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シニア世代に多い事故
ヒヤリ・ハット調査 「シニア世代に多い事故」 (シニア世代のヒヤリ・ハット/詳細調査①) 平成24年2月 東京都生活文化局消費生活部 目 次 1.調査目的 ...................................................................................................................................1 2.調査概要 ...................................................................................................................................1 (1) 調査対象 ........................................................... 1 (2) 調査期間 ........................................................... 1 (3) 調査方法 ........................................................... 1 (4) 調査内容 ........................................................... 1 (5) 回答者の属性 ....................................................... 1 3.調査結果(ヒヤリ・ハットや危害経験)....................................................................2 (1) 全体的な傾向 ....................................................... 2 (2) 台所 ............................................................... 5 (3) 浴室・洗面所・トイレ .............................................. 10 (4) 居間 .............................................................. 14 (5) 寝室 .............................................................. 18 (6) 屋外・ベランダ .................................................... 20 (7) その他(階段・段差等) ............................................ 23 4.調査結果(長期間使用している製品) ..................................................................... 27 5.まとめ..................................................................................................................................... 29 6.結果の活用............................................................................................................................ 29 1.調査目的 日常生活で経験した「ヒヤリ・ハット」体験はどこへも情報提供されることなく多数埋もれて いることから、都では、危害危険情報を積極的に掘り起こすため、ヒヤリ・ハット調査を実施し ている。 今回は、シニア世代に多い事故を明らかにするため、20∼59 歳と 60 歳以上の都民に身の回り で起こったヒヤリ・ハットや危害の体験を聞き、その内容を比較した。 2.調査概要 (1) 調査対象 東京都に居住する 20 歳以上の男女 3,000 人(インターネットアンケート登録モニター) (2) 調査期間 平成 23 年 8 月 5 日∼11 日 (3) 調査方法 インターネットによるアンケート形式で実施 (4) 調査内容 本調査では、台所、浴室、居間、寝室、屋外、その他の場所に分け、日常生活で使用する具 体的な製品名をあげて、過去5年以内のヒヤリ・ハットや危害経験の有無を聞いた。次に、ヒヤ リ・ハットや危害の経験が「ある」と回答したものについて、危害の程度とその時の状況につい て選択式の設問で聞き、さらに、全体のヒヤリ・ハットや危害経験の中からひとつを選んで具体 的な内容を記述式の設問で詳しく聞いた。 また、自宅で使用している電気製品、ガス製品、家具等について、その使用年数を聞いた。 (5) 回答者の属性 回答者は、20∼59 歳の回答者を 1,500 人、60 歳以上の回答者を 1,500 人とした。 なお、70 歳以上は、インターネットアンケート登録モニターが少ないため、同居している家 族による代理回答を併用した。 男女計 (人) 合計(人) 3,000 男性 (人) 内、 代理回答 224 1,568 内、 代理回答 女性 (人) 66 1,432 内、 代理回答 158 20~59歳 1,500 0 760 0 740 0 60歳以上 1,500 224 808 66 692 158 20歳代(人) 375 0 203 0 172 0 30歳代(人) 375 0 187 0 188 0 40歳代(人) 375 0 183 0 192 0 50歳代(人) 375 0 187 0 188 0 60歳代(人) 750 0 375 0 375 0 70歳以上(人) 750 224 433 66 317 158 ■ヒヤリ・ハット ケガはしなかったが、ヒヤリとしたりハッとした事例 ■危害 ケガをした事例や発火・発煙・引火等重大な事故につながるおそれのある事例 ※「ケガ」には、やけどやかぶれ、呼吸困難、具合が悪くなった等も含まれる。 1 3.調査結果(ヒヤリ・ハットや危害経験) (1) 全体的な傾向 ア ヒヤリ・ハットや危害経験 図 1 は、アンケートの回答者全体でヒヤリ・ハットや危害経験者が多かったもの(180 人以上) について、20∼59 歳の回答者と 60 歳以上の回答者のヒヤリ・ハットや危害経験者の数を比較し たものである。回答者全体でヒヤリ・ハットや危害経験者が特に多かったものは、 「靴・履物」 、 「包丁」 、 「自転車」であり、20∼59 歳の回答者と比較して、60 歳以上の回答者のほうが特に多 かったものは、 「段差(家の中) 」 、 「スリッパ」 、 「脚立・踏み台」だった。 2 図 1 ヒヤリ・ハットや危害経験 N=3,000 0 100 200 300 400 392(79/313) 288(182/106) 350(201/149) ガスコンロ (n=638) 389(56/333) スライサー・おろし器 (n=635) 246(41/205) 缶詰 (n=314) 163(19/144) 151(18/133) ラップ・ホイル(n=306) 165(21/144) 141(16/125) 144(35/109) 135(28/107) 93(34/59) 105(49/56) 223(195/28) 215(173/42) 浴槽・浴槽ふた (n=438) 270(49/221) かみそり・電気シェーバー (n=411) マット・すのこ (n=228) シャンプー・リンス (n=200) カビ取り剤 (n=180) 141(27/114) 95(74/21) 133(99/34) 140(99/41) 60(39/21) 104(70/34) 76(47/29) 235(34/201) 179(21/158) はさみ・カッター(n=414) 居 間 脚立・踏み台 (n=354) 138(99/39) 216(131/85) スリッパ (n=349) 130(105/25) 219(172/47) テーブル・椅子 (n=310) アイロン(n=301) 衣類(n=250) 延長コード(n=203) 寝 室 屋 外 ・ ベ ラ ン ダ たんす(n=272) 布団・布団カバー (n=199) 161(105/56) 149(99/50) 195(70/125) 106(19/87) 150(69/81) 100(36/64) 120(87/33) 83(62/21) 181(96/85) 91(48/43) 84(72/12) 115(97/18) 698(478/461) 靴・履物 (n=1,161) 463(269/233) 458(231/184) 458(200/258) 自転車 (n=916) 傘(n=375) 物干し竿 (n=218) 233(125/108) 142(59/83) 94(64/30) 124(94/30) 235(182/53) 266(181/85) 段差(家の外) (n=501) 段差(家の中) (n=433) そ の 他 164(142/22) 269(221/48) 階段(家の外)(n=411) 234(163/71) 177(113/64) 道路・店舗の床等(n=382) 238(204/34) 144(101/43) 階段(家の中)(n=371) ドア(家の中)(n=308) 床(家の中)(n=211) 800 (人) 263(76/187) 食器(n=279) 浴 室 ・ 洗 面 所 700 474(116/358) 鍋・フライパン・やかん (n=655) 電気ポット(n=198) 600 672(165/507) 包丁 (n=1,146) 台 所 500 168(105/63) 203(138/65) 196(114/82) 112(54/58) 20~59歳 60歳以上 105(89/16) 106(67/39) ※本報告書における注意事項 ・グラフ上の「N=○」(○は数字)は、アンケート対象者の数を示す。 ・グラフ上の「n=○」(○は数字)は、アンケート対象者のうち、ヒヤリ・ハットや危害経験が「ある」と回答した人の数を示す。 ・グラフ上の「(○/○)」(○は数字)は、(ヒヤリ・ハット経験者の数/危害経験者の数)を示す。 3 イ 医療機関の受診状況 図 2 は、アンケートの回答者全体で医療機関の受診が多かったもの(上位 5 製品)について、 20∼59 歳の回答者と 60 歳以上の回答者の医療機関受診者の数を比較したものである。 「自転 車」 、 「靴・履物」 、 「階段(家の外) 」は、ヒヤリ・ハットや危害経験者の数で比較すると、20 ∼59 歳の回答者のほうが多いかあるいは同程度であるが(図 1 参照) 、医療機関受診の有無で 比較すると 60 歳以上の回答者のほうが多くなっている(図 2 参照) 。このことから、高齢に なると、ケガが重症化しやすいことがわかる。 図 2 医療機関の受診状況 N=3,000 0 50 100 150 (人) 47 自転車 (n=147) 100 17 靴・履物 (n=53) 36 20 階段(家の外)(n=46) 26 9 段差(家の外) (n=43) 34 20~59歳 60歳以上 15 階段(家の中) (n=40) 25 ウ 発火・発煙・引火 図 3 は、アンケートの回答者全体で「発火・発煙・引火した」と回答した人が多かったもの (上位 5 製品)について、20∼59 歳の回答者と 60 歳以上の回答者の発火・発煙・引火の経験者 数を比較したものである。 「ガスコンロ」は、60 歳以上の回答者のほうが、発火・発煙・引火 の経験者が多くなっているものの、それ以外では 20∼59 歳の回答者のほうが多くなっている。 図 3 発火・発煙・引火 N=3,000 0 50 100 81 ガスコンロ (n=217) ヘアドライヤー (n=57) 136 46 11 38 電子レンジ・オーブン(n=55) 延長コード (n=35) 150 (人) 17 25 10 20~59歳 鍋・フライパン・やかん (n=31) 20 60歳以上 11 4 (2) 台所 ア ヒヤリ・ハットや危害経験 図 4 は、主に「台所」で使用する製品について、20∼59 歳の回答者と 60 歳以上の回答者の ヒヤリ・ハットや危害経験者の数を比較したものである。回答者全体でヒヤリ・ハットや危 害経験者が多かったものは、 「包丁」 、 「鍋・フライパン・やかん」 、 「ガスコンロ」であり、20 ∼59 歳の回答者と比較して 60 歳以上の回答者のほうが多かったものは、 「ガスコンロ」 、 「電 気ポット」 、 「ゴム・ビニール手袋」 、 「換気扇」だった。 「その他」としては、 「冷蔵庫」 、 「食器棚」等があった。 図 4 「台所」のヒヤリ・ハットや危害経験 N=3,000 0 100 200 300 400 包丁(n=1,146) 263(76/187) 163(19/144) 151(18/133) ラップ・ホイル (n=306) 165(21/144) 141(16/125) 144(35/109) 135(28/107) 食器 (n=(279) 93(34/59) 105(49/56) 電気ポット (n=198) 116(53/63) 49(19/30) 89(17/72) 63(11/52) 食品(n=102) 58(36/22) 44(22/22) 炊飯器(n=82) 59(32/27) 23(8/15) 健康食品 (n=53) ミキサー (n=29) 換気扇 (n=26) ガス瞬間湯沸器 (n=24) 電気食器洗機 (n=11) その他 (n=34) 392(79/313) 246(41/205) 缶詰 (n=314) ゴム・ビニール手袋 (n=53) 800 (人) 672(165/507) 389(56/333) スライサー・おろし器 (n=635) ホットプレート (n=76) 700 288(182/106) 350(201/149) ガスコンロ(n=638) 台所用洗剤(n=152) 600 474(116/358) 鍋・フライパン・やかん (n=655) 電子レンジ・オーブン(n=165) 500 43(11/32) 33(8/25) 24(4/20) 29(4/25) 36(7/29) 17(4/13) 20(5/15) 9(1/8) 8(3/5) 18(9/9) 16(11/5) 8(3/5) 9(3/6) 2(2/0) 20~59歳 21(11/10) 13(8/5) 60歳以上 5 イ ヒヤリ・ハットや危害経験時の状況及び具体的な内容 図 5∼図 12 は、主に「台所」で使用する製品でヒヤリ・ハットや危害経験者の数が多かった もの(180 人以上)について、その時の状況を 20∼59 歳の回答者と 60 歳以上の回答者で比較した ものである。また、表 1 は「台所」のヒヤリ・ハットや危害経験時の具体的な内容を示している。 ヒヤリ・ハットや危害経験時の状況のうち、20∼59 歳の回答者と比較して 60 歳以上の回答者 のほうが特に多かった事例は、 「ガスコンロの火を消し忘れた」だった。ガスコンロの消し忘れ については、具体的な記述内容から、視力の衰えから炎が見えにくくなって火が消えたと勘違い してしまうことも原因のひとつと考えられる。事故を防ぐためには、ガスコンロは安全装置付き のものを使用すべきである。 また、缶詰を開けるときのケガは、具体的な記述内容から缶切り不要のイージーオープン缶が 多いと思われ、指の力が衰えていることも原因のひとつと考えられる。缶詰を開ける時は、容器 本体を持つ手の指が缶のふたの上にかかっていないことを確認し、親指を缶のふたにあて、人差 し指でリングを上の方に引き上げるようにして開けるようにするとよい。また、ケガをしにくい 構造のダブルセーフティ缶を選ぶという方法もある。 図 5 「包丁」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=1,146 0 100 200 食品を入れている袋等を 切った時に手を切った (n=22) 500 600 (人) 282(33/249) 94(82/12) 99(71/28) 床等に包丁を落とした (n=193) 洗浄している時に手を切った(n=40) 400 461(58/403) 食品を切っている時に手を切った(n=743) 食品の皮むきをしている時に手を切った(n=129) 300 79(16/63) 50(6/44) 21(0/21) 19(3/16) 7(3/4) 15(0/15) 20~59歳 その他 (n=19) 10(6/4) 9(3/6) 60歳以上 図 6 「鍋・フライパン・やかん」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 0 100 熱くなった本体や取っ手に触れた(n=515) 空焚きをした (n=29) 鍋本体・ふたを落とした(n=22) 油に引火した(n=19) 取っ手が破損した(n=17) 中身が噴出した(n=16) その他 (n=37) 200 N=655 300 209(51/158) 400 306(60/246) 10(2/8) 19(7/12) 15(2/13) 7(4/3) 14(5/9) 5(2/3) 10(4/6) 7(6/1) 12(2/10) 4(2/2) 20~59歳 25(4/21) 12(4/8) 60歳以上 6 人 図 7 「ガスコンロ」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=638 0 100 200 300 400 (人) 206(138/68) 252(141/111) 火を消し忘れた(n=458) 周囲のものにコンロの火が引火した (n=36) 20(10/10) 16(11/5) 着衣にコンロの火が引火した(n=22) 12(6/6) 10(7/3) 調理中の油や食材に引火した(n=22) 10(3/7) 12(3/9) ガスが漏れて異臭がした (n=21) 急に炎が大きく燃えあがった (n=19) コンロの火に髪の毛や手が触れた(n=11) その他 (n=49) 7(6/1) 14(11/3) 10(6/4) 9(3/6) 9(6/3) 2(2/0) 20~59歳 14(7/7) 35(23/12) 60歳以上 図 8 「スライサー・おろし器」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=635 0 100 200 300 (人) スライサーでスライスしている時に 手を切った(n=366) 229(21/208) 137(16/121) おろし金でおろしている時に 手を切った (n=245) おろし器・スライサーの 洗浄中に手を切った(n=19) 147(30/117) 98(22/76) 11(5/6) 8(1/7) 20~59歳 その他(n=5) 2(0/2) 3(2/1) 60歳以上 図 9 「缶詰」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=314 0 25 50 100 (人) 84(7/77) 洗浄時に手を切った(n=140) 56(4/52) 50(9/41) 開缶時に手を切った (n=126) 76(10/66) 中身を取り出そうとした時に 手を切った(n=43) その他 (n=5) 75 27(3/24) 16(1/15) 20~59歳 2(0/2) 3(3/0) 60歳以上 7 図 10 「ラップ・ホイル」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=306 0 25 50 75 100 (人) 71(11/60) 76(10/66) カッターで切る時に手を切った(n=147) 72(7/65) 分別して捨てる時に手を切った(n=121) 49(7/42) 20(2/18) 15(2/13) ラップ・ホイルをつかんだ時に 手を切った(n=35) 20~59歳 2(1/1) 1(1/0) その他(n=3) 60歳以上 図 11 「食器」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=279 0 25 50 75 100 125 134(31/103) 115(21/94) 破損した破片で手を切った(n=249) 7(4/3) 13(5/8) 熱くなった食器に触れた(n=20) その他(n=10) 150 (人) 20~59歳 3(0/3) 7(2/5) 60歳以上 図 12 「電気ポット」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=198 0 25 (人) 15(1/14) 19(9/10) 残り湯を捨てようとした時お湯がかかった(n=34) 空焚きをした(n=5) 100 30(11/19) 35(16/19) 加熱中の蒸気に触れた(n=65) 加熱中にお湯が噴出した(n=6) 75 32(12/20) 34(14/20) お湯を注ぐ時にお湯がかかった(n=66) ポットが転倒してお湯がかかった(n=8) 50 5(2/3) 3(2/1) 2(1/1) 4(2/2) 2(2/0) 3(2/1) 20~59歳 その他(n=14) 7(5/2) 7(4/3) 60歳以上 8 表1 「台所」のヒヤリ・ハットや危害経験時の具体的な内容 製品名 1 包丁 2 3 4 5 鍋 ガス コンロ 6 内容 回答者 台所でにんじんを切っていた時、包丁が落下し、右足に包丁の先端が刺さった。いつも のように握っていたつもりだが、包丁に握力が伝わらない瞬間があったようだ。幸い厚 手のソックスとスリッパを履いていたので、包丁は刺さったままだったが、足の甲には 数ミリしか刺さっていなかったので、アルコール消毒と救急絆創膏で処置した。 60 代 男性 包丁を台所流し台の扉にしまおうとして落とし、足の指を切ってしまった。 60 代 女性 寝る前に睡眠薬を飲んだのに、みそ汁を温め直すのを忘れていて温めているうちに寝て しまった。家族が気付いて消してくれた。 80 代 女性 ガスコンロを一番小さい火にすると、上から見る炎がよく見えず消えていると勘違いし てしまった。しかし、自動で消える機能があるので大事には至らなかった。 70 代 女性 ガスコンロを弱火で使っていて、消し忘れた。日が当っていて炎が見えなかった。数時 間後、あたりが薄暗くなって消し忘れに気付いた。 60 代 女性 プルトップが固くて、勢いよく引っ張った時に、缶詰の縁で手を切った。 缶詰 7 8 9 缶詰のふたを引っ張ったとき、親指と人差し指の中間を切った。 電気 ポット 電気ポットから湯気が出ていたが、スイッチが近くにあるので操作していたら手が触れ ていた。アチッチ!となり手が赤くなってしまった。 ポットの残り湯をキッチンシンクに捨てようとしたところ、手が滑ってポットをシンク に落とし、やけどを負ってしまった。 60 代 女性 70 代 男性 60 代 男性 70 代 女性 《参考: 缶詰の開け方》 ケガをしやすい開け方① ケガをしやすい開け方② リングを引き上げる手の親指でふたを 押さえていない。 →急にふたが開き手を切りやすい。 缶を持つ側の手の指がふたの上にかかって いる。 →持ち上げたふたで手を切りやすい。 ケガをしにくい構造の缶 ケガをしにくい開け方 (見分け方) 切り込み溝が盛り 上がっている ① ② 容器本体を持つ手の指が缶のふたの上に かかっていないことを確認する。 親指を缶のふたにあて人差し指でリングを 上の方に引き上げるように開ける。 ダブルセーフティ缶 缶開口部・ふたとも切り口が手が接触しに くいよう内側に折り曲げられている 出典:商品テスト「缶詰容器の安全性について」(平成 20 年 5 月 東京都生活文化局) 9 (3) 浴室・洗面所・トイレ ア ヒヤリ・ハットや危害経験 図 13 は、主に「浴室・洗面所・トイレ」で使用する製品について、20∼59 歳の回答者と 60 歳以上の回答者のヒヤリ・ハットや危害経験者の数を比較したものである。回答者全体でヒ ヤリ・ハットや危害経験者が多かったものは、「浴槽・浴槽ふた」、「かみそり・電気シェー バー」 、 「マット・すのこ」であり、20∼59 歳の回答者と比較して 60 歳以上の回答者のほうが 多かったものは、「マット・すのこ」、「浴室用椅子」 、「染毛剤・カラーリング剤」、「浴室用 ブーツ」 、 「便器・便座」 、 「屋内式ガスふろがま」だった。 「その他」としては、 「浴室の床」 、 「シャワーノズル」等があった。 図 13 「浴室・洗面所・トイレ」のヒヤリ・ハットや危害経験 N=3,000 0 100 200 300 400 (人) 223(195/28) 215(173/42) 浴槽・浴槽ふた(n=438) 270(49/221) かみそり・電気シェーバー (n=411) 141(27/114) 95(74/21) 133(99/34) マット・すのこ(n=228) 140(99/41) シャンプー・リンス(n=200) 60(39/21) 104(70/34) 76(47/29) カビ取り剤(n=180) 59(52/7) 浴室用椅子(n=158) ヘアドライヤー(n=151) 化粧品 (n=132) 石鹸・ボディーソープ(n=108) 染毛剤・カラーリング剤(n=91) 浴室用ブーツ(n=80) 便器・便座(n=69) 屋内式ガスふろがま (n=64) 洗濯機(n=32) 99(76/23) 130(77/53) 21(9/12) 87(21/66) 45(13/32) 68(39/29) 40(24/16) 40(8/32) 51(12/39) 38(31/7) 42(32/10) 30(24/6) 39(28/11) 31(20/11) 33(19/14) 22(20/2) 10(6/4) ヘアスプレー・整髪料(n=29) 19(11/8) 10(2/8) 消臭スプレー・消臭剤 (n=28) 18(14/4) 10(5/5) 入浴剤(n=27) その他 (n=26) 15(5/10) 12(4/8) 20~59歳 19(11/8) 7(6/1) 60歳以上 10 イ ヒヤリ・ハットや危害経験時の状況及び具体的な内容 図 14∼図 18 は、主に「浴室・洗面所・トイレ」で使用する製品でヒヤリ・ハットや危害経験 者が多かったもの(180 人以上)について、その時の状況を 20∼59 歳の回答者と 60 歳以上の回答 者で比較したものである。また、表 2 は、 「浴室・洗面所・トイレ」のヒヤリ・ハットや危害経 験時の具体的な内容を示している。 ヒヤリ・ハットや危害経験時の状況のうち、20∼59 歳の回答者と比較して 60 歳以上の回答者 のほうが特に多かった事例は、 「水・石鹸等で濡れていて、マット・すのこが滑った」だった。 浴室は、足元が濡れていてさらに姿勢を変えることが多いので、バランスを崩す危険性が高い。 手すりを設置し、滑りやすい石鹸等の泡をしっかりと流すようにしなければならない。 図 14 「浴槽・浴槽ふた」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=438 0 50 100 浴槽内で滑った(n=232) 106(88/18) (人) 20(16/4) 22(16/6) 浴槽を掃除中に転落した (n=42) ふたをつけたり取ろうとして バランスを崩した(n=29) 5(5/0) ふたに手をついたら、ふたが落ちて 浴槽内に転落した(n=15) 24(21/3) 9(9/0) 6(5/1) 浴槽内で入浴剤を使 用していて滑った(n=11) 浴槽のふたの溝に指を挟まれた(n=5) 126(114/12) 34(29/5) 33(26/7) 浴槽へ入ろうとして転落した(n=67) 入浴中にのぼせて気分が悪くなった (n=6) 150 8(7/1) 3(2/1) 6(3/3) 0 2(2/0) 3(3/0) 20~59歳 60歳以上 13(10/3) 18(12/6) その他 (n=31) 図 15 「かみそり・電気シェーバー」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=411 0 50 100 200 (人) 178(22/156) かみそりで皮膚を切った(n=262) 84(13/71) 電気シェーバーの刃で 皮膚を切った (n=78) 使用後に皮膚がかぶれた(n=66) 150 41(8/33) 37(7/30) 48(17/31) 18(7/11) 20~59歳 その他 (n=5) 3(2/1) 2(0/2) 60歳以上 11 図 16 「マット・すのこ」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=228 0 25 50 浴室に入る時足を乗せたら マット・すのこが滑った(n=110) 75 100 (人) 50(42/8) 60(46/14) 浴槽に入る時洗い場のマット・ すのこが滑った(n=56) 28(16/12) 28(18/10) 水・石鹸等で濡れていて マット・すのこが滑った(n=54) 15(14/1) 39(29/10) 20~59歳 2(2/0) 6(6/0) その他 (n=8) 60歳以上 図 17 「シャンプー・リンス」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=200 0 25 50 100 125 150 (人) 103(84/19) 目に入った (n=142) 39(30/9) 34(13/21) 痒み・かぶれ等が生じた(n=52) 床に残っていた泡で滑った(n=5) 75 18(6/12) 3(2/1) 2(2/0) 20~59歳 その他(n=1) 0 1(1/0) 60歳以上 図 18 「カビ取り剤」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=180 0 25 50 噴射口から液だれして手に付着し、 かぶれた(n=12) その他 (n=9) 100 (人) 80(57/23) 気分が悪くなった(n=145) 素手で使用し、皮膚がかぶれた(n=14) 75 65(41/24) 10(8/2) 4(2/2) 9(3/6) 3(1/2) 20~59歳 5(2/3) 4(3/1) 60歳以上 12 表2 「浴室・洗面所・トイレ」のヒヤリ・ハットや危害経験時の具体的な内容 製品名 1 2 浴槽・ 浴槽ふた 3 4 マット・ すのこ 5 6 浴室用 椅子 内容 回答者 深めの浴槽の下の方ををスポンジで掃除している時に、バランスを崩して頭から浴槽 の中に落ちそうになった。 60 代 女性 風呂のふた3枚が風呂の手すりに立てかけてあった。風呂に入り、ふた3枚を持って 風呂から出ようとしたところ、すねを浴槽にぶつけ、ひどく内出血した。 70 代 男性 浴槽を掃除しようとしてふたに手をかけたらふたが外れ、そのまま浴槽に転落、首、 肩を打った。医療機関は受診しなかったが、一週間ほど痛みが抜けなかった。 70 代 男性 自宅のお風呂場へドアを開けて入った際、敷いてあったマットが自分自身の重量でず れ後ろ側へ転倒した。左肘をついたので後頭部を打ち付けることなくカバーでき、左 肘に血がにじむ程度で助かった。 70 代 男性 風呂場の椅子に座ろうとして腰をおろす際、端のほうに腰掛けてしまい、椅子が転倒 して尻もちをついた。 70 代 男性 浴室で使用していた椅子の足についているゴム製の滑り止めが、経年劣化で外れてし まい、がたつきが出ていたが、そのまま使っていたら滑って尻もちをついた。 70 代 男性 カラーリングで頭皮がかぶれ、白髪が染められなくなった。 60 代 女性 7 染毛剤・ カラーリング剤 8 浴室用 ブーツ 風呂場を掃除しようとして、浴室用ブーツを履いた途端、ツルーン・・・。とっさに 柱につかまったので、大事故にはならなかったが、それ以降は、柱を持ってブーツを 履くようにした。 60 代 女性 9 便器・ 便座 トイレシャワーを使用した瞬間熱いなと思ったが、使用後しばらくしてヒリヒリして 赤黒っぽくなり、直るまで時間がかかった。 60 代 女性 10 その他(浴 室用洗剤) 風呂洗い用洗剤の文字が小さいのでシャンプーと間違えて頭にかけてしまい目に入っ た。めがねを外して風呂に入るので小さな文字が読めなかった。 70 代 男性 13 (4) 居間 ア ヒヤリ・ハットや危害経験 図 19 は、主に「居間」で使用する製品について、20∼59 歳の回答者と 60 歳以上の回答者の ヒヤリ・ハットや危害経験者の数を比較したものである。回答者全体でヒヤリ・ハットや危害経 験者が多かったものは、 「はさみ・カッター」 、 「脚立・踏み台」 、 「スリッパ」であり、20∼59 歳 の回答者と比較して 60 歳以上の回答者のほうが多かったものは、 「脚立・踏み台」 、 「スリッパ」 、 「カーペット・マット」 、 「使いすてカイロ」 、 「石油ストーブ」だった。また、 「掃除機」は、20 ∼59 歳の回答者と 60 歳以上の回答者の数が同じだった。 「その他」としては、 「新聞紙」 、 「座布団」等があった。 図 19 「居間」のヒヤリ・ハットや危害経験 N=3,000 0 100 200 はさみ・カッター(n=414) 138(99/39) アイロン(n=301) 100(36/64) 延長コード(n=203) 83(62/21) 62(47/15) カーペット・マット(n=178) 14(6/8) 46(21/25) 33(24/9) 11(3/8) 21(14/7) 20(12/8) テレビ(n=41) 21(15/6) 20(14/6) 電気こたつ(n=20) その他(n=39) 116(92/24) 41(29/12) 23(19/4) 石油ファンヒーター(n=41) エアコン (n=24) 120(87/33) 37(29/8) 37(28/9) 掃除機(n=74) 石油ストーブ(n=24) 150(69/81) 57(17/40) 79(19/60) 使いすてカイロ(n=136) 殺虫剤・防虫剤(n=28) 195(70/125) 106(19/87) 衣類(n=250) パソコン(n=34) 219(172/47) 161(105/56) 149(99/50) テーブル・椅子(n=310) 扇風機(n=44) 216(131/85) 130(105/25) スリッパ(n=349) 電気ストーブ(n=60) 235(34/201) 179(21/158) 脚立・踏み台(n=354) 照明器具(n=64) 300 24(12/12) 10(1/9) 18(11/7) 10(7/3) 11(5/6) 13(7/6) 18(12/6) 6(3/3) 13(7/6) 7(3/4) 20~59歳 18(9/9) 21(13/8) 60歳以上 14 (人) イ ヒヤリ・ハットや危害経験時の状況及び具体的な内容 図 20∼図 26 は、主に「居間」などで使用する製品でヒヤリ・ハットや危害経験者が多かっ たもの(180 人以上)について、そのときの状況を 20∼59 歳の回答者と 60 歳以上の回答者で比 較したものである。また、表 3 は、 「居間」のヒヤリ・ハットや危害経験時の具体的な内容を 示している。 ヒヤリ・ハットや危害経験時の状況のうち、20∼59 歳の回答者と比較して 60 歳以上の回答 者のほうが特に多かった事例は、 「履いていたスリッパを自分で踏んで転倒した」だった。足 が思うように動かなくなることや足のサイズとスリッパのサイズが合っていないことが原因 と考えられる。事故を防止するには、自分の足に合ったルームシューズなどを使うようにす るとよい。 他には、 「椅子に手をついて立ち上がろうとした際に転倒」 、 「椅子に座り損ねて転倒」など も 60 歳以上の回答者が多かった。加齢に伴い足腰が弱くなったことが原因と思われる。立ち 上がる時は、なるべく手すりを使用して不安定なものにはつかまらないようにする、椅子に 座るときには、位置をよく確認するなどの慎重に動作することが必要である。 図 20 「はさみ・カッター」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=414 0 100 200 300 (人) 220(27/193) 使用中に誤って手を切った(n=387) 167(17/150) 手が滑って下に落とした(n=13) 7(5/2) 6(2/4) その他 (n=14) 8(2/6) 6(2/4) 20~59歳 60歳以上 図 21 「脚立・踏み台」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=354 0 50 100 200 (人) 107(81/26) 使用中に転倒・転落した(n=279) 172(101/71) 折り畳み式脚立・踏み台に 指を挟まれた(n=45) 使用中に 製品が破損した (n=6) 150 22(11/11) 23(13/10) 4(3/1) 2(1/1) 20~59歳 その他 (n=24) 5(4/1) 19(16/3) 60歳以上 15 図 22 「スリッパ」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=349 0 25 50 濡れていた床で スリッパが滑った(n=83) 36(30/6) 自分が履いていたスリッパを もう片方のスリッパで踏んで転倒した(n=82) 100 (人) 47(39/8) 18(13/5) 階段の昇降時に スリッパが滑った(n=65) 75 64(52/12) 31(23/8) 34(25/9) 床に置かれたスリッパに つまずいた(n=44) 18(17/1) 26(20/6) 階段の昇降時にスリッパが 脱げて転倒した(n=41) 17(15/2) 24(17/7) 10(7/3) その他 (n=34) 20~59歳 60歳以上 24(19/5) 図 23 「テーブル・椅子」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=310 0 25 50 75 63(49/14) 62(46/16) 椅子を踏み台代わりにして転落した(n=125) テーブルに頭・足等をぶつけた(n=51) 14(9/5) 背もたれに体重をかけたら、 ひっくりかえって腰を打った(n=22) 26(17/9) 11(6/5) 11(8/3) 椅子につかまって立ち上がろうとして 転倒した(n=21) テーブルを踏み台代わりにして転落した(n=8) 38(18/20) 13(4/9) 椅子に座り損ねた(n=40) 椅子に座っている時に 椅子(部品含む)が破損した(n=14) 100 (人) 6(3/3) 15(11/4) 12(8/4) 2(2/0) 4(3/1) 4(3/1) 20~59歳 13(9/4) 16(8/8) その他(n=29) 60歳以上 図 24 「アイロン」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=301 0 50 スチームに触れた(n=28) アイロンを消し忘れた(n=6) その他 (n=10) 150 200 (人) 146(47/99) 使用中のアイロンに手や体が触れた(n=215) 使用後のアイロンに手や体が触れた(n=42) 100 69(9/60) 29(11/18) 13(1/12) 13(8/5) 15(6/9) 3(2/1) 3(1/2) 20~59歳 4(2/2) 6(2/4) 60歳以上 16 図 25 「衣類」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 0 25 50 N=250 100 (人) 75 94(55/39) ファスナー・ボタンに皮膚を挟まれた(n=170) 76(29/47) 51(13/38) 下着を着用してかぶれた(n=70) 19(4/15) 20~59歳 5(1/4) 5(3/2) その他(n=10) 60歳以上 図 26 「延長コード」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 0 25 50 延長コードにつまずいた(n=151) 延長コードから発火・発煙した(n=39) 75 N=203 100 (人) 84(78/6) 67(56/11) 20(3/17) 10(3/7) 延長コードが過熱して溶けた・変形した(n=13) 8(3/5) 5(2/3) その他(n=9) 8(3/5) 1(1/0) 20~59歳 表3 60歳以上 「居間」のヒヤリ・ハットや危害経験時の具体的な内容 製品名 1 脚立・ 踏み台 2 3 スリッパ 4 5 6 7 テーブル ・ 椅子 カーペット ・ マット 8 9 使いすて カイロ 内容 回答者 棚の上の物を取ろうとして踏み台から落下し、足首を骨折して入院した。 80 代 男性 スリッパを履いて階段を上がる時、スリッパ前部が引っかかり転倒した。その後、何 度か同じように転倒しかけた。自分が思っているより足が上がっておらず、スリッパ 分引っかかる感じ。その後スリッパを履くのをやめた。 70 代 男性 雨が降ってきたので急いで窓を閉めようとして、自分で自分のスリッパを踏んで転倒 し、左腕を骨折した。 60 代 女性 冬場の靴下は厚いのでゆったりめのスリッパを履くようにしていた。春先になり、薄 手の靴下を履いて階段を下りようとしたら、スリッパごと滑り落ちてお尻を強く打 ち、青あざができた。 60 代 女性 回転椅子に座り損ねて尾てい骨を強く打ち、かなり長く痛みが続いた。 70 代 女性 テーブルに乗って出窓のサッシを閉めようとしたら、窓が硬くて、思いっきり閉めよ うとしたらその勢いでテーブルから転落し、肋骨を骨折した。 70 代 男性 じゅうたんの端がめくれてつまずいて転び、大腿骨を骨折して入院した。元々、骨粗 しょう症であったため骨折したと思われる。じゅうたんは古いもので固くなってい た。 80 代 女性 階段を上がろうとした時に、下に敷いてあるカーペットがずれて、階段の段差に顔を ぶつけた。かなり腫れたが冷やして治した。 70 代 男性 寒い時期はいつも使いすてカイロを下着の上から腰に貼っているが、同じ場所に貼っ ているため温度に鈍感になったらしく、気が付いた時にはかなり大きな水ぶくれに なっていて驚いた。 60 代 女性 17 (5) 寝室 ア ヒヤリ・ハットや危害経験 図 27 は、主に「寝室」で使用する製品について、20∼59 歳の回答者と 60 歳以上の回答者の ヒヤリ・ハットや危害経験者の数を比較したものである。回答者全体でヒヤリ・ハットや危害経 験者が多かったものは、 「たんす」 、 「布団・布団カバー」 、 「突っ張り棒・ハンガー」だったが、 20∼59 歳の回答者と比較して 60 歳以上の回答者のほうが多かったものは、 「布団・布団カバー」 、 「ベッド」 、 「電気あんか」だった。 「その他」としては、 「冷却マット」 、 「布団乾燥機」等があった。 図 27 「寝室」のヒヤリ・ハットや危害経験 N=3,000 0 100 91(48/43) 84(72/12) 115(97/18) 布団・布団カバー(n=199) 106(86/20) 突っ張り棒・ハンガー(n=162) 56(48/8) 23(15/8) 43(32/11) 35(19/16) 28(12/16) 湯たんぽ(n=63) 電気あんか(n=50) 電気毛布(n=20) 300 (人) 181(96/85) たんす(n=272) ベッド(n=66) 200 22(10/12) 28(12/16) 12(7/5) 8(3/5) 20~59歳 その他(n=12) 6(3/3) 6(4/2) 60歳以上 18 イ ヒヤリ・ハットや危害経験時の状況及び具体的な内容 図 28∼図 29 は、主に「寝室」などで使用する製品でヒヤリ・ハットや危害経験者が多かっ たもの(180 人以上)について、そのときの状況を 20∼59 歳の回答者と 60 歳以上の回答者で比 較したものである。また、表 4 は、 「寝室」のヒヤリ・ハットや危害経験時の具体的な内容を 示している。 ヒヤリ・ハットや危害経験時の状況のうち、20∼59 歳と比較して 60 歳以上の回答者のほう が特に多かった事例は、 「布団カバーにつまずいた」だった。布団まわりは足元に十分気を配 り、転倒した場合でも周囲のものに衝突してケガをすることがないように、家具の配置を工 夫したり、布団まわりを整理整頓しておくことが大切である。 図 28 「たんす」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=272 0 50 100 138(66/72) たんすの引き出しに指を挟まれた(n=212) 暗い部屋でたんすに衝突した(n=20) たんすの引き出しが落下した(n=7) その他 (n=21) 150 (人) 74(40/34) 14(10/4) 6(3/3) 5(5/0) 2(1/1) 20~59歳 15(7/8) 6(2/4) 60歳以上 図 29 「布団・布団カバー」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 0 25 50 100 (人) 73(61/12) 23(19/4) 布団の端につまずいた(n=60) 表4 75 52(44/8) 布団カバーにつまずいた(n=125) その他 (n=9) N=199 37(31/6) 20~59歳 9(9/0) 5(5/0) 60歳以上 「寝室」のヒヤリ・ハットや危害経験時の具体的な内容 製品名 1 内容 たんすに薬指を挟んで骨折し、完治までに4週間かかった。 70 代 女性 たんすの角に足の小指をぶつけて骨折した。治るまでに2∼3ヶ月かかった。 60 代 女性 敷布団の端で足が滑り転倒した時に、置いてあったアイロンケースで頭部を打 撲した。 80 代 男性 ベッドのマット上に上がってエアコンを掃除していた時に、バランスを崩して 転倒した。ケガはなかったが、ヘッドボードが壊れた。 60 代 男性 ベッドから転落し、骨折した。 80 代 女性 湯たんぽの包み方が悪く、足首の上の所を低温やけどした。家にあった薬をつ けたが回復が遅く、医療機関を受診した。 60 代 女性 たんす 2 3 布団 4 ベッド 5 6 湯たんぽ 回答者 19 (6) 屋外・ベランダ ア ヒヤリ・ハットや危害経験 図 30 は、主に「屋外・ベランダ」で使用する製品について、20∼59 歳の回答者と 60 歳以上 の回答者のヒヤリ・ハットや危害経験者の数を比較したものである。回答者全体でヒヤリ・ハッ トや危害経験者が多かったものは、 「靴・履物」 、 「自転車」 、 「傘」であり、20∼59 歳の回答者と 比較して 60 歳以上の回答者のほうが多かったものは、 「物干し竿」 、 「植木鉢」 、 「園芸ばさみ」 、 「園芸用殺虫剤」だった。また、 「自転車」は、20∼59 歳の回答者と 60 歳以上の回答者のヒヤ リ・ハットや危害経験者の数が同じだった。 「その他」としては、 「除草剤」 、 「洗濯ばさみ」等があった。 図 30 「屋外・ベランダ」のヒヤリ・ハットや危害経験 N=3,000 0 100 200 300 400 靴・履物(n=1,161) 800 (人) 698(220/478) 233(125/108) 142(59/83) 94(64/30) 124(94/30) 31(19/12) 72(48/24) キャリーバッグ・ ショッピングカート(n=92) 57(41/16) 35(24/11) 園芸ばさみ(n=86) 26(4/22) 60(11/49) 園芸用殺虫剤(n=40) 700 458(227/231) 458(200/258) 傘(n=375) 植木鉢(n=103) 600 463(194/269) 自転車(n=916) 物干し竿(n=218) 500 16(11/5) 24(9/15) 20~59歳 その他(n=34) 12(7/5) 22(11/11) 60歳以上 イ ヒヤリ・ハットや危害経験時の具体的な状況 図 31∼図 34 は、主に「屋外・ベランダ」で使用する製品でヒヤリ・ハットや危害経験者が 多かったもの(180 人以上)について、そのときの状況を 20∼59 歳の回答者と 60 歳以上の回答 者とで比較したものである。また、表 5 は「屋外・ベランダ」のヒヤリ・ハットや危害経験 時の具体的な内容を示している。 ヒヤリ・ハットや危害経験時の状況のうち、20∼59 歳と比較して 60 歳以上の回答者のほう が特に多かった事例は、 「床・路上で靴が滑り転倒した」 、 「つっかけサンダルを履いてつまず き転倒した」だった。靴は、足に合った滑りにくいものを選ぶようにすることが大切である。 また、 「自転車」については、 「道路の段差、縁石、障害物で転倒した」事例も多かった。自 転車の事故は、骨折等の重大な事故につながる危険性も高いので、自転車で段差を通過する 時は、降車して押し歩きをすることが必要である。 20 図 31 「靴・履物」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=1,161 0 100 200 300 400 500 (人) 406(94/312) 新しい靴を履いたら靴ずれした(n=547) 141(42/99) 115(67/48) 135(67/68) 床・路上で靴が滑り転倒した(n=250) 長い間履かずにいた靴を 履いたら靴ずれした(n=117) 69(11/58) 48(21/27) 突っかけサンダルを履いて つまずき転倒した(n=78) 25(14/11) 53(25/28) 履いていた靴のかかとや 靴底等が破損した(n=39) 17(8/9) 22(12/10) 合わない靴を無理して履き続け 腰やひざ等を痛めた(n=33) 14(3/11) 19(7/12) 6(3/3) 3(2/1) 靴紐が外れて転倒した(n=9) 20~59歳 46(20/26) 42(18/24) その他 (n=88) 60歳以上 図 32 「自転車」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=916 0 50 100 道路の段差、縁石、 障害物で転倒した(n=264) 200 (人) 123(48/75) 141(44/97) 自転車や人を避けようとして 転倒した(n=239) 112(64/48) 127(66/61) 濡れた路面で滑って転倒した(n=92) 31(14/17) 自転車の乗降・発進・ 停車時に転倒した(n=63) 61(27/34) 23(10/13) 40(21/19) 坂道・カーブでハンドルを とられ転倒した(n=38) 19(7/12) 19(6/13) 荷物を積み過ぎて バランスを崩し転倒した(n=38) 23(12/11) 15(8/7) 走行中に着衣・傘・荷物等が 車輪に巻き込まれた(n=41) 走行中にチェーン・ペダル等部品が 脱落・破損した(n=12) 150 28(15/13) 13(7/6) 7(7/0) 5(2/3) 20~59歳 60歳以上 62(37/25) 67(32/35) その他 (n=129) 図 33 「傘」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 0 50 100 傘の開閉時に止め具や骨に 手を挟まれた(n=297) 150 200 (人) 178(89/89) 119(49/70) 傘の開閉時に骨で手を切った(n=23) 12(4/8) 11(2/9) 傘の骨が折れて手を切った(n=15) 12(7/5) 3(0/3) 折りたたみ傘を収納中に 柄の部分が飛び出し 顔などに当たった(n=12) 11(9/2) 1(0/1) その他 (n=28) N=375 20~59歳 20(16/4) 8(8/0) 60歳以上 21 図 34 「物干し竿」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=218 0 25 50 90(70/20) 洗濯物やふとんを干す時に バランスを崩した(n=30) 7(3/4) ベランダの物干し竿・ ハンガーが階下に落下した(n=11) 7(5/2) 4(4/0) 表5 100 (人) 70(48/22) 物干し竿に頭をぶつけた(n=160) その他(n=17) 75 23(15/8) 20~59歳 10(8/2) 7(5/2) 60歳以上 「屋外・ベランダ」のヒヤリ・ハットや危害経験時の具体的な内容 製品名 内容 回答者 1 サンダルを履いていた時、マンションの床(掃除後で水が残っていた)で滑ってし まった。サンダルのかかと部分の底がすり減っていたことが要因と思い、買い換え た。 60 代 男性 2 駅の階段を下りていた時、サンダルのかかとがずれて転び、3∼4段転げ落ちて両膝 を切り、医療機関を受診した。 70 代 女性 3 居間から庭に出る時に、女物のサンダルを履いたら、サイズが小さかったため、足が もつれて転倒した。 60 代 男性 4 ビルの廊下を歩いていた時、片方の靴がビニタイルの床に張り付いて前方に放り出さ れて転倒し、起き上がれずに通りかかった人に助けられ救急車で病院に運ばれた。右 肩を脱臼した。床は濡れていなかったが湿っていた。 70 代 女性 5 自転車で買い物に行く途中、段差のある歩道に乗ろうとした時、ハンドルを取られて 転倒し、ガードレールに胸をぶつけて肋骨にひびが入った。医療機関を受診して1か 月コルセットを装着していた。 60 代 女性 6 自転車で車道を走行中に激しい雨となり視界が悪くなった。前方に停車しているト ラックが見えたので歩道を走ろうとした時に縁石でスリップして転倒、左膝下を骨折 した。 60 代 男性 7 自転車に乗ってこぎ出そうとした時、脚力が弱いため緩い傾斜にバランスを崩して転 倒した。 60 代 女性 8 妻の身長に合わせて低めにしてある物干し竿に布団を干している時、落とした大きな クリップを拾おうとしてしゃがんで、急に立ち上がった際に頭を物干し竿にぶつけ た。 60 代 男性 物干し竿を自分の身長よりも高い所に上げる時、誤って竿が滑って、頭に当たった。 60 代 女性 庭の物干し台に、布団を干す時に重みでよろけて転んだ。 80 代 女性 靴・履物 自転車 9 物干し竿 10 11 植木鉢 ベランダで植木鉢の整理をしている時に植木鉢につまずき、そばにあったビニール袋 の取っ手に足を引っ掛け、捻挫した。 70 代 女性 12 園芸 ばさみ 枝葉をたくさん左手に持っていたため、自分の手指に気付かず剪定鋏で切ってしまっ た。 60 代 男性 22 (7) その他(階段・段差等) ア ヒヤリ・ハットや危害経験 図 35 は、 「その他(階段・段差等) 」における 20∼59 歳と 60 歳以上のヒヤリ・ハットや危害 経験者の数を比較したものである。回答者全体でヒヤリ・ハットや危害経験者が多かったものは、 「段差(家の外) 」 、 「段差(家の中) 」 、 「階段(家の外) 」であり、20∼59 歳の回答者と比較して 60 歳以上の回答者のほうが多かったものは、 「段差(家の外) 」 、 「段差(家の中) 」 、 「階段(家の 中) 」 、 「床(家の中) 」だった。 「その他」としては、 「エスカレーター」 、 「エレベーター」等があった。 図 35 「その他(階段・段差等) 」のヒヤリ・ハットや危害経験 N=3,000 0 100 200 300 400 (人) 235(182/53) 266(181/85) 段差(家の外)(n=501) 164(142/22) 段差(家の中)(n=433) 269(221/48) 234(163/71) 階段(家の外)(n=411) 177(113/64) 238(204/34) 道路・店舗等の床(n=382) 144(101/43) 168(105/63) 203(138/65) 階段(家の中)(n=371) 196(114/82) ドア(家の中)(n=308) 112(54/58) 105(89/16) 106(67/39) 床(家の中)(n=211) ドア(家の外)(n=102) その他(n=60) 69(60/9) 33(20/13) 20~59歳 27(20/7) 33(21/12) 60歳以上 イ ヒヤリ・ハットや危害経験時の状況及び具体的な内容 図 36∼図 42 は、 「その他(階段・段差等) 」でヒヤリ・ハットや危害経験が多かったもの (180 人以上)について、そのときの状況を 20∼59 歳と 60 歳以上とで比較したものである。ま た、表 6 は、 「その他(階段・段差等) 」のヒヤリ・ハットや危害経験時の具体的な内容を示 している。 ヒヤリ・ハットや危害経験時の状況のうち、20∼59 歳と比較して 60 歳以上の回答者のほう が特に多くなっている事例は、 「部屋の入口や敷居、玄関の段差でつまずいた」 、 「階段の最後 の段を踏み外し、転倒・転落した」だった。事故防止のためには、部屋の入口には、段差を 解消するためミニスロープを設けるとよい。また、階段は、手すりを利用して一段一段確認 しながら階段を上り下りするようにし、新築・改築する際には、足元の段差がきちんと見え るように人感センサー付きの足元灯を設けておくと安全性が高まる。 23 図 36 「段差(家の外) 」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=501 0 50 100 150 (人) 114(90/24) 129(88/41) 道路と歩道の段差でつまずいた(n=243) 48(37/11) 駅構内の段差でつまずいた(n=77) 29(22/7) 店舗内の段差でつまずいた(n=58) 31(27/4) 27(18/9) 家の外周り(庭含む)の段差で つまずいた(n=41) 14(12/2) 27(16/11) 13(10/3) 14(11/3) 集合住宅の段差でつまずいた(n=27) 電車・バス等乗り物の 段差でつまずいた(n=19) 5(2/3) 14(8/6) 20~59歳 10(4/6) その他 (n=36) 60歳以上 26(18/8) 図 37 「段差(家の中) 」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=433 0 50 100 200 250 (人) 部屋の入口や敷居の段差で つまずいた(n=320) 124(108/16) 196(164/32) 玄関のたたきと床との段差で つまずいた(n=55) 16(13/3) 39(31/8) 浴室と脱衣所との段差で つまずいた(n=29) トイレの入口の段差で つまずいた(n=12) 150 14(12/2) 15(12/3) 4(4/0) 8(4/4) 20~59歳 その他 (n=17) 6(5/1) 11(10/1) 60歳以上 図 38 「階段(家の外) 」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=411 0 50 店舗内の階段で転倒・転落した(n=48) 家の外周りの階段で転倒・転落した(n=48) 150 (人) 119(86/33) 駅の階段で転倒・転落した(n=209) 集合住宅の階段で転倒・転落した(n=58) 100 90(59/31) 41(26/15) 17(8/9) 15(6/9) 33(26/7) 23(12/11) 25(15/10) 20~59歳 その他 (n=48) 18(13/5) 30(25/5) 24 60歳以上 図 39 「道路・店舗等の床」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=382 0 20 40 店舗の床で滑って転倒した(n=126) 60 80 100 (人) 93(85/8) 33(22/11) 72(60/12) 道路(歩道)で滑って転倒した(n=130) 58(40/18) 34(27/7) 駅の床で滑って転倒した(n=55) 21(11/10) 集合住宅(マンション)の床で 滑って転倒した(n=24) 16(12/4) 8(7/1) 20~59歳 23(20/3) 24(21/3) その他(n=47) 60歳以上 図 40 「階段(家の中) 」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=371 0 25 50 最後の段を踏み外し 転倒・転落した(n=134) 100 (人) 54(36/18) 80(60/20) スリッパが滑って足を踏み外し 転倒・転落した(n=64) 31(15/16) 33(21/12) 階段が暗くて足を踏み外し 転倒・転落した(n=56) 25(16/9) 31(18/13) 荷物を持って昇降し足を踏み外し 転倒・転落した(n=54) 25(16/9) 29(19/10) スリッパが脱げて足を踏み外し 転倒・転落した(n=19) ズボンやスカートの裾を踏んで 転倒・転落した(n=9) 75 8(6/2) 11(6/5) 5(4/1) 4(2/2) 20~59歳 20(12/8) 15(12/3) その他 (n=35) 60歳以上 図 41 「ドア(家の中) 」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=308 0 25 50 寝室・居間等のドアに手を挟まれた(n=110) 80(60/20) 玄関のドアに手を挟まれた(n=50) 37(14/23) 浴室のドアに手を挟まれた(n=16) 急に開けられたドアに頭等をぶつけた(n=22) その他(n=32) 100 (人) 54(36/18) 73(45/28) 32(20/12) 18(11/7) トイレのドアに手を挟まれた(n=46) ドア下の隙間に足を挟まれた(n=32) 75 24(11/13) 22(11/11) 20(9/11) 12(3/9) 15(9/6) 7(7/0) 20~59歳 20(12/8) 12(5/7) 25 60歳以上 図 42 「床(家の中) 」のヒヤリ・ハットや危害経験時の状況 N=211 0 25 カーペット・敷物等の端に つまづき転倒した(n=69) ワックスをかけた床の上で 滑り転倒した(n=24) その他(n=21) 表6 27(24/3) 29(19/10) 28(25/3) 13(9/4) 11(8/3) 13(6/7) 20~59歳 10(10/0) 11(9/2) 60歳以上 「その他(階段・段差等)」のヒヤリ・ハットや危害経験時の具体的な内容 1 段差 (家の外) 2 段差 (家の中) 4 5 100 (人) 40(24/16) 製品名 3 75 29(22/7) 床の上の新聞紙・チラシ等を 踏んで滑り転倒した(n=56) 濡れた床の上で滑り転倒した(n=41) 50 階段 (家の外) 6 階段 (家の中) 7 内容 回答者 レンガ敷きの歩道上で 1 箇所だけレンガが突出しているところでつまずいて転 び、15 分くらい動けなかった。左半身打撲で左膝にダメージを受けて歩行が困難 になり、救急車で運ばれた。 70 代 女性 コンビニ前の段差に置かれている段差をなくすためのスロープが滑って転び、両 膝を強打して 3 週間あざが取れなかった。 60 代 女性 リビングと廊下に8センチ程度の段差があり、足の上げ方が足りずにつまずき、 つま先に血豆が出来た。 70 代 男性 台所と居間のちょっとした段差につまずいて転倒、骨折して入院した。 80 代 女性 駅の階段の色と踊り場の色が似ていたので、下りる時、最後の段を見誤り、踏み 外して転倒した。膝と腕を打撲し、すり傷を負った。 60 代 男性 階段の電球を徐々に明るくなる電球に変えたばかりの時、夜に明かりをつけて階 段を下りたが、それ以前に比べ明るさが足りず、一番下の階段が見えなくて階段 を踏み外し、捻挫した。 70 代 女性 自宅の階段で、スリッパを滑らせ2、3段上から転倒した。医療機関に受診した 結果、打撲だった。階段については、以前にも滑って転倒した経験があり、数年 前に滑り止めも設置していたが、滑り止めにスリッパが固定され、そのスリッパ に足を取られた形での転倒もあった。 70 代 女性 8 床 (家の中) リビングの床に新聞広告があり、それを踏んでしまい、滑って近くの椅子に腰を ぶつけた。 60 代 女性 9 その他 (エレベーター) エレベーターの床に敷いてあるゴム板がめくれて足を入れてしまい、つまずい た。 60 代 女性 26 4.調査結果(長期間使用している製品) 60 歳以上の人を対象に実施したヒヤリ・ハット調査「シニア世代の身の回りの危険」 (平成 22 年 12 月∼平成 23 年 1 月実施)では、長期間使用した製品でケガをしそうになったり、ケガをし た事例があった。そこで、どのような製品が長期間使用されているのか調査し、20∼59 歳の回答 者と 60 歳以上の回答者で比較した。 アンケート調査では、自宅で使用している電気製品、ガス製品、家具等について、その使用年数 を聞いた。図 43 は、各製品の使用年数が「10 年以上」と回答した人の数が多い(200 人以上)製 品を示したものである。この結果、「たんす」、「テーブル・机」等の家具や「換気扇」、「照明器 具」等の住宅に備え付けて使用するものが長期間使用されていることがわかった。 また、全体として、60 歳以上の回答者のほうが 20∼59 歳の回答者よりも製品を長期間使用して いる人が多かった。 27 図 43 長期間(10 年以上)使用している製品 N=3,000 0 200 400 600 エアコン(n=855) アイロン(n=848) 359(276/83) 489(368/121) 冷蔵庫(n=820) 335(289/46) 485(402/83) 延長コード(n=767) 309(246/63) 458(332/126) 275(234/41) 375(307/68) 204(185/19) 304(264/40) オーブントースター(n=492) 200(168/32) 292(226/66) ドライヤー(n=490) 193(146/47) 297(232/65) 掃除機(n=483) 212(165/47) 271(206/65) ホットプレート(n=450) 180(145/35) 270(211/59) 電気こたつ(n=379) ブラウン管テレビ(n=352) 電気カーペット(n=313) 電気ストーブ(n=272) 浴室用電気乾燥機(n=224) 電気毛布(n=205) ガ ス 製 品 250(182/68) 415(275/140) 電気温水洗浄便座(n=508) ビデオデッキ(n=386) ガスコンロ(n=699) ガス瞬間湯沸器(n=400) 屋内式ガスふろがま(n=295) 202(166/36) 218(167/51) 183(156/27) 203(162/41) 144(108/36) 235(172/63) 162(136/26) 190(155/35) 112(95/17) 201(160/41) 98(72/26) 174(134/40) 103(94/9) 121(106/15) 62(49/13) 143(98/45) 321(265/56) 378(290/88) 149(130/19) 251(200/51) 125(104/21) 170(127/43) 654(398/256) たんす(n=1,850) 1,196(416/780) 551(395/156) テーブル・机(n=1,524) 家 具 973(552/421) 522(356/166) 棚(n=1,444) 922(481/441) 446(327/119) 椅子・座椅子(n=1,289) ベッド(n=860) (人) 377(304/73) 445(335/110) 電子レンジ(n=822) 炊飯器(n=420) 1,400 702(413/289) 357(307/50) 498(389/109) 洗濯機(n=650) 1,200 396(294/102) 照明器具(n=1,098) 扇風機(n=665) 1,000 561(436/125) 757(473/284) 換気扇(n=1,318) 電 気 製 品 800 843(512/331) 295(217/78) 565(370/195) 20~59歳 60歳以上 ※グラフ上の「(○/○)」(○は数字)は、(10~20 年使用している製品がある人の数/20 年以上使用している製品がある人の数)を示す。 28 5.まとめ シニア世代に多い事故を明らかにするため、製品別に 20∼59 歳の回答者と 60 歳以上の回答 者のヒヤリ・ハットや危害経験者の数を比較した。その結果、20∼59 歳の回答者と比較して、 60 歳以上の回答者のほうがヒヤリ・ハットや危害経験者が特に多かったのは、 「段差(家の中) 」 、 「スリッパ」 、 「脚立・踏み台」等の転倒・転落に関する事例だった。また、医療機関の受診者を 比較すると、20∼59 歳の回答者よりも 60 歳以上の回答者ほうが医療機関を受診している人が多 く、高齢になるとケガが重症化しやすいことがわかった。事故を防ぐためには、日常生活でこま めに体を動かして筋力やバランス能力を維持する、足元のつまずきやすいものや滑りやすいもの を取り除き、整理整頓を行う等の心がけが大切である。 長期間使用している製品については、家具や換気扇、照明器具等が長期間使用されているこ とが多く、60 歳以上の回答者のほうが 20∼59 歳の回答者と比較して、製品を長期間使用してい る人が多いことがわかった。 6.結果の活用 (1) 事故防止のポイントをまとめた「シニア世代の身の回りの事故防止ガイド」により、都民へ 結果を情報提供し、事故の未然防止を図る。 (2) 収集したヒヤリ・ハットや危害の事例を商品の安全性に関する調査を実施する際に活用する。 (3) 事業者団体等へ調査結果を情報提供する。 29