Comments
Description
Transcript
解答例
series 情報誌 第 16 号 ( 2014.4 ) 1 「数学を楽しもう」no.8 解説編 三角関数の公式を使わず、図形による三角比の定義に基づいて 15, , 22.5, に対する sin, cos, tan の値を求めよ。 ■15,について C 右図のように、∠A=15, の直角三角形ABC を考える。 ∠CDB=30, となるように点D をとり、辺BC=1 とする。 2 15, 2 A 1 30, D U3 BD=U 3 , CD= 2 となる。また∠ACD=15, より△ACD は二等辺三角形であり、AD=2 となる。 B △ABC において三平方の定理より、AC=U 1 2 + 02 + U 3 1 2 = U 8 + 2U 12 = U 6 + U 2 よって sin15, = 1 6 -U 2 =U 4 U 6 +U 2 cos 15, = 2+ U3 2 6 - 2 U 2 + 3U 2 - U 6 6 +U 2 =U = U 4 4 U 6 + U2 tan 15, = 1 = 2- U 3 2 +U 3 C ■22.5, について U2 右図のように、∠A=22.5, の直角三角形ABC を考える。 ∠CDB=45, となるように点D をとり、辺BC=1 とする。 A D 22.5, U2 45, 1 B 1 BD=1, CD=U 2 ,となる。また∠ACD=22.5, より△ACD は二等辺三角形であり、AD=U 2 となる。 △ABC において三平方の定理より、AC=U 1 2 + 01 + U 2 1 2 = U 4 + 2U 2 sin22.5, = cos 22.5, = tan 22.5, = よって 2-U 2 2-U 2 = U =U 2 U 2 U 4 -2 U 4 +2U 2 1 1 +U 2 U 4 +2U 2 =0 1 + U 2 1U 2 - U 2 1 + U 2 1 2 02 - U 2 1 2 +U 2 = U0 =U 2 2 U 2 U 4 -2 1 = U 2 -1 1 +U 2 E 【解説】 15, については、右図の方法もある。∠A=30, の直角三角形ABCを A 30, 2 U 3 -1 D C 15, U2 1 45, 1 B 考える。∠BDC=45, となる点Dをとり、DからAC に垂線DE をおろす。△CDE で求めていく。 2 円周率を pとする。3<p < 10 であることを証明せよ。(2001 岐阜大) 3 半径が 1 の円を考える。このとき、円周の長さは 2 p である。 A これと、この円に内外接する正多角形の周の長さとを比較する。 ■右図のように、内接する正六角形の周の長さは 6 であるから、 B O A M B 6 < 2p + 3 < p ■右図のように、外接する正八角形を考える(上手くいかなければ、正十、十二角形を考える)。 △OAB において、AB の中点をM とすると、OM=1, ∠AOM=22.5, なので AM=tan 22.5, = U 2 - 1 +AB=2×AM=20U 2 -11 以上より、正八角形の周の長さは 8×AB=160U 2 -11 となるから、 2p <160 U 2 -1 1 + p <8 0U 2 - 11 このことから、80U 2 -11 と 10 を比較すればよい。U 2 <1.415 であるから、 3 80U 2 -11 < 8 % 0.415= 3.32= 9.96 10 < 3 3 【解説】 円周率の定義は「直径と円周の長さの比」であり、定義に基づいて長さの精度を議論する問題であ る。東大入試問題(2003)では、「3.05<p を証明せよ」が出題されている。 歴史的にみると、内外接する正 n 角形の周の長さを考え、n.* とする試みがなされてきた。 3 パスカルの三角形について、次の問に答えよ。 1 段目 1 1 (1) n 段目にある数の和を求めよ。 2 段目 1 2 1 (2) 1 段目から n 段目までの数の和を求めよ。 3 段目 1 3 3 1 (3) n 段目がすべて奇数になるとき、n はどのような自然数か。 4 段目 1 4 6 4 1 (4) パスカルの三角形から偶数を除くとどんな図形になるか。 5 段目 1 5 10 10 5 1 ■ n 段目にある数の和 二項定理より、01 + x 1 n = n C 0 + n C 1 x + n C 2 x 2 + … + n C n x n であり、これに x =1 を代入して 1 1 n C 0 + n C 1 + n C 2 + … + n C n = 2 n 1 0 1 ■ n 段目までの数の和 1 1 1 1 1 0 0 0 1 2 1+ 2 2 + 2 3 + … + 2 n = 2 n +1 - 2 (等比数列の和) 1 1 0 0 1 1 1 0 1 0 1 0 1 ■パスカルの三角形の偶奇性 1 1 1 1 1 1 1 1 二項係数を mod 2 で表すと、パスカルの三 ……… 1 1 1 …… … … …1 1 1 a n 段目 角形は右図になる。 0 が a 個 . 1 0 0 …… … … ……0 0 1 n 段目から n +1 段目を構成する方法は、 両端の 1 はそのまま、その他は隣接する 2 個 を足して下ろす(n Cr = n -1 C r-1 + n-1 C r)。 このとき、 F n 0 が a n -1 個 . ……… … … 0 が 1 個 .1 0 1 0… 1 0 1 …… 0 1 0 1 1 1 1 1 … … … ………… 1 1 1 1 a n+1 段目 0+0600 mod 2 1 , 1+060+1610 mod 2 1 , 1+1600 mod 2 1 より、奇数のみが並ぶ段の次の段は両端が 1 でその他は 0 が連続して並ぶ。その次の段では連続する 0 の個数が 1 減る。また、奇数が並ぶ段のひとつ上の段は 1, 0 が交互に並ぶ。以上から、奇数のみが 並ぶ段を a n 段目とすると、次の漸化式を満たす。 1 1 1 1 1 1 1 1 an +1 = a n + 0a n +11 = 2a n +1, a 1 = 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 n 1 1 1 1 1 1 1 1 これを解いて、an = 2 -1 1 1 1 1 1 1 ■奇数からなるパスカルの三角形 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 右図のように、1 ~ 7 段までの三角形 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 のパターンが繰り返される図形を描く。 1 1 1 1 1 1 【解説】 これを無限に続けた図形はシェルピンスキーの ガスケット(1882 ~ 1969, Sierpinski gasket) と呼ばれており、図形の内部に自分自身の相似形 が無限に含まれる-自己相似形の-図形(フラク タル図形:fractal)のひとつとして有名である。 ① 最初に、正三角形の内部にで きる半分の大きさの正三角形 4 つのうち、中央を切り取る。 ② 次に、残った3隅の正三角形 で同じ操作をする。 ③ ②を無限に繰り返す。 Sierpinski gasket