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ある企業が以下の5つの投資計画について検討しているとする。 計画A
練習問題 (出所)吉田・大野『はじめての金融理論』(第12回 企業の金融行動) P93 練習問題3 より引用 ある企業が以下の5つの投資計画について検討しているとする。 計画A: 費用10億円、投資の限界効率7% 計画B: 費用30億円、投資の限界効率8% 計画C: 費用15億円、投資の限界効率10% 計画D: 費用17億円、投資の限界効率5% 計画E: 費用3億円、投資の限界効率3% ① 市場利子率が6%のとき、実行される投資計画と総投資額はいくらか。 ② 市場利子率が4%のとき、実行される投資計画と総投資額はいくらか。 1 3.金融市場における金利の決定 3−1 市場の資金需要曲線と資金供給曲線 (前節までのまとめ) 家計の行動 結論 ある金利水準のもとで、どれだけ資金供給を行なうか 右上がりの資金供給曲線 r 最適な現在の貯蓄額の決定 最適な現在の支出額(消費額)の決定 0 S 市場機会線のもとでの効用最大化 企業の行動 結論 ある金利水準のもとで、どれだけ資金需要(借入)があるか 右下がりの資金需要曲線 r 最適な投資額の決定 投資の限界効率=金利 0 I 2 これらの最適行動から導かれた資金需要曲線や資金供給曲線は、 個々の家計や個々の企業にとっての行動を示したもの (例) A君にとっての資金供給曲線 C工業にとっての資金需要曲線 (A君の)個別供給曲線 (C工業の)個別需要曲線 最終的に金融市場において金利水準がどの水準に決まるのか? 金融市場全体における 資金貸付合計 = 資金借入合計 家計B 貸付合計 S (=貯蓄合計) 借入合計 I (=投資合計) 企業A 企業B ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ 金融市場 家計A 3 個別から市場全体へ 市場の資金供給曲線 個別の資金供給曲線 家計A r 家計B r r 貯蓄曲線 + 10% 10% 0 100 SA 0 50 SB 市場全体の資金供給曲線 → 個別の資金供給曲線を( ・ 右上がり 特徴 ・ 傾きが緩やかになる ※ 市場の資金需要曲線についても同様の議論が成り立つ (例) r=5%のもとで 企業A 投資額 IA =400 企業B 特徴 ・ 右下がり ・ 傾きが緩やかになる 0 S )方向に加えたもの 市場全体 I = 投資額 IB =200 4 3−2 均衡における金利水準の決定 新古典派の利子理論 ( ※ )による決定 資金供給 = (市場全体) 資金需要 (市場全体) r=r1 のとき : S ( ) I → r ( 超過供給 ) r=r2 のとき : S ( ) I → r ( 超過需要 ) が成立するように ( )が調整 r S r1 E r* r=r * のとき: S ( ) I 均衡 E点 ※ 均衡の安定性 このような調整過程が働くとき、均衡E点は( 均衡であるという r2 I 0 )的に安定的な 資金量 (S,I) ※ 「入門金融」(吉野・高月)による説明に基づいている。なお、この理論はマクロ経済学において、古典派の 5 「貸付資金需給説」として説明されることが多い。古典派の考え方の基本は、ミクロ経済学の理論に基づいている。 3−3 均衡分析 ∼資金供給曲線と資金需要曲線のシフト∼ 均衡分析とは (通常の財についての場合) ︵ 価格︶ 価格の変化はどんなときに起きるのか? P P‘ A→Eへの動き : 同じ需要曲線上での動き (価格調整機能による変化) 不均衡 → 均衡 S A E D 0 P E1→E2への動き : 需要曲線や供給曲線 そのものの変化による動き S‘ S E2 Q(数量) E2 P S E1 D‘ D 0 Q 均衡から新たな均衡へ E1 D 均衡分析 0 Q 6 (例) 通常の財に関する需要曲線のシフトの場合 需要曲線そのものが動く (価格は不変でも需要量が変化する) 考え方 これまでと同じ価格のもとで需要量が増える ( にシフト) これまでと同じ価格のもとで需要量が減る ( にシフト) P P0 金融市場においては・・・ D 0 Q 金利水準は、家計の好み、収入パターン、企業の投資による収益性 などの要因によって影響を受ける 資金供給曲線と資金需要曲線のシフト要因 7 ① 資金供給曲線のシフト 家計の行動の変化 ・ 家計の好みの変化 将来の支出(消費)が魅力的 → 現在の支出C1( 将来の支出C2( (同じ金利水準のもとで) 現在の貯蓄額S1( ) 均衡点の変化 金利水準( ) ) 資金供給曲線の( ) r S ・ 家計の収入の変化 現在の収入Y1の増加 )シフト ※ E (現在の支出に変化がないとき) 現在の貯蓄額S1( 資金供給曲線の( ) )シフト r* I 0 資金量 (S,I) ※ 家計の最適化行動において、単に所得Yのみに限らず、税額Tを考慮して、可処分所得(Y−T) 8 を用いて議論する場合が一般的である。この場合には、例えば現在の減税などはこの 可処分所得を増加させることになるため、同じ結論になる。 金利水準( ) (参考) ここでは、現在の所得が増加しても、現在の消費に変化が生じない場合 を仮定している(「入門金融」吉野・高月による)が、厳密には、家計の 最適化行動に基づいて考える必要がある。 C2 最適点の変化 (A点→B点) 現在の所得Y1の上昇 → 市場機会線の変化 (初期点Xが変化) (初期点x) Y2 A (新しい初期点x‘) B このとき、現在の支出C1も 増加して変化している S ‘ 0 C1 Y1C1‘ Y1 C1 しかしながら、消費は 所得の上昇以上には 増えないので、結果として貯蓄額S1 が増加することに変わりはない r ② 資金需要曲線のシフト S 企業の行動の変化 ・企業の予想収益に対する期待の変化 =( )の変化 好況のとき: 強気 → 投資による予想収益( ) → 投資の限界効率ρ( ) 0 → 投資曲線の変化 → 資金需要曲線の( ) シフト → 金利水準( ※ 不況のときは、この逆のメカニズムになる E r* I S,I ) 9