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聴講資料 - 田村次朗研究会 / Jiro Tamura Seminar

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聴講資料 - 田村次朗研究会 / Jiro Tamura Seminar
田村次朗研究会|2009 年度(21 期)入会選考
<聴講資料>
◆ディベートのルール
セッション
立論・Q&A (3 分)
説明
◆GATT と WTO
GATT と WTO の関係を理解するうえで、「GATT は多国間協定であり、WTO は GATT
その他の協定に関する国際機関である」という区別が重要になります。
相手に主張したい論点を宣言する時間です。
議論で取り上げる論点は何なのか、どのような視点から議論を
通して分析するのか明らかにし、総論と各論を明確に区別しなけ
ればなりません。
また、議論に必要なデータや客観的事実は、グループ間で予め
事実関係を記載した書面を交換しており、その内容を承諾した旨
を宣言することになります。
1947 年 10 月に成立した GATT は、正式名称を「関税と貿易に関する一般協定」(General
Agreement on Tariffs and Trade)といい、戦後半世紀にわたって、国際貿易を規律してきま
した。GATT の理念は、モノの貿易の関税やその他の貿易障壁を段階的に撤廃し、国際貿易
の発展を図ることにあります。
1980 年代になると、従来のモノの貿易以外に、サービス貿易や知的財産権などの新しい
分野にも自由貿易が必要であるという議論や、国際貿易に関する紛争処理を強化すべきで
あるなどの議論が高まりました。そこで、1986~94 年に開かれたウルグアイ・ラウンドは、
これらの課題を克服する諸施策を講じたうえで、世界貿易機関(World Trade Organization,
WTO)の設立を決定し、1995 年 1 月 1 日に WTO が発足しました。
Cross
Examination
(15 分×4)
一方が主導権を握って、相手の問題点を追究する時間(いわゆる
「攻め」)です。相手は反論(いわゆる「守り」)を許されますが、質問
は認められていません。
Free Discussion
(15 分)
お互いに自由に質問・反論を行う時間です。前段階までに議論を
尽くせなかった問題について、さらに本質を考えるプロセスです。
最終弁論 (3 分)
お互いの立論と議論の全体に照らして、何が立証できた/できな
かったのかを説明し、自らの議論が相手より優れていたことを、
オブザーバーに主張する時間です。
講評
田村先生・大学院生と質疑応答を行ったうえで、議論の評価と
解説を行います。
GATT は、貿易に関する様々な国際ルールを定めていますが、その基本となる大原則は、
①貿易制限措置の削減、②貿易の無差別待遇(最恵国待遇、内国民待遇)です。これらの原
則の趣旨は、国家間の貿易をより開かれたものにし、貿易条件を平等にすることによって、
世界経済の発展を達成することです。
後期の 3 年ゼミは、国際経済法(GATT/WTO)を扱ってディベートを行います。
以下、GATT/WTO の概要を紹介したうえで、本日の議論のテーマである「セーフガード」に
ついて基礎的内容を説明します。
なぜ、貿易は平等で開かれたものでなければならないのでしょうか?これは、GATT の成り
立ちと関係があります。GATT の成立以前、世界には共通の貿易ルールというものは存在
せず、各国は「どの国に」「どのような関税・内国税を課すか」自由に決定できました。
WTO は「国際機関」であり、従来の GATT という「協定」はその一部として存続することに
なりました。GATT のほかにも、サービス貿易に関する協定(General Agreement on Trade
in Services, GATS)や知的財産権に関する協定(Trade-Related Aspects of Intellectual
Property Rights, TRIPs)などがあります。
◆GATT の基本理念
http://jironet.info/admission.html
しかし、1929 年の世界恐慌以降、この各国の自由に任せるシステムは問題点を露呈します。
各国が、恐慌によって疲弊した自国の産業を守るため、ブロック経済を次々に形成し、他国と
の貿易を減少させたからです。このことは、貿易量の減少と世界経済の停滞を長引かせ、
ブロック経済が第二次世界大戦を導いた要因ともされています。
各国とも、本音を言えば自国の産業を保護し、自国の産業発展だけを目指したいのですが、
そのような方向性の追求は各国の国内経済を苦しめることになりました。このような苦い経験
から誕生した GATT は、同じ過ちを繰り返さないよう、「どの国家にも平等で、より開かれた
貿易」を実現するために、上記の目的を定めているのです。
① 貿易制限措置の削減 (貿易をより自由で開かれたものにすることが最終目的)
最も代表的なものは、「数量制限の一般的廃止」の原則です。貿易を制限する措置として
最も単純なものは、関税(輸入に際して賦課する税金)と内国税(輸入物品を流通させる際に
賦課する税金)を引き上げることですが、輸入禁止や数量制限などの措置も、貿易を制限する
形で用いることができます。GATT は、貿易制限措置の削減という原則を設けることで、貿易
制限措置をすべて関税という形に置き換えるものとし、数量制限など関税以外の措置を原則
禁止としています。
② 貿易の無差別待遇 (関税その他の貿易条件を一定にすることが最終目的)
最も代表的なものは、「最恵国待遇の原則」と「内国民待遇」という 2 つの原則です。
「最恵国待遇」の原則とは、ある国に対して貿易上最も有利な待遇を与えた場合、他国にも
同じ待遇を与えなければならないことを指します。たとえば、A 国に対して関税率を引下げた
場合、A 国以外のすべての国に対しても同様に関税率を引き下げなければなりません。
AD 税はダンピング価格を正常価格に戻すために、輸入国が課税するいわば対抗措置です。
価格設定は、企業が自らの戦略に基づいて自由に決定できる事項であり、極端に言えば、
ダンピングは安価な商品の提供であるため、消費者にも利益となるはずです。しかし、競合
商品を製造する外国産業との間に極端な競争を引き起こし、低価格輸出で輸入国市場を
席巻したうえで、当該市場で独占的地位を確立することは問題となります。AD 措置が濫用
されると、価格設定という企業活動の基本事項に直接影響するため、負の経済効果を生じる
場合があります。
なお、1960 年代後半から、AD 措置は各国政府によって濫用されるにようになっています。
AD 措置は、輸入を抑制したい国内産業にとって、都合のよい手段としての側面をもちます。
たとえば、AD 措置は、不公正貿易に対抗する措置であるため、GATT の無差別原則に基づ
いて発動する必要がなく、相手国が代償措置を要求する場合、または、これが受け入れられ
ないときの対抗措置も認められていません。そのため、現在、ダンピング防止という本来の
趣旨から逸脱して、国内産業を保護する「緊急時における一時的な関税割増」の仕組みとして
濫用される傾向にあります。
◆お問い合わせ
入会選考に関する問合せは、選考責任者([email protected])までメールで
どうぞ。
「内国民待遇」の原則とは、外国産品にも国内産品と同様の待遇を与えること、つまり、
輪入品にのみ不利な措置をとることを禁止することを指します。この原則はまた、関税だけで
なく、内国税によって外国製品に差別的待遇を図ることも禁止しています。
◆ダンピングとは
ダンピングとは、「ある企業が他国へ商品を輸出する場合、当該商品を自国の国内市場で
は一定価格で販売し、輸出時には国内価格よりも安い価格で販売し、輸入国で競合関係にあ
る外国産業に打撃を与えること」です。ダンピングが行われた場合、輸入国はこれを相殺・防
止するため、国内価格と輸入価格の差額(ダンピング・マージン)を最高限度する「ダンピング
防止税」(アンチ・ダンピング税, AD 税)を賦課することができます(GATT6 条)。このように、
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