...

食品に関連する制度の変更の動き

by user

on
Category: Documents
32

views

Report

Comments

Transcript

食品に関連する制度の変更の動き
食品に関連する制度の変更の動き
2010 年 10 月
北京センター発(中国)
日本貿易振興機構(ジェトロ)
【免責条項】ジェトロは、本報告書の記載内容に関して生じた直接的、間接的、あるいは懲罰的損害および利益の喪失については、一切
の責任を負いません。これは、たとえジェトロがかかる損害の可能性を知らされていても同様とします。
本報告書は、調査会社等の外部委託先の論考、意見が含まれ必ずしもジェトロの見解を示すものではありません。ジェトロでは情報・
データ・解釈等をできる限り正確に記するよう努力しておりますが、本資料で提供した情報等の正確性についてジェトロが保証するもので
いないことを予めご了承下さい。
Copyright©2010 JETRO. All rights reserved. 本レポートの無断転載を禁ず。
日本製粉ミルクの輸入禁止が解除(中国)
2010 年 10 月
北京センター発
中国における輸出入食品の検査検疫などを管轄する中国国家質量監督検験検疫総局と農
業部は、10 年 9 月 7 日付けで『口蹄疫発生国家から一部関連製品の輸入を認めることに関
する公告』
(共同公告 2010 年第 99 号)を発し、「リスク分析評価の結果を踏まえ、本日よ
り口蹄疫による乳製品輸入禁止措置を取り消し、口蹄疫発生国・地域から、健康な動物か
らの、かつ加工処理済で、口蹄疫ウイルスがなく感染させることのない乳製品を輸入する
ことを認める。輸入乳製品は我が国の関係法令等の規定に合致しなければならず、合致し
ないものは輸入できない。旅行者の手荷物による持込や郵便により輸入できる乳製品は粉
ミルクに限る」とした。
これにより、10 年 4 月 30 日から実施されていた日本製粉ミルクの輸入禁止令は 4 カ月
ぶりに解除されることになった。
日本製粉ミルクの輸入禁止措置
10 年 4 月 20 日、宮崎県において口蹄疫の疑似患畜が確認されたことを受けて、中国国
家質量監督検験検疫総局と農業部が 4 月 30 日付けで共同公告を発し、日本からの偶蹄動物
とその製品の直接または間接の輸入を禁止し、
『進境動植物検疫許可証』の発給を停止する
ことにした。輸入禁止の製品は、口蹄疫を伝播する危険性があるとされる日本製の粉ミル
ク、牛乳、牛肉を含む。
これにより、日本製粉ミルクの輸入は一時中止され、旅行者の手荷物による持込や郵便
での輸入も禁止された。税関で X 線機、検疫犬と抜取検査などにより、日本からの旅行者
の携帯物および郵便物の検査が強化された。一旦該当物が発見されると、差し戻されるか
処分される。
01 年 9 月に日本国内で初めて牛海綿状脳症(BSE)に感染した牛が確認された後、中国
国家質量監督検験検疫総局が日本からの畜産品輸入を禁止し、いまだに解禁していない。
これに、4 月 30 日の共同公告では、粉ミルクなどの乳製品を新たに加えた。
ただし、今回の日本製粉ミルクの輸入禁止は、食品安全のための措置ではなく、動物疫
病防止のための措置である。また、加工期日が 10 年 4 月 30 日より前のもので、正規なル
ートで輸入した日本製粉ミルクであれば、従前通りに販売できた。
中国の粉ミルク需要と禁輸・解禁の影響
中国では 08 年 9 月に国産メーカーの粉ミルクにメラミンが混入した事案が発覚し、中
国の消費者は国産ブランドに対する信頼感を失い、そのかわりに安全な外国製の粉ミルク
1
製品を求める傾向が強まった。中国税関総署の統計では、10 年第 1 四半期に乳製品が 19
万 2,000 トン、4 億 8,000 ドル輸入され、前年同期比で、35.3%、76.4%とそれぞれ増加し
た1。
そうした状況で、日本製粉ミルクも中国消費者に浸透し、安定した消費者層を確保して
いる。現在正式なルートから輸入され、スーパーなどで販売されている日本製粉ミルクの
ブランドには、明治、森永がある。深圳市のウォルマートでは、粉ミルクの総売上に占め
る明治粉ミルクのシェアは約 5%であるそうだ。ほかに、インターネットの C to C(一般消
費者間で行われる取引)サイトでの郵送購入や知人による日本からの持込などの方式を利用
する消費者も多い。例えば、10 月初めに中国最大の C to C サイトの淘宝(www.taobao.com)
で検索したところ、赤ちゃん用粉ミルクは、145,914 件販売されており、うち多美滋、伊利、
完達山などの中国国産ブランドは合計 18,484 件のみで、大多数は外国製品である。外国製
品のうち、明治は 10,539 件、森永は 2,713 件、和光堂は 3,022 件であり、日本のブランド
の合計は 16,270 件であった。単一ブランドで販売件数が最も多いのは、明治であった。郵
送購入が利用されているこうした現状は、粉ミルクの禁輸措置が郵便やハンドキャリーに
よる持込みを厳しく規制する対象とした要因ともなっている。
日本製粉ミルクの輸入が禁止された後、5 月以降中国国内のスーパーで日本製粉ミルク
が一時品切れになり、価格が上昇したと報じられた。
日本製粉ミルクを使用していた乳児の親たちの中にはドイツやオランダ製の粉ミルクに
切り替える例もあったという。北京市でマタニティー、ベビー用品を取り扱う楽友会社の
販売データによると、ドイツ製の粉ミルクの販売量は、日本製粉ミルクが禁輸された後の 2
カ月間に、禁輸前の 2 ヶ月間と比較し 25%と顕著に伸びた。
今回の解禁措置は、日本製粉ミルクの輸入がいつ解禁されるかについて強い関心を持っ
ていた親たちにとって朗報となり、市場での日本製粉ミルクの販売も回復していくとみら
れる。
以上
資料 :
「今年第 1 四半期の我が国の乳製品輸入量は急速に増加、産業発展は二重のリスクに直面」中国中
国税関総署ウェブサイト
(http://www.customs.gov.cn/publish/portal0/tab7841/module24699/info226015.htm)
、
10 年 5 月 11 日。
1
2
Fly UP