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2009研究報告 - 兵庫県生きがい創造協会

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2009研究報告 - 兵庫県生きがい創造協会
2009研 究報 告
『 うれ しの台』
セ ン タ ー にお け る生 涯 学 習 推 進 に つ い て の 提 案
∼ 団塊 の世代 を見据 えて ∼
兵庫県 立嬉野台生涯教 育 セ ンター
ひ ょ うご 冒険 教 育
(HAP)の
主任 専 門指導員
浅
井
樹
英
深 化 。発 展 を 目指 して
(13)
∼ 日常には じま り、 日常にか えす た めに∼
兵 庫 県 立 嬉 野 台生 涯教 育 セ ン ター
主 任 専 門指 導 員
畑
中
世 代 間交 流 事 業 の 展 開
(22)
財 団法 人 兵 庫 県生 きが いellと 協会
兵 岸 県主基 野 台生涯 教 育 セ ンター
和 浩
主任専 門指 導員
田 部
主任専 門指導員
杉 阿
∼ ア ンケー トか らみ えて きた こと∼
兵庫県 立嬉野台生涯教育 セ ン ター
太
啓
代
士
は
じ
め
に
本年 度 、兵庫 県 立嬉 野 台 生涯 教 育 セ ン ター は、創 立 30周 年 を迎 えま した。 そ
の 間 、 生涯 学習 支 援者 の養 成 をは じめ、 生涯学 習 の機 会や 場 の 提供 、 生涯 学 習
情報 の 収集 や提 供 な どに努 め 、県 民 の生 涯 学習 の 推 進 に寄 与 して きま した 。 し
か し、今 日、少 子 高齢 化 、高度 情報 化 な どの影 響 を受 け、大 き く変 わ りつ つ あ
る社 会 状 況 にお い て 、人 々 の 学習 ニ ー ズ は よ り多様 化 して きて い ます 。 当セ ン
ター に寄せ られ る期待 は 、以前 に もま して 重要 な もの とな っ て きて い ます。
そ こで 、平成 21年 4月 、 あ らゆ る世代 の 学習 ・ 生 きが い 創 造 ニー ズ に対応 す
るた め 、 当セ ン タ ー の 運 営 が 兵庫 県生 きが い創 造 協 会 に移 管 され ま した。 そ の
こ とに よ り、これ まで の 事 業や研 修 等 に加 えて 、様 々 なネ ッ トワー ク を生 か し、
さ らな る生涯学 習 プ ロ グ ラ ムの 充実や この 豊 か な 自然 環 境 を活 用 した 高齢者 と
青少 年 等 との世代 間交 流 に取 り組 む な ど、 生涯 学習 や 社 会 教 育 にお け る本 県 の
拠 点 と しての機 能 を さ らに発 揮 で き る よ う日々 邁進 してお ります 。
また 、本 県 で は、 あ の未 曾 有 の被 害 を受 けた阪神 ・ 淡 路 大震 災 か ら 15年 が経
ち、 創 造 的復興 を果 た した 経 験 を礎 に、 元気 で 安 全 安 心 な兵 庫 をめ ざ し、努 力
を重 ね てい ます が 、 あ い さつ も少 なか っ た 隣人 同 士 が 、 また ま った く見 も知 ら
いの
ず の者 同 士 が 、励 ま しあい 、助 け合 った震 災 か ら私 た ち は、 あ らた めて 「′
通 い 合 う地域社 会 の大 切 さ」 を知 りま した。 現在 県 内各 地 で 、地域 の 振興 と地
域 を担 う人 づ く りが盛 ん に行 われ てお ります 。 そ の よ うな 中、 当セ ン ター にお
い て も、参 画 と協働 に よる コ ミュ ニ テ ィづ く りを め ざ し、 あ らゆ る世代 が集 う
「場 づ く り」 と 「人 間 関係 づ く り」 を支 援す る生涯 学 習 を推 進 してい ます 。
本 冊子 は 、本 年度 当セ ン ター 内 の各 課 が取 り組 ん だ 事業 を も とに調 査研 究 を
行 い 、そ の一 端 を と りま とめた ものです 。 これ らの 研 究 を参 考 に、本 県 の生 涯
学習発 展 の一 助 になれ ば幸 い です 。
最 後 にな りま した が 、 この研 究報 告 の 作成 に際 して 、 ご協力 をい た だ い た 多
くの方 々 に深 く感 謝 を 申 し上 げます。
平成 22年 3月
財 団法人兵 庫 県 生 きが い創 造協会
兵 庫 県 立 嬉 野 台 生涯 教 育 セ ン ター
所
長
田
口
章
セ ンター における生涯学習推進 につい ての提案
∼
団塊 の世代 を見据 えて
∼
兵庫県 立嬉野台 生涯 教育 セ ン ター
主 任専門指導員
浅井
英樹
当セ ン ター は 1979年 全 国初 の生涯学 習 の拠 点 として開設 され た。以来 、生涯学 習 の 中核施設 とし
「 自己を高 め、
て、
絶 えず時代 の変化 を探 りなが ら、県民 の生涯 学習 を支援す る こ とを基本理 念 とし、
自分 ら しく生 きるた めの学習」、「社会 の変化 に対応す るた めの学習」、「い きい き とした人生 を送 る
た め の学習」とい う 3つ の視 点か ら、多彩 で魅力 あるプ ログラ ム の 開発 と事業 の展 開に努 めてきた。
本稿 にお い て 、 これ までの兵庫県 にお ける生涯 学習 へ の取組や事業 にふれ なが ら、現代社会 の ニー
ズ にあ つた生涯学習 につい て考察 し、当セ ン ター にお ける生涯学習推進 につい て 、団塊 の世代 を見
据 えて提 案 し、県 内外 に発信す る。
キー ワー ド
団塊 の世代
1
地域 コ ミュニテ ィ 世代 間交流
生涯学 習の現状把握
生涯学習 とい う言葉 を聞いて、人は何 を思 い浮
かべ るのだろ うか。「生涯 学習 に関す る世論調査」
(2008年、内閣府大臣官房政府広報室)か ら、生
涯学習 の現状 について調べ てみた。
この調査は、全 国の 20歳 以上の者 を対象に、
無作為抽 出法で 3,000人 に対 して調査員に よる個
別面接聴取を行 ったものである。
'
(1)生 涯学習の周知度
「生涯学習 とい う言葉 を知 っていますか」 とい
う問いか けに、80.5%が 知 ってい るとい う回答 で
あつた。男女別 にみてい くと、男性 79.5%、 女性
81.4%と 大きな差異は見 られなかった。 さらに、
40∼ 49歳 台で 89.2%
年代別では どうか とい うと、
と最 も高 く、
20∼ 29歳 代で 70.2%と 最 も低か つた
1)。
梶 硼4
(図
地域活性化
コ ミュニ テ ィ・ ビジネ ス
行 い ま したか」 と聞 くと、「健康・スポー ツ」 と
答 えた者が 22.5%と 最 も多 く、「趣味的なもの」
が 19.8%、 「パ ソコン・イ ンターネ ッ トに関す る
こと」 が 14.0%、 「教養 的なもの」 が 10.2%と
続 く (図 2)。
生涯学 習を 「個人 の要望」 と 「社会 の要請」 と
「個人 の要望」にあたる内容 の学習 を
に分ける と、
行 った者が大半を占めてい ることとなる。
どのような生涯学習を行いましたか
健康・スポーツ
趣味的なもの
パソコン・インターネットに関すること
教養的なもの
職業上必要な知識・技能
家庭生活に役立つ技能
ポランティアやそのための知識 技能
育児 教育
自然体験や生活体験などの体験活動
学校の正規課程での学習
生涯学習という言葉を知っています か
ヴ
び
〆
,十
【
図 2】
│□
│■
知っている
知 らない
(生 涯学習に関する世論調査より)
次に、「どのよ うな場所や形態で生涯学習を行
い ま したか。」 については、「公民館等 における都
道府県や市町村な どの 自治体 の講座や教室」 と答
えた者 が 33.1%と 最 も多 く、「カルチ ャーセ ンタ
ーや スポー ツクラブな ど民 間の講座や教室、通信
颯
4ガ
【
図 1】
(生 涯学習に関す る世論調査 より
(2)生 涯学習の実施状況
教育」 と答 えた者 が 29.3%と 続 く (図 3)。 また、
自宅で の学習活動 (書 籍 )と 答 えた者が 29.3%、
パ ソコンやイ ンターネ ッ トと答 えた者が、21.3%
では、実際に どのよ うな生涯学習を行 ってい
るのか。 この 1年 間に、「どのよ うな生涯学習 を
と高い値 となってお り、 自宅にお いて生涯学習を
行 ってい るケース も多 い ことが わか る。
)
-1-
生涯学習を
て身につけ
た知識,技 能や経験を
のよ
通じ
ど
、
うこ
生かし
ていますか
どのような場所や形態で生涯学習を行いましたか
自治体の講座や教室
つている
Jこ な
自分の人生がより
豊力
自分の健康のt持 .増 選に役立っている
ている
家庭 常の生活に生かし
ている
仕事や就車の上で生かし
ている
地域や社会での活動に生かし
広〈
深い知識技能を身につける
民間の講座や教室、通信教育
自宅での学習活動 (書 籍など
同好者による集まり、サークル活動
,日
)
職場の教育、研修
パソコンやインターネットなど
図書館、博物館、美術館
ラジオやテレビ
学校の公開講座や教室
ている
ボラン
iィ ア
活動に生かし
資格を
取得し
た
文化活動などの指導
学習やスポーツ、
ている
学案、
学な生活の上で生かし
学校の正規課程
10
15
20
25
30
その他
35
0 5 10 15 20 25 00 35 40 45 50
図 3】
【
(生 涯学習 に関する世論調査 よ り)
続 いて年代別 にみてい くと、20歳 代 は、「学校 」
にお いて、30歳 代 は、「パ ソコンやイ ンターネ ッ
ト」において、40歳 代は、「職場 の教育」 と挙げ
た割合 が高 かつた。 50歳 代は、「同好者 によるサ
ー クル活動 」 と答 えた割合 が 30%を こえてお り、
気 の合 う仲間 と好きなことを学習す る傾 向にある
と言 える。 60歳 以上では、「公民館 な どにおける
「民間の講座」につい
自治体 の講座」の値 が高 く、
ては、70歳 以上 を除き、どの年代 も 30%前 後 と平
均 してお り、あ らゆる年代にとつて人気 の場所 と
思われ る
(図
4)。
どのような場所や形態で生涯学習を行いましたか
ラジオやテレビ
図書館、
博物館 美術館
パソコンやインターネットなど
30∼ 39歳
40∼ 49歳
50∼ 59歳
同好者による集まり、サークル活動
■60∼ 69歳
自宅での学習活動 (書 籍など
)
民間の講座や教室、通信教育
の資質向上」に生か している傾 向にあることがわ
かる。
(4)生 涯学習を行わなか った理 由
生涯学習を行 わなかった者に、その理 由を尋ね
「仕事 が忙 しくて時間がない」と答 えた
た ところ、
割合 が 45.4%と 飛 び抜 けて多 く、「家事が忙 しく
て時間がない」 が 18.9%、 「きっか けがつか めな
い」が 16.4%と 続 く (図 6)。
生涯学習を行わなかつた理由は何ですか
く
て時間がない
仕事が忙し
て時間がない
家事が忙しく
きっかけがつかめない
費用がかかる
てく
子や親の世話をし
れる人がいない
めんどう
である
、
好きではなく
身近なところに施設や場所がない
必要な情報がなかなか入手できない
自分の希望や時期,時 間に合わない
一緒に学習や活動をする仲間がいない
家族や職場など周囲の理解が得られない
20∼ 29
職場の教育、研修
(生 涯学習に関する世論調査より)
このよ うな結果 か ら、各年代において、生涯学
「個人
習を通 じて身につ けた知識・技能や経験 を、
,
学校の正規課程
学校の公開講座や教室
図 5】
【
日 70
自治体の講座や教室
図 4】
(生 涯学習に関する世論調査 より
【
(3)生 涯学習の成果 とその活用状況について
10 20 30 40 50
)
「生涯学習を通 じて身につ けた知識 ・技能や経
験 を、 どのよ うに生か していますか」 と聞 くと、
「自分 の人生がより豊かにな ってい
上位 4項 目は、
る」が 43.8%、 「自分 の健康 の維持・増進 に役立
つてい る」 力`41.6%、 「家庭 。日常の生活 に生か
してい る」が 37.5%、 「仕事や就職 の上で生か し
てい る」が 33.6%の 順 となっている (図 5)。
年代別に見 ると、20歳 代、50歳 代では、「自分
の人生がよ り豊かになってい る」 の割合 が高 く、
30歳 代、40歳 代では、「仕事や就職 の上で生か し
ている」、60歳 代、70歳 代 では、「自分 の健康 の維
持・増進 に役 立ってい る」を挙げてい る割合が高
い。
-2-
図6】
(生 涯学習に関する世論調査 より
【
このよ うな結果から、時間がないことが、生涯
学習の妨げ となる大きな要因となっていることが
わかる。また、年代別の資料によると、50歳 代男
「きっかけがつかめない」と答えた者 の割
性では、
「何か学習を始 めようと思って
合が多いことから、
もどのようにすればよいのかわからない」 といっ
た状況が推察される。「きつかけづ くり」に注 目す
ることは、生涯学習発展には欠かせないキーワー
ドと言えるようである。
(5)生 涯学習の機会についての要望
「どのよ うな生涯学習の機会 が増 えればよい
「公民館などにお
と思いますか」とい う問いには、
)
(1)公 民館
ける都道府県や市 町村 な どの 自治体 の講座や教
室」が 40.6%と 最 も高 く、「カル チ ャーセ ンター
や ス ポ ー ツ クラ ブ な ど民 間 の 講 座 や 教 室 」 の
22.1%を 大きく引き離 してい る (図 7)。 「公民館
この地 区は、人 口 83,275人 、世帯数 31,686の
市 の南端 に位置 し、人 口 6,175人 、世帯数 2,053
の新興住宅地 である。 二世帯で住 んでいる家庭 も
多 く、小学校児童数 は市内最大規模である。 この
公民館 は、図書室 を併設 してお り、住民の 出入 り
は多 い。 生涯学習事業については、孝L幼 児教育学
な どにおける都 道府県や市 町村な どの 自治体 の講
座や教 室」 と答 えた のは、40・ 50歳 代 の女性 が多
ぃことか ら、子育 てを終 え、何 か学 ぼ うと考 えた
ときに、安価 で身近にある施設での講座 を望んだ
と思われる。 このことは、公 民館運営におけるひ
とつのヒン トであると思われ る。
級 を開設 してい るのが特徴である (図 8)。
新興住宅 地 とい うこともあ り、「まちづ く り」
には積極 的に取 り組 んでお り、 自治会 をはじめ、
まちづ くり協議会な ど各種団体 が 、公民館 を活動
拠点 として精力的に活動 してい る。 さらに、サー
どのような生涯学習の機会が増えればよいと思いますか
公民館等における自治体の講座や教室
民間の講座や教室
パソコンなどを活用した学習機会
自然・生活体験などの体験活動の機会
ボランティア活動の機会
図書館の図書や情報
博物館や美術館などの講座や教室
職場での教育 研修
社会人を対象とした科ロ コースなど
民間の通信教育
その他
クル活動 として、子 どもか ら高齢者まで多 くの住
民が参加 し、終 日にぎわってい る。また、文化祭
や夏祭 りな ど住民が運営す る事業において も盛況
であ り、
そ の存在意義 は高 い。
優 良公民館 として、
● 家庭教育学級
●早L幼 児教育学級
0女 性セミナー
●高齢者教室
図 7】
【
2
0人 権教育
(生 涯学習に関する世論調査 よ り)
:時
●文化教室
竃黎露;iltti勒 壼:鰺
申
‐
アートフラワー・生け花・料理・詩吟・英会話・服の製作 他
ン トン・クラシックパレエ・ジヤズダンス・室内ホッケー 他
●スポーツ教室 バ トミ
生 涯 学 習 の 拠 点施 設 の あ り方 (公 民館 )
社会教育法第 20条 では、「公民館 は、市町村そ
の他 一定区域内住民のために、実際生活に即す る
教育、学術及び文化 に関す る各種 の事業を行 い 、
もつて住民の教養 の向上、健康 の増進 、情操 の純
化 を図 り、生活文化 の振興、社会福祉 の増進 に寄
「新 しい時代 を
与す ること」とされてい る。また、
切 り拓 く生涯学習 の振興方策 について」(2008年 2
「個人 の要望」と「社
月 中央教育審議会答 申)で は、
会 の要請」 とに応 える社会教育 の推進 が求められ
てお り、そ の程 よいバ ランス を とることが現在 の
公 民館 に必要 とされてい る。第 1章 において生涯
学習 を、公民館等 の 自治体 の講座だけでな く、そ
れ以外 の講座等 において行 ってい る害1合 が多い結
果 が 出ている。また、生涯学習 の 内容 では、「個人
の要望」が「社会 の要請」を大 きく上 回 つてい る。
つ ま り個人 の資質向上のために、生 きがいにつな
が る趣味や教養講座 を公民館等 の 自治体 の講座以
外にも、民間の講座や 自宅による独学等様 々な機
会を通 して学習 しているのが現状 の よ うである。
では、生涯学習 の拠点施設 として 、「公 民館」
は ど うあるべ きなのか。実際 に公民館 とカル チャ
f菫鷺難1
:I藪 頼曜籍蒙撻を義委種干碑彙涯嚢蒙彗総製
0文 化祭
● 夏祭 り
r
● ら、
れ あいグラウ ンドゴルフ大会
l響
:11=争 籠
簿警饉爾毅師酵議稗尋
●子ども会・老人会・自治会 他
●スポーツ少年団 ボーイスカウト 他
0町 ぐるみ 健 診
[西
頭
籐
鰤
Ⅲ
霧
諄
│:下
_11賓 彗纏霧蓼質簿饗驚澪
:騨 ,
litぜ
蒙
1,1蒸
漂
道
lll歳
慧
霧
l
O図 書室 (約 13,000冊 の蔵書 学習室
0談 話室=午 後「 囲碁、将棋 」
)、
●廊下・ロビー =作 品の展示・発表・談話
F秦 義自卿¨■
0公 民館だよりの発行
=:・
lil「 ('11:│■ 111111鶯
挙
'1
の各種教育指導・啓発資料の発行
0日 ■!紙 、エフエムで PR
O子 ども放送局受信及び視聴会場
図 8】 :当 該公民館の主な事業
【
(2)カ ルチヤーセ ンター
このカルチ ャーセンター は、先述 した公民館 と
400mし か離れ ていない同地 区に位置す る民間の
研修 セ ンター であ り、登録 メンバー を中心に各種
研修 を行 う宿泊施設 を伴 う場所 である。 また、研
修室や体育施設を用 いて、趣味・教養や健康 ・ス
ポーツな どをテーマ に した講座 を設けてお り、登
録メ ンバーや地域住民だけではな く、広 く県内外
ーセ ンター が近接する地区を訪れ、聞き取 り調査
をす ることで、「公民館」について 、そ のあ り方を
か ら中高年 の女性 を中心に多 くの人が集 ま ってい
る。定期講座 (図 9)も 充実 してい るが、「干支は
考察 してみた。
りこを作 る∼ トラの絵付 け∼ 」、「魅力度 UPの 眉
-3-
メイ ク」、「寿司を極 める」な ど 1日 講座 も多数そ
ろえてお り、様 々な年代 の 日に とまる魅力的 なネ
ー ミングに、ふ と受講 した くなる。
体
旬
軸血幡
1化
k影
日
入
R
1と
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動よ
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肥板硼
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ル lu喘 ]“ 0
lB本
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鵬
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鵬嗣
未
1
tOし 1嗅
1女 静
兄
捕泉
‖
のは、不 自然な ことのよ うに思われ る。
しか し、社会教育施設が、公益性・広域 性 。先
性をキー ワー ドとして設立された経緯 か ら考 え
導′
「趣味や 一般教養 的なもの、健康に関す るも
ると、
「現代的課題 の意義、
の」は民間にまかせ 、
性、
社会′
公共性、現代`性 、緊急 性といった学習課題 の観点
に即 した課題」 については、社会教育施設 が事業
掴語
舗曲働
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ヽ
ベ
ル
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1-弘
漱室
1相
1経
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│
︲
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実施す るのが望ま しい と考 えられ る。
ところが、2003年 国立教育施策研究所社会教育
実践研究セ ン ター が実施 した調査に よると、現代
鞭
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ト
ー
励ン
フ
な
乱llm護 櫨
的課題 に関す る講座 (社 会 の要請 )を 実施 した公
民館 は、調査回収 した公 民館全体 の 58%で あった
が、これに対 し趣味やお稽古 ごとに関す る講座 (個
人 の要望)を 実施 した公民館 は、87%で あ り、一
ス 旧酔ヨ{コ
ン
し;欄
i島 鯖粧
般教養 に関す る講座 (個 人 の要望)を 実施 した公
民館 は、78%で あ り、個人の要望に関す る講座が
多 いのが現状 のよ うである。
菫
l船 7-ト
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胤1付 岨草
臥伽し1午 御 、
う1哺 餞
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フ
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ア
│`
励トウ
1月 ガこ
,1習 宰
数
室
(4)公 民館の利用
ス
ス子
ト
トげン
ヂ
ヮ
→ 御 切ズ
島0働 1島
!li
盛力
1情 き
か
麟室
│ッ
1午
図 9】 :当 該カルチャーセンターの定期講座
【
(3)個 人の要望 と社会の要請
1990年 「生涯 学習振興法」が施行 され、官によ
るカル チャーブームが 引き起 こった。しか し、1992
「社会教育施設 にお
年 の生涯学習審議会答 申では、
。
ける学級 講座 の内容が一般的な教養 ・情操関係
や レク リエ ー シ ョン関係 な どの もの に偏 ってい
る」 と批半 そ して、①社会人を対象 とした リカ
レン ト教育の推進、② ボランテ ィア活動の支援・
1。
推進 、③青少年 の学校外活動 の充実、④現代的課
題 に対する学習機会 の充実、を求めた。
ところが 、 1998年 の生涯学習審議会答 申では
「今後は、例 えば共催 で事 業を実施す ることや、
社会教育施設を開放す ること、住民に対 して、民
間の教育事業に関す る情報を提供 してい くことな
ど積極的な対応が必要である。」と民 間 とのパー ト
ナー シ ップを呼びかけた。
1992年 の生涯学習審議会答 申では、生涯学習社
会を 「人 々が、生涯 のいつで も、 自由に学習機会
を選択 して学ぶ ことがで き、そ の成果 が社会にお
いて適切に評価 され る」社会 としてい る。 つ ま り
生涯 学習は、そ の性質上、「だれで も 。いつで も 。
どこでも 。どんなことで も 。いか なる形でも」学
ぶ ことができる もので ある。
このこ とか ら、社会教育施設だか ら民間の教育
施設だからといって、事業内容 のすみわけを行 う
-4-
先述 の公 民館 を利用 してい る地域住 民に公 民
「自分 の趣味 と
館利用 について直接尋 ねてみ ると、
してはカルチ ャーセ ンター に通い、仲間づ くりと
して公民館 のサ ー クル活動に参加 してい る。」「自
治会 の活動 として公民館 を利用 している。」「子 ど
ものために公民館での乳幼児学級には通つている
が 、カルチ ャーセンター には行 つた ことがない。」
「公民館 の講座 には興味をひ くものはない。」な ど
と答 えて くれた。
また、「全 国実態調査 か ら見る公 民館 の現状」
速報 (2009年 )に よると、公民館 の利用 について
は、「講座 。講演会・学級」な ど公民館 の 自主事業
「自主サー クル・ グル
に参加 した ものが最 も多 く、
「公民館祭 りな どのイベ ン ト」と続 く。
ープ活動」、
次 に公 民館 の満足度 を調査 してみ ると、「た い
へ ん満足」、「まあ満足」 と回答 した人は 62.9%。
それに対 して、「やや不満」、「たいへ ん不満」と回
答 した人は 35.4%に のぼった。そ こで、公民館 に
不満 を持 ってい ると回答 した人に、その理 由を開
いてみると、「興味ある講座がない」 が最 も多 く、
「情報 が伝 わってこな く、何をや つてい るのかわ
か りづ らい」、「施設が老朽化 し、建物 が使 いづ ら
い」、「事業がマ ンネ リ化 している」、「職員 の対応
が よくない」、「使 い方がよくわか らない」、「手続
きが面倒」 と続 く。
さらに、全体の 24.3%の 公民館が、「貸館業務
しかしていないか ら」「人手がないから」「予算が
ないから」 とい う理由により、自主事業を行 つて
いないことがわかった。
このよ うな公民館 に対す る不満が、地域住民 の
「公民館離れ」を引き起 こ しているよ うである。
(5)公 民館 のあ り方
2009年 11月 に開催 された近畿公民館大会 にお
ける分科会 のひ とつで、「今望 ま しい公民館 とは、
魅力あ る公 民館 であ り、地域住民のための公 民館
であ り、地域活l性化 の拠点 となる公民館である。
そのためには、 まず人が集 ま りやす い環境 をつ く
ることである。地域住民 のニー ズにあった講座 を
設け、集 ま つた人を中心に地域活性化 の リー ダー
として育てる。 このよ うな考 え方が今後必要 とな
って くるだろ う。」 と発表 があつた。
また、地域住民の 「公民館離れ」 が深刻 になっ
「地域住民をいか に して公
てきてい る地域 もあ り、
民館に呼び込む のか」 が論点 ともな った。
このよ うな ことか ら、「社会 の要請」をい きな
り住民につ きつ けるので はな く、住民のニー ズ に
いの豊かさ」、「健康」な ど
あった 「生きがい」、「′
の講座 (個 人 の要望)を 魅力的 な講師を活用す る
ことで実施 し、人 を集 める。そ して、集 まってき
た人に対 して現代的課題 に即 した講座 (社 会 の要
請)を 受講す るよ う勧 める。
このよ うにまず は 「人集 め」か ら始ま り、「地
域活性化に向けて の人材養成」を徐 々に時間をか
けて行 う。 このよ うな体制作 りが、生涯学習 の拠
点施設 としての公民館に とっては、今後月
干要な こ
ととなって くるので はない だろうか。
3
生 涯 学 習 に 求 め られ る人 材 活 用
(1)知 の循環型社会
「21世 紀は、
2005年 の 中央教育審議会答 申では、
著 しい急速 な科学技術 の高度化や情報化等 によ り、
新 しい知識が、政治 。経済 。文化 をは じめ社会 の
あ らゆる領域 で基盤 とな り重要性 を増す、 いわ ゆ
る知識基盤社会 の時代 である。」 といってい る。
また、2008年 の 中央教育審議会答 申では「社会
の変化 に対応 してい くためには、狭義の知識や技
能 のみな らず、 自ら課題 を見つ け考 える力 、柔軟
な思考力、身に付 けた知識や技能を活用 して複雑
な課題 を解決す る力及び他者 との関係 を築 く力等、
豊かな人間性 を含む総合的な欣日
」が必 要 となる。」
といつてい る。
この よ うな社会にお いては、各個人が、 自らの
要望に基づいて学習す るだけではな く、その学習
した成果 を社会に還 元 し、社会全体 としての教育
力向上に貢献す る必要がある。 この よ うな 「知 の
循環型 社会」を構築す るこ とが、生涯学習にお い
-5-
て、重要事項であると思われ る。
ヒ
(2)地域の活性イ
「地域 の力 が、 日本 を支 える。地域 の活性 が求
め られ る」 と言われて久 しいが、兵庫県 の場合 、
『 ひ ょうごの 「力」』 (2009(株 )兵 庫 ジ ャー ナル
社)に おいて、「摂津、丹波、但馬 、播磨、淡路 の
五つの国か らなる広大な県土を擁す る兵庫は 日本
の縮 図 といわれ 、大都市 か ら離島、農村漁村 に至
るまで、多彩な風土や文化 を育 んできた。 こ うし
た多様`性 と個性 が兵庫 の強みであ り元気 の源であ
る。」と記載 され、兵庫県における地域力 について
述 べ られてい る。
さらに、「大切な こ とは、歴史や文化遺産、も
のづ くり技術 、さらには地域や人 のネ ッ トワー ク
な ど、長 い年月を経 て育まれてきた地域 の個性や
特 性な どの大切な資源 、地域 の強みを生か してい
くことだ。地域へ の こだわ りが地域 の元気 につ な
がるか らである。」 と続 く。
また、「古 くは 日宋貿易 の時代 に さか のば り、
幕末 の神戸港開港以来、兵庫 の地は、世界に開い
た 日本 の窓 口となって多様な文化 を受け入れ てい
た。新 しくて、よい もの を素直に評価 し受け入れ
る柔軟性 と先進:性 を持 つ。」兵庫県 では、地域 の個
性 を大切 にし、県内全域のネ ッ トワークの3剣 ヒに
よ り、地域 の活性化 を図 り、進取 の気風 をもとに
全国に先駆 け、 これ らの取組 を全国に発信 しよ う
としている。
井戸知事は、2008年 度 当初予算 の提案説明 にお
いて 、「今、私たちに求め られてい るのは、家族や
地域 の機能回復 と社会経済 システ ムの再構築を図
り、安全 と安心が実感 で きる社会、未来を切 り拓
く元気な力に満ちた社会 を築 いてい くことで はな
いか。今 こそ、地域 の個性 を推進力 に、世界化 の
波 を追 い風に して前進す るときである。未曾有 の
大震災か ら、 ともに力 をあわせ、支 え合 いなが ら
創造的復興 を成 し遂 げてきた兵庫だか らこそ、 日
本 の成熟社会 を先導す る ことができるとい う気概
を持 って、神戸阪神 、丹波、但馬 、播磨、淡路 の
五つの地域 の多様 性と個性 が共 鳴す る兵庫 の特 性
を生か し、世界 の 中で兵庫 の地位 を確固たるもの
に してい きたい。」 と語 つてい る。
「子 どもか ら高齢者 まで誰 もが生き生きと安心
して暮 らせ る環境 づ くり」は、誰 もが望む社会 で
あ り、地域 づ くりを中心 に した生涯 学習 と地域を
動かす人材育成 に投資す ることが喫緊 の課題 とな
つてい る。その人材 につい ては、圧倒的 に人数 の
多 い団塊 の世代 の活用が最 も良い と思われ る。
人 口分布
されてい る (図 12)。 日本 の消費を支えてきた こ
の年代が、現在 の経済不況 の救世主 となるか、多
くの企業が期待 している。
バイクにユTス ホステル…
スキー、
﹁思 い の ま ま 、 自 由 に 回
れ る のが バ イ ク の魅 力 。若
いときを 思い出して 、やみ
つ き に な った ﹂
神戸市 の男性 ︵
” ︶は 2 年
前 、退 職 を 機 に ツ ー リ ング
を始めた。夏 の北海道を 1
カ 月 か け て 1 周 。旅 先 で は 、
米 国 製 の ハ ー レ ー ダ ビ ッド
ソンで巡る 年上 の男性とも
知 り 合 った 。 経 費 を 浮 か す
た め 、 定 宿 は ユー ス ホ ス テ
ル 。 ﹁同 年 代 が 利 用 し て い
て面白い﹂と いう 。
ライダーの年齢層は近
年 、 上 昇 の 一途 だ 。 日 本 自
動 車 工業 会 に よ る と 、 2 0
8
0 1年 度 の 平 均 年 齢 は 3
,
5 歳 だ った が 、 団 塊 世 代 の
7年度
大 量 退 職 が 始 ま った 0
5 ・8 歳 。 若 い こ ろ に 経
は4
験があり 、時 間にゆとりが
(3)団 塊の世代
地域を動かす人材 として注 目されてい る 「団塊
の世代」 とは、 どのよ うな方 々なのか。 この 「団
塊 の世代」 とい う言葉は、堺屋太一の小説『 団塊
の世代』 によつて、名 づ け られ、その世代は、第
二次世界大戦後に、日本にお いて生まれた世代で、
い わゆる第一次ベ ビーブームの世代 である 1947
お
年 か ら 49年 のた った二年 間に生まれた人 々で、
800万
よそ
人を指す (図 10)。
75∼ 79歳
3ぜ
ケ第二の人生消費けん引
45-49滝 晟
30-34廊 モ
15∼ 19歳
0∼ 4歳
5000
図 101
【
10000(千
(総 務省 2K109年
人)
15000
「国勢調査」より)
企業人として蓄積した専門的な知識や経験
ュニケーション
社会人としての一般常識やコミ
【
図 12】
(21X19年 11月 4日 神戸新聞怖 齢
この よ うな特徴 を もって い る団塊 の世代では
あるが、
大量退職が始 ま った 2007年 か ら 3年 が経
消費者としての購買力
センス
都会生活で培われた消費の知識、
人手としての労働力
ち、彼 らが、地域に戻 つて きた。実際に団塊 の世
代は、今 どの よ うな考えを持 ち、 どのような生活
を送 ってい るのだろ うか。団塊 の世代 のセカン ド
ライ フを追いか けてみる こととした。
新しい著者文イ
しや消費行動を形成してきた感性
高学歴で生涯学習意欲の強い点
子育てや親の介護などの生活経験
その他
図 11】
【
以上 の会員数 は2年前の1
団塊の世代に期待する能力
, 辟r
相
諏詐縣師瑞課動 媒
あ
った 雰 囲 気 を 懐 か し む 人 が
多い﹂と話す 。
(図 11)。
7% 増
出荷台数は 、2年で1
続く
︵井 関 徹 、 広 岡 磨 璃 ︶
げ られ る。2009年 内閣府が行 った調査 によると、
「企業人 として蓄積
団塊 の世代 に期待す る能力は、
した専門的な知識や経験」が 77.2%と 最 も高 く、
「社会人 としての一般常識や コ ミュニ ケーシ ョン
能力」39.8%、 「消費者 としての購買力」36.1%と
¨
¨
¨
¨
¨
¨
¨
一
¨
¨
¨
¨
¨
¨
団塊 の世代 の特徴は、人数が多 いこ とであ り、
日本経済をささえる重要な働 き手 であつたこと、
また 日本 の消費に大きな貢献を してきた ことが挙
.
■1 1︰ 余 暇 を楽 し む シ エアは 、
でき て 回帰 し た ﹁
リ タ ー ン ニア が主 役とな った 。ビ ー 各 方 面 で市場 をけ ん引 し て
ライ タ ー﹂も 多 いと いう 。 ク時 の1割と な った登 録 会 いる 。新 車全 体 の販
売台数
ュー スホ ス テルも 、本来 員約 6 万3 千人 の うち 、4 が 6 年連 続 で減 少す
る中 、
60-64歳
(2009年 内閣府が行つた調査 よ り)
団塊 の世代 の 「企業人 として蓄積 した専門的な
知識や経験」、「コ ミュニケーシ ョン能力」につい
ては、地域活`性 化には欠かす ことがで きない能力
として注 目されてい る。
また、「消費者 としての購買力」につい ては、
新 たな展開を迎 えている。「子育てや仕事 を終 え、
時間 。金銭的にゆとりを持 った人 々が青春を追体
験 し、市場をにぎわせてい る」 と神戸新間に記載
-6-
(4)団 塊の世代のセカン ドライフ
株式会社野村総合研究所 が、2005年 にイ ンター
ネ ッ ト上で実施 した 「団塊 の世代 のセカン ドライ
フに関す るアンケー ト調査」によると、団塊 の世
代 の うち 60歳 を過 ぎても仕事を続けたい と考 え
ている人は調査全体の約 8割 にのぼった。さらに、
「経済的な理
仕事を続 けた い と挙げた人の理 由は、
由、老後 の生活資金」60.9%、 「生活に困 らないが
小遣い稼 ぎのため」 19.9%と いつた収入 目当てが
多 くの割合を 占めている (図 13)。
兵庫県にお いて もこの制度 に貝」り、51人 以上の
企 業 に常勤す る60歳 以上の労働者 は約 7万 人にの
ば り、ここ 3年 で 1.77倍 に増 えた ことが兵庫労働
局 の調 べ で分 かつた (図 15)。
仕事を続けたい理由
頭や体をなまらせないため
一
賄¨
﹁
覇¨
¨
老後の生活資金のため
経済的な理由、
`
ややりがいのため
自分のいきがし
家にずつといるのが嫌だから
から
もつと社会に役立ちたいと思う
生活に困らないが小遣い稼ぎのため
∞年県内調査 3年前から77%増
兵庫労働局、
ル
これといつて他にやることがない
1鰤 袢
0 10203040506070
【図
13】
(2005年
」 ●
「
(株 )野 村総合研修所 の調査 よ り)
60歳 をすぎてやつてみたいこと
国内外への旅行
ハイキング、
自然散策、
まち歩き
ボランティア活動
スポーツ、
体づくり
映画鑑賞
田舎暮らし、日舎と都会の行き来
海外長期滞在
新しい人間関係、
友人づくり
地域活動
家づくりや庭づく
り
資産運用、
投資
料理
プログなどインターネットでの情報発信
著作、陶芸、
芸術活動
楽器演奏、
歌
NPO立 ち上げ
起業、
外国語の習得、外国人の友人づく
り
骨董品、
趣味のモノ
集め
恋愛
日本の伝統芸能
宗教の勉強
【
図 15】
(2009年
(5)団 塊の世代の本音
14】
10月 29日 神戸新 聞掲載 )
このよ うに 「団塊世代 のセ カン ドライフ」 の動
向に注 目が集 まる中、「社会 の要請」としては、団
塊 の世代 に 「地域 づ くりの担 い手」 としての期待
が高ま ってい る。 これ までに、兵庫県では、団塊
の世代 が地域活動デ ビュー を果たす ことを支援す
る事業 (図 16)を 行 った り、NPO法 人等が、団
塊 の世代 を対象に、地域 づ くり活動参加 へ のきっ
か けづ くりや地域 づ くり活動 の実践力 の向上にむ
(2005年 は )野村総合研修所 明 踏 より
この よ うな結果か ら、団塊 の世代は、国内外の
旅行や趣 味を極 めた り、会社員時代 にはで きなか
つたことに没入す る生き方 、いわ ゅる 「自己実現
のための生き方」を望んではい るが、現実は、定
年 を延 長 した り、パー トやアルバ イ トとして働 く
「稼 ぐ生き方 」をす ることを余儀な くされて
な ど、
い ると思われ る。
この よ うな現状を踏 まえ、国は 2006年 年金 の
支給開始年齢まで雇用維持 を図るため、企業に定
年 の廃止や引き上げ、継続雇用制度導入のいずれ
か を講 じるよ う義務化 した。
【図
一奮ヽ 希 望 書 全 員 が “
蔵 以 上ま で ■ け る 企 業
﹂
ヽ 同 2 ,2
増 えた が 、
(図 14)。
,
では 4 ・
4 お こ少政 .
中 小が 同 2 ・
2 増の場
% だ った の に 対,
し 、人 ■
婆は 同1 ・
5 響 増 のΩ ●
9
% だ った 。さ ら に 簡 戯 ま
●企 業
で ロ リ ●劇よ ポ あ 一
4・
ハい.
覇4 ・
2響 場 の 1
3
しか し、現役時代 と同等水準 の所得を望 んでい
るのではな く、月 々10万 円以上 30万 円未満 の収
入を希望 している人が 66.2%と 最 も多か った。
続 いて、60歳 を過 ぎてや ってみたいこ とについ
ては、「国内外へ の旅行」が 68.4%と 最 も多か っ
た
コ
‖
J∬訃
ど 宅里鶉
二 庫 県 内で 入 以 上 の企 業 に 常勁 す る ω蔵以 上 の労 働 せは 約 7万 人 に上り 、 ここ3 年で 1 ・7 倍
が 、員 庫 労働 局 の識 べで分か った.
に増 え た こと,
.国が 案 に対 し 、高齢 I冒 用 の制 雛 導 入を出 移付
,う 社の目 合 も 、前 年 同嬌 魔 0 ・9 爛 の %
け た こと が感 響 し たとみ られ 、 ” 東京 で 由け 0制 度¨
があ
・3“■ヽ三しヽに,
分﹂,
日薇〓 ︶
今の会社の人たちとつながつていたいから
)
-7-
けた多様な支援策を展開 して きた。
しか し、団塊 の世代 をメイ ンター ゲ ッ トとした
事業には人が集 まっていないのが現状だ とい う。
そ こで、「ひ ょうごボ ラン タ リー プ ラザ 」 が 、
2008年 に『 団塊世代 の地域 づ くり活動支援 フォー
「団塊の世代を対象にした事業に
ラム』を開催 し、
なぜ人が集まらないのか」を検証 した。
これは、団児の世代を対象にした事業に人が集
まらない原因を検証 し、今後よリニーズにあった
支援を行 うことを目的 とした ものであり、実際に
団塊の世代の人々が集 ま り、グループ討論形式で
行 った。
1 8合 的支援
ネットワーク
2
関の情颯美キ年を行うネットワークを相簗し、相談■のニーズにt
5性
地域 づ くり活動支援
l●
晩世代年の地域づ くり活動への,加 を
金のRR籠 団体の奥餞活動車傷集の作
づ
代年に対 し、セミナーや活動
づ
くり
くり
域づ
くり活動へ0'"を ■ヨす る国
ア 地崚
活動きつかけ
手集 咆
〕団規世代寄力 りお勤 ●栗
=螢
「
NPOキ
がネットワークをtaら 、フォーラ
:代 キ0活 動を支撮する
:事 により
憫颯交検や口模を行いニーズにあった取り錮■を■量二
イ シニア地嘔活動工lRHPO,ネ ット
ウ 団塊世代年地嬌づ くり活動情颯発● E富 な知口と経霰を有する団■世代●の1 嗜づ くり活動の実践活動例を
2地 域づくり活動情颯システム
ネット」
)ひ ょうご動労
掟lL=案
Dポ
咆燎づくり活動団体年が取りlaむ 活動種要や 責会勁威.活 動ノウハウ預
供寄付孜 企業などの各■支饉情颯をインターネットにより発●し、日
ラボ
'コ
=ポ
地域のポランティア活コに,口 ,
世代の■瞑時期を■え、勁労
=が 行うため ポランティア コー
るための情●提供からマッチング年を
ディネーターによるボランテイア マツチングシステムをr誉 ■通.
トランティアグループ 団体手による専の糧の汚勁からNPOに よう中
自支糧活動まで、多様な活動内容に対るしたきめIBか な勁成を実鮨し、
ランティアシステム
ll規
ランタリーニ全助威事窯
ワー7ッ プ
活動0怪 レく
Dt崚 づくり
提案する地峰をよりよくする取 り組みの企画 案民に対
ごとに助威 し、団規世代をは じめ県民0主 体的なt域 づく
)
し、各果民
事業
D県
フォーラムでは『皆様の本音を !!「 ぶつちゃ
けて」下さい !!』 とい う企画があり、「なぜ団塊
世代を対象にした事業に人が集まらないのか ?」
についてグループで話 し合 つた。
その結果を大別すると、図 17に あるように、①
生活の基盤を確保することが重要事項だから。②
「団塊」 とひとくくりにされたくない。③ボラン
テ ィアってどんな事をするのかよくわからない。
であった。
① 生活の基盤を確保することが重要事項だから
じめ、 県 民一 人 ひと りが
民交流広場軍集
リスポーツクラフ21ひ ょうこの推進
退職しても働くことをまず考える。
スポーツを■ じて地域コミュニティづくり年を日るため、子どもから高
論●までIB広 い年齢層の住民bt、 小学′区をこ本とするそれぞれ0■ 峰
で、様々なスポーツを楽し0こ とができる地嗅住民の自主E書 による地
子言て中の■子が気軽に屎 う身近な関百と し の「まちの子冑てひろ
ア まちの子育てひろば
=案
地崚の団体年がネットウークを00み 、見守 り、声かけ、子冑て相談など
の子盲て家庭応晨E動 を晨laし 、その中で層待やロヨF動 年のSOSを
キャッチし、関係糧躙につなぐ「子富て0■ ネット」を推進するため、
かりや送ユを行う「子育てフアミ
―崎
ウ 子盲てフアミリーサポー トくらぶ
咆
エ フアミリーサポートセンター●彙
にll的 な保盲に対tす るフアミリーサポー
年金があつても、必ずしも生活が楽なわけではない。
失業保険受給中は、有償のボランティアに手を出しにくい。
「
② 団塊」とひ とくくりにされたくない
団塊という枠組みは必要ない。
塊世代 ■中 0と した立ち上 げ を推
`で
)=ち のにきわいづくリー播助成手黒
サポートくらヽJ
60歳 から65歳 までの年金受給までの生計をどう立てるかが関心事曳
団塊という言葉に抵抗がある。
ター0立 ち上lf=ミ め
高齢、老後という言葉を聞いても自分が対象者という感覚がない。
匡神 浚路大■災により歓 災 したまちのにぎわいづ くりに向け、まちづ
くり13日 会や商店街掻興籠合年の地嗜団体が主体的な,こ に基づきF
う、地崚の,色 や団規世代の「知■と工夫」を生か した取IEみ に対 し、
包信的な支饉を実施.
団塊世代を地域活動参加に呼びかける理由がわからない。
仕事をしていると時間的余裕がない。
学習活動支展
X齢 ,大 学の開讚 E誉 手 {い なみの学
]、
阪神シニアカレッジ、地颯高鈴■大
2生 選字習情laプ
ラザ●■の晨HI
者に結合的 体系的な学習に会を提供するとともに、社会,加 とι
生遷学詈の全栞的なlH颯 ネ ットワーク拠点として 桑民が生理 にわた
り主体的に学び、その成果 を実Eに 生かす ことができるよう支饉.
口塊世代の争びの きつかけづくりにつながる宇詈相腋の■■
生題学詈憫颯ネッ トワーク●車 (ひ ようごインター キヤンパス)で 団
塊世代に対応 した学習情颯提供.
定年後の人生について考え、α立つ知■を学ぶ、シニアセカン ドライ
フコ座年の31催 .
D生 涯学習支三センター●栞
コ塊世代をは じめ、県民の多襦な生IE学 習ニーズにこたえるため、実践
,大 宇置購「ひようこ■【」
ヨ塊世代をは じめとする県民の生湮字詈の充実 を回るため 県内の 4年
‖大学年と兵暉県が迪携 し、精々な分野の大学教育レベルの■Eを 広 く
Dひ
コ境世代をはじめとする県民の字詈ニーズにこたえるため、果と大学が
ょうごオープンカレッジ
4 2R・
ミュニティ ビジネス年生きがいし
ごと,長●彙
のシニアしごと倶桑部の故置
した再 nが 可能となるため、再就嗜への情澪
i塊 世代
1し
よう
助
=
求人情●0提 供
Dも
のづくり大学● (仮 称)壺 n
a「
ひょぅこEの
D「
ひょうごの達人J招 聘事業
はじめ、コミュニティ ビジネスを尾彙 手案を本格的に晨
事をは じめ 、ポ ラ ンタリー活動 を始 めよ うとす る●に対 し、
事の立ち上げを支晨し 活動の促遣を目るため、事務所僣上
支晨」助成軍案
ヨ規世代年の技術 技籠の伝承やtの づ くり現場人材の言咸の拠点とな
探ネ手栞
IIIへ
いし、生■
=」
ヨ続世代年の専円寮を電車学11へ 招へいし、計画的 実践的なF平 を通
り囁晨学校事事
団塊世代年、生きがいとしての星菜 生栞としての星案を目指す人を対
拿に、晨業技臀年の習得を回るため 生 きがい星 案コース■び●晨ヨー
υシニア世代手講■●晨加
==燿
季累
団塊世代手 を晨 果の 担 い手 とす るため、2t星 に必 要なこ t匈 ■ が習 得で
きる を開餃するとともに、口晨IB談 合や中高年の2t晨 先開幅活動を
=産
する中■年齢■の口晨、饉巳
するため、垂
`I援
罰塊世代を含む新規口温希望,の 円滑な●良を彙遣す るため、
)晨 菜■人年雇用眈晨促進,窯
ヽ■
現世代年による星山■の活性イ
し
=業
を支侵.
法人
_
体験や晨山ヽ地域との交
■じ団塊世 をはじめ県民が,と 星に
=葉
=を
魔じむうイラスタイル r楽 農生活Jの
実日の│
1団 境世代等の力を活用し 構々な晨山■の活性
{ヒ
菜
策を晨用
“ めと
優 霧
L。
③ ボランティアってどんな事をするのかよく分からない。
が身近にない'It黒
ポランティアに関する情報
。
'I11[巌
余ランティアをしている人と接する機会がない。
ボランティアとして活動しても、役に立っているという実感が持てない。
,多 ロ
ス
は住
推進手黒
υ多 自然日住番菫 三員手 票
Э多自然居L文 晨ul点 堅償支撮平栞
自然居住広疇活動団体助威軍棄
1湘
の
詈妻
芳里ξ:場 言
FJ旨 尿
著貫
き[務 讐
│:骨 塁
自[憾 よ:L言
13昌
多自然居住計 画に基 づ き十目的 に行われ る基
螢
『
:三 苦 93ξ ':ξ
,
│ヮ 里菖II:」
│[暑 卑
最iよ とき:鮮 :書 :│
図 17】 (2008年 ひようごボランタリープラザの調査より
【
続 い て 、「退職後 の過 ごし方 を どう考 えてい る
か ?」 をテーマ に した話 し合 いでは、
現実的 には、
生活 を重視 した考 えが多 くあったが 、気持ち とし
ては、
今までに行えなか った事な どをは じめ とし、
い ろい ろな ことをや ってみたい と思っている。 と
い う結果 であつた (図 18)。
)
り護たは
収入確保のために仕事 がしたし■
仕事 とボランテ ィアが両立できればや りたし、
自分 の時間 を収入に1白 ,つ けたし、
気 持 ち と して は
.
団規世代をはじ する●市住民
肥 ];:量 査基13f皇 鳥F啓 'じ
イ ふるさと0蘇 全活動支援事栞
■ur.」 ましめとする尋市L劇 こよリセ
に 出恩握E8重 梯12LP団
D椰 市E■ 文章連
選手棄
1団 規世代をましめとする都市住民と晨山 住民との支えの
=促
`材
5田 舎暮 らし支援等
D多
1タ
ミュニティ ビジネスキでの起案 ●案を総合的に支侵し、活力ある地
Dひ ょうごポランタリーき金「立ち上げ
=季
「
キ
会
11言
量
基
堡
団規 世 代 をは じめ、地 嬌 社会 ,ス と生 きが い ある II=方 を目指す ■ の コ
“
え稟
を持 つ高齢者の増加に対0し 、企集か ら層用関係0な い仕事を
=欲
し、追加的な収入を得なが ら生 きがい0九
‖音受け、会員に仕事提供
7椰 田文■人活動支
1
llPOの ことがわからない。
菫労等支援
Dコ
,コ
現職時代に退職後の過ごし方に関する情報が少ない。
=齢
きがいう〈りを推進.
めるため 椰市と晨Ftの 文晟年
エリアを活動の場 として、椰市住民の■定住 定住多自然居住
図 16】 :兵 庫県の団塊の世代地域デビュー支援事業
【
教養 を深めることが したし■
大学に入学するなどして勉強 したい。
社会 とつ なが りを持ち続けたし■
特技を活かして、地域に還元できる活動をしたし、
働いてきた分、ゆつくり過 ごしたい。
自由なスケジュールを立てて過 ごしたし、
図 18】
【
-8-
ごボランタリープラザの調査より)
(2008年 ひょう
このフォー ラム を終 え、企画協力 した (特 )市
「団塊 の世代 に限 つ
民事務局 かわにしの三井 氏は、
た ことで はあ りませんが、収入 も得なが ら社会貢
献 もできる。また、その情報 が しっか りと届 くよ
うになれ ば、団塊 の世代 の参画 の機会 も増 えるの
ではないで しようか ?」 とコメン トしてい る。ま
た、 (特 )し や らくの小倉氏、井上氏は、「団塊世
代 の一斉退職 =地 域 の担 い手・ ボランテ ィア とい
った一方的な思い込みやお しつけがあるよ うに感
じられます。団塊世代 の個人個人 が退職後 のこと
を どう考 えているのか とい うことを無視す ること
な く、もつ と掘 り下げて理解 してい く必要 がある
のではないか。今回の団塊世代 フォー ラムでのワ
ー クシ ョップで も本当に様 々 な意見が出ま した。
『 地域に何か恩返 しを したい けど、できない環境
人 口は、2035年 には、県内総人 口の 34%(図 20)
に至 ると考えられてお り、今後総人 口は減少 し、
高齢者 の割合 が高 くなることは明白である。
(千
ノ、
)
兵庫 県年齢別 人 口推計
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
【
図 20】
●∞5年 国立社会保障・人口Fpl― の人口推計より
)
がある。
』
『 しごとと地域貢献の両立ができればい
い』など。」とコメン トしている。フォー ラムを通
して、収入を得ながら社会貢献できるシステム と
情報が的確に届 くシステムづ くりの 2点 が、団塊
の世代を地域を動かす人材 として育成するキーワ
ー ドであるようだ。
生涯学習 におい ては、 この ような高齢化 の進行
や人 口の減少 について、それ 自体を問題 として と
りあげるので はな くて、 このよ うな人 口構造 の変
化 に柔軟 に対応 し、それを乗 り越 えた社会 づ くり
をふまえた内容 を考 えてい く必要 があるのではな
4
ラ リーマ ンな どの
場合)に 定年 を迎 える 60歳 以上をさす言葉 と思わ
れがちだが、1956年 国際連合 が 65歳 以 上を 「高
齢者」と して、全人 口に対す る 65歳 以上の人 口の
比率 を 「高齢化 率」 とした ことか ら高齢者 を 65
生涯 学 習推進 へ の新 た な提 案
2008年 10月 1日 における我が国の総人 口は、1
億 2,769万 人で、前年に比べて 8万 人の減少 とな
つている。65歳 以上の高齢者人 口は、2,822万 人
となり、総人口に占める割合は 22.1%と なった。
1950年 には、総人 口の 5%に 満たなかったのに比
べ ると約 50年 間で4倍 以上にふくらんだことにな
る。
2005年 の 「国勢調査」をもとに 2008年 に国立
社会保障 。人口問題研究所が行 つた人 口推計によ
ると、2035年 には、65歳 以上の人口は、総人 口の
33%に 至ると考えられている (図 19)。
(千
人
(サ
歳以上 とす ることが一般化 しているよ うである。
かつては、高齢期は 5つ の D「 衰退 (Decline)」
「病気 (Disease)」 「依存 (Dependency)」 「憂鬱
(Depression)」 「老 いばれ (Decrepitude)」 で表
現 された。 これに対 して、 アメ リカな どで最近 よ
く使われてい るのが 5つ の R「 再生 (Renewal)」
「復興 (Rebirth)」 「新生 (Regeneration)」 「復活
(Revitalization)」 「若返 り (Rejuvenation)」 で
ある。高齢期 を非常に前向きに とらえるよ うにな
つてきた。 60歳 や 65歳 を 「区切 り=終 わ り」 と
年齢別人 口推計
)
いか。
「高齢者」 とは、―般的
140,000
して とらえるのではな く、新たな一歩 を踏み出す
120,000
通過点 として とらえるよ うになって きた。 もちろ
ん主婦層 にお いて は、 もとより定年 とい う区切 り
100,000
80,000
がない。 このよ うな点をふまえ、生涯学習にお い
て も 「生涯 現役」 で活躍できるよう考えていか な
60,000
40,000
ければな らない。
では、個人 の要望や社会の要請 といつた生涯学
習をバ ランス良 く受講 し、その学習 した成果 を社
会に還元す ることで、地域活′
性化 に貢献 できる人
20,000
0
ゞゞがずゞゞ´
【
図 19】 (20C15年 国立社会保障。
人日問題研究所の人口推計より
とは どの よ うな年代 の人たちなのか。
)
兵庫県 において も、同推計 に よる と 65歳 以 上 の
-9-
図 21に あるように、40歳 代では、個人 の職 に
つ ながる生涯学習を行い、50歳 代 では、気 の合 う
仲間 とサー クル活動 を行 うことで、個人 の要望を
満た し、60歳 つ ま り退職 してか ら「地域 を動 かす
事 業BI回 名
事 業概 要
神戸 市北 区
河 女性 加
エ グル ー
淡河 赤 花 そ ば
製粉 事 業
発
背覧
呈
洛
嘉
臀
望
К
法
ぶ
雷
震
販売
神戸 市議 区
て支援
きくらん 子(き育くらん
lr
ぼ保育園
認 可外 保 育所 の設置 、 運 営
尼崎市
グル ー プ
エ コ ノ
フ・尼崎
イベ ン ト等 へ の リユ ー ス食器 貸
出
尼崎市
特定非営
利活動法
人 愛逢
小野市
ベ ジくら きる希望 と喜
ぶ
びの パ トンを
家 J=「 愛 逢
の家 」 建 設 ∼
とい う、生きがいある新 しい働 く場 づ くりを 目的
とす る事業」 ととらえて い る。
つ ま り、地域に役 立つ事業すなわち 「地域 の課
題 を解 決す る こと」を住民 自身がお こな うとい う
ことで ある。
退職後 も引き続 き働 く意欲 を持 ってい る人が
多い 団塊 の世代に対 して、その企 業人 として蓄積
した専門的な知識や経験 を活か し、収入を得なが
ら社会に貢献できる場 として、現在注 目を集 めて
い る。
兵庫県では、2009年 度図 22に 示す団体 を コ ミ
ュニテ ィ・ビジネス離陸応援事業 として認定 した。
この コミュニテ ィ・ ビジネス創 出・ 育成 を生涯
淡路
〕1本 市
釣 り堀 海
ン ニ
ラデ
グ 一
兵庫県では、 コ ミュニテ ィ・ ビジネ ス を 「住民
一 人ひ とりが社会 の担 い手 として参画 し、 自立 し
たライ フスタイルづ くりを目指す取組 の一つ とし
て 、地域 に役 立つ事業に 自分たちで取組、労働 の
対価 (収 入)を 得 ることで事業を継続 させてい く
篠 山市
びガ
及ル
2点 を提案す ることとす る。
(1)コ ミュニテ ィ・ ビジネスにかかる講座
丹波
す る一 ら
いふ・ けあ
べん
ぁ異魔計相
観 光 客 ・ IE氏
の誰 もが 気 軽
に集 え る 足 揚
約 200年 前 に建 て られた 味噌蔵
を活 用 した 足 湯 カ フ ェ
ける二世代交
事 業 所 内保 育 及 び会 員制 の 地域
サ ロンの運 営
マ ッガ
域 の タ ウ ン情 報提 供
業
者活す
ことになるが。)
今 まで述 べ てきた ことをふまえ、「知 の循環型
社会」を実現す るための生涯学習について、次の
宍粟 市
眠T酬
外 国 日本 の
子 どもた ちの
英 語 に よ る幼 児教 育及 び保 青
保 吉 サポ ー
ト
か 刹H ﹄
か
障 の向 ら べ
反 け の 一あ
重 向動 ろ け
図 21】 :生 涯学習の実施形態
【
このよ うに、社会の要請にもとづいた生涯学習
の講座 を受講す る者は、おお よそ、この 60歳 か ら
65歳 あた りと考 えてみては ど うだろ うか。 (現 在
の 60歳 か ら 65歳 とい うのは、団塊 の世代 とい う
部 オ リー
プ の全
西薔磨タ
ウ ン情 報
の フペ
品 ルメ
相生 市
障 害 福祉 関 連
団体 へ の 会 計
相談・ 助 言 と
支援援助事業
λ
墨雰農羹漂
曇劣
箕
振興[膳 脂
施
タ
蘭 ンに
レ
エ ス
加場 一
西 播磨
,
たつ の 市
B法 ま
地域社会における実践
兵 庫 県産 小 麦 rふ くに の 香 り,
エゴグ
木ド ン
65歳
ル
姫路市
の香 ちゃ
製特 一と 活
中括磨
■法 イナ レ
ナ
一
一
一
¨
け
鵬
わけ
Ψ
渤
夕ヨ
「個人 の要望」「社会 の要請」
(地 域を動 かす人材養成 )
営法 ひ立
姫路市
研渤 六 暉 に
60歳
不造産デ お性
多可 町
気 の合 う仲間 とサー クル活動
特 利 人 と 台 特 利 人 め 連 行利 人 ン シ ス 行利 人 ム
北播 磨
ケアの
克号雰穐
覆層
よ脚
を
グ
”
¨
一
¨
ン
︻
二
蒻
卸
静
一
雄
(ほ
職に ともな う生涯学習
学習 の一講座 として開講す ることを提案す る。
=
阪神 南
50歳
│
事 業者 名
神戸
40歳
│
所在地
幸
一の 一一
,ト ユ出
Hン リ貸
︻べ の器
ケイ め 食
﹂コた ス澁
人材養成」を始 める。そ して、65歳 あた りか ら地
域社会 において実践す る。
地域
IE度 障害者向け の宿 泊施設 の逮
営
自良海 上 釣 り
釣 り堀 の運 営
堀海 人
図 22】 :コ ミュニティ・ ビジネス離陸応援事業
【
まずは、受講する人材 の発掘であるが、広報誌
などにより、団塊の世代を中心に広くよびかけた
り、公民館等の講座やサー クル活動に参加 してい
る人に声をかけた りする。そ して集まつてきた人
に 1年 間コミュニテ ィ・ビジネス実施者育成セ ミ
ナーを開催する。① コミュニティ・ ビジネスとは
何か、② コミュニテ ィ・ ビジネス立ち上げ方法、
③地域課題や地域資源 についての調査研究、④事
業計画の作成、といったテーマで、中小企業診断
士や公認会計士等を講師 として、 コミュニティ 。
ビジネスの意義から方法、実際の立ち上げまでを
学ぶ。地域課題や地域 の資源は各地域 によつて
様々である。受講生が地域の課題や地域の資源 に
ついて調査研究することで、
地域に親 しみがわき、
つ
地域 との なが りもうまれ、地域社会に参画する
きっかけとなる。また講座の中で、兵庫県のコミ
ュニティ 。ビジネスにかかる事業を活用すること
を学ぶ ことで、スムーズに創業にたどりつ くこと
ができるよ うになる。
一人や単独 のグループではなかなか立ち上 げ
ることが困難なコミュニテ ィ・ビジネスもこのよ
うに生涯学習の講座 として位置づけることで、創
業までの不安を解消 し、創業 した後も持続する経
営が可能 となる。また、収入の確保 と地域貢献が
-10-
同時 に うまれ、実施者 自身 の生 きがいの創 出にも
つ ながる。 このように コ ミュニテ ィ・ ビジネ ス に
かかる生涯学習は、地域課題 の解決へ の一方策 と
性を有 し、地域貢献度 も高 く、期待 さ
して、公益′
れる効果は大 きい と,思 われ る。
(2)官 学連携 による地域活性化にかかる講座
兵庫県では、大学 コンソー シアムひ ょうご神戸
との協働 によ り、多 くの県民に 「次世代育成 につ
いて体系的 に学び、地域で の活動に参加 していた
だ くこと」 を 目的に 「まちの寺子屋師範塾」を開
催 してい る。平成 21年 度 は、県内 18大 学におい
て、22講 座 を開催 した (図 23)。 講座修了者 には
知事名による 「まちの寺子屋師範塾修了証」を渡
し、希望 に応 じて 「まちの子育てひ ろば」「子 ども
の 冒険広場」「県民交流広場」な ど地域でのボラン
学
名
セ域における予育て支民に学ぶ
神戸大学
兵庫県立大学 自然 環境科学研究所
(場 所 :県 立人と自然の博物館
自然を楽しみながら学ぶ方法
)
ミ庫県立大学環境人Fal学 部
1場 所 :姫 路新在家キャンパス)
みんなの食生活を考えよう
■庫県立大学応用情報科学 研究 14
1場 所 :神 戸キヤンパス)
輌 代に生きる子どもたち
兵庫県立大学者 lE学 部・地域ケア開発研究所
くス)
(場 所 :明 石キャン′
自分を生かした子どもとのかかわり
方
II戸 親和女子大学
子育てをあ 支援するか
旧西福祉大学
子どもの心の問題へ の関わり方
目田学口女子大学
そのだ流子 育て講座
E路 獨協大学
発達障害の理解と支援
=屋 大学
世 代間交流と子育て支 晨
中戸女子大学
ミと子育てを学ぶ
兵庫教育大学
爬じて学ぶ子育て
神戸女学院大学
子育てと子どものためのサイエンス
甲南大学
甲南大学
「 子育て・家族支援者」姜咸講 座
神戸山手大学
=齢
神戸山手大学
夙川学院短期大学
す る。
陛
団塊 の世代 を中心に県内各地域 か ら 「地域活′
・
1年
まった人に
主体的
推進者 」を募集す る。集
間
創造的 に地域活動 に携 わる能力養成及び資質向上
にかか る講座 を大学等 との連携 によ り開催す る。
①兵庫県における生涯学習 の現状お よび地域活`陛
推進者 に期待 され る役割、②分野別課題 、③地域
別課題、④ 生涯学習 プ ログラムの企画運営 の方法
な どをテーマ に した講座 を設 け、講義、 ワー クシ
ョップ 、実地研修等 の方法を取 り入れ、教授等 の
指導 の もとに学習す る。特 に ここで は、地域活'性
につながる生涯 学習 プ ログラムの作成及 び実施運
六路盤で囲碁入円 お孫さん世 代と碁を楽しみませんか
子 ども量の今」
を新たな観 点から考えよう
子青てを楽しく支援するために
中戸学院大学
子育ての理解と子育て支優
丘大姫路大学
子どもの未来と子育て支援
神戸常磐大学 短期大学部
子育てと健康
兵庫大学
〔IB目 のウェルネスのために
必要不可欠な こととな って くる。
当セ ンター は甲子園球場 の 10倍 とい う広大な
フィール ドに、キャンプ場・ スポーツ施設 。研修
一体化 を図 るには好条件で もある。
そ こで、 ここでは生涯学習推進 に向け団塊 の世
代等 を対象 に した独 自の 「地域活 `性 化」 にかかる
講座 を大学等 との連携 により開講す る ことを提案
社会におけるシニアの社会多加
神戸松驚女子学院大学
や高度化、 さらに知 の循環型社会における生涯学
習 と地域活性化 との関連等 を考えると、生涯学習
施設 と大学等教育機 関 との連携 を強化 し、それ ら
教育機関が持 つ高度な学習資源 を活用す る ことが
室・宿泊施設 を有 してお り、また高齢者大学 も併
設 してい る ことか ら、青少年か ら高齢者 まで生涯
学習を行 うには最適 の場所 である。 さ らに、兵庫
教育大学 が 隣接 し、官学連携 による学び と実践 の
テ ィア活動 を紹介 してい る。
大
民が受講 している。
さらに、財団法人地域活性化 センター が『 平成
20年 度 地域活性化事例集 大学等 との連携 に
よる地域 の活性化』 として 、特集編 8、 本編 42
の事業 を紹介 してい るが、その 中で、兵庫県か ら
は篠 山市 と神戸大学 との連携 についての記事が掲
載 されてい る。
このよ うな ことか ら、生涯学習ニーズの多様化
営につい て受講 生が体得できるように構成す る。
とりわけ現代社会 のかか える問題 として、少子高
齢社会 における 「世代間交流」を用 いての生涯学
習 プ ログラム開発 について学ぶ こととす る。講座
修了者 は、人材 バ ンクに登録す ると同時に、作成
したプ ログラム を実施できるよ うに、県民交流広
場や社会教育施設等を紹介 す る。 生涯学習 に関 し
「世代間交流にも とづ く
て高い知識 を有 した者 が、
地域活性 」 をテーマ にプ ログラム を展開す る こと
図 23】 :ま ちの寺子屋師範塾
【
また、官学連携事業として 「ひょうごォープン
「ひょぅご講座」を開講 し、多くの県
カレッジ」。
-11-
で、地域住民 が町 ぐるみで安 心安全なまちづ くり
等に取組 、交流を図る こ とで、地域 の活性化 につ
ながると期待 され る効果は大 きい。
参考・引用文献】
【
1)『 ひょうごの 「力」
』第 2刷 株式会社兵庫ジ
ー
ャ ナル社 2009年 計盛哲夫 。
松浦克彦監
修 兵庫の地域力研究会編・著 ‐
2)兵 庫県県民生活審議会答申『 地域 コミュニテ
ィの創造的再生をめざして―地域 と住民一人
ひとりの個性 と多様畦を生かして地域を元気
にする』兵庫県企画県民部県民文化局県民生
活課 2008年 兵庫県県民生活審議会事務
局編 。著
3)第 7期 生涯学習審議会提言『団塊世代を見据
えた県の生涯学習のあり方について― 「生涯
現役社会」における学び―』兵庫県企画県民
部県民文化局県民生活課 2009年 兵庫県生
涯学習審議会事務局編 。著
4)中 央教育審議会答申『 新 しい時代を切 り拓 く
生涯学習の振興方策について∼知の循環型社
会の構築を目指 して∼』2008年 2月
-12-
(HAP)の 深化・発展 を 目指 して
ひ ょうご冒険教育
∼ 日常 には じま り、 日常にか えす た めに∼
兵庫県 立嬉 野台生涯教育 セ ン ター
主 任専門指導員
畑 中 啓太
へ
ひ ょうご 冒険教育 (HAP)[以 下 「HAP」 とい う]は 、冒険活動 を通 じて 、人 の信頼や思 いや り、
困難 に立ち向か う強 い心 を養 い 、た くま しく心豊か な人間 の 育成 を 目指 してい る。昨年度 は 9,101名 の利
用 があ り、国 内のロープス コースの 中では トップ クラスの稼働 率で ある。本年度 にお いて も、利用者数 は
更に増加 してお り、「量 よ り質」 へ の転換 が 喫緊 の課題 となって い る。 この課題解 決 のた め、 フ ァシ リテ
ー ター の力量 を高める ことは もちろんの こ と、 ご利 用 いた だ く団体 ・ 個人 との打 合せ を密 に して 、 クライ
アン トの意 向を汲み と り、 これ に沿 つてプ ロ グラム を実施す る こ とが肝要 となる。そ こで 本稿 にお い て、
クライア ン トとのや りと りを中心に事例 を報告 し、 クライア ン トヘ の説 明及び フ ィー ドバ ックの在 り方 を
記す とともに、 さらなる発展 へ の課題 をま とめるこ ととす る。
キー ワー ド〉
〈
日常 フルバ リュー コン トラク ト 量 より質
1
は じめに
『 この 前 の 「生 きる勇気 を くだ さい 」 とメール
した者 です。放送 が聴 けな か つた ので 、 ブ ログを
見ま した。 そ した ら、 い ろんな人か ら元気 づ け ら
れま した。 あ りが と うご ざい ます。 だ け ど始業式
か らも つ と私 にひ どく接 して くる人 が 多 くな り、
せ つか く元気付 け られ たの に、 ダメダメ で した。
(中
略)
`
2回 日です が 、私 に手 を差 し伸 べ て くだ さい。手
のひ ら、ひ っ く り返 さない よ うに、手 を差 し伸 ベ
て くれ る とうれ しいです。』
民放 の全 国子 ども電話相談室 の相 談 内容 (平 成
22年 1月 24日 )で ある。「手 のひ ら、ひ つ くり返
さな い よ うに、手 を差 し伸 べ て くれ る と うれ しい
です 」 とい う言葉 が 、悲痛 な叫び と して 聞 こえて
くる。
ここ数年 、毎 日の よ うに友 人 関係や親 子 関係 、
地域住 民 の人 間関係 の もつれ に よる陰惨 な事件 が 、
マス メデ ィアか ら流れ て くる。 そ して 、今 この 瞬
間 も、人 間関係 に悩 み命 を絶 と うと して い る人が
い るので ある。 そ のた め、学校 で は 「体 験学習」
の充実 が 、地域社会 で は 「地域 コ ミュニ テ ィ」 の
再生 な どが 声 高 に叫ばれてい る。 HAPは 、 冒険
活動 を通 じて 自分 と自分 の周 りの 人 を最 大 限尊重
す る こ とを 目指す もので あ り、学校 の み な らず 、
地域 の 子 ども会や ス ポー ツ少年 団 の活 動 プ ロ グラ
ム として 、また企業 で も研修 プ ロ グラ ム と して導
入い た だ ぃ てい る。 冒頭 の相 談 に対 して 、相談者
とそ の周 りの人 た ちに、ぜ ひ HAP体 験 を して ほ
-13-
クライア ン ト 養成 。確保
しい と願 うばか りで ある。
また、先 頃 注 目を浴び た秋 田県 の教育 にお いて
は、「学校 生活 が 円満 な ら学力 も高 い 」、「 (秋 田県
は )集 団 い じめが 最 も少 な い所 」、「子 ども達 の 元
気 な学校 生活 は学力 向上 につ なが つた 」 な ど、人
間関係 が 学力 に も何 らか の影響 が ある こ とが示 さ
れ た。 も とも と冒険教育 (プ ロ ジ ェ ク ト・ ア ドベ
ンチ ャー )は 、 OBS(ア ウ トワー ド・バ ウン ド・
ス クール )の 野外活動 を一般 の 学校 カ リキ ュ ラ ム
に取 り入れ 、教師 の 日常 の指導 内容 に加 える こ と
で あ つた 。子 ども達 が一人ひ と り尊重 され るい じ
めのない 学校 環境 づ く りが学力 に も影響 す る ので
あれ ば、 ま さに HAPは そ の道 具 とな り得 る ので
ある。
「自己実現 の教育」を提 唱す る梶 田 (1993)は 、
生涯 にわた って生 き抜 ける力 のキー ワー ドは、「た
くま しさ」あるいは 「打たれ強 さ」で ある とい う。
これ は 自分 自身 の 中に 自分 の よ りどこ ろ とな る原
理 とい つ た ものがで きて こな けれ ば無理 だ ろ う と
もい つてい る。
HAPで
は、体 験 学習 のサイ クル の 中で あ らか
じめプ ロ グ ラ ム され た体験 を通 して 、 フル バ リュ
ー コ ン トラク トや チ ャ レン ジバ イ チ ョイ ス とい う
原理 を伝 え る もので ある。 この こ とに よ り生涯 に
わた って 生 き抜 く こ とので きる、 た くま し く心豊
かな人間 の育成 を 目指す。
(1)体 験学習のサ イクル
体験 学習 の サイ クル (図
1)は 、学 び のス タイ
ジ を中止 し地上 に降 りた経験 を持 つ。HAPで は、
この 「一 歩 さが る」選択 が参加者 に与 え られ て い
る。 しか し、 よ く勘 違 い され る こ とで、チ ャ レン
目標設 定
フル′`リュー
コン トラク ト
試な
・
ジバ イチ ョイ ス はヾ参加者 に最初 か らチ ャ レンジ
に参カロしない こ と (no chrange)も 認 めるとい うこ
とは含 まれ な い 。 つ ま り、チ ャ レンジバ イチ ヨイ
ス は、参加 者 にチ ャ レンジヘ の 安 心感 と自己責任
を喚起す るもので ある。
J
2
ヽ
用
応
ト ヘ
.
験 ?
実践事例
(1)チ ャ レンジ コースでの事前打合せ
各 クライ ア ン トとの事前 打合 せ は、電話でや り
取 りをす る こ とが多 いが 、初 めて ロー プス コー ス
を使 われ る ところにつ いて は、現地 で体験 を して
ら、りかえ りと観察
何が
?
\
いただ きな が ら打合 せ を して い る。例年使 われ て
い た ところにつ いて も、現 地で の打合 せ をす る こ
とが大 切 で あ るが、実際 には打合せ の 日が とれ な
概念化・一般化
だか ら ?
図1
体験学 習のサ イクル
ル を示す もので 、 HAPで はプ ロ グラム をデザイ
ンす る ときに使 う。 ここで の 目標 設 定 は、 グルー
プが 目指 そ うとす る もの 、参加者 (学 習者 )の 日
常 の様 子 な どの情報 を クライ ア ン トとフ ァシ リテ
い くらい HAPを 稼働 してい る現実が ある。
そ こで 、 クライ ア ン トの代表者 に HAPの 考 え
方 につい て理 解 をい ただ く こ とが 、本 テ ーマ で あ
る 「 日常 には じま り、 日常 にか えす 」 ことにつ な
ー ター が共 有 し設 定す るもので あ る。 当然 、各 団
体 固有 の もので あ って 、 セ ン ター が独 断で設 定す
るもので はな い。 そ の ために クライ ア ン トとの 打
合せ が大切 にな り、これ を抜 きに して 「量 よ り質」
へ の転換 は図れ な い。 また、実社会 へ と伸 び るベ
が る第 一 歩 で ある。 これ が 十分 で な い と、ただ単
に 「楽 しい 体験 で した 」 とい うこ とで終 わ つて し
ま う:そ のた め、先 に述 べ た 「フル バ リュー コ ン
トラク ト」及 び 「チ ャ レンジバ イチ ョイ ス 」 に つ
いて 特 に理 解 していただ くよ うに、実際 に体験 し
て い ただ きな が ら打合せ を してい る。 また、そ の
ク トル は、「日常 には じま り、 日常 へ か えす 」流れ
を表 してい る。 実践事例 では 、 この こ とを 中心 に
述 べ る。
体験 だ けで終 わ らず 体験 の あ と、具体 的 にふ りか
え りを していた だ き、 フ ァ シ リテ ー ター の意 図 を
伝 え、 日常 に いかす た めに ど う参 加者 に関わ つて
(2)フ ルバ リュー コン トラク ト
い くか の共通理解 を図 つてい る。
「約束 ごとをす る」とい うこ と。
コ ン トラク トは、
フル バ リュー は、「お互 い を最 大限尊重 しよ う」、
家族 にた とえて言 うな らば、「理想 的な家族 な らこ
うだ 、 とい うイ メー ジで行動 しよ う」 とい うこ と
あ る団体 との
打合せ で は、ホ
ー ムペ ー ジ の ハ
イ エ レ メ ン トを
にな る。 筆者 は、子 ども達 に伝 える ときには、最
初 に 次 の 3つ の 約 束 をす る。「一 生 懸 命 や ろ う
(play hard)」 「お互 いの心 と体 を傷 つ けな い よ う
に しよ う (play safc)」 「ルール を守 ろ う (pltt f血 )」 。
見 られ た た め
か、は じめに「高
い とこ ろ の チ ャ
レンジ はで き ま
(3)チ ャ レンジバ イチ ョイス
す ね 」 と聞 い て
バ ンパ ー プラ ンク
こ られ た 。確 か
にチ ャ レンジ コース では 、 冒険 の小川 に続 く階段
をお りる と最初 に 目に入 り、興 味 をそそ るのが ハ
チ ャ レン ジは 、 一 人ひ と り違 った 内容 で 、様 々
な レベ ル が ある。 筆者 が初 めて クライ ミング ウォ
イ エ レメ ン トで ある。参 加者 に とつては 、ハ イ エ
レメ ン トに対す る期待 と不安 がまず第 一 であろ う。
ー ル に臨んだ とき 、脚 立の一 番 高 い 所 か ら壁 に足
そ の た め、互 い に共通理 解 す るた めに、 クライ ア
ン トが HAP体 験 を導入 い ただ いた ね らいの確認
フル バ リュー コ ン トラク トは、 HAP体 験 をす る
とき の 目標 で あ り、体験 を通 して参加者 それ ぞれ
の 「日常」 にかえ したいキー ワー ドで ある。
をか けた とたん腰 が抜 けて しまい 、 一旦 チ ャ レン
-14-
が必要 になる。 この ときは、新 しく加入 され るメ
ンバー との仲間作 りが 目的 で あ った。 また、時 間
は 2時 間を予定 されて いた。
:テ ーマの確認
:
「新 しいメンバ ー との仲間作 り」
そ こで 、まず 、 HAPが 目指す もの を説 明 した
あ と、具体的 にアイ ス ・ ブ レー カー か ら課題解 決
のア クテ イ ビテ ィ、 ロー エ レメ ン トを使 つて の課
題解 決 を体験 い ただ き、そ のふ りか え りを した 。
この ときのふ りか え りで は、「楽 しい だ けでな く、
お互 い の意見 を出 し合 うこ とに よつて互 いの理 解
「2時 間 では これだけす るが い つぱ い だ」
が深 まる」
な どの意 見 が 出た。 そ こで 、今 回 のね らい と活動
の意 図 を理解 していただいた と考 え、プ ロ グラ ム
について提案 し当 日を迎 える こ とにな った。普段
の打合 せでは ここまでで 終 わ る こ ととな るが、最
初 に 「高 い ところのチ ャ レン ジはで き ますね」 と
言 われ た方 に も理解 していただ くた めに、ハ イ エ
レメ ン トの体験 を していただいた。 と りわけ 「チ
ャ レンジバ イ チ ョイ ス 」 につい て理 解 い ただ く こ
とは、今後 の 「 日常 にか えす 」 こ とに つ なが る と
考 えた。 (ハ イ エ レメ ン トに挑戦 す るこ とは 、 自己
との対峙が大 きな ウェー トを 占め、 そ の チ ャ レン
ジの度合 い は人様 々 で 、最初 か らパ ニ ックに な る
人 もい る。)こ れ は、 自己へ の対峙 が 、 自分だ けで
な く、周 りの 人た ち の 支 えに よつて促進 され る こ
とを理 解 していただ くた めで ある。 い わ ゆる グル
ープ に依存 して しまいが ちな 「仲 良 じグル ー プ 」
で終 わ るので はな く、 よ り生産的 な グループ にな
るた めに、それ ぞれ が 次 の一 歩 を踏 み 出す勇気 を
持 つ こ とが大 切 で ある。 また 、ハ イ エ レメ ン トを
実際 に体験す るこ とに よって 、今 回 の 目的達成 の
ために必 要 か ど うか を、 フ ァ シ リテ ー ター の視 点
で考 えていただ くこ とにつ なが った。
HAPが 目指す「フル バ リュー コン トラク ト」「チ
ャ レン ジバ イチ ョィ ス 」 の理 解 は 、実際 に体験 し
ていた だ くこ とが大 切 で ある。 この こ とを事前 打
合せ で クライ ア ン トとフ ァ シ リテ ー ター が共 通理
解す ることが、 HAPを 「 日常」 (学 校 、家庭 、地
域、職 場な ど)へ か えす第 一歩 である。
目標設定
「 フル バ リュー コ ン トラク ト」「 チ ャ レ
ンジバ イチ ョィス」 を 「 日常」ヘ
(2)フ ィー ドバ ック
HAPを 体験 していただ く団体は、学校関係 は
-15-
16%
8%
口 学校
口 企業
□ 行政
□ 社会教育機関・子ども会等
■ その他
図 2 利用団体の割合
もち ろん の こ と、企 業 、行 政 、社会教育 団体 な ど
様 々 で あ る。今年度 は、図 2の よ うな利 用状況 で
あ る。 HAPは 、 当 セ ン ター の チ ャ レンジ コー ス
で実施 し、そ の 空 間 はま さ しく非 日常的 な空 間 で
あ って 、 HAPで の 学 び は この 空 間 の 中 で しか 得
られ な いモ ノで あ る と誤 解 され る こ ともある。 し
か し、先 に述 べ た よ うに、HAPの 目指す もの は、
決 して非 日常的な空 間で しか 得 られ な い もので は
な く、む しろ 、普段 の 「日常 」 か ら始 ま りHAP
に よつて更 に 「日常 」 に戻 してい くもので ある。
従 って 、 いか にそ の 学 び を参加者 だ けでな く、 こ
の体験 を企 画 され た クライ ア ン トに フ ィー ドバ ッ
ク してい くかが大切 にな る。 4月 、5月 に至 って
は、連 日の よ うに予約 が入 つて お り、そ の 日そ の
日の 内 にクライア ン トとの コ ミ ュニ ケー シ ョン を
完結 して い かなけれ ばな らな い状態 になる。
適応 指 導教 室 の 生 徒 (中 学 生 )を 受 け入れ た 際
には、まず 、参加者 が どの よ うな状態 な のか 、そ
こに携 わ る関係者 は どの よ うに接 して こ られ て い
る のか 、今後 どの よ うに して い きた いのか 、 な ど
の 思 い を知 る とともに、 フ ァ シ リテ ー ター として
どの よ うな活動 をプ ログラ ム に取 り入れ 、 ど うか
か わ つてい くのか な どの打合 せ を した。 チ ャ レン
ジ コー ス とい う非 日常的 な空 間 か ら 「 日常」 へ と
か え ってい ただ くには、参加者 に どの よ うな変化
が あ っ た のか を よ り具体 的 に示 す こ とが大 切 で あ
る と考 え 、事前事後 のア ン ケ ー トを実施 して 、観
察 か らでは見 えない 部分 の情報 を得 る こととした。
事 前 のア ン ケー トで よ り明確 にな つた の は、 自
分 に対 して 自信 がな く、周 りの人 か ら自分 は好 か
れ ていない とい うよ うに、 自尊感情 が 際 だ つて 低
い こ とが明 らかにな った。反面 、「や り始 めた こ と
「何か 目標 を持 っていたい 」
は最後 までや りた い 」、
とい う思 い は強 く、 自分 が 周 りの人 か ら支 え られ
て い る とい う立 場 もよく理解 していた。 まず この
こ とを教 室 の 関
係者 に伝 え、体
験 を通 してまず
自分 に 自信 を持
たせ る こ と、 こ
れ か ら更 に適応
指導 教 室 のス タ
ッ フ との信 頼 関
が ぼんや り見 えて きた ので はないか 。 これ らの こ
とを適応 指 導教室 のス タ ッフ に伝 え、 これ か らの
子 ども達 へ の指 導 にいか していただ くよ うお願 い
した。適応指 導教室 か らは次 の よ うな返事 をい た
だ い た。
今 回の 冒険教 育 は 、始 ま りか ら終 わ りま での全 ての
時 間 、場 面 が 子 ども達 に と って大 きな意 義 の あ つた も
の だ と感 じま した 。その後 の教 室 の生 活 の 中 で 、集 団
係 を築 き、他者
との 関係 作 りを
手つなぎ トラバース
と してはお互 いの信頼 感が高 ま ったよ うに感 じます し、
深 めた い こ とを伝 えた。
個 人 と して は 自信 を持 つて積 極 的 に何 か をや ろ うと い
活動 で は、子 どもだ けで な く、 ス タ ッフ を含 め
た グル ー プを作 り、活動 を進 めた。 そ こでは 、 で
きるだ け子 どもが 中心 にな るよ う、ス タッフに は、
「言葉 を出せ な い お ま じない をか けま した 」 とい
うこ とに して冒険 を開始 した。
ア ン ケ ー トについ て、事 前事後 の 各項 目の平均
値 に つ いて有意差検 定 を行 った 。 そ の結 果、次 の
3つ の項 目につい て、有意傾 向、有意 で ある こ と
がわか つた。 したが って 、 HAPに よつて参加者
は 自分 と向き合 い 自分 を変 えて い こ う とい う傾 向
う子 どもが 増 えた よ うに感 じます 。
指導に活か させ て いただ こ うと思 います 。
よ り具体 的 な形 で フ ィー ドバ ックす る こ との意
義 を再確認 した。
・ 今の 自分 に満足 している
有意傾向
(t(14)=1 91, .05く pく 10)
(t(14) =2.45, .01く
p〈
有意
手首 か ら先 を損傷 した子 どもの事 例
ある子 ども会 の場合 、親子 での参加 であったが、
子 ども同士 の仲 間作 りは もちろんの こ と、親子 の
絆 を深 め るこ ともね らい にな ってい た。 アイ スブ
レー カー や イ ニ シアテ ィブでは 、徐 々 に身 体接触
がで きるよ うにシー クエ ンス をたて る。この 日は、
事前事後による各項 目の平均と標準偏差
事前
に足420
tぞ 沢
夕満
事後
標準偏差
平均
標 準偏差
H1
347
141
093
347
141
最初 か ら子 どもも大人 も積極的 に活動 していたが 、
一 人気 にな る女 の子 がいた 。彼女 は、 隣 の子 と手
をつ な ぐ ときには、服 の袖 をつか ませ 、手 でつ な
ご うと しなか った。 次 の活動 で手 を しつか りつ な
が な い と危 険 で あるこ とが予想 され た ので 、手 を
こ
ム
年
ヽ
わ施
﹂硼
失と
7
4
踏ムキ
オ
謂
年 間 100日 を越 える指導 日が あれ ば、 クライ
ア ン トとの打合 せ が 十分 にで きな い こ ともある。
また、 クライ ア ン トによって は、知 らせ な くて も
よい (そ れ が 当た り前 にな っい る)と 思 われ てい
る場合 もあれ ば、個人情報 として伝 えて はい けな
い として こち らに知 らされ ない場合 もある。
①
有意
(t(14)=2 21, .01〈 p〈 .01)
平均
(3)情 報 が不十分 な事例 へ の対処
01)
・ 失 敗 した ときに 大 変 悔 しい と思 う
表1
つ
て いただ きま した フ ィー ドバ ック に つ いて は 、今後 の
が更 に強 くな った とい えよ う。
・ 失 敗 しそ うな こ とは避 けた い
(中 略 )送
227 17
体験す る こ とに よって後押 しを され 、 自
で
ど
分
うこれ か らして い けば いいのか とい う課題
-16-
」野 ′
● ■“
HAPを
“ぼ‘
参加者 は、 HAPの 活動 前 に も頭 の 中では今 の
自分 を変 えたい 、変 えなけれ ばな らな い と強 く思
つてお り、そ の こ とを具体 的 な行動 に向け られ な
いの が 今 の状態 なので あろ う と感 じた 。 しか し、
つ な ぐよ う声 を
か け よ う と した
が 、そ の時 は 、
少 した め ら って
い た。なぜ な ら、
右 手 は 隣の男 の
子 と しっか りと
手 をつ な い で い
た か らで あ る。
││■ ■■ ..L_二
=
ジヤイア ン トシー ソー
ジ ャイ アン トシー ソー に移 つた とき、 なぜ、袖
を持 たせ て い た のかが分 か つた 。彼 女 の 手首か ら
先 が損傷 していたか らである。しか しその こ とで 、
活動 に対 して 消極 的 になる こ ともな く、子 どもだ
けでな く大人 とも楽 しく関わる ことがで きて いた。
最初 に気 が つ い た ときに、十把 一 絡 げ的 に対応 し
な くて 良か った と心底思 つた こ とと、多少 の 冷や
な く体 を引 っ付 き合 ってチ ャ レンジ を して い た。
この 時 、彼 女 の様 子 に さ っ きまで は見 られ なか つ
た 変化 が あ つた。 ここが今 日の 山場 だ と、彼 女 を
含 めた グル ー プが どの よ うな選 択 をす る のか を見
守 った 。 そ の とき、近 くにい た教頭 先 生が活動 の
中に入 つ て い き、彼 女 をグル ー プか ら少 し離れ た
ベ ンチ ヘ と誘 導 し活動 を中断 した 。 ベ ンチに座 つ
汗 をか いた こ とを思い 出 され る。
午後 は、ハ イ エ レメ ン トで手 つ な ぎ トラバー ス
を行 つた 。女 の子 はお父 さん と一 緒 の チ ャ レンジ
た瞬間か ら彼 女 が 泣 き始 め、 も う一 人 の 女 の子 が
グル ー プ を離れ彼 女 に寄 り添 つた た め何 か あ る と
判 断 し、 そ の場 で は、 二 人 は少 し休 憩 した あ と再
度 グル ー プ に入 る こ とをみ ん なで確認 しチ ャ レン
で 、 互い に しっか り手 をつ なぎ合 つて (左 側 の腕
を しつか りつ か んで )ゴ ール を 目指 した 。 この グ
ルー プでは 、彼 女 のハ ンデ ィ をハ ンデ ィ と感 じさ
せ ない 当た り前 の もの として認 識 され ていた 。 そ
のた め、彼女 が ゴール した ときも、 特別 に賞賛 し
た りす る こ とな く他 の子 ども達 と同 じよ うに互 い
に喜び を分か ち合 ってい た。 この 関係 こそが互 い
の信頼 関係 を更 に深 めるこ とで あ る と、参加者 か
ら学んだ。
活動 中に引率者 が介入 した事 例
当セ ン ター では、ほ とん どの学校 で 自然学校
学校 5年 生 の 自然体験活動 )の プ ロ グラムの 中に
HAPを 取 り入れていた だいてい る (平 成 21年 度
は 14校 )。 例年 の定番 のプ ログラム として 庫着 し
てい る学 校 で は、 当セ ン ター にお任 せ 状 態 にな っ
て い る学校 も少 な くな い。
この 日は、学校 か らの情報 として グル ープの 中
②
(ノ
jヽ
に、一 人場面絨 黙症 の女 の子 がい る ので 配慮 して
くだ さい との こ とで あ った。 フ ァ シ リテ ー ター と
して この体験 を通 じて 、何 か 変 わ るき つか けにな
ジ を継続 した。
全 て の 活 動 が 終 わ った あ と、筆者 は、教頭先 生
になぜ あの時 グル ー プの 活動 に入 り中断 され た の
か と詰 問 した 。 フ ァ シ リテ ー ター として は、彼 女
にまだ グルー プか ら離れ るか離れ な いか の意 思表
示 が され て い なか った との 見解 を述 べ た。 そ の と
き教頭先 生が言 われ た のが 、「彼 女 はカツラを使用
してお り、 あ の 時 、脱 げそ うにな ったので 」 とい
う衝撃 的 な言葉 で あ つた。 また 、彼 女 が カ ツラを
使 って い る こ とを知 って い る の は、 あの寄 り添 っ
た女 の子 だ けで あ る こ ともそ の 時知 らされた。 こ
の こ とは、 この HAP体 験 が彼 女 の 人生 そ の もの
を変 えて しま うよ うな ぐらい の 重要 な情報 で あ つ
た 。 万が 一 、活動 の 中でカ ツ ラが とれ て しま うよ
うな こ とになれ ば、―生か けて も償 い きれ な い ほ
どの心 の傷 を彼 女 に つ けて い たか も しれ な い 。最
も共通理 解 してお か なけれ ば な らな い よ うな情報
をなぜ教 えて も らえなか っ たのか と憤慨 した 。個
人情報 の こ とを言 われて い たが 、そ うい った 問題
で はな い とい うこ とを説 明 し、今後 この よ うな こ
れ ば と構 えて 臨んで い た。最初 は、アイ スブ レー
カ ー の 中で、 グルー プが彼 女 を あ りの ま まに受 け
とがない よ うにす る とい うこ とでその場は終 えた。
入れ る状態で あ るのか を見極 め る こ ととした。 ジ
ャ ン ケ ンチ ャ ン ピオ ンや フー プ リ レー で、話 は し
験 が 「 日常 」 へ 悪 い 方 向にか えつて し
ま うこ とが ある危 険性 を、 これ らの事例 か ら再認
識 した。
な い まで も同 じ
よ うに 関 われ る
こ とを確 認 した
ので 、彼 女 か ら
で きな い とい う
サイ ン を見せ る
までは 、 いつ も
と同 じ内容 で進
ニ トロクロッシング (浮 き台わた り めていた
。
ニ トロ クロ ッ
シング (ぶ らさがってい るロー プを使 って向こ う
岸に乗 り移 る)で も、小 さな台の上に男女 の 区別
)
-17-
HAP体
(4)打 合せ票 を活用 して
先 に述 べ た よ うに、 クライ ア ン トとの共通理解
を図 る こ とが 、 HAPを 「 日常 」 へ か えす た めの
第 一 歩 で あ る。 そ の た め ロー プス コー ス での打合
せ が最 も望 ま しい こ とで あ る。 しか し、 クライ ア
ン トが他府 県 の方 で あ った り、お互 い にそ の 日程
が 調整 で きな い こ とが あ った りす るな ど、他 の方
法 での打合せ を余儀 な くされ る こ とが 多 い。 今年
度 は途 中か ら打合せ票 (図 3)を 作成 し、 これ を
も とに電話 で連絡 を取 り合 った。
づご,除 獅
=て
HA'),金 せ緊
にな り、活動 の途 中 に先 生 の指示 が 出 て 、子 ども
達 の 思考が 中断す る こ とにな るた め、 ここで も互
いの役割分担 を確認す る ことがで きた。
`■
団 体 名
代
表
平成
ギ
月
日 ¨
ま 施 日
)
(5)グ ルー プに合わせて
FRl
菫
墨7 ●
加 ¨■
彗響
礎
違特 カ
著
(dr.+:H.*AJ
ここまで 、 HAP体 験 を 「 日常」 へ か えす た め
に 、 クライ ア ン トとの打合せ を中心 に事例 を交 え
て述 べ て きた。 フ ァ シ リテ ー ター は、 この打合 せ
を も とに当 日の シー クエ ンス を組 み 立て支 援 して
lt*_lx
ね ら:Iヽ
〔
゛コ著に
なっで:か え
と
らせ
十
の}
するも
'う
い くこ とにな る。 しか し、 先程情報 が 不十分 な場
合 の事例 が あ った よ うに、 当 日、 グル ー プに接 し
て シー クエ ンス を組み直す こともある。
1常の様子
そ の 他
図 3 打合せ票
日時や グル ー プ 数 は もち ろん の こ と、対象 者 の
状況 、活 動 時 間 な どをま ず 明確 に した 。 ク ライ ア
ン トに よつて は 、講 師 謝金 や 使 用 料 に つ い て 意識
され てい ない こ と もあ るので 、 この票 を用 い る こ
とに よ つて 、経 費 につい て も誤解 が発 生 す る の を
防 ぐこ とができた 。 この票 で 最 も大切 な の は、 ど
の よ うな ね らい を も つて この HAP体 験 され よ う
としてい るのか を互 いが 明確 にす る こ とで ある。
文章 に表 す こ とで 、お 互いの 思 いが よ り明確 にな
る とともに、 この票 を活用す る こ とに よつて、外
部講 師 ヘ クライア ン トの思 い を よ り的確 に伝 える
ことが 可能 になった。
県内 の ある小学校 では 、自然学校 を体験 した後 、
さらに学級 の 団結力 を高 めた い とHAPを 行事 に
「男
取 り入れ られた。この打合せ 票 の 日常 の様子 で 、
女 で一 緒 に活動す る こ とに抵抗 がある児童 がい る」
「で きな い こ とに 出会 うと、す ねた り逃 げた りす
る児童 が数名 い る」とい う記述 があった。筆者 は、
男女 一 緒 に活 動す る内容 に対 して 、「手 をつ なげま
す か 」「 2人 組 になれ ます か 」「そ の よ うな子 ども
ある企 業研修 では、新 規採 用者 を対象 とし、仲
間作 り、 コ ミュニ ケー シ ョンの促進 がテ ーマ とな
つていた 。数 日前 に同 じテ ーマ で の企 業研修 が あ
り、概 ね 同 じシー クエ ンス で準 備 して い た。 しか
し、 同 じ新採 用者 で はあ るが、年齢 層 が 異な る こ
とでその反応 は全 く違 うもので あ った 。前回 は、
フ ァシ リテ ー ター の言葉 が けに対 し、す ぐに行 動
で 反応 していた のに対 し、今 回は、課題 の 内容 を
理解 す るだ けで な く、課題 達成 の た めの方策 が 見
え るまで なか なか動 こ う としなか った 。 そ こで フ
レー ミン グ として、「まずや って みま しょ う。今 日
は、,グ ルー プ ヘ の働 きか けを 自分 か ら進 んでや っ
てみ るこ とに挑 戦 しませ んか。」と参加者 に伝 えた。
こ の フ レー ミ
ン グを グル ー
プ に よって柔
軟 に 変 え られ
る こ とが 、 フ
ァ シ リテ ー ト
す る中で重 要
で あ る こ とを
多 くの 方 は 理
解 されて い る。
が何 人 くらいい ます か 」な どの具体 的 な質 問がで
きた。また、先生方 も自分 た ちのク ラス について 、
よ り具 体 的に再確認 い ただ く こ とがで きた。 そ し
て 、 当 日の HAP体 験 に向けて 、子 ども達 に ど う
い う言葉 がけをす るか、 どの よ うな集 団 に高 めて
い くか、 どんな 目的意識 を持 たせ るかな どの課題
を持 っていた だ く こ とになった。 当 日は、す ねた
り泣 いた りす る児童 が 出た場合 、近 くに先生 に い
ていただ き、 グル ー プか らその子 ども達 が離れ た
ときには対応 い た だ くよ う依頼 した 。 電話 だ けに
よる打 合 せ にな る と、お互 い の役割分担 が不 明確
ウオール (大 脱走 )
そ の 日のふ りか
え りでは 、「失敗 して もいい んだ 」「人 に頼 る こ と
でみ んなで 達成 で き るこ ともあ る」 と語 つて お ら
れた。
当セ ン ター で は、高齢 者 大学 を開設 してお り、
の
そ 年 間 カ リキ ュ ラムの 中で も HAPを 実施 して
い る。 ここで は、まず HAPの 特性 や意 図を最初
に説 明をす る。 小学生 を対象 とす る場 合 、 と りわ
け低学年 の子 どもに対 して は、 HAPの 特性や 意
図 を説 明す る こ とはな い。 それ よ りもまず、動 く
こ とか ら始 め る。 そ こに動 くた めの理 由付 けは必
要 な い。 まず体 を動 か し友 達 と関わ り合 うこ とか
-18目
ら、友 達 に ど う自分 は関わ つた のか 、 ど う関 わ る
ことが楽 しい グル ー プ にな る のか を考 え させ る。
しか し、対象 が高齢者 にな る と、意 味 づ けを しな
い とHAPの 活動 は単 な る 「遊 び 」 で しかな い と
受 け止 め られ る。「活動 =遊 び 」 か ら入 る と、最後
まで 「今 日は遊 びで終 わ つた」 とい う感想 しか 得
られ な い ことが多 い。 しか し、この 「遊 び =活 動」
の意 味 を最初 に伝 える ことで 、単 な る 「遊 び 」 で
な く、 自分 た ち の地域や グル ー プ 活動 で活用す る
た め の道具 として 、学 ぶ価値 の あ る もの として理
解 いただける。
下図 は、活動 の流れ を説 明す るもので ある。 こ
図5
HAPバ
ンフレッ ト
実際 のプ ロ グ ラ ムの 流れ を説 明す る ものが必 要 と
な る。 現在 、 テ キ ス トで の 1日 プ ロ グラム例 、1
泊 2日 プ ロ グラ ム 例 、 2泊 3日 プ ロ グ ラム例 、 4
泊 5日 プ ロ グ ラ ム 例 を作成 してい るが 、 一 日で 分
か るよ うな プ ロ グラム例 を作成す る こ とに よつて 、
よ リー 層共通理解 が 図 られ るよ うな資料 としたい 。
但 し、グル ープに よって 学 びが変 わ つて くるので 、
フレー ミング
図4
ROJECT壕
ア ドベンチヤーウエーブ
こで の フ レー ミ ン グ (枠 付 け )は 、 ク ライ ア ン ト
との打 合 せ で ほぼ決 定 され るが 、 こ こまで述 べ た
よ うに、 そ の 時 の グル ー プ に 出会 つて は じめて 決
最初 にプ ロ グ ラム あ りき とい う誤解 が な い よ うに
しなけれ ばな らな い。
定す る こ とも少 な くな い。 また、 ア ドベ ンチ ャー
ウェー ブ をそ の通 りに行 うこ とが絶 対 ではな い 。
ふ りか え りを しす ぎ る こ とがか え って 、学 び のプ
ロセ ス を邪魔す る こ とが ある。 そ のた め、 フ ァ シ
リテ ー ター は 、活動 の状況 を見極 めそ の都度対 処
(2)フ ィー ドバ ックの在 り方
年 間 1万 人 を超 える利用者 に対 して、「 日常」 に
す る柔軟性 も必要 になる。
3
課 題分析
(1)プ ログラム例 の作成
HAP体 験 を通 じての学び を「日常 には じま り、
日常 にか えす 」 プ ロセス は、 クライ ア ン トとの 打
合せ の成否 が 大 きな ウェー トを 占め る と考 え る。
HAP当 日までの仕 掛 けは クライア ン トがイ ニ シ
アテ ィブ を と り、 HAP体 験後 の参加 者 の変容 も
クライ アン トの働 きか けが意 味 を持 つ 。 セ ン ター
は 、 この 「日常」 と 「 日常」 を結 び つ け るこ とが
最大 の役割で ある。 クライ ア ン トに HAP体 験 が
ど う 「 日常」 につ なが るか を理 解 して い ただ くも
の と して 現在 、図 5の よ うなパ ンフ レ ッ トを使 っ
て打合せ てい る。 最 も有効 な の は、 ロー プス コー
ス で パ ンフ レ ッ トを使 い なが ら実際 に体験 い ただ
くこ とがベ ス トで ぁ るこ とは言 うま で もない。 し
か し全 て のク ライ ア ン トに対 して この よ うな機 会
を設 けることはで きな いのが実際で ある。そ こで 、
-19-
か えす た めの フ ィー ドバ ックを行 うた めには、そ
の 日の うち に クライ ア ン トに フ ィー ドバ ックす る
こ とが大切 で あ る。少 な い 時間で あ つて も、 フ ァ
シ リテ ー トした あ との感想や気 にな った こ と、新
しい発 見や 大切 に したい 参加者 の言葉 な どを クラ
イア ン トに つ な ぐ こ とが必 要 で あ る。 しか し、 グ
ルー プ数 が 多 くな るに従 い 、限 られ た時 間 の 中で
は フ ァ シ リテ ー ター 全体 として のふ りか え りを伝
える こ とは大 変難 しい。 そ の た め、 メール や フ ア
ックス な どの機 器 を有 効 に活用 しフ ィー ドバ ッ ク
してい く。 この よ うなや り取 りが、 クライ ア ン ト
に事 後 の取組 を意識化 させ るもの と考 える。
また 、 フ ィー ドバ ックは フ ァ シ リテ ー ター か ら
クライ ア ン トヘ の一 方 向的 な もので あ って はな ら
な い。 クライ ア ン トか らフ ァシ リテ ー ター ヘ の フ
ィー ドバ ックは、 フ ァシ リテ ー ター の評価 として
とらえたい 。体験 活動そ の ものの フ ィー ドバ ッ ク
は もち ろん の こ と、参加 者 の そ の後 の 「 日常」 を
フ ィー ドバ ック していただ くこ とが 、 フ ァシ リテ
ー ター の励 み にな る とと もに、 自らの 力 量 につ い
てふ りか える指標 とな る。
(3)フ ァシ リテー ター との連携
当セ ン ター での フ ァ シ リテ ー トにつ いては 、外
部講 師 に依存す るこ とが多 い 。 セ ン ター 職員 は、
毎年 PAJ(株 式会社 プ ロジェ ク トァ ドベ ンチ ャ
ー ジ ャパ ン)が 主 催 す るAP講 習会 、 SAS講 習
会 に参カロし、 ロー プス コー ス の運 営管理 を行 つて
い る。本来 で あれ ば、毎年数名 の職員 が研 修 に参
加すれ ば よ り安定 した ロー プス コース の運営 が可
能 にな るので あ ろ うが 、まま な らな いのが 現実 で
ある。 そ のた め、 フ ァ シ リテ ー ター 養成 講習会 に
よ り、従来 関 わ つていただいてい る外 部講 師 の力
量 を高 め る とともに 、新 しい フ ァシ リテ ー ターの
養成 ・ 確保 を図 つてい る。
クライ ア ン トとの打合せ に つい ては 、各外部講
師 が個 々 に行 うこ とはな く、 セ ン ター 担 当者 が一
括 して行 っ て い る。 そ のた め、打合せ を した こ と
を的確 に各講 師 に伝 えるこ とが必要 で あ る。 そ の
中心 にな るのが、参加 者 の 現状 と研修 のね らいの
把握 で ある。 これ につ いて は、打合せ票 を も とに
担 当者 に求 め られ るもの
担 当す る者 は、常 に 「 日常」 へ HAP
の効果 をつ なげる ことを意識 しな くてはな らな い。
そ のた めには 、実際 にフ ァシ リテ ー ター としてそ
の効 果 を体感 し、 よ り具体的 な言葉 で クライ ア ン
トに説 明 を行 えるだ け の力量 を伴 わなけれ ば な ら
な い 。年 間百数 十 日のフ ァシ リテ ー トをす る こ と
に よって 、そ の効果 を体感 で きるか も しれ な い。
①
HAPを
しか し、 HAP体 験 の集 中す る 4月 か ら 6月 にか
けて は、 ほぼ 毎 日フ ァシ リテ ー トとクライア ン ト
との打合せ に終始 してい る現実 が あ り、十分 にク
ライ ア ン トとの双 方 向的 な フ ィー ドバ ックや 各講
師 との綿密 な打合せ がで きて い な い のが現状 で あ
る。 そ の た め、 セ ン ター 職員 が 複数名 で HAPを
担 当 し、 クライ ア ン トとの綿密 な打合せ を しなが
ら、 コース で の フ ァ シ リテ ー トや 安 全確認 、及 び
外部 講 師 へ の フ ィー ドバ ックを両 立 させた い 。先
に述 べ た適応指 導教室 の 中学生 を受 け入れ た際 の
クライ ア ン トとのや り取 りが他 の ケー ス にお い て
事前 に知 らせ 、それ ぞれ が これ を も とに 当 日のシ
ー クエ ンス を準備す る。 そ して 、 当 日の 開始 30分
も可能 にな る こ とが 目標 である。
か ら 1時 間前 には 、講 師全体 でね らい に つい ての
確認 及び タイ ムス ケ ジュール のチ ェ ッ クを行 う。
フ ァ シ リテ ー ター の この よ うな連携 を更 に深い
もの にす るた めには 、先程 の フ ァ シ リテ ー ター 養
②
成講習会 は もちろん の こと、普段 の活動 の 中で 互
い を理 解 し合 うこ とが大 切 で ある。 そ の た め朝 の
打合せ 、終 わ った あ とのふ りか え りは毎 回行 い 、
安 全 に対す る
意 識付 けにつ
い て も互 い に
チ ェ ッ ク し合
つ て い る。 こ
の よ うな 関 係
作 りな し に フ
ァ シ リテ ー タ
ー 間の連携 は
あ り得 な い 。
フ アシ リテー ター の養成・ 確保
例年 、 フ ァ シ リテ ー ター 養成講習会 を実施 し、
新 規 フ ァシ リテ ー ター の養成 と、 既 存 の フ ァ シ リ
テ ー ター の 力量 ア ップ を図 つて きた。 と りわ け、
近年 の稼働 率 を維 持 しなが ら質 の 向上 を図 るた め
には、外部講師 の確保 は最大 の課題 で ある。
これ まで、意欲 の ある若 い フ ァシ リテー ター が 、
課題 の 多 い グル ー プ を フ ァシ リテ ー トした際 に 自
分 の力量 に限界 を感 じ講師 を断念 した ことがあ る。
筆者 も本年 度 の 4月 か ら 6月 にか けては、毎 日が
新 しい 課題 と学 び の繰 り返 しで 、 自分 自身 の課題
につ い て ス パ ーバ イ ズ して くれ るア ドバ イザ ー の
存在 を願 つた 。 次年度 につ い ては 、新規 にフ ァ シ
リテ ー タ ー と
TPシ ヤッフル
して 承 認 した
方 につい ては、
(電 柱で ござる)
④ 継続 した HAP運 営 のために
当セ ン ター の HAPの 稼働 率 は、全 国 を見渡 し
て も群 を抜 い た もので ある。 そ のた め 、今後 、兵
庫 県だ けでな く関西地 区及 び西 日本 で 、 冒険教 育
プ ロ グラ ム を広 め 、西 日本 にお い て の 中心的 役害1
を果 た していか なけれ ばな らな い。 そ のた めに、
次 の こ とが必 要にな る と考 える。
見 学 か らは じ
ま り、 複 数 で
の フ ァ シ リテ
ー トな どを 経
験 して独 り立
ちす る シ ス テ
ム 作 りを進 め
て い きたい。
―-20-―
ファシ リテー ター養 成講習会風 景
4
おわ りに
最初 に述 べたよ うに当センターの ロー プス コー
スは非 日常的な空 間である。非 日常的であるが故
に、 この空間での体験は、「日常」ではなかなか感
じた り考えた りす ることので きない感情や思考、
態度について焦点を当てることがで きる。焦点を
当てて体験 し考えるこ とによつて、 自己肯定感や
チャ レンジ精神、問題解決力、 リー ダーシ ップ な
どの個人の成長 を促 し、 コ ミュニケーシ ョンやチ
ームワーク、信頼感、高い生産性な どの集団 の成
長を促す ことができるので ある。 しか し、「日常」
か らかけ離れ ているためにこのHAP体 験 が特化
されがちである。「Bring the Adventtlre Home」 (冒
険を 日常へ)は 、 こ うならないためのフ ァシ リテ
ー ターや クライアン トヘ の戒 めの言葉 であろ う。
両者が このことを互 い に理解 し合 い、実践に移 し
たとき、セクシャルハ ラス メ ン トやパ ワーハ ラス
メン ト、 ドメステ ィックバイオ レンスな どの現代
を象徴す るよ うな事象は根絶 に向かい、お互いが
最大限尊重 され るような職場、家庭、地域 が創造
されると考える。
今後、西 日本での中心的な役割 を、 この県 立嬉
野台生涯教育セ ンター が担 うことを 目指 してこれ
か らも実践、研究を深めていきたい。
参考 。引用文献】
【
1)『 ア ドベ ンチ ャープログラム トレーニ ングマ ニ
ュアル』 PnCCt Advcntte,Inc プ ロジェク ト
ア ドベ ンチ ャー ジ ャパ ン訳
2)『 生 き方 の 人 間教 育 を
金子 書房
梶 田叡 -
自己実 現 の 力 を育 む 』
1993
3)『 ア ドベンチャーグループカウンセ リングの実
践』 みくに出版 CSL.学 習評価研究所
1997
4)『 今 こそ学校 にア ドベ ンチャー教育を』 学事
出版 1998
-21-
世代間交流事業 の展開
∼ ア ンケー トか らみえて きた こと∼
兵庫県 立嬉野台 生涯教育 セ ン ター
主任専 門指導員
主任 専門指導員
杉田
阿部
和代
浩士
現在 、多方面 で盛 んに 「世代 間交流」 をね らい とした事 業 が行 われてい る。本研 究は、それ らの
事業 が 、それぞれ の世代 の 人 に とつて どの よ うな効果 が あるのか とい う観 点 か ら、今年 度 、本 セ ン
ター が 実施 した各世代 間交流事業参 加者 のア ンケー ト (感 想 )を 、 内容 で分類 し、それ らを分析す
る こ とによ り、参加者 の視 点 か ら事業 のふ りか え りを行 い 、そ の上で 、各事業 の次 のステ ップ を提
案 しよ うとす るものであ る。 また、高齢者 の社会参 加 を促す 一つの機 会 の提供 として の 同事業 の あ
り方 の検証 にもつ なげる。
キー ワー ド
世代 間交流
1
高齢者
懐 か しさ 若返 り 温 か さ
は じめ に
「世代間交流 とは、子 ども、青年、中・ 高年世
代 の者 がお互 い に 自分たち の持 つてい る能力や技
術 を出 し合 つて、 自分 自身 の 向上 と、 自分 の周 り
の人 々や社会 に役立つ よ うな健全な地域 づ くりを
実践す る活動で、一人一 人 が活動 の主役 となる こ
とである」 (草 野篤子、平成 16年 )と している。
セ ンター にお ける世代間交流事業で も、一 人一 人
が主役 となるよ うに考 えて取 り組 んで い る。た と
えば、体験活動を取 り入れ 、 どの世代 の参加者 も
能動的に参加 できるよ うな内容 に しよ うと計画 し
てい る。
2008研 究報告『 うれ しの台』 では、 「超高齢社
会 における高齢者生涯学習 と世代間交流」にお い
て、90%以 上の受講生 (高 齢者 )が 世代間交流事
業は必要 と答 えてい る。高齢者が世代間交流事業
に参加 する理 由は 「孫世代 の考 え方 を知 るため」
「次世代に昔 の 日本 の 良さを伝 え、 日本 の 良さを
理解 してほしいため」であ り、保護者か らは 「昔
の楽 しかった こと、苦 しかったことを話 してや つ
てほ しい」 「核家族 が多い家庭 では、すば らしい
取 り組みだ」 と必要性 の理 由が明 らかにな ってい
る。 さらに、小 。中 。高等学校教員か らは 「高齢
者 との交流は意義深 い」 「貴重な体験 がで きる」
「世代 の異なる方 の意見に触れ ることができ、 と
て も有意義だ」 と、そ の必 要性 を重視 している様
子が うかがえる。
また、「高齢者 の よさや親 しみ」に関 して、小 ・
-22-
中・高等学校生に統一 した質問内容 で調査 を実施
してお り、世代間交流事業において、親 しみが増
す事 が明 らかにされてい る。そ の 中で も、 「とて
も親 しみが増 した」 と答 えた小学生は 44%、 中学
生では 14%、 高校生 では 77%と なってい るが、ど
のよ うな点で親 しみが増 したか、あるい は、親 し
みが増 した理 由に関 しては明 らかにされていな
い。 また、この理 由に関係す ると思われ るよさに
関 しては、統一 した内容で検討 されてい る。
そ こで、本研究では、昨年度 の研究をさらに深
め、事業 ごとの参加者 の様子 を詳 しく調査 をす る
必要があると考 えた。 そのため、参加者 一人一人
の事業後に書かれた感想文 をもとに、感想 の内容
を検討す る ことにより、世代間交流事業がそれぞ
れ の世代 の参加者 に何 をもた らしてい るのかを明
らかにす るものである。
2ア
ンケ ー トの 分 析 方 法
今年度実施 した 「世代間交流事業」 (表 1)を
対象 に、参加者 にア ンケー トを実施 した。
(1)方 法 質問紙法
(2)主 な質問項 目
(記 述法)
。 今 日の体験 で心に残 つた こ とや うれ しかつ
たことを教 えて くだ さい。
・ 今 日の体験 で もつ としたかった ことを教 え
て くだ さい。
。 今 日、いっ しょに過 ごした方 々へひ とこと。
事 業 名
事 業 実 施 日
平 成 21年 度
ら、
れ あい交 流 田植 え
6月 9日
ら、
れ あ い 交 流 稲 刈 り 10月 14日
体 力 測 定
調 理 実 習
三 世 代 交 流 弁 論 大 会
高 齢 者
(回 答
うれ し の 学 園 生 涯 大 学
6月 23日
12月 5日
巻 き ず し会
2月 3日
陶 芸 体 験
8月 9日
地 域 活 動 実 践 講 座
うれ し の 学 園 生 涯 大 学
生
いなみ の 学 園
高 齢 者
(一 般 募 集
10月 31日
37
4年
生
39
2年
生
29
1年 生
18
社 支 部 活 動
うれ しの 学 園
ニ ュー ス ポ ー ツ 大 会
(共 催 :う れ し の 友 の 会 )
1年 生
数
)
事 業参加者
(回 答 数
米 田 小 学 校
∼ 6年 生
米 田 小 学 校
3年 生 ∼ 6年 生
社 高 等 学 校 体 育 科
3年 生
社 高 等 学 校
生 活 科 学 科
社 中 学 校 1年 生 ∼
3生 巨 をト
保 護 者
米 田 小 学 校
5年 生 ∼ 6年 生
小 学 生
陶 芸 学 科
(一 般 募 集
陶 芸 クラブ
保 護 者
夏 の ユ ー ス セ ミナ ー
(は じめ て の キ ャ ン プ )
そ うめ ん 流 し
餅 つ き会
11月 22日
49
37
441
9
31
25
7
小 学 生
(一 般 募 集
)
)
2年 生
地 域 活 動 実 践 講 座 生
45
)
4
保 護 者 等
うれ し の 台 で 学 ぶ 世
イ
+間 る●布 フ Tス 々
幼 児 ∼ 大 人
7月 26日
遊 友 会
卜学 生 (一 般 募 集
大 学 生
8月 1日
1月 24日
遊 友 会 他
幼 児 ∼ 大 人
26
なごみ 他
幼 児 ∼ 大 人
25
表
1
)
)
20
世 代 間 交流 事 業 一 覧
(3)「 グル ープ分 け」 の方法
ア ンケー ト結果か ら、実際 に参加者 が思い感
じてい ることを抽 出す る。具体 的な方法 として、
そ れ ぞれ の 事 業 ご とに感 想 文 の 内容 に応 じた
「グループ分 け」 を作成す る。 そ して 、 二 人 一
人 の感想文 が どの グル ープ分 けにあてはま るの
か を読み取 ってい くもので あ る。 なお 、各事業
の グラフにお ける各項 目が、分類 上設 定 した「グ
ループ分 け」であ り、「そ の他 」は いずれ の 「グ
ルー プ分 け」にも分類 できなか った感想 である。
グル ー プ分 けの設定 は、感想文 よ り回答数 の
1割 程度 を無作為 に抽 出 し、そ の内容 を複数 の
者 で検討 し、数種類 の グル ー プ分 けを設定す る。
以下、 グル ー プ分 け設定の例 を示す 。 ただ し、
回答感想文 の 内容 の少 な い事業 は、 グル ー プ分
けに よる分析 ではな く、 一 人ず つ の感想 文 よ り
特徴 を よみ とる もの とす る。
(例 )中 学生が弁論大会全 般 で考 えた こ と
】が設定 したグループ分け)
多様性への気づ き】
【
みんなそれぞれ の考え方があるんだなと思
い ました。
い ろい ろな意見があってお もしろかった。
人それぞれ考 え方 も話 し方 も違 い、おもし
ろかった。
今後 の生き方への活用 】
【
自分を見つ めなおす良い機会にな りました。
みんな 自分の思い を真剣 に伝 えてい て、す
ご くい ろんな こ とを改 め直そ う と思 つた。
。 一 人 一 人 の 思 いがす ご く伝 わって きま した 。
心 が 痛 んだ り、心 に響 い た り、心 が温 か く
な った り。
③ 【自己変容 】
。 み ん な一人一 人個性 あふれ て 、 自分 も考 え
させ られ る弁論 で した。
・ 自分 が 経験 した こ とのない こ とを知 る こ と
がで きて、考 え方や行動 を変 え よ うと思 い
ま した。
。 今 日の この弁 論大会で、た くさん の人 の 気
持 ちや 考 えが 分 か って 、 自分 を見 直 して高
め られ ま した。
3対
象 者 別 ア ン ケ ー ト分 析
(1)「 ふれ あ い交流 田植 え」「ふれ あ い交流稲
刈 り」「 巻 きず し会 」 一小学 生一
(【
①
。
。
。
②
。
・
-23-
小学生 との交流 は、 田植 え と稲 刈 りを 3年
生か ら 6年 生 までが参加 して行 ってい る。 毎
年行 われ るので 、 6年 生は 4年 間経験 を重 ね
るこ とにな る。 さらに、 5。 6年 生 につい て
は、 これ に加 えて 、巻 きず し体験 も行 つてい
る。ア ンケー ト結果 よ り、グルー プ分 けを「教
えて くれ た こ と」「話 を した こ と」「一緒 に し
「や さ しくして くれ た こ と」
「ほ
て くれ た こ と」
めて くれ て うれ しかった こと」 とし、世代 間
と大人 を誘 うが 、大人 は 日常 の忙 しさのなかで、
手 を とめて、子 ども と一緒 に過 ごす ことが少 な
くな って お り、世代 間交流 で 、 ともに体験 でき
る内容 で あるこ とが子 ども達の喜びや うれ しさ
につ なが って い る と考 え られ る。また、「ほめて
くれて うれ しかった」 とい う児童 もお り、「ほめ
上手 」は高齢者 な らでは の持 ち味 のひ とつ とい
える。小学生 は世代 間交流事業で い ろんな体験
を積み重 ね る こ とで高齢者 とともに一つのこ と
をや りとげた とい う達成感や成就感 を実感 して
い るの で ある。 これ が新 しい取組 に挑戦 しよ う
とす る原動力 とな る。
交流事業 が小 学生 に何 をもた らした のか を検討
した (図 1)。
00%
100%
200%
30000
おしえてくれた
こと
話をしたこ
`
一緒にしてく
たこと
,
やさしく して
くれたこと
ほめてくれて
うれしかつたこと
図1
小学生が思 い感 じたグルー プ分け
(田 植え、稲刈 り、巻きず し体験 か ら)
「教 えて くれた こ と」 が′
らに残 った こ とや う
れ しか つた ことで ある とした子 どもが多 い。 し
か し、実は高齢者 は強 く子 ども達 に教 えよ うと
は して い ないのだが (後 掲 図 6参 照 )、 教 えよ
うとしな くて も、 自然体で子 どもに対応す る中
で子 どもが教 わ つてい る とい う様子 が うかがわ
「年 長者 だか
れ る。生涯大学 の高齢者 の方 々 は、
ら指導 しな くてはな らな い 」 と意識 せ ず、 自然
体 で子 どもと接す る こ とができてお り、「教 え
る」とい うのでは な く、「伝 える」 とい うふ うに
接 していた もの と考 え られ る。 これ は、重 要な
点で、 ここに保護者 の世代 にはない 高齢者 の世
代 の よさが子 ども とのかか わ りの 中で表れ てい
る。
次 に多 いの は 「話 を した こ と」 で ある。 コ ミ
ュニ ケー シ ョン を交わす こ とが楽 しい こ とがわ
「話 しかけて くれ て う
か る。高学年 になるほ ど、
「
れ しか つた 」 や さ し く教 えて くれて うれ しかつ
た 」 と回答 してい る。思春期 にはい りかけて い
る子 どもの様子が うかが える。話 をす る と楽 し
くなる。 しか し、初対面ではなかなか話 しづ ら
い もので ある。 そ こで 、「話 の き っか けづ く り」
は重要なポイ ン トとな る。 た とえば、 田植 えや
稲 刈 りでは、 田まではペ アで歩 いてい くので 、
「お互 いの こ とを 3つ よ りた くさん知 りま しょ
う」 とい うよ うなき っか け を与 え られ る と、高
齢者 も小学生 も コ ミュニ ケー シ ョンが とりや す
くなる と考 え られ る。
また 、「一緒 に して くれた こ と」 とい うの は、
一緒 に田植 えがで きた り稲 刈 りがで きた り巻 き
ず しを巻 けた りとい った一 緒 に した こ とが ,い に
「家庭教育 に関す る国
残 った とい うもので ある。
際比較調査報告書 」 による と、1週 間 に 「家族
で余暇 を一緒 に過 ごす」 回数 は、アメ リカでは
平均 55回 、 フ ラ ンスでは 4.8回 で あ るのに比
べ 、 日本は 2.5回 に とどまっているこ とが明 ら
「一 緒 に しよ う」
かに されて い る。子 どもはよ く、
(2)「 三 世代交流弁論大会」 ―中学生 一
毎年 、 中学校主催 の 「三世代交流弁論大会 」
に参加 してい る。今年度 の弁 士は 中学 1年 生か
ら 3年 生 まで の 14名 と保護者 1名 、うれ しの学
園生涯大学地 域活動 実践講座 1年 生 2名 で ある。
中学 生 のア ンケー ト結果 か ら、弁論大会全般 に
関 してはその グルー プ分 けを 「多様性 へ の気 づ
き」「自己変容 」「今後 の生 き方 へ の活用」「そ の
他 」 とし (図 2)、 高齢者 の弁論 に関 して 、中学
「大切 な忘れ物 へ の気 づ
生が思 い感 じた こ とを、
き」 (例 :あ き らめない こ と、今 を しっか り生 き
る こ とな どの忘れていた ものへ の改 めての実感 、
自らの生 き方 のふ りか え りな ど)「 未知領域 へ の
驚 き と関 心 」「長年 の経験 に基 づ く内容 の有 益
性 」「そ の他」として世代間交流事業 が 中学 生 に
何 を もた らして い るのか を検討 した (図 3)。
多様性への気づき
今後の生き方への活用
―-24-―
自己交客
その他
図2
中学 生が思 い感 じたグルー プ分 け
(弁 論大会全般 か ら)
大切な忘れ物への
気づき
喜んでく
れてう
れしかった
バイ
ス
人生のアド
の
未知領
■き =へ
関心
勇気元気,自 信
長年の経験に
もとづく内容の
有薔性
笑顔
温かさ
その他
図3
図4
中学生 が 思 い感 じたグルー プ分 け
(高 齢者の弁論 か ら)
この結果 か ら、弁論大会 が 中学生 にもた らし
た もの は、「多様性 へ の気 づ き」が最 も多 く、こ
れ は、学年 が あが るにつれて数値が増 してい る。
同学年 の他 の生 徒 。他 学年 の生徒 ・ 保護者 。高
齢者 の多 くの意見や考 えを知 る こ との よさを感
じてい る ことが わかる。
高齢者 の弁論 が 中学 生 に もた らした もの は、
「大切な忘
弁論 の内容 に も影響 され る と思 うが 、
へ
づ
の
い
この
こ
れ物
気 き」が最 も多 。
とについ
ては 、 日々 を大切 に生 きて い る高齢者 か ら、 つ
い忘れがちになってい る、生 きて い く上で大切
な こ とを思い起 こ した とい う価値 を見 出 してい
る と考 えられ る。
これ らか ら、三世代 弁論大会は中学生 に、実
体験 に基づいた「生命 」に関す る弁論 を通 して 、
間接経験 をす るこ とに よって 、人 としての学 び
を もた らした と考 える。
(3)「 体力測定」「調理実習」 ―高校生 ―
体育科 の生徒 と高齢者 とでペ ア を組み 、高齢
者 が 6種 目の体力測定 を行 い 、高校生が補助す
る。体力測定後 には高校 生が 高齢者 にマ ッサ ー
ジ を行 う。生活科 学科 の生 徒 とは、 6グ ループ
に分かれて 、班 ご とに調理 実習 を行 い 、そ の後
一 緒 に会食 を行 う。ア ンケー ト結果か ら、「温か
さ」「笑顔」「喜 んで くれ て うれ しか った」「人生
のア ドバ イ ス」「勇気・元気 。自信 」を グループ
分 け とし、世代 間交流事業が 高校 生 に何 を もた
らしたか を検討 した (図 4)。
-25-
高校 生が思い感 じたグループ分け
(体 力測定か ら)
43.2%の 生徒 が「喜 んで くれ て うれ しか つた 」
と回答 した。この 中には、「些細 な事 で も喜 んで
くれ た」、「よい結果 が 出た こ とを共 に喜 べ た 」
とい う感想 もあ つた。小学生 と同様 に 「ほめて
くれ て うれ しか った 」 とい う感想 もあ り、高齢
者 の 「ほめ上 手」 が高校生 の心 も豊 かに してい
るこ とがわか る。 次 に 「人生 のア ドバ イ ス 」 を
も らった こ と、高齢者 の一 生懸 命 チ ャ レンジす
る姿 に 「勇気 ・ 元気 。自信」 を もらった こ と、
さらには 「笑顔」 が うれ しか った こ と、そ して
「温 か さ」も感 じてい る。中には、「温 かい笑顔
が 印象 的で、笑顔 は人 を幸せ にす る とい うこと
を改 めて感 じた 」 と詳 しく感想 を述 べ てい る生
徒 もい る。また 、「い ろい ろ話が聞け、自分 か ら
話す こ とで 、世界観 が広 が った 」 とい うよ うな
感想 も持 って い る。 さらに、「お じい さん、お ば
あ さん と接 す るこ とで 、 とて もいい気持 ちにな
りま した」とい う心地 よさを感 じた生 徒 もい る。
この 心地 よ さは世代 間交流事業 の一つ の 目標 で
はないか と考 える。 この結果 か ら、高齢者 との
交流が高校 生 に とって 、 うれ しい 、喜 びの時 間
で あった ことがわか る。
また、生活科学科 の生 徒 (9名 )は 、「ほめて
くれ て うれ しか った」とい う感想 が 4名 、「家 で
や つて み よ うとか 、お い しい とか言 つて も らっ
て 、作 つたかいが あった」 と喜ぶ者 もい た。 こ
「自分 も高齢者大 学 に行 って有意義 な
の生 徒 は 、
生活 を送 りた い」 と書 い てい る。 また、高齢者
の 「笑顔 」を取 り上 げた生徒が 4名 いた。「み な
さん と一緒 に食事 を してい る と、笑顔 が絶 えな
くて、料理 を よ りい っそ うお い しく食 べ ること
がで きま した」「いつ も笑顔 でお られた ので 、こ
ち らも心か ら笑顔 でい られ ま した」 とい う感想
もあ る。高 齢者 の笑顔 (「 喜び上手」)は 、高校
生 の気持 ちを とて も温 か くした ことがわか る。
これ らか ら、世代 間交流事業 は高校生 に とつて
は人 に喜ばれ る快感 を通 して 自分 の価値 を認 め
るこ とがで きた と考 え られ る。
(4)「 夏 のユースセ ミナー 」 一大学生 一
夏 のユースセ ミナ ー にお い て、小学生、大学
生、保護者 、高齢者 が ともに活動す るプ ログラ
ムが 開催 された。大学生 は、教育実 習 とい う関
わ り方である。活動 のテーマ は、「遊 園地」で小
学生 と大学生 で 作 られた グル ー プ 、高齢者 の グ
ループ 、保護者 のグループが それ ぞれ遊び を考
え、み んなで遊 園地 を作 つて遊 ぼ うとい う内容
で ある。 アンケー ト結果 か ら、 グル ープ分 けを
「楽 しみは共通 してい る ことへ の気 づ き」
「子 ど
へ
「
も とのかかわ り の学び」 経験 に基 づい て い る
こ とへ の気 づ き」「雰 囲気 づ く りの上 手 さの 学
び 」 とし、世代 間交流事業 が大学生 に何 を もた
らして い るのか を検討 した (図 5)。
oo%
100%
200%
300%
ことへの気づを
雰囲気メ リの
上手さの学び
図 5大 学生が思 い感 じた グルー プ分 け
(ユ ー スセ ミナーか ら)
「楽 しみが共 通 してい る こと
45%の 大学生が、
へ の気 づ き」 と回答 した。例 えば 「遊友会 (高
齢者 グル ー プ)の 人 と子 ども達 との年齢 差 が と
て もあ つたので、みんなが 楽 しい場 を作 る こ と
は難 しい と思 っていたが 、み んなが楽 しく過 ご
せた。み んなが楽 しめる遊びが共通 してい る こ
とに驚 いた」 とい ぅ感想 がある。 これ は、高齢
者 へ の理解 が深 ま った とい う以 上 の感覚 を語 つ
てい る。年齢 を超 えて 、「楽 しい 」とい うことは
同 じだ とい うことだ けに とどま らず 、人 として
の理 解 が深 まった ととらえるこ とがで きる。 ま
た、高齢者 か ら子 どもへ の 関わ り方 を学ぶ こ と
がで きた とも感 じてい る。例 えば 「私た ち と子
どもが仲良 くなるのに時間がかか つたので、遊
友会 の方 々は もつ と時 間 がかか る と思 ってい ま
したが 、時間はかか りませ んで した」 と驚 き と
ともに敬 意を表 してい る。
また 、大学生 の 5%で あるが、 高齢者 の方 の
「遊友会 のみ な さん
雰囲気作 りをも学 んでい る。
は、 とて も元気でみんな楽 しそ うに活動 してお
られ たので 、 自分た ちも楽 しむ ことがで きま し
た」繊細な学びであ り、 高齢者 の持 つ 温か い 雰
囲気 を感 じとってい る。 つ ま り、 この事業 の 中
で 、大学生た ちは、様 々 な世代 の人 が集 ま り、
共 に一つ の取 り組み に対 して 楽 しむ こ とがで き
る こ とを実感 した と考 え られ る。
(5)保 護者 か ら見た世代 間交流
① 「三世代交流弁論大会 」
中学校 で行 われた 「三世代弁論大会」 が保護
者 に何 を もた らしたかについ て感想 を検討 した。
「中学生が 自分 のお ばあち ゃ んの世代 の方 のお
話 を こん なに真 剣 に耳を傾 ける とい うことは、
意味 があると思 い ます 」「人生、何がお こるかわ
か らない です ね。 そ の 中で前 向きに生 き、 よき
「単調 で平
学 び をな さってい る方 に感動で した 」
穏 な人生 を過 ご され て い たわけではない 、そ の
時 々の辛 さ苦 しさを切 々 と語 られ 、
『 生 きる こ
と』 の意 味や か けが えのな さをお間かせ頂 きま
した 」 とあ り、 これ らは、 中学生 のグルー プ分
けで 「大切 な忘れ物 へ の気 づ き」 にあてはま る
と考 え られ る。「全 く知 らない世界、ご 自分 の経
験 を とて も興味深 く聞かせ ていただきま した」
これ はグループ分 け としては 「未知 の領域 へ の
驚 き 。関心 」に分類 され る。また、「中学生 か ら
も らえるパ ワー はす ごいです ね 」 これ は、高齢
者 の グループ分 けの 「自分 へ の力」 に当てはま
る。保護者 に 関 しては 、 中学生 と高齢者 と二つ
の観 点か ら学んで い るこ とがわか る。参加数 は
少 なかったが 、学び合 える場 として 、保護者 に
とつて有意義 で あった こ とがわか る。 ここか ら
も、 この事業が、 中学生 と高齢者 とのつ なが り
に保 護者 の層 が加 わった こ とで、広が りをもた
せ られた と考 え られ る。
② 「陶芸教室」
親子で の参加 がで きるよ うに夏休 み に開催 し
た。子 どもだ け の参加や親子 での参加 な ど、30
名 の参加 があった。指導者 は、 い なみ野学 園陶
芸学科 の講師 と うれ しの学 園生涯大学陶芸 クラ
ブの高齢者、合計 10名 である。指導者 の方針 は 、
参加者 の 陶芸 に対す る思 い を実現す る とい うも
ので あ った。
「先生達 が優 しく接 して
保護者 の感想 の 中に、
「
くれ た こ と」とある。 思 ってい た よ うな形 にな
ったので よか ったです。親切 な ご指導 のお かげ
「好 きな よ うに作れ ま した 」
「先生 が多 く、
です 」
す ぐ助 けて も らえま した 」 と支 援者 の高齢者 に
対 して感謝す る内容 が 多 い。 これ は 「して も ら
えた 」 ことが うれ しいのでは な く、支援 の方 法
が参加者 の気持 ちを大事 に した 支援 (制 作者 の
意 図をまず大事 にす ることが必 要 で ある とい う
こ との共 通理解 を支援者 間 でお こな った)で あ
―-26-―
った こ とが よかった と考 え られ る。指導す る高
齢者 が 陶芸 に精通 して い た こ とと、参加者 (制
作者 )一 人 一 人 を大事 に して支 援 した こ とに よ
り功 を奏 してい る と考 え られ る。 日頃は、他者
との関わ りがほ とん どな い保護者 が 、高齢者 と
関 わ つて こそわか るよさを体感 してい る。
「 ど うした いん
だ い ?」
「 ここを丸 くし
た いんだ けど」
「 こ うすれ ばで
きるよ」
「へ え、そ うか」
「ニ ュースポー ツ大会」
ふれ あい ニ ュース ポー ツ大会 と称 し、高齢者
とともに楽 しめるスポー ツ として グラ ウン ドゴ
ル フ・ ツ ゥゲ ッ トボール ・ シ ャ フル ボー ドを開
催 した。
子 どもと一緒 に参加 した保護者 の感想 には、
「初 めて グラ ウン ドゴル フ を しま した。 緊張 と
恥ず か しさが混 じっていま したが 、子 ども と楽
しい時 間を過 ご させて いた だ きま した。 ご一緒
の方 も優 しく指導 していただ きま した」とあ り、
親子 の 間 にスポー ツが介入す る こ とで 、親子 間
の コ ミュニ ケー シ ョン活動が活性化す るき`っ か
け となった。 さらに優 しい高齢者 が介在 す るこ
とに よ り、幸 せな時間を過 ごす こ とがで きた こ
とがわか る。
③
げ られた」「み な さんが親切 で 、子 どもたちが年
配 の人 と関わ りを持 つ機会 がで きて よか った」
「い ろい ろ親子 で 楽 しく参加 させて も らい ま し
た。箸 づ く りな どや さしく教 えていただ きあ り
が と うご ざい ま した」 な どの感想 があつた。
また、餅 つ き会で は、「お となに とつても、子
どもに とつ て も、子 どもが他 の人た ち とふれ あ
うこ とがで きて いい 時間を過 ごす こ とがで きま
「ス タ ッフの みな さんが とて もや さしく対
した」
「ス タ ッフの人 に助 けて
応 して くれて よか つた 」
も らい仕 上 げま した。 とて も うれ しい こ とで し
た。母 一 人子 二 人だ つたので 、面倒 までみて い
ただ きま した。」「お 餅 つ き、た こづ く りな ど、
なかなか 家 ではで きな いので とて もいい経験 で
した 」な どの感想 があ り、参加 す る こ とで大 き
な満足感 を得 られ た様子 が うかが える。子 ども
会 な どで保護者 と子 どもだ けで実施 して い る と
こ ろもあるが、 もちつ きや竹細 工の経験豊 富な
高齢者 が 中心 とな り実施 す るこ とに よ つて 充実
した活動 内容 とな る と考 え られ る。 と りわけ、
そ うめん流 しでは 、小刀 を使 って全員 が竹 のつ
ゆ入れ とお 箸作 りを したので 、高齢者 が小刀 の
使 い方 を子 ど もだ けではな く、保護者 も一 緒 に
体験 し、感動 を共 にす る とい う効果 が 見 られ た。
さらに、三 世代 同居 ではな く核 家族 の保護者
が 、「地域で の三世代交流事業 には、なかなか参
加 しよ うとす る一 歩 が踏み 出せ な い。 この参加
をき っか けに参力日を続 けて い きた い。」との発言
が あつた。子 ども と保護者 と高齢者 が集 ま った
事業では、本 セ ン ター を取 り巻 く地域 か らの参
加者 の集 ま りで あ り、地 域 にお ける広 が りを持
つ ことの よさを さらに とらえ推進 していきたい。
(6)高 齢者か ら見た世 代間交流
ニュースポーッを通 して心はひとつ
④ 「そうめん流 し」「餅つき会J
「そうめん流し」の感想文からは、
「みんなで
「子 どもか ら竹でそ うめん流 しを
楽 しくできた」
したいと言われていたが、自分たちではする機
会はなかったので、参加できてよかった」「普段
使わせ られないのこぎりやナイフを使わせてあ
「ら、
れ あ い交流 田植 え」
①「ら、
れ あ い交流稲刈 り」
小学生 との世代 間交流事業 「ふれ あい 交流 田
植 え」「ふれ あ い交流稲 刈 り」のアンケー トか ら
グループ 分 けを 「子 どもと一 緒 の楽 しさ」「懐 か
しさ」「元気 ア ップの素」「役 立感」 として、高
「懐 か し
齢者 に何 をもた らしたのか を検討 した。
さ」は、子 どもの ころの生活 を思 い 出 した り、
童 心 に返 った りとい った もの 、「元気 ア ップ の
素」は、若返 った 。元気 をも らった とい うもの 、
「役 立感 」 は、教 えるこ とがで きた とい うもの
で ある (図 6)。
―-27-―
600%
② 「三 世代交流弁 論大会」
中学生 との弁論大会で のアンケー ト結果か ら
グル ー プ分 けを「立派・頼 もしさ感 」「自分 へ の
力 」「夢 と希望」「懐 か しさ」「尊敬」 として、高
齢者 に何 をもた らしたかを検討 した (図 7)。 「頼
もしさ感 」「尊敬」「夢 と希望 」 は 、 中学生 に対
して感 じた感 情 である。 よく中学生 に対す る理
解 が変 わった とい うょ うにま とめ られ てい るが、
今 回はそ の理 解 の 内容 がわか るよ うに詳 しく分
類 した。
800%
子どもと一緒 の
楽しさ
懐かしさ
元気アップの素
図6
5201
役立感
139%
その他
26%
高齢者が小学生 との交流で思い感 じたグル
ープ分 け
「子 ども と一緒 の楽 しさ」につい ては 、71.4%
と最 も多 いが 、具体的 には子 どもの何 が楽 しさ
をひ きだ してい るか とい う と、感想文 の 中には
「(日 ごろ離れ てい る)自 分 の孫 と一 緒 の よ うな
感 じ」、「手 をつ な い だ うれ しさ」、「気持 ちがほ
つこ り」「気持 ちが穏や か になった」な どの心境
が述 べ られてい る。また 、「懐 か しさ」に 関 して
は、「自分 の子 どもの頃 を思い 出 しなが ら、楽 し
く体験できま した 」、「昔懐 か し く、母 とい っ し
ょに した こ とを思 い 出 し、本 当に楽 しく過 ごせ
ま した」、「子 どもの時以来 、 どろの感 じを足で
確 かめた」 とい った 内容 が ある。記憶 の底 に沈
んでいた こ とが よみが えってい る様子 が うかが
われ 、若返 りや リフ レ ッシュ に もつ なが っ て い
る と考 えられ る。 さらに 「元気 ア ップの素」 の
中には、「パ ワー をもらった 」「若 さをい ただ い
た」 とい う内容 で書かれ てお り、精神 的 に若返
るきっか けにな ってい る と考 え られ る。子 ども
の元気 では りの あ る大 きな声 、子 どものはち き
れそ うな笑顔や躍動 感 、そ して 、子 ど も同士の
群れ るよ うな 自然 なつ なが り感 が 高齢者 に楽 し
さを感 じ、子 ども と一 緒 に活動す る と、そ の 日
一 日中、わ くわ くす るよ うな感 じで過 ごす こ と
がで きる と語 つた高齢者 がい る。そのた め、「子
どもたち と一緒 で あるこ との楽 しさ」 と、 田植
えや稲 刈 りの 「懐 か しさ」 か ら 「田植 え 。稲 刈
り」 を世代 間交流 の事業 の一つ に入れ る よさが
ここにある といえ る。
しか し、 3.9%の 「役 立感」 とグルー プ分 け さ
れ た ものは 「教 えるこ とがで きた」 とい う内容
であ る。昔 と異な り、現在 は農作業が機 械化 さ
れ てお り、農 業 に携 わ る高齢者 の割合 も低 下 し
て い るため と思われ る。 また 、高齢者 が指導 し
なければな らない と思 って対応す るのではな く、
自然体で子 どもと接 してい たので 、数値 は低 か
った と考え られ る。
-28-
00%
100%
200%
300%
400%
500%
600%
立派・頼もしさ
自分への力
夢と希望
懐かしさ
尊敬
図 7高 齢者が中学生 との交流で思 い感 じたグル
ー プ分 け
「立派 ・頼 もしさ」か らは、それ ぞれ が しっ
か りと 自分 の考 えを持 ってい た とい った、 これ
か らの時代 を任 せ られ るこ とに安心感 を持 った
とい う様子 が うか が える。 また 、 中学生 の頼 も
しい様子 か ら、それ を 自分 に返 し、 自分 の これ
か らをあ らた めて考 える契機 に した り、 自分 の
活力 に した りしてい る様子 も うかが える。
③ 「体力測定」「調理実習」
高校生 との体力測定や調理実習でのアンケー
ト結果か ら、グルー プ分けを「親近感」
「若者観 」
「温かさ」「若返 り」「懐か し
さ」 として高齢者
にイ
可をもた らしたかを検討 した (図 8)。
00%
100%
200%
30001
400%
500%
600%
親近感
若者観
温かさ
若がえり
若さをいただいた
懐かしさ
その他
図8
高齢者が高校生 との交流で思 い感 じたグル
ー プ分け
図 8か ら分か るよ うに、高校生 との交流 を通
して 、彼 らの存在 が身 近 に思 えるよ うにな り、
「親 近感 」 を覚 えたが もつ とも多 い。 さらに、
「生徒 の皆 さん の応対 が よく、温 かか つた 」 な
ど「温 か さ」とい う項 目も 17.2%あ る。この「温
か さ」 につい ては、高校生 と高 齢者 の 両者 の感
想 か ら、 とて も温 かな空 間です ご し、お 互いが
心地 よい時 間を過 ごす こ とができていた様子 が
うかが える。
これ らの ことか ら、高齢者 が小 。中 。高校 生
と交流す ることで 、それ ぞれ の年 代 に 関 して認
識 を新 たに してい るこ とがわか る。小学生 との
交流では、「田植 え」「稲 刈 り」 を通 して 、元気
に活動 す る子 どもたち と同 じ時 間 を共有す る楽
しさや、かつて 自らも経験 した 「田植 え」「稲 刈
り」 を追体験 す るこ とで 「懐 か しさ」 を感 じて
い る と思われ る。年齢 が上の 中学生 との交流で
は、弁 論大会で堂 々 と自らの考 えを発 表す る姿
に 「頼 もしさ」 を感 じてい る。 また、 高校生 と
の交流 では 、普段なかなか接点 が 見 つ け られ な
い相手 ではあるが 、彼 らの身近 で活動す る こ と
で 、「親近感」 を感 じてい るようで ある。
つ ま り、高齢者 の これ らの思 い は、か つ て地
域 コ ミュニ テ ィが活発 で あ つた 頃 には 、地域社
会 において 、多世代 の者 が交流す る中で 自然 に
それ ぞれ の世代観 が確 立 されて い た。 しか し、
現在 では 、地域 にお ける密接 な交流 が薄 くな り
失 われた もの を世代 間交流事業 をき っか けに取
り戻 し、つ なが りを持 と うとして い るもの と考
え られ る。 そ して 、 これ らの思 いか ら、改 めて
地域 での様 々 な伝統的な地 域活動 に取 り組 も う
とす る意識 を発 奮 させ、その こ とが地 域活性化
の原動力 にな り、単な るつ なが りか ら広 が リヘ
の発展が期待 され ると考 え られ る ので ある。
4
考察
学ぶ 世代 間交流 フェス タ」 にお い て 、 うれ しの
学園生涯大学地域活動 実践講座 2年 生 の地域活
動 グループ に、世代 間交流 をテ ーマ に活動 実践
を行 ってい ただ く機 会 を提供 した。 地域活動 の
4グ ループ には、親子 が体験で きるブース を実
施 していただ くよ うに依頼 した。 日常か ら世代
間交流事業 に関係 してい るグル ー プは 1グ ルー
プで 、残 り 3グ ル ー プは 日常は世代 間交流事 業
に関わ らな い 内容 の地域活動を 行 ってい るグル
ープ で ある。 4グ ループ は、各 グルー プで相 談
し、「昔遊び体験 」「お茶席」等 を催す こ とに決
めた。 以下 a∼ cは 質 問内容 である。
a嬉 野台 で フ ェス タが 開 かれ る こ とをお聞 き
にな った時、 どの よ うに思われ ま したか。
(図
200%
00%
9)
300%
とても良い
面白そうだ
不安だ
良くない
分からない
図9
高齢者 の世 代間交流事 業実施前 の心境
フェス タが今年度初 めての取 り組 みであるに
もかかわ らず 、80%が 「 とて も良 い 」」「面 白そ
うだ」 と高い 興味 。関心 を示 してい る。 この こ
とは、既 に地 域活動実践 を続 けてきた ことに よ
る経験 か らの反応 で ある と思われ る。世代 間交
流事業 につい て も、継 続実施す る こ とで経 験 を
重 ね 、そ の こ とが新 たな事業 へ の積極 的取 り組
み につなが るの で あろ う。
b当
日の ブースの 様子は いかが で したか 。
(1)高 齢者の関与について
(図 10)
00%
これ までの感想文 の分析 か ら考 える と、世代
間交流 のキー パ ー ソンは高齢者 で ある と言 える。
2008研 究報告『 うれ しの台』では、 「超 高齢社
会 にお ける高齢者 生涯 学習 と世代 間交流」で、
高齢者 は 「世代 間交流事 業」 に とて も満足 して
お り、その必 要性 も感 じてい るが、それ ぞれ の
地域 において も世代 間交流事業 を必要 とす るか
とい う質問に対 して は肯定的な回答 は少 な い。
これ は世代 間交流事 業 を実施 す る時 の実施方法
や地域 の受 け入れ 等 の実践 に不安 を持 っ てい る
のではないか と推 測 してい る。
そ こで、今年度 11月 に行 った 「 うれ しの 台で
100%
200%
300%
40000
500%
600%
大変良かつた
良かつた
まずまずだつた
良くなかつた
図 10 高齢者の世代 間交流事業に対す る満足感
各 グル ー プが それ ぞれ趣 向を凝 らした催 しを
考 え、いずれ も当 日は盛 況 で多 くの参加者 に楽
―-29-―
しんで もらえた。 そ の結果 、86.6%が 「大変 良
かった 」「良か った」と回答 してい る。 自分たち
の企 画が受 け入れ られ、参加者 の好評 を博 した
ことによ り、その こ とが講座生 の満 足感 ・ 充足
感 につ なが ってい る。「楽 しいイベ ン トだ った。
機 会が あれ ばまた参加 したい と思 う」 との コメ
ン トもあ り、交流 を通 して新 たな活動 に対す る
意欲 の 向上に もつ なが ってい る。
cお 客様の様子 はいかがで したか 。
100%
20011 300%
40011 500%
腱 叫匝遍≫ 幽
新たな世代間
交流へ の意欲
(図 11)
00%
くるとい う連鎖を生み出させる事業内容 を、今
後は企画・運営 していかなければな らない と考
える (図 12)。
600% 700%
こ
こ
大変良かつた
t匿
良かつた
じ錢 伸繭
まずまずだつた
図 12新 たな世代間交流への意欲が生 じる
過程図
良くなかつた
図 11高 齢者の世代間交流事業実施後の感想
(2)ア ンケー トの感想 文 ―高齢者 の方 々へ の ひ
と こ とか ら一
実 際 に参 加 した 人 た ち の 様 子 に つ い て は、
86.7%が 「大変 良かった 」「良か った」 と回答 し
てい る。各ブ ース で 、参加者 とともに楽 しんだ
「子 どもか ら高齢者 まで活 き
様子 が うかが える。
「それ ぞれ のブー
活 き とした表 情 が感 じられ た」
ス で趣 向が凝 らされ、活気 に満 ちて い た」な ど、
参加者 の 良い反応 が伝 わってい るよ うで 、 これ
らの こ とも講座 生のや る気 につ なが ってい るよ
うだ。
また 、終了後 の 聞き取 りでは、「親子 で楽 しん
で い る様子 、親子 の うれ しそ うな様 子 を見た こ
「親子 で楽 しそ うに写
とが とて も うれ しかった 」
「親 自身
ってい
の
真 を撮
る を見て うれ しか っ た」
も楽 しんでいた」 とい う感想 が 聞 かれ 、親子 の
ほほえま しい様子 を温 か く見守 って い た様子 が
うかが える。
今 回 のフェス タにかかわ らず、世代 間交流 ヘ
の取 り組みに対す る障 害 の一つ は 「不安 」 で あ
る。 初 めての ことに 「不安感 」 を抱 かないわ け
はないが 、そ の 「不安」 を打 ち消 す 「実行力」、
また 、交流 に向けての準備 を十分 に行 うこ とで 、
それ らを軽 減 させ ることは可能 であろ う。そ こ
で 、事業 を企画・運営す るセ ン ター が 、そ の「不
安」 を打 ち消す こ とがで きる機会 を提 供す る コ
ー デ ィネー ター としての役割 を担 う必要が ある
と言 える。 また 、交流 に よる様 々 な体験 ・ コ ミ
ユニ ケー シ ョンが 、「不安」感 を 「達成感 」「成
就感 」「満足感 」「充足感 」 に変 えてい き、それ
に よって、新 たな世代 間交流 へ の意欲 が生 じて
-30-
小学生 と行 った世代 間交流事業 で ある 「ふれ
あい 交流 田植 え(6月 )」 「ふれ あい 交流稲刈 り
(lσ 月)」 「巻 きず し会 (2月 )」 のア ンケー トに
は、 「高齢者 の方 々へ のひ とこ と」 を設 けて い
る。 ここか ら、児童一人一 人 が 1年 間で どの よ
うな内的変化 があったか を考察 した。た だ し、
事業 ご とに子 ども達 にかかわ る高齢 者 は替 わ る
こ と、世代 間交流事業 の 回数 は、 1年 間に多 い
子 どもで 3回 、少 な い子 どもで 2回 、また世代
間交流事業以外 の心 理 的な状況 の影響 な どに よ
り文章 に変化 がある。
内的変化 が ある子 どもの感想例 を以下 にい く
つ か紹介す る。
【3年 生 A(女 子 )】
はじめてお としよりの方 と手をつなぎます。お とし
よ りの方か ら話 しかけてきて もらつて楽 しかったで
す。 あ りが とう (田 植 え)。
↓
たいへんで した。でも色 々な人が教えてくださった
のでよかったです (稲 刈 り)。
(考 察)日 の前 の高齢者 との関係か ら、多 くの高齢者
との関係に広がってい る様子が うかがえる。
(3)世 代間交流事 業 の課題 と次 へ のステ ップ
【4年生B(女 子)】
お しゃべ り楽 しかつたです (田 植 え)。
↓
い ろい ろ教 えて くれ て あ りが と うござい ま した。
またい っし ょに稲刈 りや 田植 えを したい です (稲 刈
り)。
世代 間交流事業 がそれ ぞれ の世代 の 人 々 に何
をもた らした のか を本 稿 で これ まで明 らか に し
てきた。 これ らの結果 と、 N.ヘ ンケ ンに よる
「成功す る世代 間 プ ロ グラ ム の構築 に特 に重要
な要素」
(考 察)月 ヽ
学生 が 、次 の 体験 へ のつ なが りを楽 しみ
に してい る様子 が うかが える。
1「 プ ログラ ムの計画 を特定 の ニーズ に合 わせ る」
2「 参カロ者 に声 をか けて プ ロ グラ ムの計画 に参加 させ
る」
15年 生】
3「 プ ラスの相 互関係 を促進 す る環境 を築 く」
4「 人 間関係 を発展 させ るの に十 分 な時間 をか ける」
5「 ス タ ッフ と参加者 に継続 的 に学ぶ機 会 を用意す る」
今 日はす ご く楽 しかったです 。 また 田植 えを一 緒
に したいです
(田 植 え)。
6孫 墜続 してみず か ら評価 をお こな うこ とに よ リプ ログ
↓
今 日はとても稲刈 りが楽 しかつたです。親切 に教
えてもらつてあ りが とうございま した。むず か しい
こともありま したが、みんなでがんばると本 当に楽
しかったです (稲 刈 り)。
↓
今 日一 日過 ごして本 当にあ りが とうござい ま し
た。 とても難 しい こともおばあさんたちが教 えて く
だ さったおかげで上達 しま した。一緒に過 ごした一
日は とても楽 しくって うれ しかつたです。今後習 つ
たこ とを活か してやつてみた いです。 あ りが と う
(巻 きず し)。
ラ ムの発展 を報告す る」
7「 公式 に祝 典 を催 す」
(N.ヘ ンケ ン 、平成 16年
(考 察)楽 しかつたとい う視点か ら、ともに過 ごす
ことの楽 しさや よさの視点に、そ して経験を自分 の
生活 に活かす ことができる喜びへ の視点 に転 換 し
ている様子が うかがえる。
`
【6年 生D(女子)】
行 くときにいつ しょに話 して くれた り、田植 えの
時 もす ごく楽 しく話 して くれ てあ りが と うござい
ま した (田 植 え)。
↓
本 当にありが とうございま した。 これか らも何か
する ことがあつた ら、そ の ときは、よろしくお願 い
します。 とても楽 しく稲刈 りができま した。ありが
とうございま した (稲 刈 り)。
↓
生涯大学の方がいたか らこそ とても楽 しく巻 き
ず しが作れま した。大学の人たちが話 しかけてきて
くれて話 しやすかつた し、楽 しく作 ることができま
した。 ありがとうござい ま した (巻 きず し)。
(考 察)相 手 の存在を認 めるようにな り、子 どもと
生涯 大学生 との関係 が深まってい る様子 が うかが
える
ここで取 り上 げた子 どもの思 い は、世代 間交
流事業 へ の参加 を重ね る ご とに、高齢者 へ の思
い が深 まってい るので はないか と考 える。今後
も参加児童 の気持 ちの変化 に着 目し、感想 を分
析 し、世代間交流 の意義 の考察 を深 めたい。
)
の 両者 か ら、 これか ら取 り組 む べ き課題 を明 ら
かに したい。
1に 関 しては、「田植 え、稲刈 り、巻 きず し、
弁論大会、体力測定、調理 実習」、はそれ ぞれ の
ア ンケー ト (感 想文 )か ら小学生 に とつて は、
話 を した こ とが うれ しか つた り、 一緒 に した こ
とが うれ しかつた り、 ほめて くれた ことが うれ
しか つた りした こ とが わか った 。 中学 生では、
「大切 な忘れ ものへ の気 づ き」 の学 びがあ り、
高校 生 は、「喜 んで くれて うれ しか つた 」 と人 と
の 関わ り合 いの 良 さを感 じてい る。高齢者 の「ほ
め上手 」 な ところや 、「喜び 上手 」な ところは、
高齢者 の もつ 良 さの一つ で ある。 この よ うにそ
れぞれ の事 業 に よって 、それ ぞれ の世代 が得 る
ところが様 々 であった と考 え られ る。 ニーズ に
合 わせ る とい う点では、次年 度 へ の課題 として 、
お互 いの名 前 を知 り合 うとい うこと、 もつ と話
がで きれ ば いい な とい うこ とが子 ども達か ら出
てい る。これ の生か し方 は様 々 に考 え られ るが、
た とえば、お互いの 学校 の体育祭や文化祭 に出
か けて い くこ とも継続 した 交流 の機 会 の確保 に
つ なが り、双方 向 の交流 を考 えるこ とができる。
今後 は 、双方 向 の交流 を考 える方 向で取 り組む
ことを考 えたい。
2に 関 しては、そ うめん流 しや 餅 つ き会 な ど
の企画 に関 しては 、高齢者 を含 めた委 員会 にて
高齢者 の考 えを引 き出す よ うに して い るが、子
どもた ちや保護者 が参 画 した り、親子 の考 えを
引き出 した りす る ところまでには至 っていない。
また 、小 学生 へ の 「この事業 の 中で、 もつ とし
たい こ とが あれ ば書 いて くだ さい 」 とい う問 い
か けには、56.1%が 「田植 えや稲刈 りを もつ とや
りたか つた 」、16.2%が 「もっ と話 を したい」 と
答 えた。 6年 生 の子 どもか ら 「どんなに相手 と
-31-
の距離 が縮 まった として も、 いつ かそ の人 の名
前 を忘れて しま うの で、 これ か らは、 めい し交
換 を しては ど うです か。いつ まで も残 る物だ し。
3学 期 も大学 の方 とふれ あえた らいい な と思 い
ます」 とい う提案 もあ り、高齢者 との交流か ら
人 間関係 を広 め深 めるこ との意義 を感 じて い る
様子が うかが える。これが来年度 の課題 である。
3に 関 しては、事業実施者 が 留意す べ き点が
大 きい。 これ に 関す る小学生の 見逃 せ ない感想
文がある。「田の管理 人 さんが、少 しきび しく教
えてきた し、注意 して きた ので 、残念 で した。」
の よ うに交流が深 ま るか ど うかは場 の 雰囲気 が
重要である。 常 に心地 よい場 の確保 を心が けた
い。そ のた めには 、事業打 ち合 わせ等 、事業 に
対す る共通理 解 と十分 な準備 が必 要で ある。
4に 関 しては 、1の 項 目で提案 した双方 向の
交流 の機会 の確保 が ここで も求 め られ てい る。
加 えて 、 3で 提案 した双方 向 のつ なが りに とど
ま らず 、参加者す べ てのネ ッ トワー クを広 げる
意識 が必 要 で ある。
5に 関 しては、本セ ン ター が事 業 の核 とな る
ので 、常に高齢者 との コ ミュニ ケー シ ョン を図
ることを心が けて い る。 さらに今年度 か ら、そ
れ ぞれ の事業 の参加者が集 まって話す会議 が設
け られ 、参加者 の ニーズ とともにス タ ッフ 自身
のスキル ア ップの機会 とした。
6に つい ては、評価 を数値化す る試 み、 同一
人物 の変化 を一 層追跡す る試みが必 要で ある。
7に 関 しては、新 聞や ケーブル テ レビで の掲
載 に積極的に取 り組 んでい るが、来 年度 か らも
継続 してい きた い。
(4)新
しい世 代間交流事 業に向 けて
昨年度か ら、地 域 の人 々 とともに世代間交流
事業 を行 って きた経験か ら、各事 業 において 、
高齢者 は 自然 に心温ま る空間を作 りだ し、 どの
世代 の人 々 も、世代の異 な る人 の よさを実感 じ
てい ることが 明 らかになって きた。特 に親 世代
が世代 間交流事業 を通 して 、他 の場 では得 られ
な い もの を味わ っていることが感想文 か らも読
み取れ る。大川 に よる と、老年期 とい う時期 に
は、 「他世代 (た とえば親世代 )と は異 な る、
や さしさを醸 し出す心的土壌が 準備 され て い
る」 (大 川―郎 、平成 20年 )と 述 べ てい る。世
代 間交流事業 には高齢者 が醸 し出す ′
い温 ま る空
間 とい う環境 が もっ とも大切で ある と考 える。
この空間の提供 は 、高齢者 だけに限 らず 、事業
提供者 も心がけな けれ ばな らな い 点で ある。 そ
の上 で 、高齢者 が′
い温 まる空 間 を作 つて い くこ
とがで きると考 える。
-32-
世代 間交流 プ ログラム に参加 した親子が楽 し
そ うに帰 ってい く姿 を見 るにつ け、世代 間交流
事業が′
い温 ま る場 を提供 できてい る と考 える。
この よ うな世代 間交流 に よ り、心の余裕 がな く
子 ども と感動 を共 にす るこ とがで きに くくな っ
てい る保 護者 に心の余裕 を取 り戻す一 つの機会
にで きるのではないか と考 える。
た とえば 、 「ほめ上 手」 「喜び上手」な高齢
者 に、子 どもが ほめ られ たな ら、子 どもは元 よ
り、保 護者 も うれ しい 気持 ちになる。子 どもも
保護者 もほめて もら う気持 ちよさや 喜んで もら
ううれ し さをあ らた めて 実感す る とともに、保
護者 が 、 ほめ上 手な高齢者 か ら子 どもへ の接 し
方 に気 付 い た り学んだ りす るな ど、 ともに心豊
かな時間 を過 ごす こ とがで きる と世代間交流事
業 の新 た な効用 を特 に規 世代に見 い だせ るよ う
に感 じる。 しか し、大事 な ことは、世代間交流
事業 の根底 に温 かい受 け入れ体制が確 実にある
こ とである。
「世代 間交流」 と―言 で表 して も、その 内容
は千差万別 の もので ある。様 々 な世代が参加 し
交流す ることで 、お互 い に よい影響 を及 ぼ しあ
うことが できる。世代 が変 われ ば、思 いや考 え
が 異なるのは 当然 の こ とで あ り、その違い をよ
い方 向に活 か し合 うこ とが 、最 も大切な こ とで
あると思われ る。ただ単に多様な世代が集 まれ
ば 「世代間交流」 になるのではな く、交流を通
じて参加者がお互いのよさを発揮で き、吸収 し
合える事業展開であるよ うにしなければな らな
い。
この よ うな事業展 開を実 現す るために社会教
育 関係者 が担 うべ き役割 は大きい と考 え られ
る。 従 って今後 は 、年 に 1、 2回 の世代 間交流
事業 をき っか け として 、心 と,い の交流か ら、や
がて地域 での取 り組み へ と広が って い くよ う
に、各世代 の協働 を促す 橋渡 しとして、社会教
育 関係者 が コー デ ィネ ー ター 的役割 を果 たす こ
とが求め られ てい るので ある。そ して、近 い 将
来 、核家族化 等 に よ り生 じた家庭 内三世代 同居
の減少 に代わ り、い わ ゆる「地域 内三世 代 同居 」
とな り、 自然 かつ 活発 な地 域 内での世代 間交流
が 実現 され るこ とで、地域 の再生がはか られ て
い くこ とを念 頭 に、今後 も、様 々 な世代 間交流
事業を企画・運営 していかなければならい と考
える。
5お わ りに
本センター とうれ しの友の会共催で、心が温
か くな り幸せ な気持 ちを届 ける こ とを 目標 に
「ハ ッ ピー コンサ ー ト」 を開催 した ところ、多
くの来場者 で講堂 が埋 ま った。 高齢者 が大半 の
観 客 で あ ったが、 「まだまだ寒 い 日が続 いてい
ます。 で も この会場 には も うそ こまで春 が来て
い るよ うで した」 「久 しぶ りに寒 さも忘れ、豊
かなひ とときを過 ごす こ とができま した」 「心
が あたたか くな りま した」と感 想 をいただ い た。
今 、確 かに心温 まる場所 は求め られて い る。今
後 、 この コンサ ー トにおいて も様 々 な世代 が集
ま る場 に育 て よ うと支援 してい る ところであ
る。様 々 な地 域 で この よ うな コンサ ー トな どが
行 われ 、人 々がつなが り、 つ なが りがや がて広
が り、多世代 が 交流す る場 とな るよ うに コー デ
ィネ ー トや支援 を してい きたい と考 える。
(参 考文献)
444 イ ン ター ジェネ レ
「プ ログラムによる世代間交流の
ーション』
促進 N・ ヘ ンケン」至文堂 2004年
2)『 児童心理 「や さしさ」を育てる』「高齢者
とのかかわ りの 中で育つや さしさ 祖父母
とのとのかかわ りを中心にして」大川―郎
金子書房 2008年
3)『 平成 16年 度 。17年 度家庭教育に関する国
際比較調査報告書』独 立行政法人国立女性
教育会館
1)『 現代 のエスプ リ
-33-
2009研 究報告『 うれ しの台』
編 集 :財 団法 人 兵 庫 県 生 き が い 創 造 協 会
兵 庫 県 立嬉 野 台 生 涯 教 育 セ ン ター
発 行 :平 成 22年 3月
〒673-1415 兵 庫 県 加 東 市 下 久米 1227-18
0795-44-0711(代
FAX 0795-44-1185
電
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