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WCO)水際取締報告書
2億点を超える模倣品等を水際で差止め -2012 年 WCO 水際取締り報告書- 世界税関機構(WCO)は、6月 28 日、 「不正貿易に関する 2012 年報告書」を公表しま した。 昨年までは、 「麻薬」 、 「知的財産権侵害物品」及び「たばこ」の3つの分野についての水際 での取締り実績がそれぞれ報告書の形で公表されていましたが、今年からは、「不正貿易に 関する報告書」に一本化され、その対象も拡大し、 「麻薬」 、 「知的財産権」 、 「歳入」、 「環境」、 「セキュリティ」及び「税関取締情報ネットワーク」の6つの分野に分けてまとめられて います。 この報告書で使われている不正貿易は、違法な活動あるいは非倫理的な活動によって取 得された金銭、商品、価値に係わるものとされ、この中には環境破壊につながる取引き、 人身売買、天然資源の違法な取引き、知的財産権の侵害行為、健康や安全を脅かす物品の 貿易、関税等を逋脱するための密輸、麻薬取引き及び違法な資金の流れを含むとされてい ます。この種の活動は、経済、社会、環境、政治等様々な分野に被害、損失をもたらすも のとされ、その規模がどの程度に及ぶかについて、その一例として米国の民間研究機関で ある“Global Financial Institute(GFI)”の最近の推計があげられ、その規模は物品に限っ て価額ベースで見ると 6,500 億ドル、違法資金の流れを含めると2兆ドルに達するとされ ています。 この報告書は、加盟国税関から報告のあった関連情報をベースとして取りまとめられた もので、その目的は、不正貿易のトレンドやパターンを地域レベル、あるいはグローバル・ レベルで解明するため関連情報を分析し、不正貿易の全体像を取締りに当たる税関に提示 し、さらに密輸業者や組織犯罪グループを含む不正取引に従事している者が使う新たなル ートや手法に関する情報を税関に提供することにあるとされています。 2012 年の特徴として、次の点が示されています。 ・たばこ:いわゆる「チープ・ホワイト(Cheap Whites)」と称されるたばこの差止めが 著増し、前年(2011 年)比で、差止めの件数では 52%増、また差止めの数量では 17%増 となった。 ・麻薬:差止め件数はほぼ前年並みで、大麻類 1,486 トン、コカイン 72 トン、アヘン 11 トン、向精神薬 79 トン、チャット(カート)118 トンが差止められた。 ・知的財産権侵害物品:2012 年において差止めが多かった商品は、件数で見て、アクセサ リー、衣類、医薬品、携帯電話とその附属品の順で、差止め件数自体は前年に比べ減少 したが、健康や安心に関係する物品(医薬品、自動車等の輸送機械の部品、食品等)の 差止めが件数で増加した。 ・環境:象牙やサイの角の違法取引が目立ち、密輸業者は手の込んだ新たな隠匿方法を使 用している模様である。 ・セキュリティ:この分野で特に目立ったのは、拳銃の密輸で、その取引きは陸続きの国 境線で多発している。 知的財産に関係する部分を敷衍すると、次のように分析されています。 ・WCO に報告された差止めの件数は 56 千件、差止めの数量は 211 百万点、33 百万キロ(物 品の数については単位を統一するため「点」を使用。ただし、たばこは 20 本入りを1点 として計算)。 ・報告件数の多かった加盟国は、米国(7,615 件) 、ドイツ(2,602 件)、サウジ・アラビア (2,377 件) 、イタリア(1,721 件)、スペイン(1,300 件)、日本(1,147 件)の順。 また、差止め点数では、サウジ・アラビアが最も多く 25.5 百万点で、次いで米国 10.4 百 万点、チリ7百万点、イタリア 5.4 百万点、アルゼンチン 2.5 百万点の順。 ・差止められた商品では、件数ではアクセサリーが最も多く、衣類、医薬品、携帯電話と その附属品、その他の物(ラベル、包装材、バッテリー等で、他の区分に属さないもの) 、 電子機器、音響製品、化粧品、時計、履物の順。 差止めの点数では、その他の物、衣類、アクセサリー、医薬品、衣類以外の繊維製品(タ オルやベッドシート等) 、音響製品、自動車等の輸送機械の部品、玩具等の順で、これを 参考として示されている価額について見ると、アクセサリーが金額ベースでは最も高く、 次いで時計、電子機器の順。 ・模倣品等に使われたブランドは、約 980 種類に及び、件数では、シアリス、アップル、 ナイキ、ルイ・ヴィトン、アディダス、バイアグラ、グッチ、ハローキティ、マック、 シャネル、ウォルト・ディズニー、バーバリー、ロレックス、ノキア、カシオの順。 ・仕出地については、件数では中国が 43.5%を占め、香港、インド、トルコ、豪州、モロ ッコが続く。 仕向地は、これも件数でみると、米国、サウジ・アラビア、ドイツ、イタリア、スペイ ン、日本の順。 本報告書の詳しい内容については、8月に発行される CIPIC ジャーナルに掲載する予定 です。ご期待ください。