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大学コミュニケーションポータルの運用と課題
研究発表 大学コミュニケーションポータルの運用と課題 Operation Results and Problems on a University Communication Portal 上田 哲史,松浦 健二,佐野 雅彦,松村 健,関 陽介 Tetsushi UETA, Kenji MATSUURA, Masahiko SANO, Ken MATSUMURA, and Yosuke SEKI {ueta, ma2, sano, matsumura, seki}@tokushima-u.ac.jp 徳島大学 情報化推進センター Center for Administration of Information Technology, The University of Tokushima 概要 コミュニケーションポータルとは,従来のポータルシステムに加え,ユーザ間の双方向通信機能を盛り込んだウェブサ イトと位置付けられる.徳島大学では,学内 SNS として,Salesforce 社の Chatter 無料版を採用し,他の情報システムと シームレスな連携を作り込むことによって,より大学構成員間の情報共有・コミュニケーションを支援している.その概 要や特徴を述べ,1 年あまりの運用実績について考察する. キーワード : コミュニケーションポータル,SNS, クラウド 1 はじめに 大学構成員(教職員,学生)間の連絡手段としてのウェ ブアプリケーションは,管理面やコスト面で欠かせない ツールとなってきている.教務用,e ラーニング,自学自 習システム,図書館システムなどの各種システムがウェブ サービスとして提供され,学習,研究・教育指導,教務事 務の効率化に貢献している.シングルサインオンやメッ セージ等のプッシュ通知などの機能は,様々なネットワー ク経路の整備と相まって,各システムのユビキタスな利用 を可能としている.さらに各システムをマッシュアップ やリンク集で有機的に結合させ,メッセージの集約などを 行ったポータルは,ユーザにとってのワンストップ窓口と なり得る. 各システムおよびポータルからユーザへの通知は,ログ イン後にウェブ上のインタフェースで提示されるか,もし くはそのカーボンコピーやダイジェストがメールでユーザ に通知される実装が多い.その通知メッセージを起点に ユーザ間(たとえば教員と学生)が双方向に連絡を取り合 うことが可能ではあるものの,スレッドとして議論を管理 すること,同報による一対多の通信,ファイルなどの共有 などは容易ではない. 一方,Facebook を始めとする SNS(Social Network Service) は,近年モバイル端末の普及に合わせて,急速にユー ザ数を延ばしており,個人の情報発信・コミュニケーショ ンツールとして注目されている.Facebook では,ソーシャ ルグラフやコミュニティ形成に力点が置かれたソーシャル メディアであり,原則実名によるユーザ登録,任意のメン バーによるグループ作成機能,ニュースフィードによる最 新記事の自動表示が行え,自分に関連する「友人」の動向 が視覚的に把握できる. 本学では平成 18 年度より,情報化推進機構において, -5- 構成員に対する各種サービスやお知らせをワンストップ で確認できるポータルの検討を行っていたが事業化はな されていなかった.平成 22 年度より発足した情報戦略室 では,全学コンピュータシステム(リース)調達の大幅な 見直しを行った.要求される機能や可用性,セキュリティ を考慮し,パブリッククラウド,プライベートクラウド, オンプレミスを使い分けるハイブリッドクラウド構成と した.さらに,全学統一認証基盤の構築,各種情報システ ム・アプリケーションのクラウド化を考慮した 5 年リー スの計画とし,情報化推進センターが調達に当たることに なった. ポータルは,通常のポータルの機能からもう一歩踏み 込み「使うことに価値を見いだせるツール」として,上 記 SNS 機能を持ったコミュニケーションポータルを構築 することした.学内で閉じた SNS であること,パブリッ ククラウド運用による可用性や信頼性の高さ,API があ る程度公開されカスタマイズが可能,などの理由から, Salesforce 社の Chatter が選択された.以下では Chatter の運用,他の情報システムとの連携,利用統計について述 べる. 2 Chatter 導入 Chatter とは Facebook と似たインタフェースを有する 組織内 SNS である.本学が採用したのは無償バージョ ン “Chatter Free” であり,他の情報システムとの連携も 可能な API を有している.Chatter はパブリッククラウド 上のサービス,すなわち,学内にサーバやストレージ資 源を置かない SaaS 型のサービスであるため,買取・リー スでのハードウェア調達を不要とする.調達全体では, SLA(Service Level Agreement) を記述するなど,“サービ スを調達’’することを明記し,国立大学法人では特異な 調達仕様書となった.ハードウェアの可用性確保や,メン 第17回学術情報処理研究集会講演論文集 図 1 徳島大学における,Chatter をコミュニケーションポータルとした各システムの連携の概要.各システム間の ウェブ遷移に関しては SSO が実装されている.各通信の末尾の記号は,R: 即時通信 D: ダイジェスト通信,B: バッ チ処理を示す. テナンスに関する運用コストを相対的に低くすることが狙 いとなっている. ユーザ間の自由な議論によるソーシャルグラフ形成を期 待して,大学の組織構造を反映した階層属性を用いず,全 構成員がフラットな「徳島大学」という集合に所属させる こととした.教職員も学生も総合ディレクトリサービスか ら属性がインポートされるが,属性に応じた権限・認可情 報は設定されていない.従って大学内の全構成員が検索 可能であり,各ユーザが所属するグループも知ることが出 来る. 2.1 Chatter の機能 まず,大学の認証基盤にエントリのないユーザは Chatter を使うことが出来ないため,よって大学構成員内で閉じ ている.認証は LDAP ベースであり,ウェブでのアクセ ス時には一旦認証画面が挿入されるよう設計している. Facebook における「友達」という概念は無く,デフォル トで構成員全員が加入する「すべて」というグループに所 属する. 実質的に Chatter でコミュニケーション活動をするため には,グループを目的に合わせて作る必要がある.招待手 続きやその認否を経ずに任意のユーザによるグループを作 成できる.個人がそのグループを脱退することも随時可能 である.グループの公開・非公開属性を所有者は設定でき るが,ユーザが Chatter にログインした直後のフィードに は,自分の関わるグループに対する更新記事が並ぶように デザインされている.Facebook と異なる点は,大学構成 員が全員「友達」状態であり,原理的には「すべて」のグ ループには誰でも投稿・閲覧できる点であろう.ログイン 直後のフィードにはその「すべて」のグループの投稿内容 が最新のものから表示される. -6- 図2 Chatter 表示例 2.2 モバイルデバイスへの対応 ポータルはウェブベースでの利用が基本であり,当然 ユーザが能動的にログインしないと記事を読めないため, 即応性を要する情報を記事にしても,その伝達達成度の期 待値は著しく低い. 一方,2013 年度に入ってスマートフォン利用率は急速 に上がり,とりわけ入学を機会に新規契約を行うことが多 い新入生は,大多数がスマートフォンを利用していた.本 学コミュニケーションポータルもモバイル対応は当然と して,通知をメールで到着させることは最重要設計であっ た.ところが,各電話キャリアが用意する携帯メールアド レスは,プッシュ通知のメールアドレスとしては定着し ているが,ユーザが任意に変更できることから,大学側が ユーザの最新アドレスを保持することは困難である. 本学では Microsoft Office365 と Exchange をそれぞれ 研究発表 学生用,教職員用に分け,サービスしている.これらは ActiveSync に対応しており,かなり簡単な手順でスマー トフォンのメール環境をセットアップできる.携帯キャリ ア提供のメールアドレスの設定に関する手間との差異はほ とんど無く,また,各種 Office 系ツールの発する情報を, ポーリングではなく,プッシュ型の通知として受け取るこ とができる. 医学部医学科は,リアルタイム性の高い連絡手段として 携帯メールを重視していたが,学生全員の最新の携帯メー ルアドレスを常時更新・維持することは不可能と判断し, 学生アカウントとそれに紐づくメールアドレスの利用を学 生に義務づけ,教務関係などの連絡は当該メールアドレス 以外行わない方針を立て,運用している. Chatter はまた,Windows, MacOS X 用の Chatter Desktop, Android/iOS 用の Saleceforce Chatter など,専用アプ リケーションを提供することにより,モバイル利用者への 便宜を十分に図った.認証が OAuth であること,また,ネ イティブコードであることより高速に動作する. タルの利用を促すこととした. Chatter はログイン認証後にニュースフィードが現れる. デフォルトでは「自分がフォローするもの」と設定されて おり,自分が所属するグループ内の記事,自分宛の他シス テムからのメッセージ,自分がフォローしている他のユー ザの記事にそれぞれ新規到着・更新があればそれを時系列 で表示する.“Chatter Free” でも基本的な SNS としては 十分機能するが,本学独自のカスタマイズを以下のように 行った. • ユーザ自身 1 名だけによる非公開グループ「個人グ ループ」の自動作成機能.個人グループの名称は,括 弧でくくった識別子+氏名としている.この個人グ ループに,各情報システムからのメッセージが秘匿記 事となって登録される. • 認証連携基盤である Shibboleth への対応 • 構成員データベースからのアカウントデータ自動プロ ビジョニング機構 また,各システムとも以下のような連携のためのカスタ マイズを行った. 3 各システムとの連携 教務システム DreamCampus では,内部に独自に個人 大学が運用する各情報システムの多くは,認証機構を通 ユーザに関する多くの属性を登録できるようになってお じてユーザを識別し,各ユーザへ個別のメッセージを生 り,新入生のデータとして,入学時にそれらの多くが一気 成・発信する.それをユーザがなるべくリアルタイムに確 に初期登録される.メールアドレスはアカウント名による 認することが望まれる.シングルサインオン (SSO) はこ 固定アドレスと学生のプライベートアドレスの双方が登録 れら多くの情報システムを,都度認証のための ID, パス でき,よって,学生へのメール到達が担保されている. ワード入力の手間を軽減し,使い勝手を向上させうる. 休講補講通知など,授業開始予定時間前までにリアルタ ポータルは,認証を行って機密性が確保された通信路 イムで伝えた方がユーザの利益確保につながることが多 を用いたウェブページであり,様々な情報システムへの い.教員からは受講学生への個別メッセージ送信により, リンク集,それらシステムへの SSO, さらには各システム 効率的な指導や支援を行うことができるため,プッシュ通 からのメッセージ集約機能を具備することにより,情報 知の実現が望ましい.これら通知は,Chatter には一日一 提供場所の一元化,ユーザビリティ向上を図ることが目 回深夜に同期される.よってリアルタイム性を確保する 的である.その性質上,グループウェアや CMS(content ために,別途教務システムからメールで通知も行っている management system) で用意されることもある [6][7]. (図 1 中の点線によるフローを参照). SSO は,ウェブ操作の利便性の向上には貢献するが,各 また,保有している所属学部・学科・学年の管理情報を ユーザが能動的にシステムにアクセスして,それらメッ プロビジョニングし,Chatter で学科・学年の名称による セージを読むかどうかは別問題である.実際,1 日 1 度以 擬人グループを作成,自動で該当ユーザをグループに加入 上,ポータルにアクセスする義務をユーザに強いる運用 させている.過年度学生の学年などの扱いも厳密に反映で は,大学においては実現は難しい.よって,アクセスしな きる. いと業務や学習に関する十分な情報が入手できない,とい LMS (Learning Management System; 学習管理システム) う追い込みを行うポータル運営が多い. である i-Collabo では,教員が担当する授業や履修情報な 以上のことから,ポータルを中心として,仲間内の連 どが教務システムと連携されており,Chatter には教員・ 絡,各システムのメッセージの発生を,メールやアラーム 履修者双方へのさまざまな通知が行われるが,教務システ などの方法でリアルタイムにユーザに知らせるプッシュ通 ムと同様,Chatter への入力はリアルタイムではなく,一 知機構の構築が極めて重要である.また,ポータルの利用 日に一度バッチ処理にで行われるため,i-Collabo から直 そのものに価値を感じさせるよう,運用対策を検討せねば 接受講者にメール通知できるパスがある. ならない. 図書システム LIMEDIO から図書返却期限に関する催 そこで,本学は Chatter そのものをコミュニケーション 促通知が,個人グループ内にメッセージとして直接通知さ ポータルと位置づけ,Chatter によるコミュニケーション れる. 活動の支援,Chatter を中心とした各システムの連携をを 教職員のメールについては,2010∼2011 年当時はまだ 設計した.構成員が Chatter を使いこなすこと,すなわち, メールサーバを組織外のネットワーク上に設置すること 構成員間,グループメンバー間でメッセージ交換,ファイ については合意を得ることはできなかった.しかし,プ ル共有などにより意思疎通を深め,Chatter 利用そのもの ライベートクラウドに設置することは合意されたため, に価値を感じさせる.したがってこれらシステムのメッ Microsoft Exchange をサーバに選び,従来のメールシステ セージを集約し,構成員に提示するとともに,プッシュ通 ムとは独立して教職員アカウントに応じたメイルアカウン 知で構成員に能動的にイベント通知を行い,積極的なポー -7- 第17回学術情報処理研究集会講演論文集 12000 6000 4000 2013/5/1 2013/6/1 2013/6/1 2013/4/1 2013/5/1 2013/3/1 2013/2/1 2013/1/1 2012/11/1 2012/12/1 2012/9/1 2012/10/1 2012/8/1 2012/7/1 2012/6/1 2012/5/1 0 2012/4/1 2000 図 4 1 日あたりの投稿数. 50 40 30 20 2013/4/1 2013/3/1 2013/2/1 2013/1/1 2012/11/1 2012/12/1 2012/9/1 2012/10/1 2012/8/1 2012/7/1 2012/6/1 2012/5/1 2012/4/1 2012/3/1 10 0 Date 図 5 1 日あたりのコメント数 100 90 80 70 Number of users 件あまりの投稿があったが,その大半は各情報システムか ら個人グループへのメッセージ投稿であった.2012 年度 前期と後期はともに同じ傾きであり,それらの間に夏期休 業による投稿減少を見て取れる.2013 年度から傾きが一 変し,急になっているのは,教務システムの各機能が強化 され,より Chatter へのメッセージ振り出しが増えたこと によるものと思われる. 図 4 は,一日あたりの投稿数の推移である.所々にみら れるピークは,教務システムから学生に自動送信された成 績関係の通知,パスワード変更のリマインダが大量に個人 に発信されたためである.平均投稿数も 2013 年度になっ て上昇していることが確認できるが,これも多くは LMS, 教務システムからの通知のためである.個人グループを除 いた非公開・公開グループへの投稿は一日に数十通程度で あり,コメント(既投稿記事へのフォロー記事)も同様で あことが,図 5 より確認できる.導入直後の 2012 年度新 学期に,物珍しさから投稿・コメントが多く寄せられてい るが,次第に落ち着き,一日数件のコメントが発生する程 度となっている.しかしながら,2013 年度初めは同様の 盛り上がりは生じなかった.このことから当初見込んでい たコミュニケーションの促進効果はまだ出ていないと思わ れる. Number of comments 60 図 3 は ,サ ー ビ ス 開 始 (2012/03/01) か ら 現 在 (2013/06/30) までの投稿総数を示す.現在までに 30 万 60 50 40 30 20 10 0 2013/4/1 2013/5/1 2013/6/1 2013/7/1 Date 350000 図 6 2013 年度の最終ログイン数 300000 プは 4 つであり,極めて少ない.個人が作成した非公開 グループの 1/10 程度となっており,全学でのオープンな 議論,パブリックコメントを求める試行など,期待されて いた利用はまだなされていないことを表している.また, ユーザが作成した非公開グループの最大数は 7 であり,大 半のユーザはグループを作成したことがない*1 . Chatter 運用開始一年 3 ヶ月経過したが,約 2,700 名は まだログインされていない.また,大半は数度使用してみ たものの,コミュニケーションツールとしては習慣化して いないとみなせる.現在アクティブなユーザ数の概算とし て,2013 年 7/1–7/8 の期間のログイン者を当てはめると, 250000 200000 150000 100000 2013/7/1 2013/6/1 2013/5/1 2013/4/1 2013/3/1 2013/2/1 2013/1/1 2012/11/1 2012/12/1 2012/9/1 2012/10/1 2012/8/1 2012/7/1 2012/6/1 2012/5/1 2012/4/1 50000 2012/3/1 Number of posts 8000 Date 4 利用状況と考察 0 10000 2012/3/1 Number of posts per day トを用意した.Chatter からは一方的にメールが Exchange に送信される. 学生が利用するメールの内容に関する重要度は,教職 員のそれほどではないとの判断から,コストの面からも パブリッククラウドの選択となった.本学は Microsoft の Office 365 for Education を利用している.Chatter からは 一方的に Office 365 の学生個人のアカウントへメールを送 信する. なお,Chatter からメールサーバへの送信頻度は,デフォ ルトでダイジェスト(一日,一週間のスパンでまとめて送 信)となっており,Chatter の各グループでの投稿をリアル タイムでメールサーバに伝えるには,Chatter 上の各ユー ザの個人設定を行う必要がある. Date 図3 投稿総数の推移. *1 2013 年 7 月現在,個人が作成した,公開しているグルー -8- 90 日間の間にアクセスの無かったグループは自動削除され,復元 もできないため統計に入っていない. 研究発表 表1 Chatter 内のグループ.2013 年 7 月 9 日現在. カテゴリ 個人・擬人グループ 自動定義グループ 個人作成グループ 総数 ジ入力すれば,それを「すべて」に投稿してしまうた め,非公開グループ宛に投稿したつもりが,全学に公 開される「すべて」に投稿される事態が発生した.個 人名をクリックした後に現れるページも同様な造りで あり,よって個人宛のつもりのメッセージが全構成員 の目に触れる事態も発生している. グループ数 10,606 629 42 11,277 約 400 人となっていた.図 6 は最終ログインの日付によ る集計であり,最近のデータについては何ら言及はできな いものの,数ヶ月ログインしていないユーザが多く存在す ることを示している. 事務職員は業務上,役職名,擬人名を関した擬人グルー プを利用している.擬人グループのほか,総合ディレクト リサービスの属性を用いた自動定義グループがある.教務 システムにおける属性が正確に反映されているため,過年 度生も含めた「一学年」の括りに信頼性がある.よって, ある学科は,学科内の紙による掲示をなるべく止め,各学 年のグループに,就職情報,講演会情報,イベント情報を 投稿している.また,就職支援関係の部署も積極的に各学 年のグループに就職支援情報を投稿している. 数名の教員は,自分の研究室用のグループを非公開で作 成し,メーリングリストやグループウェアに代替するツー ルとして運用している.Chatter でアップロードしたファ イルは個別にフォローができるため,更新等の情報を共有 できる点が評価されていると思われる. 運用上の問題点を以下に示す. • Chatter のトップページ等に,他のシステムへのバナー やリンク集を作ることができない.従って Chatter を 起点とする他のシステムへの SSO は実現できてい ない.これは “Chatter Free” バーションの弱みであ ろう. • 不適切な投稿を抑制するために,単語ブラックリスト を保持しているが,単なる英単語のフィルタの実装で あり,日本語のコーパスは使用されていない.よって 禁止ワードが部分マッチしてだけで投稿ができなく なる. • グループ「すべて」は,2.1 節で述べた通り,全構成員 がデフォルトで加入している公開グループである.ロ グイン直後に現れる入力ペインは,そのままメッセー -9- 5 おわりに 徳島大のコミュニケーションポータルとして整備した Chatter について,目的や運用状況等を述べた.学内では BCP 対策や就職支援等のため,リアルタイムで連絡が取 れるインタフェースの必要性は十分に認識している.しか しながら,本報告の結果は,いまだに各部局・学科等では 個別に携帯メールアドレスなどを集め,一斉連絡やバケツ リレー連絡網を回しているものと考えられる.また,2012 年度には数度利用説明会を開催したが,参加者数は芳しく なく,Chatter のサービスそのものの存在を知らない,も しくは価値が分からない利用者が多く潜在していると思わ れる.今後は周知・広報を行い,本来の目的通り,利用者 間のコミュニケーション支援に役立ててもらおうと考えて いる. 参考文献 [1] NEC プレスリリース, http://jpn.nec.com/case/tokushima-u/ [2] Salesforce プレスリリース, http://www.salesforce.com/jp/company/ news-press/press-releases/2011/12/111206.jsp [3] 松浦 健二, Cloudeforce 2011 Japan, Day 2, Part 5. http://movie1.search.biglobe.ne.jp/ video/watch/52d577d3f2997cc1 [4] 松浦 健二, 上田 哲史, 佐野 雅彦,“複数認証基盤に対応する 複合 SSO 環境でのユーザエクスペリエンス,” 学術情報処理 研究, Vol. 16, pp. 138–145, 2012. [5] Microsoft プレスリリース,http://www.microsoft.com/ ja-jp/casestudies/tokushima-u.aspx [6] 中野 裕司,喜多 敏博,杉谷 賢一,根本 淳子,北村 士朗,鈴 木 克明 “CMS を補完する学習ポータルの実装—教授システ ム学専攻ポータルを例として,” 情報処理学会第 4 回 CMS 研 究会,pp. 55–60, Dec. 2006. [7] 松尾 啓志,“IC カード導入からスタートする 4 つの統一,” 名古屋大学情報連携基盤センターニュース, Vol. 6, No. 4, pp. 318–319, Nov. 2007.