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2007.8 HIV/AIDSという問題/民族博物館
第6号 発行日:平成19年8月25日 発行者:板垣 奈緒 HIV/AIDSという問題 ケニアでボランティア活動を始めて5ヶ月が経ちました。この間、住民から質問されることがもっとも多い事、それがHIV/AIDSという問 題です。村落訪問をすると必ず、「日本ではHIV/AIDSをどのようにコントロールしているのか」「どうしたらHIV/AIDSがなくなると思うか」 と質問されます。私の住む村でもAIDSは深刻な問題で、私が村に来てからのこの短い期間でも、既に数名の方がAIDSで亡くなられま した。 私が訪問した村の一つで、HIV/AIDS問題に積極的に取り組んでいる事例を紹介したいと思います。ここは、主要道路からは10キロ ほど離れた山奥にある村落です。村人は、畑をもち農家を営んでいます。一見、平和そうに見える人口4,000人のこの村は、HIV/AIDS 孤児135人を抱えており、孤児をいかに地域で育てていくかが課題となっています。 典型的な孤児が生まれる過程は、夫がまずどこからかHIVに感染し、当然妻にも感染する。その後、夫がAIDSを発症し亡くなり、後を 追うように妻が亡くなる。そして、亡くなったご夫婦の子供たちは全員孤児となってしまいます。両親が亡くなった途端に、それまで両親 が耕していた畑を他の人が勝手に横取りしてしまうという事態に発展し、子供たちは行き場を失い、ストリートチルドレンとなってしまい ます。 こうした孤児を救うために、この村では村人たちが自主的に支援を行っています。第1に、食料の確保を目的に、村人が順番で炊き出 しを行っていました。そして第2に、衣服購入のために、輸出向けコーヒー豆の栽培、ヤギ・牛の飼育、養蜂、を通じて得た現金を貯蓄し、 衣服を購入していました。 この取り組みは住民が主体となって、自らの問題に取り組んでいる事例でした。このプロジェクトが成功している理由を村のリーダーに 聞いてみたところ、元々デンマーク政府がこのプロジェクトに出資し、プロジェクトマネージメントを行っていたとのこと。そのおかげで、 帳簿に記入して現金収支を管理することの重要性や現金収入向上方法を提案されて実行した結果、成功しているとのことでした。現在、 デンマーク政府はプロジェクトに直接関与しておらず、私の配属先であるケニアの役所がプロジェクトのモニタリングを行っている段階 であり、成功事例として他の地域の手本にもなっています。 私が活動の中で出会う人々は皆、HIVの感染経路をしっかり理解しています。にもかかわらず感染を食い止めることができない。それ はHIV/AIDSが他の病気の異なり、性行為によって、他人に感染してしまうという特殊な病気であるからだと思います。このことがこの病 気の拡大を食い止めることを難しくしている現状を目の当たりにしました。 民族博物館 ケニアの様々な部族を紹介する観光施設であるBomas Of Kenyaに行ってきました。部族の伝統的家屋(写真右下)が屋外に展示されており、実 際に中を見学することもできます。 そして、大ホールではキクユ、カンバ、マサイなどの部族のダンスを見ることが出来き、ショーの最後には、アクロバットが披露されました。 ナイロビ博物館が閉鎖されている現在、首都の少ない観光地の一つとして、多くの観光客が訪れていました。 さすが観光地!西欧系の外国人観光客がたくさんいま した。 その後、これまた外国人しかいかないニャマチョマ屋さ ん(ケニア風焼肉屋さん)でディナーをとりました。それ もそのはず、一食一人4000円もするんです。この金 額は、私の住む村では1ヶ月の平均収入に相当します。 写真上:土壁で出来ているクリヤの家 かわいいきのこ形の家でした。主人の家、第1婦人の 家、第2婦人の家、長男の家、などが独立して建てら れていました。写真はおばあさんの家です 写真左:民族衣装をまとったダンサーが部族の踊りを 披露 撮影:ガミさん ミニバスに同乗中に事故に遭い、鞭打ちになりました。全治3週間と診断され首にはコルセット、という姿になってしまいました。 自分の意思で協力隊を志願してきたので、事故に遭っても誰のせいにもできませんが、つくづく危ない国だと思いました。