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松ヶ平 哲幸 委員
平成24年度 道外視察報告 松ヶ平 哲 幸 Ⅰ.大分県臼杵市(不燃物処理センター) 臼杵市の紹介 市政施行:平成17年1月1日 人 口:42,323人 世 帯 数:17,231世帯 面 積:291.41K㎡ ○臼杵市清掃センター 市内から出る「燃やせるゴミ」の焼却と、「燃やせないゴミ」「資源物」の リサイクルをする施設として平成元年に建設。平成14年12月から、焼却 業務は大分市を中心にした3市8町による広域で大分市に焼却施設を建設し て焼却処理をしている。現在、この臼杵市清掃センターでは「燃やせないゴ ミ」「資源物」「粗大ゴミ」を分別処理して資源物を回収している。 ○臼杵市不燃物処理センター(クローズドシステム処分場) 竣工:平成16年8月 総工事費:25億2500万円 粗大ゴミ処理規模:15㎥/日 埋立面積:7,200㎡ 埋立容量:71,000㎥ 埋立対象物:粗大ゴミ残渣・不燃ゴミ選別残渣 浸出水処理施設(逆浸透膜方式)30トン/日 ○施設建設に至った経緯 ゴミの発生抑制、減量、再資源化を基本とした循環型社会の構築は、環境 行政における最も重要な課題となっていることから、臼杵市では平成15年 度から広域における一般廃棄物における可燃ゴミの処理を開始した。 一方で、不燃ゴミの処理については、既設の最終処分場が開設してから1 8年を経過しており、埋立容量の限界が迫っていた。そこで、平成14年度 から新たな一般廃棄物最終処分場の建設に着手し、1年10ヶ月と25億円 を投じ平成16年8月に竣工した。 この施設は、周辺環境に配慮した屋根付処分場で、雨水、地下水の浸入を 抑え、ゴミから出る浸出水を抑え、ゴミから出る浸出水を完全に制御できる とともに、汚水処理は海水を真水に変えることが可能な膜処理施設を採用し ている。 ◎まとめ ・供用開始から8年が経過をしているが、実際の埋立量は計画より少なく なっている。不燃ゴミを破砕してからの埋立でもあるが、臭気は全く気に ならなかったし、一番近い集落とは距離にして500mのようだが、臭気 に対する苦情は無いとのことだった。 ・屋根付にした理由は、近隣住民からの要望でもあった鳥獣対策や大雨時 の水処理を確実に出来る方式として選定した。 ・水処理で最終的に残る(塩)は、広域施設の焼却施設によって処理され ている。山間にある施設でもあることから、施設内に散布する水の確保が 困難なため事業費は高くなるが、無放流の循環システムを採用したようだ。 ・職員は、正職員6人、臨時職員が7人で選別業務に4人が配置されてい る。士別(31人:正職員3人)と比較すると少ないが、収集運搬業務の ほとんどが委託をしており、直営では予約のあった粗大ゴミの収集のみを 行っていることからこの程度と考えられた。 ・各家庭に配布されている収集日の周知は、A3判で月めくりのカレンダ ー方式になっており、そこに企業広告が載せてあり経費の削減に努めてい ることが伺えた。 ・屋根付であることから臼杵市は、計画時には埋立が完了した後の利用方 法としては多目的施設(DVDによる説明でテニスコートだった)として 考えられていたようだが、今の埋立量からすると、あと20年は使える見 込みのようなので、屋根そのものの状態についてはかなり不透明だ。 ◎議員定数 23人 ・議会基本条例 無 ・自治基本条例 策定中 Ⅱ.大分県豊後大野市(病院改革プラン) 豊後大野市の紹介 平成17年3月 人 面 三重町、清川村、緒方町、朝地町、大野町、千歳村、 犬飼町の5町2村が合併して豊後大野市となった。 口:39,859人 世 帯 数:16,410世帯 積:603.36K㎡ ○豊後大野市民病院の概要 豊後大野市民病院は、昭和14年 農協の前身である産業組合診療所とし て開設された。その後、規模拡大され病院となり数回の移転新築を経て、平 成16年4月から現在地の病院となる。経営は農協から緒方町へ、そして町 村合併で誕生した豊後大野市へと移り変わり、近年では平成22年10月に 大分県立三重病院と病院統合を行い、51床の増床と併せ病院名称を「豊後 大野市民病院」(統合前は「公立おがた総合病院」)に改め、周辺地域の中核 病院として地域住民の健康を守る医療センターとしての役割を担っている。 ・診療科目 21科 ・一般病床 ・療養病床 ・構 造 ・職員数 鉄筋コンクリート造2階建 ・医師 21名 ・看護師 ・放射線技師 7名 ・事務職 17名 ・患者数 ・入院患者数 ・外来患者数 156床 39床 ・感染症病棟 4床 ・計 199床 147名 ・臨床検査技師 ・薬剤師 10名 4名 等々 1日平均176.8人 1日平均425.5人 ・決算状況(23年度) 入院収益 1,868,251千円 外来収益 832,585千円 その他医業収益・医業外収益、その他の収益を加えると 合計で3,214,713千円 医業費用 3,074,924千円 医業外費用他その他の費用を加えると合計で3,288,387千円 差引額で△73,674千円(単年度) 23年度末 未処理欠損金 705,077千円(累計) ・ 22年度一般会計からの繰入金1,037,194千円 ・ (合併により一時増加) (21年度は 664,036千円) ○豊後大野市民病院改革プラン 平成21年3月 「公立おがた総合病院改革プラン」を策定 平成24年3月 上記改革が23年度までの計画であったことと、病院の 統合により再策定 プランの重点施策 二次医療圏(約4万人)における中核病院としての役割を明確化 民間的経営手法の取組等も明記し、経営効率化に向けての目標設定 ◎まとめ ・県立病院と市民病院が統合した全国でも珍しい合併病院 県側(知事から)合併への打診があったことにより検討を開始 17年の町村合併時に公立病院あり方検討委員会が設置されていた 両病院とも医師・医療従事者の確保が困難な状況 → 診察や経営に大きな影響となっていた事が要因 ・平成19年4月には、指定管理=地方公営企業全部適用とした。 事業管理者を院長とした(経営責任はもちろん職員の人事権も管理者が 担うこととしている) ・合併前と合併後の医師数を比較すると平成21年(合併前)の医師数は 県立病院13名、市民病院が15名の計28名となる計画だったが22 年の合併時には20名だった。合併時に開業される医師などがおり、最 終的には合併しても医師の確保については依然として困難な状態であ る。 ・圏域に病院が7施設、診療所が60施設あるが、合併したことにより県 立病院を診療所としていたが、患者数の減少が著しいため黒字化が難し い ・医師の学生の受入や一般病床の削減とあわせ、回復期リハビリ病棟の設 置も検討している ◎議員定数 24人・議会基本条例と自治基本条例は24年に同時施行 Ⅲ.熊本県荒尾市(病院経営改革プラン) 荒尾市の紹介 昭和17年4月 荒尾町、平井村、有明村、八幡村、府本村の5町村が合 併して市政施行 昭和30年7月 清里村の一部を編入 人 口:55,804人 世帯数:21,058世帯 面 積:57.15K㎡ ◎荒尾市民病院の概要 ・診療科目 26科 ・構 造 ・職員数 ・一般病床 270床 ・感染症病棟 4床 ・計 274床 鉄筋コンクリート造5階建 ・医師 31名 ・看護師 208名(臨時職員44名) ・医療技術 62名(臨時職員9名) ・事務職 28名(臨時職員44名)→外来受付等委託を含む ・患者数 ・入院患者数 ・外来患者数 1日平均212人 1日平均355人 ・決算状況(23年度) 入院収益 3,608,708千円 外来収益 1,257,520千円 その他医業収益・医業外収益、その他の収益を加えると 合計で5,466,096千円 医業費用 5,133,862千円 医業外費用他その他の費用を加えると合計で5,301,978千円 差引額で148,588千円(単年度) ・23年度一般会計からの繰入金200,000千円 ○荒尾市民病院改革プラン 平成20年12月策定 プランの重点施策 経営の効率化 再編・ネットワーク化 経営形態の見直し ◎まとめ 経営の効率化に向けての取組みはかなりの効果を生み出していた。 具体的な取組みとしては ①民間的手法の導入 1.病院採用職員(民間出身職員の採用)一般行政職員は2名のみ 2.民間委託の活用(給食業務、診療材料等) 士別市立病院であてはめるなら中央材料室と用度担当を専門業 者に委託をしているのが最も効果があったようだ ②医師・看護師・医療技術者の確保 1.医師の過重労働対策(医師補助事務員の配置) 20対1の割合で配置 2.医学生・看護学生奨学金制度=士別でも制度あり 3.院内保育所の設置(H22年4月)=士別でも設置済み ③収入増加。確保対策 1.病床利用率のアップ(84%)=士別74% 2.平均在院日数の短縮(19日以内を18日に)=士別20日 3.施設基準の取得 ④経費削減・抑制対策 1.給与額の適正化 (H19から H23まで 年齢別により3・5・7・10%カット) 2.諸手当の見直し 3.薬剤・診療材料の価格交渉 ⑤.地方公営企業法の全部適用(平成21年4月) 1.病院事業組織が一般行政組織から独立 2.病院事業管理者の設置(責任者=院長) 3.権限委譲されたもの ・病院組織の設置 ・職員の任免 ・給与等の身分取扱 ・予算の原案 ・契約の締結 ・賃金管理 4.労働協約の締結 ※全部適用で職員の任免をすることにより、病院独自の賃金カットが出 来た。それだけ管理者に権限を与えられることになる。 ◎議員定数 □ 22人・議会基本条例と自治基本条例は策定中 豊後大野市民病院、荒尾市民病院の両方が地方公営企業法の全部適用と しており、管理者は院長となっている。両病院とも民間委託を最大限活用 しているが、荒尾は会計業務を一時委託としていたが、再精査の結果直営 に戻す業務もあった。民間委託が必ずしも経費削減につながっていないこ ともある。委託後の検証も必要と感じた。 □ 改革プランは、毎年度その取組み状況を報告しているが、荒尾市民病院 は項目別にかなり細部にわたる評価証書をだしている。しかも、取り組ん だ項目に毎年度目標を掲げ、単年度の実績を具体的に数値をだして検証し ている。 本来なら、診療科ごとに収益と費用を出さなければならないのではない か。最終的には、医局(医師)の協力が無ければ目標の達成は出来ない。 □ 1日平均外来患者を士別と比較すると 豊後大野市 425人 荒 尾 市 355人 士 別 市 652人 診療科が少ない士別の外来患者数がいかに多いか改めて確認できる。 両市とも、ホームドクター(かかりつけ医院)が最初に診断し、そこか ら市民病院に診療できる体制を確立することを優先的に取組んでいる。 紹介率と逆紹介率の向上に努めていた。 士別の開業医の実態から、市立病院にこれを求めることは大変厳しいこ だが、この状況は医師の過重労働にもつながり最終的に医師の定着化が図 れないことにつながることでもあることから、再度、市民にコンビニ受診 等は絶対に行わないことを改めて周知する必要がある。 Ⅳ.福岡県筑紫野市(子ども条例) 筑紫野市の紹介 昭和30年 二日市町、山口村、筑紫野村、御笠村、山家村の5町村が 合併して筑紫野町 昭和47年 市政施行 人 口:102,065人 面 世帯数:41,551世帯 積:87.78K㎡ ○筑紫野市子ども条例 平成23年 4 月施行 ○条例制定の経過 平成18年12月に市長マニフェストにおいて明記。翌年度に市役所内 に条例検討会を組織し提案書を市長に提出。 平成20年度に市民公募委員(19名)からなる「市民委員会」を組織 され、市内5公立中学校生徒への聞き取り調査を実施。翌年に骨子案を作 成後、パブリックコメントを実施して77人89件の意見が出された。そ の後一部を修正。 次世代育成支援対策協議会に諮問し答申を得てから市教育委員、庁議、 法令審査委員会の諮ったうえ条例案を作成。 22年2月に議会常任委員会で一部修正し3月議会で可決制定された。 平成22年3月30日に制定されたが、付則の規定により1年間かけて 事前の周知を行ったうえで、平成23年4月1日施行された。 ○特 徴 条例の内容については、他自治体の条例との違いは無いものの、 「子ども の権利侵害に関する相談、救済及び回復支援」として章を設けている。こ れは、子どもの権利が侵害された場合、あるいは侵害されさそうになった ときに、相談や救済及び回復のために権利救済委員を設置したもの。地方 自治法に規定する付属機関として定数を3人以内と定めた。 申し出があった場合、直ちに救済委員会議が開かれ、調査の対象かの審 議を行う。対象となれば、調査関係者へ通知し調査を行い、結果によって は勧告を行うとしている。さらに、必要に応じて勧告内容の公表をするこ とができる。 □士別市においても子どもの権利条例を策定中だが、策定作業にあたっては 小中高生20人による「こども委員会」を設置し、市民代表16人で構成 する「子どもの権利条例検討委員会」と共同で検討をしてきたことは評価 できる。 □士別市のパブリックコメントでは1件の意見も出されなかったことは残念 だが、周知方法など検証しなければならないのではないか。 □条例制定後も引き続き条例の内容については広く市民に広告しなければな らないが、あらゆる関係機関にも条例に沿った計画・行動が求められる。 □具体的な行動計画については、今後の検討によって策定されるが、条例に 沿った内容で進めるには一層の職員の取組みが必要となるが、一層の奮闘 が期待される。