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角度を測定する
実用編 作業工程 金型部品加工 角度を測定する 1 !1 直角度の検査 度スケールのように 1°単位であれば角度スケー 角度を測定するもので 90° (直角)を検査する機 ルを使用し、5′単位であればプロトラクタを使 会は多い。直角度を検査するときは、一般的に定 用する。以前はノギスのような副尺を利用したも 盤の上でスコヤと測定物の間でわずかにできる隙 ののみであったが、現在ではデジタル型のもので 間からチェックする。隙間のチェックはシックネ 1′表示でき、また 0 合わせも瞬時にできるもの スゲージの最も薄いものを隙間へ挟んで確認する があるため使いやすくなっている。 場合もあるが、一般的にはスコヤと測定面との間 に差す光の分量を確認する。円筒スコヤであれば より精密な直角度が確認可能である。 写真 1 のようにハイトゲージにテストインジ ケータを取り付けて直角度の確認をされている場 !3 緩やかな斜面の角度測定 緩やかな斜面の角度を測定するとき、上記プロ トラクタがなくともダイヤルゲージと位置決め装 置があれば測定可能である。 図 1 に示すような斜面の角度を測定する場合、 合もあるが、ハイトゲージ根元からインジケータ まずフライス盤のように位置決め用ハンドルなど 測定子まで距離があるとインジケータ取付部から を備えた機械などに測定物を固定する。固定はバ たわんでしまう可能性がある。また、ハイトゲー イスなどで行い、底面を密着させる。測定範囲が ジ摺動部にわずか曲がりが生じると、測定子にそ 広い方がよいため、ダイヤルゲージはストローク の影響を比例して含んでしまうことが考えられる 形式がよい。作業として、ハンドルを用いダイヤ ため、注意が必要である。同様の方法で厳密に直 ルゲージ測定子を斜面上に接触させる。ゲージ目 角度のみ確認する場合には「直角度測定器」が利 盛りで 0. 1 mm ほど測定子が押された状態を 0 セ 用でき、測定長 200 mm に対して案内誤差は 2μ ットとし、その後高さが高い方へハンドルにてダ m ほどのものがある。 イヤルゲージを移動させる。この操作で得られる !2 角度測定で使われる測定器 横方向移動量と高さの移動量から、 90°以外の一般的な角度測定では、写真 2 の角 tan−1 θ= 高さ移動量 横方向移動量 で斜面角度を得ることができる。 図1 斜面測定 写真 1 ハイトゲージ A h2 写真 2 角度スケール 34 150 B r1 図2 サインバー 角度測定 プ レ ス 技 術 ◆◇◆ !4 サインバーを使った角度測定 図 2 のサインバー角度測定のようにサインバ ーとダイヤルゲージ、ゲージブロックを使用し測 定する方法である。 特集 入門講座 測定作業のイロハ を合わせる。そのときの角度をスクリーン下 部の目盛りにて読み取る(写真3左が 20° 18′ ) ⑤回転スクリーンを回し、もう片方の垂直指示 線とエッジを合わせる。そのときの角度をス 部品の勾配が 1/10 とすると、高さ寸法差が 15 クリーン下部の目盛りにて読み取る(写真 3 mm となるブロックゲージ 2 組(勾配が 1/10 の 右が 7° 53′ ) 。したがって、エッジ交差部の ため長さ 150 mm に対する高低差は 15 mm)を、 角度αは以下のようになる。 サインバーと定盤の間に置く。 部品斜面を下向きにしてサインバーの上に置く。 その際部品側面とサインバー側面はほぼ平行にな るように置く。 α=90−(20° 18′ +7° 53′ ) =61° 49′ !6 あり溝部品の角度測定 図 3 に示すように、あり溝部品の溝角度測定 について方法を考えてみる。径がわかっているロ 図 2 のように、ダイヤルゲージを部品上面の ーラーで、小径と大径を 1 本ずつ準備する(大径 A から B へ当てて高さの変化を見る。A と B の の半径を R 1、小径の半径を R 2 とする) 。あり 高さが等しくなるようリンギングしたブロックゲ 溝部品は溝部を横向きで定盤へセットする。 ージにて調節する。両端の高さが等しくなったと き、部品斜面の傾斜角θは、 sinθ= h 2−h 1 h 2−h 1 よって、θ=sin−1 150 150 大径のローラーをあり溝に入れ、両面に密着し た状態でハイトゲージに取り付けたテストインジ ケータにて定盤からローラーの最も高い位置を測 定する(これを h 1 とする) 。同様に、小径のロ となる。サインバーの角度測定では角度が大きく ーラーをあり溝に入れ高さを測定する(これを h なるに従い、高さの変化量が小さくなってくる。 2 とする) 。このとき拡大図における Y の長さは、 そのため約 70°より大きくなると、高さのわずか Y=(h 1−R 1) −(h 2−R 2) な差により角度が大きく変化するところがあるた であり、X の長さはローラーが段差面に密着して め注意が必要である。 いるため、 !5 微小部品の角度測定 微小な部品の角度測定を行うときは、写真 3 の ように万能投影器を活用する方法がある。 ①載物移動面に測定物を置く ②拡大レンズを確認する(写真 3 は 20 倍で拡 大した投影図) ③測定するエッジ交差部がスクリーン十時指示 線中心に一致するように、載物ステージを移 X=R 1−R 2 となり、したがってあり溝角度βは図 4 の LY に 挟まれた角度の 2 倍となるため、 tan β X R 1−R 2 = = 2 Y (h 1−R 1) −(h 2−R 2) R 1−R 2 β=2・tan−1 (h 1−R 1) −(h 2−R 2) となる。 (山下陽一) 動調整する ④回転スクリーンを回し、エッジに水平指示線 R1 R2 X h1 h2 写真 3 微小部品の 角度測定 第 49 巻 第 4 号 (2011 年 4 月号) 図 3 あり溝角度測定 Y L 図 4 あり溝(拡大図) 35