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地方分権改革推進委員会 委員長 丹羽 宇一郎 様 佐賀県知事 古川 康
地方分権改革推進委員会 委員長 丹羽 宇一郎 様 佐賀県知事 古川 康 徳島県知事 飯泉 嘉門 鳥取県知事 平井 伸治 宮城県知事 村井 嘉浩 「毒まんじゅう拒否宣言!」の意図と地方税財政改革 の方向性(提案) 平素より地方政府の確立に向けて、ご尽力いただき心から感謝申し上げます。 さて、2月25日の委員会において、田近一橋大教授が、5県知事会議の「毒 まんじゅう拒否宣言!」を引用し、説明をされています。 しかしながら、同教授の説明では、我々の意図が、委員会に正確に伝わってい ないと思われますので、ここに我々の基本認識を提示します。 1 「毒まんじゅう拒否宣言!」は、理念なき法人二税の再配分への警鐘。税源 移譲は決して毒まんじゅうではない! 「宣言」は、国が地方交付税を一方的に削減したことが、都市と地方の財政 力格差を拡大させたにもかかわらず、その交付税に全く目を向けることなく、 地方法人二税の再配分で議論を終わらせようとする姿勢に対する強い危機感を 背景に出したものである。 結果的に、平成20年度税制改正において、地方法人特別譲与税が創設され たが、これは偏在是正対策の緊急性から暫定措置と位置付けられ、抜本的改革 の際の地方消費税の充実が同時に示されている。また、 「地方再生対策費」の創 設により地方交付税の減額に歯止めがかかったことなど、あるべき地方税制度 の方向性や地方交付税に対する配慮も示されたことから、やむを得ない次善、 三善の策と認識している。 なお、田近教授の資料の見出しは、 「地方税源移譲は『毒まんじゅう』か」と なっており、一見すると「毒まんじゅう拒否宣言!」も、税源移譲を「毒まん じゅう」としている印象も受ける。 「毒まんじゅう拒否宣言!」で示した「毒まんじゅう」は、地方消費税を中 心とする税源移譲や地方交付税を全く考慮せず、法人二税の再配分のみで格差 是正を実現しようとすることを示していることは言うまでもない。 2 第3次勧告には、自治財政権の確立に向けた税財政改革を! 我々は、今後、地方分権改革推進委員会が、次の方向に沿って第3次勧告を されるよう強く要請する。 ○ 地域偏在性が小さく安定的な地方消費税を、地方税の基幹税とし、消費税 から地方消費税への税源移譲や、消費税の一部と地方法人課税の一部の税源 交換を進めること ○ 地方交付税の財源保障機能、財源調整機能を充実・強化するため、その総 額の復元・充実や、 「地方共有税」への改組を盛り込むこと ○ 地方自治、地方財政に関する制度改正・企画立案が、国の一方的な判断に より進められることがないように、国と地方の協議の場の制度化である 「 (仮) 地方行財政会議」を法律で設置すること 地方は毎年度の予算編成に苦慮し、特別職や職員給与の独自カット、内部経費 の削減を行いながら、住民生活を維持している。 しかし、田近教授の資料にもあるように、 「つけをもっとも財政の厳しい国にま わしているだけ」のような、全く現場感覚がない、机上の空論が横行している。 「もっとも財政の厳しい国」は、 給与の独自カット等を行っているのであろうか。 また、田近教授は、 「 『毒まんじゅう』五知事に欠けているのは、地方自治体間 で問題を解決する姿勢だ」としている。 しかし、 「地方自治体間での問題解決」以上に、 「国と地方間での問題解決」の 仕組みがないことが、この国にとってより大きな問題である。地方交付税の一方 的な削減や、直轄事業負担金の問題など地方財政が直面する課題の多くが、 「国が 一方的に物事を決めてきた姿勢・仕組み」に起因していることを無視してはなら ない。 地方分権改革推進委員会の皆様に、言うまでもないことであるが、今後の委員 会の審議にあたっては、机上の空論に振り回されない、現場感覚に根ざした検討 をお願いする。