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全編版 - 宜野湾市

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全編版 - 宜野湾市
平成21年度
大規模駐留軍用地跡地等利用推進費
普天間飛行場跡地利用計画方針策定調査報告書
(本
編)
平成22年3月
沖
宜
縄
野
湾
県
市
はじめに
普天間飛行場の跡地利用については、平成18年2月に、沖縄県と宜野
湾市は跡地利用計画の基礎となる「普天間飛行場跡地利用基本方針」を策
定し、平成19年5月には、跡地利用計画にかかる取り組みの手順・内容・
役割分担等について取りまとめた行動計画を策定した。
平成 19、20 年度の二か年においては、土地利用・環境づくりに関連す
る4分野(振興拠点、住宅地、都市拠点、環境・公園)の計画方針を集大
成した「土地利用・環境づくり方針案」を策定した。
本年度調査においては、跡地利用計画の計画策定に向けた中間的な到達
点として位置づけられている「全体計画の中間取りまとめ」に向けた関係
者による意見交換を促進することを目的とし、「全体計画の中間取りまと
め」の素案の作成を行っている。
本調査の実施にあたっては、それぞれの分野の有識者との意見交換を実
施し、計画づくりの具体化に向けた幅広いご意見を頂いている。また、本
調査の一貫として、「普天間飛行場跡地利用計画方針策定にかかる有識者
懇談会」を設け、跡地利用計画の策定に向けたこれまでの検討成果を総括
するとともに、今後の計画づくりに導入すべき新たな発想や具体的なアイ
デア等についての意見を頂いた。
本報告書においては、本年度調査の主要な成果として第Ⅰ~Ⅳ章に分野
別の検討成果、第Ⅴ章に「全体計画の中間取りまとめ」の素案、付属資料
には、成果の取りまとめに向けて実施した業務の具体的な内容を掲載して
いる。
沖縄県と宜野湾市は、本調査の成果にもとづき、引き続き県民・市民・
地権者の意向反映や他の計画分野との連携を促進しつつ、全体計画の中間
とりまとめに向けた取り組みを進めていくこととしている。
調査成果の報告にあたり、有識者懇談会や意見交換会に参画いただいた
関係各位に厚く御礼申し上げる次第である。
平成22年3月
沖 縄 県
宜 野 湾 市
目
第Ⅰ章
Ⅰ-1
次
跡地利用に関連する広域的なビジョンの反映
広域的なビジョンのレビュー
・・・・・・・・・・・・・・・・・1
1.沖縄21世紀ビジョン(仮称)のレビュー
・・・・・・・・・・・・・・・1
2.駐留軍用地跡地に係る有効利用ビジョン検討調査のレビュー
3.既定計画、既往調査成果のレビュー
Ⅰ-2
・・・・・・・3
・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
広域ビジョンの反映による計画づくりの方向
・・・・・・・・・・8
1.
「嘉手納より南の返還」を視野に入れた跡地利用の方向
・・・・・・・・・・8
2.広域ビジョンと「土地利用・環境づくり方針案」との整合性の検証
3.広域ビジョンとの連携に向けた今後の取組
第Ⅱ章
Ⅱ-1
・・・・・・・・・・・・・・・11
交通分野に関する関連調査のレビュー
広域的な交通計画のレビュー
・・・・・・・・・・・・・・・・・13
1.沖縄県や中南部都市圏を対象とした交通計画のレビュー
・・・・・・・・・13
2.宜野湾市都市計画マスタープランにおける交通計画のレビュー
Ⅱ-2
交通分野の計画方針の予備的な取りまとめ
1.計画方針の取りまとめに向けた計画課題の整理
2.計画方針の予備的な取りまとめ
Ⅲ-1
・・・・・・・・・・・22
・・・・・・・・・・・・・22
・・・・・・・・・・・・・・・・27
供給処理分野に関する計画方針の検討
供給処理分野の計画条件の整理
1.既定計画から見た計画課題の整理
・・・・・・・・・・・・・・・・29
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
2.循環型社会形成に向けた新たな取組の方向
Ⅲ-2
・・・・・・19
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
3.跡地利用計画の策定に向けた今後の取組
第Ⅲ章
・・・・9
供給処理分野の計画方針の取りまとめ
1.跡地に導入する新たな取組の選定
・・・・・・・・・・・・・・・31
・・・・・・・・・・・・・34
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
2.
「全体計画の中間取りまとめ」に向けた計画方針の取りまとめ
・・・・・・38
第Ⅳ章
周辺市街地分野の関連調査との連携に向けた取組
Ⅳ-1
跡地利用と周辺市街地整備との連携の必要性・課題の整理
1.
「宜野湾市都市計画マスタープラン」のレビュー
・・・・39
・・・・・・・・・・・・・39
2.周辺市街地整備調査成果(平成 20 年度)等のレビュー・・・・・・・・・・・・41
Ⅳ-2
周辺市街地分野の計画方針の予備的な取りまとめ
1.跡地と周辺市街地の連携に着目した取組のメニュー
2.計画方針の取りまとめに向けた今後の取組
第Ⅴ章
・・・・・・・・46
・・・ ・・・・・・・・46
・・・・・・・・・・・・・・・50
「全体計画の中間取りまとめ」の素案の作成
Ⅴ-1
分野別の検討成果の集大成
・・・・・・・・・・・・・・・・・・51
1.
「土地利用・環境づくり方針案」の評価・修正
・・・・・・・・・・・・・51
2.
「全体計画の中間取りまとめ」に向けた検討成果の整理
Ⅴ-2
土地利用にかかる計画フレームの検討
・・・・・・・・・・53
・・・・・・・・・・・・・56
1.土地利用計画の取りまとめに向けた今後の取組のフロー
2.土地利用計画フレームの作成
Ⅴ-3
・・・・・・・・・56
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58
都市空間構成に関する検討
・・・・・・・・・・・・・・・・・・61
1.交通網配置パターンに関する検討
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・61
2.緑地空間配置パターンに関する検討
・・・・・・・・・・・・・・・・・・68
3.土地利用配置パターンに関する検討
・・・・・・・・・・・・・・・・・・75
Ⅴ-4
「全体計画の中間取りまとめ」の素案の作成
・・・・・・・・・・83
1.まちづくりの目標
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・83
2.計画づくりの方針
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・85
3.まちづくり構想図
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・89
付属資料
資料-1
資料-2
資料-3
資料-4
資料-5
資料-6
本調査において実施した業務の概要 ・・・・・・・・・・・・・93
普天間飛行場跡地利用計画方針策定にかかる有識者懇談会の記録・・・・95
ワーキング部会の記録 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・105
県民フォーラムの記録 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・117
意見交換会の記録 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・137
供給処理分野(環境関連)にかかる事例収集 ・・・・・・・・・210
調査のフロー
平成20年度調査成果
土地利用・環境づくり方針案
(仮)普天間公園の整備方針(試案)
平成21年度調査
Ⅰ
Ⅰ-1
Ⅱ
跡地利用に関連する広域的なビジョンの反映
Ⅰ-2
広域的なビジョンのレビュー
交通分野に関する関
連調査のレビュー
Ⅲ
広域ビジョンの反映による計画づくりの方向
供給処理分野に関す
る計画方針の検討
Ⅳ
周辺市街地分野の関
連調査との連携に向け
た取組
Ⅱ-1 広域的な交通計画
のレビュー
Ⅲ-1 供給処理分野の計
画条件の整理
Ⅳ-1 跡地利用と周辺市街地整
備との連携の必要性・課題の整理
Ⅱ-2 交通分野の計画方
針の予備的な取りまとめ
Ⅲ-2 供給処理分野の
計画方針の取りまとめ
Ⅳ-2 周辺市街地分野の計画
方針の予備的な取りまとめ
Ⅴ 「全体計画の中間取りまとめ」の素案の作成
Ⅴ-1 分野別の検討成果
の集大成
●「土地利用・環境づくり
方針案」の評価・修正
●「全体計画の中間取りま
とめ」に向けた検討成果
の整理
Ⅴ-4
●まちづくりの目標
Ⅴ-3 都市空間構成に関
する検討
Ⅴ-2 土地利用にかかる
計画フレームの検討
●交通網配置パターン
●土地利用計画の取りまと
めに向けた取組のフロー
●緑地空間配置パターン
●土地利用計画フレーム
●土地利用配置パターン
「全体計画の中間取りまとめ」の素案の作成
●計画づくりの方針
●まちづくり構想図
平成20年度調査成果等にもとづく県民・市民・地権者等との意見交換及び情報発信
県民との意見交換
地権者との意見交換
有識者等との意見交換
第Ⅰ章
跡地利用に関連する広域的なビジョンの反映
Ⅰ-1
広域的なビジョンのレビュー
1.沖縄21世紀ビジョン(仮称)のレビュー
○
21 世紀ビジョンは、県民が描く将来への思い、あるべき姿をベースに作成するものであ
り、概ね 20 年後の沖縄を展望し、県民全体で描く初めての長期構想である。
○
平成 22 年2月2日に沖縄県振興審議会が「沖縄21世紀ビジョン(仮称)」
(案)を県知
事に答申している。
1)克服すべき沖縄固有の課題と対応方向
①
大規模な基地返還とそれに伴う県土の再編
・
跡地利用については、良好な生活環境の確保や新たな産業の振興、交通体系の整備、
全島緑化や海洋環境の保全など自然環境の保全・再生など魅力ある都市空間の形成を図
るとともに、それにより県内各圏域がそれぞれの特性を活かしながら多様な機能を発揮
し、相互の連携により、沖縄全体の発展に資するものでなければならない。
②
大規模な基地返還跡地の活用
・
中南部都市圏においては、大規模な基地返還が予定されており、これら約 1000~
1500ha の地域開発は、沖縄の県土構造を再編する大きなチャンスであり、沖縄全体の振
興発展に向けて、各跡地の利用計画を総合的にマネージメントし、効率的に整備する新た
な仕組みが必要となる。
・ その活用に当たっては、沖縄の振興発展に資する貴重な空間として、自然環境を再生し、
既成市街地の居住環境の改善や都市機能の積極的な再配置を図りつつ、基地返還跡地と周
辺密集市街地との一体的な道路整備による道路網の適正配置など中南部都市圏の機能を高
めていく必要がある。
・
具体的には、基地跡地等を活用した軌道系を含む新たな公共交通システムや骨格的な道
路網の整備充実により、都市交通ネットワークを再編・構築するとともに、基地跡地等に
おいて交通結節機能を形成する。
・
また、基地の存在による精神的な負担を軽減させる施設として、平和希求のシンボルと
なる大規模な公園を整備するとともに、基地内に残された貴重な自然環境を保全すること
により優れた環境づくりを先導する。
・ さらに、国際機関の誘致などによる国際貢献・協力機能や跡地の立地特性を活かした都市
近接・リゾート機能等の導入を促進するとともに、国内外の大学との連携によるサテライ
ト機能の構築やリサーチパーク等の拠点形成を図り、これらの跡地の機能をツールとして
戦略的に活用し、新たな産業の立地を推進する。
1
2)将来像実現に向けた推進戦略と展開方向
推進戦略
○
展開方向
戦後、米軍基地に県土の枢要部分を占
○
基地返還跡地等を活用した軌道系を含む
有されたことにより、生活環境、交通イ
新たな公共交通システムや骨格的な道路網
ンフラ等様々な面で歪んだ都市構造を余
の整備充実により、都市交通ネットワークを
儀なくされてきたことから、都市再生の
再編・構築するとともに、基地跡地等におい
視点から跡地利用を推進し、人と自然が
て交通結節機能を形成し、中南部都市圏の一
調和する良質な生活空間を回復する。
体性を高めていく。
○
基地返還跡地と周辺密集市街地との一体
的な生活道路整備や住環境整備等を含めた
跡地利用計画の策定および着実な実施を図
る。
○
基地返還跡地を活用した平和希求のシン
ボルおよび中南部都市圏の広域防災拠点機
能を備える国営大規模公園の整備を図る。
など
○
基地返還跡地の有効利用と県土構造の
○
返還跡地の利用に関しては、アジア・太平
再編を「自立経済構築」の大きな柱とし
洋地域の経済発展やグローバル化の進展に
て取り組む。
対応した産業振興、潤いのある居住・都市空
間の確保、沖縄を拠点とする新たな国際貢献
等の推進に活用する。
○
返還跡地への各種研究機関の集積促進を
図り、サイエンスパーク等の形成に取り組
む。
○
沖縄の国際的重要性と拠点的可能性を活
かした新規プロジェクトを導入する。
○
返還跡地の整備においては、連携と協
○
円滑な事業実施やプロジェクト導入のた
働に配慮した広域的な構想・計画の立案
め、跡地整備に関する新たな制度を創設する
とともに、円滑な事業実施を可能とする
とともに、嘉手納飛行場より南の大規模な返
新たな跡地整備の仕組みや法制度等の創
還跡地整備については、全体を統合した工程
設を図る。
表に基づき整備事業を推進する。
○
長期にわたる跡地整備に対応した整備手
法、跡地利用に係る様々な主体(地権者、行
政、民間等)の取り組みを、総合的に調整し
推進する仕組みづくりを行う。
○
跡地整備とその利用への民間活力導入を
促す新たな仕組み・手法の確立に向けて取り
組むとともに、法制度(特別立法含む)の創
設を推進する。
2
2.駐留軍用地跡地に係る有効利用ビジョン検討調査のレビュー
○
平成 20 年度に沖縄県が実施した調査であり、「沖縄 21 世紀ビジョン(仮称)」における
重要なテーマである駐留軍用地跡地の有効利用による産業振興のあり方や中南部都市圏の
望ましい姿等について検討を行なったものである。
1)中南部都市圏の都市機能ビジョン
①
中南部都市機能ビジョン
・ ビジョン1
アジア・太平洋地域の交流・貢献拠点にふさわしい機能の実現
-航空・海運ネットワークの国際的な拠点にふさわしい空港や港湾機能等の拡充
-研究、人材育成、医療を含む災害対策等各面での国際貢献・協力組織等の誘致・育成
・
ビジョン2
立地特性を活かした戦略的な産業拠点の形成
-観光・健康・情報・研究・国際物流等に係る戦略的な産業拠点の形成と人材育成
・
ビジョン3
沖縄の風土と文化に根ざした新たな共生スタイルの実現
-沖縄の自然環境の保全と、まち並み全体の景観の再生・復元
-沖縄の多様な風土と伝統文化に根ざした新たな共生スタイルの実現
②
中南部都市圏の目指すべき都市構造ビジョン
・
中南部が一体となった広域都市圏の形成(都市圏中枢軸の骨太化)
-都市軸上に位置する空港・港湾・道路・公共施設等社会資本の利活用と機能拡充
-都市軸上に今後生まれる大規模な跡地への新たな産業拠点と都市機能拠点の配置
-跡地と周辺の既存市街地とを関連づけた複数のコンパクトな市街地の形成
-拠点間公共交通ネットワークの強化
-環境と共生した都市構造の創出
図Ⅰ-1
都市構造概念図
3
表Ⅰ-1
跡地エリア別のコンセプト(案)のまとめ
2)中南部都市圏で展開可能な産業クラスター/ゾーンの方向
①
医療系産業クラスターの形成
・
創薬開発クラスター(医療系サイエンスパーク)
・
高度医療サービスクラスター(先進医療特区)
②
健康系産業クラスター(リゾート&ヘルスタウン)の形成
・
健康食品R&Dクラスター(健康系サイエンスパーク)
・
健康ケアサービスクラスター
4
③
アジア・ゲートウェイ・ゾーンの形成(物流産業、金融産業)
・
国際航空物流センター(仮称)
(那覇港湾施設以外での展開可能性は低い)
・
アジア金融ビジネスセンター(中南部都市圏での展開可能性は低い)
④
デスティネーション・リゾートの形成(観光リゾート産業)
・
都市型リゾート産業ゾーン
・
リゾートコンベンション産業ゾーン
・
滞在型リゾート産業ゾーン
⑤
ITコリドー(回廊)の形成(情報通信産業)
・
情報サービス産業コリドー
・
コンテンツ産業コリドー
3)今後の検討課題
①
県土全体を括る政策目標等の策定
・ 「沖縄21世紀ビジョン(仮称)」の策定等を通じて、県土全体を括る政策目標や中南部
都市圏の位置づけについて、県民の合意形成を図ることが必要
②
有効利用ビジョンの更なる検討
・
国際貢献・協力を担う組織や都市機能等の更なる検討が必要
・
産業分野プロジェクトの更なる検討と絞り込みが必要
・
基地跡地での産業振興施策展開に向けたロードマップの検討が必要
・
基地跡地ごとの都市機能ビジョンと産業分野との更なる整合性の検討や経済波及効果及
び土地需給予測等の検討が必要
5
3.既定計画、既往調査成果のレビュー
○
基本方針の策定(平成 18 年2月)後に取りまとめられた「産業振興」、
「観光」、
「環境づ
くり」等にかかる広域的なビジョンづくりに向けた最新の既往計画等をレビューし、跡地
利用に関連する提言やアイデア等を収集する。
1)沖縄振興計画後期展望(平成 19 年3月
沖縄振興審議会)
①
重視されている考え方
・
「数少ない人口増加県」、「沖縄ブーム」等の優位性を安定、持続させる取組や積極的な
競争に向けた意識改革による施策展開を重視している。
②
具体的な方向性に関する提言
・
「選択と集中」を一層重視し、沖縄の特性が活かせる「観光産業、健康産業、環境関連
産業、情報通信・金融等」の分野に注力。
・
目的指向型の社会資本整備により沖縄の優位性を最大限発揮した特色ある地域を整備。
・
施策・事業の実施に当たっては、
「量」の増大だけでなく「質」に着目(アウトカム重視
型の政策評価)。
・
自立的な経済成長、県民生活の向上にむけて、「イノベーション25」も踏まえた取組。
・
優秀な人材の確保(若者を対象としたキャリア教育、職業教育)
。
・
沖縄らしさを活かした県づくり(自然環境や景観)。
2)
「アジア・ケートウェイ」の拠点形成に向けた取組方針(平成 19 年7月 沖縄県)
①
重視されている考え方
・ 「アジア・ゲートウェイ構想(アジア・ゲートウェイ戦略会議)
」における主要な拠点と
しての役割を担いつつ、国内外との交流を通じた沖縄県の自立的発展を図る。
②
方針の概要
・
大規模返還が予定されている嘉手納飛行場より南の駐留軍用地跡地の今後の利用にも留
意しつつ、以下のプロジェクトを重点的に推進している。
―
空港・港湾機能を行かす道路ネットワーク整備(那覇空港自動車道や沖縄西海岸道路
の整備促進など「はしご道路ネットワーク」の構築)
―
国際情報通信ハブの構築(国際的な IX 環境の整備)
―
国際医療拠点の形成(高度先進医療等の集積、国際救急医療支援等に関する可能性を
検討)
―
環境共生及び循環型社会モデル地域の形成(基地跡地を利用した国際交流拠点の機能
を持つ都市公園等の整備を検討)
―
国際的なリゾートコンベンション拠点の形成
―
ブランド力を生かした産業の国際展開(安全・安心、健康・長寿をキーワードにブラ
ンド強化)
6
3)“美ら島沖縄”風景づくりのためのガイドライン(平成 19 年1月 内閣府沖縄総合事務局)
①
重視されている考え方
・ 現代の沖縄風の実現のために、次の視点にたって重点的に取り組むことを目指している。
―
沖縄を訪れる人達が魅力を感じる風景づくり
―
生き生きとしたくらしの中の風景づくり
②
計画の概要
・
上記の考え方にもとづき、以下の事項についてのガイドラインを明示している。
・
沖縄を訪れる人達が魅力を感じる風景づくり
-
観光リゾート(地域の誇りとなる美しい環境拠点づくり、観光リゾート地域までの経
路の演出)
-
アーバンリゾート(地域資源を活かしたアーバンリゾートの演出、
「現代の沖縄風」か
ら発想する魅力の向上)
-
ウォーターフロント(海と港と街とが一体となったみなとまち風景づくり、
「海の邦」
にふさわしい調和による海岸風景づくり)
-
・
夜景の演出(沖縄らしい美しい夜景の演出、夜景を楽しむスポットづくり)
生き生きとしたくらしの中の風景づくり。
-
マチぢゅくい(自然風景を保全し回復するマチぢゅくい、伝統的風景や素材・工法を
活かした個性あふれるマチぢゅくい、くらしの中から「現代の沖縄風」を創造するル
ールづくり)
-
シマぢゅくい(周辺自然と調和したくらしに根ざすシマぢゅくい、文化的な風景を保
全・継承するシマぢゅくい、シマの「沖縄風」を担う人づくり・しくみづくり)
4)ビジットおきなわ計画(平成 21 年3月
沖縄県商工観光部)
①
計画の目標
・
沖縄県の観光客数は順調に伸びており、観光客 1,000 万人を目標としている。
②
重点的な施策
・
観光客の70%がリピーターであること、外国人観光客が全体の約4%(H20)と少な
いこと、リゾートウェディングが好調であるなどの現状に鑑み、以下の施策に重点的に取
り組むこととしている。
―
外国人観光客の誘客促進
―
リゾートウェディングの推進(東アジア市場の開拓)
―
ニューツーリズムの推進
文化体験・参加型観光、フィルムツーリズム、ロングステイツーリズム、エコツーリ
ズムなど、沖縄の特性を活かした新しい旅のスタイルの定着を図り、リピーター客の再
訪を促すとともに、シニア層などの安定的なマーケットの拡充
7
Ⅰ-2
広域ビジョンの反映による計画づくりの方向
1.「嘉手納より南の返還」を視野に入れた跡地利用の方向
○
既定計画、調査成果に示されている広域的な視点からみた嘉手納より南の基地返還跡地利
用の方向や普天間飛行場の跡地利用の目標を整理する。
1) 「沖縄21世紀ビジョン(仮称)」(案)に示されている嘉手納より南の基地
返還跡地利用の方向
① 魅力ある都市空間形成に向けた跡地利用の方向
・
良好な生活環境の確保
・
新たな産業の振興
・
交通体系の整備
・
全島緑化
・
海洋環境の保全・再生
②
沖縄全体の発展に向けた跡地利用の方向
・
県内各圏域がそれぞれの特性を活かしながら多様な機能を発揮し、相互の連携により、
沖縄全体の発展に資する。
2) 「駐留軍用地跡地に係る有効利用ビジョンの検討調査」において取りまとめ
られている普天間飛行場の跡地利用の目標(案)
①
コンセプト(案)
・
平和シンボルの国際的高次都市機能を備えた多機能交流拠点都市
②
跡地利用の目標(案)
・
基地問題解決の平和のシンボルとなり成長のエンジンとなる高次都市機能の導入( 国際
貢献・協力機能等を併せ持った大規模公園、新たな沖縄の行政機能などを例示)
・
アジア・太平洋地域にふさわしい国際交流・貢献機能、人材育成機能、学術研究機能等
の導入
・
県土構造の再編・適正化を促す中部縦貫道路及び宜野湾横断道路の導入
・
地球環境問題改善を先導する循環型社会モデル形成
8
2.広域ビジョンと「土地利用・環境づくり方針案」との整合
性の検証
1)嘉手納より南の基地返還跡地利用の方向との整合性
跡地利用の方向
普天間飛行場跡地の
「土地利用・環境づくり方針案」(平成20年度調査)
沖縄 21 世紀ビジョン(仮称)(素案)
● ゆとりある住宅用地供給の仕組みづくり
・ゆとりある住宅用地を供給するために、来住者の購買力と地権者の
①
良好な生活環境の確保
資産運用の両立を目指して、定期借地方式を活用したしくみづくり
● 既存の生活関連機能を活用した住宅地の早期形成
・既成市街地に近接する区域における住宅立地の誘導、既成市街地と
あわせた一体的な生活圏形成
● 観光リゾートゾーンの形成
・沖縄観光の新たな発展を先導する「陸(おか)
」の観光リゾートゾー
ンを形成し、コンベンション補完施設、人材育成施設、沖縄文化を
発信する施設等を導入
②
新たな産業の振興
● 研究交流型産業ゾーンの形成
・情報通信産業、健康産業等の研究開発部門の誘致を推進し、周辺に
立地する大学等と連携して研究交流活動の場を形成
● 長期的な用地供給の仕組みづくり
・地権者との協働により、用地保有機関による用地の取得・保有・供
給や地権者用地の共同利用による用地の保有・供給等
● 主要幹線道路沿道への土地利用展開
・中部縦貫道路と宜野湾横断道路の沿道には、広域からの集客に期待
する土地利用を誘導
③
交通体系の整備
● 公共交通計画への対応
・今後、公共交通にかかる計画づくりと連携して、交通拠点性の活用
や公共交通利用の促進等に向けた検討を行い、土地利用方針として
追加
● 中南部都市圏の新たな発展基盤となる緑豊かな地域イメージの形成
・嘉手納より南の返還軍用地の広大な空間を活用して、中南部都市圏
の地域イメージの一新につながる思い切った緑化に取り組み、新た
な発展に向けた基盤を確立
④
全島緑化
● 地権者、開発者、利用者の協働による緑化の推進
・住宅地では住宅まわりの気温調節や緑豊かな風景づくり、産業拠点
や都市拠点等では、国際的な評価にも耐える緑の豊かさを目指した
計画づくり
・長期にわたるまちづくりにおいて、まちづくり途上における荒蕪化
を回避するために、空閑地緑化のルールづくりや支援策等を導入
9
2)普天間飛行場における跡地利用の目標(案)との整合性
普天間飛行場の跡地利用の目標
有効利用ビジョン検討調査
①
基地問題解決の平和のシン
ボルとなり成長のエンジンと
なる高次都市機能の導入
(国際貢献・協力機能等を併
せ持った大規模公園、新たな
沖縄の行政機能など)
②
アジア・太平洋地域にふさ
わしい国際交流・貢献機能、
人材育成機能、学術研究機能
等の導入
③
県土構造の再編・適正化を
促す中部縦貫道路及び宜野湾
横断道路の導入
普天間飛行場跡地の
「土地利用・環境づくり方針案」(平成 20 年度調査)
● 駐留軍用地の大規模返還を記念するシンボルづくり
・大規模返還を記念して、長期にわたる基地接収による痛みを癒し、
新たな将来像の実現に向けた取組を励ますシンボルとして、
(仮)
普天間公園を整備
● 国際的な活動拠点の形成
・国際貢献・協力を目指した医療、人材育成、研究分野等にかかる高
次都市機能を誘致し、(仮)普天間公園等による優れた環境を活か
した活動拠点を形成
● 観光リゾートゾーンの形成
・沖縄観光の新たな発展を先導する「陸(おか)」の観光リゾート
ゾーンを形成し、コンベンション補完施設、人材育成施設、沖縄
文化を発信する施設等を導入
● 研究交流型産業ゾーンの形成
・情報通信産業、健康産業等の研究開発部門の誘致を推進し、周辺
に立地する大学等と連携して研究交流活動の場を形成
● 長期的な用地供給の仕組みづくり
・地権者との協働により、用地保有機関による用地の取得・保有・
供給や地権者用地の共同利用による用地の保有・供給等
● 主要幹線道路沿道への土地利用展開
・中部縦貫道路と宜野湾横断道路の沿道には、広域からの集客に期
待する土地利用を誘導
●
④
地球環境問題改善を先導す
る循環型社会モデル形成
循環型社会形成に挑戦する産業おこしや実験的なまちづくり等
を推進
・CO2の削減や資源循環に向けた技術開発と普及に取り組む住宅
産業、リサイクル産業、緑化産業等、新たなグリーンビジネスの
起業化や集積地形成
・また、徹底した省資源・エネルギーやゼロエミッションを目指し
た実験的な住宅地づくり
● 環境負荷の軽減に向けた先進的な都市基盤の形成
・交通に起因する省資源・エネルギーの促進
― 職住近接を実現する職住セット開発、テレワーク型の職住機
能の誘致、公共交通体系整備、歩行環境の改善を重視した交
通計画づくり
・資源循環型のまちづくり
― 地下水系の保全、省資源廃棄物の縮減・再利用の促進等に向
けて、供給処理の先進的な計画づくり
10
3.広域ビジョンとの連携に向けた今後の取組
○
広域ビジョンに示される基地返還跡地利用の主要なテーマについては、
「土地利用・環境づ
くり方針案」
(平成20年度調査)においても取り組んできており、今後引き続き、広域ビジ
ョンとの連携による計画づくりを進めていく。
○
今後、
「沖縄21世紀ビジョン」の実現に向けた重要な施策として、基地返還跡地の有効利
用に取り組み、沖縄県あるいは中南部都市圏の新たな発展に向けた基盤を築き、県内外から
の機能誘致によるパイの拡大を目指すことは、普天間飛行場の跡地利用を促進する上でも、
極めて重要と考えられる。
○
そのため、
「沖縄 21 世紀ビジョン(仮称)
」の今後の具体的な展開に向けて、中南部都市圏
の跡地利用に必要と考えられる取組について、これまでの検討成果を踏まえて、普天間飛行
場の跡地利用を促進する観点に立って、以下の2つの視点から整理している。
1)跡地の協働による計画・整備の必要性
2)跡地間の切磋琢磨による優れた計画づくりの必要性
1)跡地の協働による計画・整備の必要性
①
跡地の協働による南北公共交通軸の導入
・ 南北公共交通軸が跡地を経由するルートで整備される場合には、跡地全体の価値を高め、
跡地利用を促進するとともに、中南部都市圏全体がグレードアップされることにより、他
都市圏に対する競争力を高めることが期待される。
・
さらに、駅周辺における計画的開発により高度利用を誘導することにより、公共交通の
利用需要を拡大し、公共交通の運営に資することが期待される。
・ そのため、
「嘉手納より南」の跡地の協働により、南北公共交通軸の整備を促進するとと
もに、導入空間となる幹線道路等の整備や駅周辺への重点的な土地利用配置等を計画づく
りに反映させることが期待される。
②
跡地の協働による地域緑化の促進
・
「嘉手納より南」の跡地は中南部都市圏の都市軸上にバランスよく分布しているため、
跡地において重点的な地域緑化に取り組むことにより、沖縄21世紀ビジョンが目標とし
ている「全島緑化」を促進するとともに、中南部都市圏全体の地域イメージを効果的に向
上することが期待される。
・
そのため、緑地空間整備について、跡地に共通の計画水準や跡地毎の役割分担を定める
ことにより、それぞれの跡地における計画づくりに反映させることが期待される。
③
跡地の協働による需要の開拓
・
県内外からの跡地利用需要を開拓するためには、基地の大規模返還を契機とした中南部
都市圏のグレードアップに向けた取り組み振りを強力に情報発信を行う必要がある。
・
そのため、跡地のまちづくりについては、沖縄県が中心となって、振興策としての取り
組みの全体像を情報発信することにより、取組に対する信頼性を高めるとともに、幅広い
選択肢を提供することが期待される。
11
2)跡地間の切磋琢磨による優れた計画づくりの促進
①
優れた計画づくりによるパイの拡大
・
各跡地の地権者や所在する市町村が期待する導入機能の多くは共通しており、機能が求
める立地条件から見て、特定の跡地に限定されるような機能は少ないと考えられ、より優
れた計画づくりを行なった跡地が、県内外からの機能誘致を先導する役割を果たすものと
考えられる。
・
そのため、跡地間の切磋琢磨を通じて、跡地における計画のレベルを高め、その結果と
して、跡地全体における誘致機能のパイを拡大し、跡地の有効利用を促進することが期待
される。
②
地権者との協働による優れた計画つくり
・
優れた計画にもとづく跡地のまちづくりを実現するためには、計画的な用地供給や地権
者の積極的な参加によるまちづくりの可能性を計画づくりの前提として担保する必要があ
り、地権者との協働が不可欠である。
・
そのため、各跡地においては、地権者との協働による計画づくりの必要性について、地
権者の認識を共通にし、共同事業者としての結束を固めた上で、地権者との協働による計
画づくりの態勢を整える必要がある。
12
第Ⅱ章
交通分野に関する関連調査のレビュー
Ⅱ-1
広域的な交通計画のレビュー
1.沖縄県や中南部都市圏を対象とした交通計画のレビュー
1)沖縄県総合交通体系基本計画(平成 14 年3月
沖縄県)
①
計画の位置づけ
・
沖縄県では、復帰以後3次にわたる沖縄振興開発計画のもと、1981 年(昭和 56 年)、
1991 年(平成3年)の2度にわたる総合交通体系基本計画が策定されてきた。
・
本計画は、その後、沖縄並びに国内外を取り巻く社会・経済情勢の変化に対応した、新
たな交通体系のビジョンを明らかにするため、2002 年(平成14年)に策定された。
・
本計画は、2020 年(平成32年)を計画目標とし、「沖縄振興計画」の実現に寄与す
るとともに、県土レベル及び圏域レベルの総合交通計画体系の考え方を示しており、今後
の具体的な交通施策を推進する際の指針とすることを目的としている。
②
計画の概要
・
本計画は、
「沖縄の未来を育む交通体系の確立」を基本理念に「国際性、拠点性を育む交
通体系の確立」、「新たな活力と地域の魅力を支える交通体系の確立」及び「環境負荷が少
なく快適で安全に暮らせる交通体系の確立」を計画目標としている。
・
3 つの計画目標の達成に向けて、戦略的に推進する6つの分野を以下の様に設定し、分
野間の連携、分野毎のパッケージ型の取り組みにより効率的、効果的な実現を目指してい
る。
-国際交流拠点の機能強化
-産業・物流活動の支援
-沖縄観光の魅力向上
-自動車交通の円滑化
-新たな公共交通システムの形成
-e-アイランドの推進
③
普天間飛行場の跡地利用に関連する計画の内容
・
沖縄本島のラダー型骨格道路網の拡充に向けて、中部縦貫道路、宜野湾横断道路を整備
する。
・
今後の需要動向等を勘案して、モノレール延伸や南北軸を形成する軌道系交通システム
の検討を行う。
・
マルチモーダルの推進に向けた地域公共交通システムとして、普天間開発地域において
先進的な地域交通システムの実験的な取組みについて検討を行なう。
13
図Ⅱ-1
戦略的に推進する施策体系(沖縄県総合交通体系基本計画)
自動車交通の円滑化に向けた主な施策展開
新たな公共交通システムの形成に向けた主な施策展開
14
2)都市交通マスタープラン(平成 21 年3月 沖縄本島中南部都市圏総合都市交通協議会)
① 計画の位置づけ
・ 沖縄本島中南部都市圏では、昭和 52 年度に第 1 回、平成元年度に第 2 回の PT 調査が
実施されたが、その後、17 年が経過し、人口の増加、自動車交通の増大、少子高齢化、
地球環境問題、観光振興、返還軍用地跡地利用等、様々な課題が発生してきた。
・
これら情勢の変化や課題に対応するために、第 3 回 PT 調査を踏まえて、交通施設のハ
ード整備だけではなく、TDM 等ソフト施策との連携に着目した将来の沖縄本島中南部都
市圏の都市交通計画を策定することを目的としている。
② 計画の概要
・ 本計画は、概ね20年後である2030 年(平成42年)を目標とし、自動車だけでな
く、バスやモノレールなどの公共交通も含む都市交通全般に関する計画として、現況の都
市交通に関する分析、将来の都市圏構造の設定を踏まえ、将来交通計画の基本方針のもと、
「将来公共交通ネットワークの計画」、
「将来道路ネットワークの計画」が立案されている。
・
都市交通の基本理念「環境・振興・安心の3つが調和・持続する都市圏の構築」のもと
に、「当面、環境に重点を置いた施策を展開かつ、振興と安心に必要な施策も同時に展開」
することが基本方針とされている。
③
将来公共交通ネットワークの計画(図Ⅱ-2参照)
・
那覇から沖縄に至る南北都市圏軸には基地跡地利用拠点を含めた集約型市街地と一体的
に定時速達性と輸送性に優れた新たな公共交通システムを導入する。
―多様な都市機能が連続し、基地跡地利用拠点等まちづくりの促進が期待される都市圏軸
の西側では、那覇市から沖縄市間での連続的なシステムを配置
―都市圏軸東側ではモノレール延長計画も活かし、副軸となる新たな公共交通システムを
導入
・
また、都市拠点における様々な交流の中心となる地域や、新たな公共交通システム、各
種バス交通網、自動車交通など多様な交通、観光などが交流する地域では、面整備事業な
どと一体となった主要な交通結節点を配置する。
―主要な交通結節点として、瑞慶覧・普天間周辺には北谷、嘉手納、読谷方面へサービス
するフィーダーバス路線、地域拠点間の連絡バス、P&R機能が新たな公共交通システ
ムと連携する交通結節点を配置
④
将来道路ネットワークの計画(主要幹線道路)(図Ⅱ-3参照)
・
国道58号、国道329号、国道330号、中部縦貫道路は、放射道路として都市圏を
縦貫するよう配置され、都市拠点と北部圏域を連結しながら、基地跡地利用拠点(瑞慶覧、
普天間、牧港)、広域交流、物流拠点、交流拠点を連結する。また、並行する西海岸道路や
沖縄自動車道の補完的役割を担い、大量で長トリップの交通を処理する機能を担う。
・
中部横断道路・宜野湾北中城線、宜野湾横断道路、浦添西原線は、都市圏を東西に横断
するよう配置し、放射道路間を連結することで、各拠点間の連結機能を強化する。
15
図Ⅱ-2
将来公共交通ネットワークの計画(都市交通マスタープラン)
16
図Ⅱ-3
将来道路ネットワークの計画(都市交通マスタープラン)
17
3)沖縄県都市計画・モノレール課との意見交換の成果
①
「総合交通戦略」策定にあたっての取組
・
沖縄県では、平成20年度に策定した都市交通マスタープランの実現に向け、平成 21、
22 年度の2年間にわたり総合交通戦略の策定を進めている。
・
総合交通戦略では、新たな公共交通システムの導入について、「那覇市・浦添市・宜野
湾市・沖縄市地域公共交通総合連携計画」、
「中南部都市圏における新たな公共交通システ
ム可能性調査」(沖縄県交通政策課)との連携を図る。
②
新たな公共交通システムの導入にあたっての基本的な考え方
・
総合交通戦略では、今後10年間に取り組む公共交通システムについて、以下を位置づ
けている。
―
南北都市圏軸の西側
:
国道58号を機軸とした基幹バスの導入
―
東側
:
西原までのモノレールの延長
・
中長期的には、都市交通マスタープランにて、基幹バス、モノレール、LRT等を含め
検討することとしている。
・
交通結節点については、具体的な位置は未定であるが、地理的に普天間・瑞慶覧は交通
の要所となり、現在の国道58号と県道宜野湾北中城線の伊佐交差点付近が想定される。
4)沖縄県道路街路課との意見交換の成果
①
「基地跡地交通網計画調査」の概要
・
基地跡地の有効利用に向けて、既存の道路網と基地返還を考慮した道路のあり方や必要
とされる交通機能・空間機能を含めた検討を行ない、生産活動の拡大に伴う自動車交通の
増加に対応する道路網の充実、交通渋滞の緩和に向け、平成 19 年度から平成 21 年度の
3年間にわたり、基地跡地内幹線道路網の整備計画の策定に必要な調査を実施している。
②
普天間飛行場跡地関連道路にかかる検討
・
普天間飛行場跡地関連道路については、(仮)中部縦貫道路と(仮)宜野湾横断道路を
対象とした道路構造の検討が行われている。
18
2.宜野湾市都市計画マスタープランにおける交通計画のレビュー
1)宜野湾市都市計画マスタープラン策定の概要
①
計画策定の経緯と目的
・
宜野湾市においては、平成7年度に都市計画マスタープランの原案を作成したが、駐留
軍用地の返還見通しが得られていなかったため、基地利用の継続を前提とした検討が行な
われた。
・
その後、平成8年にSACOによる返還合意が行なわれたのを受けて、跡地利用を含む
都市計画マスタープランの作成が必要となったため、平成13年度に調査検討が開始され、
平成16年10月に都市計画マスタープランが策定されている。
・
なお、今後の跡地利用にかかる具体的な検討にもとづき、都市計画マスタープランの改
訂版を策定していくことが予定されている。
・ 「全体構想」の構成に向けた「交通施設の整備方針」として、
「交通施設配置の基本方針」
と「将来道路網配置計画」が策定されている。
②
「交通施設配置の基本方針」の概要
・
将来都市構造の誘導と活力あるまちづくりを実現する。
―基地返還を契機とした基地所在に起因する都市構造の歪みを是正し、都市骨格の形成や
市内の都市拠点間の連携の促進等を目標
・
効率的な交通処理システムを構築する。
―通過交通と都市内交通の棲み分けに向けた段階的な道路網の構成や交差点における交通
阻害要因の排除による自動車走行環境の改善等を目標
・
暮らしやすく、快適・安全なまちづくりを実現する。
―交通需要の多様化の一層の進展への対応、防災機能の強化、ゆとりある道路空間の創出
等を目標
・
公共交通の利用促進と、環境に配慮した人と自然にやさしい道路網を形成する。
―公共交通利用の促進に向けたバスレーン・停車帯の設置や停留所の滞留スペース・アプ
ローチの確保、軌道系交通システムの導入やTDM(交通需要管理)の検討による公共
交通の利用促進を目標
③
「将来道路網配置計画」の概要
・
「交通施設の整備方針」において「将来道路網配置計画」が取りまとめられており自動
車専用道路・主要幹線道路、幹線道路の路線名称と配置図が示されている(図Ⅱ-4)。
・
また、モノレールと連絡する軌道系交通システムの導入とその活用のために普天飛行場
跡地にバスターミナルやパークアンドライド用の駐車場設置を検討することが方針とされ
ている。
・
「将来道路網配置計画」を含む「全体構想のまとめ」において、普天間飛行場跡地内に
ついては、跡地利用計画の具体化とあわせて修正を進めるものとされている。
19
図Ⅱ-4
※
宜野湾市都市計画マスタープランの将来道路網
宜野湾市都市計画マスタープランの将来道路網計画図をベースに、地域別全体構想図に
示される整備済み・未整備の区分、補助幹線道路の情報を加味して作成
2)宜野湾市都市計画マスタープラン策定までの取組
①
都市計画道路にかる計画決定の経緯
・
宜野湾市の都市計画道路の多くは、本土復帰前の昭和 43 年に駐留軍用地を除いた形で
計画決定されている。
②
「宜野湾市道路整備プログラム(平成14年3月)
」の概要
・
宜野湾市の都市内幹線道路の計画的かつ効率的な都市内幹線道路網の整備を目的とし
て、宜野湾市の将来の都市内幹線道路網形成のあり方を取りまとめたものである。
・
取りまとめられた成果は宜野湾市都市計画マスタープランの将来道路網計画に反映さ
れている。
20
3)宜野湾市都市計画課との意見交換の成果
①
「将来道路網配置計画」策定にあたっての基本的な考え方
・
幹線道路網計画の策定にあっては、既定計画をできるだけ尊重することとし、止むを得
ず既定都市計画道路の計画変更(拡幅、ルート変更、廃止等)を伴う場合には、沿道地域
に悪影響が及ばないように配慮している。
・
都市計画マスタープランにおいては、自動車専用道路と主要幹線道路が4車線以上と考
えているが、
「都市交通マスタープラン(平成 21 年3月
沖縄本島中南部都市圏総合都市
交通協議会)
」を受けて道路の位置づけが変更される可能性がある(都市計画マスタープラ
ンでは宜野湾横断道路は幹線道路であるが、
「都市交通マスタープラン」では主要幹線道路
として位置づけられている)。
・
現在の国道58号及び国道330号の交通負荷の軽減による生活軸としての機能強化
(歩道の拡幅、道路緑化の推進等)等を視野に入れた検討が行なわれている。
・
なお、将来道路網配置計画は、都市計画マスタープランにおける道路網を基本としなが
ら、
「都市交通マスタープラン」や整備状況等の変化を踏まえ見直すものとし、以下の点に
ついて提案し意見交換を行った。
―
並松街道の入口にあたる普天間三叉路周辺の既存の商業ゾーンの再開発、並松街道復
元と合わせた跡地の北のゲート機能の確保
―
並松街道の復元効果を高めるため、旧ルートで緑道等として整備
―
跡地における機能立地を誘導するため、沖縄コンベンションセンター、沖縄国際大学、
琉球大学を結んだ交流ゾーンを跡地内に配置
②
幹線道路整備等にかかる現在進行中の取組
・
大山土地区画整理事業計画区域においては、田芋畑の保全と市街地整備を両立させる計
画づくりの方針(15ha を保全ゾーン、34ha を開発ゾーン)が固められてきており、
あわせて、計画区域内の都市計画道路学園通り大山線と宜野湾市都市計画マスタープラン
においては宜野湾横断道路として位置づけられている道路であり、大山地区の開発ゾーン
と連携させながら計画づくりを進めたい。湧水は、保全ゾーンの農業用水、開発ゾーンの
せせらぎ等として活用することとしたい。
・
都市計画道路真志喜中央線と都市計画道路真栄原佐真下線を結ぶ区間(宜野湾市都市計
画マスタープランの(仮)真栄原真志喜線)の計画づくりに取り組んでおり、地元説明会
を進めている。この幹線道路は沖縄コンベンションセンターと琉球大学を結ぶ軸となる。
21
Ⅱ-2
交通分野の計画方針の予備的な取りまとめ
1.計画方針の取りまとめに向けた計画課題の整理
1)広域的な交通計画の反映
①
都市交通計画の基本方針(都市交通マスタープラン)にもとづく跡地における計画課題
・
環境に対する方針(車利用を増やさない、不必要な車利用を減らす)にもとづき、公共
交通利用の促進に向けた土地利用配置(公共交通システムのルート沿いに発生集中交通量
が大きな土地利用を誘導することなど)や歩行者交通・自転車交通の安全性・快適性に配
慮した交通施設の整備を計画課題とする。
・ 振興に対する方針(目指す都市圏構造、土地利用、振興策を戦略的に誘導)にもとづき、
振興拠点形成に向けた土地利用誘導の軸となる幹線道路の整備、都市拠点の広域的な集客
性の向上に向けた幹線道路網の配置及び広域的な観光流動軸となる幹線道路からみた優れ
た景観の演出を計画課題とする。
・
安心に対する方針(子どもからお年寄りまで、どこでも安全で安心して暮らせる)にも
とづき、隣接市街地とあわせた生活圏形成に配慮した幹線道路網の配置や安全、安心を重
視した交通計画による新たな住宅需要の喚起を計画課題とする。
②
跡地利用計画の与件とする広域的な交通計画
・
「都市交通マスタープラン」による主要幹線道路の新規計画を与件とする。
―「都市交通マスタープラン」にもとづき、中部縦貫道路と宜野湾横断道路を跡地利用に
関連する主要幹線道路として受けとめ、跡地内の区間については、計画の具体化に向け
た今後の検討成果にもとづき、跡地利用計画を策定
・
宜野湾市都市計画マスタープランによる宜野湾市の「将来幹線道路網配置計画」につい
ては、跡地利用から見た評価・検討を行い、与件とする計画を取りまとめる。
―跡地利用による幹線道路については、宜野湾市都市計画マスタープランの基本的な考え
方にもとづき、跡地利用計画の策定に向けたこれまでの検討成果にもとづく再検討を行
い、宜野湾市全体の幹線道路網計画との調整を図った上で、
「全体計画の中間取りまとめ」
に反映
・
広域的な公共交通システムの計画の具体化とあわせた跡地利用計画の再検討を行う。
―公共交通システムの導入計画は、幹線道路網配置パターンはもとより、土地利用配置パ
ターンにも大きな影響を及ぼすと考えられるが、現時点では公共交通システムの計画づ
くりの方向やスケジュールは未定であり、今回の検討の対象にできないが、将来公共交
通網計画の具体化に向けた今後の検討成果を踏まえて、跡地利用計画との整合に関する
再検討を行なうことを予定
22
2)他分野の検討成果にもとづく計画課題
①
土地利用分野(振興拠点、住宅地、都市拠点)との連携
・
振興拠点ゾーンの形成に向けた計画課題としては、広域的な観光流動の主軸となる幹線
道路からのアクセス、宜野湾市の西海岸のコンベンション施設やリゾート施設との連携、
跡地周辺の大学等や本島内の他の拠点との連携に向けた交通網整備を重視する。
・
都市拠点ゾーンの形成に向けた計画課題としては、新しい拠点を立ち上げる起動力とな
る広域的な交通利便の確保、宜野湾市の新しい都心にふさわしい宜野湾市内から集まりや
すい交通網の配置を重視する。
・
地域産業ゾーンの形成に向けた計画課題としては、既成市街地からの移転立地の促進に
つながる交通利便の確保等を重視する。
・
居住ゾーンの形成に向けた計画課題としては、都市圏内需による住宅立地を促進するた
めに、中南部都市圏の主要な従業地の通勤者の住宅地としての立地条件整備に向けた公共
交通システムの計画づくり等を重視する。
②
環境づくり分野(環境・公園)との連携
・
環境共生に向けた計画課題としては、環境負荷の低減に向けた公共交通システムの導入
と連携した道路網の配置、原状回復工事によって発生する廃材を道路整備に活用すること
等を重視する。
・
風景づくりに向けた計画課題としては、跡地の魅力を広くアピールするために、多くの
人々が利用する幹線道路からの優れた風景づくりを重視する。
・
緑豊かな環境づくりに向けた計画課題としては、跡地の緑地空間ネットワークの形成や
緑の豊かさを効果的にアピールするために、広幅員の植樹帯を整備する等、高水準の道路
緑化を重視する。
③
供給処理分野との連携
・
供給処理施設のネットワーク形成に向けた計画課題としては、道路空間の有効活用に向
けて、供給処理のための地下埋設物の計画づくりと道路計画との連携を重視する。
・
地下水系保全に向けた計画課題としては、道路舗装による地下水系への影響を緩和する
ために、道路排水の地下浸透施設の整備等を重視する。
④
文化財・自然環境分野
・
埋蔵文化財、洞穴、地下水系等への影響を防止するための計画課題としては、文化財保
護や地盤環境との整合に配慮した幹線道路のルートや構造等の計画づくりを重視する。
⑤
周辺市街地分野との連携
・
周辺市街地整備との連携に向けた計画課題としては、新規計画幹線道路の沿道地域にお
ける市街地整備の計画づくりと連携した幹線道路の位置選定、跡地と周辺市街地にまたが
る一体的な生活圏形成に配慮した生活道路の計画づくり等を重視する。
23
2.計画方針の予備的な取りまとめ
1)都市基盤の再編・強化に向けた方針
①
主要幹線道路の整備
・
中南部都市圏の都市軸を形成している連担市街地内には多くの駐留軍用地が置かれ、骨
格となる幹線道路網の計画づくりの障害となってきたが、嘉手納より南の返還を契機とし
て、跡地利用による新規の幹線道路を加えた将来道路網の計画づくりが進められている。
・
「全体計画の中間取りまとめ」においては、中南部都市圏のラダー状の骨格を強化する
ために、普天間飛行場の跡地において、中部縦貫道路と宜野湾横断道路の2本の主要幹線
道路を整備することを計画づくりの方針とする。
②
宜野湾市の幹線道路網の整備
・
普天間飛行場が宜野湾市の中央部を占めているため、市内の交通が迂回を強いられてお
り、また、スプロール状の市街化や地形条件等から幹線道路整備に地域格差が生じている
ため、宜野湾市都市計画マスタープランにおいては普天間飛行場の跡地利用を契機とした
将来道路網配置計画を作成している。
・
普天間飛行場の跡地においては、宜野湾市都市計画マスタープランの将来道路網配置計
画をもとに、跡地利用計画の策定に向けたこれまでの検討成果にもとづき、跡地利用から
見た検討案を作成し、宜野湾市全体の幹線道路網計画と調整した上で、
「全体計画の中間取
りまとめ」を行なうことを方針とする。
③
広域的な公共交通システムの導入空間としての幹線道路の配置
・
公共交通利用の促進は中南部都市圏における都市交通計画の最大の課題として位置づけ
られており、跡地に新しい公共交通システムを導入し、跡地の土地利用配置と連携したル
ートを設定することは、跡地利用を促進する上でも、極めて重要と考えられるため、跡地
利用計画の策定までには、その可能性について確認し、計画づくりに反映させることを方
針とする。
2)土地利用との連携に向けた方針
①
振興拠点ゾーンや都市拠点ゾーンおける機能立地の促進に向けた交通網の計画づくり
・
振興拠点や都市拠点は、都市機能集積地を全く新しく形成するものであり、拠点形成を
起動させるためには、特段の立地条件整備が必要である。
・
そのため、中南部都市圏の主要な交通動線と拠点の直結性を高めることを重視して、拠
点形成との連携に向けた交通網の計画づくりを進めることを方針とする。
②
土地利用ゾーンのまとまりや安全・快適な生活圏の形成に向けた幹線道路の配置
・
土地利用ゾーン毎の空間の一体性を確保するとともに、安全・快適な生活圏を形成する
ためには、幹線道路による分断を回避する計画づくりが必要となる。
・
そのため、土地利用ゾーンの配置計画との整合性に配慮した幹線道路の計画づくりを進
めることを方針とする。
24
③
公共交通システムによる跡地利用の促進と公共交通利用の拡大に向けた計画づくり
・
中南部都市圏を縦貫する公共交通システム等を跡地に導入することにより、集客力を高
め、来住者を拡大し、跡地利用を促進する上で大きな効果を発揮するとともに、土地利用
配置計画にも大きな影響を及ぼすことになる。
・
そのため、広域的な公共交通システムに関する今後の計画づくりと連携して、跡地にお
いては、土地利用配置と公共交通のルートの配置との整合に配慮した計画づくりを進める
ことを方針とする。
3)環境づくりとの連携に向けた方針
①
自動車利用の削減に向けた計画づくり
・
CO2の削減等により、交通に起因する環境負荷を軽減するためには、自動車利用の削減
に向けた取り組みを重視する必要がある。
・
そのため、自動車利用からの転換を図るために、歩行、自転車利用及び公共交通利用の
拡大に向けた計画づくりを進めることを方針とする。
②
幹線道路からの優れた風景の演出
・
広域的な動線となる幹線道路からの風景は、観光客を含め、多くの人々が目にするもの
であり、幹線道路からの優れた風景づくりは、多くの人々に跡地のまちづくりの魅力を発
信する方法として優れており、跡地利用の促進に向けた取組として重視する必要がある。
・
そのため、幹線道路からのオーシャンビューや緑豊かな眺望等を効果的に演出すること
に配慮して、幹線道路の計画づくりを進めることを方針とする。
③
高水準の道路緑化の推進
・
跡地利用基本方針においては、跡地利用の促進に向けた戦略的な取り組みの一つとして、
優れた環境づくりによる跡地の魅力の向上を目標としており、緑豊かなまちづくりを重視
する必要があり、道路緑化は多くの人々に跡地の緑の豊かさを印象づける有力な手段とし
て期待される。
・
そのため、多くの人々が利用する幹線道路については、広幅員の植樹帯の整備や樹種の
選定等により、高水準の道路緑化に向け計画づくりを進めることを方針とする。
4)文化財・自然環境分野との連携に向けた方針
①
埋蔵文化財や自然環境の保全に向けた計画づくりの方針
・
立ち入り調査が制限され、十分な情報収集ができないため、
「全体計画の取りまとめ」段
階では、幹線道路計画と埋蔵文化財や自然環境の保護計画との整合性について検証できな
い状況に置かれている。
・
そのため、今後の現地調査にもとづく保護計画等の策定を待って、見直しを行なうこと
を予定した計画づくりを進めることを方針とする。
②
地盤環境との整合に向けた計画づくりの方針
・
地下構造を含む幹線道路整備にあたっては、洞穴の崩落や地下水系の分断等につながる
25
おそれがあるが、上記と同様に、検証できない状況に置かれている。
・
そのため、今後の現地調査にもとづく地盤環境への対応方針等の策定を待って、見直し
を行なうことを予定した計画づくりを進めることを方針とする。
5)周辺市街地整備との連携に向けた方針
①
周辺市街地から見た幹線道路計画に対する条件づけ
・
周辺市街地における幹線道路のルート選定にあたっては、コミュニティの分断の回避、
沿道地域整備の促進等に配慮する必要がある。
・
そのため、幹線道路については、周辺市街地整備との連携に配慮した計画づくりを進め
ることを方針とする。
②
跡地と周辺市街地にまたがる生活圏形成に向けた生活道路の整備
・
跡地利用から見ると周辺市街地の生活関連サービス機能を活用した住宅立地の促進が期
待され、周辺市街地から見ると跡地に整備される緑地空間や新しい生活関連サービス機能
の利用等が期待される。
・
そのため、
「周辺市街地整備調査」等と連携して、跡地と周辺市街地にまたがる一体的な
生活圏形成に向けた生活道路等に関する計画づくりを進めることを方針とする。
26
3.跡地利用計画の策定に向けた今後の取組
1)「全体計画の中間取りまとめ」に向けた取組
①
宜野湾市全体の幹線道路網計画との整合性の確保
・
中南部都市圏の都市交通マスタープラン、本調査において作成した「検討案」及び宜野
湾市都市計画マスタープラン策定後の状況の変化等を踏まえて、宜野湾市においては、宜
野湾市全体の幹線道路網計画の再検討を予定しており、その検討成果を「全体計画の中間
取りまとめ」に反映させる。
②
「周辺市街地整備調査」の検討成果の反映
・
幹線道路の周辺市街地区間のルートについては、「周辺市街地整備調査」等と連携して、
既成市街地に及ぼす影響や幹線道路沿道開発の可能性等にかかる検討を行い、ルート選定
のための計画条件を固める必要がある。
・
とくに、幹線道路整備が遅れている国道330号沿道市街地においては、一体的な幹線
道路網計画の形成を目指しており、これらの計画との整合に配慮した検討を進め、
「全体計
画の中間取りまとめ」に反映させる。
③
主要幹線道路等の計画条件の具体化
・
主要幹線道路等の車線数、幅員、副道の有無、出入り制限、道路構造等の計画内容は、
沿道の環境や土地利用可能性を左右することになるため、
「全体計画の中間取りまとめ」の
段階においても、計画条件の一つとして反映させる必要がある。
・
そのため、施設管理者等による検討と連携して、跡地における計画条件を明らかにし、
「全体計画の中間取りまとめ」に反映させる。
-中部縦貫道路については、交差道路との結節方式、沿道宅地からの出入り制限等に関す
る検討や国道330号との交差部、跡地の南北の既成市街地区間、県道81号線との交
差部の構造的な検討にもとづき、計画条件を整理
-宜野湾横断道路については、跡地の東西の既成市街地区間のルート、西側斜面区間の道
路構造(トンネルか、オープンカットか等)等に関する検討の成果にもとづき、計画条
件を整理
2)「全体計画の中間取りまとめ」の見直しに向けた今後の取組
①
公共交通システムの計画づくりの促進
・
新しい公共交通システムは、幹線道路を導入空間とする可能性が高いため、幹線道路の
計画づくりは、公共交通システムの計画づくりと連携して進める必要があるが、具体的な
計画の方向が明らかになるまでには時間を要すると考えられる。
・
そのため、平成22年度に予定する「全体計画の中間取りまとめ」にあたっては、平成
21、22年度にわたって実施される「中南部都市圏における新しい公共交通システム可
能性調査」の検討成果を最大限に反映するとともに、その後の計画の具体化に向けた検討
と連携して、跡地利用の促進に向けた計画づくりを促進し、その成果をもとに、
「全体計画
の中間取りまとめ」を見直すこととする。
27
②
文化財・自然環境分野の計画方針にもとづく見直しを予定した計画づくり
・
駐留軍用地の立ち入り調査が制限されているため、埋蔵文化財、地盤環境、生物等につ
いての情報収集が不足しており、また、滑走路等の地下部分については返還後の情報収集
を余儀なくされるため、少なくとも「全体計画の中間取りまとめ」までには、文化財・自
然環境に関する計画方針の取りまとめが間に合わない状況にある。
・
そのため、「全体計画の中間取りまとめ」やその後の計画の具体化にあたっては、今後、
文化財・自然環境に関する情報収集にもとづく計画方針の取りまとめが行われた段階で、
幹線道路網計画の見直しを行なうことを前提とした取組を進めるとともに、見直しが必要
となる可能性について幅広く想定を行い、計画づくりにあたっての留意事項として踏まえ
ることとする。
28
第Ⅲ章
供給処理分野に関する計画方針の検討
Ⅲ-1
供給処理分野の計画条件の整理
1.既定計画から見た計画課題の整理
○
各施設の既定計画では、普天間飛行場は現状利用を前提とした計画としている。このた
め、返還に伴い各施設計画を再確認し、必要に応じて跡地利用計画への反映が必要である。
1)既定計画等の概要
①
上水道
・
平成17年度に「宜野湾市水道事業変更認可申請書(第10次拡張事業)」の見直しが行
なわれ、平成26年度目標として、一日最大給水量 36,700m3日(現施設の公称能力は
39,300m3日)を設定している。
・
米軍基地(普天間・瑞慶覧)の一日平均使用水量を 2,200m3日と設定している。
②
下水道
(流域下水道)
・
平成20年度「沖縄中部流域下水道事業計画認可申請書」の平成 40 年度目標の全体計
画において、伊佐浜処理区の計画人口が 355,900 人(内、宜野湾市が 110,100 人)、
計画汚水量(日最大)が 178,000m3/日(内、宜野湾市が 48,667m3/日)と見込ま
れている。米軍基地(普天間・瑞慶覧)の計画汚水量は 2,288m3/日と見込まれている。
伊佐浜処理区の宜野湾浄化センターの処理能力は最大 118,000m3/日であり、平成1
・
9年度実績では、99,450m3/日を受け入れている。
(公共下水道)
・
宜野湾市流域関連公共下水道の平成 19 年度の整備済面積は 1,740ha、計画面積整備
率が 88.2%、処理区域内の水洗化率が 97.7%である。
・
普天間飛行場の区域は伊佐処理分区に含まれている。
③
ごみ処理
・
宜野湾市から排出されたごみは、沖縄市、北谷町とあわせた2市1町で構成される倉浜
衛生施設組合の中間処理施設で焼却または破砕され、残滓は埋立処分されている。また、
資源ごみ、ペットボトル、草木類は民間業者により再資源化されている。
・
平成18年10月の「沖縄県倉浜地域循環型社会形成推進計画」により、平成22年度
供用を目標として、発電による熱回収を行なう新しい焼却施設(約 309t/日、現在の能
力は約 220t/日)、リサイクルセンター(約 83t/日の選別・破砕・圧縮・梱包)が
整備される予定である。
29
④
ガス
・
現在、宜野湾市の全域がプロパンガス供給区域である。
・
浦添市、西原町、中城村の一部が都市ガス供給区域となっており、都市ガス事業者では、
中城村に建設予定の火力発電所から液化天然ガスを受け入れ、供給区域を拡大することを
方針としており、宜野湾市のその対象となっているため、普天間飛行場の跡地への供給も
視野に入れている。
⑤
電力
・
電力事業者は、返還後の土地利用計画などの内容に応じて、既存施設の活用や新設を検
討し、電力供給計画を具体化することを方針としており、その場合には、跡地内に変電所
の新設が必要と指摘されている。
⑥
情報通信
・
現在、宜野湾市においては、光ファイバー、DSL、CATVによるブロードバンドサ
ービスが提供されている。
・
情報通信事業者では、返還後の土地利用計画、将来人口計画に応じて情報通信サービス
計画を具体化していくことを考えている。
・
総務省では、ユビキタスネットワーク技術等を活用したサービス開発、実証実験等を促
進することを目的とした「ユビキタス特区」事業を実施しており、沖縄県では5事業が実
施されている。
2)跡地利用計画において対応すべき課題
①
上水道
・
現施設の公称給水能力に余力が少なくなっているため、今後、跡地利用にともなう需要
増の見通しを踏まえて、施設増強の必要性などについて検証を行なう必要がある。
・
跡地における配水池の設置が必要となり、人口・土地利用計画にもよるが、1,000 ㎡程
度の敷地の確保を予定する必要がある。
②
下水道
・
流域下水道については、宜野湾浄化センターの処理能力内に収まると推定されるが、跡
地の人口・土地利用計画にもとづく再検証が必要である。また、高度処理水を利用するた
めには、サテライト処理場の必要性についての検討が必要である。
・
公共下水道については、跡地利用計画の具体化とあわせて、周辺市街地を含めた計画づ
くりが必要となる。
③
ごみ処理
・
跡地から発生するごみ処理は、整備中の施設の処理能力で対応できると想定される。
④
電力、ガス、情報通信
・
跡地利用計画の具体化とあわせて、それぞれの供給事業者による計画づくりを促進する
必要がある。
30
2.循環型社会形成に向けた新たな取組の方向
1)供給処理分野において取り組むべき課題
①
新しいエネルギーの開発
・
環境に配慮した都市開発において、エネルギー消費の低減を図るため CO2 排出が少ない
エネルギー源として、建物排熱等の未利用エネルギーや太陽エネルギー、地中熱、バイオ
マス等の再生可能エネルギーの活用に取り組まれている。
沖縄県では、一次エネルギー供給は、原油・石油製品と石炭に依存しており、CO2 排出
・
抑制にむけたエネルギー源のクリーン化の観点から、未利用・再生可能エネルギーの開発
が必要である。
②
地域におけるエネルギー供給管理
・
都市活動を維持しながら省エネルギーを達成する手法として、エネルギー需要のピーク
が異なる建物間でエネルギー融通するなど、地域単位でエネルギー利用の最適化を行う面
的なエネルギー供給管理が必要である。
・
再生可能なエネルギーは一般的に出力が安定しないという特性があり、複数の分散型電
源や電力貯蔵システムを組み合わせて制御することにより、電力の地域自給を可能とする
必要があり、小規模の電力供給網の実証的な取り組みが行われている。
③
跡地の特性に配慮した水資源循環
・
跡地は琉球石灰岩台地上に位置し、地下水系が発達しているため、健全な水循環を確保
するためには、流域全体における貯留浸透・涵養機能を増進する必要がある。
・
沖縄県においては、水資源を他から融通するのは困難であり、渇水への対応、湧水の量・
質への影響等の軽減、開発整備による流出増の軽減のための取り組みが必要である。
④
廃棄物のリサイクル
・
都市活動に伴い発生する廃棄物については、その発生の抑制(リデュース)に努めると
ともに、リユースやリサイクルを促進することにより、資源循環を推進するとともに、ご
み焼却場や最終処分場等にかかる負荷を軽減する必要がある。
・
リサイクルを促進するためには、ごみ処理施設に集めてからリサイクルの工程にのせる
だけでなく、コミュニティ単位での生ゴミの肥料化等に取り組むことが重要である。
⑤
情報通信基盤の整備
・
情報通信基盤の整備は、これからの経済活動や市民生活に不可欠であり、不要な移動を
抑制することによる環境負荷を軽減し、循環型社会形成を推進する上で重要である。
・
そのため、跡地においては高水準の情報通信基盤の整備とあわせて、それらを活用した
機能の誘致や生活利便の向上に努め、跡地利用を促進する必要がある。
31
2)先進的な取組を行なっている北九州市における取組のレビュー
①
「城野地区低炭素先進モデル街区」の取組
・
城野地区は、自衛隊分屯跡地利用、UR都市再生機構城野団地の再編計画による土地利
用転換を契機に、JR城野駅に近接する特性を活かし、環境に配慮した居住機能中心の良
好なまちづくりとして、
「ゼロ・カーボン街区」を目指している。
・
主として、家庭での日常生活で排出される CO2 の排出削減をもたらす低炭素化技術・
方策の導入検討に取り組んでいる。
●
電気と熱の面的整備とネットワーク的な活用によるエネルギー供給システム
・太陽光発電等の再生可能エネルギーを街区全体で導入し、ネットワーク化
・エネルギーを融通しながら活用することで、街区内の再生可能エネルギーを効率的に活
用する供給システムを実現
―
街区内のあらゆる屋根に太陽光発電システムを設置
―
その他の再生可能エネルギーを最適配置し、ネットワーク化
―
系統電力、都市ガスのバックアップによるエネルギー安定供給の確保
―
リアルタイムのエネルギー使用量モニタリング及び管理機能を備えた計測端末機
(スマートメーター)によるエネルギー需要の最適管理
●
建物における再生可能エネルギー設備の設置誘導と多様な選択肢の提供
・住宅の熱需要(給湯・暖房、必要に応じて冷房)を再生可能エネルギーでまかなうよう
に住宅建築時の誘導を実施
・複数のシステムの選択肢を用意することで、ゾーンの特性に応じた特徴ある取り組みを
可能にする。
―
太陽熱利用:ゾーン内の建物の屋根に集熱パネルを設置し、集約型の蓄熱槽に集め
た熱を各戸に供給
―
地中熱利用:ゾーン内の地中深くに熱交換チューブを埋設し、年間を通して安定し
た温度を保つ地中熱の温度差をヒートポンプで回収することで熱を供給
―
木質ペレット利用:ゾーン内にペレットボイラを設置し、外部から供給される木質
ペレットを燃焼することにより生じる熱を各戸に供給
②
・
「北九州エコタウン事業」の取組
エコタウン事業とは、
「あらゆる廃棄物を他の産業分野の原料として活用し、可能な限り
廃棄物をゼロに近づける、いわゆるゼロエミッション」を目指し、資源循環型社会の構築
を図る事業。
・
北九州市では、独自の地域政策として、埋立地である若松区響灘地区を中心に環境分野
の「教育・基礎研究」(北九州学術研究都市)から「技術・実証研究」
(実証研究エリア)
「事業化」
(総合環境コンビナート、響リサイクル団地、響灘東地区等)に至るまで総合的
な事業を展開。
―
総合環境コンビナート、響リサイクル団地では、リサイクル工場やリユース工場の集
積によるメリットを生かし、リサイクル過程で発生する各工場からの残さを他の工場
で利用する相互連携。
―
さらに、サーマルリサイクルを行う複合中核施設の整備により、最終的にリサイクル
32
できない残さを受け入れるとともに、発電した電気をエコタウン企業に安価に売電す
るなどゼロエミッションに向けて取り組んでいる。
―
実証研究エリアでは、新たな環境産業を生み出すため、企業、大学などにより、最先
端の廃棄物処理技術をはじめ、資源リサイクル、新エネルギーなど幅広い環境関連技
術を実証的に研究する施設を集積。
―
実証研究エリア内にある北九州市エコタウンセンターは、エコタウン事業を生きた教
材として活用する環境学習拠点として、また、エコタウン事業を総合的に支援する中
核施設として整備。次世代エネルギーパークは、新エネルギーを中心にエネルギー問
題への理解の増進を深めることを通じて、エネルギー政策の推進に寄与することを目
的に整備。
③
「八幡東田地区」の取組
・
八幡東田地区は、官営八幡製鉄所の操業から新日本製鉄の跡地となった区域について、
土地区画整理事業により基盤整備を行った、産業・業務・文化・居住等の機能が複合化し
たまちである。北九州市が目指す「世界の環境首都」のモデルとなる環境配慮したまちと
して各種の取り組みが行われている。
・天然ガスコジェネ発電電力地域内利用
電力供給者と東田地区内に立地する企業等が組合を設立し、地域内で発電電力を利用。
・事業所向けカーシェアリング事業
低公害車を複数の者が共同利用することにより、環境への負荷を軽減。
・環境共生住宅
天然ガスコジェネ発電電力を利用し、太陽光発電設備、エコキュート等の省エネ型の
設備等を備え、カーシェアリングも装備することにより CO2 排出量の約 30%削減を
した環境共生住宅。
・東田エコクラブハウス
パッシブソーラー等を活用した環境配慮型の建築物であり、環境保全活動を行うNP
O法人等の環境活動、啓発活動の拠点として活用。
・北九州市「SHINE博物館構想」
環境ミュージアム、いのちのたび博物館、北九州産業技術保存継承センターを設置し、
環境・自然・産業に関する歴史や技術についての教育や情報発信の拠点として形成。
・八幡東田まちづくり連絡会
立地企業等で構成し、環境保全活動に取り組んでいる。
33
Ⅲ-2
供給処理分野の計画方針の取りまとめ
1.跡地に導入する新たな取組の選定(関連事例は資料-6参照)
1)跡地に導入する新しい取組の候補
○
供給処理施設の計画に反映できる取組の候補に限定してリストアップおり、循環型社会
形成に向けた取組の全てを網羅したものではない。
取組の分野
先進的な取組の候補
太陽光発電
再生可能エネルギー
新しいエネルギーの開発
太陽熱利用
自然エネルギー
風力発電
バイオマスエネルギー
(発電・熱利用・燃料製造)
リサイクルエネルギー
廃棄物エネルギー
(発電・熱利用・燃料製造)
温度差エネルギー
従来型資源の省エネルギー利用
燃料電池
天然ガスコージェネレーション
地域レベルのエネルギー供給管理
面的エネルギーシステム
(BEMS,AEMS など)
分散型エネルギー供給システム
(マイクログリット)
雨水貯留・地下浸透システム
跡地の特性に配慮した水資源循環
下水高度処理水利用システム
水循環とあわせた水辺環境の創出
資源ごみリサイクル
廃棄物のリサイクル
生ごみリサイクル
情報通信基盤の整備
テレワーク等の促進
34
2)新しい取組を導入する可能性の評価
①
エネルギー供給
取組の候補
太陽光発電
評価
◎:具体化に向けた検討対象、○:今後の検討課題、△:導入が困難
技術レベル
・実用済み
経済性レベル
・普及による低コスト化に期待
地域条件
・日照条件が良好であることが望ましい
期待される効果
経済性レベル
・余剰電力は電力会社に売電出来るため設置施設のコス
トメリットも期待できる
・現段階では出力が気象条件に左右されるため、蓄電池
と併設した補完的な電源としての導入が考えられる
・実用化済で実績も多い
・高温出力の技術開発が進んでいる
・比較的安価、メンテナンスが容易
地域条件
・日照条件が良好であることが望ましい
期待される効果
・温熱需要の大きな施設で高い省エネルギー効果が期待
できる
・高温出力の技術が進んでおり、熱源の一部としての導
入が考えられる。
・実用済み、単体では出力が不安定なため、風車開発、
蓄電池との併設システムなどの開発が課題
・発電コスト比較的低い、設置工期が短い
導入の可能性
技術レベル
太陽熱利用
導入の可能性
技術レベル
経済性レベル
風力発電
地域条件
期待される効果
技術レベル
・現段階では出力が気象条件に左右されるため、蓄電池
と併設した補完的な電源としての導入が考えられる
・実用化済み
経済性レベル
・イニシャルコストが高く、補助金活用等が前提となる
地域条件
・バイオマス資源入手と利用先の効率確保が可能な地域
期待される効果
・「カーボンニュートラル」な取組みとして発信
導入の可能性
技術レベル
・エネルギーの量や安定性が低く、都市ガス等との併用
が前提とした導入が考えられる。プラント設置は、臭
気や景観、ごみ搬入に伴う交通影響など都市づくりの
観点からの検討が必要である
・実用化済み
経済性レベル
・イニシャルコストが高い傾向にある
地域条件
・廃棄物処理施設の周辺が望ましい
期待される効果
・家畜糞尿や食品残渣の適正な処理につながり、食品リ
サイクル法への対応策にもなる
・宜野湾市が属する倉浜衛生施設組合が実施しており、
新しい施設も整備中であるため、跡地で実施する必要
性は低い
導入の可能性
バイオマス発
電・熱利用・
燃料製造
廃棄物エネル
ギー( 発電・
熱利用・燃料製
造)
・風況適地、設置のための道路、高圧送電線等の条件が
必要
・地域シンボルとしての効果
導入の可能性
35
○
○
○
△
△
技術レベル
・実用化済で全国に普及しつつある
経済性レベル
・建設規模が大きくイニシャルコストが高い
温度差エネル 地域条件
ギー(河川・
期待される効果
海水・地下水)
導入の可能性
燃料電池
天然ガスコー
ジェネレーシ
ョン
△
・河川・海岸に隣接していないため、跡地への導入は困
難である
技術レベル
・2009年から本格販売(家庭用燃料電池)
経済性レベル
・普及による低コスト化に期待
地域条件
期待される効果
・特になし(
・都市ガスなどの供給可能な地域
・クリーンでエネルギー効率の良いシステム
導入の可能性
・家庭用への導入が考えられる。
技術レベル
・実用化済で普及しつつある
地域条件
・特になし
期待される効果
・電気や熱を多く利用する施設に適した電源で、自家発
電設備として活用可能
・導入の可能性は高いが、跡地に立地する施設をみなが
らの検討が必要である。
導入の可能性
②
・大規模河川・海岸に隣接が望ましい
・地下水利用が可能な地域
・燃料を燃やすことがないため環境への貢献度が高い
○
○
エネルギー供給システム
取組の候補
面的エネルギ
ー供給システ
ム
評価
◎:具体化に向けた検討対象、○:今後の検討課題、△:導入が困難
技術レベル
・実用化済み
経済性レベル
・低コスト化技術開発による実用化が進んでいる
地域条件
・特に無し(大規模複合型の面的な市街地整備地区など)
期待される効果
・省エネルギー性、地域環境保全性、火災発生低減、景
観性の向上など都市環境向上にも期待できる
・一定の需要のまとまりが必要となるため、今後の跡地
利用の進展とあわせて導入可能性について判断する必
要がある。
・実証実験段階(当面は、既存の大規模発電網との共存
が現実的)
・当面は補助事業による支援が必要
導入の可能性
技術レベル
分散型エネル
ギー供給シス
テム(マイク
ログリット)
経済性レベル
地域条件
期待される効果
導入の可能性
・特に無し
・大規模複合型の面的な市街地整備地区など
・二酸化炭素の排出量の削減やエネルギー自給率が向上
し、地球温暖化対策として期待できる。
・再生可能エネルギー供給の進展振りを見守る必要があ
るため、今後の跡地利用の進展とあわせて導入可能性
について判断する必要がある。
36
○
○
③
水循環システム
評価
取組の候補
◎:具体化に向けた検討対象、○:今後の検討課題、△:導入が困難
期待される効果 ・雨水の一時貯留により流出を抑制し、地下浸透を促進
することにより、地下水の涵養や湧水の保全、雨水排
雨水貯留・浸
水施設に対する負荷の軽減が可能となる。
◎
・跡地利用の利用条件として定めることや雨水排水施設
透システム
導入の可能性
として整備することによって可能となる。
・跡地利用計画に導入する可能性は高いと見られる。
期待される効果 ・下水の高度処理を行い、処理水を利用することにより、
上水によらない緑地の維持管理等が可能となる。
下水高度処理シ
・宜野湾浄化センターにおいて高度処理された処理水を
○
導入の可能性
ステム
跡地に導入することになるので、宜野湾浄化センター
の施設増強については、今後の検討が必要である。
・跡地における水資源循環の一部に、表層水として活用
期待される効果
するしくみを組み込むことにより、公園内等に池やせ
水循環とあわ
せらぎを整備し、潤いのあるまちづくりが可能となる。
・貯留した雨水や下水の高度処理水を組み合わせて、水 ◎
せた水辺環境 導入の可能性
面の維持水を適切に確保するしくみを構築することに
の創出
より可能となる。
・跡地利用計画に導入する可能性は高いと見られる。
④
廃棄物のリサイクル
評価
取組の候補
◎:具体化に向けた検討対象、○:今後の検討課題、△:導入が困難
・缶類、ビン類、古紙、ペットボトル等の再資源化によ
り、省資源化や焼却施設の負荷軽減が促進される。
期待される効果
資源ごみのリ
サイクル
生ごみのリサ
イクル
導入の可能性
期待される効果
導入の可能性
⑤
・宜野湾市が属する倉浜衛生施設組合が実施しており、
新しい施設も整備中であるため、跡地で実施する必要
性は低い。
・家庭や飲食店等から発生する生ごみから堆肥生成を行
なうことにより、都市緑化への活用や焼却ごみの減量
が可能となる。
・施設単位やコミュニティ単位での取組であり、今後の
導入可能性が高い。
△
○
情報通信基盤
取組の候補
テレワーク等
の促進
評価
◎:具体化に向けた検討対象、○:今後の検討課題、△:導入が困難
期待される効果 ・ 情報通信技術を活用した場所や時間をとらわれない柔
軟な働き方であり、在宅勤務やサテライトオフィス等
の新しい勤務形態の実現、遠隔診療等による生活利便
○
の向上を図り、生活の場としての魅力向上に効果。
・政府では2010年に就業者人口の2割の実現に向け、
導入の可能性
普及に向け取り組んでおり、導入できる可能性は高い。
37
2.「全体計画の中間取りまとめ」に向けた計画方針の取りまとめ
1)既定計画や供給事業者との連携による計画づくりの方針
①
既定計画による供給処理能力の再検証
・
既存施設や既定計画による上水供給能力や下水処理能力については、跡地利用計画の具
体化とあわせて、跡地利用にともなう施設増強の必要性について、再検証を行ない、「全
体計画の中間取りまとめ」に反映する。
②
既定計画にもとづく供給処理施設計画の具体化
・
既定計画にもとづく上水道や公共下水道等の施設計画については、今後、土地利用計画
等の検討とあわせて、跡地利用計画の策定に向けた計画の具体化に取り組む。
③
供給事業者との連携による計画の具体化
・
電力、ガス、情報通信については、今後、跡地利用計画の策定に向けて、供給事業者と
の連携により、高水準かつ速やかな施設整備を目標とした計画の具体化に取り組む。
2)新しい取組の導入に向けた計画づくりの方針
①
新しい取組にかかる計画づくりの方針の取りまとめ
・
供給処理にかかる既定計画の対象とされていない新しい取組について、跡地への導入効
果や導入可能性を検証した上で、計画づくりの方針として取りまとめ、「全体計画の中間
取りまとめ」に反映する。
②
新しい取組の導入に向けた計画の具体化
・
これまでの検討において導入効果が高いと評価されている雨水貯留・浸透システムや水
循環とあわせた水辺環境の創出の実現には、跡地の基盤整備に反映させる必要があり、今
後、取組の具体化に向けた計画づくりを進め、跡地利用計画に反映させる。
38
第Ⅳ章
周辺市街地分野の関連調査との連携に向けた取組
Ⅳ-1
跡地利用と周辺市街地整備との連携の必要性・
課題の整理
1.「宜野湾市都市計画マスタープラン」のレビュー
1)指摘されている課題
①
都市構造の歪み是正に向けた幹線道路網の再編・強化
・
跡地利用の促進と宜野湾市全体における幹線道路網の再編・強化に向けて、東西3本、
南北2本の幹線道路が計画されている。
・ 基地所在が健全な都市形成を阻害してきたことに対して、跡地の開発・整備を契機に都
市構造の歪みを一体的に是正する必要がある。
・ 跡地利用を推進するためにも、周辺と結ぶ交通体系等のインフラ整備が不可欠である。
②
跡地整備との連携による周辺市街地の環境改善
・
密集市街地の環境改善は、公共用地不足、合意形成の難しさなど様々な要因から事業化
が進まないのが現状であり、跡地と一体的に整備することにより、既成市街地の整備を促
進することが課題とされている。
・
また、密集市街地の環境改善に向けた区画整理、再開発、用地買収方式等の事業を実施
する上で、跡地を事業の種地として活用することが課題とされている。
③
跡地における行政サービス拠点の形成
・
市庁舎は現位置に移転してから 20 数年が経過し、建替え・増床の時期が近い。
・
市庁舎の配置場所は、これまでの歴史的経緯や市民サービスの利便性、さらにシンボル
性などを考慮して、基地跡地の基幹都市軸上に配置する方向で検討することとされている。
・
また、市役所の跡地は、周辺の土地利用を考慮して市民の利便性に配慮した活用を図る
こととされている。
④
国際学園都市の形成
・
沖縄国際大学から琉球大学までの一帯の区域が国際学園都市と位置づけられている。
・
さらに、センター地区への新たな機能導入が想定される研究開発機能と国際学園都市と
の連携により新産業・新技術開発などを目指すこととされている。
39
2)周辺市街地の整備イメージ
①
想定される整備手法
・
普天間、野嵩地域付近
―密集、老朽化した市街地を形成(骨格道路の整備はそれほど必要ではない)
―街区再編の支援、密集住宅市街地整備促進事業による地権者の建替え支援
―地区単独での事業化が難しい場合、基地跡地整備と一体的な面整備事業を想定
・
大山、大謝名、喜友名地域など
―密集、老朽化した市街地を形成し、骨格道路の整備も期待
―建物更新需要があっても進捗しないため面的な市街地更新を期待
―地区単独での事業化が難しく、基地跡地整備と一体的な面整備事業も想定
・
東部の志真志、長田、宜野湾、我如古、赤道及び大謝名地域
―骨格道路・生活道路が不十分な市街地が一部みられる
―市街地環境の向上を目指した面整備事業を想定
図Ⅳ-1
想定される既成市街地の整備手法のイメージ(参考)
②
跡地整備と連携した周辺市街地整備のイメージ
・
長田、愛知、赤道など国道 330 号の周辺に位置する既成市街地では、都市基盤の整備
を図りつつ、良好な住環境を誘導する
・
宜野湾、志真志、我如古を中心とした地域は、比較的高密度な土地利用を計画的に誘導
するとともに、基地跡地利用と一体となった市街地形成に努める
・
普天間や野嵩地域など、住宅密集地域では、基地跡地利用における宅地供給にあわせて
土地の交換、移転などを促しながら公共用地の確保に努める
40
2.周辺市街地整備調査成果(平成 20 年度)等のレビュー
1)周辺市街地整備の主要な課題
①
防災上の問題を抱える市街地の改善
・
普天間、真栄原などの商業地域では、空家化や老朽化が進み、住宅密集、建物老朽など
に起因する防災上の問題を抱えている。
・
また、市の東南部地域では、新たな都市機能の立地等に伴う市街地のスプロール化が進
展しつつあり、都市基盤不足による防災上の問題を抱えている。
図Ⅳ-2
防災上危険な市街地の評価図
図Ⅳ-3 行き止まり道路分布図
41
②
小学校区の再編
・ 宜野湾市には、8つの小学校区があり、基本的に普天間飛行場を対象としていないため、
跡地利用にともない小学校区再編の必要性が高い。
―普天間第二、宜野湾の 2 小学校は、普天間飛行場から 500m以内かつ、国道による分断要
素がないことから、生活圏の再編にあたり、既存の小・中学校の活用に期待
―字上原、赤道、真栄原、大謝名の一部では、小学校からの距離が 500m以上となる区域があ
り、周辺市街地からの利用とあわせて跡地内での小学校設置に期待
図Ⅳ-4
跡地利用による日常生活圏への影響
直径 1km(円枠)
42
2)目標とすべき周辺市街地整備の方向
①
市街地整備における跡地の活用
・
住宅密集、建物老朽化、都市基盤未整備などにより、防災上の問題を抱える市
街地が各所に存在。
・
周辺市街地区域では、新城、佐真下等の区画整理済区域を除いては、何らかの
防災上の問題を抱えている。しかし、厳しい財政状況の中、これらの市街地の改
善を面的一体的に推進することは不可能。
・
このような中、普天間飛行場地区の跡地利用に合わせて、市街地整備の種地の
発生や周辺市街地と基地跡地を結ぶ幹線道路の整備が期待できる。
②
利用者の視点にたった新たな生活圏形成
・
跡地と周辺市街地の間には幹線道路などの分断要素がほとんどないため、跡地とあわせ
た一体的な市街地形成が期待される。
・
しかし、跡地と周辺市街地とでは、市街地環境に対する地権者や住民の考え方も異なる
ことも想定されるため、そのような点に配慮して、跡地と周辺市街地にまたがる生活圏形
成に取り組む必要がある。
図Ⅳ-5
*
周辺市街地区域設定図(参考)
「都市構造の改善」
、「地域活力の向上」
、「暮らしの安全確保」の観点から整備の優
先性を評価し、周辺市街地区域が設定されている
43
3)周辺市街地整備の検討方向
①
優先的に整備を図るべき地区
【優先的に市街地整備が必要な地区】
ケース 1 基地跡地を密集市街地整備の種地として活用する地区
ケース 2 幹線道路の整備により新たな生活圏の拠点形成が図れる地区
普天間飛行場地区
種地
広域幹線道路
密 集 市
街地等
ケース 1
広域幹線道路
生活圏
沿道
ケース2
②
検討のポイント
・
ケース1(基地跡地を密集市街地整備の種地として活用する地区)については、以下の
ような検証が必要である。
-財政的に整備コストをどこまで許容できるか
-守るべき集落形態はないか
-住民の意向はどうか
・ ケース2(幹線道路の整備により新たな生活圏の拠点形成が図れる地区)については、
以下のような検証が必要である。
-道路整備が既存の市街地環境に悪影響を及ぼさないか
-再編が必要な公共的施設や新たに導入が必要な機能はないか
-財政的に整備コストをどこまで許容できるか
-住民の意向はどうか
4)宜野湾市都市計画課との意見交換の成果
①
周辺市街地における市民意向
・
周辺市街地のアンケートの中で、跡地利用の行動計画策定に向けた取り組みが行わせて
いることについて「良く知っている」、「知っている」は合計しても 26%であり、跡地利
用に対する認知度は低いという印象。
・ 周辺市街地と跡地を一体となって整備することについては、
「理解できる」、
「必要」を併
せると 55%を占めている。
・
しかし、「今すぐにでも既存の密集市街地を改善してほしい」と言う回答も 26%あり、
地域ごとに抱えている課題の違いが表れていると考える。
・
跡地整備についての意見は多かったが、自分たちの住んでいる地区が周辺市街地に設定
44
されていることについてはあまり意識が無い。
・
跡地に対して求めるものには、道路網の意見が多かった。公共交通では新交通システム
や、まちづくりのシンボルになるようなものを求めている。
・
道路をつくるだけではなく、沿道利用を含めたまちづくりの検討をしてほしいという意
見があった。
②
17 自治会の自治会長ヒアリング
・
国際大学周辺では、学生の通学により道路が非常に混雑している。学園都市として整備
が必要という意見や、公共交通の利用についても学生がいるときといないときの混雑の状
況が大きく異なるとの意見があった。
・
大謝名、上大謝名、長田、19 区、中原では基盤整備が遅れており、跡地と一体となっ
て整備してほしい。
③
今後の課題
・
住環境について、周辺市街地区域内でも地区別に満足度等のばらつきがあり、各地区の
課題を整理してどのようにして一体的に整備を行うか具体的に調査する必要がある。
・
市民に対して跡地と一帯となって整備する方針・方策を具体的に示さないと意向を得る
ことはできない。
・
跡地の中間報告取りまとめ、その後の基本計画策定に向けて、交通計画や周辺市街地整
備との連携や計画のすり合わせが必要。
・
跡地と連携して道路の計画や密集市街地の整備の仕方をつめていかないといけない。
④
今後の調査業務の方向
・
周辺市街地を考える中で、道路の位置づけがないと次のステップに進めにくいため、平
成 22~23 年度に市の交通マスタープランを作成し、周辺市街地や跡地の検討にフィード
バックさせたい。
・
次年度の周辺市街地調査については、跡地の中間とりまとめと連携を図りながら、その
後に出てくる課題などを整理したい。
・
パーソントリップ調査の結果を受け、市も平成 22 年度から公共交通の新しいあり方を
考えることにしている。この結果からも周辺市街地の一体整備の在り方もでて来るだろう。
45
Ⅳ-2
周辺市街地分野の計画方針の予備的な取りまとめ
1.跡地と周辺市街地の連携に着目した取組のメニュー
1)跡地と周辺市街地にまたがる幹線道路網の再編・強化
①
跡地利用を契機とした幹線道路網の整備
・
普天間飛行場の区域内での道路整備が制限されているため、普天間飛行場の周辺におい
ては、大きな迂回が生じる等、幹線道路網としての機能が損なわれており、返還を契機と
して、跡地利用による幹線道路整備が必要とされている。
・ 「宜野湾市都市計画マスタープラン(平成16年10月
宜野湾市)」においては、跡地
利用の促進と宜野湾市全体における幹線道路網の再編・強化に向けて、広域的な幹線道路
を含め、東西、南北あわせて5本の幹線道路が計画されている。
・
周辺市街地の幹線道路整備には時間を要するため、主要な路線では跡地整備に先行した
取組が必要であり、道路網の歪み是正効果、整備の難易度等に配慮して幹線道路整備の優
先順位を定め、跡地整備に先行する第1期整備の対象を選択する必要がある。
②
幹線道路整備とあわせた市街地整備の促進
・
周辺市街地の幹線道路整備を市街地整備の大きな契機として捉えて、市街地環境の改善
や沿道地域の高度利用化に取り組むことが期待されるため、市街地整備から見た幹線道路
の位置の選定等について検討を行い、幹線道路の計画づくりに反映させる必要がある。
③
幹線道路整備が周辺市街地に及ぼす影響の緩和
・
周辺市街地の幹線道路整備は、その位置によっては、通学路の安全性の低下や近隣社会
の崩壊につながるおそれがあるため、幹線道路整備による影響の緩和に努め、早期の幹線
道路整備に向けた地元の合意形成を促進する必要がある。
2)周辺市街地の環境改善に向けた緑地空間整備
①
周辺市街地における都市公園等整備の現状
・
宜野湾市の都市公園等の計画水準は約 6.4㎡/人(平成 18 年度末)であり、中南部都
市圏の計画水準の約2/3にとどまっており、今後、計画水準の大幅な向上が課題である。
・
そのため、跡地においては、跡地の環境づくりの観点からのみならず、周辺市街地にお
ける不足状況を解消するための緑地空間整備が期待されている。
②
周辺市街地からの利用に配慮した跡地における緑地空間の整備
・
跡地における緑地空間整備にあっては、周辺市街地からも利用しやすい緑地空間の配置
や緑地空間都結ぶ生活道路の整備等を重視し、緑地空間の計画づくりに反映させる必要が
ある。
46
3)周辺市街地の生活関連機能を活用した住宅地形成
①
跡地における早期の住宅立地の促進
・
跡地における住宅立地の初期には、跡地において新規の生活関連機能(小・中学校、店
舗等)を整備することが困難であり、跡地の周辺市街地と隣接する区域に住宅地を配置し、
既存生活関連機能を活用した住宅立地を促進することが期待されるため、その可能性を検
証し、跡地利用の計画づくりに反映する必要がある。
②
跡地と周辺市街地とを合わせた新たなコミュニティの形成
・
周辺市街地においては、既存の生活関連機能が活用可能な区域を明らかにした上で、跡
地と周辺市街地を結ぶ生活道路の整備、歩行者ネットワークの再編等により、一体的な生
活圏としての基盤を整える必要があり、地域住民の合意形成を図り、周辺市街地の環境改
善策の一つとして取り組む必要がある。
4)周辺市街地における既存施設の再配置
①
市民利用施設の再配置
・
宜野湾市都市計画マスタープランにおいては、跡地への市庁舎の移転とあわせた公的施
設の集積地形成が目指されている。
・
宜野湾市の主要な公的施設は、市内に分散配置されており、跡地利用が開始される時期
には建て替えが必要となる施設が多く、既存の市庁舎や市民利用施設の散在立地や老朽化
による市民サービスの低下を回避するために、跡地においては、それらの施設の移転立地
を含めた市民センター地区の形成を目指しており、移転立地の可能性について検証を行い、
今後の計画づくりに反映する必要がある。
図Ⅳ-6
市民利用施設の現況
表Ⅳ-1
主な公共施設と築造年次
名称
行政
文化
体育
福祉
47
築造年次
市役所
昭和 54 年
水道局
昭和 60 年
教育委員会
昭和 60 年
消防本部
昭和 60 年
市民会館
昭和 57 年
中央公民館
昭和 59 年
市立図書館
平成 3 年
市立博物館
平成 11 年
市立野球場
昭和 62 年
市立グランド
昭和 56 年
市立体育館
昭和 61 年
保健相談センター
昭和 58 年
老人福祉センター
平成元年
②
幹線道路沿道立地施設の再配置と沿道地域の再生
・
跡地利用による幹線道路網整備にともない、国道330号の通過交通が跡地内の南北幹
線道路に移動するため、沿道立地施設の跡地への移転立地に向けたインセンティブが形成
され、跡地においては、沿道に立地する既存施設の移転・集約化による地区形成を目指し
ており、移転立地の可能性を検証し、跡地利用の計画づくりに反映する必要がある。
・
一方、沿道地域においては、交通量の減少や沿道立地施設の移転等を契機として、生活
道路にふさわしい歩行者空間の確保や沿道景観の改善、施設移転跡地の土地利用転換によ
るアメニティの向上に取り組むことが可能となるため、周辺市街地の環境改善に向けたま
ちづくりの有力なメニューとして期待される。
5)跡地と周辺市街地にまたがる土地利用ゾーンの形成
①
跡地と周辺市街地にまたがる研究・交流ゾーンの形成
・
宜野湾市都市計画マスタープランの「国際学園都市」と「新交流軸」をあわせて、沖縄
コンベンションセンターと琉球大学を結ぶ「新交流軸」として位置づけて、跡地と周辺地
域にまたがる研究・交流ゾーンの形成を目標としており、交流の軸となる幹線道路沿道に
おいて、跡地では計画的な土地利用を誘導し、周辺市街地では既存機能の強化や新規の機
能立地を促進する必要がある。
②
跡地利用による既存機能の拡充
・
研究・交流ゾーンの一員であり、跡地に隣接する沖縄国際大学については、跡地内への
拡張可能性を検証するとともに、大学と跡地内の各種機能との連携を図る具体的方策(幹
線道路整備等)について検討していくことが必要になる。
図Ⅳ-7
沖縄国際大学の現状
大学の敷地から離れて確保
された駐車場
48
6)跡地整備との連携による周辺市街地の環境改善
①
跡地利用との連携の必要性
・
これまでの検討においては、周辺市街地の環境改善には、跡地利用との連携が不可欠と
指摘されてきており、今後、跡地整備事業の事業化にあたっての大きな課題として受け止
めていく必要がある。
・
しかしながら、周辺市街地の環境改善に向けた取組を進めていくためには、周辺市街地
の住民や地権者の意向把握、事業化可能性の検証等が必要であり、それらの検討には時間
がかかると考えられるため、早期の取組を開始し、今後の計画づくりや跡地整備事業の事
業化に向けた検討に反映させる必要がある。
②
周辺市街地における事業化見通しの確保
・
周辺市街地において、土地区画整理や再開発等の市街地整備事業を実施し、抜本的な環
境改善を実現することがふさわしいと考えられる幹線道路沿道地域等の区域については、
できるだけ早い時期に、地元合意形成や財源の確保等に向けた検討を行い、市街地整備事
業の事業化見通しを確保しておく必要がある。
・
それにより、今後の計画の具体化や跡地整備事業の事業化にあたって、跡地との一体整
備や跡地における種地の確保等に関する検討に反映させる必要がある。
49
2.計画方針の取りまとめに向けた今後の取組
1)計画方針の予備的な取りまとめ
①
土地利用及び機能導入の方針
・
市民利用施設や幹線道路沿道立地施設の跡地への移転立地については、
「周辺市街地整備
調査」の今後の検討成果にもとづく跡地利用需要見通し等を踏まえて、
「全体計画の中間取
りまとめ」の土地利用の計画方針に反映させる。
・
既存生活関連機能の有効活用については、
「周辺市街地整備調査」の今後の検討成果にも
とづき、既存生活関連機能の機能強化や一体的な生活圏形成の可能性について検証を行い、
「全体計画の中間取りまとめ」の土地利用の計画方針に反映させる。
・
跡地において、周辺市街地の環境改善に向けた市街地整備事業に必要な種地を確保する
必要性については、「周辺市街地整備調査」の今後の検討成果にもとづき、「全体計画の中
間取りまとめ」の土地利用の計画方針に反映させる。
②
都市基盤整備の方針
・
幹線道路のルートについては、
「周辺市街地整備調査」の今後の検討成果を踏まえて、
「全
体計画の中間取りまとめ」に反映させる。
・
周辺市街地からの利用に配慮した緑地空間の配置については、
「周辺市街地整備調査」の
今後の検討成果を踏まえて、その必要性について検証を行い、
「全体計画の中間取りまとめ」
の土地利用の計画方針に反映させる。
2)「周辺市街地整備調査」に期待される検討成果
①
幹線道路の位置選定にかかる計画条件の取りまとめ
・
周辺市街地における幹線道路の位置選定について、幹線道路沿道市街地整備の円滑化や
生活圏の分断の回避等から見た計画条件を取りまとめる。
②
既存生活関連機能の活用可能性にかかる検証
・
既存小・中学校の機能増強や学校区の再編の可能性について検討を行い、跡地を対象と
したサービス提供の可能性について検証を行なう。
③
周辺市街地からの機能移転にかかる見通しの確保
・
市民利用施設に関する市民意向を踏まえた宜野湾市の方針や幹線道路沿道立地施設等の
移転立地意向を把握し、周辺市街地からの機能移転にかかる跡地利用需要の見通しを明ら
かにする。
④
種地の必要性にかかる検証
・
周辺市街地の環境改善に向けた市街地整備事業の必要性や実現可能性について検討を行
い、跡地に期待される種地の規模や位置等について明らかにする。
50
第Ⅴ章
「全体計画の中間取りまとめ」の素案の作成
Ⅴ-1
分野別の検討成果の集大成
1.「土地利用・環境づくり方針案」の評価・修正
○
意見交換会、地権者懇談会等における意見の聴取にもとづく評価・修正
1)土地利用にかかる計画方針について
①
振興拠点形成に向けた方針
・
観光リゾートゾーンについては、沖縄における「陸」の観光の魅力づくりの可能性を危
ぶむ意見が寄せられているが、下記の理由により、引き続き土地利用ゾーンの一つとして
取扱うこととし、今後、需要見通しの確保に向けた情報収集を行なうこととする。
-本計画においては、沖縄の観光産業を下支えする基盤として、人材育成機能、沖縄文化
発信機能、コンベンション機能等の導入を重視しており、ホテル等はそのための関連施
設として位置づけているものであり、収容力の増強を目標としてはいないこと。
-土地利用の面積としては、大規模区画のリゾート用地が大きな部分を占めると想定して
おり、ホテル等の大規模な集積地形成を目指しているわけではないこと。
・
振興拠点形成には、計画的な用地供給のしくみを構築する必要があり、地権者による用
地保有機関の設立や共同利用による用地確保等が必要と指摘されており、今後、土地利用
方針の一つとして反映させることとする。
②
住宅地形成に向けた方針
・
テーマ性のある住宅地づくりや跡地のフラットな地形を活かした高齢化に対応した住宅
地づくり、地権者がイメージを提供して賛同する来住者を募る方法、国外からの来住者誘
致の促進等について意見が寄せられており、居住ゾーンについては、そのようなことをよ
り一層重視して計画づくりを行なうこととする。
・
ゆとりある住宅用地を供給するためには、定期借地方式の導入が必要と指摘されており、
今後、土地利用方針の一つとして反映させることとする。
③
都市拠点形成に向けた方針
・
返還後の経済の立て直しに向けて、跡地利用による収益確保の重要性が指摘されており、
振興拠点や都市拠点において、今後、産業誘致を重視した情報発信や情報収集を促進する
こととする。
・
周辺市街地から跡地内への都市機能再配置については、跡地と周辺市街地が両方良くな
ることを目指す必要があり、その実施にあたっては、用地の交換という形をとることが望
ましいと指摘されており、今後の計画の具体化に向けた検討に反映させることとする。
51
2)環境づくりにかかる計画方針について
①
環境共生に向けた方針
・
省資源、省エネルギー、ゼロエミッションについては、個人の投資に全員が賛成すると
は限らないため、モデル地域としての実証実験を行なうなどのしくみづくりが必要なこと、
行政のバックアップが必要となること、新エネルギーについては技術革新に応じて時代に
あったものを導入していく必要があること等が指摘されており、今後の計画づくりに反映
させることとする。
・
とくに、環境共生に向けた実験的な住宅地づくりが提唱されており、ゼロエミッション、
省資源を目指した長寿命住宅や沖縄の気候にマッチした省エネルギー住宅等の普及に向け
た技術開発や起業化等に取り組む必要があると指摘されており、今後の計画の具体化やま
ちづくりに反映させることとする。
②
風景づくりに向けた方針
・
風景づくりについては、跡地と周辺市街地との間に格差が生じないように周辺市街地も
含めたルールの導入が必要と考えられること、跡地がモデルとなり周辺市街地のレベルア
ップを時間をかけて誘導していく必要があること、早めにルールを導入する方がまちづく
りのイメージの発信につながりやすいと考えられること等が指摘されており、今後の計画
づくりに反映させることとする。
③
緑化に向けた方針
・
緑化に向けたルールづくりについては、意見交換会等において、維持・管理のためのし
くみ・体制が必要となること、厳しいルールから議論をスタートさせて徐々に調整を図る
のが望ましいと考えられること等が指摘されており、今後の計画づくりに反映させること
とする。
3)(仮)普天間公園の整備方針(試案)について
①
公園の規模
・
大規模公園の効果に期待して100ha の実現を目標とすべきこと、多様な整備方策を検
討する必要があること等が指摘されおり、今後の計画づくりに反映させることとする。
②
公園の形状
・
中央の50ha 程度の公園と周辺の公園によるネットワーク状の公園の提案もあり、
(仮)
普天間公園の形状については、多様な考え方を視野に入れた検討を進めることとする。
・(仮)普天間公園の配置にあたっては、緑地に恵まれない既成市街地から見た整備効果に
配慮した配置が望ましいとの指摘があり、そのような視点も視野に入れた計画づくりに取
り組むこととする。
52
4)都市空間構成にかかる計画方針について
①
旧集落・並松街道の再生
・
旧集落空間の再生は推進すべきであるが、地権者意向との調整が必要となること、観光
資源としての活用も考えられること、利便性から見て昔の住宅をそのまま再生することは
困難であり雰囲気をつくれば良いのでないか、旧集落の位置でなくても良いのではないか
等の指摘があり、今後の計画づくりに反映させることとする。
②
地盤環境との整合
・
地盤が悪く土地利用制限がかかる区域を公園に充てるのが良いという意見もあれば、拘
らない方が良いという意見もあり、今後、地盤環境についての実態調査結果を踏まえた土
地利用方針の検討課題として受け止める。
2.「全体計画の中間取りまとめ」に向けた検討成果の整理
1)土地利用分野(振興拠点分野、住宅地分野、都市拠点分野)
①
「全体計画の中間取りまとめ」の内容
・
「土地利用・環境づくり方針案」にもとづく意見交換の成果を反映して、以下に示す4
種類の土地利用ゾーンの計画内容や配置にかかる案を取りまとめる。
-交流拠点地区やリゾート地区等によって構成される振興拠点ゾーンを形成
-広域拠点地区や市民センター地区等で構成される都市拠点ゾーンを形成
―再配置誘導地区や新産業育成地区等で構成される地域産業ゾーンを形成
-歴史・風土の特性による魅力づけ、ゆとりある住宅用地の供給等を「売り物」にした多
様な計画住宅地と住宅地関連サービス施設による居住ゾーンを形成
・
土地利用計画にもとづくまちづくりを実現する上で必要となる次のソフトな方策の案を
取りまとめる。
-新たな需要の開拓に向けて、来住者や立地企業が早期の段階から参加し、意向反映がで
きる計画づくりのしくみの導入
-機能誘致に向けた長期的、計画的な用地供給を可能とするために、地権者用地の共同利
用や先行取得用地の供給等、土地保有・供給のしくみの導入
②
跡地利用計画の策定までの取組
・
土地利用ゾーン別の計画規模の確定に向けた以下の取組を進める。
-「全体計画の中間取りまとめ」案の情報にもとづく跡地利用需要にかかる情報収集
-地権者土地活用意向や用地先行取得等による用地供給可能性の検証
・
文化財・自然環境分野、周辺市街地分野等の計画方針の取りまとめや(仮)普天間公園
の計画内容の具体化をまって、土地利用の配置にかかる案を取りまとめる。
53
2)環境・公園分野
①
「全体計画の中間取りまとめ」の内容
・
「土地利用・環境づくり方針案」にもとづく意見交換の成果を反映して、循環型社会形
成、風景づくり、緑化、
(仮)普天間公園にかかる案を取りまとめる。
・
循環型社会形成に向けたモデル地域として位置づけ、交通分野、供給処理分野における
実験的な取組の候補を案として取りまとめる。
・
風景づくりについては、観光客等に向けた魅力のアピール、大事な地域景観の保全、優
れた風景づくりによる跡地利用の促進を目標としたソフトな方策の案を取りまとめる。
・
緑化については、新たな発展基盤となる緑豊かな地域イメージの形成を目標としたソフ
トな方策の案を取りまとめる。
・
(仮)普天間公園については、素案では、
「土地利用・環境づくり方針案」の「(仮)普
天間公園の整備方針(試案)」にもとづき、計画規模100ha として、土地利用ゾーンの
配置とあわせた形状・位置にかかる案を取りまとめる。
②
跡地利用計画の策定までの取組
・
循環型社会形成に向けたモデル地域としての先進的な取組内容を具体化する。
・
風景づくり、緑化にかかるルールづくりについて検討を行なう。
・
(仮)普天間公園の計画内容の具体化に向けた取組を進める。
3)交通分野
①
「全体計画の中間取りまとめ」の内容
・
広域計画において主要幹線道路として計画されている中部縦貫道路と宜野湾横断道路の
概略のルートと機能を与件とする。
・
宜野湾市都市計画マスタープランに定められている幹線道路網について、跡地利用から
見た評価にもとづき検討案を取りまとめる。
・
中南部都市圏を縦貫する公共交通軸等の計画については、「全体計画の中間取りまとめ」
の案においては、平成21年度の関連調査の成果を最大限に盛り込む。
②
跡地利用計画の策定までの取組
・
主要幹線道路や幹線道路については、今後、検討案やその後の計画条件の変化等を踏ま
えて、宜野湾市における幹線道路網計画の再検討を行い、
「全体計画の中間取りまとめ」に
おいては、それらの成果にもとづき、跡地利用に関連する幹線道路網計画を取りまとめる。
・
公共交通軸等の計画は、跡地利用計画を左右する影響力を有するため、今後、跡地利用
計画の策定までには、計画の具体化に向けた検討の動向を見守り、可能な限り、土地利用
計画や交通網配置計画等に反映させる。
54
4)供給処理分野
①
「全体計画の中間取りまとめ」の内容
・
本調査における計画方針の検討成果を踏まえて、跡地利用に関連する既定計画との整合、
跡地の特性への対応、機能誘致の促進に向けた条件整備等を目標として、計画づくりの中
核となる先進的な取組の方向を案として取りまとめる。
②
跡地利用計画の策定までの取組
・
先進的な取組の計画内容の具体化や実現性の検証に向けた検討を行い、跡地利用計画に
反映させる。
5)文化財・自然環境分野
①
「全体計画の中間取りまとめ」の内容
・
現時点までの検討成果にもとづき、前提とすべき計画条件、今後の調査成果にもとづき
新たな計画条件が追加される可能性等について整理し、
「全体計画の中間取りまとめ」の不
確定な部分として明示する。
②
跡地利用計画の策定までの取組
・
今後の情報収集にもとづき、地盤環境の保全や文化財の保護にかかる新たな計画条件を
追加し、跡地利用計画に反映させる。
6)周辺市街地分野
①
「全体計画の中間取りまとめ」の内容
・
平成20年度の「周辺市街地整備調査」の調査成果や平成21年度の「周辺市街地整備
調査」との意見交換にもとづき、周辺市街地分野の計画方針の予備的な検討を行い、案と
して取りまとめる。
②
跡地利用計画の策定までの取組
・
今後、引き続き、周辺市街地分野にかる検討を進め、幹線道路の配置にかかる計画条件、
既存生活関連機能を跡地利用に活用する可能性、跡地を種地とした市街地整備の見通しの
確保、跡地への施設移転の可能性等について明らかにし、跡地利用計画に反映させる。
55
Ⅴ-2
土地利用にかかる計画フレームの検討
1.土地利用計画の取りまとめに向けた今後の取組のフロー
1)「全体計画の中間取りまとめ」までの取組
①
現段階における土地利用需要見通し
・
普天間飛行場の跡地利用は、旺盛な住宅用地需要を対象としてきたこれまでの跡地利用
とは異なり、中南部都市圏の振興に向けた将来の需要発生に備えることが重要である。
ていげん
・ これまでに実施された関連調査等においては、例えば、世帯増が逓減傾向を示しつつあ
り、住宅用地に対する都市圏の内需は、これからは小規模に留まると指摘されている。
・
そのため、跡地における土地利用需要については、土地活用意向調査により地権者の自
己利用の規模が把握されているのに留まっており、現段階では、跡地全体を対象とした土
地利用計画フレームの作成に必要なデータが不足している。
②
「全体計画の中間取りまとめ」の目標
・
「全体計画の中間取りまとめ」の案の作成に際しては、基本方針にもとづき、跡地が目
標とするまちの姿を情報発信し、需要の開拓につなげることを目標とする必要があり、セ
ールスプロモーションとしての役割を重視し、目標とするまちづくりに対する共感を集め
るとともに、あわせて用地供給の可能性を示すこと等により、跡地利用への参加意欲を高
め、その成果を踏まえて需要見通しを確保する必要がある。
・
そのため、量的な検討については、
「まちづくり構想図」の作成等に必要な範囲で「仮置
き」を行なうことに留めることとする。
2)「跡地用計画の策定」に向けた取組
①
「全体計画の中間取りまとめ」にもとづく情報発信と情報収集
・
基本構想にあたる「全体計画の中間取りまとめ」について、関係者の合意形成を行なっ
た段階で、県内外に広く情報発信し、跡地利用に対するデベロッパーやユーザーの関心を
集め、新しい立地需要を喚起する。
・
「全体計画の中間取りまとめ」の情報発信とあわせて、県内外からの企業の立地意向や
来住意向を醸成するための誘致活動として、企業を対象とした立地意向調査、開発計画の
提案募集等を実施する。
・
それにより、跡地における需要見通しの確保に向けた情報収集を行い、土地利用計画フ
レームを作成するための基礎的なデータ収集を行なう。
②
土地利用計画フレームの設定
・
土地利用需要に関する情報収集結果を反映させるとともに、県の振興プロジェクトや高
次都市機能にかかる今後の計画等を読み込んで、跡地において目標とすべき土地利用計画
フレームを設定する。
56
・
土地利用計画フレームは、土地利用配置計画を構成する土地利用ゾーンとそれぞれの計
画規模を取りまとめるものであり、土地利用ゾーンは、立地誘導を図る機能の種類や目標
とする都市空間の特性等に着目して区分する。
③
用地供給可能性の検証
・
土地利用計画フレームの設定に際しては、土地利用計画の実現に向けた用地供給可能性
について検証を行なう必要があり、地権者による自己利用や地権者用地の共同利用等に関
する地権者の土地活用意向、用地先行取得の可能性等について確認し、土地用利用計画フ
レームに沿ったまちづくりの実現性を担保する必要がある。
④
土地利用配置にかかる計画条件の確定
・
土地利用配置計画を固めるためには、今後さらに検討すべき課題として、埋蔵文化財保
護計画や地盤環境との整合性の確認、公共交通軸の計画との連携等に取り組む必要がある。
・
ただし、滑走路区域等における地盤環境との整合については、返還後の調査を余儀なく
されるため、返還前に跡地利用計画を策定する場合には、修正条件つきの計画作成も視野
に入れて置く必要がある。
・
また、土地利用配置計画の大きな構成要素となる(仮)普天間公園については、計画内
容の具体化を図り、土地利用配置計画に反映させる必要がある。
図Ⅴ-1
土地利用計画の取りまとめに向けた取組のフロー
「全体計画の中間取りまとめ」の案
・跡地のまちの姿の情報発信を目標、量的な検討は「仮置き」
土地利用配置にかかる
新たな計画条件の確定
情報発信と情報収集
土地利用需要の把握
用地供給可能性の検証
・地盤環境、文化財等にかか
る現況調査成果の反映
・公共交通計画との連携に
よる配置方針の追加
・(仮)普天間公園計画の具
体化
・地権者土地活用意向確認
・用地先行取得等の可能性
土地利用計画フレーム
の取りまとめ
土地利用配置計画
の取りまとめ
跡地利用計画の策定
57
2.土地利用計画フレームの作成
1)土地利用計画を構成する土地利用ゾーンの設定とイメージ
①
振興拠点ゾーン
・
沖縄県の振興の拠点としての機能導入を図るゾーンであり、研究交流地区やリゾート地
区等の集積地形成を計画的に誘導する。
・
研究交流地区においては、周辺地域に立地する大学等の既存機能との連携による産業ク
ラスターの形成を目標として、研究開発機能や研究交流支援機能を誘致する。
-研究開発機能の候補とするのは、沖縄県の成長産業として期待される産業部門の研究開
発機能や情報通信関連産業の生産部門等
-研究交流支援機能の候補とするのは、共同研究機能、起業化支援機能、インキュベート
機能等
・
リゾート地区においては、大規模な空間や台地端部の優れた環境を活かして、県外から
の来住・滞在機能や観光産業育成機能を誘致する。
-来住・滞在機能の候補とするのは、新しいリゾートライフの創造を目的として、大規模
区画の供給によって誘致するセカンドハウス、リゾートオフィス、プチホテル、クラブ
ハウス等
-観光産業育成機能の候補とするのは、新しい沖縄観光の魅力増進を目的として、観光産
業の人材育成機能、沖縄文化発信機能、コンベンション機能及びそれらに関連するリゾ
ートホテル等
②
都市拠点ゾーン
・
中南部都市圏の広域拠点や宜野湾市の新しい都心として機能導入を図るゾーンであり、
広域拠点地区や市民センター地区等の集積地形成を計画的に誘導する。
・
広域拠点地区においては、集客機能、業務機能、広域対象高次都市機能や都心共同住宅
等を誘致する。
-集客機能の候補とするのは、中南部都市圏の居住者や観光客等を対象とした商業施設、
アミューズメント施設等
-業務機能の候補とするのは、広域的な交通利便や都心立地による企業のイメージアップ
に期待する事業所や対事業所サービス施設等
-広域対象高次都市機能の候補とするのは、広域的な交通利便に期待する、県民、都市圏
住民等を対象とする教育・文化・医療・福祉施設や国内外から新たに誘致する高等教育
施設等
・
市民センター地区においては、市民の利便を高め、市民のシンボルとなる新しい拠点づ
くりを目的として、市民広場を中心に、宜野湾市の行政機能、市民利用機能等を誘致する。
-行政機能の候補とするのは、市庁舎の移転立地等
-市民利用機能の候補とするのは、移転立地や新規立地による市民を対象とした教育・文
化・医療・福祉施設等
58
③
地域産業ゾーン
・
都市内立地の利便を求める生産施設や物流施設等の集団化による集積メリットに期待す
るゾーンであり、再配置誘導地区や新産業育成地区等の集積地形成を計画的に誘導する。
・
再配置誘導地区においては、宜野湾市の幹線道路網の再編による立地条件の変化を契機
として移転立地を求める自動車関連産業機能や物流機能を誘致する。
-自動車関連産業機能の候補とするのは、既成市街地の幹線道路沿道からの移転立地によ
り、集団化による拠点づくりに参加する自動車・部品の販売・修理を行なう事業所等
-物流機能の候補とするのは、既成市街地からの再配置も視野に入れつつ、輸送効率の向
上や集団化によるメリットの享受を目的として一団地化を図る流通加工業、宅配業、倉
庫業等
・
新産業育成地区おいては、宜野湾市の産業振興に向けた新しい芽を育てることを目標と
して、消費地立地型生産機能や新産業機能等を誘致する。
-消費地立地型生産機能の候補とするのは、集積メリットの享受を目的として集団化を図
る食品産業等
-新産業機能の候補とするのは、環境関連産業や伝統工芸産業等
④
居住ゾーン
・
ゆとりある空間づくりと快適なコミュニティづくりをテーマとして、地権者の前住地へ
の復帰や新しい来住者の誘致を目指すゾーンであり、多様な計画住宅地区や住宅地関連サ
ービス機能の適正配置による住宅地形成を計画的に誘導する。
・
計画住宅地区においては、沖縄らしい「商品」の開発、来住者意向の反映、時代の要請
への対応等に着目した計画を導入する。
-沖縄らしい「商品」開発の候補とするのは、観光資源ともなる風景の創造を目的として、
旧集落の場所で伝統的な集落空間の魅力を再生する集落空間再生住宅地区等
-来住者意向の反映による計画住宅地の候補とするのは、自分の好みにあった空間デザイ
ンやコミュニティライフ等の実現を目的として、来住希望者が計画づくりから参加し、
共同開発を行い、維持管理まで手がける来住者共同開発住宅地区(コーポラティブ・ビ
レッジ)等
-時代の要請への対応した計画住宅地区の候補とするのは、地域における環境共生の推進
や環境共生型のライフスタイルを重視する来住者の期待に応えることを目的として、長
寿命住宅や省エネルギー住宅等の導入を図る環境共生モデル住宅地区等
・
住宅地関連サービス機能としては、来住者の属性やライフスタイルに応じて、幼稚園・
小学校・中学校、保育施設、コミュニティ施設、高齢者施設等を候補とする。
59
2)概略の計画規模(
「まちづくり構想図」作成のための想定)
①
基幹的公共施設用地
・
幹線道路は約 36ha(那覇新都心地区と同じとして跡地の 7.5%と想定)、広域公園は
100ha(沖縄県広域緑地計画に示されている計画規模)、合計約136ha と想定する。
②
宅地整備区域(=土地利用ゾーン)
・
基幹的公共施設用地を除いた宅地整備区域は、約 345ha であり、この値を土地利用ゾ
ーンの総規模と想定する(宅地整備区域の20%を地区施設用地(道路、公園)と想定す
ると、宅地は約 276ha)。
③
土地利用ゾーン別の概略の計画規模
・
居住ゾーンは那覇新都心地区と同様に全体の約60%として約 210ha、残りの 135ha
の内、リゾート地区は適地となる区域の規模から約 40ha、都市拠点ゾーンは那覇新都心
地区のセンター地区と同規模として約 45ha、残りの区域を産業系の研究交流地区と地域
産業ゾーンで折半して、25ha ずつと想定して、まちづくり構想図作成のガイドラインと
する。
ゾーン区分
計画規模
備考
振興拠点ゾーン
65ha
研究交流地区
25ha
リゾート地区
40ha
・西側台地端部沿いの奥行 200mの区域に相当
都市拠点ゾーン
45ha
・那覇新都心地区のセンター地区と同規模
地域産業ゾーン
25ha
・宜野湾市西海岸の準工業地域の区域の半分
居住ゾーン
210ha
合計
345ha
・住宅用地の割合を那覇新都心地区と同じとした場合
・セミグロス50 人/ha として、10,500 人を収容
60
Ⅴ-3
都市空間構成に関する検討
1.交通網配置パターンに関する検討
(1)検討の方針
1)交通網配置パターン作成の目的
①
「まちづくり構想図」への反映
・
本検討においては、跡地利用に関連する交通網の配置のあり方を検討し、交通網配置パ
ターンを模式図として取りまとめ、
「まちづくり構想図」の骨格を固めることとする。
②
跡地利用に関連する幹線道路網計画に関する意見交換の促進
・
「全体計画の中間取りまとめ」の素案は、分野別のこれまでの検討成果を集大成するも
のであり、交通分野については、「交通分野の計画方針の予備的な取りまとめ」(Ⅱ-2)
の成果を素案づくりに反映させることとしている。
・
その内、配置パターンに関する検討が必要となるのは幹線道路であり(公共交通軸につ
いては今回は見送る)、関係者の大きな関心事となる可能性が高いため、跡地利用に関連す
る新規計画幹線道路の配置パターンに関する「たたき台」を作成し、
「全体計画の中間取り
まとめ」に向けた関係者による意見交換を促進する。
2)交通網配置パターンを構成する交通施設
①
広域計画にもとづく主要幹線道路
・
「中南部都市圏総合都市交通計画」にもとづき、中部縦貫道路と宜野湾横断道路の計画
(道路機能や広域的な概略ルート等)を配置パターン作成の前提条件とする。
②
宜野湾市の骨格となる幹線道路網
・
宜野湾市の幹線道路網配置パターンは、広域計画にもとづく主要幹線道路を含め、跡地
利用に関連する新規計画幹線道路で構成する。
③
公共交通軸
・
現時点では計画づくりの方向やスケジュールが未定であり、交通網配置パターンの構成
要素としては取り上げない。
④
並松街道
・
並松街道の復元は、緑地空間の配置パターンを構成する施設の一つとするが、幹線道路
との一体整備も視野に入れた検討を行なうために、交通網配置パターンの構成要素の一つ
として表示する。
61
(2)交通網配置パターンの比較検討
1)検討の方針
①
宜野湾市都市計画マスタープランの尊重
・
宜野湾市都市計画マスタープランの「将来幹線道路網配置計画」においては、普天間飛
行場の跡地利用を視野に入れて、広域的な計画との整合を図りつつ、宜野湾市における幹
線道路網計画を定めており、その基本的な考え方を踏襲する必要がある。
・
また、宜野湾市都市計画マスタープランでは、軌道系交通システムの導入が重視されて
おり、南北軸状に図示されているが、公共交通にかかる広域計画が具体化されていないた
め、本検討においては、幹線道路網に絞った検討を行なう。
②
跡地利用計画策定に向けたこれまでの検討成果の反映
・
「将来幹線道路網配置計画」は、主要幹線道路は沖縄県の計画にもとづくこと、周辺地
域の既存の幹線道路網との整合を重視すること、広域的な道路網計画の目標とされている
格子状のパターンを基本とすること等を前提条件として計画され、
「全体構想図」に反映さ
れているが、今後、跡地利用計画の具体化にあわせた修正が必要とされている。
・
そのため、跡地利用計画策定に向けた平成20年度調査による「土地利用・環境づくり
方針案」や本調査における「交通分野の計画方針の予備的な取りまとめ」
(Ⅱ-2)にもと
づき、「将来幹線道路網配置計画」の再評価を行なう必要がある。
③
幹線道路網配置パターンに関する比較検討の方向
・
宜野湾市都市計画マスタープランの「将来道路網配置計画」を模式図として表した「都
市計画マスタープラン案」
(以降「都市マス案」と表示)と跡地利用から見た検討を加えた
「跡地利用から見た検討案」
(以降「検討案」と表示)の比較評価により、修正の必要性や
妥当性について検証を行なう。
④
交通網配置パターン作成の条件
・
「沖縄本島中南部都市圏総合都市交通計画」等の広域計画にもとづく主要幹線道路につ
いては、計画されている道路機能や広域的な概略のルートを交通網配置パターン作成の前
提条件とする。
・
宜野湾市都市計画マスタープランの「将来道路網配置計画」においては、既定計画と新
規計画に区分され、既定計画については路線名称を異にする区間に区分して表示されてい
るが、比較評価を行なう便宜上、それらをまとめて、東西、南北の一体的な幹線道路とし
て新しい名称を与えることとする(表Ⅴ-1)
。
・
「都市マス案」では、跡地を経由する新規計画幹線道路として、南北方向の幹線道路3
本、東西方向の幹線道路4本が配置されており、これらを対象とした再検討を行い、
「検討
案」を作成する。
62
表Ⅴ-1
幹線道路名称
南北幹線道路1
南北幹線道路2
(主要幹線道路)
南北幹線道路3
東西幹線道路1
東西幹線道路2
(主要幹線道路)
東西幹線道路3
東西幹線道路4
比較検討の対象とする幹線道路
宜野湾市都市計画マスタープラン
の「将来道路網」の路線名称
・
考
・拡幅が必要(既定計画は 18m)
・拡幅が必要(既定計画は 18m)
②(都)宜野湾南風原線
③(都)嘉数中学校線
④(仮)普天間南北線
⑤(都)新城線
①(仮)中部縦貫道路
・拡幅が必要(既定計画は 16m)
・北側区間は北谷町域(キャンプ瑞慶覧)
にかかる
⑥(都)パイプライン線
⑦(都)大謝名真志喜線
⑧(仮)大謝名真志喜線延伸線
⑨(都)喜友名登又線
⑭(都)真志喜中央線
⑮(仮)真栄原真志喜線
⑯(都)真栄原佐真下線の一部
⑰(都)佐真下長田線
⑩(都)学園通り大山線
⑪(仮)学園通り大山線延伸線
⑫(仮)宜野湾横断道路
⑬ 県道32号線
⑱(仮)普天間東西線
⑲(都)喜友名中央線
⑳(仮)北部横断線
図Ⅴ-2
備
・一部ルート変更
・東側区間は中城村域にかかる
・拡幅が必要(現在は 12m)
・(都)大山線と一部重複
・拡幅が必要(既定計画は 12m)
幹線道路位置図
対象とする幹線道路(○数字道路区間に分割)と「将来道路網配置計画」に位置づけら
れているその他の道路を色分けしてた上で表示
・
幹線道路名称と○番号を表示
63
2)「検討案」作成のポイント
①
南北幹線道路1のルート変更と整備済区間の再整備
・
南北幹線道路1は、広域的に見ると、北側では国道330号に結び、中南部都市圏の骨
格を構成するものであり、4 車線道路として整備する必要がある。
・
「都市マス案」では、県道81号線に結ぶルートで計画されているが、下記の理由によ
り、国道330号経由で普天間三叉路に直結させるルートがふさわしい。
-跡地の北のゲートとしては、並松街道の入口にあたる普天間三叉路がふさわしいこと
-国道330号の拡幅の方が、並松街道の復元や商業ゾーン再開発にとって望ましいこと
・
また、跡地南側の区間は、計画幅員 18mで整備済であり、4車線化及び並松街道の復
元のための再整備(拡幅、線形改良等)が必要である。
②
並松街道の復元計画の変更
・ 「都市マス案」では、南北幹線道路1の一部として復元を図ることとされているが、復
元の効果を高めるためには、旧ルートで緑道等として整備することにより、できるだけ昔
の姿に近づけることが望ましい。
③
南北幹線道路3のルート変更
・ 「都市マス案」では、南北幹線道路3は斜面緑地に計画されており、斜面緑地の改変に
より、国道58号沿いの地域からみた大事な地域景観を阻害するおそれがあるため、跡地
内のルートに変更することが望ましい。
④
東西幹線道路1と東西幹線道路2との合体(東西幹線道路1+2)
・ 「都市マス案」では、東西幹線道路1は、沖縄コンベンションセンター、沖縄国際大学、
琉球大学を結び、交流ゾーンの形成を目標として、既成市街地内に配置されているが、跡
地における機能立地を誘導するためには、跡地内に配置することが望ましい。
・
そのため、東西幹線道路1と東西幹線道路2の機能を兼ね備えた東西幹線道路1+2に
合体させることにより、跡地を横断する東西幹線道路の本数を減らすことも可能となる。
⑤
東西幹線道路3のルートの変更
・
東西幹線道路3は、跡地の中央に位置し、跡地の東側と西側の既成市街地間の迂回解消
に大きく寄与する道路である。
・
「将来道路網配置計画」のルートは旧神山集落の東側緑地を分断しているが、この緑地
は、周辺地域にとって大事な地域景観として保全する必要があるため、緑地の分断をでき
るだけ回避するために、ルートを南側に移動させることが望ましい。
⑥
南北幹線道路の追加
・
跡地東側の既成市街地の交通利便性を向上させるために、跡地東側境界沿いに、新規南
北幹線道路を追加する。
・
「都市マス案」では、補助幹線道路として位置づけられているが、南北幹線道路3と同
様な位置づけを与えることが望ましい。
64
図Ⅴ-3
図Ⅴ-4
交通網配置パターン-「都市マス案」
交通網配置パターン-「検討案」
65
3)幹線道路網配置パターンの比較評価
評価の視点
「都市マス案」に対する「検討案」の長所・短所
跡地の立地条件の向上
○
跡地利用による宜野湾市の全
体構想の実現
○
沖縄コンベンションセンターと琉球大学方面を結ぶ新
しい都市軸形成のシンボルロードとしては、
「検討案」の
東西幹線道路1+2のルートの方がふさわしい。
○ 普天間地区の商業業務ゾーンの再編や並松街道の復元
を促進するという点で、
「検討案」の南北幹線道路1のル
ートの方が優れている。
○ 新規南北幹線道路を配置することにより既成市街地の
道路網再編が促進される。
跡地の自然環境に及ぼす影響
○ 西側斜面緑地の保全には、
「検討案」の南北幹線道路3
のルートの方が優れている。
○ 旧神山集落東側の既存緑地を保全する上で、「検討案」
の東西幹線道路3のルートの方が優れている。
幹線道路の整備効果
△
既成市街地に及ぼす影響
● 「検討案」の東西幹線道路1+2の整備にあたっては、
既存の森川公園の再整備(跡地での拡張等)が必要とな
る。
△ 新規計画幹線道路の既成市街地区間については、
「都市
マス案」、「検討案」ともに、今後の周辺市街地調査の成
果にもとづく検証が必要であり、現段階では比較評価が
できない。
・
「研究・交流ゾーン」の形成を目標として、跡地にお
ける土地利用を誘導する軸としては、
「検討案」の東西幹
線道路1+2が優れている。
○ 跡地と国道58号経由による那覇方面と跡地を結ぶ交
通の利便性を高める上で、
「検討案」の東西幹線道路1+
2のルートが優れている。
○ 並松街道の復元の効果を高める上で、
「都市マス案」の
南北幹線道路1に併設する案よりは、
「検討案」の幹線道
路と分離して旧ルートで復元する案が優れている。
幹線道路の地盤環境に及ぼす影響については、地盤環
境調査にもとづく検証が必要であり、現段階では比較評
価ができない。
○ 国道58号の那覇市方面と国道329号の沖縄市方面
を結ぶ「たすき掛け」道路の距離短縮に寄与するという
点で、「検討案」の東西幹線道路1+2が優れている。
○ 「都市マス案」の東西幹線道路1と東西幹線道路2を
「検討案」では東西幹線道路1+2に集約することによ
り、整備費用を抑制しつつ、同程度の機能を確保するこ
とができる。
○は「修正案」の長所、●は「検討案」の短所、△は現段階では比較評価不可能
66
4)交通網配置にかかる今後の検討課題
① 跡地の地盤環境等との整合性の確保
・ 東西幹線道路の西側斜面区間等については、今後の地盤環境にかかる情報収集にもとづ
き、地下水系に及ぼす影響について検討を行ない、計画づくりに反映させる必要がある。
②
周辺市街地分野の検討成果の反映
・
既成市街地における新規計画幹線道路のルート設定や既定計画幹線道路の計画変更(拡
幅、ルート等)については、周辺市街地分野の検討成果を踏まえて、
「既存生活圏の分断」、
「既存建物等への支障」
、「沿道環境の阻害」の有無等について検討を行い、配置計画に反
映させる必要がある。
③
跡地利用計画との連携による公共交通の計画づくり
・
跡地に公共交通軸を導入する場合には、跡地における土地利用配置や交通網配置に大き
な影響を及ぼすことになるため、公共交通にかかる今後の計画づくりにあたっては、跡地
利用計画との連携を図ることにより、跡地利用からみた期待に応える計画づくりを進める
必要がある。
67
2.緑地空間配置パターンに関する検討
(1)検討の方針
1)緑地空間配置パターン作成の目的
①
「まちづくり構想図」への反映
・
この検討においては、
(仮)普天間公園を中心とした緑地空間の配置指針にかかる検討を
行い、優れた環境づくりに向けた緑地空間配置パターンを取りまとめ、
「まちづくり構想図」
に反映させることを目的とする。
②
(仮)普天間公園の計画づくりに向けた意見交換の促進
・
緑地空間の中核となる(仮)普天間公園については、平成20年度調査成果等を「たた
き台」としつつ、テーマ、規模、利用形態等にかかる計画方針を取りまとめる必要がある
ため、跡地全体のまちづくりにおける役割や効果が実感できる具体的な姿を「まちづくり
構想図」によって提供することにより、
(仮)普天間公園の計画づくりに向けた関係者の意
見交換を促進する。
2)緑地空間配置パターンを構成する緑地空間
①
都市公園
・
(仮)普天間公園を拠点緑地として位置づけ、約100ha の規模を想定する。
・
地区公園・近隣公園等は、市街地面積((仮)普天間公園を除く)の 5%、約20ha と
想定する。
②
保全緑地
・
これまで大事にされてきた地域景観の保全や防災のために、西側の斜面や旧神山集落東
側の小丘等の既存緑地を、施設緑地や地域性緑地等として保全することを想定する。
③
緑化道路
・
幹線道路の一部において、高水準の道路緑化(広幅員の植樹帯等を備えた歩道整備等)
を施すことを想定する。
④
並松街道
・
旧並松街道の松並木を往時の姿で復元し、沿道の街並みとあわせて歴史的な空間を蘇ら
せることを目的として、跡地内の延長約 3.8 ㎞を幅員10m程度の歩行者・自転車専用道
路等として整備することを想定する。
⑤
敷地内緑地
・
緑豊かな環境づくりには、敷地内緑化も重要な方策であり、土地利用ゾーン毎に最大限
の敷地緑化が行なわれることを想定する。
68
(2)緑地空間配置パターンの比較検討
1)検討の方針
①
検討の対象と目的
・
緑地空間配置パターンを構成する緑地の内、保全緑地、並松街道は位置が固定されてお
り、緑化道路の配置は交通網配置パターンによって定まるため、緑地空間配置パターンに
かかる比較検討の中心となるのは都市公園の配置パターンである。
・
中でも、
(仮)普天間公園は跡地の緑地空間の大きな部分を占めるため、その配置パター
ンの違いに着目した比較評価を行ない、
(仮)普天間公園の今後の計画づくりや「まちづく
り構想」に反映させることを目的とする。
②(仮)普天間公園の形状・位置にかかる比較検討
・
(仮)普天間公園の「形状」については、跡地における優れた環境づくりにおける効果
に着目して、代表的な二つの案について比較評価を行なう。
-全体を大きなひとまとまりとして集約的に配置する案(集約配置型)
-一定規模のまとまりを確保しつつ、残りを帯状の緑地とする案(ネットワーク形成型)
・
(仮)普天間公園の具体的な「位置」については、その規模の大きさから見て、土地利
用ゾーンの配置とあわせた一体的な検討が必要となるため、
「3.土地利用配置パターンに
関する検討」に委ねることとする。
2)(仮)普天間公園の「形状」の違いに着目した比較案の作成
①
集約配置型
・
(仮)普天間公園は、多様な利用目的への対応可能性を担保することや自然度の高い環
境を形成することを目標として、全体を一つの大規模緑地として集約的に配置する。
・
地区公園・近隣公園等は、誘致圏と目標とする計画規模等に配慮して、跡地内に配置す
る(総規模 20ha と想定)。
・
大規模緑地、地区公園・近隣公園等、保全緑地、緑化道路及び並松街道により、跡地に
おける緑地空間配置パターンを構成する。
②
ネットワーク形成型
・
(仮)普天間公園は、緑の豊かさ跡地全体に広めることを目標として、一部を大規模緑
地(50ha と想定)として確保した上で、残りを帯状緑地として配置する。
・
地区公園・近隣公園等は、誘致圏等に配慮した上で、できるだけ帯状緑地と一体で配置
する(総規模20ha の内、半分の10ha を帯状緑地と一体で配置することを想定)。
・
(仮)普天間公園の帯状緑地は、大規模緑地を確保した残りと地区公園・近隣公園等の
10ha を合わせた 60ha、幅員を平均 120mとして、延長を約5㎞と想定する。
・
大規模緑地、帯状緑地、保全緑地、緑化道路、並松街道により、跡地全体に張り巡らせ
たネットワーク状の緑地空間配置パターンを構成する。
69
図Ⅴ-5
緑地空間配置パターン(模式図)-集約配置型
100ha
跡地の区域
都市公園
図Ⅴ-6
保全緑地
緑化道路
並松街道
敷地緑化
緑地空間配置パターン(模式図)-ネットワーク形成型
50ha
幅 100m
跡地の区域
都市公園
保全緑地
緑化道路
70
並松街道
敷地緑化
表Ⅴ-2
緑地空間配置パターンの構成要素とする緑地空間の事例
種別
大規模緑地
事例
所在地
種別
計画内容
海洋博公園
本部町
国営公園
約77ha
名護浦公園
名護市
総合公園
約26ha
沖縄県総合運動公園
沖縄市
広域公園
約70ha
宜野湾市海浜公園
宜野湾市
運動公園
約28ha(コンベンション、野球場含む)
奥武山公園
那覇市
運動公園
約28ha
天久公園(中央部)
那覇市
総合公園
約 7ha
平和祈念公園
糸満市
広域公園
約47ha
天久公園(帯状部)
那覇市
総合公園
幅員 40~100m×延長約 1.6 ㎞
西崎親水公園
糸満市
都市緑地
幅員 40m×延長約 2.7 ㎞
緑化道路
糸満道路(331 号)
糸満市
国道
道路緑化モデル事業により、歩道を幅
員約10m確保し、ガジュマルを 2 列
植樹(延長 600m)
保全緑地
末吉
那覇市
風致地区
約68ha(末吉公園を含む)
漫湖
那覇市
風致地区
約44ha(漫湖公園を含む)
帯状緑地
3)比較案の整備イメージ
①
集約配置型
・
(仮)普天間公園の画内容の具体化とあわせて、利用目的に対応する多様な緑地空間を
組み合わせて大規模緑地を構成する。
・
沖縄県最大となる大規模緑地の拡がりを活かした癒しの空間づくりを目標とし、位置に
よっては、保全緑地や旧集落空間の再生等とあわせて、より大きな拡がりを持ち、変化に
富んだゾーン形成が可能となる。
②
ネットワーク形成型
・
大規模緑地を中心施設、幹線道路で分けられた10箇所程度の帯状公園(平均6ha 程度)
を分園として連鎖させることにより、回遊型の緑地空間を構成する。
・
緑地空間のネットワーク形成により、「公園の中にまちがある」イメージのまちづくりと
「跡地全体が公園と感じられる」公園づくりをあわせて実現することを目標とする。
・
複数の分園によって構成される施設としては、分布地域や種類等により区分された植物園
や動物園、時代によって区分された歴史園、国や地域によって区分された万国博覧会施設や
庭園美術館、それぞれ異なった種目に対応するスポーツ公園等が想定され、幅広い計画内容
に適用できるものと考えられる。
71
4)比較評価の視点
①
利用目的への対応
・
緑地空間の主要な構成要素となる(仮)普天間公園については、利用目的に対応できる
ような規模・形状を確保するために、今後具体化される計画内容との整合を図る必要があ
るが、本検討においては、集約配置を要しない場合もあり得るとの想定のもとで、比較評
価を行なう。
②
跡地利用条件の向上
・
豊かな緑の享受は、跡地の魅力を高め、跡地利用を促進するための「売り物」の一つと
して期待されるため、跡地内からの緑地利用の利便性(緑地空間への行きやすさ)につい
て比較評価を行なう。
・
また、跡地の緑地空間は緑地空間が不足している周辺市街地からの利用にも配慮する必
要があり、周辺市街地からのアクセスのしやすさについて比較評価を行なう。
・
さらに、緑地空間に面する、環境条件が優れた宅地を増やすことができるかどうかにつ
いて比較評価を行なう。
③
緑豊かな風景の演出
・
中南部都市圏や跡地のイメージアップに向けて、広域的な観光流動軸にふさわしいリゾ
ートの風景を提供する等、緑の風景づくりを課題とする必要があり、緑地空間の配置パタ
ーンを工夫することにより、緑の豊かさをより効果的に見せることができるかどうかにつ
いて比較評価を行なう。
④
広域的な緑地の形成
・
周辺地域の緑地資源と連携して、地域景観の保全や生物の棲息環境(生態回廊)の保全
等に向けた広域的な緑地計画を実現する必要があり、そのような広域的な緑地空間のネッ
トワークの形成に寄与できるかどうかについて比較評価を行なう。
・
周辺地域の骨格的な緑地資源としては、比屋良川、普天間川等の河川沿いの緑地、石灰
岩台地端部の斜面緑地、西原~中城斜面緑地、大山の田芋畑等を視野に入れた検討を行な
う。
⑤
自然条件の反映
・
今後の調査成果にもとづき、埋蔵文化財保護計画や地盤環境にかかる制限内容に応じた
配置方針を追加する必要があり(建物敷地に向かない区域を緑地空間として活用する等)、
そのような場合に対応しやすいかどうかについて比較評価を行なう。
・
また、優れた既存樹林等の活用による早期の緑地空間形成にも配慮する必要があり、そ
のような可能性を備えているかどうかについて比較評価を行なう。
72
5)比較評価
評価の視点
集約配置型
ネットワーク形成型
利用目的への対応
○(仮)普天間公園の今後の計画
内容に応じて、大規模空間を要
する利用目的に最大限に対応す
ることができる。
●既存の運動公園、海浜公園、平
和祈念公園等と同程度の規模は
確保できるが、
(仮)普天間公園
の今後の計画内容によっては、
対応できないおそれがある。
跡地利用条件の向上
●(仮)普天間公園が、跡地や周
辺市街地にとっての身近な憩い
の場としては利用しにくい。
○(仮)普天間公園を帯状緑地と
して張り巡らすことにより、身
近な憩いの場や多様な散策ルー
トが形成できる。
●(仮)普天間公園に面する宅地
の間口は約 4 ㎞程度に留まる
((仮)普天間公園が正方形とす
ると周長は4㎞)。
○
●(仮)普天間公園が一塊となっ
ているため、跡地内からの緑の
風景づくりへの貢献度が相対的
に低い。
○帯状緑地は、風景に占める緑の
量を大きく見せることができる
ため、緑豊かな風景を効果的に
演出できる。
緑豊かな風景の演出
帯状緑地の導入により、(仮)
普天間公園に面する宅地の間口
を広く確保できる((仮)普天間
公園の大規模緑地が正方形、帯
状公園の延長が5㎞とすると、
周長は約13㎞)。
○また、帯状緑地を幹線道路等に
沿わせて配置することにより、
多くの人々に対して、緑の豊か
さを一層強く印象づけることが
できる。
広域的な緑地の形成
○大規模緑地の区域を広くとるこ
とにより、多様な生物の棲息環
境となる優れた拠点を形成する
ことができる。
○多様な生物の棲息環境を備えた
広幅員の帯状緑地を配置するこ
とにより、周辺地域の緑地資源
と結ぶ広域的な生態回廊形成を
促進することができる。
跡地の特性の反映
●(仮)普天間公園を集約的に配
置する場合は、優れた既存樹林
地の全てと重ね合わせることは
できない。
○(仮)普天間公園の帯状の緑地
により、優れた既存樹林地等と
重ねる可能性が増大する。
○今後の調査成果に応じて、埋蔵
文化財の包蔵地や地下水系の保
全策として、帯状の緑地を配置
することができる。
○は長所、●は短所
73
6)緑地空間配置にかかる今後の検討課題
①
(仮)普天間公園の計画内容との整合
・
本検討においては、
(仮)普天間公園の計画内容について幅広く想定した上で、比較評価
を行なっているが、今後の計画内容の具体化とあわせて、大規模緑地として整備すべき規
模やネットワーク状とすることの意義等を確認し、いずれかの「形状」を選択する必要が
ある。
②
緑化道路や保全緑地に関する計画の具体化
・
緑化道路については、今後の幹線道路計画の検討とあわせて、高水準緑化の可能性につ
いて検討を行い、緑地空間ネットワークの構成要素として位置づける可能性について確認
する必要がある。
・
保全緑地については、今後の実態調査を踏まえて、保全の必要性、保全すべき区域、保
全手法(公共緑地とするのか、敷地内緑地とするのか等)について検討を行う必要がある。
③
並松街道の復元に関する計画の具体化
・
並松街道の復元については、往時の姿に関する今後の情報収集を通じて、計画幅員やル
ートの設定、沿道利用とあわせた空間形成等に関する検討を行なう必要がある。
④
敷地内緑化に関する検討
・
敷地内緑化は跡地における豊かな緑地空間を形成する上で重要であり、今後の土地利用
計画の具体化とあわせて、その可能性について検討を行い、緑地空間配置計画に反映させ
る必要がある。
74
3.土地利用配置パターンに関する検討
(1)検討の方針
1)土地利用配置パターン作成の目的
①
「まちづくり構想図」への反映
・
この検討においては、平成 20 年度調査の「土地利用・環境づくり方針案」にもとづく
意見交換の成果等を反映させつつ、交通網配置パターンや緑地空間配置パターンにかかる
検討成果を踏まえて、魅力的な都市構造の形成や優れた立地条件の確保に向けた土地利用
配置パターンの検討を行い、「まちづくり構想図」に反映させることを目的とする。
②
土地利用計画の策定に向けた意見交換の促進
・
土地利用配置パターンは、今後の土地利用計画の具体化に向けた検討のベースとして活
用することにより、土地利用ゾーンの計画フレームの確定や立地条件の確保に向けた今後
の意見交換を促進する。
2)土地利用配置パターンを構成する土地利用ゾーン(Ⅴ-2参照)
①
振興拠点ゾーン
・
研究交流地区やリゾート地区を候補として構成することを想定する。
②
都市拠点ゾーン
・
広域拠点地区や市民センター地区を候補として構成することを想定する。
③
地域産業ゾーン
・
再配置誘導地区や新産業育成地区を候補として構成することを想定する。
④
居住ゾーン
・
多様な計画住宅地区や住宅地関連サービス施設を候補として構成することを想定する。
⑤
(仮)普天間公園
・
(仮)普天間公園の大規模な区域は、土地利用配置パターンを大きく左右することにな
るため、土地利用配置パターンを構成する要素の一つとして位置づけ、土地利用ゾーンと
一体的に検討を行なう。
75
(2)土地利用配置パターンの比較検討
1)土地利用配置パターン作成の方針
①
これまでの検討成果の集大成
・
本検討においては、
「土地利用・環境づくり方針案」にもとづく意見交換の成果や交通網
配置パターン及び緑地空間配置パターンにかかる検討成果を踏まえ、跡地の土地利用特性
との適合性や将来都市構造の形成に向けた土地利用ゾーンの配置パターンを作成する。
②
交通網配置パターンに関する検討成果の反映
・
交通網配置パターンについては、
「都市マス案」と「検討案」との間に、土地利用配置パ
ターンを検討するベースとして、大きな差異が認められないため、
「検討案」にもとづく検
討を行なう。
・
中部縦貫道路の跡地内の区間は、副道等を設けることにより、沿道利用可能な道路とし
て位置づける。
・
東西幹線道路は、中部縦貫道路以西の区間の大部分は地下レベルとなるため、沿道利用
が可能となるのは中部縦貫道路以東の区間と想定する。
・
東西幹線道路の地下レベルとなる区間では、道路をまたいだ一体的な土地利用の可能性
を有するものと想定する。
③
緑地空間配置パターンに関する検討成果の反映
・
緑地空間配置パターンについては、
(仮)普天間公園の「形状」に着目した比較検討を行
なっており、
「位置」に関する検討は、土地利用配置パターンの検討に委ねられている。
・
そのため、
(仮)普天間公園の「形状」については、集約配置型とネットワーク形成型の
両案を視野に入れつつ、
「位置」については、土地利用ゾーンの一つとみなして、土地利用
配置パターンを作成する。
④
宜野湾市都市計画マスタープランとの整合
・
宜野湾市都市計画マスタープランの「全体構想図」には、将来都市構造の構築とあわせ
て、「新ねたての交流拠点」、「都市的土地利用」及び「(仮)普天間公園」の概略の配置方
針が示されているが、今後の跡地利用計画の具体化とあわせて修正が必要とされている。
2)将来都市構造形成に向けた土地利用配置の方向
①
研究・交流軸の形成に向けた土地利用配置
・
宜野湾市都市計画マスタープランにおける将来都市構造形成の考え方(「新交流軸」や「学
園都市づくりの都市軸」の形成)を反映して、跡地の南部一帯を含む研究・交流ゾーンを
形成する。
・
研究・交流ゾーンにおいては、沖縄コンベンションセンター、西海岸のリゾート施設、
沖縄国際大学、琉球大学等との交流・連携による研究・交流活動の場を形成することを目
76
指し、跡地においては、
「検討案」の東西幹線道路1+2(「都市マス案」の場合は東西幹
線道路1及び東西幹線道路2)を中心として研究・交流機能の集積地を形成する。
・
宜野湾市都市計画マスタープランの「新交流軸」には、センター地区や行政サービス拠
点等で構成される「新ねたての交流ゾーン」が配置されているが、本検討においては、研
究・交流機能に特化した土地利用配置を目指すこととしている。
②
基幹都市軸の形成に向けた土地利用配置
・
宜野湾市都市計画マスタープランにおいては、中部縦貫道路(南北幹線道路2)を宜野
湾市の都市構造形成の骨格となる基幹都市軸として位置づけているが、本検討においては、
中部縦貫道路と南北幹線道路1にはさまれた軸状の一帯を宜野湾市の新しい都市軸ゾーン
として、広域や市全体を対象とする多様な都市機能の集積地形成を目指すこととしている。
・
また、中部縦貫道路の沿道利用を可能とするためには副道の併設等が必要となり、構造
や幅員からみて街並み形成の軸としてはふさわしくないと考えられるため、南北幹線道路
1を宜野湾市の新しいシンボルとなる都市軸道路として位置づけて、それにふさわしい土
地利用配置を行なう。
③
並松街道沿道空間の形成に向けた土地利用配置
・
宜野湾市都市計画マスタープランにおいては、古道の道筋の確保と緑地的環境の保全・
整備により、歴史的環境をめぐる回廊として並松街道の再生を図ることとされている。
・
本検討においては、並松街道の復元とそれに面する旧集落の再生による歴史的空間の形
成にふさわしい土地利用配置を行なう。
3)跡地の土地利用特性の評価
①
西部ゾーン
・
中部縦貫道路の西側のゾーンであり、丘陵端部からのオーシャンビュー、中部縦貫道路
による広域アクセス、地下レベルの東西幹線道路をまたいだ一体利用の可能性等の土地利
用特性を備えている。
・
跡地の境界に沿った区域(丘陵端部)は、オーシャンビューを活用した魅力づくりや斜
面緑地を緩衝材とした「別世界」の形成等に適している。
・
丘陵端部の東側の区域(中部縦貫道路沿道)は、中部縦貫道路による広域的なアクセス
を活かした大規模・一体的な土地利用に適している。
②
都市軸ゾーン
・
南北幹線道路1(都市軸道路)と南北幹線道路2(中部縦貫道路)に挟まれたゾーンで
あり、広域と跡地を結ぶ交通の多くが、これらの道路に集中するため、広域的な集客に適
した土地利用特性を備えている。
・
東西幹線道路3を中心とするゾーン中央の区域(跡地中央部)は、広域からの集客を目
的とする施設のみならず、宜野湾市民が利用する施設の立地地区として適している。
・
中央部の南北に位置し、既成市街地にも隣接する区域(跡地南北部)は、広域的なアク
セスを活かした大規模土地利用や既成市街地との連携に適している。
77
③
東部ゾーン
・
南北幹線道路1(都市軸道路)の東側のゾーンであり、既成市街地と隣接していること、
南北幹線道路1(都市軸道路)の沿道利用の可能性を有していること、並松街道がゾーン
を縦貫しており戦前には跡地最大の人口集積地であったこと等の土地利用特性を備えてい
る。
・
南北幹線道路1(都市軸道路)の沿道(都市軸道路沿道)は、都市軸ゾーンとあわせて、
賑わいの軸となる「大通り空間」を形成する場として適している。
・
都市軸道路沿道を除く区域(既成市街地隣接)は、並松街道沿道空間の形成や既成市街
地との一体的な生活圏の形成を求める土地利用等に適している。
4)跡地の土地利用特性と土地利用ゾーンの適合性の評価
土地利用ゾーン
ゾーン区分
普天間公園
振興拠点
西部ゾーン
丘陵端部
都市軸ゾーン
跡地中央部
都市拠点
地域産業
居住
○
◎ リゾート
○
中部縦貫道路沿道
跡地南北部
○
○
東部ゾーン
○
○
○
○
○
○
○
○
◎
○
都市軸道路沿道
○
◎
既成市街地隣接
○は土地利用ゾーンに適合する跡地のゾーン区分
◎は跡地のゾーン区分に最もふさわしい土地利用ゾーン
5)(仮)普天間公園の位置に対応した土地利用配置パターン作成の方針
①
(仮)普天間公園の位置選定に関する考え方の整理
・ (仮)普天間公園は、広域からの交通利便に配慮するとともに、多くの人々に目に触れ、
存在感を高めることを重視すると、広域交通の主要な動線となり、交通量が大きな幹線道
路に面する位置が望ましい。
78
・
宜野湾市都市計画マスタープランにおいては、東部ゾーンの既存樹林地や歴史的資源の
保全・活用による公園づくりの考え方が示されており、
(仮)普天間公園の計画内容が、既
存緑地や歴史的資源の活用による魅力づけを重視する場合には、東部ゾーンに配置するこ
とが望ましい。
・
交通網配置パターンを前提とする、幹線道路をまたがないで 100ha 規模の区域を確保
することはできないので、集約配置型の場合は、幹線道路をまたぐ大規模緑地の区域設定
を視野に入れた検討を行なう(「ネットワーク形成型」の大規模緑地は、原則として幹線道
路による分断を回避)。
・
中央ゾーンは、機能立地需要が集中するゾーンであり、50ha の空間を確保することも
できないので、東部ゾーンまたは西部ゾーンに配置することとする。
②
(仮)普天間公園と土地利用ゾーンとの位置関係に関する配慮
・
(仮)普天間公園と土地利用ゾーンとの位置関係については、大規模緑地に面するメリ
ットを活かせるリゾート地区との隣接や大規模緑地と同様に広域的な集客を目的とする都
市拠点ゾーンとの隣接等に配慮する。
・
また、ネットワーク形成型の帯状緑地については、性格を異にする土地利用ゾーン間の
環境調整効果、帯状緑地との隣接による居住ゾーン等のイメージを向上させる効果等に配
慮する。
6)土地利用配置パターン比較案の作成
①
比較案作成の方針
・
大規模緑地の配置にかかるケース設定を行なった上で、下記の配置方針にもとづき反映
させて土地利用配置パターンの比較案を作成する。
-将来都市構造形成に向けた土地利用配置の方向の反映
-跡地の土地利用特性と土地利用ゾーンの適合性に配慮
-緑地空間と土地利用ゾーンの位置関係等について配慮
②
大規模緑地の配置にかかるケース設定
・
①にもとづき、(仮)普天間公園の配置パターンを想定し、比較案を作成する。
-東部ゾーンに大規模緑地を配置する集約配置型(東・集約配置案)
-東部ゾーンに大規模緑地を配置するネットワーク形成型(東・ネットワーク形成案)
-西部ゾーンに大規模緑地を配置する集約配置型(西・集約配置案)
-西部ゾーンに大規模緑地を配置するネットワーク形成型(西・ネットワーク形成案)
79
図Ⅴ-7
図Ⅴ-8
土地利用配置パターン-東・集約配置案
土地利用配置パターン-東・ネットワーク形成案
80
図Ⅴ-9
図Ⅴ-10
土地利用配置パターン-西・集約配置案
土地利用配置パターン-西・ネットワーク形成案
81
7)土地利用配置パターンの比較評価
○は比較案の長所、●は比較案の短所、比較案に共通する評価は省略
比較評価の視点
・緑地空間配置
に関する評価
・土地利用配置
からみた評価
大規模緑地を跡地の東部に配置
大規模緑地を跡地の西部に配置
集約配置型
ネットワーク形成型
集約配置型
ネットワーク形成型
●2本の幹線道路、
旧集落、保全緑地
により、確保でき
るフラットな区
域のまとまりは
30ha 程度
●幹線道路、旧集
落、保全緑地によ
り、確保できるフ
ラットな区域の
まとまりは 20ha
程度
○横切る幹線道路
が地下レベルと
なるので、フラッ
トな区域のまと
まりは 100ha
○横切る幹線道路
が地下レベルと
なるので、フラッ
トな区域のまと
まりは 50ha、
○保全緑地等とあ
わせた大きな拡
がりの確保
○同左
○同左
○(仮)普天間公園
が既成市街地の
イメージアップ
に貢献
○同左
○主要な広域交通
軸(中部縦貫道
路)からの風景づ
くりに貢献
●既成市街地の住
宅地関連サービ
ス機能を活用し
にくい。
●同左
○既成市街地の住
宅地関連サービ
ス機能を活用し
易い。
○同左
○主要幹線道路に
直結した住宅地
開発の可能性
○同左
○同左
○リゾート地区と
居住ゾーンとの
隣接により、両ゾ
ーン間の規模調
整等が容易
○同左
○大規模緑地との
隣接によりリゾ
ート地区の立地
条件が向上
○大規模緑地との
隣接により研究
交流地区の立地
条件が向上
8)土地利用配置に関する今後の検討課題
①
今後の調査成果にもとづく土地利用特性の反映
・
今後の現地調査にもとづき、埋蔵文化財保護計画や地盤環境にかかる制限を受ける場合
は、その区域を明らかにし、土地利用ゾーン(公園を含む)の配置を方針として追加する。
②
公共交通軸に配慮した土地利用配置の検討
・
今後、新しい公共交通軸の計画等が明らかになった時点では、導入空間となる幹線道路
の沿道区域において、広域的な集客に適した土地利用ゾーンの配置を方針として追加する。
③
土地利用計画フレームの反映
・
本検討においては、跡地のゾーン別の土地利用特性と土地利用ゾーンとの適合性を重視
して、比較案を作成しており、土地利用ゾーン別の規模については、大まかな想定に留め
ているため、今後、計画づくりに関する情報発信とあわせた立地需要に関する情報収集に
もとづき、土地利用計画フレームを作成し、土地利用配置計画に反映させる必要がある。
82
Ⅴ-4
「全体計画の中間取りまとめ」の素案の作成
1.まちづくりの目標
(1)魅力発信のポイント
1)中南部都市圏の発展を先導するプロジェクトとして位置づけ
①
将来像の実現に向けた新しい拠点としての位置づけ
・
中南部都市圏においては、那覇市、沖縄市を中心とした構造から、都市圏全体の均衡あ
る発展に向けて、南北方向の都市軸形成を目標としており、中南部都市圏の中央に位置す
る普天間飛行場の跡地は、都市軸形成を促進する重要な役割を担っている。
②
広域的な交通網の再編・強化による優れた立地条件
・
嘉手納以南の大規模返還を契機として、中南部都市圏における幹線道路網の再編・強化
や公共交通軸の導入に向けた計画づくりが進められつつあり、普天間飛行場の跡地の広域
的な交通条件が著しく向上する。
③
跡地の特性を活かした受け皿整備の可能性
・
跡地の大規模な空間、台地からのオーシャンビュー、周辺地域における大学やコンベン
ション施設等との連携の可能性を活かして、今後の基幹産業等の振興や新たな来住者の誘
致に向けた受け皿整備の可能性を備えている。
2)優れた環境づくりにより県内外からの需要を開拓
①
豊かな緑地空間の整備と優れた風景づくり
・
上位計画(沖縄県広域緑地計画)に定められている(仮)普天間公園を中心とした豊か
な緑地空間の整備と緑豊かな風景づくりにより、研究開発等の知的生産にふさわしい環境
づくりや県内外からの来住意欲を高める環境づくりを目標とする。
②
循環型社会形成に向けた先進的な取組の導入
・
環境の時代への対応と島嶼性の克服に向けて、循環型社会形成に向けたモデル地域とし
ての先進的な取組(水循環、ゼロエミッション、省エネルギー等)を導入することにより、
持続可能なまちづくりや環境共生のライフスタイルに共感する産業や来住者の誘致を目標
とする。
83
3)県内外からの利用者の誘致を重視
①
地権者の協働による計画的な用地の供給
・
地権者用地の共同利用などにより、常に利用者を待ち受け、利用者が求める規模や位置
の用地を供給できるようにして、県内外からの新しい跡地利用需要の開拓に努める。
②
利用者の意向を反映した計画づくり
・
基盤整備を済ませた用地に利用者を迎えるレディ-メ-ドのまちづくりではなく、計画
づくりの初期の段階から、民間デベロッパーや来住者等が参加し、利用者の意向を反映し
たオーダーメ-ドのまちづくりを進め、利用者の「夢」の実現を目指す。
(2)「まちづくりの目標」の素案
○
普天間飛行場の跡地では、広域的なビジョンにもとづき、広大な空間を生か
して、中南部都市圏の新たな発展を先導するまちづくりを目標とする。
・
中南部都市圏では、沖縄県が中心となり、嘉手納以南の大規模跡地の有効利用を視野に
入れた構想(沖縄21世紀ビジョン(仮称))を策定し、跡地を活用した都市構造の再編
や振興策の導入等に向けた計画づくりを進めている。
・
普天間飛行場の跡地では、中南部都市圏の中央に位置する広大な空間を活かして、都市
基盤の強化による立地条件を高め、都市機能の受け皿整備に取り組み、都市圏の均衡ある
発展を促進することを目標とする。
○
普天間飛行場の跡地では、沖縄の自然や文化を活かした緑豊かな風景づくり
や環境共生に挑戦し、優れた環境を誇りに思えるまちづくりを目標とする。
・
(仮)普天間公園を中心に「公園の中のまちづくり」を目標として、緑地空間に歩いて
行けるまちづくりや緑豊かな風景づくりを実現する。
・
沖縄や跡地の特性を踏まえた水資源循環、ゼロエミッション、省エネルギー等を推進し、
環境共生に向けた取組に共感する産業や来住者を誘致する。
○
普天間飛行場の跡地では、県内外に広く呼びかけ、まちづくりに参加する企
業や来住者を募り、地権者と利用者の交流によるまちづくりを目標とする。
・
まちづくりに参加する利用者を募るために、まちづくりの構想や地権者の協働による取
組振りを県内外に情報発信する。
・
計画づくりの初期の段階から、地権者と利用者の協働を促進し、利用者の期待に応える
オーダーメードのまちづくりを進める。
84
2.計画づくりの方針
(1)土地利用及び機能導入の方針
○
普天間飛行場の跡地においては、
「しごと」と「くらし」の場が融合した複合
的なまちづくりを目標として、「振興拠点ゾーン」、「都市拠点ゾーン」、「地域
産業ゾーン」及び「居住ゾーン」の形成に向けた計画づくりを進める。
・ 「振興拠点ゾーン」においては、沖縄県の振興を先導する機能を導入して、跡地の特性
を活かした研究交流地区やリゾート地区を形成する。今後、広域的な構想への位置づけや
機能誘致の見通し等を踏まえて、計画づくりを進める。
・ 「都市拠点ゾーン」においては、中南部都市圏の新しい広域拠点や宜野湾市の新しい都
心にふさわしい機能を導入して、広域拠点地区や市民センター地区を形成する。今後、中
南部都市圏における都市拠点間の機能分担方針や宜野湾市の市民利用施設に関する新設、
再配置方針等を踏まえて、計画づくりを進める。
・ 「地域産業ゾーン」においては、既成市街地の環境改善に向けた既成市街地からの移転
立地や新規産業の立地誘導により、再配置誘導地区や新産業育成地区を形成する。今後、
宜野湾市の将来土地利用構想や既存機能の移転意向等を踏まえて、計画づくりを進める。
・ 「居住ゾーン」においては、ゆとりある空間づくりと快適なコミュニティづくりを目指
して、来住者の期待に応える多様な計画住宅地区を開発し、住宅地関連サービス施設の適
正配置を行なう。今後、地権者の土地活用意向や来住者からの情報収集にもとづき、計画
づくりを進める。
○
土地利用ゾーンの形成に向けて、新たな需要の開拓、計画的な用地の供給、利
用者参加の計画づくり等に取り組む。
・
新しい需要の開拓に向けて、「全体計画の中間とりまとめ」等を県内外に広く情報発信
し、跡地のまちづくりに賛同する利用者を募る。
・
計画的な用地の供給を促進するために、地権者との協働により、地権者用地の共同利用
や用地の先行取得等に取り組む。
・
利用者参加による計画づくりに積極的に取り組み、利用者の意向を反映したまちづくり
を進めることにより、利用者の夢の実現に努める。
○
土地利用ゾーンの計画規模については、今後、「全体計画の中間取りまとめ」
にもとづく情報発信や情報収集を行い、機能誘致の見通しを確保した上で、計
画目標を定めることとする。
・
ただし、「まちづくり構想図」の作成にあたっては、土地利用ゾーン別の概略の規模が
必要となるため、「仮置き」として想定する。
85
○
土地利用ゾーンの配置については、宜野湾市都市計画マスタープラン、跡地の
土地利用特性、
(仮)普天間公園の配置パターンの想定等にもとづく検討を行い、
その成果をもとに「まちづくり構想図」を作成している。今後、現地調査にもと
づく土地利用制限、公共交通軸の計画、土地利用需要の見通し等を踏まえて、計
画づくりを進める。
・
宜野湾市都市計画マスタープランについては、跡地における研究・交流軸の形成、中部
縦貫道路を中心とした都市軸ゾーンの形成及び並松街道の復元と旧集落の再生等による
歴史的な空間の形成等を土地利用の配置方針として反映させている。
・
跡地の土地利用特性については、地形的な特性、既成市街地との隣接性、幹線道路網と
の位置関係等に着目した評価を行ない、土地利用ゾーンの配置方針としている。
・ (仮)普天間公園の配置パターンが跡地の土地利用配置を左右することになるため、
「ま
ちづくり構想図」では、公園の配置パターンを複数想定して、土地利用配置パターンの比
較案を作成している。
(2)都市基盤整備の方針
○
広域計画にもとづく中部縦貫道路と宜野湾横断道路を主要幹線道路として位
置づけ、宜野湾市都市計画マスタープランの将来道路網配置計画(「都市マス
案」)に、跡地利用から見た修正を加えた「検討案」を取りまとめている。今
後、宜野湾市全体の幹線道路網計画の検討を経て、「全体計画の中間取りまと
め」(案)を作成する。
・
跡地利用から見た修正にあたっては、跡地の立地条件の向上、跡地利用による宜野湾市
の全体構想の実現、跡地の自然環境に及ぼす影響の緩和等を重視する。
・
また、幹線道路の周辺市街地区間のルートについては、現在進められつつある周辺市街
地整備調査の成果を反映させる。
○
中南部都市圏の公共交通については、現在調査検討が進められているところ
であり、跡地に公共交通軸が導入される場合には、跡地における機能導入の可
能性を高めるものと期待され、土地利用の配置にも大きな影響を及ぼすことに
なる。今後、公共交通の計画づくりに、跡地利用から見た期待を反映していく。
・
跡地に公共交通軸を導入し、定時性が高く、自動車利用によらない広域的な交通手段
を整えることにより、広域からの集客を重視する機能や通勤・通学利便性を求める住宅
等の立地が促進される。
・
また、公共交通軸沿いに公共交通利用を促進する土地利用ゾーンを配置すること等に
より、跡地の有効利用や公共交通利用の拡大につなげることができる。
86
○
広域計画にもとづく(仮)普天間公園は、中南部都市圏や宜野湾市の緑地整
備水準の向上と防災拠点の形成を目標とし、大規模返還を契機とした中南部都
市圏の将来像の実現に向けた取組を励ますシンボルともなる広域公園として整
備する。引き続き、計画内容と配置方針の具体化に向けた検討を進め、
「全体計
画の中間取りまとめ」
(案)を作成する。
・
中南部都市圏が目標とする緑地整備水準を達成するために、(仮)普天間公園に期待さ
れている100ha 以上の計画規模を目標とする。
・
今後、計画内容の具体化や配置方針の取りまとめに向けて、
「まちづくり構想図」等を
もとにした県民・市民・地権者等との意見交換を行いながら、検討を進める。
○
供給処理や情報通信基盤の整備については、跡地利用に関連する既定計画等
を踏まえつつ、跡地の特性への対応や跡地利用の促進に向けた優れた立地基盤
の整備を目標とした計画づくりを進める。今後、土地利用計画等と連携して、
計画の具体化に向けた検討を進め、跡地利用計画に反映していく。
・
跡地の特性への対応については、地下水の保全に向けた雨水貯留浸透施設の導入等の
水資源循環システムの構築等を候補として、今後、跡地利用計画の具体化に向けた検討
を進める。
・
優れた立地基盤の整備については、県内外からの産業の誘致やテレワークを行なう来
住・滞在の促進に向けた情報通信基盤の整備等を候補として、今後、まちづくりの進捗
とあわせて、具体化に向けた検討を進める。
(3)環境づくりの方針
○
跡地においては、循環型社会形成に挑戦する先進的なまちづくりや新しい産
業の創出等に取り組み、時代の要請に応えるとともに、そのような取組に共感
する企業や来住者を誘致し、まちづくりを促進する。今後、多様な取組の具体
化に向けた検討を進め、跡地利用計画の策定やその後のまちづくりに反映する。
・
先進的なまちづくりについては、公共交通利用の拡大や歩いて暮らせるまちづくり等
の交通分野の取組、水資源循環や再生可能エネルギーの開発等の供給処理分野の取組等
を候補として、今後、それらの取組の具体化に向けた検討を進める。
・
新しい産業の創出については、廃棄物のゼロエミッションに向けたリサイクル産業、
長寿命住宅や省エネルギー住宅等の新しい性能を備えた住宅の普及に向けた住宅産業等
を候補として、今後、それらの起業化に向けた検討を進める。
87
○
跡地においては、大規模な空間を活用した緑地空間の整備、緑豊かな風景づ
くり、歴史的空間の再生による優れた地域イメージを県内外に情報発信し、跡
地利用需要を開拓し、跡地利用を促進する。今後、多様な取組の具体化に向け
た検討を進め、跡地利用計画の策定やその後のまちづくりに反映する。
・
緑地空間の整備については、
(仮)普天間公園を中心として、沖縄21世紀ビジョン(仮
称)が目指している「全島緑化」のモデルとして取り組み、沖縄県の振興の拠点として
の役割を果たしていく。
・
緑豊かな風景づくりについては、緑地空間の配置計画を工夫し、跡地の居住者や来訪
者に豊かな緑を印象づける風景づくりを演出する。
・
歴史的空間の再生については、沖縄らしい魅力づくりに向けて、並松街道の復元や旧
集落空間の再生に取り組む。
・
跡地の緑地空間の骨格を形成する(仮)普天間公園については、今後、計画内容の具
体化とあわせて、豊かな緑を効果的に印象づけるための配置のあり方等について検討を
行う。
○
埋蔵文化財や自然環境については、今後、現地調査の調査結果にもとづき、
埋蔵文化財保護計画や地盤環境にかかる利用制限方針等を計画づくりの方針と
して追加し、跡地利用計画に反映させる。
(4)周辺市街地整備との連携の方針
○
周辺市街地整備については、平成20年度から関連調査を進めているところ
であり、今後、関連調査の調査成果を踏まえて、跡地利用と周辺市街地整備と
の連携の必要性や方向について取りまとめ、計画づくりの方針として追加し、
「全体計画の中間取りまとめ」
(案)を作成する。
・
平成20年度の関連調査の調査成果や平成21年度の関連調査との意見交換にもとづ
く予備的な検討においては、周辺市街地整備から見た幹線道路の位置選定の条件、既存
生活関連機能を跡地利用に活用する可能性、跡地を種地とした既成市街地整備の見通し
の確保、周辺市街地から跡地への施設移転の可能性等に着目することが重要と整理して
いる。今後、それらについての検討を進め、「全体計画の中間取りまとめ」(案)に反映
させる。
88
3.まちづくり構想図
○ 「まちづくり構想図」の素案は、
「まちづくりの目標」と「計画づくりの方針」
の素案にもとづき、跡地のまちづくりの具体的な姿がわかる「たたき台」を提
供し、
「全体計画の中間取りまとめ」に向けた意見交換を促進することを目的と
する。
○
「まちづくり構想図」の素案は、交通網、緑地空間及び土地利用の配置方針
にもとづいて作成する。
・
交通網配置パターンの検討においては、宜野湾市都市計画マスタープランの「将来幹線
道路網配置計画」をもとに、跡地利用から見た修正を加えた「検討案」を作成しており、
「検討案」にもとづき「まちづくり構想図」の素案を作成している。
・
緑地空間配置パターンの検討においては、(仮)普天間公園の形状の違いに着目して、
「一箇所にまとめて配置する案」(集約配置型)と「まとまりある区域と帯状公園による
ネットワークを形成する案」
(ネットワーク形成型)を作成しており、両案にもとづき「ま
ちづくり構想図」の素案を作成している。
・
土地利用配置パターンの検討においては、4種類の土地利用ゾーンと(仮)普天間公園
で構成する配置パターンを作成しており、
(仮)普天間公園の配置パターンの違いによる
4ケースを想定して、比較案を作成している。
○ 「まちづくり構想図」の素案は、
(仮)普天間公園の配置パターンの違いによ
る4案を比較案として作成する。
・ (仮)普天間公園の2種類の形状(集約配置型か、ネットワーク形成型か)と位置(跡
地の東部に配置するか、西部に配置するか)の組み合わせにより、下記の比較案を作成し
ている。
-比較案1-(仮)普天間公園を跡地の東部に集約配置型で配置する案
-比較案2-(仮)普天間公園を跡地の東部にネットワーク形成型で配置する案
-比較案3-(仮)普天間公園を跡地の西部に集約配置型で配置する案
-比較案4-(仮)普天間公園を跡地の西部にネットワーク形成型で配置する案
○
「まちづくり構想図」の素案は、今後、関係者との意見交換や「計画づくり
の方針」の追加、修正にもとづき、比較案の絞り込みや修正を行なう必要があ
る。
89
図Ⅴ-11
「まちづくり構想図」(素案)-比較案1
図Ⅴ-12
「まちづくり構想図」(素案)-比較案2
90
図Ⅴ-13
「まちづくり構想図」(素案)-比較案3
図Ⅴ-14
「まちづくり構想図」(素案)-比較案4
91
付 属 資 料
資料-1
本調査において実施した業務の概要
1.平成 21 年度業務の内容
平成 19、20 年度の二か年においては、土地利用・環境づくりに関連する4分野(振興拠点、
住宅地、都市拠点、環境・公園)の計画方針を集大成した「土地利用・環境づくり方針案」を
策定した。
本年度調査においては、跡地利用計画の計画策定に向けた中間的な到達点として位置づけら
れている「全体計画の中間取りまとめ」に向けた関係者による意見交換を促進することを目的
とし、「全体計画の中間取りまとめ」の素案の作成を行った。
1)有識者等との意見交換の実施
①
有識者との意見交換の実施
・
先見性に富み、幅広い発想に基づく検討を進めるために、分野別に見識をもった専門家
や先進的に取り組んでいる地方公共団体との意見交換会を開催
②
関連調査の担当者等との意見交換の実施
・
交通や周辺市街地整備にかかり担当者等との意見交換会を開催し、現在の検討状況を把
握し、「全体計画の中間取りまとめ」の素案に反映
2)地権者との意見交換
・
平成 20 年度調査成果(土地利用・環境づくり方針案)について、若手の会から意見聴
取し、その成果を「全体計画の中間取りまとめ」の素案に反映
3)県民との意見交換
・
普天間飛行場のまちづくりについて、県民・市民等と共に考える「場」の創出、協働に
よるまちづくりの機運を醸成するイベントとして「まちづくりの新しい試み―集客と来住
の促進に向けた魅力づくり―」をテーマに県民フォーラムを開催
4)広域的なビジョンの反映
・ 「沖縄21世紀ビジョン(仮称)」における跡地利用の方針を整理し、計画方針に反映す
べき事項等について確認
5)分野別の計画方針の取りまとめ
・
交通分野、周辺市街地分野における今後の取組方針の整理
・
供給処理分野における計画方針の取りまとめ
6)「全体計画の中間取りまとめ」の素案の作成
・
「全体計画の中間取りまとめ」に向けた関係者による意見交換を促進することを目的と
し、「全体計画の中間取りまとめ」の素案を作成
93
7)有識者懇談会の開催
・ 平成 22 年1月 13 日 第1回有識者懇談会
・
平成 22 年3月2日
第2回有識者懇談会
2.調査業務実施工程(平成 21 年度)
検討作業
会議
平成21年
10月
第1回ワーク
●意見交換
11月
・ 有 識 者、 関連 調 査 の 担 当
者、地権者等
・県民
平成22年
■準備
【意見交換会】
― 人選 等
【県民フォーラム】
― テーマ選定、人選等
地分野、供給処理分
野の情報収集等
1月
2月
■有識者、関連調査
の担当者、地権者
等との意見交換の
実施
りまとめ(交通分野、
周辺市街地分野)
■計画方針の取りまとめ
(供給処理分野)
■県民フォーラムの実施
3月
■計画方針の予備的取
■「全体計画の中間取り
まとめ」の素案
■「沖縄21世紀ビジョン(仮称)」の整理・確認
12月
■交通分野、周辺市街
第2ワーク
第3回ワーク
第1回有識者懇談会
第4回ワーク
第5回ワーク
第3回県民フォーラム
第2回有識者懇談会
第6回ワーク
94
資料-2 普天間飛行場跡地利用計画方針策定にかかる有識者懇談会の記録
■
有識者懇談会(第1回)
1)日時、場所
○ 開催日時:平成 22 年1月 13 日 15:30~17:30
○
開催場所:沖縄県庁8階
第1・2会議室
2)懇談会委員(敬称略)
・東京都市大学
都市生活学部
・(株)カヌチャベイリゾート
・北中城村
都市生活学科教授
代表取締役
参与
・(株)地域計画研究所
:小松史郎
:白石武博
:高嶺晃
代表取締役
・琉球大学工学部環境建設工学科
:田島利夫
教授
:堤純一郎
・NPO 沖縄県建築設計サポートセンター
:中本清
・(有)MUI 景画
:山口洋子
・普天間飛行場の跡地を考える「若手の会」副会長 :呉屋力
3)事務局出席者(敬称略)
・沖縄県
企画部企画調整課
・宜野湾市
基地政策部基地跡地対策課
:名嘉真稔、玉城久美子、高江洲強
:比嘉秀夫、新垣勉、照屋盛充
・(財)都市みらい推進機構
:稲岡英昭、松村聡
・(株)日本都市総合研究所
:荒田厚、村山文人
・玉野総合コンサルタント(株)
:堀田保将、水野清広
・(株)群計画
:大門達也
4)意見交換の要旨(敬称略)
白石
:普天間の計画づくりについて、2つの意見がある。
①普天間基地の移設により地代や雇用が減る部分をどうカバーするか。これら負のイ
ンパクトを如何にバックアップするかの数値目標が必要ではないか。現在は、土地が
あるから使うという議論になっている気がする。
②過去に2つの大規模跡地開発(北谷、新都心)が行われているが、その「良かった
点」と「悪かった点」を評価した上で、跡地計画を考えるべきではないか。新都心は
供用開始まで 20 年以上要しており、2000 人以上の地権者の利益調整に相当の時間
を要したと聞いている。どのような手法が良いのか。跡地のまちづくりは、新都心の
ように居住者が流入するものの、域内移動だけで県全体では増えない。区分けして区
画整理をすることが、沖縄、地域にとって価値があることかの議論が必要ではないか。
③基地移設により地代、雇用はどの程度減るか。
名嘉真:普天間基地だけで地代が 60 億円程度減る。雇用は基地従業員だけなので、それほど
95
多くないだろう。平成 17 年頃に新都心、桑江、金城の跡地について経済効果の調査
が行われた。その調査では、土地に対して借地料のみ貰っていた経済活動が、会社立
地により従業員が収入を得ることになり、現在の基地の経済効果より大きくなるとさ
れている。
白石
:跡地エリアだけの部分最適はそうかもしれないが、沖縄県全体を考えた時はどうか。
名嘉真:本調査では中部圏域全体の経済効果から基地の面積、収益を除いて評価されている。
白石
:この土地は区画整理をして新都心型で整備することが基本になるか。
名嘉真:将来的な法体系整備と関連しているので、現時点はお答えし難い。
白石
:①新都心は那覇に位置している有利性があるため、住宅地や商業地としてのビジネス
モデルとして成立したが、普天間が同じ手法で本当に価値を生み出しうるか。
②大規模な土地利用では、
「国際競争」と「沖縄県が本当に必要な機能は何か」をおさ
えるべき。普天間が付加価値を得るために、沖縄として必要な機能は何か。これが中
心にならないと、結果的に地権者の皆さんの得にならない。即ち、外からお金が入っ
てくる仕組みをここで生み出すことが重要だろう。普天間の土地の特性を活かして、
沖縄県に必要な機能、さらに国益にかなう機能、仕組みを考えておくことが必要。
呉屋
:地権者勉強会で荒田氏から「地権者が相当の覚悟をしないと事業化にふみ切れない」
という話があった。これまでは地権者の意向を十分に盛り込めていないかもしれない。
関心を示さない地権者の方々も含めて協働の取組ができれば、より話が進むと思う。
白石
:地権者の中には、どうしても昔の土地に住みたいという方もいると思う。それがどの
程度かが把握されていない中で土地利用の議論ができるか。公園は良いと思うが、そ
れを活用して外側から人々を呼びこみ、消費してくれる仕組みにしなければいけない。
どのような人が住むかを見定めないと、住宅地ができても住む人がいないだろう。例
えば、素晴らしい医療施設を中心に据えて、ハイエンドな高齢者、外国人を住まわせ
るなど。国が取り組んでいる観光立国は、どこにお金持ちがいるか、どこに消費があ
るかという議論だと思う。
アベレージ論にしないで、誰を住まわせたいのか、誰が経済活動をするのかを見据え
た検討をした方が良いと思う。地元の人々が住みたいエリア、人を呼び込むエリアな
ど、機能を分けてエリア分けして考えた方がよいのではないか(集中と選択)。
呉屋
:地権者の中には個人で利用したいという方もいる。また若手の会では地権者の共同利
用についても議論している。まずは、地権者の中で個別に利用したいか、みんなと一
緒に利用して収益をあげたいかなど、地権者意向を把握する必要があると思う。
白石
:地権者の意向把握は先にやるべきだろう。どうしてもここに住みたい人、共同利用で
収益を上げたい人などがいると思うので、その辺を仕分けすることが必要ではないか。
堤
:ただし、全部を盛り込むと基本方針のようになる。基本方針は総花的に書いてあるた
め、どのようなまちにしたいか分からない。
中本
:新聞記事の論調について確認したい。琉球新報の社説で過去の返還事例について、返
還後の生産効率を数値で示している。ハンビーで雇用 23 倍、税収 50 倍、経済波及
81 倍、那覇新都心で雇用 37 倍などとされている。
名嘉真:新聞記事は、県調査結果の数値と違っているため、新聞社に確認しているところであ
る。ただし、流れとしてはこのようなイメージだと理解している。
中本
:どのような根拠でこの数字がでているかを、次回懇談会で示して頂けると有り難い。
白石
:外貨は入ってこないと思うが、プラスになるか。
96
名嘉真:土地からの収益だけでなく、会社等が立地することによる経済波及効果があるという
ことらしい。
白石 :①沖縄県全体を考えると県外から産業や人が入ってこないと経済効果につながらない。
②普天間以外の返還跡地でも、同じようなまちづくり方針が謳われており、各跡地で
同じような開発をすれば、1つも成立しないで足の引っ張り合いになる可能性がある。
堤
:金太郎飴。新都心と同じものがいくつかできるという話になってしまう。
白石
:それはお互いにハレーションがおきるだけで、県益、国益、世界益にならない。ビジ
ネスモデルにならないので、将来的に地権者の方々から不満がでる可能性がある。
堤
:普天間が返還された時にどうするか。新都心があり、やがてキンザー等も返還される
なかで金太郎飴にならないためには、どうしたら良いかというマスタープランがない。
白石
:那覇空港や那覇との道路接続、渋滞のない道路、鉄道整備など、全体の価値を高めて
いく必要がある。普天間跡地に限定した話では同じ議論しかできない。
呉屋
:これまでは、跡地内に限定した議論をしすぎた。鉄道などのより広域的機能が前提に
なれば、もう少し話が広がるだろう。今後はこれら広域的な機能を含めて議論するこ
とで、普天間の役割が見えてくるかもしれない。
小松
:①沖縄の海洋資源は素晴らしいが、リゾートで本当に沖縄経済が潤うのだろうか。現
在でも沖縄のリゾートは多すぎるとともに、普天間はリゾートの適地ではないだろう。
②都市観光は那覇の国際通りのレベルアップをすれば良い。ここから人を奪って、普
天間で新しい都市型観光の拠点をゼロからつくるのは不要な投資。
③沖縄が何で食べていくには、より付加価値の高い製造業が必要になる。大学院大学
はノーベル賞クラスのバイオ研究者が集まるので、それを活用して地域づくりをする。
その最適立地は恩納村ではなく、よりまちに近く、子弟教育ができ、病院やショッピ
ングセンターががあるまち。そのようなまちが普天間の目指す方向ではないか。
④今の基本計画は、きれいごとが沢山書いてあり、流行のキーワードが並んでいるが、
これで本当に宝のような土地が活かせるのか疑問である。
白石 :①リゾートに関して沖縄ができすぎということはない。県全体で7年後に 1000 万人
の集客を目指しているが、楽にできると思う。現在でも1億 3000 万人しかいない日
本から 600 万人を集めており、同じような距離感のところに 10 億人以上いる。
②例えば、約2万人の兵隊が朝昼晩に食事をすることを経済活動とすると、3泊の客
を年間 50 万人程度集客すれば同等の経済効果になる。普天間跡地で、今とは別の観
光客を 50 万人集めるというミッションのたて方があるだろう。ただし、陸上リゾー
トとしては中途半端な大きさなので、相当変なものをつくらないと儲からない。普天
間は平坦なことだけが特性で、陸上には他にも土地があるが、全くリゾート化してい
ない。相当とんがったものをこのファンクションの中に入れる。例えば、中心を超学
園都市にしたり、国連機関を置くなどの戦略が必要ではないか。
中本
:5年前に中国に2万6千人程度のまちをつくったことがある。現地の人たちは製造業
を誘致したいという意向があり、日本企業も進出したが、基本的なところで「心の拠
り所」を求めていた。それを検討している中で、土地に魂を入れるためには「道教の
寺院がほしい」という話がでてきた。
沖縄の土地で中国人の心を揺り動かすものは、
「天妃宮」である。これは沖縄に3つ(那
覇の上天妃宮・下天妃宮、久米島の天后堂)あり、中国の冊封使が船で立ち寄ったと
ころに天妃宮ができた。魂を入れた天妃宮をつくれば中国から 100 万人単位で人を
97
集めることができるのではないか。天妃宮の本山が福建省の湄州(びしゅう)島にあ
る。そこは華僑の心の拠り所で、海外からの送金も結構ある。チャイナタウンより集
客性があり、例えば、東アジアクルーズツアーの1拠点になるのではないか。
白石 :1つのアイデアである。沖縄県は 100 年前から人々が海外に移民していた。100 年
たっても5年に1回、約 5000 人が沖縄に帰ってくる。このコミュニティの強さを活
かせないか。2世、3世の人をこのエリアに1万人程度住まわせ、日本人にカスタマ
イズして市民権を与える。沖縄に関係のない中国人やロシア人より良いのではないか。
日本の人口を増やすという国益にも寄与するので、国からお金をもらう。沖縄県株式
会社人材派遣部みたいなもの。日本では生産人口をしっかり確保しなければいけない。
中本
:5年前にシカゴ大学の平良氏が「琉球共和国」ということを言っていた。これは国で
はなく、自分がその国民と思えば共和国になれるというバーチャルなつながりで、心
の拠り所を沖縄に求める人はみんな沖縄国民になれるという発想である。これからの
時代は、国益をめぐって争うのではなく、個人のライフスタイル、価値観を共有する
人たちが集まって、拠り所を求める時代ではないか。
白石
:華僑の人たちはある意味でボーダーを超えており、沖縄の人はその意味でいうと中国
人的なコミュニティの強さを持っている。
広い普天間で沖縄ルーツの人々を日本人化し、大学院大学を中心とした生産拠点をつ
くり仕事をさせる。さらに次の段階では、沖縄ルーツの人が、海外のコミュニティを
使いながら観光客をつれてくる。これができるのは沖縄だけで、まさしく万国津梁。
沖縄は物流でのハブ機能ができたが、最終的には人のハブになる。
5~6年前に厚生労働省の方に、移民問題を聞いたことがあるが、その当時でも年間
60 万人程度の移民を入れないと、日本人の数がキープできないとのことだった。
堤
:一次産業の衰退が気になっている。沖縄の食料自給率は 30%程度であり、人口・観
光客が増えた時に、台風が来て1週間船が近づけなかったら、我々は飢え死にするか
もしれない。製造業は2次産業だけでなく、1次産業も真面目に考えなければならな
い。普天間の一部を農業利用しても良いかもしれないが、県内には遊休耕作地が沢山
あるので、県土全体でトータルなデザインを考えることが求められる。
白石
:1次産業は担い手がいないことが問題。観光業界は農業とのつながりを意識し、その
動きが進んでいる。マーケットはフードマイレージが短い食材に対して価値を認め、
フードマイレージが短く(自給率が高く)なるとコストも安くなる。最近は1次と3
次産業がつながってきており、トレーサビリティの明確なものの価値が上がっている。
山口
:20 年後を考えると、私たちは高齢化社会の当事者になっている。高齢化社会の中で
どのようなまちをつくったら良いか、私たちはどのような生活ができているか。これ
らは自分にかえってくる問題。高齢化への対応と環境が重視される時代に、
『自分たち
が生きていく上での基盤をつくっていく』必要があると思う。例えば、普天間は非常
にフラットな地形であるため、高齢者や福祉の取り組みにマッチする。フロリダにサ
ンシティがあるが、沖縄はフロリダの環境に近く、様々な地域から人々が集まってく
る。さらにフラットな立地を活かして、ユニバーサルなまちづくりができる。
もう一つは、低炭素社会を目指すときに、住宅からでる CO2 は非常に高い。他の分野
は CO2 削減に相当トライしてきた。とりわけ、東南アジアの人口密集地域で発生され
る CO2 も大きい。これらを考えると、住宅の CO2 削減、住まい方をどうするかを沖
縄で考えることが、アジアの取り組みにもつながっていくだろう。
98
次の時代に向かって解決しなければならない課題である高齢化社会、環境に対して、
普天間を中心にどのような答えをだせるかが非常に重要と考える。さらに、車社会か
らどうやって脱皮していくか。高規格の中部縦貫道路は必要なく、中部縦貫緑地でも
良いはず。都市構造として、車社会からの脱皮が大きなキーワードであり、ドイツの
エアランゲンの都市計画が参考になる。
経済的な話もあるが、自分たちが住む、次の世代が住むことも考えるべきだろう。
白石
:住むまちをつくるか、事業モデルをつくるかのチョイスの問題。ここが議論のスター
トであり、地権者の皆さんが選択しなくてはならない。サンシティのようなものをつ
くるのはあると思うが、地元のオジー、オバーではなく、全世界から人が集まる場所
にしないと駄目だろう。中途半端ではなく、例えば環境に取り組むのであれば徹底的
にやり、世界の何処に行っても同じようなまちがない、誇れるまちの形態にすること
が重要と考える。
中本
:フロリダでは冬にスノーバードといってニューヨークなどから人々が来る。地元の新
聞が面白く、訃報広告が「この方は、どのような子どもを何人残して、どのようなボ
ランティアをした」という個人の尊厳を表に出す書き方になっている。ケンタッキー
のあるまちは、冬の間、フロリダの一定区域に移住し、夏は若い人たちが来る。新聞
には○○郷友会があるから集まりましょうとう記事が掲載されたり、卿友会が祭りを
催したりしている。
白石
:海外移住はずいぶん取り組まれているが、失敗して帰ってくるケースが多い。エリア
の中は日本のようで快適であるが、外に出た瞬間に言葉も喋れないし、閉塞感がある。
また、定着されない方の一番の要件は仕事がないこと。コミュニティなので、生産活
動に従事していることが重要。朝から晩まで毎日ゴルフ、ダイビングをして、フラン
ス料理を食べるなどの生活は、1週間も続かない。住むことは消費オンリーではない。
高嶺 :アメリカのヒューストンには NASA があり、打ち上げのコントロールタワーであるが、
医療分野でも先端である。宇宙を媒体にして、住みやすい環境づくりをしている。そ
こには「基地」があり、
「エネルギー(石油)」があり、
「温暖な自然」に恵まれている。
宇宙と地球を媒介するのがヒューストン。沖縄の嘉手納飛行場は、アジアのなかで唯
一、打ち上げられた衛星が緊急着陸する場所である。例えば、沖縄はヒューストンの
アジア支部の環境をつくるとして、特区として取り組むことが考えられないか。アジ
アの中で環境、医療をコントロールするセンターはどうか。
田島
:普天間は「規模が大きい」ので、どんな話も飲み込める。それと時間を要するが、こ
れだけ世の中が変化する中で、今考えたことが 20 年先に耐えられるか疑問である。
構想・計画を実現するために、世の中の変化にどう対応したら良いか。普通の都市開
発と違って、跡地利用は「長期、持続的で、可変的な計画づくり」ができないか。10
年後に新しい計画をつくることができ、新しい事業者が現れたら乗り換えてもかまわ
ないといった可変性をもった仕組みができないか。従来のやり方では公共投資が後ろ
にあるので、一端決めると変えられなく、どんどん続く構造になっている。
フランスのある都市では、法的に商工会議所が開発権を持っており、デベロッパーに
なり、プランナー等をよんできてエリアのリゾート開発計画をつくる。そこに定住人
口も生まれるので、最終的には開発者が自治体になる。それだけ長いタームで事業を
進め、時代の変化にあわせて事業メニューも変え、最終的にはまちになる。これぐら
い持続的に事業を進めていける仕組みがあると様々なメニューが総合的に実現できる。
99
小松
:バイオ産業は1次産業でも3次産業でもある。大学院大学で知識が集まることは千載
一遇のチャンスであり、それをどうだしきるか。バイオはつくば、けいはんなともに
失敗した。ここで集めた世界的な学者達には集客力があり、新しい資源になる。
今後は、世界で中国が成長セクターになるため、どのように共存共栄していくかを考
えることが重要。国内需要でまかなえるものはしれている。中国のハイテクバイオ企
業を普天間にもってこれるかを考えるべき。
ハイテク&リゾートは 20 年ほど前の概念であるが、レジャーと仕事が一体化したラ
イフスタイルは、知的生産性の向上につながる。ソフィア・アンティポリス(フラン
ス)がモデルである。国の研究機関をもってくると更に効果的だろう。リゾートだけ
では食べていけないので、先に産業ビジョンありき。大学院大学を軽く見てはいけな
い。これを活かすか、殺すかは沖縄の方々の心構え次第。
堤
:①大学院大学は難しい問題があるので、そこに頼るのは危険性が高い。研究資金と給
料をもらって腰かけにしようといる学者が殆どで、人数としては 100 人足らず。学
研都市にするのであれば、近くの琉大や沖国大を活用すべきではないか。
②普天間は土地の問題だけでいえば、市域の真ん中にあったために都市計画がメチャ
クチャにされてきた。宜野湾市がどうしたいかという問題もある。宜野湾市の都市計
画としてのあるべき姿も忘れてはいけない。
白石 :腰かけで来た学者が本当に住みたいと思う場をつくることが重要。観光振興の基本は、
安全・快適で住みやすい場所をつくり、住んでいる人たちが、ここに住んでいて良か
ったと思えるまちをつくること。人が流出してコミュニティが崩壊しているところで
観光は成立しない。沖縄が観光でポテンシャルが高いことは、沖縄の人たちが沖縄を
好きなこと。これに磨きをかけ、海外から来た人を沖縄につなぎ止めることが重要。
そのためには、住み良さ、安全性、心の段差のない社会など、沖縄の特性を活かして
エリアとして人を呼び込む力が重要になる。観光はホテルだけではできない。
県収入の2割近くが観光であり、無視することはできない。この産業の拡大に向けて
は、国内マーケットの数拡大ではなく、全世界をみながらのサステイナブルな拡大を
していく。これは県全体の話なので、観光振興課ではなく企画が取り組んでほしい。
小松
:大学院大学は産業とは思っていない。学者が連れてきた外国からのハイテク企業の経
営者、社員がどのくらい住めるか。そこに新たな産業が入り、人々が生活してくれる
ことが重要。
堤
:①引っ張り込んで、そこに定着させる魅力をつくれば素晴らしいことになる。それを
上手くやるためにどうするかを恩納村が先行して取り組んでいる。そのような状況下
で、普天間の立ち位置がポイントになるだろう。普天間でどれくらい取り込めるか。
②シーサイドキャンパスにいる研究者は、そこから動きたくないようだ。
白石
:どうやって定着させるか。リゾート地と研究の場は相性が良い。
堤
:琉大が中心になり、沖縄県が健康バイオ産業の産学連携拠点形成事業を行っている。
それをもって大学と県の工業連合会等が提携し、拠点をつくろうとしている。その拠
点の位置として普天間が入ってくるならば、そこに大学院大学から来てもらう可能性
はある。
以上
100
■
有識者懇談会(第2回)
1)日時、場所
○
開催日時:平成 22 年3月2日
○
開催場所:沖縄県庁8階
13:30~15:30
第1・2会議室
2)懇談会委員(敬称略)
・東京都市大学
都市生活学部
・(株)カヌチャベイリゾート
・北中城村
都市生活学科教授
代表取締役
参与
・(株)地域計画研究所
:小松史郎
:白石武博
:高嶺晃
代表取締役
:田島利夫
・NPO 沖縄県建築設計サポートセンター
:中本清
・(有)MUI 景画
:山口洋子
・普天間飛行場の跡地を考える「若手の会」副会長 :呉屋力
3)事務局出席者(敬称略)
・沖縄県
企画部企画調整課
・宜野湾市
:名嘉真稔、玉城久美子、嘉川陽一、高江洲強
基地政策部基地跡地対策課
:比嘉秀夫、新垣勉、照屋盛充
・(財)都市みらい推進機構
:佐々木健、稲岡英昭、松村聡
・(株)日本都市総合研究所
:荒田厚、村山文人
・玉野総合コンサルタント(株)
:堀田保将、中垣淳一、水野清広、久松隆司
・(株)群計画
:大門達也
4)意見交換の要旨(敬称略)
白石
:地権者のうち約2割の方が住宅として使いたいと考えているか。
荒田
:少し前の意向調査結果であるが、約2割の地権者の方が、自己利用としての住宅用地
を確保したいと考えている。
白石
:上位計画はいつできるか。
荒田
:①幹線道路は県が総合都市交通計画を既に策定しており、基本的な事項が盛り込まれ
ている。その中で鉄軌道の必要性は示されているが、具体的にどのように進めるかに
ついては調査中という段階である。
②来年度に「全体計画の中間とりまとめ」
(案)を作成し、情報発信することを予定し
ている。今年度の有識者懇談会は今回で終了し、次年度の開催になる。
高嶺
:様々な方の多様な意見を一つにまとめていくことは大変難しい。先導的施設の役割を
決めた上で、これに合ったまちづくりを行うのが良いのではないか。先導的施設が何
かを数パターン作成し、議論しながらまちのタイプを検討することが考えられる。
白石
:先導的施設は、収益の高いケース、低いケースなどを考えながら検討する必要がある
だろう。
呉屋
:若手の会で取りまとめたことを地権者が理解できているか疑問である。地権者の9割
が 60 歳以上であり、高齢の方が気になるのが地料に代わる収入である。若手の会で
101
共同利用を提案しているが、地権者懇談会では企業に利益が吸い上げられるなどのマ
イナス意見や減歩率の話がよくでる。全体計画の流れを把握していない地権者も多い。
地権者意向調査においても、アンケートをするだけでなく、共同利用を行いたいなら、
現段階の取り組みが分かる逆フローを示すなど、関係地権者にうったえるツールが必
要ではないか。
小松
:地料に代わる収入源を確保することが重要であり、増進率が3倍になれば減歩率が3
割でも問題ない。大部分の土地は増進率を3~4倍上げる必要があり、そのためには
「カジノ」が有効と考える。現在の沖縄の魅力は海洋リゾートであり、新しい魅力づ
けとしてカジノがある。
このカジノ構想とハイテクリゾート構想、ビバリーヒルズ構想、花博構想の4つをセ
ットにして土地の増進率を上げる。県外から投資がきて、沖縄の価値が上がることを
考えることが重要である。
実現手段として、地権者の協力と協働は非常に大事である。3000 名の地権者を束ね
る地権者組合などの組織をつくらないと開発主体も相手にしないだろう。
白石
:高齢の地権者にも分かるシミュレーションが必要ではないか。カジノには地権者の合
意とともに、新しい制度創設などのファクターも必要になる。
小松
:これだけの開発をやるからにはシンボリックな国際機関がほしい。高齢の地権者の理
解を得るために逆フローは良いアイデアと思うが、目標が決まらないと逆フローにな
らない。その時に一番大事なのは地料に代わる収入減を明確に言ってあげることだろ
う。
白石 :①収益確保を目指す人、収益は必要ない人、その中間の人を分けて考える必要がある。
さらに世界のマーケットを相手にするという考え方が重要と考える。世界のマーケッ
トに対して何を提供すれば収益が得られるかを柱にしてほしい。
②まちを考えると、可変的なことと不変的なことがある。カジノをつくるから環境問
題がどうでも良いということではない。環境問題は将来も不変的であり、テクノロジ
ーは可変的である。不変的な価値観をベースにシミュレーションをすべきだろう。
②普天間公園は案があるか。個人的には、普天間公園はセントラルパークのような大
規模な公園のなかに、商業施設などがあり、公園自体が観光集客施設になるというイ
メージを持っている。
荒田
:普天間公園の案は現時点でない。
小松
:公園は維持するだけで相当の資金が必要になるので、観光公園にして収益を得る必要
があるだろう。
山口
:①普天間公園は国営という話がある。全国的にみて沖縄の国営公園だけが経済的に潤
っている。普天間で国営公園を展開する時は、何をテーマにするか。海洋博記念公園
や首里城公園で収入源となっている区域は一部で、外側が物理的に開かれていること
により地域の財産になっている。様々な人が出入りでき、地域にとけ込んでいる。国
営にすると管理されて、地域に開放されない公園になってしまう可能性がある。普天
間のまちづくりのテーマにリンクした中核施設があれば、それ以外は環境保全で開放
されるのが良いのではないか。
②筑波研究学園都市の開発は失敗だろう。都市計画面では様々なチャレンジを行い、
理想形に近づけたが、住みたいとは思わない、魅力がない。地域と隔絶している印象
である。公園も魅力がなく、むしろ周辺の既存集落の方が面白い。新しいまちをつく
102
る時には、既存集落にとけ込むことを目指せないか。
小松
:セントラルパークには塀がなく、入場料をとらない。塀がなくても管理はできる。
白石
:中核施設に何を据えるかが重要だろう。その場合、地球の裏側からも人を呼び込むも
のを考える。中途半端なものでは失敗するだろう。緑だけの公園なら山にすればよい。
中本
:アジアの都市戦略の中で普天間をどう位置づけるかを明確にしておく必要がある。マ
レーシア等に投資しているブルネイの会社があり、この会社が沖縄を投資の対象とし
て様々な情報収集を行っている。今後はこのようなヒューマンネットワークを活用し
てアジアの情報を手に入れて、アジア戦略をたてていく必要があるだろう。
白石
:供用開始は何時を想定するか。供用開始時期を仮説ででも決めないと、リアリティあ
る話ができないだろう。
小松
:これが決まらないと定量的な計画はできない。
中本 :普天間公園について考えていたことがある。沖縄の歴史に残る政治家「蔡温」
(さいお
ん)が林業政策を展開した。ある意味では成功したが、ある意味では画一化されてヤ
ンバルの森に松林が多くなり、本来豊かな多様性ある亜熱帯の森がなくなり、生態系
がとざされた。100ha の緑地で亜熱帯の森、生態系を復元し、原風景を人工的につ
くりだす。この技術開発をすることが大きなテーマになり、世界中から注目を浴びる
のではないか。亜熱帯の森に一番近いと言われているのが久米島の森らしい。
山口
:筑波研究学園都市の外側は山、川、森があって、そこだからできた土地利用がある。
一方、人工的な都市はそういうものが排除される。返還跡地では、沖縄の暮らしのあ
り方、環境共生の住まい方などの骨格をつくり直すことが必要ではないか。安心して
生活できる土台になる。
高嶺
:返還跡地は、既存都市との連携がどれくらいできるかが重要だろう。
白石
:沖縄観光の弱点はイメージとのギャップである。実際は赤瓦がなくなってしまった。
こういったことをベースにレギュレーションを定めた上でまちをつくっていく必要が
あるだろう。
中本
:蒸暑地域での住まいの研究会というものを立ち上げた。現在の建築基準法は北方型の
発想で、高気密・高断熱にして機械で換気するという方向にある。沖縄のローカルル
ールが必要と考え、実際の建物で実験・検証しながらデータを蓄えている。今年度、
宮古でエコハウスを2棟つくっている。このコンセプトは、今ある技術を使ってエネ
ルギーを半減しようというもの。
普天間が返還される頃には沖縄の住まいのあり方を提案できるだろう。現段階では、
太陽光パネルよりは、太陽熱給湯の方がよいという結果を得ている。アジアには 20
億人が沖縄と同じような環境に住んでいるので、これらの沖縄で得られた環境技術の
成果をアジアに輸出しようという試みである。
田島
:読谷村の軍用跡地の開発にかかわってきたが、読谷では軍用地料をカバーできるよう
な土地利用はない。そのため地主と話しをする時は、軍用地料という継続観念をやめ
てくださいと言ってきた。今までの軍用地料を断ち切って、自分で土地利用をやると。
軍用地料を前提としない跡地利用をするのが手堅く、軍用地料を前提とした開発は合
意形成をとることが難しくなる。開発論と土地の生産性の話は十分に注意して地主と
接触する必要があるだろう。
山口
:跡地とその周辺をリンクさせて再整備をした事例はあるか。
高嶺
:新都心などでも跡地を種地とした。跡地と既成市街地の再整備計画は同時につくる必
103
要がある。跡地整備は周辺を含めて計画すべきである。
呉屋
:跡地内の環境が良ければそこに住む人がでてくるかもしれない。高齢の方は元々の自
分の土地を踏みしめたいという思いはあるだろう。また、神山集落の再生は、観光資
源としてはあり得るかもしれない。
田島
:読谷の渡具知集落で集落復元をした。地の利にあった緑環境を復元したもので、区画
整理事業ではできなく、防衛の周辺整備事業を活用した。道路拡幅分は土地を無償で
提供してもらった。
「復元しよう」という基本方針をたてなければ実現できなかっただ
ろう。集落復元により、背後にあるウタキなどが連続的に守られる。
山口 :歴史の積み重ねをもう一度もどして、それを次の世代につなげることが重要であろう。
田島
:アジアの動きなどの情報を得て、自分たちのまちづくりに活かしていくことを誰がや
るのか。今までは公団や3セクが担ってきたが、そのような主体を設定することが重
要ではないか。そこが持続性を持つことにより、全体のプロデュース機能を発揮でき
るだろう。
山口
:米軍に接収されていたからこそ残されている環境もある。その財産をつぶさない社会
資本整備であるべき。
白石
:嘉手納以南の各跡地のもっている特徴を活かして価値を上げ、沖縄全体の価値を上げ
ることが必要と考える。リゾートはキンザーの方がポテンシャルが高いだろう。
荒田
:普天間においてこれまで考えていた「陸のリゾート」は、丘陵端部のオーシャンビュ
ーを活かした観光大学付属ホテル(人材育成施設)というイメージである。
田島
:立川の昭和記念公園等の例から基地跡地で 100ha 規模の公園は一般的だろう。これ
らは国有地であるが、普天間では民地を買収することになるので、どれだけの価値を
盛り込めるかが重要になる。
多摩ニュータウンの後期の開発地では、近隣公園や総合公園を配置しないで、緑道を
整備した。その緑道に面した住宅(プラスワン住宅)の人気が高く、すぐに売れた。
公園は周辺の土地の付加価値を上げる重要なアイテムになるのではないか。
呉屋
:若手の会では、100ha 規模の公園の国営化を目指している。1箇所に集約された公
園だけでなく、既存緑地を活かしたネットワーク型の公園もあり得る。
小松
:蒸暑地域住宅建築研究所と研究実習林としての公園と、住宅メーカーの実験プラント
があるといけるのではないか。国際的に意味のある公園になるだろう。
中本 :蒸暑地域住宅をホームページ等で PR したところ、ベトナムの企業がのってきた。
山口
:蒸暑地域の住宅は、沖縄の原風景にかなり近く、神山の旧集落での適用が可能かもし
れない。研究開発しながら成果をだすことで、産業にもつながるだろう。
呉屋
:若手の会では、世界的に類を見ない大規模な実証実験ができるモデル地区を考えても
よいのではないかという話もある。
以上
104
資料-3
■
ワーキング部会の記録
ワーキング部会(第1回)
1)日時・場所
○
と
き :
○
ところ
:
平成 21 年 10 月 20 日(火) 14:00 ~ 17:00
沖縄県庁7階企画調整課内会議室
2)出席者(敬称略)
○ 沖縄県 企画部企画調整課跡地利用対策班
名嘉真跡地対策監、玉城主幹、嘉川主幹、高江
洲主任技師
○ 宜野湾市 基地政策部基地跡地対策課
比嘉次長、新垣係長、照屋主事
○ (財)都市みらい推進機構
稲岡、松村
○ 玉野総合コンサルタント(株)
堀田、中垣、水野、久松
○ (株)日本都市総合研究所
荒田、村山
○ (株)群計画
小橋川
3)議題
○
21 年度実施計画(案)について
○
県民フォーラムについて
○
有識者等との意見交換について
4)配布資料
○
実施計画書(案)
○
県民、有識者等との意見交換について
○
県民フォーラムまでのスケジュール
○
交通分野に関する意見交換の進め方について
5)意見交換内容
①
実施計画書(案)について
・
「跡地全体の有効利用ビジョンづくり等に資する」とは具体的にどのようなことか。
⇒
普天間飛行場の跡地利用の考え方等を、個別の跡地利用の声として全体計画づくりの場
に届けていきたいという趣旨である。
・
地権者との意見交換について、
「関連調査との連携」とは如何なる意味か。
⇒
本調査においては、これまでに地権者と直接意見交換したことはない。本調査の昨年度
成果を「関係地権者等の意向醸成・活動推進調査」に提供し、地権者と議論して頂き、
その結果を今年度調査に反映させるといった流れになる。
・ 「若手の会」等との意見交換はどのように実施するか。できるだけ地元で活動している人々
105
の意見を取り上げて計画に反映してほしい。
⇒
昨年度調査の成果をもとに意見交換をすることになるだろう。昨年度調査では「若手の
会」の会長・副会長を有識者としてお呼びし、意見交換を実施した。今年度も同じ形式
で意見交換することが考えられる。
・
「土地利用配置パターン」の検討において、量的な検討はどの程度行うか。
⇒
土地利用区分別の量的検討を重視することはできないだろうが、その検討がないと絵に
ならない。土地利用配置パターン検討の前段で、如何なる想定をしたかなどの「前提条
件」を説明することになると考える。
・ 「緑地空間配置パターン」の検討において、
(仮)普天間公園ありきの検討になっているが、
100haを念頭におくことは適切ではないだろう。大規模公園の必要性等の根拠づけが必
要ではないか。
⇒
(仮)普天間公園100haは広域緑地計画に基づくものであり、本調査でその必要性
を論ずるのは難しいだろう。
・
土地利用と交通網は密接に関係する事項であるが、公共交通の方向性が確定するには時間
を要するだろう。今後、公共交通の担当課との意見交換・情報収集等を経て、中間取りまと
めに公共交通等をどのように反映させるか判断していきたい。
・
3月に予定している審議委員会は形骸化してきている印象である。これに代わるものとし
て、『有識者会議』等で具体的な検討をすることの方が有意義ではないか。
②
県民フォーラムについて
・
県民フォーラムは、例年通り1月下旬~2月初旬に開催することとしたい。
・ テーマ(案)の「集客と来住の促進に向けた魅力づくり」については、
『移住』を取り上げ
ることに対して少々違和感がある。例えば、本年度調査項目の「供給処理分野」で良いテー
マ設定ができないものか。
・
今回講演者候補とした2名は、それぞれ「集客」、「移住」という異なった分野を入り口に
しているが、ともに「まちの魅力づくり」がその原点と捉えている。広域的視点、地元のま
ちづくりの視点の両面からも適したテーマではないか。
・
県民フォーラムのテーマ、講演者等については、県庁内で詰めた上で連絡する。
⇒
③
スケジュールが詰まっているので、1週間~10 日内に連絡いただきたい。
・
交通分野に関する意見交換会について
沖縄県の交通計画等については、意見交換会の“場”を設けずに各種情報を収集・提供し
て頂ければ事足りることかもしれない。
・
まずは、宜野湾市都市計画課と幹線道路、周辺市街地整備の方向性などについて意見交換
を行いたい。10/30(金)の午後2時頃から宜野湾市都市計画課との意見交換が可能か調整
いただきたい(意見交換の場所は宜野湾市を予定)。
以上
106
■
ワーキング部会(第2回)
1)日時・場所
○
と
き :
○
ところ
:
平成 21 年 12 月 21 日(月) 16:00 ~ 17:00
沖縄県庁4階第一会議室
2)出席者(敬称略)
○ 沖縄県 企画部企画調整課跡地利用対策班
名嘉真跡地対策監、嘉川主幹、
高江洲主任技師
○ 宜野湾市 基地政策部基地跡地対策課
比嘉次長、新垣係長、照屋主事
○ (財)都市みらい推進機構
稲岡、松村
○ 玉野総合コンサルタント(株)
堀田、中垣、水野
○ (株)日本都市総合研究所
荒田、村山
○ (株)群計画
大門
3)議題
○
21 年度県民フォーラムの企画について
○
懇談会の企画について
○
分野別進捗状況について
4)配布資料
○
県民フォーラムまでのスケジュール
○
県民フォーラムのチラシ(案)
・配付資料(案)等
○
有識者懇談会の趣意書・意見交換(第1回)のテーマ
○
個別意見交換会実施計画
○
調査作業の進捗状況
5)意見交換内容
①
・
県民フォーラムについて
県民フォーラムは平成 22 年3月1日(月)に実施する。テーマ、サブテーマは以下の通
り。
(テーマ)まちづくりの新しい試み―集客と来住の促進に向けた魅力づくり―
(サブテーマ)普天間飛行場跡地利用計画の策定に向けて
・
「後援」については1月中旬までに県・市で確認する。特に内閣府が後援に入るか否かは
配慮が必要かもしれない。
・
講師の方には簡単なレジメ(講師のお考え)を作成頂き、フォーラム当日の配布資料とす
る。
・ チラシは次回WG時(平成 22 年1月 13 日、13:30~15:00)に確定し、印刷した上で、
市町村および関連団体に送付する。
107
②
懇談会について
・ 懇談会の委員には、年内に「意見交換会のテーマ」、基本方針および土地利用・環境づくり
方針案の「パンフレット」、「沖縄 21 世紀ビジョンの抜粋」を発送する。
③
意見交換会について
・
県、市の議会日程を踏まえると、意見交換会は1月~2月初旬の間にセットしたい。
・
1月 25 日の週に、3名の方と意見交換を行うことにしたいが、その週に「次年度のヒア
リング」が入る可能性があるため早めに日を決めてほしい。
・
北九州市における環境の具体的な取り組みは聞いておきたいが、現段階では詳細を聞ける
適切な人物までは把握できていない。供給処理は、さらに意見交換の対象者を検討する。
・
④
分野は異なるが、今後は「百度」の東京支社長などとも意見交換をしてはどうか。
調査作業の進捗状況について
・
沖縄 21 世紀ビジョン(仮称)等の「主要テーマ」と「土地利用・環境づくり方針(案)」
の関係を整理した表について、白丸と黒丸の違いは如何に。
⇒
黒丸は「土地利用・環境づくり方針(案)
」で方針として打ち出しているもの。一方、白
丸は方針まで至っていないものである。昨年度とりまとめた「土地利用・環境づくり方針
(案)」には交通の方針はだしていないため白丸としている。
・
まずは具体的な絵をかいてワークで議論したい。公表の仕方等はその後決めていきたい。
以上
108
■
ワーキング部会(第3回)
1)日時・場所
○
と
き :
○
ところ
:
平成 22 年 1 月 13 日(水) 13:30 ~ 15:00
沖縄県庁8階第一・二会議室
2)出席者(敬称略)
○ 沖縄県 企画部企画調整課跡地利用対策班
名嘉真跡地対策監、玉城主幹、
高江洲主任技師
○ 宜野湾市 基地政策部基地跡地対策課
比嘉次長、照屋主事
○ (財)都市みらい推進機構
松村
○ 玉野総合コンサルタント(株)
堀田、水野
○ (株)日本都市総合研究所
荒田、村山
○ (株)群計画
大門
3)議題
○
県民フォーラムのチラシ、進捗状況について
○
個別意見交換会について
4)配布資料
○
県民フォーラムのチラシ(案)
・配付資料(案)等
○
個別意見交換の今後の予定
○
広域交通計画にかかる県関係課との意見交換「議事録」
5)意見交換内容
①
県民フォーラムのチラシについて
・
以下の事項が確定次第、チラシの印刷を行い市町村および関連団体等に送付する。
─
内閣府沖縄総合事務局が後援に入るか否か
─
白石氏の講演テーマ
・
市町村および関連団体への送付状(書類等の送付のご案内)について、今回の文書番号を
教えてほしい。前回は「知基第553号」。
・
②
県民フォーラムでのアンケート調査は、これまでと同じく実施したい。
個別意見交換の今後の予定について
・
現在決定している個別意見交換の日程等は以下の通り。
─
1/29 13:15~15:15
沖縄総合事務局
宮里氏(場所:沖縄総合事務局)
─
2/8 13:15~15:15
URリンケージ
両角氏(場所:沖縄県庁)
UR都市機構
関根氏(場所:
15:30~17:30
〃
)
・
今後は、北九州、若手の会等との意見交換会について具体化していきたい。
・
北九州市の環境の取り組みについては、現在意見交換の実施に向けてコンタクトをとりつ
109
つあり、北九州市に出向いてお話を伺うことも視野に入れて話しを進めている。
・
若手の会との意見交換は、若手の会メンバー全員が参加する形が良いかもしれない。その
場合、平日の夕方からの開催になる。
また、今後は、NBミーティングが計画づくりに意見を言う場をつくっていくことも必要で
ある。
今年度は、若手の会、NBミーティングと意見交換を行うことにしたいが、どの様な形で
進めるかを宜野湾市で検討頂き、日程調整をして頂きたい。
・ 移住ビジネスを実践している比嘉氏((株)ジョイント代表)は、宜野湾市・照屋氏が面識
ある。
③
・
跡地利用計画のアウトプットイメージについて
跡地利用計画(案)は、平成 23 年度に基本構想レベルの絵をゆるやかな感じでまとめ、
平成 24 年度に公表することをイメージしている。この段階は、跡地利用計画の策定に向け
た「中締め」的な位置づけである。
・
「最終的な跡地利用計画」の段階では、都市計画決定に向けて施設管理者など事業関連事
項を具体的にしていかなければならない。
・
沖縄総合事務局は、中部縦貫道路を国がやるべき路線と考えており、今後検討を進めてい
くとのことである。また、国営公園にかかわりのある沖縄総合事務局の公園担当者と意見交
換をすることも考えられる。
④
・
次回ワークについて
次回ワークは、1/29の宮里氏(沖縄総合事務局)との意見交換会後、16:00~
県庁
で行い、調査の具体的な内容について議論したい。
以上
110
■
ワーキング部会(第4回)
1)日時・場所
○
と
き :
○
ところ
:
平成 22 年 1 月 29 日(金) 16:00 ~ 17:30
沖縄県庁
企画調整課内会議室
2)出席者(敬称略)
○ 沖縄県 企画部企画調整課跡地利用対策班
嘉川主幹、玉城主幹、高江洲主任技師
○ 宜野湾市 基地政策部基地跡地対策課
比嘉次長、新垣係長、照屋主事
○ (財)都市みらい推進機構
稲岡
○ 玉野総合コンサルタント(株)
堀田、中垣、水野、久松
○ (株)日本都市総合研究所
荒田、村山
○ (株)群計画
大門
3)議題
○
県民フォーラムについて
○
意見交換会について
4)配布資料
○
県民フォーラム
アンケート票(案)、当日役割分担図(案)、備品チェック表、
会場内全体配置図
○
意見交換のテーマ(周辺市街地)
○
第1回有識者懇談会
議事録
5)意見交換内容
①
県民フォーラムについて
●
アンケート票
・
ファイルを送付するので、後日、設問についのご意見を伺いたい。
・
設問2は選択肢1.を選択する方が多いと思われるので、来年度のフォーラムテーマ(予
定)を選択肢1.に置くのがよいかもしれない。
●
役割分担
・
ファイルを送付するので、当日の役割分担図に担当者名を記入して都市みらいに送付頂き
たい。
・
内閣府に案内を出すか否かは県で確認する。
・
「土地利用・環境づくり方針案」は未だイメージ段階の案なので、フォーラムではそのビ
デオ(15 分)を流さないこにとしたい。
111
②
意見交換会について
●
周辺市街地整備
・
市道大山7号を整備着手した理由は如何に。これらについて議論しておかないと、都市マ
スに示されたルート以外の検討ができない。
⇒大山7号は道路改良事業(暫定施行)としてバイパスから 58 号をつなぐ路線という位置
づけであり、投資効果が高いということになっている。都市計画事業ではない。
・
並松街道は、極力現道に近いルートにするために、跡地内は南北幹線の東側に歩行者専用
道として配置し、跡地の北側・南側では、南北幹線に抱き合わせたルートにしたいと考えて
いる。
●
若手の会
・
現在、若手の会では、供給処理施設や土地利用・環境づくり方針案についての議論を進め
ている。
・ 今年度の意見交換会は、
「土地利用・環境づくり方針案」についての課題等について意見を
もらい、これらを踏まえて「全体計画の中間取りまとめ」につなげるのが良いのではないか。
・
さらに、今年度に取りまとめた計画を、来年度に若手の会の皆さんと意見交換を行う場を
設けるのが良いだろう。
③
今後のスケジュール意見交換会について
・
意見交換会、有識者会議、県民フォーラムの今後の予定は以下の通り。
平成 22 年 2 月 8 日(月)
13:00~15:00(県庁) 第6回意見交換会【元都市再生機構 両角氏】
15:30~17:30(〃)
第7回意見交換会【都市再生機構
関根氏】
平成 22 年 2 月 10 日(水)
13:00~(北九州市役所)
第8回意見交換会【北九州市】
平成 22 年 2 月 19 日(金)
10:00~12:00(宜野湾市役所) WG 打合せ
13:00~14:30(
〃
) 第9回意見交換会【宜野湾市都市計画課、担当コ
ンサルタント】
15:00~17:00(
〃
)
第 10 回意見交換会【若手の会】
平成 22 年 3 月 1 日(月)
11:00~17:00 県民フォーラム
3 月 2 日(火)
10:00~12:00(県庁) WG 打合せ
13:30~15:30(〃) 第2回有識者会議
以上
112
■
ワーキング部会(第5回)
1)日時・場所
○
と
き :
○
ところ
:
平成 22 年 2月 19 日(金) 10:00 ~ 12:00
宜野湾市
別館3階
建設部会議室
2)出席者(敬称略)
○ 沖縄県 企画部企画調整課跡地利用対策班
高江洲主任技師
○ 宜野湾市 基地政策部基地跡地対策課
比嘉次長、新垣係長、照屋主事
○ (財)都市みらい推進機構
松村
○ 玉野総合コンサルタント(株)
堀田、水野、久松
○ (株)日本都市総合研究所
荒田、村山
○ (株)群計画
大門
3)議題
○
県民フォーラムについて
○
調査の進捗状況について
4)配布資料
○
第6回県民フォーラム実施マニュアル
○
意見交換会の実施済み・予定名簿
○
都市空間構成に関する検討
○
北九州市との意見交換議事録
5)意見交換内容
①
次回の意見交換会について
・佐藤俊一氏(協働まちづくり)との意見交換会は、県民フォーラム翌日の 3/2、10:00~
12:00 に開催(当初はワークを予定)し、ワークは午後の有識者懇談会後に行うことにす
る。
②
県民フォーラムについて
・ 内閣府の出席については電話等で確認する。また、白石先生は自動車で来るので、警備会
社に車ナンバーを伝えておく必要があるのではないか。
・
パワーポイントは小松先生が自ら操作されるので補助員は不要である。
・
アンケート票は今回の案で印刷を開始する。
・
今年度は中間とりまとめ(素案)、来年度に中間とりまとめ(案)を作成する予定になっ
ており、パブリックコメントは(案)の段階で実施するのが良いだろう。
③
・
都市空間構成に関する検討について
普天間公園をどこに配置するか、それを集約するかネットワーク化するかで土地利用パタ
113
ーンが違ってくる。
⇒
宜野湾市の緑の基本計画ではネットワークを重視したコメントが多い。しかしながら、
宜野湾市は軍用地を除けばすでに全域市街地区域であり、保全緑地と公園のあり方につい
て整理する必要がある。
・
都市マスには跡地利用計画と合わせて今後見直すという断り書きがあるので、跡地利用計
画からみた幹線道路等のあり方を明らかにしておくことが必要であろう。
・
普天間飛行場の跡地を契機に、都市計画道路を見直すことについて議論しておく必要があ
る。
・
並松街道の完全な復元は良い視点ではないか。住宅の復元は難しいところもあるが、公共
的なものについては理解を得やすいと考える。
・
西側斜面緑地の保全の必要性は、市都市マスや那覇広域でも位置づけされている。
・
都市マス案の東西幹線道路2が宜野湾横断道路との位置づけと思うが、大山7号線の工事
が既に進んでいるので、これまでの経緯との関係が微妙になる。
⇒
大山7号は将来的に宜野湾横断道路になるというイメージで取組してきた経緯がある。
一方で田芋畑の保全も重要な話なので、今後議論していければ良いのではないか。
⇒
また、森川公園は文化財的緑地であり、拝所的なイメージが強い場所なので、修正案の
宜野湾横断道路は、森川公園を避けてもう少し南に配置した方がよいのではないか。
⇒
軌道系の公共交通軸を想定した場合、国道 58 号にのせるのが有力な案であり、そこか
ら公共交通をできるだけ跡地内を通るようにしたい。
⇒
西海岸のバイパスができたら国道 58 号は6車線から4車線へ、国道から県道へという
方向で動いているようだ。その意味では道路幅員に余裕ができるので軌道系導入の可能
性はあるかもしれない。
・
100ha の公園はとても大きいというイメージが分かる。ネットワーク型の公園の方が好
まれるかもしれない。
・
本土地利用配置パターンを提示することにより、様々な意見がでることが中間とりまとめ
での役割だろう。
以上
114
■
ワーキング部会(第6回)
1)日時・場所
○
と
き :
○
ところ
:
平成 22 年 3月 2日(金) 16:00 ~ 17:30
沖縄県庁8階第一・二会議室
2)出席者(敬称略)
○ 沖縄県 企画部企画調整課跡地利用対策班
名嘉真跡地対策監、玉城主幹、嘉川主幹、
高江洲主任技師
○ 宜野湾市 基地政策部基地跡地対策課
比嘉次長、新垣係長、照屋主事
○ (財)都市みらい推進機構
稲岡、松村
○ 玉野総合コンサルタント(株)
堀田、中垣、水野、久松
○ (株)日本都市総合研究所
荒田、村山
○ (株)群計画
大門
3)議題
○
全体計画の中間取りまとめ(素案)について
○
今後のスケジュールについて
4)配布資料
○
「全体計画の中間取りまとめ」の素案
5)意見交換内容
①
全体計画の中間取りまとめ(素案)
・ 有識者懇談会で中間とりまとめに向けた検討を行うには具体性が必要である。そのために、
今年はある程度の絵を描いて、来年度に追加調査をしたなかで修正する方向が良いのではな
いか。
・
まちづくり構想図の絵は、今回の土地利用配置パターン程度になるだろう。
・ 来年度の「中間取りまとめ」
(案)の策定後に地権者意向調査を行ってはどうか。ただし、
平面図では、地権者が普天間飛行場跡地の高低差等をイメージできないのではないかという
ことが懸念される。堀割式の幹線道路の横に商業地域が配置されるなどのイメージ。
・ 幹線道路網は都市マス案と修正案の2案あり、どちらも大きな違いはないが、まちづくり
構想図は修正案を用いて作成しているという断り書きをすることになるだろう。
・
中部縦貫道路は暫定整備では堀割型にならないかもしれない。平成 21~23 年度の3年
間で国が中部縦貫道路の調査を行う予定である。これが決まらないと跡地利用計画が策定で
きないだろう。
・ 中部縦貫道路は、本線を堀割式にすることが縦断的にはなじむ。この場合、副道を平面に
するという案が良いのではないか。
115
②
(仮)普天間公園について
・ 普天間公園の最大のネックは、事業主体が見えないことである。仮に公園の絵を描いても、
国営公園になった場合は、その絵が全く参考にならなくなる可能性がある。
・ 産業振興のために国有地で土地を取得し、それを公園として活用することなども考えられ
るが、現実的には難しいかもしれない。公園については、現段階で何パターンかの絵を描き
ながら検討を深めていくしかないだろう。公園が全てなくなる可能性もある。
・
③
今年度は、普天間公園を仮置きとしておきたい。
土地利用ゾーンについて
・ 「観光・リゾートゾーン」という表現等が気になる。有識者懇談会でも海がない普天間で
リゾートを展開することに対して疑問をなげかけられた。
・ 観光・リゾートゾーンで、観光客を増やすという話ではなく、振興拠点として、観光産業
を底上げするために観光大学校付属ホテルなどの人材育成を目的としている。ホテル用地と
いうよりは、大部分は大規模区画で買ってもらう土地で良いと考えている。
・
産業ゾーンと観光・リゾートゾーンは分けなくても良いのではないか。
・ 両ゾーンを1つにまとめることは可能である。観光・リゾートゾーンは、場合によっては
ビバリーヒルズなど、居住ゾーンに近いかもしれない。
・
来住という言葉を入れてほしい。
以上
116
資料-4
県民フォーラムの記録
1.フォーラムの案内(チラシ)
◆ 第 6 回県民フォーラムのお知らせ ◆
開催日時・場所
● 平成22年3月1日(月)
● 14:00~16:40 (13:00 開場)
● 沖縄コンベンションセンター 会議場 A1
(※お車でご来場の際は、会場及び会場周辺の駐車場をご利用いただけます。
)
入場は、無料です。
◆ 県民フォーラムのプログラム ◆
13:00
14:00
開場
主催者挨拶
14:10
講演
15:10
(休憩)
15:20
講演
普天間が目指すべきまちづくり
小松 史郎 氏(東京都市大学都市生活学部教授)
来住者が求めるくらし
白石 武博 氏((株)カヌチャベイリゾート代表)
16:20
フロアーとの意見交換
16:40
終了
■主
■後
催 沖縄県・宜野湾市
援 内閣府沖縄総合事務局、沖縄県商工会議所連合会、沖縄県商工会連合会、
(財)沖縄観光コンベンションビューロー、(社)沖縄県建築士会、沖縄県技術士会、
宜野湾市商工会、宜野湾市軍用地等地主会
■企
画 共同企業体/(財)都市みらい推進機構、玉野総合コンサルタント(株)、
(株)日本都市総合研究所、(株)群計画
■お問い合わせ 沖縄県企画部企画調整課跡地利用対策班
担当 嘉川、高江洲
電話 098-866-2108
宜野湾市基地政策部基地跡地対策課
担当 新垣、照屋
電話 098-893-4401
117
◆ 県民フォーラムの開催について ◆
沖縄県及び宜野湾市は、平成 18 年2月策定の「普天間飛行場跡地利用基本方針」を踏まえて、平成
19 年5月に「普天間飛行場跡地利用計画の策定に向けた行動計画」を策定しました。平成20年度は、
この「行動計画」にもとづき、普天間飛行場跡地における「土地利用・環境づくり方針案」を振興拠点、
観光リゾート、住宅地、都市拠点、環境・公園、供給処理等の分野で取りまとめました。今年度は、
「土
地利用・環境づくり方針案」に交通等の条件を加味し、土地利用にかかる導入機能等の検討を目的とし
て進めているところです。
普天間飛行場の跡地利用については、毎年1回、様々なテーマを設けて県民フォーラムを開催し、県
民意向の醸成や計画への反映に努めてきました。
6回目にあたる今回は、普天間飛行場の跡地利用計画の策定に向けて、
「まちづくりの新しい試み-集
客と来住の促進に向けた魅力づくり- 」 をテーマに、県民・市民が共に考える「場」として県民フォ
ーラムを開催します。
◆ 講師のプロフィール ◆
●
小松 史郎 氏
・上智大学大学院修士課程経済学専攻修了
・三菱総合研究所集客文化研究部長を経て現職。東京ディズニーランドをはじめとするテーマパーク
や愛知万博やつくば万博をはじめとする博覧会、国立新美術館、東京都市美術館等のミュージアム、
酒田や石巻など各地のまちづくり、東北インテリジェントコスモスなどの地域づくりプロジェクト
を担当。
●
白石 武博 氏
・沖縄県那覇市生まれ、1987年早稲田大学商学部卒業。銀行マンを経てハワイへ留学、観光産業
学を学ぶ。
・㈱カヌチャベイリゾート、ニッポンレンタカー沖縄㈱、㈱ホット沖縄、㈲ドウ、㈲ファーティル代
表取締役社長・沖縄バスケットボール㈱取締役、(社)沖縄県レンタカー協会会長、沖縄マリンセーフ
ティービューロー統括部会会長、沖縄観光の未来を考える会副会長
・
「沖縄21世紀ビジョン懇談会」委員、
「普天間飛行場跡地利用計画方針策定調査懇談会」委員、
「ナ
ハ・シー・パラダイス協議会」代表等従事
118
2.配付資料
1)講師のお考え
●
小松
史郎
氏
基地返還後の沖縄が抱える最大の課題はリーディング産業をどう誘致し、育成するかであ
る。普天間跡地開発はこの視点から考えることが最も重要である。今後の沖縄の産業づくり
にあたって押さえるべき方向性は2つある。
1つは沖縄の最大の資源である海洋性の自然環境である。海洋性観光リゾートという方向
性はゆるぎない。
もう一つは2012年に予定されている沖縄科学技術大学院大学の開学である。世界最高
水準の科学者が国際的に多数集結するこの大学は沖縄の新しい希望の星である。大学の基本
コンセプトに Grobal network(世界的連携)と Collaboration with industory(産学連携)を
謳ってあるのはまさに幸運である。国際的産学連携による産業づくりは沖縄の進むべきもう
一つの方向性である。
普天間跡地はこの2つの方向性からみると絶好の位置にある。西にマリーナやビーチ、北
に沖縄海岸国定公園や沖縄科学技術大学院大学、さらに南には県都那覇市がある。この立地
条件を活かした普天間跡地開発には2つの基本方向が見えてくる。
一つはハイテク&リゾートと言われる方向性である。ハイテク企業を従業員の知的創造性
を高めるためリゾート地に立地させるタイプのインダストリアルパークである。南仏のソフ
ィア・アンティポリスがその成功例として有名である。沖縄科学技術大学院大学が今のとこ
ろバイオ系であるためバイオ系の国際的ハイテク企業やベンチャー企業が集積してくる可能
性は高い。
もう一つは筆者が沖縄ビバリーヒルズ構想と名付ける高級住宅地構想である。ハイテク企
業の役員や世界的科学者が住む世界水準の緑豊かな高級住宅地で、優れた子弟教育のための
教育機関や高度な医療施設、ショッピングセンターも完備された理想的なまちである。この
まちには、海洋リゾートを愉しむライフスタイルを持つ日本のみならずアジア系の金持ちが
住宅やセカンドハウスをもとめに集まってくる可能性がある。
このようなまちづくりを目指すためには多くの課題を解決していかなければならない。最
大の課題は普天間跡地の基本方向に対する地権者の皆さんのコンセンサスづくりである。こ
のプランのもう一つの狙いは売却するにしろ賃貸するにしろ将来土地の収益性が高くなって
いく可能性がある点である。この実現のためには国や県の支援や優遇策は必須であることは
言うまでもない。
このプランを実現するためには、最初に基地という普天間のイメージを変える必要がある。
そのためには、今後のまち開きに合わせて今後整備される普天間公園において国際花と緑の
博覧会を開催することを提案したい。
119
●
白石
武博
氏
カヌチャの紹介・・・何もない場所からの出発。
・なぜ評価される街になったか。
出来上がりの成功例を張り合わせても・・・。これだけの広大な土地が更地で返ってきた開
発例・・・那覇市新都心!あれでよい?そもそも成功しないのでは?
・
当該エリアのSWOT。
・
県全体の機能のゾーニングは?部分最適と全体最適。
・
アクセス・・・当該エリアの外部(特に那覇との)?
・
ビジネスモデル・・・どんなビジネスが当該エリアで適正か?当該エリアの求められ
る採算分岐点は?定量的な目標は?基地撤去による人口の減少、
既存ビジネスの崩壊→仕事の減少→雇用の減少。
・
国益・県益への寄与。たとえば県外出身の移民(世界のウチナーンチュ)の日本受け
入れのためのトレーニングセンター → 少子高齢化・人口減少問題に寄与。コーネル
大学・ローザンヌ大学のようなアジアにおけるホスピタリティマネジメントの先進学
園都市(ホテル併設)→観光立国への寄与・観光立県へ寄与。
・
これからの街創り・・・自然に人の集う場所→住みよい街は呼びよい街(バリアフリ
ー)。環境対応(脱マテリアル、脱化石燃料型)・周辺との共
生(広域連携)
・一次二次産業との共生(多産業連携)。安全・
安心な街。
・
観光産業の育成にはハードの整備だけでは不可。作ってから使っては駄目!初期段階
での推進体制の整備。
・ ブループリントの提示 → ステークホルダーのコンセンサス(住民のコンセンサス)。
1.みんなで目標を共有して協働で街づくりしたい方。
2.どうしても分けてご自分で使いたい方。
まとめ
120
2)アンケート調査票
121
3.基調講演の概要
1)基調講演
①
小松史郎氏
普天間の役割
・
普天間は沖縄の戦略的一等地にまとまった土地がでてくる。西にはコンベンション・マ
リーナ、北に沖縄海岸国定公園などがある。さらに周辺には大学の立地があるとともに、
沖縄科学技術大学院大学が新設されることは、新たな希望の星であり、これを如何に活用
するかを考えることが重要である。
・
普天間は沖縄の将来的発展を先導し、これまでの沖縄の課題を解消するモデルとしての
役割を有している。自立的発展経済に持ち込むには普天間が先導役になるべきであり、元
の姿に戻すだけではすままない立地条件にある。
②
普天間開発の目指すべき方向
・
沖縄の最大の魅力である海洋側リゾートを活かしつつ、新たな価値をどのようにしてつ
くっていくか。
・
新たな希望の資源である沖縄科学技術大学院のポテンシャルを何とか活かさなければい
けない。
・
沖縄が発展するためには投資家がお金を落とすことが必要である。そのため国内、海外
からの投資家にとって収益力の見込まれる魅力をどうつけていくか。
・
沖縄ならではの戦略プロジェクトであること。
・
地権者の理解と利益につながる開発であること。米軍が撤退し、何もしなければ土地の
価値は下がる。これを維持して、さらに向上させていく必要があり、開発は価値が3倍に
ならないと成功しない。
③
具体的4つの提案
A
沖縄海洋型ハイテクリゾート構想
・ ハイテクリゾートはリゾートとハイテク企業の誘致を同時に達成するという戦略である。
・
ハイテクインダストリアルパークが普天間にできるとすると、ハイテク企業・研究所が
立地し、ショッピングセンターや公園、住宅などにより一つのまちが形成される。そこに
住む人々の活動を支えるのがマリーナ、海洋型リゾート、国際通りの都市観光などである。
ハイテクインダストリアルパークのイメージ
ハイテク企業・
研究所
公園
沖縄科学技術大学院大学
ほか大学研究機関集積
多目的ホール
都市観光施設
那覇国際通り、首里城
ハイテク企業・
研究所
SC
レストラン
ビジネス
サポート
サービス
海洋型リゾート
沖縄海岸国定公園等
ハイテク企業・
研究所
ハイテク企業・
研究所
住宅
122
マリーナ等
西表島エコツーリズム等
・
炭坑のまち飯塚はクラスター政策により発展している。その中核にいたのが九州大学等
であり、大学を上手く活用した事例である。
・
何でも良いという話ではなく、選択と集中で業種を絞り込む必要がある。沖縄の場合は
大学院大学のバイオが有力ではないか。
・
海外事例では、ソフィアアンティポリス(フランス)が有名で、情報通信・バイオ等の
先端企業が 1300 社集積している。このようなことは世界中で展開されている。ペナン(マ
レーシア)も今やハイテクリゾートで世界的な企業が集積している。
B 高級住宅地構想(沖縄ビバリーヒルズ構想)
・ 沖縄科学技術大学院大学の世界的科学者や沖縄ハイテクリゾートのオーナー・役員の方々
が家族をつれてここに住むことが重要である。
・
アメリカでは、集客力のあるノーベル賞クラスの方に無料で土地と家を提供している。
さらに、ここに住んでもらうためには子弟教育のための高レベルの学校教育施設、高度な
医療施設、ショッピングセンター、洗練された多様なレストランなど、素晴らしい街が必
要になる。ビバリーヒルズのような高級住宅地が沖縄に1箇所くらいあっても良いのはな
いか。ビバリーヒルズは、観光地にもなっている。
C
沖縄カジノ構想
・
沖縄の観光リゾートの新たな魅力づけのなかには、カジノが必要と考える。国際的な集
客力・収益力がでるので、海外からの投資が集まるだろう。
・
ラスベガスは、昔治安が悪い博打のまちであったが、今やファミリーエンターテイメン
トのまちになっている。10年で観光客が 2000 万人から 3000 万人になり、今 4000
万人に達しようという勢いである。家族が遊べる安全なまちであるとともに、市民税や事
業税がないので、世界的企業の本社が集まっている。
・
課題としては、刑法の賭博禁止規定を改定する必要があるが、カジノ特区にすることで
対応可能だろう。また、治安・風紀の乱れが懸念されるが、ラスベガスでは警察に任せて
いなく、業界で自主規制して全米一安全なまちをつくっている。
・
カジノの経営には専門的なノウハウが必要になる。ネバダ州立大学ではゲーミング学科
があり、その分校を誘致して人材育成を図っていくことが考えられる。
D
国際園芸博構想(沖縄国際花と緑博構想)
・
普天間跡地では大規模公園の導入が考えられているが、それとタイミングを合わせて国
際園芸博を開催してはどうか。
・
国際園芸博は、花と緑の普及活動と園芸業者の技術向上を目指したものであり、世界的
な権威と歴史ある国際博覧会である。環境と農業とまちづくりを行う事業である。
・
この博覧会で金賞をとると親子三代が生活できるという権威あるものである。
・
これを普天間のまち開きに合わせて展開することが一つの戦略になるのではないか。普
天間のイメージアップ、新しい普天間の PR になり、基地のイメージから花と緑のイメー
ジに変えていく効果がある。これにより普天間公園の整備促進につながると考えられる。
沖縄の花グリーンビジネスなど産業振興としての役割もある。
・
④
これを沖縄で展開すると1000万人の観光客は実現できるだろう。
・
まとめ
沖縄カジノ構想は、やり方により集客促進にかなり効果的であり、沖縄リゾートの新し
い魅力づけになるだろう。カジノが財政を豊かにし、ハイテクリゾート構想やビバリーヒ
123
ルズ構想を展開するための財源になる。ハイテクリゾート構想により沖縄の新産業が育ち、
経済発展や所得向上につながる。ビバリーヒルズ構想により来住が促進される。花博はそ
れらを実現するため、そして普天間のイメージアップに寄与するまちづくりに効果がある。
イメージアップは来住促進や新産業創出にも役立ってくる。
4つの提案の相乗効果
沖縄の集客
促進
沖縄カジノ構想
就業機会
の向上
沖縄の新産業
の創出
沖縄リゾートの
新魅力の創出
実現促進
沖縄ビバリー
ヒルズ構想
沖縄ハイテク
リゾート構想
沖縄の
来住促進
実現促進
所得向上
沖縄花博
構想
普天間の
イメージアップ
普天間の
まちづくり推進
⑤
実現への課題
○
最大の問題は地権者の皆さまの理解・協力
・
土地の増進率が3~5倍程度ないと皆さんの利益にはつながらないため、今回提案した
4つの価値向上策に対する地権者の皆さんの理解と協力が必要になる
・
そのためには、地権者自らが開発に参加してまちづくりに汗をかくための組織が必要に
なる。
・
土地を売ってしまっては終わりであり、定期借地により収入の維持を考えていくことが
重要だろう。
○
これを実現するための画期的開発手法が必要
・
開発の主導権を握るプレーヤーは日本人ではないかもしれない。国際的なプレーヤーが
参加しやすい事業のしくみが必要になるだろう。
○
国の研究機関や国際機関の誘致が重要
・
広大な開発を考えると国の研究機関を誘致したい。高度の研究および人材がいることは
重要である。
・
国際的な機関の誘致を国と一緒に進めることも必要であろう。
124
2)基調講演
①
白石武博氏
カヌチャの評価要因
・
カヌチャは、何もないところからリゾートのビジネスモデルをつくってきた。
・ 現在 500 ルーム程度あり、東海岸という条件不利地域のなかで年間平均稼働率が 80%
程度である。
・
理念やコンセプトを始めに設定して、それを曲げずに進めたことが評価される1つの
要因ではないかと考えている。
・
ヤンバルを抱えた大自然があり、海、広さがある。良いか悪いかは別として、地域の
特徴を徹底的に検証し、それに対して市場が如何なる受けとめをするかをしっかり考え
て、市場に提案していった。これにより今の形になっている。
・
さらに、周辺地域と如何にして共生するかがもう一つのキーワードである。周辺地域
の皆さんと協議を進めていく中で、カヌチャという会社からカヌチャエリアになった。
②
県全体の経済価値
・
例えば、那覇新都心は、住んでる方には住みやすい便利なまちになったかもしれない
が、誇れるまちにはなっていない。沖縄らしい街並み、景観があるだろうか。
・
まちの形成過程は普天間と似ているのではないか。多くの地主の方との合意形成に大
変苦労したと聞いたことがある。各種調整のなかでできあがった部分最適が新都心のま
ちの形成と思っている。
・
新都心と北谷は、エリア内での部分最適にはなっているが、周辺から移転が生まれる
だけで、沖縄全体からするとゼロサムになる。建設中は県全体で収益を得るかもしれな
いが、その後の県全体の経済効果を考えると、県外からどうやって収入を運び込むのか
を考えべきであろう。
・
嘉手納以南の返還跡地全体の中で各跡地がどのような機能を有し、沖縄県全体として
どのような経済的な価値を持つのか。それと地権者や地域住民といったステークスホル
ダー全体が同じ方向になることが合意形成の中心になると考える。
・
③
アクセシビリティも含めて全体のゾーニングを考えないと上手くいかないだろう。
定量的な目標等
・
このエリアで適正な成功のラインは何か。以下のことを数値的に認識して、周辺も含
めてバックアップするためには、どの程度の数値目標がいるかをしっかり考えるべきだ
ろう。
当該エリアに求められる採算分岐点、定量的な目標
―
基地撤去による人口の減少 ⇒ 既存ビジネスの崩壊 ⇒ 仕事の減少 ⇒ 雇用の減少
④
―
国益、県益への寄与
・
国益、県益にどうやって寄与するかの目線が必要でと考える。この中だけ上手くいけ
ばよいという話ではない。例えば、県外出身の移民。世界のウチナンチューが5年に1
回、5000 人帰ってくる。これが沖縄の力強さ、沖縄のコミュニティの強さで、大きな
ポテンシャルだろう。
・
人口が減少し、国力が低下しているなかで、生産人口・消費人口としての若者を海外
125
に求めることも今後の議論のなかに入ってくるだろう。それが人間であれば良いか。世
界のウチナンチューを受け入れるために、普天間跡地にトレーニングセンターを設けて、
言葉や文化、法律などを教え、一定レベルに達した方には市民権を与えることにより、
日本の少子高齢化・人口減少問題に寄与できるのではないか。
・
ホテル業を行っていてもなかなか人材が育たない。この場所を使いながら、世界中か
ら人が来るような観光の大学機能をつくり、それがまちを形成していくことも観光立国、
観光立県への寄与になるだろう。
・ 貰うのではなく、寄与するという思想で議論するとより良い計画になるのではないか。
⑤
これからの街づくり
・
住みやすい、住んで居心地が良い環境をどうやってつくっていくか。住みよい街が呼
びよい街である。そういう点からするとバリアフリー化も方針に入れなければいけない。
・
環境対応(脱マテリアル、脱化石燃料型)についても今の時代からいうと、当然のご
とく方針に入れなければならない。
・
周辺との共生は、ここのエリアの檻をとっぱらったときに、普天間ではなく宜野湾市
全体がどのように機能して、沖縄県に対して寄与し、それが国益・世界益にどのように
寄与するかを考えることが重要である。普天間跡地だけ切り分けて取り組むと全く分か
らないものになってしまう。
・
域外から来てお金を払う一つの価値として、食の安全性や顔の見える食材などの価値
が高まっている。地産地消は環境にもよく、食料自給率も上がる。人を呼ぶと同時に1
次・2次産業の方とどのように協働するか。1次・2次・3次産業を使って沖縄が持っ
ている特性を売り出すことで、外部の方が喜んで2度3度と来れるシステムを構築する
ことが重要と考える。
・
日本が観光地として伸びていく最大の要件は、安全・安心、美しいである。これが最
も人を呼び、住んでいる人にとっては最もいいまち。そういうまちをつくっていくこと
を自分たちで取り組むことにより一つの答えが見えてくると思う。
⑥
観光産業の育成
・
観光産業の育成はハードの整備だけでは駄目で、ソフトと一緒につながってくるもの
である。ソフトは直すことができるが、ハードはつくってしまったら、直すのにもお金
がかかる。よく考えてからつくることが重要だろう。
⑦
合意形成と不変的・可変的なまちづくり
・
ブループリント(設計図)を提示し、地権者等のステークホルダーとのコンセンサス
を図る必要がある。
・
みんなで目標を共有してまちづくりを進める人、自分で家を建てる人などを最初から
分けて考えたら良いのではないか。全部の皆さんが合意する案はつくれないだろう。
・ 今の段階で良いと言われている環境、バリアフリーなどは、10 年、20 年後にどうな
っているか分からない。その段階の価値観を見据えた形で、今は議論をしつくしながら、
設計図を引きつつ、どこかの段階では外部環境の変化も踏まえて、次の世代に責任とプ
ライドを持ったまちとしてつくり上げていく覚悟が求められているだろう。
126
⑧
カジノについて
・
小松先生がご提案なさったカジノはマストピースかどうか。カジノを入れると全観光
客の8%を占める修学旅行生 40 万人がいなくなる可能性がある。商売ベースのマネジ
メントの考え方をやるべきではないか。
・
また、済州島型のカジノでは魅力、集客力が弱いだろう。
3)フロアーとの意見交換
質問者 宜野湾市在住、女性
・ エコフラワーデザイナーズ協会の沖縄代表をしており、海洋博公園で毎年 300 人規模
のカルチャースクール(フラワー関係の教育)等をしている。
・ スペシャリストの発掘と有償ボランティアをからめたコミュニティづくりをすれば、日
本のブランドとして世界に通用し、普天間跡地利用のきっかけになると思っている。基地
内には緑の財産が沢山ある。
・ 海外リゾート地はホスピタリティがしっかりしている。高齢化が進むなかで、花関係は
高齢者の雇用促進にも良い事業だと思っている。
・ 沖縄で花産業等を盛り上げるためには、管理がしっかりできる体制が重要で、市民レベ
ルの有償ボランティアを活用しても良いと思っている。雇用も発生する。
回答者:白石氏
・ 花をやるのであれば中途半端でなく徹底的にやり、当たり前のようにあった方が良いだ
ろう。ただ、国際通りでは花を置くことを店の人がいやがる。誰が管理するかという話に
なるのが現実。
質問者 宜野湾市在住、女性
・ さいたまドームの世界花博が1週間で27万人の集客がある。これを 48 週行ったら
1,000 万人以上の集客になる。
回答者:小松氏
・ 短期イベントと長期イベントは集客力が違うので、単純なかけ算にはならない。半年イ
ベントは難しく、3日間だけ人を 80 万人集めるのは簡単である。
・ 半年間の集客イベントにはしっかりした運営組織が必要であり、集客目標が達成できる
ように誰かが管理しなければならない。
・ スペシャリストとボランティアを組み合わせてイベント等を行うことは結構大変である。
運営は経営することに他ならないので、お金の管理が必要で、それができる人材が育つた
めには経験が必要である。通常はキーマンが全体を統率しているが、その方がいなくなる
と続かなくなる。次の世代に繋げることが重要と考える。
・ 株式会社では問題ないが、NPO やボランティア団体では難しいのではないか。
質問者 白石氏
・ 4つの構想のコラボレーションにより、国際的な集客の仕組みをつくっていくとの提案
であったが、4つ構想全部がマストピースか。
回答者:小松氏
・ 4つの構想がセットであることが重要であり、その中でキーとなるのがカジノと考えて
いる。沖縄の外から金が入ってくる仕組みを一緒にやる必要があり、そのためにはカジノ
が有効であろう。
意見 :白石氏
・ 宜野湾はスポーツ、音楽文化の発信基地として適していると考える。普天間の場所は海
127
がないので、カヌチャのようなリゾートの建物を置いても上手くいかない。
質問者 豊見城市在住、男性
・ 嘉手納以南の基地返還の見通しがついているが、これまでの跡地開発のように、ブルト
ーザーで平らにしてから開発する手法に疑問を持っている。基地内には米軍住宅や緑等の
素晴らしいストックがあるが、それらを壊してから開発することについてご意見をいただ
きたい。
回答者:小松氏
・ 開発という言葉はブルトーザーのイメージであるが、本当のデベロップメントは必ずし
もブルトーザーが入ることではない。自然などの現状をどう活かすかが開発である。これ
からの開発は既存施設をどう活かしてリニューアルするか。
・ このように考えると、平らにして新しいものを建てるのが開発ではない。残された自然
などを活かしながら沖縄らしい開発をすることが大事なことと考える。
回答者:白石氏
・ 東京の人達は日本をアベレージ化して、アメリカの成功モデルに近づけてきたというの
が今の日本の社会だと思う。これで良いのか。
・ 沖縄のマネジメントを考えた時に、これから見なければならないのは、東京をはじめと
した日本のマーケットではなく、中国を含めた全世界のマーケットである。
・ したがって、現在の規制や前提条件を排除して、沖縄の持っている地政学的、あるいは
ポテンシャルを使って、世界中から人・物・金・ビジネスチャンスをどうやってもってく
るかという手前の議論が重要と考える。
・ この議論の結果として、今あるものを活用するか、平らにするかなどの話になる。
128
4.アンケート調査の概要
1)アンケート回答状況
◆
アンケート回答者は、124 名
第6回県民フォーラムには、約 200 人の県民・市民の方々の参加を得た。会場では、『県民
フォーラムに関するアンケート』を 200 通配布し、62%に相当する 124 通の回答を得るこ
とができた。
実施日
:
平成 21 年 3 月 1 日(月)
配付数
:
200 通
(参加者に受付で配布)
回収数
:
124 通
(会場にて回収)
回収率
:
62%
▲受付の様子
◆
▲会場の風景
回答者の属性は、男性、宜野湾市在住が多い
フォーラムへの参加者のほとんどが「男性」であり、アンケート回答者も 80%以上が「男性」
であった。
また、年齢別構成を見ると、50 歳代が 26%と最も多く、次いで 60 歳以上が 21%、20
歳代が 20%、30 歳代が 18%、40 歳代が 15%であった。
参加者 男女別
参加者 年齢別
N=118
女性
19%
60歳以上
21%
50歳代
26%
男性
81%
129
10歳代
0%
N=122
20歳代
20%
30歳代
18%
40歳代
15%
職業別では、公務員が 45%と最も多く、会社員が 24%、自営業が 9%である。
居住する住所別では、普天間飛行場の所在地であり、フォーラムの開催地でもある宜野湾市
民の参加が圧倒的に多く 48%を占めている。
参加者 職業別
その他
13%
N=119
N=124
参加者 住所別
80
自営業
9%
フリーター
3%
無職
4%
60
59
40
会社員
24%
20
1
1
1
1
1
2
うる ま市
北谷町
読谷村
与那原町
無回答
2
豊見城市
3
糸満市
北中城村
3
中城村
4
名護市
4
浦添市
那覇市
公務員
45%
宜野湾市
0
12
沖縄市
主婦
2%
30
2)沖縄県の振興や宜野湾市の将来像実現のために重要なこと
◆
国・県・市町村・市民が一体となった戦略的な取組みが必要
今回の県民フォーラムをふまえ、
『沖縄県や宜野湾市の集客と来住について、何が重要であると
感じたか』という問いに対しては、
「集客に向けた戦略的計画」が 74 件(60%)と最も多く、
次いで「新たな目玉産業の展開」が 58 件(47%)となっている。多くの方が今回のフォーラム
での講演内容に共感したことがうかがえる。
N=123、複数回答
58
新たな目玉産業の展開
74
集客にむけた戦略的計画
企業誘致
40
住民参画のしくみ
56
国、県、市町村による取組体制づくり
56
その他
8
0
10
20
30
130
40
50
60
70
80
3)普天間飛行場の跡地利用に関するフオーラムの今後のテーマ
◆
今後のテーマは、「産業や都市機能のあり方」がトップ
今後も継続的に開催する予定である県民フォーラムで、
『普天間飛行場の跡地利用に関して
どのようなテーマを取り上げたらよいか』との問いについては、「産業や都市機能のあり方」
が 69 件(56%)と最も多く、次いで「沖縄らしい風景づくり」60 件(48%)
、
「交通機能
のあり方」58 件(47%)となっている。
26
今後の住宅地のあり方について
69
産業や都市機能のあり方について
39
自然環境や文化財の保全について
60
沖縄らしい風景づくりについて
53
周辺市街地との連携について
25
ライフラインのあり方について
58
交通機能のあり方について
16
その他
0
10
20
30
40
50
60
70
80
4)自由意見について
自由意見では、以下のような意見が寄せられた。
①
フォーラムの感想・要望
普天間の跡地だけを議論するのではなく、より広い視野で考える点を評価する意見が多
かった。
今後のフォーラムについては、開催日時を考慮し、より多くの県民が参加しやすい工夫
が必要であるという意見や、パネリストに主張の異なる講師を設定することにより議論が
深まるという意見、講演参加者の意見交換の充実を求める意見などが寄せられた。
②
今後のまちづくりに対する意見
跡地のまちづくりに対する意見としては、他市町村と差別化を図った普天間らしさが感
じられるまちづくりを期待する意見が多くみられた。
また、講演にあったカジノ構想に対しては、賛否両論の意見があったが、観光を基調と
した集客に向けた事業や企業誘致には積極的であり、具体的な事業例など建設的な意見が
多数あった。
131
自由意見のリスト
1. 本フォーラムの感想
① フォーラム全般
住所
職業
意見・要望
テーマは何であれ、民間の社長さんと学識の人、両方の人の意見を聞く事は重要だと思う。
浦添市
会社員
与那原町
公務員
那覇市
公務員
宜野湾市
公務員
浦添市
その他
宜野湾市
公務員
那覇市
会社員
宜野湾市
自営業
自分の考えのヒントとなることがあった。良かったと思います。
宜野湾市
その他
白石氏の話は、具体的で良かった。
那覇市
うるま市
無職
フリータ
ー
今まで議論のテーブルに乗っていなかった人の意見は、貴重だと思った。
跡地利用計画の策定にあたっては、白石氏の考えに賛成。寄与度を定量的に評価すること
が大事。(地元、宜野湾市、沖縄県、日本、世界)と拡大した評価。
今後の跡地利用に対する一つの方策として、大変勉強になりました。
とても勉強になりました。広い視野を持って、今後の宜野湾市の在り方を考えていきたいと思
います。
目標・方針を話し合うのがフォーラムの目的であると思いますが、現段階での具体的計画
(誘致企業の候補等)が聞けたら良かったと思います。
大きな普天間基地が、ただの住宅地化するだけでなく、世界に誇れる、自慢できる場所へ構
築して行かなければならないと改めて感じた。
白石さんの言われるように、普天間の跡地だけを議論するのは、ムリがある。県土再編の視
点が必要。
カジノや高級リゾート、花博の提案があったが、地権者や地域住民の理解が得られるか、疑
問。
初めての参加でしたが、非常に勉強できました。今後の沖縄に向け、一人ひとりの理解と協
力が大事なことだと感じました。
② 今後のフォーラムへの要望等
住所
職業
意見・要望
景観計画を市が早期に策定し、風景作りに取り組んでいただきたい。
那覇市
公務員
パネルディスカッションの企画を・・・。
手話がある旨の案内をしたか?
宜野湾市
公務員
参加者が少なかったので、増やす方法を考える必要があると思います。
那覇市
会社員
誰の財産を誰の為に守るのかが大事。地権者の計画、フォーラムへ参画する仕組みを。
浦添市
公務員
宜野湾市
その他
講演だけでなく、現段階の構想がある程度あるのであれば、それに対する意見交換会が必
要と思われる。
平日のこの時間では、参加できる人はかなり限られている。4 回、5 回とも同じであった。もう
少し、多くの皆さんが参加できるように工夫しては・・・。
宜野湾市らしい「まちづくり」を皆で話し合う必要があると思う。元気のある、誇れる宜野湾市
宜野湾市
主婦
をつくりあげたいですね。フォーラムは引き続き、開催をお願いします。→フロアーとの意見
交換会について。地権者の参加が少なかったのか?意見がなくて、残念です。
那覇市
その他
思ったより聴衆が少ない。もっと県民に対する周知、呼びかけが必要だと思います。
宜野湾市
公務員
2 名の講演を聞いて、経済・産業経営の側からの意見が多く、主張としては経済至上主義的
132
住所
職業
意見・要望
なイメージを受けた。白石氏も講演の中で話していたが、全体が納得できる案というのはな
いので、今後の講演として、敢えて主張の違う講師をブッキングしてはどうかと思う。そうした
方が受講する側の『自分ならどう考える』という、自主思考力を高めることができるのではな
いか?それが住民参画を根本から掘り起こす近道ではないかと思う。(企画する側は、収拾
をつけるのに苦労されると思いますが・・・)
中城村
公務員
沖縄市
無職
那覇市
公務員
那覇市
公務員
読谷村
無職
跡地利用の議論は、今後ももっと活発に行っていくべきだと思います。
色々な考え等を聞けて、よかった。土日とかにして頂けると、参加しやすいと思う。
フォーラムへの参加者が、去年に比べると非常に少ない。なぜだろうか? 主催者として、そ
の原因を検証してはいかがでしょうか。
フォーラムも第 6 回という事ですが、年に 1 回開催すればいいという事ではなく、もっと県民に
も、地権者にも、議論を深めていくような取り組みを行ってほしい。
フロアーとの意見交換の時間が少ない。
2.跡地利用に対する意見
① 今後のまちづくり全般について
住所
浦添市
職業
その他
意見・要望
「ウェルネス&メディトピア構想」、「バイオマスタウン&エコアメニティパーク構想」、「低炭素
社会醸成の仕組みづくり」を提案したい。
県内各地で区画整理事業等により街づくりが行われているが、どこの地区を見ても画一的で
面白味がない。全く魅力が感じられない街が出来上がっている。白石氏が指摘したように、
宜野湾市
公務員
新都心や北谷のアメリカンビレッジは成功例とは言えないと思う。東京辺りの街をコピー&ペ
ーストしているだけではないか。普天間という広大なエリアにおける街づくりは、様々な課題
があると思われるが、「沖縄らしさ」を前面に出し、沖縄の伝統文化、いやし、沖縄戦で失わ
れた緑の回復、創造をテーマに産業とドッキングした街づくりが出来ればと思っています。
キーワード:農業(アグリカルチャー)、環境・健康(バイオテクノロジー)、文化(カルチャー)
宜野湾市
会社員
最先端の農業大学(琉球大学農学部拡充)の誘致、ハードは 100 年後、沖縄にとって本当に
必要とされる建築、沖縄の文化、伝統の継承。
宜野湾市
自営業
長いスパンを見据えた跡地利用を考え、文化を大事にする。
跡地中心に本島の東西南北を見渡す、県内外客を対象とした 150m級のテレビ塔兼展望台
豊見城市
その他
タワーの建設。現NHK沖縄のタワーは設置から 50 年余り、老朽化していることからデジタル
化対応の新タワーが必要と思われる。
浦添市
その他
今後、大規模な軍用地返還が他市町村で予想されていますが、同じような跡地利用計画で
は失敗する。どのような特色を持った街づくりができるか。差別化が計画できるか。
普天間は、世界で最も危険な基地であるために世界に名が知れ渡りました。よって返還後は
那覇市
その他
沖縄県民、日本国民発想の枠にとらわれず、世界で理想的な住みやすい、生活基盤の最先
端技術が整った近代的な都市にし、「ウチナーで世界人大会」が常になされる世界のジンブ
ン(頭脳)が集まる生活空間をつくって欲しい。
私達は先祖からこの土地を借りている一時の旅人的存在に過ぎないと思います。今、私達
名護市
公務員
が何かをすると、世代を超えてまだ見ぬ未来の沖縄人につながっているのです。つまり、目
先の利益ではなく、長い目で見て、世代責任を果たし、誇りを持てる地になればと思います。
133
住所
職業
意見・要望
伊波市長の決断に大いに注目しています。沖縄の良さを信じてよろしくお願いします。
失礼かもしれませんが、小松先生の考えているような跡地利用(高級住宅地、カジノ、ハイテ
ク&リゾート)ではなく、それは普天間には求められていないと思います。宜野湾市の真ん中
宜野湾市
主婦
にせっかく返還されても、また別世界を作る(地域の人の利用ではなく、ただのハード整備で
は駄目だと思う)のではなく、今後、沖縄が自立していく為にも、地域の人々の自立、新産業
を創出する為の利用。人材教育、平和文化継承等、地域の人々が便利に、発展していける
場を市民と行政が共に作っていく必要があると思います。
普天間基地の跡地の土地利用も大事ですが、周辺市町村との土地利用の連携が大事かと
那覇市
公務員
思います。魅力的な何かが必要ではないでしょうか? その土地の特殊性が活かせれば最
高ですが、他と同じものなら森林等でも構いません。
行政はすぐ、緑地、植栽公園、四車線道路をつくりたがる。住宅地、公共施設(学校、病院)
那覇市
自営業
の中がその役目をするように。無駄な敷地管理費用(永続的)が行政の負担にならなくてす
む病院、学校他、公共施設を交通の便のいい所へ。琉大病院キリ短は、全く不便でかわいそ
うである。公共交通の計画も立てやすくなる。
・跡地利用に関しては、短期間の開発及び利用が重要である。(新都心やハンビのように 20
宜野湾市
自営業
年近くもかかってはダメ!!)
・地産・地消、安全・安心な街づくりを考える。
経済発展、人口増加の観点から、検討することが大切。反戦、平和などのイデオロギーは、
宜野湾市
会社員
宜野湾市
公務員
宜野湾市
公務員
沖縄市
公務員
宜野湾市
無回答
花のスペシャルとして、跡地利用の戦略プロジェクトに参加を希望します。
宜野湾市
公務員
沖縄の将来を決める大事なテーマだと思います。
捨てよ。
既成市街地のあり方→ドラマチックな街への転向。それには、アクセス、システムの検討(既
成市街地も含めた)
市内一周路面電車の整備等を行い、集客に向けた戦略と併せて、学生の住まいをエリア内
に集中して建設する。学校までのアクセスを整備する。
跡地利用について、外から資本を導入する事は必要であるが、その後、そこに住んでいる人
が発展した街とどのような関わりが出来るのかを考える事は重要である。
134
② まちづくりの方法について
A.進め方
住所
職業
意見・要望
・4 つの提案に関する具体策例、他国、他県との対照比較。
名護市
会社員
・構想の実現へのステップと定例会等の開催等。→準備を少しでも進めていける様にしたら
いいと思う。
那覇市
公務員
那覇市
会社員
普天間の事だけでなく、全県的なアプローチが必要。
国や自治体には、「金は出しても口は出さない」をシステム化し、開発側は自立運営できる、
もしくは責任を取る等、明確化を進める事。
B.産業(観光・企業誘致等)
住所
職業
意見・要望
基地を返還させる方法として、安全保障条約を平和条約にかえることで、基地問題は解決で
那覇市
その他
きます。グアム移転の 3 兆円を沖縄に投資すれば、太陽光発電装置製造工場及び電気自動
車製造工場、観光通勤路面電車を 5 年以内に、330、329、58 号に開通させれば、観光客を
誘致することもできます。
観光メインを大切にすることも大事だが、そこに住む住民が住みやすい利用法を考えること
も大事だと思う。大型の商業施設(ショッピングセンター)など。沖縄の中心にある宜野湾で、
那覇市
無回答
非現実的な空間・沖縄の自然を感じる空間を作るのは難しいのではないかな?と思う。やは
り海や自然等は、北部が一番キレイだと感じるから。基地のことを含めて、沖縄の今後を考
える良い機会となりました。
名護市
会社員
海外の企業が立地する様なインフラ、税制等の導入。海外からの観光客を集客出来る様な
仕組みを、国・県・市で検討を進めるべきではないか。
「沖縄ディズニーランド」等の大きなテーマパークを誘致して、周りを大型駐車場等にすれば、
宜野湾市
公務員
観光客は集まると思う。沖縄「でしか」乗れない乗り物、「だから」見れる風景という様に、独自
性、特色を出していくと良いと思います。(海パンミッキー、ムームーミニーとか)
北谷町
公務員
糸満市
会社員
宜野湾市
公務員
宜野湾市
フリータ
ー
沖縄に県外・国外から人、企業を呼び込める跡地利用を目指し、各界、各事業、行政、住民
の知恵を出し合うことが大事であると思います。
税制の優遇策を取り、企業誘致を図り、集客・来住の促進をする必要がある。
普天間公園の中に昔の沖縄を再現。昔の沖縄のまちを散歩、ジョギングする。花博よりは独
自性があり、面白い。観光スポットが、住民も利用出来る。
普天間神宮周辺の開発。昔ながらの松林の再現。学校・神宮等の一体化→観光戦略へつな
がるのでは…。
C.カジノ構想について
住所
職業
意見・要望
いかにして沖縄に観光客を集められるか考え、実行していくことが大切だと思った。沖縄では
宜野湾市
公務員
産業があまりなく、売りにできるのは、やはり観光。観光産業を伸ばしていく方が、良いと思
う。日本にいながら、異国(アメリカ)を体験できる様な施設を跡地に作り、海だけでない新し
い沖縄を作っていければいいと思う。その点では、カジノも良いと思う。
135
住所
職業
意見・要望
宜野湾市民として、普天間飛行場の跡地利用に関して関心があったので来たが、カジノ賛成
宜野湾市
公務員
の講師など、県当局の意向を組む人選になっているので、違和感があった。宜野湾市民は、
もっと主体的に関わらないと、上からの押し付けになってはいけないと感じた。
1、本県は温暖な気候で安全な街と考えている。環境にやさしい、CO2 が世界一少ない観光
宜野湾市
会社員
都市を目指す。
2、世界観光都市には、カジノは必要。何でも反対ではなく、組織体制や運用で対応できると
思う。
一部の人々の理解を得ることは大変難しいとは思いますが、カジノ構想は、いいと思います。
北中城村
その他
沖縄らしさを忘れることのないような跡地利用を進めていっていただきたいです。小松さんの
考え方は、いい考えだと思いました。
那覇市
公務員
カジノよりもディズニーランドの誘致がいいのでは。
戦略を誘導するためのアメとムチを明確にする仕組みづくりが肝要。
沖縄っぽいテーマパークがあったらいい。カジノは大人が遊ぶ所(イメージ)なので、子どもも
宜野湾市
会社員
大人も遊べる場!!
自然を取り込んだ沖縄らしさを活かしていく場がいい!!
宜野湾市
自営業
宜野湾市
公務員
最初から青少年の教育への悪影響を話さなければ成り立たないようなカジノの構想を考えな
いと、観光等集客が得られないような考えは、一部の利益の考え。健全開発を望む。
カジノ構想はいい考えだと思うが、住民の理解をどう得るのか。法的問題をどう考えるかが、
問題ではないか。環境を考えた街づくりがよいのではないでしょうか。
D.地権者について
住所
職業
那覇市
公務員
中城村
その他
宜野湾市
会社員・
公務員
宜野湾市
その他
浦添市
会社員
意見・要望
跡地利用の成功か否かについては、地権者の理解が大切になってくると理解しました。地権
者が納得する、より良い跡地利用計画を期待しております。
地権者を、協働で街づくりしたい方、自分で使いたい方(→新たな土地を与える)に分ける。
・10 年の定期借地権の設定。個人で土地利用したい方について、新たな借地や方向性で開
発指針。
・土地評価の価値、3 倍~6 倍にするには、商業地域へ転換になるのか?
地権者にとっては、軍用地料が今や生活収入となっている地主も多いと思いますが、彼らの
今後の保障はどうなるのか。納得できるプランがあるのか?
広く全県民本意の跡地利用計画の策定にあっては、地権者の比重を小さく・・・。(今までの地
料で充分)←地権者
136
資料-5
意見交換会の記録
1.意見交換会の概要
1)意見交換会開催の趣旨
・土地利用・環境づくりを専門とする有識者や関連調査の担当者、若手の地権者等との意見
交換により、計画方針の取りまとめに際しての情報を収集する。
2)意見交換の実施状況
敬称略
分野
氏名
所属
(1)交通①
又吉雅則
宜野湾市都市計画課
課長
多和田功
〃
係長
〃
技査
仲村
(2)交通②
等
新垣 実
テーマ
・宜野湾市都市計画マスタ
ープランとの整合
沖縄県土木建築部都市計画・モノ
・将来公共交通網計画等
普天間信栄
比嘉靖洋
(4)供給処理
吉田文雄
西村猛
沖縄県土木建築部道路街路課
〃
班長
・(仮)宜野湾横断道路
主任
・(仮)中部縦貫道路
北九州市建築都市局総務企画部課長
〃
長沼幸一
平成21年
10月30日
平成21年
12月21日
レール課企画班主幹
(3)交通③
開催日
係長
北九州市環境局環境経済部
・城野地区低炭素先進モデ
ル街区
平成22年
2月10日
・北九州市エコタウン事業
環境産業政策室
(5)周辺市街地
(6)住宅地①
(7)住宅地②
岩科健一
八幡東田まちづくり連絡会
柴田泰平
北九州市環境局環境政策部環境首都政策課
又吉雅則
宜野湾市都市計画課
課長
多和田功
〃
係長
仲村
〃
技査
等
・八幡東田地区
・跡地利用と周辺市街地整
備との連携
宮里 正
沖縄総合事務局農林水産部 課長補佐
名城政猛
沖縄総合事務局総務部調査企画課 課長
宮城昌嗣
沖縄総合事務局総務部跡地利用対策課課長
関根宣由
(独)都市再生機構茨城地域支社
中根・金田台開発事務所所長
・沖縄県における県外から
の移住
・中根・金田台地区におけ
るゆとりある住宅地づく
平成22年
2月19日
平成22年
1月29日
平成22年
2月8日
り
(8)住宅地③
佐藤俊一
NPO法人「コミュニティ・アソシエーショ
ン美しい街住まい倶楽部」 理事長
(9)都市拠点
両角
博
(社)日本交通計画協会
理事
・船橋美し学園等における
協働のまちづくり
・港北ニュータウンにおけるセ
環境・公園
ンター地区の共同利用、グリ
平成22年
3月2日
平成22年
2月8日
ーンマトリックス
(10)全般①
小松史郎
東京都市大学 都市生活学部
・集客・来住の促進
都市生活学科教授
(11)全般②
大川正彦
呉屋
力
平成21年
12月2日
普天間飛行場の跡地を考える若手の会
〃
会長
・
「土地利用・環境づくり方
副会長
針案」に対する若手の会
の考え
137
平成22年
2月19日
2.意見交換会の記録
交通①
宜野湾市建設部都市計画課
― 宜野湾市都市計画マスタープランとの整合 ―
1)日時、場所
○
開催日時:平成 21 年 10 月 30 日
○
開催場所:宜野湾市建設部会議室
14:00~17:00
2)出席者(敬称略)
・宜野湾市 建設部都市計画課
:又吉雅則、多和田功、仲村等
・沖縄県 企画部企画調整課
:名嘉真稔、玉城久美子、嘉川陽一、高江洲強
・宜野湾市 基地政策部基地跡地対策課 :比嘉秀夫、新垣勉、照屋盛充
・(財)都市みらい推進機構
:稲岡英昭、松村聡
・(株)日本都市総合研究所
:荒田厚、村山文人
・玉野総合コンサルタント(株)
:中垣淳一、水野清広、久松隆司
・(株)群計画
:大門達也
3)意見交換の内容(敬称略。W・Gはワーキング部会メンバーの発言)
(1) 「全体構想」の確認と「土地利用・環境づくり方針案」との整合性について
■ 大山の田芋畑は市街化かそれとも保全か
・
保全を目指す場合は、田芋畑を横断する宜野湾横断道路等は計画しない方が良いのでは
ないか(市街化に向けた期待を高めてしまうのではないか)
・ また、市街化を目指す場合は、
「湧水の保全」を跡地における環境づくりの目標にできな
くなるのではないか。
市・都市計画課
:①大山の田芋畑は土地区画整備事業の計画区域に指定されているが、平成
16 年度に策定した都市計画マスタープラン(以下、「都市マス」と言う。)では「一
部保全も検討する」としている。
②大山地区については、市・農水振興課が平成 20 年度に栽培振興計画を策定し、全
体 49ha のうち、15ha を保全ゾーン、34ha を開発ゾーンとした。このゾーニング
は地主会へのアンケート調査に基づいている(面積ベースで、保全したい方約 10ha、
開発したい方は約 17ha)。保全ゾーンは市民農園の場を 5ha 加味し、15ha として
いる。事業手法は農住組合方式の土地区画整理事業を想定しているが、農住組合制度
は地権者の全員合意が必要であるため、約 300 名の合意をとれるかが課題である。
来年度に準備委員会を立ち上げ、平成 23 年には農住組合を設立する予定であり、地
域の取り組みを市が支援する方向で動いている。
③宜野湾横断道路は、西海岸から跡地を通って、宜野湾、長田、中城に至る重要な道
路であり、大山地区の開発ゾーンと連動させながら計画を進めたい。湧き水の保全は、
保全ゾーンで湧き水としての利用、開発ゾーンでせせらぎ等として残す方向である。
138
W・G
:地権者は保全ゾーンと市街化ゾーンで、ある程度まとまって分布しているか。
市・都市計画課
:保全希望の方はある程度まとまっているので、その区域を中心に保全ゾー
ンとし、その他分散している部分は交換分合等で対応していきたい。
W・G
:宜野湾横断道路の幅員は 20m程度で良いか。
市・都市計画課 :当初計画は幅員 20mであるが、第3回パーソントリップ調査(以下、
「PT」
と言う。)の結果から判断すると、30m程度の幅員が必要となる。宜野湾市では次年
度から交通マスタープランを策定する予定であるが、宜野湾横断道路は県道・国道と
いった位置づけになっていくのではないかと考えている。
W・G
:保全ゾーンと開発ゾーンの位置関係は、どのようになっているか。
市・都市計画課
:図面の通りであるが、開発ゾーンは住居系が多くなるだろう。
■ 「研究・交流ゾーン」は、「全体構想」に位置づけることができるか
・
沖国大と琉大の間は学園都市づくりの都市軸として位置づけられているが、コンベンシ
ョンまでは延びていない。
・
このゾーンの骨格となる幹線道路を計画することはどうか。
市・都市計画課
:現在、宜野湾市のメインが西海岸側に移ってきているので、沖国大~琉大
の機能を西海岸に導入する必要性は感じている。また、都市マスにおける東西幹線道
路の計画は、国道 58 号からコンベンションまでは区画整理で整備されているが、一
部基地がかかっている。基地がかかっていない部分は都市計画決定に向けて地元説明
会を進めている。このラインがつながれば、
「コンベンション~沖国大~琉大」が都市
軸になり得る。
W・G
:宜野湾市の東西軸は、コンベンションから琉大につながる路線が相応しいだろう。
いつ返還されるか分からない面もあるが、跡地も参加する軸とすることにより賑わい
などを確保できるのではないか。何とか「跡地の中を通る幹線道路」に仕立てられな
いか。再度、そのような案を作成した上で、意見交換をさせて頂きたい。この場合、
東西軸が森川公園をぶち抜くことになるが、仮にトンネルにすると、ある程度公園の
機能は跡地内に拡張するなどで確保することもできる。
■ 「(仮)宜野湾新都心」は全体構想と整合しているか
・
「新ねたての交流拠点」のイメージと一致しているか
・ 普天間や真栄原の「地域商業ゾーン」と跡地の「(仮)宜野湾新都心」は両立すると考え
てよいか
市・都市計画課
:①「新ねたての交流拠点」の位置は、中部縦貫道路と宜野湾横断道路の交
差部を中心に配置しているが、あくまで平成 16 年当時の計画であるため、現在進行
中の跡地利用計画、社会経済情勢の変化等を踏まえて見直ししていきたい。
②既存商業地である普天間、真栄原は、近年空き店舗が増えているため、重点地区と
して空き店舗の対策を行っている。こういった流れもあるので、普天間、真栄原につ
いては商業関連の整備を行い、跡地と連携して良い関係を築きたい。
W・G :
「新ねたての交流拠点」の中には、市庁舎移転という可能性が含まれていると理解し
139
ている。跡地の真ん中に核を配置するのが良いと思うが、真栄原等を再開発しながら
二極構造とする場合、既存商店街との調整が重要になるだろう。
■ 地域別構想において跡地は既成市街地と縁を切った「別世界」として位置づけるか
・ 北、南、国際学園都市、東地区では、
「既成市街地隣接ゾーン」と一体的な計画づくりが
必要ではないのか
・
地域別構想の「地区区分」は現在の生活圏の実態を反映しているのか
・
学校区再編等にかかる今後の検討成果を「既成市街地隣接ゾーン」の計画づくりに反映
させることができるか
市・都市計画課
:①基地返還後のまちづくりは、既成市街地の部分が最も問題になると考え
ている。現在、周辺市街地調査を行っているが、どのあたりまでを跡地と一体的に整
備するかが、費用面を含めた大きな問題と考えている。
②都市マスにおける「地区区分」は現在の生活圏の実態を反映している。但し、大山
小学校は生徒が増え続け限界を超えているため、跡地内の住宅地を含めて校区のシミ
ュレーションをかけていく必要があると考えている。既存の小学校を残しながら、跡
地には、最低限必要な学校を配置することになるだろう。学校の他に、消防署の統合
も含めて整理していきたい。
W・G
:①跡地内で早期に開発する部分については、既成市街地の既存サービスを活用して
いきたいと考えている。始めから跡地のために学校を新設するなどは、非常に効率の
悪い話になる。基地西側には斜面地があるので周辺市街地と縁をきることになろうが、
東側は既存小学校等の活用が可能だろう。
②跡地が返還されれば既成市街地を整備しないと意味がないと言う方も大勢いるが、
費用面等を考えると現実的には難しいのではないか。跡地利用に必要な幹線道路は、
周辺市街地も含めて一体的に整備しなければならないが、それを既成市街地の再開発
にまで広げると市の負担も相当大きくなる。
市・都市計画課
:市では周辺市街地の範囲を、国道 58 号、国道 330 号および県道で囲ま
れた内側を基本的なラインとしておさえ、中部縦貫道路と宜野湾横断道路の沿道につ
いては、その外側まで開発が必要と考えている。
W・G
:既成市街地の不良地区は、跡地を種地にしながら再開発を進めることが言われてい
るが、跡地の中に公有地を確保すれば上手くいくという話でもないだろう。
市・都市計画課
:①周辺市街地に住んでいる方々は、本当に自分達の土地が開発されるか否
かを意識的に考えていない。今回の周辺市街地調査では、市民アンケート調査で
1,700 通発送し、現時点で約2~3割を回収できている。野嵩や普天間などの密集地
区では跡地整備が伴わなくとも単独で早期に整備することもできるが、基地との一体
整備になれば補助率が上がる等の可能性もあるので踏み切れない状況にある。
②公共事業を進めるに際して、本土と沖縄の違いは、墓地に対する考えである。墓地
の行き先がないために、通常2~3年で完了する事業が 10 年かかることが多々ある。
W・G
:墓地に対する対応は、跡地側が引き受ける課題かもしれない。
市・都市計画課
:都市マスでも跡地の中での公共墓地の計画等がでているが、基地の中に墓
地を持ってくることは地権者の方の同意を得られないだろう。沖縄は個人墓が約9割
140
を占める。墓のある所に建物はつくれるが、建物のあるところに墓はつくれない。
■ 跡地利用計画ができたら、都市計画マスタープランを更新するのか
・
跡地の都市計画マスタープランにもとづいたまちづくりへの取組があるか
・
更新する場合に、現行計画との連続性を重視すべきことは何か
市・都市計画課 :都市マスの更新については、全てをゼロから考えるということではないが、
跡地利用の内容が具体化していく中で必要となる変更には対応したい。
W・G
:都市マスに基づいて進展している事業があるか。
市・都市計画課
:都市マスの計画は大部分が基地の返還とからんでいるので、大きな事業は
進んでいない。逆に言えば、見直しは何時でもかけられる。
(2) 幹線道路網等の計画方針について
■ 跡地利用を契機とした都市計画の見直しをどのようなスタンスで行ってきたか
・
未整備の既定都市計画道路については、できるだけ変更しない様にしたのか
・
それとも、計画条件が大きく変わったのだから、大規模な計画変更(廃止、大幅な拡幅
等)もやむなしとしたのか
市・都市計画課
:①基本的なスタンスとしては、未整備の都計道も都市マスに取り込んでお
り、そのうち都市マスにあげなかったのは1路線(我如古線)のみである。この路線
は県道が整備されたこと等から必要性が低くなり、現在は廃止の方向で住民説明等を
行っている。また、基地内道路の計画は、周辺の都計道を活用した計画になっている。
現在、未整備の都計道は 10 路線あり、その内の1路線(我如古線)は廃止、3路線
は基地に向かう道路、普天間地区の3路線は基地に関係ないが整備が遅れている、残
り3路線は大山地区の区画整理区域を通る道路である。
②既定都計道は昭和 43 年に決定されたものであるため、PT 結果を踏まえて、再来年
までに市で交通マスタープランを取りまとめながら、事業主体を見定めつつ幅員構成
等を整理していきたい。大きな位置変更はないと考えている。
■ 幹線道路網のパターン、網間隔等は、どのような考えにもとづいて定めたのか
・
なぜ格子状パターンとしたのか
・
新設東西道路・南北道路の本数をどのようにして決めたのか
・
「宜野湾横断道路」はどれか
市・都市計画課
:①基地返還を見据えて東西間、南北間を結ぶことを考えるとどうしても格
子状になる。沖縄県は伝統的に東西方向の道路が弱いので梯子構造が目指されており、
宜野湾市においても必然的に南北、東西の道路強化ということになる。
②都市マスにおける幹線道路網パターンは、都計道との接続や、地区レベルでの検討
を踏まえて設定しているため、跡地側の検討でも考慮して頂きたいが、不都合がでて
くる部分については調整した上で、見直しが必要なものは対応したい。
141
■ 幹線道路の計画内容(幅員、構造、断面構成等)をどのように想定していたのか
・
4車線以上と想定している幹線道路はどれか
・
東西幹線道路の西側斜面区間の構造は、トンネル、オープンカットのいずれを想定して
いたか
・
国道330号と「中部縦貫道路」の結節部の構造をどのように想定していたか
市・都市計画課
:都市マスの全体構想図において、自動車専用道路、主要幹線道路が基本的
に4車線以上と考えている。今回の PT 結果を踏まえると、道路の位置づけが変わる
可能性がある。
W・G :主要幹線道路以上が4車線とすると、国道 330 号の扱いが気になる。
市・都市計画課
:中部縦貫道路や国道 58 号バイパスが完成すれば、現在の国道 58・330
号は幹線道路扱いになるだろう。中部縦貫道路、国道 58 号バイパスがメインで、宜
野湾横断道路が県道レベルの主要幹線という位置づけになりそうである。
W・G
:①跡地で南北道路を整備することにより、国道 330 号の交通量が削減され、快適
になりうる。これは跡地利用の大きな効果だろう。
②宜野湾横断道路の西側ルートは、最近整備された県道に乗せることを想定している
ようだが、県道は再拡幅が必要になる。再拡幅は難しいのではないか。
③東西幹線道路の西側斜面部分は、これまでループになる案(市庁舎1階の模型)な
どが考えられてきた。現在はどのように考えられているか。
市・都市計画課 :東西幹線道路をトンネルとした場合は、地域にアクセスしづらくなるため、
まちづくりの面から見ると好ましくない。広域的交通であればトンネルで良いが、地
域のまちづくりは道路と接することが有効であるため、接道できないことは厳しい。
都市マス段階では、オープンカットか、トンネルかなどを決めにくい面がある。幹線
道路の構造を見定めるには、より踏み込んだ検討が必要になる。
W・G
:①西側斜面は西側地域の地域景観として大事なものなので、オープンカットは厳し
いだろう。
②将来的に、跡地を縦貫する公共交通を引き込みたいが、需要等を考慮して成立しや
すいのは国道 58 号を通るルートではないか。仮に国道 58 号を想定した場合、でき
るだけ跡地内を長く通すためには、跡地の南側から上がるのが良いだろう。公共交通
は中部縦貫道路にのせることも考えられるが、県道 81 号と接続できない等の課題も
ある。個人的には、跡地北側で国道 330 号に接続し、普天間宮の前を通るなどとし
て、できるだけ長く跡地内を通るルートが好ましいと考える。
W・G
:主要幹線などの市町村を越えるネットワークを持つ道路の整備は、県にお願いした
い。
市・都市計画課
W・G
:現在、大山7号は高架で工事中である。
:それが宜野湾横断道路だとすると、国道 58 号とどのような交差方式になるか。国
道 58 号のランクを落として街なかの道にするのであれば平面交差でも良いのではな
いか。
市・都市計画課
:中部縦貫道路、宜野湾横断道路は早期に事業主体を決めて頂き、接続にか
かる構造の検討等を深めることが課題と考えている。平面にするか、高架にするかで
142
まちづくりが大きく変わるので、事業主体を含めて整理していく必要性を感じている。
W・G
:東西幹線道路は、国道 58 号を上で超えた方が基地には接続しやすいが、国道 58
号から西側に下りるのが難しくなる。
■ 幹線道路の具体的なルートをどのような根拠にもとづき設定したか
・
既成市街地区間の整備しやすさに配慮しているのか
・
既定都市計画道路の存在を重く見たのか
・
既成市街地の地域分断を回避できるように配慮しているのか
・
東側の南北幹線道路を普天間の手前で国道330号に戻し、普天間の3叉路までの区間
を拡幅する案はなかったのか
W・G
:①基地の西側は既定都計道を頼りにしたルート設定が可能であるが、東側はどこに
照準をあわせて東西道路を設定したか。
②南北軸の北側は行き先を考えると国道 330 号に戻すのが良いのではないか。
市・都市計画課
:基地が返還されれば中部縦貫道路の跡地区間は整備が可能になるが、その
先を如何に接続するかが課題になりそうである。南北幹線道路を国道 330 号に接続
することも有効かもしれない。国道 330 号は、普天間~我如古間の拡幅整備が難し
い中で、跡地にそのバイパス機能を持たせ、北側区間では普天間高校等を跡地に移設
しながら、国道 330 号の拡幅、商業核の再編についても検討できるかもしれない。
W・G
:国道 330 号北側および沿道であれば、跡地整備との関連整備という理屈がつくの
ではないか。
W・G
:都市マスの絵は、最終形での絵なので、全基地が返還されることが前提になってい
る。
W・G
:①跡地内で沿道の街並みを形成するのは、中部縦貫道路ではなく、幹線道路沿道だ
ろう。このため公共交通は、幹線道路に通すことが好ましいと考える。
②大山小学校の横に、宜野湾横断道路という大幹線が通ることになるが問題ないか。
市・都市計画課
:大山小学校は、宜野湾横断道路が高架にせよ、平面にせよ、少なからず影
響を受けることになる。
■ 並松街道の整備イメージはどのようなものか
・
旧ルートと少しずれても幹線道路併設とするのか
・
旧ルートを尊重して歩行者優先型の道路とするのか
W・G
:南北幹線道路と並松街道は、抱き合わせない方が良いのではないか。松並木は別ル
ートにし、歩行者専用道等にするという考え方もあり得る。できれば今までのルート
を復元したい。昔のルートであることの価値は高いだろう。
市・都市計画課
:歩行者優先にして、普天間公園と連携して配置するなども考えられる。
以上
143
交通②
―
沖縄県土木建築部都市計画・モノレール課
跡地利用計画の与件とすべき広域交通計画の内容(将来公共交通網計画等) ―
1)日時、場所
○
開催日時:平成 21 年12月 21 日
○
開催場所:県庁4階第1会議室
13:30~14:30
2)出席者(敬称略)
・沖縄県
・沖縄県
土木建築部都市計画・モノレール課企画班:新垣実
企画部企画調整課
:名嘉真稔、嘉川陽一、高江洲強
・宜野湾市
基地政策部基地跡地対策課
:新垣勉、照屋盛充
・(財)都市みらい推進機構
:稲岡英昭、松村聡
・(株)日本都市総合研究所
:荒田厚、村山文人
・玉野総合コンサルタント(株)
:堀田保将、中垣淳一、水野清広
・(株)群計画
:大門達也
3)意見交換の内容(敬称略。W・Gはワーキング部会メンバーの発言)
(1) 将来公共交網計画について
■
総合都市交通計画策定に際して、新しい公共交通システムのルート等はどのように想定され
ていたか。
県・都市モノ課
:都市モノ課では、振興計画や総合交通体系基本計画を受け、昨年度作成し
た都市交通マスタープランの実現に向け、平成 21、22 年度に総合交通戦略の策定を
進めている。マスタープランは、公共交通利用の促進を目的としたものであり、具体
的な位置など細かいところまでは示していない。
・公共交通軸のルートは、マスタープランの将来公共交通ネットワーク計画案に示す
程度のもの。
・交通結節点の場所は、概ね伊佐の交差点あたりをイメージしているが具体的な場所
を示したものではない。
W・G
:総合交通戦略ではマスタープランで策定されたモノレール延伸地域以外は、バス交
通による対応を目標としているのか。また、結節点はターミナル施設の整備を考えて
いるのか。
県・都市モノ課
:総合交通戦略は、交通政策課で検討している公共交通システムの検討や 4
市(那覇、浦添、宜野湾、沖縄)が策定した連携計画/基幹バスシステム検討と連携し
ながら進めている。
5~10年を目標とした計画としては基幹バスがあるが、それ以降についてはマスタ
ープランの中では新たな交通システムとしており、基幹バス、モノレールなどを含め
たものとしている。結節点については基幹バスの乗り換え機能を想定しており、ター
ミナル機能をもたせるかも含めて議論の対象としている。
144
W・G
:総合交通戦略の具体的な戦略としては、国道 58 号や国道 329 号に基幹バスを通
すための道路や街路整備の優先順位、断面構成の検討ということになるのか。
県・都市モノ課
:総合交通戦略では、国道 58 号ルートと那覇-与那原ルートの基幹バス導
入を検討対象としており、検討によって出てきた課題を整理し、アクションプランと
して策定していきたい。普天間飛行場跡地に絞った議論はしていないが、公共交通の
利用促進に向け、ハード面のみでなく、ソフト面も含めた施策について議論していき
たい。
■
公共交通軸に関する計画づくりは、今後どのようなスケジュールで進められると考えたらよ
いか。
W・G
:将来公共交通のネットワーク計画案には公共交通軸とて東西の2軸が明確に示され
ているが、東側の軸はモノレール延長から想定すれば軌道系の公共交通軸を想定して
いるのか。また、その内容を普天間の跡地利用計画に反映する必要があると考えてお
り、その方針は、今後いつごろを目標として示される予定か。
県・都市モノ課
:モノレール延長の先については、モノレール延長も含めて新たな公共交通
システムの導入について議論しているところである。同様に西原の結節点の方向性に
ついても議論しているところである。西原の先については具体的な方針までは出せな
い。
W・G
:西側については、どのような新たな公共交通システムが導入されるのか。今後、ど
のような調査や検討をどのようなスケジュールで行ない方向性が出されるのか。
県・都市モノ課
:総合交通戦略では国道 58 号~伊佐~沖縄市への基幹バスの導入に向けた
検討を進めている。新たな公共交通システムの導入に向けては交通政策課で行なって
いる新たな公共交通システム検討がそのひとつに該当すると思われる。
W・G
:総合交通戦略では、交通政策課で行なわれている新たな公共交通システムの検討と
の連携を図ることとなっているが、その結果はいつ頃反映される予定か。
県・都市モノ課 :新たな公共交通システムの検討は今年度から来年度にかけて 2 ヵ年で行な
われる予定であり、総合交通戦略への反映は平成 22 年度になる見込みである。
W・G
:総合交通戦略は 20 年先の交通量を見込んだ上でモノレール延長を判断されたもの
か。その場合、普天間飛行場の交通量はどのように出されているのか。
県・都市モノ課
:総合戦略は概ね 20 年後を目標に交通量を推計し、モノレールの延長を判
断している。普天間飛行場は返還を前提として交通量を推計している。
W・G
:将来公共交通のネットワーク計画案にある主要な交通結節点は伊佐で位置づけられ
ているとのことであるが、基地跡地との位置関係はどのように考えているか。また、
機能としては公共交通と自動車交通とをミックスしたターミナルを想定しているのか。
県・都市モノ課
:マスタープランの中では具体的な場所は決めていない。総合交通戦略のな
かで決めていく予定である。ターミナル機能は基幹バスとフィーダーバスの結節点を
想定している。
145
(2) 都市交通計画の目標の実現に向けた跡地利用計画について
■跡地における公共交通利用を拡大するために、どのような取組(地区レベルの公共交通シ
ステム等)が期待されているのか。
■観光交通の魅力向上に向けて、どのような施策(沿道景観形成等)が期待されているのか。
■日常生活圏において、どのような交通計画(歩行者・自転車のための計画等)が期待され
ているのか。
■その他、都市交通計画の目標の実現に向けて、跡地利用計画に期待されるのは、どのよう
な取組か。
県・都市モノ課 : 都市交通マスタープランでは地理的に普天間・瑞慶覧は交通の要所とな
ると想定でき、基地跡地への導入機能として一般的な施策を示しているが、基地跡地
を限定した検討は行なっておらず、具体的な施策までは触れていない。
以上
146
交通③
―
沖縄県土木建築部道路街路課
跡地利用計画の与件とすべき広域交通計画の内容((仮)宜野湾横断道路等) ―
1)日時、場所
○
開催日時:平成 21 年12月 21 日
○
開催場所:県庁4階第1会議室
14:30~15:30
2)出席者(敬称略)
・沖縄県 土木建築部道路街路課企画調整班 :普天間信栄、比嘉靖洋
・(株)ホープ設計
:我那覇忠男、川野康徳
・沖縄県 企画部企画調整課
:名嘉真稔、嘉川陽一、高江洲強
・宜野湾市
基地政策部基地跡地対策課
:新垣勉、照屋盛充
・(財)都市みらい推進機構
:稲岡英昭、松村聡
・(株)日本都市総合研究所
:荒田厚、村山文人
・玉野総合コンサルタント(株)
:堀田保将、中垣淳一、水野清広
・(株)群計画
:大門達也
3)意見交換の内容(敬称略。W・Gはワーキング部会メンバーの発言)
(1) 基地跡地交通網計画調査の概要(県道路街路課)
・ 道路街路課では、SACO 合意に基づく米軍基地返還を踏まえ、既存の道路網と基地返還を
考慮した道路のあり方や必要とされる交通機能・空間機能を含めた検討を行ない、新たな幹
線道路網の整備計画の策定に必要な基礎調査を実施している。
・ 同調査は、平成 19 年度から平成 21 年度の3ヵ年で行なわれており、平成19年度は主
に現況、上位計画を踏まえた基地内道路網のあり方を整理、平成20年度は中南部地域将来
道路網案の設定(車線数、交差計画案)を行い、平成21年度は基地返還を考慮した道路整
備計画の策定に取り組んでいる。
・ 中南部地域における現状及び将来の課題は、生産活動の拡大に伴う自動車交通の増加に対
応した道路網の充実、交通渋滞の緩和であり、基地跡地内の幹線道路網について検討を行な
うものである。
(2) 宜野湾横断道路について
○
ルートは宜野湾市都市計画マスタープランに示されている案で確定されているとみてよいか。
○
横断構成はどのように考えたらよいか(2車線か4車線か)
○
沖縄自動車道との結節を図ることとするのか
○
道路構造はどのように考えたらよいか
・国道58号とは立体交差させるのか。
・跡地西側斜面区間はトンネル、オープンカットのいづれと考えたらよいか
・沖縄自動車道の東側区間の高低差をどのように克服するのか
県・道路街路課
:検討路線のルートは、普天間飛行場内外について、ほぼ宜野湾市都市計画
マスタープランを踏襲したものである。車線は 4 車線とし、自動車専用道路を想定し
147
ている。宜野湾横断道路は、国道 330 号から東側へは、途中からトンネルとし沖縄
自動車道路へ接続せず、国道 329 号に接続する構造を提案しているが、国道 330 号
以東の国道 329 号への区間は無くすことも視野に入れ検討している。高低差が 100
m程度あり厳しい地形条件であるためである。
跡地西側の斜面区間は、現検討では 7 段ほどのオープンカットによる構造としている
が、地下水を考慮した構造とすることも検討する必要がある。
(3) 中部縦貫道路について
○
国道330号の浦添市区間と同様の規格と考えてよいか。
・県道34号線とは結節させないと考えてよいか。
・跡地内では宜野湾横断道路とは結節させるのか。その他の東西幹線とはどうか。
・県道81号線と結節させないと考えてよいか。
○
国道330号からどのように分岐させるのか。
○
既成市街地区間の道路構造はどのように考えたらよいか。
・国道330号と跡地の間の既成市街地区間は、高架、地下、地平レベルのいづれと考え
たらよいか。
・跡地と県道81号線との間の既成市街地区間は、地下、地平レベルのいずれと考えたら
よいか
○
跡地内区間において副道を設けて、ランプや幹線道路として利用することはどうか。
県・道路街路課
:中部縦貫道路は4車線で自動車専用道路を想定している。県道34号(宜
野湾西原線)との交差はダイヤモンド構造により接続する計画としている。その他は
北から、瑞慶覧交差点は立体(オーバー)構造でダイヤモンド構造とすることも可能、
中部横断道路との交差は立体交差(三層構造)、県道81号との交差は立体(アンダー)
構造であり跡地内からもぐる構造となる。宜野湾横断道路との交差は立体構造(三層
構造)、終点部は中部縦断道路を本線とし、既設の西原方面へは信号制御される。
宜野湾横断道路とは本線は結節せず副道による結節を考えている。その他の東西幹線
との結節は考えていない。基地跡地内の本線は半地下構造とし、横の緩速車線により
アクセスする 6 車線構造とすることを考えている。仮に本線を半地下としない場合は、
緩速車線からの乗り入れも可能となる。中部縦貫道路の構造は基本的に半地下構造を
考えているが、今後、県、市の協議などを踏まえて決定していくものと考える。跡地
内区間において副道を設けて、ランプや幹線道路として利用することは可能である。
現段階ではフレキシブルに対応が出来るような計画としてある。
W・G :宜野湾横断道路の東側は地形上、非常に厳しいものとなる。国道 330 号と国道 329
号を接続するためにトンネル構造とし、沖縄自動車道に接続しない案とされているが、
どのような位置づけを考えているのか。また、ルートについては、宜野湾市都市計画
マスタープランを踏襲されているが、跡地内での多少の変更は可能か。
県・道路街路課
:宜野湾横断道路は、中城港の発展により、西海岸、那覇港を結ぶ機能を持
った道路として位置づけている。現段階では重交通を処理できる道路がないため宜野
湾横断道路にその機能をもたせることを考えた。また、整備中である沖縄環状線や宜
野湾北中城線は交通量推計をすると両路線ともに容量オーバーとなるため東西を結ぶ
148
道路が必要となる。さらに当区間は地盤が弱く、地滑りが多発する地域であり、トン
ネル構造が望ましいと考えた。
W・G
:跡地利用からは沖縄自動車道路への接続が有効であると考える。道路機能により道
路横断計画の立て方や沿道利用の考え方が異なってくる。
県・道路街路課 :県道 32 号をスマートインターチェンジにより接続することが可能である。
この場合、用地もさほど必要ない。道路機能の比較検討などは今年度実施する予定で
ある。
W・G
:道路管理は県又は国を考えているのか。
県・道路街路課
W・G
:中部縦貫道路は国、宜野湾横断道路は県管理を想定している。
:副道構造の場合、Uターンできる構造とする必要があると思われる。また、半地下
構造では、現在の沖縄自動車道のように沿道景色が見えなくなる。観光の観点からも
景色を見せるべきではないかとも考えている。
県・道路街路課 :費用的に安く、主要幹線道路からの騒音の遮断を考えると掘割構造となる。
道路から海への眺望は西海岸通が担うべきではないかと考える。
W・G
:基地から国道 330 号区間は宜野湾横断道路と副道が計画されているが、当該区間
は建物が多く整備も困難となることが想定される。
県・道路街路課
W・G
:基地から東側へはトンネル構造となるためさほど問題無いと思われる。
:宜野湾横断道路に重交通を処理する機能を持たせようとすれば、すべてトンネルに
することも考えられる。
県・道路街路課
:現在の情勢のなかで、このような規格の高い道路の計画は現実的ではない
とも考えている。特に宜野湾横断道路の東側は現実的には国道 330 号までであり、
簡易インターチェンジなど沖縄自動車道の利用を促進する取り組みが必要ではないか。
W・G
:今後、どのような検討を実施し、どの時点で市町村に提示していくか。
県・道路街路課
:スケジュールは特に想定していないが、宜野湾市には提示していきたいと
考えている。
W・G
:このような掘割構造と平面構造では土地利用が大きく異なり事業が途中段階で中断
した場合、困ることになる。暫定的な利用を想定した検討はなされているのか。
県・道路街路課
:事業化を想定した検討はしていない。今後の検討課題としたい。
以上
149
供給処理
北九州市(建築都市局、環境局、八幡東田まちづくり連絡会)
―
北九州市における先進的な環境の取組
―
1)日時、場所
○
開催日時:平成 22 年 2 月 10 日
○
開催場所:北九州市
13:00~18:00
会議室(城野地区、北九州エコタウン事業)
東田エコクラブハウス(八幡東田地区)
2)出席者(敬称略)
<城野地区低炭素先進モデル街区>
北九州市
建築都市局総務企画部
:吉田文雄、西村猛
<北九州市エコタウン事業>
北九州市
環境局環境経済部環境産業政策室
:長沼幸一
<八幡東田地区>
八幡東田まちづくり連絡会
:岩科健一
北九州市
:柴田泰平
環境局環境政策部環境首都政策課
<事務局>
・沖縄県
企画部企画調整課
・宜野湾市
:嘉川陽一、高江洲強
基地政策部基地跡地対策課
:新垣勉
・(財)都市みらい推進機構
:稲岡英昭
・(株)日本都市総合研究所
:村山文人
・玉野総合コンサルタント(株)
:堀田保将、水野清広
・(株)群計画
:大門達也
3)城野地区低炭素先進モデル街区について
(1) 地区の概要
■ 経緯・まちづくりの基本的な方向性
・ H20.3 に機能廃止された城野分屯地の跡地利用、UR都市再生機構城野団地の再編計画に
よる土地利用転換を契機とし、周辺の公的施設や既存住宅地を含めた土地利用計画の検討を
行った。
・ 本地区は、JR城野駅に近接する特性を活
かし、環境に配慮した居住機能中心の良好な
まちづくりを目指しており、平成 20 年度に
「エコまちづくり事業(先導的都市環境形成
促進事業)」の採択を受けている。
■ 低炭素先進モデル街区
・ 低炭素先進モデル街区(約 33ha)は、城
野分屯地、都市再生都市機構城野団地からな
る重点街区(約 18ha)と県警機動隊、防衛
省官舎、国家公務員宿舎、小倉ろう学校、市
150
営住宅及び既存住宅からなる協力街区(約
15ha)で構成。
・ 重点街区は、土地利用転換の機会を活かし、
基盤整備の段階から総合的な低炭素化技
術・方策の導入を推進。協力街区は、既設建
物を利用し、新たな基盤整備を必要としない
低炭素化技術・方策の導入について、協力要
請等により誘導していく。
■
低炭素先進モデル街区の目標と取り組みの
基本的な考え方
・ 城野地区の土地利用は住宅地が中心となる
ことから、主として、家庭での日常生活で排
出される CO2 を対象として低炭素化の取
り組みを検討。
・ ゼロカーボン街区を目指し、総合的な低炭
素化技術・方策が、「まち」の整備段階から
成長段階までを通して、住民にとって実施可
能であることを条件とし、低炭素化につなが
る 5 分野(交通、エネルギー需要、エネル
ギー供給、エネルギーマネジメント、緑化・
自然利用)の総合的な取り組みやまちの魅力
向上に向けたソフト・ハードの取り組みを実
施することとしている。
・ モデルケースでは、ゼロカーボンにするた
めには一戸あたり、約 950 万円の初期投資
がかかる試算をしているが、今後の技術開発
によるコストダウンを期待している。
■
・
重点的に検討を進める取り組み
重点的に検討を進める取り組みとしては、
スマートグリットシステムの導入などを考
えている。
■
今後の検討課題と進め方
・ 今年度は、各種取り組みの主要分野別の検
討を行っているおり、電力会社と導入可能な
技術等について意見交換し、導入メニューの
絞りこみなどをしているところである。
・ また、本地区の重点街区では、土地区画整
理事業による基盤整備を考えており、来年度
は、事業化にむけた整備計画や都市計画決定
手続きを行い、平成 23 年度に土地区画整理
事業の事業認可し、平成 24 年度に事業の着
工を目標としている。
151
・
現在、財務省、福岡県、都市再生機構、北九州市にて結成している跡地利用策定協議会に
て議論、検討を進めているところである。
(2) 意見交換の内容(敬称略。W・Gはワーキング部会メンバーの発言)
W・G :土地区画整理事業を想定されているが、分屯跡地は財務省所有のまま事業を行うの
か。また、北側の既存住宅地への説明等はどのように行われているのか。
北九州市 :財務省所有のまま財務省が売却を行う予定。財務省とは、まちづくりの観点から
城野地区のあるべき姿を提示し、良好なまちづくりの必要性について協議、調整をし
ている。北側の既存住宅地は事業区域外であり、特に現段階では具体的な説明等は行
っていない。土地区画整理事業は、分屯跡地と都市機構城野団地及び、国道 10 号沿
線区域を想定している。
W・G :エネルギー供給について、メニュー出しの段階であるとのことであるが、太陽熱利
用や地中熱利用を取り上げられている。どのような視点から選択されたのか。
北九州市 :現段階では、想定されるものを列挙している。ただ、一般的に考えて導入が困難
なものとして、例えば城野地区のような市街地にそぐわない大型風力発電などについ
ては除外している。また、導入技術の絞込みは、今後も標準的な技術として普及する
技術か、既成市街地に受入れられ周辺にスムーズに広まっていく技術か、生活様式や
文化に即しているかの視点が必要であろう。
W・G :スマートグリットシステムの導入に関しては、今後の技術開発により熱源などを入
れ替えることなどが考えられるが、何か取り組みや考えられていることはあるか。
北九州市 :現状では離島での実証実験は行われているが、市街地での事例はまだないと聞い
ている。スマートグリットについては、電力事業者と導入の可能性について検討して
いかなければならず、現段階では導入すると決めていない。
W・G :ゼロカーボン化に伴う初期投資への助成支援は考えられているのか。
北九州市 :支援すべきであると考えているが、現段階では具体の計画等はまだない。
W・G :宜野湾市は人口 9 万人程度であるが、中南部都市圏を考えると 110 万人となり政
令指定都市規模となることから、北九州市の環境の先進的な取り組みを参考にしたい。
既成市街地における低炭素の取り組みについて、市民に対しどのような活動をされて
いるのか。
北九州市 :環境局が普及啓発活動を行っているが、北九州市の場合は、公害対策から始まっ
ている。市役所には以前、公害対策局があり、公害対策条例や緑化協定などに取り組
んできた。このような取り組みを通して企業にも公害に対する組織窓口があり、市民
にも公害に対する団体もあった。公害から環境へと変わり、いままでの組織が母体と
なって継続して取り組まれている。市民も環境に対する意識が高く、過去からの地道
な取り組みが現在、よい形となって現れている。また、環境教育にも相当力をいれて
おり、エコタウンセンターなどへの社会見学も行っている。
W・G :製鉄のまちであったことが市民の意識などがいわばストックとなったということか。
北九州市 :製鉄のまちであり素材型産業であったノウハウや技術を活かし、静脈産業として
リサイクル産業に取り組み、製鉄所の撤退後も、産業規模を維持してきている。
W・G :普天間は大半が民有地であり、地権者も高齢者が多い。今後の跡地利用にむけて、
環境に対する意識を高めていく必要があると考えるが、環境に対する次世代への取り
組みはどのようにされているのか。
152
北九州市
:環境教育が該当すると思われる。環境について、個人の土地利用の制限と結びつ
けることは難しい面がある。
W・G
:土地利用構想に環境に関する取り組みを入れた場合においても、それを実現する都
市計画上の担保はない。環境に優れた住宅が地権者にとってステイタスとなりインセ
ンティブとなるような仕組みが必要と考える。
北九州市
:やはり持続可能なまちづくりというマクロの視点と個人の生活を制限することは
難しいところがあるが、やはり付加価値により価値が高まるようなことが必要かと思
われる。
W・G
:企業誘致をする場合、環境への取り組みがイメージアップなどにつながっているの
か。
北九州市
:北九州市ではハイテク産業の誘致に取り組んだが、塩分を含まない空気の面から
沿岸部でない地域などの条件が合わずなかなか難しい。やはり地代や水道料金の面な
ど費用面で判断されることが多い。
W・G
:新たなまちづくりにおいてインフラづくりにおいても将来のスマートグリットを想
定して投資すべきか。
北九州市
:土地利用転換を契機に基盤整備から想定すべきと考える。城野地区場合は、2 年
後から基盤整備を行うため、その見極めが必要であると考えている。また、本地区は
市街地であり既存の供給施設は周辺にある。このような場合、あらためて分散型の電
源を取り入れるのか、蓄電池を取り入れるのか、売電の可能性について、電力会社と
の調整が必要である。
W・G
北九州市
:構想を策定する段階から、電力会社との調整が必要か。
:必要である。ただ、城野地区ではなかなか進んでいないのが現状である。
4)北九州エコタウン事業について
(1) エコタウン事業の概要
・ エコタウン事業とは、
「あらゆる廃棄物を他の産業分野の原料として活用し、可能な限り廃
棄物をゼロに近づける、いわゆるゼロ・エミッション」を目指し、資源循環型社会の構築を
図る事業。
・ 北九州市では、長年にわたる「モ
ノづくりのまち」としての産業基盤
や技術力、公害克服の過程で培われ
た人材・技術・ノウハウ等を活かし、
資源循環型社会の構築を図るため
「環境保全政策」と「産業振興政策」
を統合した独自の地域政策として、
平成 9 年 7 月から若松区響灘地区
を中心に「北九州エコタウン事業」
を推進している。
153
・
近接する学術研究都市との連携により、環境分野の
「教育・基礎研究」から「技術・実証研究」「事業化」
に至るまで総合的に事業を展開。
・
平成 22 年 1 月現在、事業数 25 事業、実証研究数
52 研究(終了含む)、総投資額約 600 億円(民間 7:
国 2:市 1)、雇用者数約 1,100 名となっている。
・
最も企業集積が多いのが若松区響灘地区であり、総
合環境コンビナート、響リサイクル団地、響灘東部地
区、実証研究エリアにて構成されている。
・
企業用地は、市や企業からの購入が基本であるが、
響リサイクル団地については、定期事業用借地となっ
ている。
・ また、実証研究エリアでは、50 円/㎡/月の低価格で
貸し出しをしている。
(2) 意見交換の内容(敬称略。W・Gはワーキング部会メ
ンバーの発言)
W・G :貸し出している用地は市の用地か。
北九州市 :市の土地であり、環境経済部が窓口となっ
ている。またベンチャー企業向けの用地もある。
W・G :企業間の情報交換の場として、協議会などは
あるか。
北九州市 :レアメタルの活用に関する協議会があり、大学教授などをメンバーに加え、企業
間の連携を図っている。北九州エコタウンの特徴として、教育・基礎研究、技術・実
証研究、事業化の三点を総合的に展開する点にあり、ほかには無い取り組みとなって
いる。
W・G :北九州学術研究都市との産学連携はどのようになっているのか。
北九州市 :実証研究エリアでは、九州工業大学のエコタウン実証研究センターや福岡大学の
資源循環・環境制御システム研究所があり、実証研究されたものを事業化に結び付け
ている。また、企業と環境産業政策室とは連携をとっており企業からの要望を受けて
大学に伝え、環境産業政策室のほうから研究内容を提案している。
W・G :北九州エコタウン受電協同組合の役割は。
北九州市 :響東部地区の中心部にある複合中核施設では、エコタウン企業のリサイクル残渣
や自動車のシュレッターダストを中心とする産業廃棄物などを溶融処理し、再資源化
するとともに、発生する熱を利用し発電を行い、その電力をエコタウン企業に供給し
ている。電力会社からの電力よりも安い価格で提供している。
5)八幡東田地区の取り組みについて
(1) 八幡東田地区の概要
・ 本地区は、明治 34 年に官営八幡製鉄所が操業し、新日本製鉄の跡地となった遊休地であ
る。産業をけん引してきた反面、七色の煙、ヘドロの海といわれるような環境破壊の歴史が
ある。
154
・ その歴史を踏まえ、官民学が環境
修復に向け協働で取り組んだ。この
ような協働の姿勢が環境修復のま
ちづくりを進展させた。
・ また、本地区は東西に長い北九州
市の真ん中にある立地から空洞化
から開発への動きとなった。
・
平成 6 年に土地区画整理事業の
認可を受け、基盤整備を行い工事で
約 9 年かかっている、その後、平
成 14 年に土地区画整理事業が竣
工し、その後も継続的にまちづく
りを行っており、現在、就業人数 7000 人、立地企業 70 社ある。集客施設としてショッピ
ングセンター、スペースワールド、電気販売店、中央競馬会などがあり、年間来街者が 1,000
万人、その他ハウジングエリアもあり、多機能な複合開発である。
・
立地企業で構成される八幡東田まちづくり連絡会において、まちのエリアマネジメントに
取り組んでいる。
・
まちづくりのコンセプトは、IT、文化、環境である。環境破壊のイメージがあり企業か
らも印象が悪かった。そのため環境に取り組むことで取り戻している。
・
八幡東田グリーンビレッジ構想に基づき、環境への様々な取り組みを行っている。
・
まちづくについて、役所だけでなく企業も一緒に議論する場が必要であり、環境保全活動
を行うNPO法人等の環境活動、啓発活動の場として東田エコクラブハウスを設置している。
・
この場を拠点にして、水素タウンやスマートグリットの実証実験を行っている。
・
環境をキーワードにしたまちづくりにおいて整備した太陽光パネルなどがあり、それを活
用した先進的な取り組みがしやすく、よい循環となっている。
・
また、社長公認のごみ拾いを就業時間内に行うなどの活動なども実施している。
(2) 意見交換の内容(敬称略。W・Gはワーキング部会メンバーの発言)
W・G :公害問題において、役所と地域などのベクトルが一緒であった。環境破壊はマイナ
スであったがある意味ではいい方向への要因であったと思われる。
北九州市 :北九州の場合は公害であったが、その地域にあったシーズや風土を活用すること
が必要である。沖縄でも自然や沖縄マインドなどをとらえることが必要ではないか。
W・G :環境に取り組んでいることが保留地等の販売に影響があったか。
北九州市 :環境への取り組みをしているが売れない実態はある。住んでみないとわからない
面があり、環境への取り組みを理由に購入された事例は無い。ただ、誘致した企業の
口コミにより新たな企業が誘致できた例はあるが、一番の理由にはなっていない状況
である。現段階ではそれほど環境が売りになるとは考えないほうがよい。
W・G :年間、1,000 万人の来街者の中に環境を目的に来ている人は含まれているのか。
北九州市 :おそらく 1 万人もいないと思われる。ただ関心が高く視察は多い。
W・G:本地区の開発には新日鉄都市開発の関与が大きかったと思われるが、いまでもあるか。
北九州市 :土地の所有は新日鉄であったが、まちの主役は、事業主体やまちづくり NPO な
どへ多様な主体に移っている。
155
156
157
周辺市街地
宜野湾市建設部都市計画課
―
跡地利用と周辺市街地整備との連携
―
1)日時、場所
○
開催日時:平成 22 年 2 月 19 日
○
開催場所:宜野湾市役所
13:00~15:00
別館 3 階
建設部会議室
2)出席者(敬称略)
・宜野湾市
・沖縄県
建設部都市計画課
企画部企画調整課
・宜野湾市
:又吉雅則、多和田功、仲村等
:高江洲強
基地政策部基地跡地対策課:比嘉秀夫、新垣勉、照屋盛充
・(財)都市みらい推進機構
:松村聡
・(株)日本都市総合研究所
:荒田厚、村山文人
・玉野総合コンサルタント(株)
:堀田保将、中垣淳一、水野清広、久松隆司
・(株)群計画
:大門達也
3)意見交換の内容(敬称略。W・Gはワーキング部会メンバーの発言)
(1) 周辺住民意向のアンケート調査結果(跡地関連)について
市・都市計画課
:平成 20 年度調査で設定した周辺市街地の範囲で自治会を対象にアンケー
ト調査を行った。1,720 通配布し、回収率は4割程度。その結果は以下の通り。
・自由意見では、
「道路網を跡地と一体で整備すべき」、
「公共施設が足りない」、
「商業
施設が昔に比べて衰退している」という意見が多く、地域で差がある。
・基地跡地に対しては道路網の意見が多かった。公共交通では、新交通システムを求
める意見や、シンボルになるようなまちづくりをしてほしいという意見があった。
・アンケート結果も踏まえた上で、17 自治会の自治会長にヒアリングを行った。国
際大学周辺では、
「通学時間に道路が混雑し、学園都市として整備してほしい」など
の意見があった。
・大謝名、上大謝名、長田、19 区、中原では、
「公共施設が足りない」
、
「道路整備も
無い」、「基盤整備が進んでいないので一体で整備してほしい」との意見があった。
・跡地と一体となって整備することについて半数は賛成であるが、1/4 は切り離して
でも整備するべきとの意見であった。これは地域毎に抱えている課題が違うことが
要因と考えられる。
市・都市計画課
:周辺市街地については住民意識が低いと考えていたが、自由意見も 274
通あった。繰り返しになるが、アンケート調査結果の概要は以下の通り。
・周辺市街地のアンケートの中で、「跡地利用の計画について良く知っている」「知っ
ている」の両方足しても 26%であり、認知度が低いという印象であった。
・周辺市街地を跡地と一体整備することは「理解できる」「必要」は 55%を占める。
・周辺市街地の整備について、「跡地と一体となって整備する」は 44%、「今すぐに
でも既存の密集市街地を改善してほしい」が 26%となっている。
158
・周辺市街地と一体的に整備する方策が見えていない中で、一体的に整備についての
自由意見は少なかった。
・跡地の整備に対して関心はあるが、自分たちの住んでいる場所については周辺市街
地という意識があまり無い。
・部門ごとに跡地と一体となって整備する方針・方策を示さないと意見も出にくい。
W・G
:跡地と切り離して検討してほしいとの意見が多かったのはどのあたりか。
市・都市計画課
:ばらつきがあるが、新城、喜友名の密集市街地からの意見が多かった。商
業地域の衰退もあるので、跡地と切り離した方法もあるのではないか。
W・G
:跡地と一体整備とは具体的にはどういうことか。
市・都市計画課
:区画整理の手法などを質問したかったが、アンケートでは難しすぎて回答
できないと考えた。密集市街地には公共施設が不足しており、道路や公園を整備する
と出ていかないといけない方が出てくる。そのために種地が必要だとか、必ず戻って
来たいなら、土地が無いので高層化して集合住宅になる。という例を出しながら細か
いアンケートをしたかった。
W・G
:調査対象となっている地区で密集している地域はどこか。
市・都市計画課 :普天間、野嵩、普天間小学校周辺、普天間 1 区、3 区を密集と捉えており、
商業地的な地域である。
W・G
:野嵩は対象外か。
市・都市計画課
:①本来なら県道と国道の内側を考えていたが、宜野湾横断道路や中部縦貫
道路の計画の周辺地域は整備が必要になると考えており、長田、嘉数、野嵩まで含め
て周辺市街地と捉えた。
②当初は 1~2 割の回収率と考えていたが、普天間、野嵩地区では密集市街地で平成
5 年にアンケートを行ったり、事業計画の話があるので意識が高いのかもしれない。
その他の地域は周辺市街地と設定されていることも知らない中で高い回収率となった。
W・G
:アンケート対象者の中には跡地の地権者も多くいたのではないか。
市・都市計画課
W・G
:いたと思う。しかしランダムに人口割で配っている。
:地権者が多い中で、跡地の計画に対しての認知度が低かったのは残念。
市・都市計画課
:質問は、普天間飛行場跡地利用の基本方針や、普天間飛行場跡地利用計画
の策定に向けた行動計画の策定について取り組みをご存知ですか。「良く知っている」
が 3.1%、
「ある程度知っている」が 22.8%、
「あまり知らない」35.5%、
「知らない」
28.4%と、都市計画課としても想定外の回答であった。
W・G
:今回のアンケートで幹線道路について意見は無かったのか。
市・都市計画課
:公共軸(モノレール等)も含めての道路網整備に期待するという意見が多
かった。
W・G
:跡地との一体的整備は、用地買収、沿道区画整理方式で行うか、種地としての活用
など手法は多くは無いだろう。跡地の区画整理に含めてしまい広い範囲で整備すると
いう方法もある。
市・都市計画課
:他には景観についての意見が多く、地区計画等により景観を良くしたまち
づくりをしてほしいとの意見があった。
W・G
:都市マスで幹線道路が計画されている地域では、ポテンシャルが上がことに対する
期待は無かったか。
市・都市計画課
:東西幹線道路が通る長田地区は、現在も国道 330 号から琉大に向けて県
159
道が整備されている。従来からの都市計画では第一種低層になっているが、実質的に
は県道沿いで許可をもらって商業施設が張り付いている。道路の形態に合わせて高度
利用できるよう変更見直しを行うべきという意見があった。
幹線道路を考えた場合、直接の地権者には立ち退きというマイナスの面もあるが、道
路が整備され活性化されるため、沿道利用を含めたまちづくりの検討をしてほしいと
いう意見があった。
W・G
:国道 330 号と跡地に挟まれた東側のエリアは、東西幹線道路の整備によって最も
ポテンシャルが上がる場所だと思う。
(2) 周辺市街地整備調査で対象とする幹線道路のルートについて
W・G
:都市マスで描かれている幹線道路について、計画されている位置に特別の思い入れ
があるのか。
市・都市計画課
:昭和 47 年の復帰時に都市計画決定がなされ、10 路線の長期未着手があ
る。1 路線は廃止で 9 路線は現状のまま計画されており都市マスにも反映している。
都市計画決定の道路は、長年制限をかけている。特に基地と絡む路線であればその場
所を上手く利活用するということになるだろう。都決されていない路線は変更の自由
度があり、都市マスでも跡地の計画に合わせて臨機応変に対応すると述べられている。
W・G
:都市マスに示される基地東側の幹線道路で変更できないものはあるのか。
市・都市計画課
:基地東側の道路は都決ではなく計画なので変更は可能と考える。基地西側
は都決路線のため現状の計画を活かしながら跡地と結びたい。
(3) 跡地利用において想定している幹線道路のルートについて
W・G
:跡地利用から見た幹線道路の修正案について意見をいただきたい。
市・都市計画課
:今年度の周辺市街地調査の中で幹線道路のシミュレーションをする予定で
あったが、内閣府の調整で、中南部地区の都市交通マスターが出来上がっていない、
普天間の跡地も基本構想という段階では早すぎるのではないかとの意見であった。し
かし、周辺市街地を考える中で、道路の位置づけがないと次のステップに進めにくい
ため、22~23 年度に市の交通マスタープランを作成し、周辺市街地や跡地にフィー
ドバックさせたい。次年度の周辺市街地調査では、跡地の中間とりまとめと連携を図
りながら、課題などを整理したい。都市マス案が基本ではあるが、今回の修正案につ
いても考慮していきたい。
W・G
:跡地利用策定に向けて、22 年度までに全体計画の中間とりまとめ(案)を作成す
ることにしている。その段階で市の意見を反映させたい。
市・都市計画課
:今回のような提案や資料を頂くと参考になるが、公表できる時期が問題。
来年度は整備プログラムまで作成したいが、どの段階ですり合わせを行い、どの段階
で公表できるのか不明。来年度は両者の意見として公表できるのか、跡地サイドの考
えとして、市としてはそれを受けて検討しているという段階なのか。本日資料を頂い
たので今後詰めていければ良い。
W・G
:跡地と周辺市街地の双方がキャッチボールで勧めていくのはいいが、市民にキャッ
チボールのプロセスを理解していただけるか。絵にこだわられてしまうとその後の検
160
討が上手くいかない。
市・都市計画課
:長田地区は基地から離れているが、周辺市街地として位置づけている。本
地区は道路計画が定まらないと周辺市街地として位置づけている根拠が無い。道路計
画が後回しになると周辺市街地も検討できない。
W・G
:跡地利用計画の土地利用や緑地計画等は、幹線道路が都市マス案か修正案かでそれ
ほど大きく変わるものではない。
市・都市計画課
:中間とりまとめ(案)の段階では、跡地側から道路計画が示され、その後
市の交通マスターを見直す。跡地の基本計画の頃には両方が合致するという形にした
い。
W・G :中間とりまとめ(案)の段階では、都市マス案と修正案の 2 つあっても良いのでは
ないか。
市・都市計画課
:提案を受け、取り込めるものについては変更の対象にしたい。跡地サイド
から見た道路の必然性があれば市の計画を合わせていくこともあるだろう。次年度か
らの調査の中で見直していく。
W・G
:土地利用の計画案をいくつか示していくが、交通計画の違いによって大きく変わる
ものではないということを相互理解しておきたい。
市・都市計画課
W・G
:修正案での拘りを教えていただきたい。
:修正案の拘りは 3 点ある。
①南北幹線道路 1 のルートは、県道 81 号につなげるのではなく国道 330 号へつな
げ、普天間宮までは並松街道も復元しながら 4 車線化する。普天間の商業地も整備し
た方が跡地の北の玄関口として最もふさわしいのではないか。
②並松街道は旧ルートで復元する方が魅力や文化的価値がある。合理的に考えると直
線になってしまうが、昔のルートを復元すると変化に富んだ良いものができると思う。
③国道 58 号の那覇方面からの交通をできるだけ南で跡地の中に入れたい。
また、東西幹線道路 1+2 のように、シンボルロードとしてコンベンションから琉大へ
直結するほうがふさわしいのではないか。
市・都市計画課
:国際大学には裏側からつながる形になるのか。
W・G :そうなる。あるいは都市マス案の東西幹線道路 1 のような位置にするのか、現在の
5 差路の長田交差点につながないといけないのか。最近整備された県道があり、再整
備が必要になるのではないか。さらに高速道路の無料化があるのならインターチェン
ジの取り付けやすさなど考慮しなくてはならない。都市マス案の東西幹線道路 1 およ
び 2、修正案の 1+2 はまだ変更の余地が有る。
市・都市計画課 :南北幹線道路 1 は、普天間宮前の交差点の混雑を考え、あえて外したと考
えられる。市には、普天間の門前町構想があるものの、国道 330 号の交通量が多い
ことがネック。年末年始など大勢の人が利用しているが、普天間のまちに足を運ぶ人
は少ない。
企画では、国道 330 号を市道にしたい意向がある。門前町構想を考えた場合、様々
な角度から検討しなければならないが、普天間のメインの入口であり、そこから跡地
の中に入るのは良い考えである。中部縦貫道整備により国道 330 号の交通量が減少
し、跡地の入口としての位置づけや門前町構想の考え方と一致すれば可能性はある。
W・G
:南北幹線道路は 4 車線を想定している。国道 330 号、県道 81 号どちらに戻すに
しても周辺に手を入れなければならない。どちらがまちづくりに有効な手段かを考え
161
たら国道ではないか。
市・都市計画課 :都市マス案でも国道を避けているからといって実際に可能かはわからない。
W・G
:跡地のエゴというわけではなく、周辺の商業地や普天間宮に直結していた本来の形
で並松街道を復元したい。街路事業等で整備しないと難しいので、そこが入口だと位
置づけた方が事業を行いやすいのではないか。
市・都市計画課
:門前町だけを考えると並松街道だけを復元した方が良いものの、そうなる
と自動車交通がさばけない。並松街道は公園を利用して復元できないか。
W・G
:公園の位置についても素案段階である。
市・都市計画課
W・G
:個人的な意見として、歩専道として整備した方が面白いと思う。
:歩専道なら修正案の位置でも良いという意見だろう。都市マス案では車道に沿って
描かれているので歩道のような考え方なのだろう。
W・G
:並松街道の復元については多くの賛同を得られていると思う。
市・都市計画課
:アンケートでも並松街道の復元や、昔のものを復元した方が良いとの意見
が何通かあった。復元する場所については工夫できる話だと個人的には思う。必ず南
北幹線道路に沿って復元しなければならないものではない。
W・G
:国道 330 号に普天間飛行場へのゲートがある。あるものは活かしたい。
市・都市計画課 :東西幹線道路 1+2 の森川公園に関連する区間について、県の文化財や文化
課から残してほしい墓があるといった情報が寄せられている。博物館側の整備はしや
すいが、反対側は泉があったりして触れない。真栄原真志喜線の計画でも森川公園を
避けて考えている。
W・G
:①パイプライン線以東はトンネルを想定しており、出口は跡地内の中部縦貫道辺り
になる。トンネルになると道路の本数はあまり増やせないだろう。森川公園と共存で
きるかは精査する必要がある。
②イメージだが、森川公園の真上の跡地にはコンベンションセンターのアネックスを
置くようなことも考えており、勾配のきついところはエレベーターをつけるなどを考
えても良い場所だと思う。拝所など問題は多々存在するが。
市・都市計画課
:トンネルになればクリアできることも多いのではないか。斜面地の緑地を
守っていくことも大切、都市マスでも保全緑地ゾーンとして位置づけられている。
W・G
:仮設港には具体的な事業はあるのか。
市・都市計画課
:基本方針があり、国・県との調整に進んでいく。海浜の白地部分を含め商
業地がメインの計画。
W・G
:その辺を田芋畑とつなぐような工夫も別途考えないといけない。西海岸のリゾート
と全体をどのように結び付けていくか、重要になるのは幅員も大きいコンベンション
に当る道路だと思う。どれを多車線化していくかは交通マスタープランで検討してほ
しい。
以上
162
○
交通網配置パターン-「都市マス案」
○
交通網配置パターン-「修正案」
163
住宅地①
内閣府沖縄総合事務局
―
宮里正氏
沖縄県における県外からの移住実態
―
1)日時、場所
○
開催日時:平成 22 年 1 月 29 日
13:30~15:15
○
開催場所:沖縄総合事務局合同庁舎(2 階 D 会議室)
2)出席者(敬称略)
・内閣府沖縄総合事務局調査企画課長
:名城政猛
跡地利用対策課長
:宮城昌嗣
農林水産部消費安全課課長補佐:宮里正
・沖縄県
・宜野湾市
企画部企画調整課
:名嘉真稔、嘉川陽一、高江洲強
基地政策部基地跡地対策課
:比嘉秀夫、新垣勉、照屋盛充
・(財)都市みらい推進機構
:稲岡
・(株)日本都市総合研究所
:荒田、村山
・玉野総合コンサルタント(株)
:堀田、中垣、水野、久松
・(株)群計画
:大門
3)「県内移住者に関する基礎調査」の経緯について(宮里氏)
報告書を出した時代は移住がブームになっており、調査企画課でも移住者の実態を把握しよ
うと調査を行った。本来は予算を頂いてコンサルタントに発注する部署であるが、本調査は職
員自らグループを組み調査を行った。沖縄振興開発計画にも寄与するような調査を行うことを
目的とした。
4)意見交換の内容(敬称略。W・Gはワーキング部会メンバーの発言)
W・G
:資料編について公表できるものはあるか。
沖総局(名城)
:個人情報の部分はお渡しできないが、公表されているものについては可能
だろう。ただし、公表する場合は著作権等に留意すること。
W・G
:調査の基礎データになっている住民基本台帳等のデータは頂けるか。
沖総局(宮里)
:住民基本台帳は市町村、県データは総務省のデータを加工分析しているも
の。公的機関により公表されているものは可能だと思う。
沖総局(名城)
:新聞等の資料はコピーして個人資料としての利用はできるだろう。聞き取
り調査で得られたデータについては、個人資料としても難しい。ヒアリング以外の問
題のない場所は改めて差し上げる。
W・G
:移住者の数を数量的に把握するのに非常に苦労されたと思うが、特に県外からの移
住者というからには、U ターン者は別の現象として除かれるべき。沖縄県以外で生ま
れて生活している方が、次の住処を求めて沖縄県へ移住してきた方のデータを取りた
いが難しい。感覚的にでも把握はできたか。
沖総局(宮里)
:転入転出届のデータには理由等は書かれていなく、入ってきた数しか分か
164
らない。U ターンや転勤、移住等のいろいろな方が入っているデータの中で移住だけ
を特定するのは難しい。しかし、3 月~4 月の転入は転勤組みだろうと想定して数値か
ら外し、残りを移住と U ターンとして捉えた。
W・G
:推測をしていかないといけない。現状の統計では移住を特定できなく、転入してき
た方を追跡していけばデータになるかもしれないがそれも難しい。計画を検討してい
く中で、どれくらいの移住者がいるのか数字を問われることになるが、条件を想定し
て答えるしかない。幽霊人口をゴミで捉えるというのは面白い方法である。
沖総局(名城)
:社会問題になったときに、沖縄のテレビ局が特集していた。その中で石垣
島にいる若い女性にインタビューを行っていた。いつまでいるか、今後どうするのか
との問いに対し、
「分からない」、
「飽きたら帰る」という回答であった。風光明媚な川
平湾では、不動産屋を介して移住者が住宅を作っている。しかし基盤整備が行われて
いないので湾内に汚水が垂れ流しになっているという状況があった。住宅を建てたよ
うな方は住民票を移しているかもしれないが、安宿や民宿等に長期に宿泊している
方々は住民票を移しているとは思えない。
W・G
:住民票を移していない方の中にも幽霊人口と呼ぶには申し訳ない方もいる。
沖総局(名城)
W・G
:普天間を想定しながら調査を行っているのか。
:普天間の跡地に導入する機能の一つとして移住を考えている。
沖総局(名城) :①当然誰でもいいという話にはならないだろう。技術のある方々を迎える。
ただ単にお年寄りたちだけ住み着いているという状況になると跡地利用としてはどう
だろう。
②地元の地主さんのアパートに人を呼び込もうというだけなら、何の生産性もない。
W・G
:他所で稼いだお金を持ってきてくれるという意味はある。連続的にいる観光客とし
て捉えることもできる。ただ、一過性の観光客とは異なる問題もあるだろう。最低で
もお金は持ち込んでくれるのではないか。
W・G
:跡地の需要をどのような形で喚起できるかという視点で考えている。よって、単純
にアパートを建て、そこに住む方を探すというようなことは想定していない。一戸建
てを確保できるような資金力のある方々を誘致するような仕組みをつくれないか検討
している。また、台湾や中国の富裕層に対しても沖縄県に住宅を作ってもらい、イン
ターネット等を使って、沖縄に居ながらビジネスができるといった仕組みを意識して
いる。
沖総局(名城)
:普天間で中国の大金持ちが土地を買って住むということか。東京では一等
地を中国の富裕層が買いあさっているというニュースがあったが本当か。
W・G
:そういった事例はあるようだが、把握するのは難しい。
沖総局(名城)
W・G
:日本の首都を中国にのっとられるような印象を受ける。
:受け取り方の問題もあるだろう。移住者を引き受けてまちづくりをすることが、住
民や地権者の意向にマッチするか不安はある。市民・県民のコンセンサスをどうやっ
てつくっていくか。市町村が方針を決めるなどがないと難しい。
W・G
:土地利用の 1 つのアイディアとして、地権者や市民に対し提供するという考え方。
沖総局(名城)
:普天間でも意向調査をやっていると思うが、移住について想定されるよう
な話が出てきたことはあるか。
W・G
:今のところ無い。これは地権者の発想というよりも、土地を活用するために計画を
作る側からの提案である。
165
W・G
:考え方自体を県内や関係市町村が受け入れられなければ提案できないが、移住につ
いて市町村単位で積極的に受入を検討できるか関心がある。
沖総局(宮里)
:カヌチャヒルトコミュニティーの聞き取り調査で、定住型リタイアメント
コミュニティーとして富裕層に対しての住宅斡旋を行っている。年間所得二千万~三
千万、資産一億円以上の層を抽出してアンケート調査を行って誘致したと仰っていた。
W・G
:カヌチャは東京、大阪に事務所を構えており、移住者が勝手に入ってくるわけでは
ない。囲い込みの施設なので入口もゲートがあり、コンドミニアム、コテージ、ゴル
フ場、医療などがそろっている。
W・G
:カヌチャの白石氏には意見交換会に参加してもらい、情報提供を受けている。カヌ
チャは離れた場所にあるのでゲートに囲まれていることが目立たないが、普天間のよ
うに連担した市街地の中にあると問題も出てきそうだ。
沖総局(名城)
:カヌチャも従来は開発されていなかった東側で、手付かずのところに立地
しているが、普天間の代替施設が来ると見晴らしや騒音問題が出るだろう。
W・G
:移住をする際にも、県内に仕事や職場が必要だというのは、生活するためなのか、
生きがいを得るためという意味か。
沖総局(宮里)
:移住者の年齢によっても違うが、リタイアしても何らかの形で体を動かし
たいという意見であった。賃金を得るというより働くことで地域のコミュニティーに
関わることができるという意見であった。
W・G
:仕事が無いことで若い人たちは困ると思うが、計画ではあまり若い層は想定してい
ない。しかし、元気な活動ができる方に来てほしい。
沖総局(名城)
:若い方たち、特に子どもがいる層では、移住はある意味親のエゴではない
か。子どもが成長したときにそのまま沖縄に住んでくれるのか。都会への憧れ、教育
の問題等が出てくるだろう。親が都会の喧騒から逃れるために沖縄に来たというなら
子どもにとっては不幸な話だと思う。リタイアされた片がご夫婦でこられて、地域と
触れ合いながら趣味をしながら過ごすといった、残った人生を楽しみながら過ごす
方々が安定型になるだろう。
W・G
:リタイアして移住するにしても、前段階として地域にふれるような準備期間のよう
なものがあればうまくいくのではないか。農山村への移住ではなじみをつくってから
本格的に移住することを行っている。普天間でもそのなじみをつくるようなことが出
来ないかと考えている。
沖総局(名城)
:地域に溶け込んでの成功事例は良く聞く。二地域居住の場合もあり、本籍
はどこにおいているかは別にして、都会と移住先を持っていてどちらか過ごしやすい
ところで最後を迎える。お金のある方々の手法である。
W・G
:週末住宅はコスト的に大変。よって、リタイアしてからと考える方が大半だろう。
沖総局(宮里)
:東南アジアでは、アメリカなどの先進国で学んだ技術者を半強制的に国に
戻して、国策でつくった団地に配置している。日本国籍で海外で活躍している方を普
天間に呼び込めれば莫大な利益になると思う。
W・G
:大学院大学がその役目と言う方もいる。そういう方々には無償で土地を提供しても
良いという案もある。
沖総局(名城)
:例えば、プロ野球選手など無償で住宅を提供し、その代わり住民票を移し
てもらえれば税収ははるかに上がるだろう。
W・G
:移住の話は堂々といっていいのか躊躇する
166
沖総局(名城)
W・G
:地権者の意向も考えないと反発があるだろう。
:土地利用のメニューの 1 つ。また、ばらばらに使うのか、まとまって移住者のエリ
アを作るのかといったことを検討している。移住者ゾーンとして 1 つに見るのは多様
性があって難しそう。
W・G
:地域に溶け込むことが重要ということだが、ヒアリングの対象者はどのような場に
移住したのか。
沖総局(宮里)
:糸満市と石垣市に移住した方に話を聞いた。住んでいるところは都市部で
は無く静かなところ。糸満市では新しく出来た分譲住宅であった。地域の事を一生懸
命勉強して観光ガイドに就き、地域にもなじんでいる。石垣の方は焼物や機織、三線
を教えており、地域の中で融和的に過ごされている。
沖総局(名城)
:集落の中に溶け込みたい人は住宅地の中に住まいを見つけるだろうが、本
来人が住んでいなかったところに住宅を作るような方はコミュニティを望んでいるわ
けではない。
沖総局(宮里)
:集落から離れたところに移住した方にインタビューを申し込んでも受けて
もらえない。
沖総局(宮城)
:アジアの留学生を対象にビジネス会話を教え県内企業に採用してもらい、
その人たちをツールにしてアジアの企業とビジネスを展開していくという事業を琉球
大学で行っている。東京の沖縄ファンの方や、沖縄に住んでいたことがある方をター
ゲットに沖縄留学として沖縄の企業に入ってもらう事業を行ったことがある。
W・G
:沖縄に地縁のあるかたを対象としているのか。
沖総局(宮城)
:首都圏には沖縄を好きな方がいて、その方々は何らかの沖縄とのつながり
を持っている。そこで説明会を開き沖縄留学を実現した。沖縄に就職した者もいる。
W・G
:移住者発掘ツールとして県外に住む沖縄県民を利用して呼び込むことが効果的だと
いう人もいた。世界うちなーんちゅ大会だけではなくて国内にも可能性はある。
沖総局(名城)
W・G
:地権者は自分の自宅を希望している方もいるのか。
:アンケート調査ではいるが、実情として地権者は沖縄の住宅事情からみて相当なレ
ベルの住宅をお持ちになっている。跡地内の住宅用地については子孫の代に残してお
こうという思いだろう。
沖総局(名城)
:新都心では 58 号線から安謝にかけて 2~3 階建ての個人住宅が張り付き生
産性の無いエリアが出来てしまっている。それでいいのか。ただでさえ少ない土地で、
街の中に低層な個人住宅が立地している。施設を集積するメリットはあると思うが、
住宅と職場、公共交通機関等集まっていないと利用しにくい。低層住宅を並べると面
積が必要なうえ、そのエリアは何の生産もしない。縦に使ったほうが土地は有効に使
える。普天間でどのくらいの割合になるのか分からないが、それが地主さんのために
なるのか疑問。
W・G
:そもそも宅地需要が縮小していく中で土地の需要を喚起する方法を考えている。
沖総局(名城)
:地主はアパートを作り賃貸収入を得たいと考える意見もある。地代収入と
同じくらいの収入を得たいと考えている方もいるだろう。
W・G
:将来のために使っていない土地を留保しておく必要があると思うが、誰が持ってお
くか問題。
W・G
:アパートや高層ビルを建てても需要があるかが見えない。縦に使ってしまうと色が
塗りにくくなる。まずは需要を生み出せるかを検討している。
167
W・G
:埋められるかどうかの可能性を追求している状況。最終的にどうするかは地権者の
意向。
沖総局(名城) :北谷の開発は成功したが、新都心が出来ると北谷のパイを奪っているだけ。
県外から集客しているわけではない。住宅についても周辺の古いアパートに散らばっ
て住んでいた方を、普天間の新しいアパートに集めただけだと周辺に人が居なくなる。
W・G
:好みの住宅に住めるようになるという意味では良いと思う。本当は庭がある家に住
みたかったが経済事情であきらめていた方が住めるようになるかもれない。
沖総局(名城)
:本土や中国から大金持ちが来てマンションに入って住民税を落としてもら
えれば需要は県外から来てくれる。
W・G
:もちろん経済的に成り立つなら県内の方がいい思いをしても良い。
沖総局(名城)
W・G
:
:外国人が日本で住んでいる場合の住民税等は払っているのか。
住民登録はしているが、軍属については無税であり、その代わりに交付税処置の
支援を頂いている。
以上
168
住宅地②
(独)都市再生機構
―
関根宣由氏
中根・金田台地区におけるゆとりある住宅地づくり
―
1)日時、場所
○
開催日時:平成 22年2月8日
○
開催場所:県庁 7 階第 4 会議室
15:30~17:30
2)出席者(敬称略)
・(独)都市再生機構茨城地域支社 中根・金田台開発事務所所長 :関根宣由
・沖縄県 企画部企画調整課
:名嘉真稔、玉城久美子、嘉川陽一、高江洲強
・宜野湾市 基地政策部基地跡地対策課 :比嘉秀夫、新垣勉、照屋盛充
・(財)都市みらい推進機構
:稲岡英昭、松村聡
・(株)日本都市総合研究所
:荒田厚、村山文人
・玉野総合コンサルタント(株)
:中垣淳一、水野清広、久松隆司
・(株)群計画
:大門達也
3)中根・金田台地区の概要(関根氏)
■
・
地区の概要
施行者としてのUR都市機構の存在が薄くなってきた。独立行政法人になったときに、郊
外ニュータウンは平成25年をもって完了する(宅地の処分まで終える)ことが命題になっ
ている。
・ つくばエクスプレスは、秋葉原とつくばの 58km を 45 分で結ぶ。道路とは全区間で立体
交差になっており、輸送想定は1日当たり 13.5 万人だったが、昨年4月に 27 万人に達し
た。
■
・
事業の経緯
平成6年に県、市、地元により3者合意が結ばれた。地元で様々な反対があるなかで、あ
る程度の歩み寄りが見出されてスタートした。この頃、茨城県とつくば市の連名で都市機構
に事業要請があった。ある程度補助金をつけ、様々な支援をするので事業をしてほしいとい
う要望であったが、その通りにはいっていない。
・
都市計画決定段階の計画は大きな特徴はない。例えば、駅近くであればマンションとして
売り、郊外であれば民間デベロッパーに公共施設整備費相当額を宅地処分価格から引いて譲
渡する。沿道に商業があって、公園が配置されるなど。
■
・
桜中部地区まちづくり協議会
緑住農一体型住宅地に対して多大な貢献、発想の原点でをつくったのが「桜中部地区まち
づくり協議会」がある。平成14年に新田園都市構想を発表し、この構想に基づいて行政と
事業者が検討を開始した。
・
まちづくり協議会は、市が主導で立ち上げたもので、地権者と地区周辺住民から構成され
ている。つくば市から助成金(100 万円にも満たない)がでている。協議会は集落懇談会や
勉強会を開催し、まちづくり情報(なかこんだより)をだしている。
・
まちづくり協議会の中でも、換地として土地が返ってくる方々は、自らの土地活用に向け
て緑住農住宅地をPRし、さらに地権者自らが電線類地中化をするという画期的なことにも
169
取り組んでいる。
・
一方、つくば市は、新田園都市構想をサポートする形で、美しい街なみづくりの協定や景
観緑地を制度化してきた。景観緑地は、地上権を設定し、固定資産税相当額を還元している。
UR都市機構は、地区全域を対象とした申出換地を行っている。これはUR都市機構の初
めての取組である。
・
中根・金田台は地区内に駅がなく、文化財等の関係で事業のスタート自体が遅れた。市街
地需要が他地区に先食いされ、一番遠いところが残っても、何をしてもだめだろうという危
機感があった。そこで、先行する他の地区との差別化を図るに至った。
・
まちづくり協議会には、地権者のキーマン(酒井泉氏)がいる。彼が考え、そのサポート
を様々な人がしている。とにかく世界に通用する一流の居住街区をつくりたい、世界に誇れ
る美しいまちをつくることに地元のプライドをかけている。
・
短期的に変動する価格よりも、世代を超えて評価される資産価値を大切にしたいという思
いを彼らは持っていた。しかし彼らはその思いを具体的にどうしらた良いか分からない。そ
こに我々都市機構の出番がでてきた。当初の構想はまちづくり協議会が提案してきたものを
我々がお手伝いして絵にした。
■
・
景観緑地について
道路沿いに約 200 ㎡の緑地を設け、宅地部分はゆとりある 100 坪を思い切ってつくる。
それから農空間をつくる。これは宅地であって農的利用をするという意味。あわせて500
~600㎡くらいの大規模宅地をつくるという計画。これを低廉な価格で貸せないかという
ところに定期借地がでてきた。
・
景観緑地は、市が地上権を設定して借りてくれる。元々沿線開発をする時に前市長が4割
位の緑地を残そうという話をした。ところが区画整理では3割の緑をとるのが精一杯。まち
のなかに緑を残すという約束事でもあるので公共空間と同じ扱いにした。整備の内容は市が
定めて、それを地権者が実施する。市が借り上げるには、地権者を中心に管理組織をつくり
そこと契約する。来年の春から夏にかけて一部使用収益を開始する。そこで市は景観緑地を
制度化していく。
・
景観緑地12mのセットバックは、私権の制限になる可能性があるため地権者の全員合意
をとった。
■
・
申出換地について
区画整理事業なので地権者600人に土地を返さなければならない。そのときに申出換地
がでてくる。全員を対象とした申出換地をするために、平成 18 年にアンケートを行った。
特定土地区画整理事業であるため共同住宅と集合農地区は法定で申し出ができるが、本地区
で行おうとしているのは、法律に基づかない任意の申出。地権者の合意の上で、申出対象施
設とゾーン(A~D ゾーン)を設定した。
・
本申出は2年間かけて行った。その結果、緑住農街区38ha あったのが半分位になった。
アンケート段階では緑住農をやる人が多かったが減っている。
■
その他
・
資産は孫、子の時代まで残したいので定期借地権(一般定期借地)を想定している。
・
契約時の保証金は300万円程度を想定。これは電線類地中化と景観緑地の整備に使う予
定。
・
景観緑地も含めて坪単価をだしている。定借は一般的に売買取り引きの 1.2%ぐらいと言
われている。景観緑地を入れないと本地区は 2.3%程度で相当高い。ただし景観緑地を含め
170
て見ると 1.5%ぐらいに見える。
・
販売組織をこれから検討していかないといかない。
4)意見交換の内容(敬称略。W・Gはワーキング部会メンバーの発言)
W・G
関根
:申出換地がはじめてというのは。
:全域でははじめて。駅前だけでなく、宅地も含めて行うのははじめて。
W・G
:ユーザーを集めるファンクラブ結成のために、どのようなメディアを使ったか。
関根
:メディアは使っていない。平成18年のシンポジウムに来た方から現地見学をしたい
という話がでてきた。つくば研究学園都市に住んでいる方が多く、公務員住宅の廃止
で住宅を探している方、TXができて東京・神奈川に住んでいる息子達が実家の近く
に家をさがしているなどの需要。このような活動を新聞などが取り上げてくれた。自
分たちで広告費はだしていない。
また、TX沿線の茨城県内で茨城県と共同で「住みたいネット」という会員組織を持
っており、会員は5000人強いる。そのうち、中根・金田台に住んでみたいという
方が300人程度。そこには定期的に情報発信したり、現地見学会をしたりしている。
緑住農が売れないと都市機構の保留地が売れない。だから積極的に支援しているが、
資金的な支援は十分に行えていない。
W・G
:地権者の方々をリードしていったのは酒井氏。そういった方がいると強い。
関根
:開発をすると決めた以上は自分たちの知恵でやりましょうと。今でも自然保護団体か
らの反対などはある。区画整理に反対している地権者もいる。
W・G
関根
:定借賃料は地主の意向が反映されているか。
:そうである。ユーザーも説明会で高いという印象をもっている。
W・G
関根
:つくば市が買う歴史的緑空間用地はどのように使うか。
:つくば市には陸上競技場がないため、ここに総合運動公園を整備することが考えられ
る。大鷹がいるので緑を残した環境配慮型の運動施設を入れるのではないか。計画が
決まらないと市に土地を買ってもらえない。
W・G
関根
:農地は利用されなくなると荒れてくると思うが。
:農地に関しては市も関与していない。農地には2種類あり、宅地を農地的に利用する
もの、農地を農地として利用するもの。宅地の方は農地として利用しなくてもよい。
W・G
関根
:画期的な方式と感じた。
:この1年が本当に大変。地元の方は欲のない方が多く、誰かがやってくれるだろうと
思っている。緑住農の仕組みを何度も説明しているが、なかなか理解してもらえない。
今はユーザーが一番不安だろう。窓口がないので、どうしても機構にくる。
W・G
関根
:地権者が持っているお金はあるか。
:まちづくり協議会は年間200万円程度で動いている。半分程度が会費、半分が市か
らの補助である。講師をよんできたり、海外視察も自腹で行っている。つくばには海
外からも沢山人が来るので、その時に住宅開発について問い合わせがある。
機構はユーザー間の接点をもたせたいが、施行者が地権者の土地活用(金儲け)に関
与して良いかという話がある。ボランティア的にお手伝いするしかない。
W・G
関根
:本来的には地主会のような組織が立ち上がるべきなのだろう。
:緑住農街区の70名については、全員が一つの管理組織でやりましょうというところ
171
まではアンケートで合意を得た。管理組織がなく個別に交渉するとダンピングがはじ
まってしまう。
W・G
:先行的に整備するゾーンがモデル街区になるだろう。
関根
:まちづくり協議会のなかでも先行建築部会という独立組織でやっているが、それ以外
では組織化ができていない。
W・G
関根
:建物も何とかしたくなる。
:管理組織でコントロールさせようかと考えている。
W・G
:組織維持のために会費をはらってもらう必要があるだろう。
関根
:販売組織は坪井で佐藤氏が取り組んでいるスキームである。販売については佐藤さん
に手伝っていただいている。
W・G
:本当は地主が主体的にやるべき話だろう。
W・G
:申出の事前アンケートにまちづくり協議会は関与していないか。
関根
:そうである。まちづくり協議会は地権者組織とは別で、独自にまちづくりを考え、開
発に対してものを言うという組織。市民団体と似ている。ただし、唯一市が助成して
いて、計画に対して口をだして良いという組織である。まちづくり協議会の活動が活
発なのはこの地区だけである。
W・G
:協議会を設置したから良いというものではないことがわかった。
関根
:強烈なリーダーシップのある人がいて、その人は変わり者と言われてもしょうがない
かもしれない。まちの成熟には時間がかかるので、2代目、3代目がほしい。引き継
がれる仕組みとして、共有物を残したい。マンションの管理組合の規約みたいなもの。
管理費をもって、管理規約をもって、それが組織を維持する組織につながるのではな
いか。景観緑地の「木」でも良いと思っている。
W・G
関根
:普天間には若手の会があり、熱心に活動している。
:沖縄の住宅は元々広々としたイメージであるが。
W・G
:中南部都市圏は土地が高いので、敷地はそんなに広くない。博多より高いと言われ
ているくらい。需要も少なくなってきているので、もう少しゆったり使ったらどうで
すかといっている。現段階では売り希望はそんなに多くない。
関根
:今後は、借地権の譲渡・転貸をどうするか。200年住宅などもあり、建物を50年
で返すとはもったいないということになりかねない。
W・G
関根
:建物などの残った資産を残していける仕組みがあると良い。
:建物を壊さないで、放棄してもらい、それを賃貸するなどがあるかもしれない。上物
と土地のバランスが悪い。
W・G
:スクラップ&ビルドを奨励しているような話で、エコではない。
以上
172
住宅地③
NPO 法人「コミュニティ・アソシエーション美しい街住まい倶楽部」理事長 佐藤俊一氏
―
船橋美し学園等における協働のまちづくり
―
1)日時、場所
○
開催日時:平成 22 年 3 月 2 日
10:00~12:00
○
開催場所:県庁 7 階企画調整課内会議室
2)出席者(敬称略)
・NPO 法人「コミュニティ・アソシエーション美しい街住まい倶楽部」理事長 :佐藤俊一
・沖縄県
企画部企画調整課
:名嘉真稔、玉城久美子、嘉川陽一
高江洲強
・宜野湾市
基地政策部基地跡地対策課
:比嘉秀夫、新垣勉、照屋盛充
・(財)都市みらい推進機構
:稲岡、松村
・(株)日本都市総合研究所
:荒田、村山
・玉野総合コンサルタント(株)
:堀田、中垣、水野、久松
・(株)群計画
:大門
3)船橋美し学園のまちづくり(佐藤氏)
■
経緯
・
平成 14 年 6 月 1 日
・
平成 15 年 6 月 28 日
コミュニティ・アソシエーション
・
平成 15 年 10 月 16 日
千葉県知事よりNPOの認証を受ける
・
平成 15 年 10 月 27 日
NPO法人の設立登記
■
坪井地区地権者まちづくり推進会設立
美しい街住まい倶楽部の設立総会
概要
・ 「美し学園」は平成16年10月に街びらきを迎えた。全体で 2,000 戸程度の戸数を予定
している。
・
電線の地中化や街並みガイドラインなどにより美しい街づくりが進められている。
・
コミュニティづくりの一環として
協働関係のまちづくりイメージ図
自治会も設立され防犯や環境美化の
地権者(複数)
活動が進められている。
・ NPO が街づくり全体の旗振り役と
連帯
なり、街全体の地権者の取りまとめ
良い建物
を建てる
N P O
コミュニティ・アソシエーション
美しい街
住まい倶楽部
参加
良い街に
住みたい
纏め役
4)意見交換の内容(敬称略。W・Gはワーキング部会メンバーの発言)
W・G
:NPO の運営は上手くいっているのか。
173
(複 数)
ルモールの整備の推進を図っている。
協力
住 ま い 手
的なショッピングモールやメディカ
(複 数)
事 業 者
を行い、住宅建設だけでなく、一体
資産価値の高い街
にしたい
佐藤
:手数料収入で運営している。不動産業者が仲介した場合と比較して手数料をかなり安
くしている。住宅メーカーは、住宅を建てたい個人を仲介したら、NPO に紹介料を支
払うという制度を適用してくれた。地主さんからも土地売買価格の 1%を手数料とし
て頂いている。住宅メーカーのプロポーザルを行っていく段階で、受け取る手数料が
1%から 3%まで上がった。街づくり館は退職金を充てて建設したが回収でき、何と
か運営できる状況になっている。
W・G
佐藤
:コンシェルジュが何人かいらっしゃるが、費用はどこからでているのか。
:5 人居り、手数料収入からでている。
W・G
:街の規模が大きい方が運営しやすいのか。スケールメリットは考えられるか。
佐藤 :規模が大きい方がいいと思う。美し学園の開発は 4 年で終わってしまった。大きい方
が長く続けられるが、土地が一度に供給されると大変だと思う。
W・G
:地域限定の NPO になるのか。
佐藤
:地域限定にはならない。千葉県は日本全国で活動してほしいという意向。現在は千葉
県知事の登録だが、他県に支社を置く場合は国の登録に切り替えれば良い。
W・G
:コミュニティやまち育ての仕事は残るが、メインになるようなまちの開発はいつか
は終わる。せっかくの組織のノウハウを他のまちにも転進しなくてはならない。
佐藤
:その方がいいが、首都圏で見ても区画整理事業自体が地主と一緒に取組もうとしてい
ないところが多い。中根金田台のように中心となる方の意識の高く、地主をとりまと
めることができないと難しい。それぞれの思惑がありまとまらない。これからは競争
の時代なので、土地は作ったが誰も借り手がいないような時代になる。
W・G
:地権者から見て、まちづくりのコーディネートやマネジメントを行う主体はどこが
良いのか。
佐藤
:普通の事業者は地主を取りまとめるという大変な仕事はしないだろう。住宅メーカー
は手数料の 3%を払ってでも NPO に地権者をまとめてもらった方が良いとの判断だ
ろう。また、行政は地主の個別の権利に対して口を出すことはできない。そのような
背景で NPO を立ち上げた。
W・G
:信頼関係はどのように構築していったのか。現場で所長をしていたことの影響は大
きいか。公団の後押しなどは有ったのか。
佐藤
:所長の経験は一番大きいと思う。公団の後押しは無かった。むしろ競争相手と思われ
ていたかもしれない。
W・G
佐藤
:本来公団がやるべき仕事ではないか。
:公団とも議論があったが、組織の体質が変わってしまった。
W・G
佐藤
:NPO の仕組みで対応できる地権者の人数とはどれくらいか。
:20 人くらいだと他の財産も含めて個別にきめ細かく対応できるが、人数が多くなる
ほどあるパターンに入ってもらうしかないのだろう。中根金田台の地権者協議会は
100 人くらいだが、パターン化して仕分けを行っている。人数が多くなるとそこに行
政の力も必要だろう。
W・G
:パターンを決めて申出を行うということだろう。
佐藤
:個別に使うということを意識させないようにしなければならない。共同で貸すことが
重要である。
W・G
:共同利用のグループ作りまでは地主サイドで立ち上げるという前処理が必要。地権
者の主体性がないとできない。
174
W・G
:協議会の 30 人の中にも勝手に建物を建てる人もいるのか。
佐藤:いる。NPO が関わらなくなれば今後はどうなるか。
W・G
:地区計画などの担保をかけた方が良いのだろう。今の時代でも土地の価値は変わら
ないのか。
佐藤
:①やはり下がっている。マンション用地が坪 100 万円が 35 万円になった。地主さ
んも土地の価格上昇を待っていた方は損をしただろう。
②地権者は元々個別に農業をやっていた方々である。そこに皆で一緒に事業を行うこ
とを理解してもらうのが難しい。これからの時代は一緒にやった方が大きくは儲から
ないが大きく損をすることもないとわかってもらうことが大切。地権者を取りまとめ
て貸すというのが安定していて良いと思う。
W・G
:土地の値が上がったときには周りにも影響を与えたか。
佐藤 :近くに昭和 30~40 年代に開発した場所がある。レベルの低い開発であり値段は上が
らなかった。
W・G
:借地している方にとっては値段が上がっても影響は少ない。今後のまちの安定感が
大事。共同住宅の姿が見えていないのは不安。
W・G
:宅地の細分化を防ぐ手段は。
佐藤 :地区計画で 135 ㎡、町並み指針は 165 ㎡になっている。
W・G
:これからの町並みの維持管理はどこが担うのか、今後の展開は。
佐藤
:チェックするのは難しい。自治会を立ち上げたので自治会にがんばってもらうしかな
い。町並み同意書をとってあるがそれを自治会に移管する。最初で指針を守ったまち
をつくることが出来れば建替えの際にも極端に違反するようなものを作らなくなる。
地区計画や協定など厳しいもので管理しなくても、緩やかな規制でも可能。
W・G
:電線地中化について公道側にしなかったメリットは何か。
佐藤
:公道は電力会社の仕様で地中化を行わなければならない。民地なら一般に売られてい
る材料でつくる事が出来る。一戸あたり 40 万円位でできる。公道で行う場合は 200
万円程度の費用がかかる。
W・G
:電力会社の反対はあったか。
佐藤
:あった。電力会社の仕組みもあり、きれいな街の実現よりも自分の業務の範疇を超え
たがらない。
W・G
佐藤
:日大の学生さんの利用はあるのか。
:利用は少ない。
W・G
:この地域に住んでいる方の職場は首都圏であり、沖縄の場合には首都圏で仕事を持
ちながら越してくるということができない。
W・G
:環境にも配慮したと聞いているが
佐藤 :駅前に緑地を大きくとってある。また、元々は山林だった場所なので 4~500 本の木
を移植し、緑道に使っている。北側の調整池は公園と一体となった整備を行った。
W・G
佐藤
:住宅メーカーを通して宅地を求めてきたものに対しての周知は誰の役目か。
:住みたいという人は、住宅メーカーや NPO のホームページ等いろいろなチャンネル
で入ってくる。NPO に問い合わせがあれば街の案内を行うが、直接住宅メーカーへ来
た客については、住宅メーカーに趣旨を説明してもらっている。
W・G
佐藤
:メディカルモールやこだわりショップなどの出店募集の方法は。
:ホームページや、街づくり館、現地に看板をたてて募集している。人気が過熱したと
175
きにホームページに誹謗中傷がかかれることもあった。
W・G
佐藤
:友の会クラブとは。
:NPO 独自に立ち上げたファンクラブ。登録してもらったらメールで情報を提供する。
300 人くらいの登録がある。
W・G
:コミュニティ活動については。
佐藤
:東京都心で働いている方が多いのでコミュニティ意識が希薄。住民の中には自治会が
できるのはしょうがない、役員になった年だけ無難にこなすといった考えの方も多い。
最初の頃は熱意のある方を探して自治会役員をお願いしていたが、年数が経つにつれ
て冷めた方にも役員の順番が回ってきているので心配している。NPO が支えて活動が
うまくいくようにしていたが、自治会に切り替えてきたので影響は出ている。
W・G
佐藤
:NPO の世代交代はあるのか
:①なかなかできない。
②地域を活気づけるために、昨年度と今年度に財団から予算を頂いて野菜の産地直売
を週 2 回日行っている。来年は船橋市役所が市民共同の補助金として出す。
W・G
:NPO の職員にはどのような方がおられるのか。
佐藤 :船橋市役所の OB や、千葉市役所の OB で構成している。
W・G
佐藤
:地権者はメンバーの中に入っているのか。
:地権者の会の 26 人は期間限定の会員として入ってもらっている。5 年の期間限定だ
ったが 3 年間延長した。来年期限が切れるので、その時点で NPO がこの地区に関わ
ることが終わる。
W・G
:街づくり館はどうなさるのか。
佐藤
:自治会と来年度一年かけて話しあう。自治会の会館として利用するなら買い取っても
らう等の方向を考える。
W・G
佐藤
:街づくり館が無ければ NPO の活動も続かなかった可能性もあるか。
:そう思う。人が集まれる場所があることは大事。
W・G
:公団があらかじめ作っておいてくれれば良かったと思う。地権者の生活再建相談所
のような役割を担っても良い。
W・G
佐藤
:駅舎は鉄道事業者の管理だと思うが、駅舎の中にスペースはあるか。
:スペースはあり、自治会の一周年記念行事としてそこでコンサートを開いた。
以上
176
5)配布資料
177
178
179
180
181
182
183
都市拠点、環境・公園
―
(社)日本交通計画協会理事
両角博氏
港北ニュータウンにおけるセンター地区の共同利用、グリーンマトリックス
―
1)日時、場所
○
開催日時:平成 22 年 2 月 8 日
○
開催場所:県庁 7 階第 4 会議室
13:00~15:00
2)出席者(敬称略)
・(社)日本交通計画協会理事
:両角博
・沖縄県
:名嘉真稔、玉城久美子、嘉川陽一、高江洲強
・宜野湾市
企画部企画調整課
基地政策部基地跡地対策課:比嘉秀夫、新垣勉、照屋盛充
・(財)都市みらい推進機構
:稲岡英明、松村聡
・(株)日本都市総合研究所
:荒田厚、村山文人
・玉野総合コンサルタント(株)
:堀田保将、中垣淳一、水野清広、久松隆司
・(株)群計画
:大門
3)港北ニュータウンの概要(両角氏)
■
経緯
・ 港北ニュータウン事業は、1965 年に横浜市から発表された「横浜市六大事業」に端を発
している。背景は、人口が急増し市街地の乱開発が社会問題となっていた。
・
日本住宅公団(現在の都市再生機構)が事業委託を受け公団施行の区画整理を行った区域
が 1317ha、事業計画全体では 2530ha あり、大規模な都市開発事業となった。
・
昭和 42 年に「港北ニュータウン事業対策協議会」を設置。これは地元の意向を確認しな
がら事業を進める住民参加の街づくりを推進し、計画を問題なく進めるための機関として設
置された。
・ それまで一般的に利用されていた土地収用ではなく、換地の手法が取られることになった。
地元住民の意向を確認した結果、申出換地による区画整理が実施された。
■
主な取組
・ 横浜の都筑区内に広がる港北ニュータウンは、
「緑の環境を最大限に保存するまちづくり」
、
「“ふるさと”を偲ばせるまちづくり」、 「安全なまちづくり」、
「高い水準のサービスが得ら
れるまちづくり」を基本方針に、 横浜副都心の形成や良好な居住環境の形成など、多機能複
合的なまちづくりを進めている。
<緑豊かな環境の創出>
地区内の緑道を骨格として、公園や民有地の斜面樹林などを連結させた「グリーンマトリ
ックスシステム」と呼ばれるオープンスペース計画により、貴重な緑の資源を大切に保存し
ている。緑に縁取られた歩行者専用道路や緑道を進むと、せせらぎや、広々とした公園が現
れる、港北ニュータウンならではの潤いと開放感にあふれる演出であり、自然を暮らしの中
でいつも身近に感じることができる環境は、この街ならではの魅力となっている。
184
既存の緑と公園緑地・緑地・せせらぎなどの緑を連続的に形
成させ、さらに歴史的な遺産、水系なども結合させ、地区全
体の空間構成の核とする街づくりの考え方です。その軸とな
る緑道は、ニュータウン全体で五本、全長約 14.5km に及
ぶ日本一の長さを誇ります。
センター南駅前
タウン内の緑道
都筑中央公園
<駅前商業施設の開発>
港北ニュータウンのタウンセンター、中川駅前センター、北山田駅前センター、仲町台駅
前センター、茅ヶ崎近隣センターでは、地権者相互の話し合いにより、
「街づくり協定」が結
ばれており、この街づくり協定の中で建築用途・意匠・壁面後退などの提案がされている。
また、街づくりのデザインテーマなどを定めているセンターもあり、調和のとれた魅力的な
街づくりを目指している。
4)意見交換の内容(敬称略。W・Gはワーキング部会メンバーの発言)
W・G :お話を聞いて、時代も場所も違うので勝負する内容は違うかなという印象を受けた。
両角
:港北ニュータウンに関心を持たれた理由は、エリアが広い、地権者が多い、緑が豊か
というところだろう。普天間が港北と全く違うのは 60 年ということ。港北でも建設
研究会というのを組織していた。普天間でいう若手の会の世代である。若手の人たち
の元気がよかった。
W・G
:普天間の場合は生活再建の質が違う。軍用地料が一律に無くなるという負の面があ
る。生活再建への取り組み手法ははどのようなものが有るか。
両角
:新しいまちで早く自分の土地が活用され収入につながれば良いが、そこに行き着くま
でにはそれなりの時間がかかるだろう。余談では有るが、公団の場合は工事を始める
ために土地を借りると、事業が終わって土地を返すまで借地料を払い続ける。現実に
は、事業が遅れ借地料が発生する期間が延びることを望む地権者の声もあった。
1/3 論というのがあり、1/3 は自己住宅、1/3 はアパート・マンションで安定的に
家賃収入を得る、1/3 は売るための土地となる。
W・G
:その一番安全なアパート・マンションについて、人口増が著しかった沖縄も、多少
遅れながらも人口のピークに達し、住宅用地需要はこの先相当減るという前提で議論
が始まっている。地主の方も理解していると思う。沖縄での成功事例として新都心が
あるが、新都心の開発の頃は勢いがあった。それをサクセスストーリーとされたら困
る。地権者の方にも時代・場所が違うということは理解されつつあると思うが、軍用
地料に換わるものをどうやって得るかについては問題が残る。
両角
:地料はいきなり無くなるのか。
185
W・G
両角
:それについては、いろいろ要望等がある。どうなるかは分からない。
:手立てが無いうちに無くなるのは困る。
W・G
:極端には、建物ができるまで地料を払うという要望がある。
両角
:スタートして失速してしまうよりは、堅実なところで事業を行ったほうが間違えない
かもしれない。ただ、時間の要素をどれだけ織り込むか。瞬間的にできる事業ではな
い。
W・G
:少なくとも事業をスタートさせるときには地価が底を打ってほしいと願っている。
そうでないと事業計画が成り立たない。大規模返還になるので、一時は地価が下落する
と予想される方が多い。那覇新都心の頃は、返還されることで地価が上がった。普天間
返還の時期には逆に下がると予想される。下がっていく真っ最中に出資計画は立てられ
ない。
両角
:事業のフレームを作るのが難しい。しかし、それがはっきり分かることはまず無い。
W・G
:港北の開発の頃は、地価はあまり変わらないという考えだったのか。
両角
:そうである。しかし、一時期土地の値段が下がり、土地も売れなくなった時期があっ
た。2 度程経験した。公団は国の財投を借りているのだが、金利の高い時期に 7%で
借りている。10 年で倍になってしまう。今は金利が安いが、常に右肩上がりで考え
ている時代だった。区画整理そのものが右肩上がりでしか成り立たない手法ではない
か。
W・G :大掛かりな変更が 3 点ほど挙げられているが、普天間でも事業を進めるにつれて変
更が必要になってくる場面もあると思う。国土交通省や地権者との関係で苦労された
と思うが、住宅公団が何らかの権能を持っていればもう少しスムーズに行えた等の思
いはあるか。
両角
:思いつかない。区画整理法の中でやれる範囲をやるだけ。権能の話ではなかった。
W・G
:合意形成のあり方、簡略化されたシステムがあってそこにかければ少々反対はあっ
ても事が進められるようなシステムは無かったのか。
両角
:それを握っているのは地元の方である。それでいいとおっしゃればいいが、それでは
駄目と言われたら駄目。
W・G
:苦労されたといいつつも、今となっては上手くいったとの感想を受ける。信頼関係
を構築されていたのか。
両角
:昭和 44 年の用地買収の頃から公団は地元に入っているが、まだ親しくなかった。お
互い信頼関係があったかといえば分からない。それでも、10 年、20 年と事業を行っ
ていく中で信頼関係が生まれた。お互いが苦労しながらやっていくと生まれるものだ
と思う。施行者・行政が上から見下ろしていたら上手くいかない。区画整理審議会と
いうのがあって、事業の終盤に解散会をやるというときにはいろんなことを言い合え
る仲になった。
W・G
:市のほうにもニュータウン部隊のようなグループができて、地主と市、公団がそれ
ぞれ関係をつくっていったのか。
両角
:そうである。区画整理事業は人間くさい事業である。どのような人間がやっているか
が重要。横浜市からすると面倒な事業。ニュータウン建設部はそれが仕事だが、総会に
なると関係する部署がすべて呼び出され、部長や局長が地権者から攻められるので、地
元の会には出たくないと思う市の職員もいた。日頃から付き合っていないとできない。
組織上ニュータウン建設部ですべて決められるわけではない。下水は下水道局、道路は
186
道路局と関係する。こういう開発をやると議員さんが尋ねてくることがあるが、港北で
はほとんど無かった。地元で組織を作ってみんなで決めたこと。議員さんが要望しに来
たことはなかった。その代わり応援団にもならない。
W・G
:公団は他の地域でも先買い型の区画整理をやっておられるが、シビアな例というの
は他にあるか。
両角 :あまりないが、港北の 27ha の中央地区では公団施行の区画整理にしたが本当は土地
を買いたくなかった、保留地の処分金のみで事業を行おうとした。しかし、当時の建
設省が公団施行の区画整理は土地を買うもと考えていたので、1 割は買うことになっ
た。常磐新線の沿線開発では、公団は一切先買いしていない。茨城県が買った。その
分現在茨城県はご苦労をなさっている。税金を使って先買いを行うが、それを回収し
ないといけない。その土地を寝かせてあるのは県にとって大変な痛手だ。
W・G
両角
:先買いの話はこれから出てくるだろう。
:新都心の場合はどうだったのか。
W・G
:県は買っていない。地域公団が買った。
W・G
:学校用地等も含めて 2 割程度である。
両角
:どういったプランでどのような施設を入れるかにもよるが、公益施設を保留地でまか
なうにしても、どれくらい減歩があって、保留地にどれくらい割けるかということが
あるが、誰の役目となるかわからないが、誰か種地になる土地を確保して、多少自由
に使える土地を確保し、地権者の換地にはできるだけ影響を少なくする方法を考えて
おかないと合意がつみあがらない。
W・G
:時間がかかる事業であり、計画も変わる可能性がある。それに対応していく良い手
法だと感じた。しかし、そのことによって公団自体の事業が痛んでしまうことはなか
ったか。
両角
:ある。早く事業が済んで売りに出せば資金回収できるような土地を、まだ事業の済ん
でいない地権者の土地と換えることになる。そのような痛みを背負った。地価が上昇
しているときなら、痛みを上回る地価があり、組織的には納得できたが、地価上昇が
なくなると組織内では責められた。しかし、現場ではそうでもしないと事業が進まな
い。種地として持っていたほうが事業は進めやすいが、誰がどのような資金で持てる
か分からない。
W・G
:種地についてはこれからの大きなポイントになる。土地を持った方のご苦労も本日
のお話で聞くことができた。
両角
:新都心はどうなっているのか。まだ地域公団が持ったまま売れ残っている土地はある
のか。
W・G
:ない。地域公団のビルのみだろう。
W・G
:それほど早く済んでしまったサクセスストーリーが那覇新都心である。
W・G :申出換地時の調整が大変だったとのことだが、具体的にどのように調整されたのか。
地権者のリーダーがいたのか。行政又は公団の方が引っ張っていったのか。お聞きし
たい。
両角
:全く関係ないのが行政。換地の話しなので施行者と地権者の関係。グループ討議は、
その街区単位でグループをつくる。例えば 1ha の街区の場合、そのうち 6 千㎡が地
権者の土地だとすると、申し出た人たちによって一戸あたり何㎡で切るかを話し合う。
申し出た人が少なければ良いが、多かった場合は申し出た面積を減らす必要がある。
187
また、角地が良いなど位置の話もある。申し出た方の条件により整理して換地を当て
はめていった。共同化義務化街区では細長い土地にしてあるが、地権者の気持ちがそ
ろわなければペンシルビルが建ってしまう。ニュータウンでもペンシルビルが乱立し
ている場所もある。しかも、使う予定がまだない場所は歯抜けになっており、そうな
ると街が連担しない。景気が良いと建物の建つスピードも速くなるが、景気が悪くな
るとスピードが鈍る。
W・G
:スリット換地が際立っているが、当時事例はあったのか。踏み込むのに勇気が必要
だっただろう。
両角
:事例はなかったと思う。宅地の換地処分をするときに意見書を出してもらうが、希望
者が多いと最小限の間口が決まっていて、街区の幅も決まっているので細長い土地に
なってしまう。共同化義務化街区という名前には意味があって、実はスリットの中に
反対者が入っていた。その方が直接施行をしないか心配していた。そのような人が入
っていても追い出すことはできない。共同化を行ったときに反対されたら事業が行え
ない。計画の方針の変更があり、換地も見直すとなったときに合わせて共同化義務化
街区とした。共同化の担保は、申込書に実印を押させ、抵当に入っていたら抵当権者
にも判を押させて下がれないようにした。共同化義務という変な名前だがそのような
意味がある。
W・G
:あるとしても民法上の関係。
両角
:もう少し踏み込んで民法上抑えなければならないこともあったようだが、詳しく知ら
ない状況でやっていた。
W・G
両角
:共通の夢のようなものがあり、みんなが引っ張られたことはあったのか。
:駅前広場の正面に大規模商業施設をつくる際に、港北ニュータウンの顔となる場所な
のでちゃんとしたものを作ろうと皆さん一致した。東急が入っているが、当初は高島
屋と 9 部 9 厘決まっている状況であった。ところがある時に止めるといわれ、40 名
強の地権者のショックは大きかった。事務局に弁護士や商業系に詳しいコンサルタン
トなどがいてアドバイスを受けながら進めていかないといけない。どういうお金で雇
うかは課題。
W・G
:普天間に限らず跡地利用にはそのような話が付きまとう。民有地の中にデベロッパ
ーが入ってきて、それに対して何のノウハウもない地権者が対抗していかないといけ
ない。民民の関係なので行政も関与できない。
両角
:そうなるだろう。行政が表に出ることもできないし、全く関与しないわけにもいかな
い。身になって考えてくれる人たちの部隊をどうやって編成できるか。
W・G
:軍用地の特徴は組織が何十年もあること。そこへ入っていくのはやりやすい。需要
が落ち込んでいる中でデベロッパーとどう対抗できるか。
両角
:商業系は時代の流れに身を変えていかないと生き残れない世界。地権者のために歯を
食いしばってなどとは言わない。
W・G
:入ってくれる方々を攻めることはできないが、地権者の方がそのままついていって
いいのか心配になることがある。
W・G
:今でも町をマネジメントしていると思うが、そのような組織はいつ頃必要になるの
か。
両角
:公団は大規模開発があるとそこに第三セクターを作って事業を行っているが、あまり
マネジメントの意識はない。
188
民間資本が進出するまでは公団が初期の役割を果たし、自らのビジネスを持っていく。
この中にもビルを 2 つ持っている。地権者が 1 番、公団 2 番という考えなので苦し
い。ある程度街が熟成していくと仕事が終わる。
両角
:タウンセンターでは、活性化を検討したり、地区計画への対応のための事前相談を受
けたりしている。また、夏祭りを手伝ったりと、まち育ての役割を担っている。これ
らの事業は公益性はあるが収入には結びつかない。
公団は事業が終わると去っていくが、昔からの経緯を分かっていて、タウンセンター
ではまちに根を張っていく役割が必要。公益的性格を持たせる中で、行政が前面に出
ることはできないような事を行う。財団のような組織になるのか。
W・G
:町会費を取れるようになれば良い。町会費が取れるような仕組みを開発の中に入れ
たい。
以上
189
5)配布資料
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198
199
全般①
東京都市大学都市生活学部教授
―
小松史郎氏
集客・来住の促進
―
1)日時、場所
○
開催日時:平成 21 年12月2日
13:00~15:00
○
開催場所:(財)都市みらい推進機構
会議室
2)出席者(敬称略)
・東京都市大学
・沖縄県
都市生活学部都市生活学科教授
企画部企画調整課
・宜野湾市
:小松史郎
:高江洲強
基地政策部基地跡地対策課
:比嘉秀夫
・(財)都市みらい推進機構
:稲岡英昭、松村聡
・(株)日本都市総合研究所
:荒田厚、村山文人
・玉野総合コンサルタント(株)
:堀田保将、水野清広
・(株)群計画
:大門達也
3)普天間飛行場跡地における集落・来住にかかるご提案(小松氏)
(1) 普天間飛行場跡地の立地にかかわる基本的認識
・普天間跡地が本当に「集客」の適地かを、自らの経験を踏まえて考えてみた。
・普天間跡地で「都市観光」を展開することは本当に大丈夫か。都市観光を考える場合は、歴
史文化、構造物、お祭りなどの伝統的資源が既にあることが一般的である。新たに都市観光
をつくりあげることは、投資効率から見て疑問であるとともに、国際通りのライバルづくり
はすべきではないと考える。
・沖縄で海のリゾートに加えて「陸(お
か)のリゾート」をつくりあげるのは
大変ではないか。
「陸のリゾート」は、
集客力から考えると海浜国定公園等
が中心になるだろう。むしろ、普天間
跡地では、そこから人を廻すことを考
えるべきではないか。
(2) 普天間飛行場跡地開発の基本方向
・普天間跡地は、観光リゾートに拘らないで、海に来た人が跡地を見に来るという戦略が良い
と考える。観光リゾート産業は、実はあまり儲からないので、普天間跡地は集客の面ではコ
バンザメで、むしろ、地主の実になる開発を考えた方が良いだろう。
提案としては以下の3つである。
200
提案1
沖縄海洋型ハイテクリゾート
・普天間跡地では、海洋性リゾートを切り札として企業立地を進めるのが良いのではないか。
沖縄に必要なのは外貨を獲得する企業であり、緑豊かな場に海が近く、遊び道具がついてい
るハイテクリゾートを形成することが一つのアイデアである。
・そのようなワークスタイルを持つオーナーや従業員が普天間跡地に住み、遊びや仕事を満喫
できるようなハイテク企業を誘致する。このような例は日本にあまりないため、国際的に考
えた方が良いかもしれない。
・具体的には、ハイテク企業とその研究所が立地し、センターには公園周辺にショッピングセ
ンターやレストラン、ビジネスサポートサービスなどを展開する。上手くいくとホテルが立
地するだろう。この人々は週末に海洋レクリエーションにいそしみ、国際通りなどで都市観
光も楽しむ。
・ソフィアアンティポリス(フランス)のようなハイテク型産業パークが一つのモデルと考え
られる。会社にプールが付いているなど、のびのびした研究環境で、オーナーや役員はクル
ーザーを持っている。
・誘致戦略は、以下のものが考えられる。
―
思い切った優遇措置が必要。タックスヘブンまではいかないが経済特区にして税を減免。
―
フリートレードゾーンとして貿易に際して税金をとらない。
―
電気・水道・ガスが安くならないか。
―
ハードインフラとしては、通信インフラが必要。
ここで特に必要なものは「富裕層が遊べるもの」であり、
「公共マリーナ、社交場」を整える
ことが有効と考える。中国人も豊かになると車では満足できなくなり、クルーザーがほしく
なるが、沖縄のマリーナはまとまった規模のものが少ない印象である。国際マリーナにもな
る施設を整備してはどうか。
提案2
高級住宅地構想(沖縄ビバリーヒルズ構想)
・沖縄には高級住宅地がないように思う。ビバリーヒルズのように、家の前が芝生で塀がない
高級住宅地がほしい。
・沖縄科学技術大学院の世界的科学者がどこに住み、子弟をどこで教育するかという話がある。
これと上手く組み合わせて、環境共生型の高級住宅地を形成することが考えられる。ノーベ
ル賞級の学者が住んでいると、大きな集客力になり、そこには知恵やお金も集まってくる。
201
これを実現するためには、ノーベル賞級の科学者に宅地を無償提供することが近道である。
アジアの富裕層が住み、クルーザーも利用できる環境整備が一つの方向ではないか。
・子弟教育のための高レベルの学校教育施設が必要になるが、この機能を普天間跡地に整備し
てはどうか。子どもと一緒に住める環境が整うことで定住につながるだろう。また高度な医
療施設も必要になる。
・さらに、様々な人種の方々が来るので、多様なライフスタイルに対応する必要がある。例え
ば、宗教施設、墓場、世界的品揃えのあるショッピングセンターやレストランなどである。
・このような場が形成されると観光客が集まってくる。
『集客と来住』は一緒に考えるべきであ
り、場合によっては、高級住宅の展示場があると、アジア各地から人々が集まってくるので
はないか。
・集客施設よりは住宅の方が採算性があり、安定している。この場合、乱開発をさせずにクオ
リティを保つことが重要である。100ha の公園を上手く活用して緑豊かで壁のない住宅地
ができれば良いと考える。
提案3
国際園芸博構想(沖縄国際花と緑博構想)
・100ha の公園を整備するという話があったが、国際園芸博覧会(以下、「花博」という。)
を「まち開き」と併せて開催してはどうか。基地が平和利用になったというシンボルとして
花博を開催する。
・この博覧会は万博ではなく花博にしてほしい(花博は万博より環境配慮型)。花博は AIPI(国
際園芸家協会)が認可するもので、分類によって開催期間等が異なる。A 類Ⅰ型が最高レベ
ルで開催期間が半年、同一国で 10 年に1度しかできない。花博は、国家行事であり、名誉
総裁は皇太子となっている。海外客を含んで半年で 1000 万人程度の集客を期待できる。
・花博の誘致に要する費用は2~3億円程度で、開催地は国際競争により決まる。
・現在、日本で花を商売にしているのは、キリンとサントリーで、とても良い商売をしている。
沖縄は花のイメージがあるので、上手にビジネス展開できるのはないか。隣国の台湾は花ビ
ジネスの産地であり、台湾と上手に組むことにより、国際的な競争力もつくだろう。
・この花博をまち開きと同時に行い、そのまま公園にしてはどうか。国家的プロジェクトなの
で補助が期待できる。
また、沖縄観光の特徴はリピーターが多いことであり、1回来るとくせになる。まずは1度
来てもらうためにも花博は良いテーマであり、沖縄に来るきっかけにもなる。
・沖縄観光の課題はおみやげが少ないことであるが、花博を開催することで、開発意欲も沸く
202
のではないか。
4)意見交換の内容(敬称略。W・Gはワーキング部会メンバーの発言)
W・G
:普天間跡地と海との間は距離があるが、海へ至る軸を整備することで、高級住宅地
とリゾートを関連づけることは可能か。
小松
:海に遊びに行けるように、宜野湾市内を通る横軸の道路整備が重要と考える。
W・G
:沖縄で高級住宅地を考えると、その居住者は高齢者や芸能人などがイメージされ、
定住しない可能性もある。チバリーヒルズ(あすみが丘・ワンハンドレッドヒルズ)
も、そこに定住している人は少ない。
小松
:定住の観点からもリタイア層ではなく、大学や企業の研究者をターゲットに考えてい
くことが重要だろう。特に、中国などの近接した世界的な成長セクターを視野に入れ
て考える必要がある。海を知らない、または、透き通った水面、青い空を知らない中
国人は結構多く、そのような人々に沖縄の環境は売りになる。
W・G :普天間跡地を「観光リゾート」と位置づけた由来は、県の目標である 1000 万人の
観光客を迎えるにあたって、「海」のキャリング・キャパシティに限界があるなかで、
「陸」でも対応・工夫が必要という意図である。普天間跡地の広大な土地で、住宅需
要が見込めないなかで、緑豊かな環境づくりを展開し、1000 万人の観光客を迎える
という方向である。
「観光」は、陸だけで集客を伸ばすということではなく、海と陸で沖縄の観光振興を
図るものである。陸では、大規模なものを誘致するという話ではなく、人材育成、沖
縄の伝統文化を保全するなどのソフトな機能を重視した機能を誘致したいと考えてい
る。
「リゾート」は沖縄ビバリーヒルズのようなイメージで、海が見えて、海にも行きや
すい立地を考えていた。面積的には大きくなるだろう。
小松
:普天間跡地は、別荘地ではなく、そこに住んでくれる人を集めた方が良い。
W・G
:マルチハウジングしてくれそうな方々を招くことが考えられる。特にノーベル賞受
賞者に無料で住宅を提供することは有力な手段と感じた。
また、100ha の公園は、国に整備を要請しようとしているが、国の財政も厳しい状
況にある。
小松 :今の公園緑地課は、
「稼げる公園」を考えている。公園は地元負担で管理運営するだけ
でなく、来訪者から集金することが考えられている。公園で営業行為をして良いとい
う方向にあるようだ。
W・G
:沖縄の気候風土において、屋外で園芸の可能性はあるか。現在でも蘭や菊の栽培は
しているが、気候的に花を育てることに適しているか。
小松
:花栽培に向いているのは、年間の温度差が少ないところであり、コロンビアや台湾な
ど年間の気候変動が数度程度のところが適している。沖縄では種子開発も必要になる
だろう。
W・G :これまでは「平和のシンボル」の具体的イメージが難しかったが、
“花”は平和のシ
ンボルとしてイメージしやすい。花博の場合、各国がガーデンを持つことにより、ア
ジア圏の交流につながるなどの意味もあるだろう。
小松
:花博は基本的に見本市であり、業者だけの取引を行う日も設定されている。商売を念
203
頭に置いているので、展示される花の質も相当高い。
W・G
小松
:花博の開催期間は如何に。
:A 類Ⅰ型は半年、A 類Ⅱ型は3ヶ月、B 型は1週間である。博覧会と見本市が組み合
わさっているのが A 型で、B 型は見本市のみある。
W・G
:花博の開催期間中およびその後に地元雇用につながるなど、イベントが産業につな
がる点が大きい。
小松
:大阪の花博は花市場になり、浜名湖は公園になった。イベントは、如何にして継続的
展開につなげるかが重要である。また、現在札幌で花博を開催する動きがある。
W・G
:宜野湾市では、西海岸のマリーナ近辺の都市機能用地に2つのホテル誘致を進めて
いたが、100 年に一度の経済危機により先が見えない状況にある。さらに、普天間だ
けでなく「嘉手納より南の返還」という大きな情勢があるので、これがどうなるかが
普天間にも影響するだろう。
小松
:ホテルは投資物件になりやすいので景気に左右される。緑の中の住宅地を整備するこ
とにより、その環境を見に来る人達がいる。特に、ロシアなどの寒い国の人々がター
ゲットになる。ロシアも経済的に豊かになってきており、成功者もいる。
W・G :ビバリーヒルズとまではいかないかもしれないが、沖縄移住は多くなってきており、
そういう方々が住めるような場所も用意したい。人口増加も頭打ちになり、新規の住
宅需要が増えないなかで、個性ある住宅地を商品として開発することが重要と考えて
いる。それには地主の方々がまとまる必要があり、その方々が納得できる商品のアイ
デアを出し、地主の間をつないでいくことが重要になるだろう。住宅需要を喚起する
アイデア、長期に耐えるまちづくりが問われているところである。
小松
:チマチマやっても誰も乗ってこないような気がする。
W・G
:中南部都市圏の市街地に 1000~1500ha の土地がでてくるので、需要の喚起が
課題になるだろう。
W・G
:先生の話を伺っていると、普天間の前面の海についてもレベルアップが必要と感じ
た。
小松
:都市型で人を集めるためには日が暮れてからが勝負だろう。海においても夜遅くまで
賑わいをつくることが重要ではないか。
以上
204
全般② 普天間飛行場の跡地を考える若手の会(大川氏 呉屋氏 我如古氏)
―
「土地利用・環境づくり方針案」に対する若手の会の考え
―
1)日時、場所
○
開催日時:平成 22 年 2 月 19 日
○
開催場所:宜野湾市役所
別館3階
15:00~17:00
建設部会議
2)出席者(敬称略)
・普天間飛行場の跡地を考える若手の会
:大川正彦、呉屋力、我如古隆
・沖縄県
:玉城久美子、嘉川陽一、高江洲強
企画部企画調整課
・宜野湾市
基地政策部基地跡地対策課
:比嘉秀夫、新垣勉、照屋盛充
・(財)都市みらい推進機構
:松村聡
・(株)日本都市総合研究所
:荒田厚、村山文人
・玉野総合コンサルタント(株)
:堀田保将、中垣淳一、水野清広、久松隆司
・(株)群計画
:大門達也
3)「土地利用・環境づくり方針案」に対する若手の会の考え(若手の会からの報告)
(1) 今年度の取り組み
・ 若手の会では、平成 20 年度に普天間飛行場跡地利用計画策定推進調査で示された、
「土
地利用・環境づくり方針案」について、地権者として想定される検討事項を抽出し、今年
度、それらに対する意見や議論を取りまとめている。
・ 全体的には、土地利用・環境づくり方針案は、これまで若手の会で議論してきた内容に
合致しているため意見が少なかった。これまでの意見をより強調するかたちで若手の会と
しての意見としてまとめていく考えである。
・ また、若手の会はこれまでも活動してきたが、今後はさらに自由な活動を望む意見もあ
る。
(2) 土地利用にかかる計画方針に対する主な意見
・ 共同利用による用地確保が求められており、都市拠点や振興拠点づくりのためには必要
であると認識している。
・ 都市拠点は、交通拠点を中心に形成することが必要である。
・ 都市拠点形成は、国際的な活動拠点として普天間公園と関連づけることは良いと思われ
る。若手の会での公園コンセプトである平和とあっているため。
・ 都市機能再配置に向けた受け皿整備は、周辺市街地と一体的な活性化の上で必要と考え
る。
・ ただし、330 号の機能を全て跡地に移転はできないだろう。中部縦貫道の計画状況をみ
て判断していくべき。
・ 受け皿確保は地権者が用意するのではなく、交換する考えはどうか。
(3) 環境づくりにかかる計画方針に対する主な意見
・ 方針のとおり、新エネルギーなどを活用した環境にやさしいまちづくりをしたい。
・ 景観形成のためのルールづくりは必要であるが、どの段階で取り入れることが理想的か。
205
(4) 普天間公園の整備方針(試案)に対する主な意見
・ 普天間公園の 100ha は大きすぎず、100ha は必要という表現をしてはどうか。
・ 土地利用制限が必要となる区域を公園とする意見もあるが、公園の位置を限定するので
はないか。
・ 国営公園を求めるが、実現困難な方策も検討しておく必要がある。
(5) 都市空間構成にかかる整備方針に対する主な意見
・ 集落空間の再生は良いと思われるが、他の利用も考える人も出てくると思われ、字有地
を活用してはどうか。
・ 住むとなると支障もでてくると思われる。全体として旧集落の雰囲気が再現できれば良
いと思われる。
・ 共同利用の一つの手段として旧集落を再生し、観光資源として活用できないか。
4)意見交換の内容(敬称略。W・Gはワーキング部会メンバーの発言)
W・G
:共同利用について、何が心配か。
呉屋
:来従者への定期借地などとして貸す場合、所有形態や換地の形態、相続が発生した場
合の対応などである。
W・G
:来住者への提供は、個人から個人への借地と想定される。この場合は協力してまち
を創るという意味での共同利用である。一般的には、一団の土地をまとめたかたちで
利用し、相続が発生した場合においてもその利用形態のなかで相続分割がなされる。
ただ、相続により、現在の利用形態を望まない方が増え、継続できないことも想定で
きる。
呉屋
:現状では何も決まっていないため、疑問も想定でしか話が出来ない。ただ、若手の会
としては共同利用については必要であると考えており、どのような方法があるのか事
例を示し勉強する必要があると思う。
大川
:東海浅山の事例では相続について課題となっていた。
W・G
:共同利用を選択した場合、長期間自分では使えず、相続が発生した場合でもそのま
まの利用が続くので地権者にとってはある程度の判断は必要。反面、那覇新都心のメ
インプレスやDFSなどのように共同化により大規模な土地利用ができるというメリ
ットもある。
呉屋
:共同利用する場合の組織として地権者の会社などが必要になってくると考える。
W・G
:人数が多くなると会社を作ることも考えられる。浅山新田がそのような形ではない
か。
W・G
大川
:浅山新田の場合は、地権者が会社をつくり、賃料を地権者に配分している。
:普天間の場合もそういった会社が必要と考える。
W・G
:共同で収益を上げて公平に分配する仕組みである。全体を一つの会社とするか、そ
れぞれの街区の個別の会社とするかさまざまな形態がある。共同利用街区を確保する
方法は、地権者の土地利用意向に応じ集約確保する申し出換地という手法が前提とな
っている。しかし、この方法は特に制度化されたものではないため、他の跡地におい
ても課題となっている。アワセゴルフ場でもこれから取り組もうとしている。
呉屋
:土地に執着する地権者もいるため、別利用か共同利用か、意向調査を早い段階で行う
必要がある。
206
W・G
:土地に執着することも重要である。一方では土地需要を考えることも重要。共同利
用などが必要で優先的な整備が必要などあれば提言してほしい。
呉屋
:住宅だけでは埋まらないなどを示す資料などを用いて地権者に共同利用などの取り組
みの必要性を理解してもらう必要がある。
W・G
:嘉手納以南の返還を考えた場合、県内だけの需要だけでなく県外からも取り入れる
必要がある。来年度から 2 ヵ年かけて広域的な構想を関係市町村と連携して検討して
いく予定である。
呉屋
:普天間の方向性が出されれば議論しやすくなる。
大川
:共同利用を議論するまえに何をやるのかが無いと考えることも出来ないため早めに詰
めていく必要がある。
W・G :嘉手納以南の経済効果は軍雇用、軍用地料を含めて 2,000 億円程度ある。軍用地を
全て貸しても 700 億円であり、満たない部分を何かで生み出す必要がある。整備し
た土地を利用して 2,000 億円を生み出す必要があり県サイドで検討されている。ただ、
経済性の面だけではなく、土地が利用できるという精神的な効果も含めるべきではな
いかとも考える。
呉屋
:例えば経済効果があるという計画を出すことで起爆剤となり跡地利用促進効果も期待
できるのではないか。
W・G :返還されると経済効果があるという試算もあるが、何も考えないことは危険である。
W・G
:北谷や那覇新都心の事例からどこでも成功するという考えは危険である。北谷・新
都心も県内から移転してきただけなのかも知れない。
呉屋
:県内、県外、海外なのか来住者の意向を把握したいがターゲットを絞れない。転勤者
などから意見を聞きたい。
W・G
:さまざまな対象に売込みが必要ではあるが、売込みのための題材づくりに取り組ん
でいるところである。企業は 5 年以内の話でないと反応しない。今後、普天間で何を
やっているかアピールしていく必要があり、地権者からは土地をまとめて提供する用
意があることを知らせる必要がある。
W・G
:若手の会の取り組みは前向きであり、問題意識も的確に捉えられている。周辺市街
地の解消とあわせた取り組みで跡地内に受け皿を確保することである程度埋まること
も考えられる。機能配置については大規模跡地として県と協力して取り組んでいく必
要がある。北谷は成功事例ではあるが大規模な施設を確保できていないのが課題であ
る。
W・G
:北谷は個人の努力でできる限界ではないか。普天間の規模から考えると個人では無
理があり、ある程度共同で取り組む必要がある。集約することは様々な需要をひきこ
む条件になり、魅力として提供できるようになる。また、収益の公平な分配の仕組み
を作ることも共同化により取り組む必要がある。共同化の取り組みをどのように地権
者に発信していくかが課題である。
呉屋
:若手の会がその役割を担っているとも言われており、地権者に発信し引き込むための
材料がほしい。また、若手の会の会員を増やすことも必要。また、いろんな方との意
見交換する場を増やしていくことも必要である。
W・G
:①前向きな努力ができるような資料作りに取り組むことが必要である。
②洞穴などにより土地利用が制限される区域を公園とすることについて、現段階では
どれくらいが対象になるかわからないが、東側区域に多く出る可能性がある。西側の
207
斜面は大半が基地外であるが、保全の観点からは整備区域に入れて、公共緑地とする
ことも考えられる。ただ、墓が中にあることが課題となる。
呉屋
:地盤が悪いところを公園とすることについて、若手の会では街区公園レベルではよい
のではないかとの意見であった。一方で、公園をそのような場所とすることについて
は防災の観点から心配する意見もあった。ただ、そのような区域に墓が建つことも想
定される。また、斜面の危険なところは区域内に入れ、換地の対象とし再編すること
は納得されると思われる。
W・G
:制度的な課題も多いが、周辺市街地の一部を公園として確保し、地区内の土地と交
換することも考えられる。基地内ばかりではなく周辺市街地との一体整備という観点
からも必要な考えでもある。
大川
:50ha くらいの公園がネットワークする考えがあるがどうか。
呉屋
:マトリックス形状の 100ha 公園が大規模公園として機能できるかが心配。国営公園
としてフェンスで囲われてしまうとイメージに合わない。どのように管理されるかが
心配。
W・G : 那覇新都心の公園は、駅から延びている部分も公園で、幹線道路との交差部も公園
となっている。
大川
:普天間公園は防災公園としたい。
W・G
:旧集落の再生は、並松街道の旧ルートの復元と併せて実現したい。どの部分まで再
生するかは決まっていないが、個人の住宅としてだけではなく滞在型の旅館などとし
ても良い。竹富などの事例もある。
呉屋
:若手の会としても住宅だけでなく同様な考えで前向きな意見が多い。観光資源として
活用することも考えられる。並松街道の議論はあまりされていないが、松を育てる必
要があるとの意見があった。
W・G
:松は比較的成長が早く 20 年ぐらいで成木になる。
W・G
:字有地の目的は何か。共同利用に活用できないか。地代を配分する仕組みがあれば
共同利用の配分にも入りやすくはないか。
W・G
:目的は、公民館、法定外にならなかった里道、拝所、墓地などである。
W・G
:組織が必要であると議論されているが、組織化について疑問点などがあるか。
呉屋
:土地を確保するための組織が必要であるとの認識になっている。今の段階では考えら
れる組織の情報収集しているところである。地権者の土地利用意向によって組織化す
べきものも出てくるのとも思われる。
W・G
:準備の段階に応じて組織も変わってくる。事業が始まってから跡地利用地主会が立
ち上がっている例が多いが、普天間の場合、早い段階から組織化する必要がある。
W・G :H23 年度を目標にまちづくり準備協議会の設立を地権者だけではなく、外部の人も
入れたかたちで検討している。跡地利用のきっかけづくりとしたい。
呉屋
:協議会をベースに下部組織を作って活動の場を広げていってはどうか。集まる機会を
つくることが重要。
大川
:若手の会の活動をもっと広げていくような取り組みが必要。地主会も議会との交流会
を考えている。
呉屋
:来年度の活動について、例年 4-7 月の活動が空いている傾向にある。この期間に活
動は出来ないか。
W・G
:①決まったテーマなどがあれば情報提供する。
208
②前年度の県市の成果を題材に検討していってはどうか。ただ、何を目標にしていく
かの検討も必要。地主会とも相談して進めていることも考えられる。
呉屋
:若手の会で策定した中長期計画にあわせて活動していきたい。このような意見交換会
などの場を定例化してはどうか
W・G
:今年度の中間取りまとめ素案をもとに検討されてはどうか。
W・G
:今年度は業務の意見交換の一つとして行ったが、今後は地主会、若手の会との意見
交換は必要と考えている。
以上
209
資料-6
供給処理分野(環境関連)にかかる事例収集
太陽光発電
■システムの概要
・太陽の「光エネルギー」を直接「電気エネルギー」に変換する発電方式で、エネルギー源が太陽
光であるため、基本的には設置地域の制限がない
・設置する場所の広さに合わせて自由に規模を決めることができる
・発電コストは低下しているが、家庭用電気料金の約2倍とまだ高いのが現状
・ただし、機器のメンテナンスはほとんど不要であり、余力電力は電力会社への売電可能
・遠隔地や非常用電源にも利用可能
■期待される効果
・家庭用(4kw)導入の場合、年間電力負荷の約80~90%を賄われる
・省エネ、CO2削減効果も高い
■対策を導入する上での考え方
・気象条件により発電出力が左右される
・日照条件が良好であることが望ましい
■導入事例
・公共施設 糸満市役所(沖縄県糸満市)
・集合住宅 オール電化マンション「ニューガイア」(福岡県北九州市)
・住宅団地 コスモタウンきよみ野(埼玉県吉川市)
、Pal Town城西の杜
糸満市役所
コスモタウンきよみ野
210
太陽熱利用
■対策・システムの概要
・太陽の光エネルギーが集熱器への照射によって発生する熱エネルギーで、水や空気等を暖め、
給湯や暖房等に利用
・機器構成が単純で特別な知識や操作が必要ないため、戸建住宅を中心として、太陽熱利用の導
入実績は既に多い(アクティブソーラーシステム)
・公共施設等への大規模なシステム導入も進められている。
・新エネルギーの中では比較的安価であるが、他のエネルギーとの競合で減少傾向にある
■期待される効果
・標準的な戸建住宅の場合、集熱器3㎡で年間給湯負荷の35%が賄われる(関東地域)
・温熱需要の大きな施設、住宅団地などでは高い省エネルギーが期待できる
■対策を導入する上での考え方
・日照条件が良好であることが望ましい
■導入事例
・集合住宅 越谷レイクタウン太陽利用システム(埼玉県越谷市)
・住宅団地 ソーラータウン久米川(東京都東村山市)
越谷レイクタウン
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風力発電
■対策・システムの概要
・自然エネルギーである風力エネルギーを、発電機により電気エネルギーに変換して利用
・風力発電には、2000kw級の大型のものから、1kw程度の小型のものまである
・新エネルギーの中では発電コストが比較的低く、工期の短さもメリット
■期待される効果
・風力エネルギーは広範囲に存在しており、風のエネルギーの約40%を利用でき変換効率がよく、
クリーンかつ無尽蔵の純国産エネルギー
・2000kw級では、一基で一般家庭700世帯の電力が賄え、小型のものは太陽光発電と組み合わ
せることで家庭や学校でも導入されている。
・
「風車は新エネルギーの象徴」といわれ、地域のシンボルとして「町おこし」などでも活用できる
■対策を導入する上での考え方・課題
・気象条件に左右され、出力が変動するため、電力品質の低下を引き起こし、既存電力系統の運用
に支障をきたす恐れがある
・周辺環境との調和、日本固有の台風などの気象条件や、複雑な地形に対応した風車の開発・導入
が課題
■導入事例
・大型
糸満市観光農園、伊江島、佐敷、楚洲、具志川
各風力発電所、伊平屋風力発電実証研究
設備(沖縄県)
・小型 ハイブリット型照明灯(神奈川県横浜市)
糸満市観光農園
ハイブリット型照明灯(横浜市)
212
バイオマスエネルギー
■対策・システムの概要
・太陽エネルギーが、植物により変換され生物体内に蓄えられた有機物を利用する、再生可能なエ
ネルギーであり、燃焼させることにより発電や熱利用のエネルギー源として利用可能
・バイオマス資源は、主に林産資源、水産資源、農産資源、畜産資源、一般・事業系廃棄物資源な
どに分類できる
■期待される効果
・バイオマスエネルギーを用いた発電や熱利用の効果は、その投入物の種類や量、処理方法によっ
て様々であるが、「カーボンニュートラル」なため追加的なCo2が発生しない、未利用の生物性
廃棄物を資源として活用できる
・廃棄物の再利用や減少につながり、家畜糞尿、農業残渣、飲食店からの厨芥ごみの適正処理にも
なる
■対策を導入する上での考え方
・バイオマス資源の入手と利用先が効率よく確保できるかが条件となり、収集場所、安定確保、利
用先の確保が必要
・バイオマス資源は広く分散していることが多く、収集・運搬・管理にコストがかかる
・プラント設置は、臭気や景観、ごみ搬入に伴う交通影響など都市づくりの観点からの検討が必要
■導入事例
・「ウエルネスタウン最上」木質バイオマスエネルギー地域冷暖房システム実験事業
213
廃棄物エネルギー(清掃工場排熱)
■対策・システムの概要
・多くの清掃工場では、焼却に伴って発生する排ガスから回収した熱を利用して高圧蒸気を作り、
発電や所内熱利用用途に利用されている。このプロセスから一部の高圧蒸気を取り出して、地域
冷暖房の熱源として利用している事例がみられる。
・また、清掃工場の復水器からの水は、ヒートポンプの熱源としての利用が可能であり、住宅団地
での事例もみられる。
■期待される効果
・清掃工場からの排熱は莫大な量があり、熱源や熱源水として利用できれば大幅な省エネルギー効
果が期待できる。
■対策を導入する上での考え方
・利用は清掃工場の周辺域(事例より半径約2km以内)に限定される。ただし、ヨーロッパでは、都
市内に広がる地域暖房のネットワークを使って、郊外にある清掃工場の排熱(主に蒸気や高温水)
を都市中心部に供給していると都市も多い。
■導入事例
・札幌市真駒内地区、千葉ニュータウン地区、東京臨副都心地区、光が丘地区、品川八潮地区、大
阪市森ノ宮地区、那覇・南風原クリーンセンター発電所(沖縄県南風原町)
那覇・南風原クリーンセンター発電所
214
温度差エネルギー(下水道に伴い発生する未利用エネルギー)
■対策・システムの概要
・下水道に伴い発生する未利用エネルギーには、下水汚泥の焼却排熱、消化ガス、下水処理水(中水
含む)や未処理水の温度差エネルギーの利用がある。
・下水汚泥の焼却排熱は、焼却に伴う熱の利用であり、高温蒸気や低温の冷却排熱の利用まで様々。
・消化ガスは、現在でも多くの下水処理場で利用されているが、大半が処理場内の電力や熱利用。
・下水処理水や未処理水の温度差エネルギーの利用は、電動ヒートポンプの冷却水または熱源水と
して、ヒートポンプ効率の向上に利用される。
■期待される効果
・スクラバー温排水を利用した六甲アイランド集合住宅地区の揚合、8月の給湯負荷のほぼ100%
が排熱で賄われ、年間平均では給湯負荷の約84%が賄われるとの試算が出されている。
・未処理水利用(後楽一丁目地区)の揚合、約18%の省エネルギー効果試算
・下水処理水利用(幕張新都心ハイテク・ビジネス地区)の揚合、約20%の省エネルギー効果試算
■対策を導入する上での考え方
・下水汚泥焼却排熱利用:汚泥焼却施設や清掃工場の周辺域での利用に限定
・下水処理水利用:下水処理場の周辺域に限定
・未処理水利用:下水処理場の地下水ポンプ場の周辺域でも利用が期待される
ただし、夾雑物の処理のための沈殿処理などの必要スペースの確保などが必要。
■導入事例
・下水汚泥焼却排熱利用:六甲アイランド集合住宅地区
・下水処理水(中水含む)や未処理水利用:盛岡駅西口(未処理水利用)、千葉問屋町(中水利用)、後楽
一丁目(未処理水利用)、幕張新都心ハイテク・ビジネス地区(下水処理水利用)、高松市番町地区(中
水利用)、下川端再開発地区(中水利用)
六甲アイランド集合住宅地区
215
温度差エネルギー(河川・海水)
■対策・システムの概要
・河川水、海水の温度は、夏は外気温よりも低く、冬は高いため、地域熱供給の熱源に効果的に利
用することができ、その結果、省エネルギー化を図ることができる。
・温度差エネルギー(河川水、海水、下水処理水など)は電動ヒートポンプの冷却水または熱源水と
して、ヒートポンプ効率の向上に利用される。
■期待される効果
・熱源とその利用量や利用方法によって効果は様々
・河川水利用:空気熱源方式比較、年間電力消費量28%削減(箱崎地区)
ガスボイラー比較、一次エネルギー約40%削減(大川端リバーシティ)
■対策を導入する上での考え方
・熱利用が可能な大規模河川や海岸に隣接していることや、地下水を利用する場合には、法規制、
環境影響への調査が必要
■導入事例
・河川水熱利用:箱崎地区(東京都)、富山駅北地区(富山県富山市)、中之島3丁目(大阪府大阪市)、
天満橋1丁目(大阪府大阪市)、大川端リバーシティ地区(東京都)
・海水熱利用:中部国際空港島地区(愛知県常滑市)、大阪南港コスモスクエア地区(大阪府)、サンポ
ート高松地区(香川県高松市)、シーサイドももち(福岡県福岡市)、金武町営プール(沖
縄県金武町)
中之島3丁目地区(河川水熱利用)
サンポート高松地区(海水熱利用)
216
温度差エネルギー(地下水)
■対策・システムの概要
・地下水が保有する熱を直接回収し、電動ヒートポンプの熱源水(冬期)または冷却水(夏期)として利
用することにより、ヒートポンプの熱効率の向上をはかるシステム
■期待される効果
・地下水は年間を通じて水温が十数℃に安定しており、夏は外気温よりも低く、冬は高いため、ヒ
ートポンプの熱源水、冷却水に効果的に利用することができ、その結果、省エネルギー化を図る
ことができる
■対策を導入する上での考え方
・地下水の利用に関しては、工業用水法等の法規制、都道府県条例による規制が厳しく行われてい
るほか、地下水利用による長期的な環境への影響調査が必要
■導入事例
・高松市番町地区、高崎市中央地区
高松市番町地区
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燃料電池
■対策・システムの概要
・空気中の酸素と水素を化学的に反応させ直接電気を発生させる発電装置のことで、家庭用、自動
車用、携帯電話用など小型のものから発電施設用の大型のものまで、様々な発電施設が開発され
ており、家庭用燃料電池は、2009年から本格販売が開始された
・発電する際に熱も発生させるため、電気と熱の両方を同時に利用できる。発電効率は40~50%
だが排熱利用すると80%となる
■期待される効果
・二酸化炭素を大幅に削減可能
218
天然ガスコージェネレーション
■対策・システムの概要
・天然ガスで発電する際に発生する熱を、温水や蒸気で利用するシステムで、電気と熱の両方が利
用できるシステム
■期待される効果
・電気と熱の両方が利用できるため、利用効率は70~90%と高い
・エネルギーを使う場所で発電し熱を供給するため、送電ロスがない
■対策を導入する上での考え方
・市街地再開発事業などの拠点開発に合わせて導入が期待される
・開発計画策定のなるべく早い段階からの導入の可能性について検討が必要
■導入事例
・ジャスコ名古屋みなと店(愛知県名古屋市)、公立陶生病院(愛知県瀬戸市)
公立陶生病院
219
面的エネルギーシステム
■対策・システムの概要
・ エネルギーの面的利用(Area Energy Network)とは、地域や地区レベルで、集中熱供
給プラントでつくられた冷熱や温熱を地域導管を使って各需要家(各建物)に供給し、需
要家の各種熱負荷(冷房、暖房、給湯など)に対してスケールメリットを活かして効率的
にエネルギー供給を行うシステムの総称。個々の建物ではなく、面的な複数の建物でエネ
ルギーの最適化を図ることを目的としている。
・ 利用する施設、建物、地域の特性により多様なものが想定でき、地域熱供給事業型、地点
熱供給型、建物間融通型などに分類できる。
■期待される効果
・省エネルギー性、地域環境保全性、火災発生低減、景観性の向上など都市環境向上にも期待でき
る。
■対策を導入する上での考え方
・都市整備を契機とした導入が考えられる。
・気候、エネルギーの需要形態及び組み合わせ、規模など地域の特性に合わせた導入判断が必要。
■導入事例
・地域熱供給事業
許認可地区数149地区(H21.7現在)
千葉ニュータウン都心地区
(ごみ焼却場廃熱利用)
社団法人
「エネルギーの面的利用促進導入ガイドブック」より
220
日本熱供給事業協会
HPより
分散型エネルギーシステム(マイクログリッド)
■対策・システムの概要
・近年、電力を必要とする場所の近くに小型発電機を設置し発電する試みが行われており、発電機
を必要とする場所ごとに分散して設置される「分散型電源」と電力量の需給バランス、電圧や周
波数など電力品質の維持のための「蓄電(電力貯蔵)」システムを複数組み合わせ、需要状況に合
わせて制御し、電力の地域自給を可能とする小規模の電力供給網。
・分散型電源として新エネルギーの利用も進められているが、風力や太陽光といった自然エネルギ
ーは、自然環境や季節間、昼夜間などの影響を受け出力変動が生じるため、変動電源である自然
エネルギーとその他の新エネルギーを適切に組み合わせ、これらを制御するシステムを開発する
ことにより、特定地域内で安定した電力・熱供給を行うことを目標としている。
■期待される効果
・自然エネルギー等の地域資源を生かし、エネルギーの地域自給が進むことにより、二酸化炭素の
排出量の削減やエネルギー自給率が向上し、地球温暖化対策として期待できる。
■対策を導入する上での考え方
・太陽光発電、バイオマス、風力などの自然エネルギーは、安定した供給には不十分な状況であり、
電力系統からの自立が課題である。現状では、実証研究中であり、当面は、既存の大規模発電網
との共存が現実的。
■導入事例
・「新エネルギー等地域集中実証研究」
愛・地球博覧会会場、八戸市水の流れを電気で返すプロジェクト(青森県八戸市)、京都エコエネ
ルギープロジェクト(京都府京丹後市)
愛・地球博覧会会場における実証研究
八戸市水の流れを電気で返すプロジェクト
NEDO(技術開発機構)HPより
221
水資源循環システム
■導入事例
・
さいたま新都心(埼玉県さいたま市)、那覇新都心(沖縄県那覇市)
「雨水貯留浸透のススメ 2008」社団法人
雨水貯留浸透技術協会
222
より
「沖縄地域下水道中期ビジョン(素案)H20.3」内閣府沖縄総合事務局
より
さいたま新都心地区の取組
UR都市機構
HP
より
223
那覇新都心地区の取組
「那覇新都心開発整備事業のあゆみ-米軍住宅跡地
変貌の奇跡-」UR都市機構より
224
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