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水泳施設の立地と水泳競技の強さに関する考察

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水泳施設の立地と水泳競技の強さに関する考察
水泳施設の立地と水泳競技の強さに関する考察
提出年月日:2016 年 1 月 20 日
学部・学科:情報社会学部情報社会学科
指導教員:草薙信照教授
学籍番号:12-6288
氏名:宮崎佑理
目次
はじめに ......................................................................................................................................... 1
研究動機 ............................................................................................................................... 1
研究方法 ............................................................................................................................... 1
第1章
水泳について ............................................................................................................. 2
1.1
競泳について ................................................................................................................ 2
1.2
競泳の歴史 ................................................................................................................... 3
1.3
競泳の主な大会について .............................................................................................. 3
1.4
水泳競技の種類 ............................................................................................................ 4
1.5
水泳の現状 ................................................................................................................... 5
第2章
2.1
水泳施設の立地と水泳競技の強さについて .............................................................. 6
都道府県別にみる公認プールの数と強さの関係 .......................................................... 6
2.1.1
都道府県別にみる水泳競技の強さについて .......................................................... 6
2.1.2
都道府県別にみる人口 10 万人あたりの公認プールの数 ...................................... 7
2.1.3
都道府県別にみる人口 10 万人あたりの屋内公認プールの数 ............................... 8
2.1.4
都道府県別にみる人口 10 万人あたりのスイミングスクールの数 ........................ 9
2.2
都道府県別にみる飛込専用公認プールの数と強さの関係 ........................................ 10
2.2.1
都道府県別にみる飛込競技の強さについて ....................................................... 10
2.2.2
都道府県別にみる飛込専用公認プールの数 ........................................................ 11
2.3
近畿地方における公認プールとスイミングスクールの立地 ...................................... 12
2.3.1
近畿地方における公認プールの分布 ................................................................. 12
2.3.2
近畿地方における屋内公認プールの分布 ............................................................ 13
2.3.3
近畿地方におけるスイミングスクールの分布 ..................................................... 14
2.3.4
近畿地方における飛込専用公認プールの分布 ..................................................... 15
第3章
結果と考察 ............................................................................................................... 16
3.1
都道府県別にみる公認プールの数と強さの関係 ........................................................ 16
3.2
都道府県別にみる飛込専用公認プールの数と強さの関係 ......................................... 16
3.3
近畿地方における公認プールとスイミングスクールの立地 ...................................... 17
あとがき ................................................................................................................................. 18
参考 Web サイト .................................................................................................................... 19
付録 1 ..................................................................................................................................... 20
付録 2 ..................................................................................................................................... 21
水泳施設の立地と水泳競技の強さに関する考察
はじめに
研究動機
卒業研究のテーマを決めるにあたり、私の大学生活にかかわったものを研究したいと考えた。
私は体育会水泳部に所属しており、充実した大学生活を送ることができた。活動している中で、
試合が行われるたびに同じ水泳施設で行われていた。そこで、全国や近畿で試合を行うことがで
きるプールがどれだけあるのか知りたいと考えた。また、全国や近畿の水泳施設やスイミングス
クールの数は水泳競技の強さと関係しているのか、ということも合わせて研究することに決めた。
研究方法
公認プールに関しては、日本水泳連盟のホームページの公認プール一覧を使用し、スイミング
スクールに関しては、日本スイミングクラブ協会に加盟しているスクール一覧とイトマンスポー
ツクラブのホームページのスクール一覧を使用している。住所のデータは、ホームページに記述
のある住所から GoogleMap を使用し緯度経度に変換して利用している。
1
水泳施設の立地と水泳競技の強さに関する考察
第1章
水泳について
1.1 競泳について
競泳とは、50m・100mなど一定の距離を定められた泳法で泳ぎタイムを競う競技である。種
目としては「自由形」
「背泳ぎ」
「平泳ぎ」
「バタフライ」の 4 つがある。また、この 4 つの泳法を
「バタフライ」
「背泳ぎ」
「平泳ぎ」
「自由形」の順で泳ぐ個人メドレーという種目がある。さらに
定められた距離を 4 人の選手で引き継ぐフリーリレーやメドレーリレーがある。
競泳の泳法は 4 種類ある。
[クロール]
クロールは 4 種類の泳ぎ方の中で最も基本的で早い泳ぎ方になる。クロールは通称「フリー」
とも呼ばれている。理由は、フリースタイルの競技でほとんどの選手がクロールで泳ぐことから
である。
[平泳ぎ]
平泳ぎはブレストロークの名前から「ブレ」とも呼ばれている。4 種類の泳ぎ方の中で最も遅
い泳ぎ方である。足と手の動きがバラバラなのが特徴で、うまく泳げずに沈んでしまう人も多く
いる泳ぎ方である。泳ぎ方は 2 種類あり、頭を出したまま泳ぐストレート泳法と、頭が水の中に
入るウェイブ泳法がある。
[バタフライ]
バタフライは通称「バッタ」と呼ばれている。見た目は難しそうに見える泳ぎ方だが、平泳ぎ
が進化したものであり、リズムで泳ぐ泳ぎ方である。腰に負担がかかるのが特徴である。
[背泳ぎ]
背泳ぎは後ろ向きに泳ぐことから通称「バック」と呼ばれている。4 種類の泳ぎ方の中で唯一
仰向けになって泳ぐ泳ぎ方である。顎を上げて泳ぐと沈んでしまうので、臍のほうを見るように
顎を少し引き気味で泳ぐのが特徴である。
2
水泳施設の立地と水泳競技の強さに関する考察
1.2 競泳の歴史
競泳は、1869 年ロンドンに、首都水泳クラブ協会が創立されたことが始まりと言われており、
1896 年のアテネで開催された、第 1 回オリンピックから正式な競技として認められている。その
オリンピックでの種目は、水夫のための 100m自由形の 1 種目のみであり、競技場所も現在のよ
うなプールではなかった。そして、競泳はどんどん発展していき、現在の形になった。その後、
1908 年にロンドンで開催された第 4 回オリンピックがきっかけとなり、現在、世界大会を主催し
ている国際水泳連盟が生まれた。
日本では、明治時代末期から大正時代末期に、ヨーロッパから西欧近代泳法が伝えられたのが
競泳の始まりと言われている。日本が、初めてオリンピックに参加したのは、1920 年のアントワ
ープで開催された、第 7 回オリンピックである。そして、1924 年に日本水上競技連盟が結成され、
現在の国内大会を主催している日本水泳連盟となった。
日本がオリンピックで初めてメダルを獲得したのは、1928 年の第 9 回アムステルダム大会であ
る。この大会の競泳男子 200m 平泳ぎで鶴田義行が 2 分 48 秒 8 で金メダル、競泳男子 4×200m
リレーで新井信夫、佐田徳平、高石、米山弘(野田一選手は予選出場)各選手が 9 分 41 秒 4 で
銀メダル、競泳男子 100m 自由形で高石勝男が 1 分 00 秒 0 で銅メダルを獲得した。また、女子
選手が初めてメダルを獲得したのは、1932 年第 10 回ロサンゼルス大会である。競泳女子 200m
平泳ぎに出場した前畑秀子選手が 3 分 06 秒 4 で銀メダルを獲得した。
また、オリンピックとは別に、国際水泳連盟が主催する世界選手権が 1973 年以降開かれてい
る。世界水泳選手権は、2 年∼5 年間隔で不定期に行われてきたが、2001 年以降は夏季オリンピ
ックの前年と翌年の奇数年に行われている。
(以上の内容は、公益財団法人日本オリンピック委員会 Web サイトを参考にしました。)
1.3 競泳の主な大会について
競泳の主な大会は、国際水泳連盟が主催する世界各国の選手が参加する国際大会と、日本水泳
連盟が主催する日本人選手のみが参加する国内大会の 2 つに分けられる。
[国際大会]
国際水泳連盟が主催する主要な大会は、以下のとおりである。国際水泳連盟は公式大会に関し
て水着の規定など細かい基準を定め、それらがすべて満たされた条件で行われたレースのみ公認
記録としている。日本の場合、このような国際大会に出場するには、日本選手権の決勝レースに
おいて日本水泳連盟の定める派遣標準記録を突破し、かつ上位 2 位以上に入らなければならない。
・世界水泳選手権(2001 年以降夏季オリンピックの前年と翌年の奇数年に開催)
・世界短水路選手権(1999 年までは奇数年、2000 年以降は偶数に開催)
・FINA 競泳ワールドカップ(毎年開催)
・世界ジュニア水泳選手権(世界選手権と同年に開催)
3
水泳施設の立地と水泳競技の強さに関する考察
[国内大会]
日本水泳連盟が主催している主要な国内大会は、以下のとおりである。日本水泳連盟の規定に
基づいて行われるもので、いずれの大会も出場するには、日本水泳連盟が定める標準記録を突破
した記録を残す必要がある。
・全国 JOC ジュニアオリンピックカップ水泳競技大会(年に 2 回開催)
・全国中学校水泳競技大会(毎年開催)
・日本高等学校選手権水泳競技大会(毎年開催)
・日本学生選手権水泳競技大会(毎年開催)
・日本選手権(25m)水泳競技大会(毎年開催)
・日本選手権水泳競技大会(毎年開催)
・ジャパンオープン(50m)(毎年開催)
1.4 水泳競技の種類
水泳競技には、競泳のほかに 5 つの種目がある。なお、この研究では、競泳、飛込、水球、シ
ンクロの 4 競技を対象としている。
[飛込]
飛込は、一定の高さの飛び込み台から空中に飛び出し、着水までの一連の動作の技術と美しさ
を競う競技である。飛込から着水までわずか 2 秒弱という短い時間内に様々な技を繰り出し、評
価点を競い合う。
[水球]
水球は、7 名で構成された 2 つのチームがプール内に作られたコートの中で、ゴールにボール
を入れあい、点を競いあう競技である。ボールを手で扱うことから、
「水中のハンドボール」とも
言われている。
[シンクロ]
シンクロは、曲に合わせて様々な動きを行い、技の完成度・同調性・技術的表現力などを競い
合う競技である。種目は 2 種目ある。1 つ目は 2 分 20 秒前後の曲に決まった 8 つの動きを入れる
ものをテクニカルルーティンという。2 つ目は 3 分半前後の曲で自由に演技するフリールーティ
ンという。
[OWS]
OWS(オープンウォータースイミング)は、海や川・湖といった自然の水の中で行われる長距
離水泳競技である。水質、天候、潮汐等、自然条件の影響を受けることから、競泳とは異なる技
術や知識が必要とされる。オリンピックのみ国際大会が開催されている。
[日本泳法]
日本泳法は、武芸のひとつとして古くから伝えられてきた泳法である。海や川、池などの様々
な自然環境に合わせて、その目的別にいろいろな泳ぎが生まれた。通常の泳ぎ以外に、長距離を
4
水泳施設の立地と水泳競技の強さに関する考察
泳ぐため、身を守るための泳ぎ、水中戦闘、更には泳力を誇示するために華々しい泳ぎなどもあ
り、かつては武士のたしなみとして重んじられていた。日本独自の泳法のためオリンピックなど
の国際大会は開催されていない。
1.5 水泳の現状
現在、水泳は人気のスポーツである。水泳の 1 番の人気の理由は、1 人でできるスポーツであ
ることである。やりすぎることなく、自分のペースで泳ぐことができ、トレーニングすることが
できるので人気なスポーツとなっている。
また、オリンピックなどの世界大会においても日本選手は数多くのメダルを獲得しており、誰
もが知っているメジャースポーツである。
子供の習い事としても人気があり、また、若者や高齢者にも人気がある。ケイコとマナブが調
査した『2015 年の子供の習い事ランキング』で水泳は 1 位を獲得している。全体の 4 割以上が水
泳を習っており、未就学児、小学校低学年、小学校高学年とどの年代を見ても人気である。年代
別で一番多いのは、どのスイミングスクールにもあり、幼児コースに入れる 3 歳児から水泳を始
める子供である。
子供に人気の理由として、体力づくり、健康のため、学校の授業についていくためなどが挙げ
られる。若者や高齢者にも人気がある理由として、健康維持、ダイエット、筋力のアップなどが
あげられ、全身運動であるため様々なところを動かすことができる。
水中での運動は、汗での放熱がないため体温の維持につながり、女性の悩みである冷え性にも
効果的である。その上、ダイエットにも効果的であり、水中では水の抵抗がある有酸素運動なの
で、陸上で運動した時に比べて 4 倍以上のカロリーを消費することができる。また、水中だと重
力がかかっていないためリラックスをしながら運動することができ、精神的にも非常に良く、筋
力維持のトレーニングや、骨の若さを保つことによる造血作用を更新させることができる。
表1
2015 年の子供の習い事ランキング
未就学児
小学校低学年
小学校高学年
1位
水泳
水泳
水泳
2位
英語・英会話
英語・英会話
ピアノ
3位
体操
ピアノ
英語・英会話
[出典:ケイコとマナブ.net 習っているお稽古ランキング]
5
水泳施設の立地と水泳競技の強さに関する考察
第2章
水泳施設の立地と水泳競技の強さについて
2.1 都道府県別にみる公認プールの数と強さの関係
2.1.1 都道府県別にみる水泳競技の強さについて
全国の水泳競技の強さは、国民体育大会の水泳競技のみの過去 5 年間(2011∼2015 年)の成
績をもとに、点数をつけて計算した。1 位 47 点、2 位 46 点、3 位 45 点、….47 位 1 点と点数を
つけて、5 年分の合計を計算した。点数の高い県が水泳競技の強豪であるということである。1
番目に強い県は、東京都(233 点)、2 番目は埼玉県(230 点)、3 番目は神奈川県(225 点)であ
った。
図 1 をみると、南関東地方と愛知県(213 点)
、大阪府(222 点)、兵庫県(201 点)などが強
豪であり、いずれも都市部で、人口が多い地域が強豪であることがわかる。
都道府県の強さについて
合計得点
~50
~100
~150
~200
201以上
図1
全国の水泳競技の強さ
6
水泳施設の立地と水泳競技の強さに関する考察
2.1.2 都道府県別にみる人口 10 万人あたりの公認プールの数
公認プールとは、日本水泳連盟の競技規則に従って認可されたプールのことである。
全国には計 551 カ所の公認プールがある。人口 10 万人あたりの公認プール数を求めると、全
国平均は 0.4 件となる。島根県(1.7 件)が一番多く、次に富山県(1.1 件)、福島県(1.1 件)、
岩手県(1.0 件)が多く、どの県も水泳競技の強豪ではない県である。施設はあるが、人口が少な
いということがわかる。逆に、水泳競技の強豪である東京都(0.4 件)と大阪府(0.2 件)は、人
口が多い割に、公認プールが少ないことがわかる。
人口10万人あたり
~0.2
~0.6
~1.0
~1.5
1.5以上
図2
全国の人口 10 万人あたりの公認プール数
7
水泳施設の立地と水泳競技の強さに関する考察
2.1.3 都道府県別にみる人口 10 万人あたりの屋内公認プールの数
公認プールを屋内プールに絞って分析を行った。水泳を行うにあたり、野外のプールより屋内
のプールのほうが水泳施設の設備が整っている。大会などを行うのも屋内の水泳施設が多いため、
強豪な県には、水泳施設の整っている屋内プールが多いのではないかと考えたからである。
全国には計 380 件の屋内公認プールがある。人口 10 万人あたりの屋内公認プール数を求める
と全国平均は 0.3 件となる。富山県(1.0 件)が一番多く、次に島根県(0.8 件)、高知県(0.8 件)、
福井県(0.6 件)と多く、いずれの県も水泳競技の強豪な県ではない。また、屋内プールに絞る前
の分析とあまり変わらないことがわかる。水泳競技の強豪である東京都、埼玉県、大阪府などの
県には国際大会(10 レーン、水深 3m推奨で国際大会開催に支障ない基準を備えるプール)が開
催できるプールがあり、関東地方には 3 件、近畿地方には 4 件ある。このことから、関東地方や
近畿地方は他の県に比べると設備が整っている水泳施設が多いものの、人口の割には不足してい
る。
人口10万人あたり
~0.2
~0.6
~1.0
~1.5
1.5以上
図3
全国の人口 10 万人あたりの屋内公認プール数
8
水泳施設の立地と水泳競技の強さに関する考察
2.1.4 都道府県別にみる人口 10 万人あたりのスイミングスクールの数
スイミングスクールとは、プールなどで水泳を教える教室・講座のことである。
ここでは、
「日本スイミングクラブ協会」に加盟しているスイミングクラブと「イトマンスイミ
ングクラブ」を対象としている。
全国には計 1135 カ所のスイミングスクールがある。人口 10 万人あたりのスイミングスクール
数を求めると、全国平均は 0.9 件となる。福井県(2.2 件)が一番多く、次に島根県(2.1 件)、富
山県(2.0 件)が多い。人口の割にスイミングスクールが多いとわかる。全体でみてみると、中部
地方と近畿地方に多い。人口や学校などが多い県に偏っていることがわかる。近畿地方は水泳の
強豪でもあるので、多くのスイミングスクールがあることに納得できる。また、東北地方は水泳
があまり盛んでないことが読み取れる。水泳競技の強豪である関東地方は、人口が多い割にスイ
ミングスクールが少ない。
人口10万人あたり
~0.2
~0.6
~1.1
~1.5
1.5以上
図4
全国の人口 10 万人あたりのスイミングスクール数
9
水泳施設の立地と水泳競技の強さに関する考察
2.2 都道府県別にみる飛込専用公認プールの数と強さの関係
2.2.1 都道府県別にみる飛込競技の強さについて
水泳競技の中で飛込を選択した理由は、おそらく特殊な設備を必要とする競技で、設備の有無
と強さとの間に関係があると考えられたからである。飛込競技の都道府県の強さは、国民体育大
会の飛込競技のみの過去 5 年間(2011∼2015 年)の成績をもとに点数をつけて計算した。例え
ば、出場チームが 18 チームの場合は、1 位 18 点、2 位 17 点、3 位 16 点、、
、、18 位 1 点と点数
をつけて 5 年分の合計を計算した。点数の高いところが飛込競技の強豪ということである。1 番
目に強い県は兵庫県(124 点)、2 番目は石川県(114 点)、3 番目は静岡県(105 点)であった。
図 5 をみると、飛込競技に参加していない都道府県が 12 都市ある。水泳競技と違い、飛込競技
の強い地域に偏りがないことがわかる。
合計得点
0
~40
~80
~100
101以上
図5
全国の飛込競技の強さ
10
水泳施設の立地と水泳競技の強さに関する考察
2.2.2 都道府県別にみる飛込専用公認プールの数
全国には、計 52 カ所の飛込専用プールがある。一番数が多いのは、石川県と東京都の 4 件であ
る。その次は、静岡県や神奈川県の 3 件である。石川県と静岡県の 2 つは、飛込競技の強豪な県
であった。
東京都と神奈川県の共通点として、人口が多いことや、国際大会や全国大会が多く開催される
ということが挙げられる。また、どの地域でも大会が開催できるように、最低 1 件は飛込専用公
認プールがあることがわかる。飛込専用公認プールがない県が 8 県あるのだが、そのような県か
らも国民体育大会に出場しているケースがある。
飛込プールの数
0
1
2
3
4
図6
飛込競技専用の公認プールの数
11
水泳施設の立地と水泳競技の強さに関する考察
2.3 近畿地方における公認プールとスイミングスクールの立地
2.3.1 近畿地方における公認プールの分布
ここからは近畿地方に焦点を絞って分析していく。
図 7 は、近畿地方の公認プールの分布と市区町村別の人口を表している。
近畿地方には計 82 カ所の公認プールがある。図 7 をみると、公認プールは公的なものなので、
近畿地方の中心である大阪府(16 件)や兵庫県(34 件)は、まんべんなく公認プールが立地し
ていることがわかる。多い地域だと、ひとつの市区町村に、2 つや 3 つ公認プールが立地してい
る地域もある。大阪府や兵庫県を除く他の県は、人口が多い市区町村や、人口が多い市区町村の
近くに、数多く公認プールが立地していることがよくわかる。しかし、奈良県は人口が多い場所
に立地していない。
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近畿公認プール座標
近畿の都道府県
人口_2010
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~50000
~100000
~200000
~300000
300001以上
図7
近畿地方における公認プールの分布
12
水泳施設の立地と水泳競技の強さに関する考察
2.3.2 近畿地方における屋内公認プールの分布
近畿における公認プールのうち屋内のプールに絞って分析を行った。
近畿地方には、計 62 カ所の屋内プールがある。図 8 をみると、比較的人口の多い場所に立地し
ていることがわかる。また、数が少ない県と多い県に極端に差がついている。奈良県(3 件)、滋
賀県(3 件)、三重県(1 件)は、屋内プールに絞ると大幅に数が減っている。このことから、水
泳が強豪ではない県には、屋内公認プールは立地しにくいことがわかる。兵庫県は、屋内公認プ
ールに絞っても、まんべんなく立地していることがわかる。また、大阪府に 2 カ所、兵庫県に 1
カ所、和歌山県に 1 カ所、比較的設備が整っており、国際大会が開催できるプールがある。
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近畿屋内プール座標
近畿の都道府県
人口_2010
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~50000
~100000
~200000
~300000
~300001以上
図8
近畿地方における屋内公認プールの分布
13
水泳施設の立地と水泳競技の強さに関する考察
2.3.3 近畿地方におけるスイミングスクールの分布
図 9 は、スイミングスクールの分布と市区町村別の人口を表している。
近畿地方には、計 294 カ所のスイミングスクールがある。図 9 をみると、圧倒的に大阪府(112
件)が多く、次に兵庫県(63 件)
、京都府(37 件)が多い。大阪府は、人口の多い少ないに関係
なく、どの地域にも多くのスイミングスクールが立地していることがわかる。その上、同じ市区
町村に、3 件∼5 件スイミングスクールが立地している。また、大阪府を除く他の県をみると、人
口が多い場所にスイミングスクールが多く立地していることがわかる。逆に、人口が少ない場所
にはほとんど立地されていない。
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近畿スイミングスクール座標
近畿の都道府県
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人口_2010
~50000
~100000
~200000
~300000
300001以上
図9
近畿地方におけるスイミングスクールの分布
14
水泳施設の立地と水泳競技の強さに関する考察
2.3.4 近畿地方における飛込専用公認プールの分布
近畿地方には、計 8 カ所の飛込専用公認プールがある。人口の多い少ないに関係なく、各県の
中心のプールに立地していることがわかる。大阪府や京都府には、2 カ所立地しており、近畿地
方の中では一番多い。逆に、和歌山県には飛込専用公認プールは立地していない。飛込専用公認
プールと絞ると、どの県も大幅に数が減っていることがわかる。
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近畿飛込専用公認プール座標
近畿の都道府県
人口_2010
~50000
~100000
~200000
~300000
~300001以上
図 10
近畿地方における飛込専用公認プールの分布
15
水泳施設の立地と水泳競技の強さに関する考察
第3章
結果と考察
3.1 都道府県別にみる公認プールの数と強さの関係
水泳競技の強豪である南関東地方は、数多くの公認プールやスイミングスクールがある。しか
し、人口が多いため、人口 10 万人あたりの公認プールの数やスイミングスクールの数が、少なく
なることがわかった。その上、土地も狭いため、今後、広い水泳施設を作ることも困難であると
考えた。
また、大会などを開催する際、公認プールの数が少ないため、開催場所が巨大なプールや、交
通の便が良い場所に立地されているプールなどに、偏りが出てくることが推測される。また、南
関東地方は、人口の割にスイミングスクールが少ないとわかった。スイミングスクールが少ない
ということは、ひとつひとつのスイミングスクールの生徒が多くなる。生徒が多いからこそ、ク
ラス別で練習をすることができ、個人の能力に合った指導ができると考えた。そのため、速く強
い選手を育成できるのではないだろうか。このことから、南関東地方は水泳競技の強豪であると
言える。
人口 10 万人あたりでみた公認プールとスイミングスクールが多い島根県や富山県が水泳競技
の強豪でない理由として、人口の割に施設が多いので、スイミングスクールでも生徒が少なく、
少人数で練習をしている可能性があるからだと考えた。おそらく、個人の能力と合っていない指
導をしているのであろう。スイミングスクールに通っている生徒全員と同じ練習を行っていては、
速く強い選手を育成できない。逆に、スイミングスクールの数が多いほど、選手個人に合った指
導ができ、早い選手が育成できると考えた。このことから、スイミングスクールの数は水泳競技
の強さと関係があるが、公認プールの数は水泳競技の強さと関係がないと言える。
3.2 都道府県別にみる飛込専用公認プールの数と強さの関係
飛込専用公認プールが、普通の公認プールに比べて全国的に数が大幅に少ないことがわかった。
その理由として、普通の公認プールに比べて、飛込専用公認プールは天井の高さや、水深などを
深く考えて建設しなければならないからだと考えた。このような条件をふまえると、飛込専用公
認プールを建設するには、巨大な土地が必要であり、巨大なプールを建設する必要がある。その
ため、数が少なくなるのではないだろうか。
石川県の飛込専用プールが 4 件と一番多く、その上、飛込競技も強いということがわかった。
また、静岡県も飛込専用公認プールの数は 2 番目に多い 3 件であり、競技も強いことが読み取れ
た。この 2 つの県だけで考えると、飛込専用公認プールの数と飛込競技の強さは比例していると
言える。
飛込専用公認プールの数だけを見ると、石川県と東京都に多いことがわかった。石川県は、飛
込競技が強いため、飛込専用公認プールが多く立地しているのは納得できるが、東京都は、数が
16
水泳施設の立地と水泳競技の強さに関する考察
多い割には、競泳などの競技ほど飛込競技には力を入れていないようにみえる。東京都の飛込専
用公認プールが多い理由として、公認プールが他の県に比べたら大きい可能性があるので、公認
プールと併設して、飛込専用公認プールが作られているのではないかと考えた。
飛込専用公認プールは、全国各地に立地しているわけではないので、国民体育大会でも全国か
ら選手が出場していないことがわかった。飛込専用公認プールが立地していない県でも、国民体
育大会に出場しているケースがあるということは、スイミングスクールなどに飛込専用プールが
併設しているか、または、他県の飛込専用プールを使用して、練習を行っていると考えた。
また、兵庫県は飛込競技が一番強いが、飛込専用公認プールは 1 つしかない。おそらく、飛込
専用公認プールとは別に、練習専用の飛込専用プールがスイミングスクールやその他の水泳施設
などに、併設しているのであろう。このことから、飛込専用公認プールの数は、飛込競技の強さ
に完全に関係しているとは言えない。
3.3 近畿地方における公認プールとスイミングスクールの立地
公認プールは、兵庫県や大阪府においては、人口の多い少ないに関係なく様々な地域に立地し
ていることがわかった。兵庫県と大阪府は、全国的に見ても水泳競技の強豪であるので、他の県
とは違い、どの市区町村に在住していても、大会が開催される場所まで不自由なく行けるのでは
ないかと考えた。他の県は、多くが山間部を除いた人口の多い場所に立地しており、屋内プール
に絞ると人口が多い場所か、人口が多い市区町村の近くに立地している。山間部は、交通の便が
悪く人口も少ないので、大会が開催される可能性が低い。その上、大会が開催されたとしても、
出場する選手や保護者の方が観覧に行くために、公共交通機関以外の手段を使うことが推測され、
大変不便なので公認プールが立地していないのではないかと考えた。このことから、公認プール
や屋内公認プールは、大会が開催されることが多いので、交通の便が良い場所に立地していると
考えた。
スイミングスクールは、どの県においても、人口や学校が多い場所に集中して立地している。
大阪府や兵庫県は、多くのスイミングスクールがあるため、幼少の時から水泳を身近に感じるこ
とができ、スイミングスクールに通うきっかけとなっているのではないかと考えた。人口が多い
場所に立地されるということは、駅から近い場所や、学校の近く、帰り道などに立地していると
推測される。子供も通いやすく、その上、保護者の方は子供の送迎などに大変便利である。また、
スイミングスクールは、高齢者の方も多く通っている可能性があるので、交通の便が良い場所に
立地していると考えた。
大阪府や兵庫県の様に、身近に数多くのスイミングスクールがあるということは、スイミング
スクールに通う生徒も多いと推測される。生徒が多いとライバル心が出てくるので、より早くな
りたいという気持ちが強くなり、周囲の生徒と切磋琢磨し、スイミングスクールに通っているの
ではないだろうか。そのため、水泳の強豪な県になっていると言える。
17
水泳施設の立地と水泳競技の強さに関する考察
あとがき
私は大学に入学し初めて水泳に関わった。大会が開催されるたびに大阪で開催されていたので
私が住んでいる兵庫県にはどれだけの数のプールがあるのかと考えたことがきっかけでこの研究
にすることになった。実際調べてみると多くのプールがあり驚いた。
私の出身地の兵庫県は、全国的に見てもプールやスイミングスクールの数も多く、国民体育大
会でもいい結果を残していたので嬉しかった。泳ぐことができない私が、水泳に関わって、水泳
のことを調べることができて楽しかったです。
また、研究をするにあたって緯度と経度を調べるのに大変時間がかかってしまったことを反省
している。就職活動などと重なってしまい、卒論に本気で取り掛かる時期が遅すぎた。もっと計
画的にするべきであった。
大学生活の大切な思い出である水泳部での活動と関係していることを研究することができ大変
嬉しく思う。今後も大学の水泳部、日本の水泳選手を応援していきたいと強く感じました。
18
水泳施設の立地と水泳競技の強さに関する考察
参考 Web サイト
(いずれも 2015 年 10 月に閲覧)
・「国勢調査」(2010 年)
・「公益財団法人
日本水泳連盟公式サイト」
http://www.swim.or.jp/
・「日本スイミングクラブ協会ホームページ」
http://www.sc-net.or.jp/
・「公益財団法人
日本オリンピック委員会公式サイト」
http://www.joc.or.jp/sports/aquatics.html
・「第 70 回国民体育大会
競技記録」(2015)
http://www.kirokukensaku.com/kokutai/kokutai_index1.html
・「第 69 回国民体育大会
競技記録」(2014)
http://www.nagasaki-kokutai2014.jp/kiroku_2014/kokutai_index.html
・「第 68 回国民体育大会
競技記録」(2013)
http://www.sporttokyo.metro.tokyo.jp/sports-sai-tokyo2013/kirokukensaku/kokutai_index.html
・「第 67 回国民体育大会
競技記録」(2012)
http://www.gifukokutai2012.jp/kokutai/result/
・「第 66 回国民体育大会
競技記録」(2011)
http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/gyosei/kokutai/newsflash/kokutai/kokutai_index.html
・「ケイコとマナブ.net」
http://www.keikotomanabu.net/kids/ranking/
19
水泳施設の立地と水泳競技の強さに関する考察
付録 1
水泳競技の強さについて
都道府県 2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
合計点数
東京都
47
46
47
46
47
233
埼玉県
44
47
46
47
46
230
神奈川県
46
45
44
45
45
225
大阪府
45
44
45
44
44
222
愛知県
42
43
43
43
42
213
千葉県
43
42
42
42
41
210
兵庫県
39
39
39
41
43
201
京都府
36
41
41
40
38
196
福岡県
40
40
38
35
35
188
静岡県
34
35
37
39
40
185
群馬県
37
36
36
38
33
180
栃木県
29
37
40
37
36
179
石川県
38
34
31
36
39
178
新潟県
33
32
35
34
28
162
山口県
41
33
29
34
16
153
岐阜県
27
38
24
28
34
151
和歌山県
16
23
32
32
37
140
山形県
23
26
34
30
27
140
広島県
28
30
23
29
26
136
奈良県
31
24
23
24
31
133
鳥取県
32
28
30
31
5
126
三重県
25
18
23
26
31
123
香川県
24
29
16
23
29
121
福島県
26
27
33
10
24
120
茨城県
30
15
27
23
19
114
宮城県
16
23
28
21
25
113
長野県
17
21
13
27
32
110
熊本県
18
21
27
19
20
105
大分県
20
15
25
21
22
103
岡山県
10
17
23
25
23
98
滋賀県
20
25
14
16
14
89
鹿児島県
35
31
4
7
11
88
愛媛県
23
19
15
8
12
77
島根県
16
6
19
17
18
76
北海道
12
12
17
9
22
72
佐賀県
23
11
8
15
15
72
高知県
5
13
18
12
18
66
山梨県
11
9
4
18
14
56
富山県
10
16
13
5
10
54
長崎県
8
11
5
13
5
42
秋田県
6
6
10
12
7
41
宮崎県
16
4
10
2
9
41
福井県
3
3
13
15
1
35
徳島県
3
8
8
10
6
35
沖縄県
8
7
8
4
2
29
岩手県
4
3
2
7
5
21
青森県
3
3
1
2
9
18
注)上記の表は、国民体育大会の過去 5 年間の水泳競技(競泳・飛込・水球・シンクロ)の
成績を基にして点数をつけ作成したものである。1 位 47 点、2 位 46 点、3 位 45 点、、
、、と
点数をつけ過去 5 年の総合得点で順位を表した。
20
水泳施設の立地と水泳競技の強さに関する考察
付録 2
県名
兵庫
石川
静岡
新潟
神奈川
栃木
広島
東京
千葉
高知
島根
和歌山
京都
茨城
鳥取
福島
群馬
岡山
大阪
岐阜
宮城
香川
富山
三重
埼玉
佐賀
山形
愛知
福岡
長野
徳島
山口
奈良
鹿児島
滋賀
北海道
青森
岩手
秋田
山梨
福井
愛媛
長崎
熊本
大分
宮崎
沖縄
2011年
飛込競技の強さについて
2012年
24
23
22
13
19
14
18
8
20
7
0
0
8
16
12
15
21
0
5
17
5
10
5
0
5
0
0
5
0
6
0
11
9
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2013年
23
22
22
17
6
14
18
12
19
12
6
0
7
0
16
9
13
0
2
22
0
16
6
0
10
0
0
8
0
6
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2014年
23
19
24
25
23
17
16
10
13
20
21
16
8
5
11
19
3
0
13
0
14
0
10
0
5
0
8
1
0
3
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2015年
28
26
16
27
26
22
16
24
4
16
23
19
19
19
12
4
9
21
12
0
7
0
4
21
7
13
10
0
5
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9
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0
4
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0
0
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0
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0
0
0
0
0
26
24
21
15
22
21
10
23
16
17
21
25
15
15
2
0
0
21
8
0
9
8
8
12
2
8
0
4
12
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
合計得点
124
114
105
97
96
88
78
77
72
72
71
60
57
55
53
47
46
42
40
39
35
34
33
33
29
21
18
18
17
15
13
11
9
7
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
注)上記の表は国民体育大会の過去 5 年間の飛込競技の成績を基にして点数をつけ作成した
ものである。点数のつけ方は、例えば出場チームが 18 チームの場合 1 位 18 点、2 位 17 点、
3 位 16 点、、
、とつけている。過去 5 年間の総合の点数で順位を表した。
21
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