2段モータ 1段モータ 3段モータ 0.5 観測ロケット S310 S520 0 1 2 3 モータの直径(m) 4 This document is provided by JAXA. 透過法のUTシステム 受信探触子においては、検査作業の効率化ため、アレイプローブで広域の検査 を可能にした接触方式、および、接触方式が使用できない狭空間のため、非接触 方式を開発した。 送信探触子(接触) 推進薬に接触させる際には、 推進薬を傷付けないため探触 子にテフロンシューとゲルシー トを挟み込む 受信探触子 狭空間アレイプローブ(非接触) 受信センサ32ch 受信探触子 広域アレイプローブ (接触) ゲルシート 火薬対策のケースに収納し、アレイ は薄膜フィルムを介して空気層に 超音波が伝搬する 100 300 全体 センサ(96ch) センサ部 5 This document is provided by JAXA. 透過法による適用結果 イプシロン2段ロケットモータに透過法を適用した部位(A∼E)をおよび適用結果 モータケース 送信探触子 C D E 推進薬 B A 探傷部位E (外面から見えない) 探傷部位D 探傷部位C (奥にあり外面から 見えない) 送信探触子 透過法適用部位(A∼E) 探傷部位A 探傷部位B 6 This document is provided by JAXA. 透過法による適用結果 探傷部位B部におけるY方向の超音波強度分布を示す。超音波ビームは 広い範囲に伝搬するので、その指向性に対応した基準線と、ケース表面 形状によるノイズの変動幅を加味した基準線の1/2を設定し、基準線の 1/2以下に超音波強度が低下する部分を評価すれば検査ができる。 モータケース 推進薬 Y方向 Y方向の超音波強度分布 実測値 基準線 0mm 基準線の1/2 受信探触子 送信探触子 この範囲に透過強度が ある場合、欠陥と評価 Y方向位置 7 This document is provided by JAXA. 透過法による適用結果 モータケース 探傷部位E部におけるY方向の平滑面と実機面の 超音波強度分布を示す。平滑面に対して実機面 が大きなバラツキを示している。これは超音波が ケース表面形状の影響により屈折してしまったた め、受信探触子に入射する透過波にバラツキが 出たと考えられる。 Y方向 0mm 受信探触子 送信探触子 推進薬 受信波 ケース表面 送信波 平滑面の透過波 受信波 ケース表面 送信波 実機面の透過波 8 This document is provided by JAXA. 透過法による適用結果 〇:適用可能 △:改善により適用可能 適用結果 適用受信探触子 探 傷 部 位 超音波透過性 ケース形状への 適用性 探触子の改善 A 送信と同じ 〇 △ 必要 B 広域アレイプローブ 〇 〇 必要 C 狭空間アレイプローブ 〇 △ 必要 D 広域アレイプローブ 〇 〇 必要 E 狭空間アレイプローブ 〇 △ 必要 :非接触式 C B A D :接触式 E 探傷部位Dの状況 9 This document is provided by JAXA. 透過法による課題および対策 課題1 ・接触式の広域アレイプローブの全チャンネルを十分活用できなかった。 課題2 ・対象部位のモータケース表面の形状と考えられる影響で超音波強度に ばらつきが発生した。 対策1 ・適正なチャンネル数、形状および対象部位表面に均等に接触させること ができる対策が必要である。 対策2 ・対象部位表面の形状の平滑化および形状に追従できるプローブの開発 が必要である。 10 This document is provided by JAXA. まとめ 課題を早期に具体的な対策を検討・適用し、実機への 適用性を確認する。また、平行して、UTの手法のもう1つ の手法である反射法の可能性についても検討し進める。 UTの適用に際しては、その制約を考慮すると、単なる RTの置き換えではなく、過去の実績を踏まえた包括的な 品質保証の考え方が必要である。 固体ロケット製造でのUTの適用は諸外国に例がない。 日本の固体ロケット技術を維持する基盤技術の1つがUT 技術であり、今後も継続した研究が必要である。 11 This document is provided by JAXA.