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農場・市場編 - 北海道農業機械工業会

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農場・市場編 - 北海道農業機械工業会
農場・市場編
2011 年,台湾の雲林県,南投県,屏東県などで野菜の栽培や収穫状況,市場などの視察を行っ
たので,概要を取りまとめた。
1.ニンジン
☆雲林県
慣行は高畦栽培で,畦間隔 1.2m 程度(トラクタ 20~30PS)
,畦高さ 30cm 程度である。慣行は
1 畦 4 条播種であるが,
実演会はハーベスタ収穫用として 2 条複列播種に播種した圃場で行った。
慣行の収穫は手作業で,リフタで浮かせ,手で抜き取りと整列,その後茎葉切断と選別を行う。
良品は箱詰めや袋詰めなどを行って出荷している。生食ニンジンは出荷方式に合わせ,段ボール
箱(約 30kg)
,袋(約 50kg)で,重量は計測していないがやや多めに入れているのだろう。屑ニ
ンジンはバック(500kg)に収穫し,加工用として出荷する。
図 1-1 ニンジン栽培圃場
高畦栽培,溝は潅漑溝となる
図 1-2 1畦 2 条複列播種
ハーベスタへの対応,藁マルチ
図 1-4 潅漑設備
ポンプは必須,電源あり。水田施設の利用
図 1-3 ニンジン栽培圃場
水田転作
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図 1-5 ニンジン
品種は向陽 2 号で日本から輸入
図 1-6 ニンジンのリフタ
図 1-7 抜き取り作業
図 1-8 茎葉切断
小さな鎌で切断,切れ味は良い
図 1-9 収穫作業
サイズ区分と屑の選別
図 1-10 箱詰め
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図 1-11 屑ニンジンの収穫
畑にニンジンは殆ど残らない
図 1-12 大型バッグの運搬
ローダを使用,軟弱時に懸念
図 1-13 段ボール箱と袋
詰める量が多く盛り上がっている。出荷先で区分
図 1-14 大型バッグ
屑ニンジン
図 9 段ボール箱と袋
図 10 大型バッグ
図 1-15 ニンジンハーベスタ実演
図 1-16 ニンジンハーベスタ実演
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2.ダイコン
☆雲林県
高畦形状はニンジンとほぼ同じで,1 畦 2 条植えである。播種機や播種方法は未調査である。
収穫方法はニンジンと同じ手作業である。
図 2-1 ダイコン畑 高畦栽培
図 2-2 ダイコン畑
図 2-3 ダイコン収穫
図 2-4 ダイコン畑
1畦 2 条
図 2-5 小型の鎌で茎葉と根を切断
図 2-6 ダイコン収穫
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図 2-7 栽植様式 1 畦 2 条
図 2-8 調整後のダイコン
品種は在来種
図 2-9 箱詰め
図 2-10 2 畦分を整列
図 2-12 屑ダイコン 漬物用
図 2-11 出荷するダイコン
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☆南投縣埔里
ダイコンの栽培を行っている南投縣埔里鎮農會を訪問する。農會の案内によりダイコン圃場に
向かう途中の道は狭く険しかった。標高は 700m 程度で冷涼なため,当地は夏作ダイコンの主産
地である。栽培はスプリンクラーによる潅漑を行っている。夏作ダイコンは連作とのことで,収
穫後は緑肥に蕎麦を栽培しているが,今後連作障害が問題となるであろう。ダイコン価格は 1 箱
30kg 入りで 300 元であるが,昨年は 1,200 元と高い時もあり,価格変動が激しいとのことであっ
た。見学圃場は借地が多いとのことであった。
ダイコンの収穫は人力であり,約 20 数名の作業者がダイコンを引き抜いて葉を切断し,泥付き
のまま段ボール箱に詰める。段ボール箱の収集は運搬機を 2 台使い,道路に待機しているトラッ
クに積載する体系である。収穫は若い人が行い,除草は老人が行うとのことであった。見学先は
個人農家の共同組合で,栽培,管理,販売までを行っている。泥付きダイコンはそれぞれの組合
員が国内で販売しており,葉付きダイコンの流通はしていない。収穫は晴れの日に行い,冷蔵庫
で予冷も実施している。ダイコンの品種は在来種で,日本のダイコンよりも短く,太めである。
ダイコンの洗浄施設では 10 名以上の女性が働いていた。段ボールから泥付きダイコンを取り出
し,大勢で大きなタルの中で手洗いを行い,計量し新しい段ボールに詰め直している。洗浄・出荷
は 1 箱 20kg 入りで,80-90 箱/時である。「在来種」のほかに「白娘」という品種も見たが,形状
は日本の白首ダイコンと同じであるが小振りであった。中国からジャガイモの輸入が増加してお
り,ジャガイモ栽培も検討しているとのことであった。
栽培にはトラクタによる耕うんおよび防除機を使用しており,畦立てと同時に播種する機械は
自前で改造している。大規模化に向けて 50PS 程度の中型トラクタを基幹とした機械化体系,北海
道で製造しているダイコンハーベスタによる収穫・運搬体系,洗浄・出荷施設などの導入が可能と
思われる。機械化には栽培法や品種などの情報も含めた提言が必須と考えられる。
図 2-14 運搬車
圃場から道路のトラックへ運搬
図 2-13 ダイコン収穫
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図 2-15 ダイコン収穫
図 2-16 スプリンクラー 散水が必要
図 2-17 箱詰め終了
図 2-18 箱詰め
図 2-19 箱詰め
図 2-20 段ボール箱の梱包
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図 2-21 ダイコン販売 150 元/箱(380 円)
図 2-22 ダイコン洗浄
図 2-23 ダイコン洗浄
藁で作ったたわしで手洗浄
図 2-24 ダイコン洗浄後,水切り
図 2-25 出荷する段ボール箱
秤で重量計測
図 2-26 隣のパイナップル畑
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3.ジャガイモ
☆雲林県
高畦栽培はニンジンとほぼ同じで,1 畦 2 条植えである。種いもは高価との事であった。
図 3-1 改造した畦立て機
図 3-2 ディガー
ロッドはステンレス,種々改造
図 3-3 ディガー
図 3-4 ディガー
図 3-6 イモ列の上にのった茎葉除去
図 3-5 ディガー 茎葉は多い
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図 3-7 箱詰め
図 3-8 箱詰め
図 3-9 箱詰め
箱は盛り上り,運搬時の傷が心配
図 3-10 屑いもは袋に収穫
いもは殆ど畑に残らない,この後に田植
図 3-12 通勤バイク
図 3-11 収穫したジャガイモ
種イモは USA から導入
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4.タマネギ
☆雲林県
高畦栽培はニンジンとほぼ同じで,1 畦 2 条植えである。栽植様式は種々である。
図 4-1 移植後のタマネギ
図 4-2 移植後のタマネギ
畦に平行に,1畦 3 条移植
図 4-3 生育期のタマネギ
図 4-4 タマネギ栽植様式
畦に直角に移植,4~5 本
図 4-6 収穫近し
図 4-5 生育期のタマネギ
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図 4-7 抜き取り
その後,地干し
図 4-8 地干し
図 4-9 地干し 枯凋が進んでいる
図 4-10 鋏で茎葉切断し収穫
図 4-11 タマネギ選別施設
図 4-12 袋詰めで出荷
後方は皮つき,前方は剥きタマネギ
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☆屏東県車城
日本の中山間地に似ており,転作田のタマネギ栽培である。区画は狭く,水田施設を利用した
潅漑が行われている。水が少ないせいか,パイプ潅漑であった。
図 4-13 タマネギ圃場
図 4-14 配管による潅漑設備
図 4-16 タマネギ圃場
図 4-15 タマネギ圃場
中山間地
図 4-17 地干し
図 4-18 農会とのミーティング
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5.西螺市場
台湾最大の野菜市場で台湾中南部の農産物は一度この市場に集められる。取引される農産物は
9 時前にサンプルを採取して農業改良所で農薬検査が行われ,結果は 3 時間後に出される。合格
した農産物は 12 時過ぎから全国の市場や大手スーパーに送られるが,不合格農産物は出荷できな
い。
取引手数料は 3%で 1 日 1,000t の野菜を扱っている。
野菜の格付けは生産も販売も同様である。
野菜は大きく,またサイズの大きい方が価格は高いとの事である。
図 5-1 西螺市場
図 5-2 西螺市場
図 5-4 キャベツ
これで1箱,サイズも大きい
図 5-3 西螺市場
図 5-6 ブロッコリーとジャガイモ
図 5-5 パプリカ
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図 5-7 カリフラワー
図 5-8 トウガラシ
図 5-9 ニンジン
サイズは大きい
図 5-101 ナス
小ナスなど種々の形状がある
図 5-12 結球ハクサイ
図 5-11 冬瓜
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図 5-13 ブロッコリー 氷で冷却
図 5-14 ピーマン
図 5-15 マコモ
図 5-16 ゴボウ
図 5-17 ナガイモ
太く,長いものは 1m 以上
図 5-18 ショウガ
サイズが大きい。日本に多く輸出(ガリ用)
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図 5-19 ジャガイモ
サイズが大きい。輸入が増加している
図 5-20 サトイモ
図 5-21 スイカ 29 元/個(74 円)
図 5-22 ニンニク 球と細片
図 5-23 ヤシ 10 元/個(25 円)
図 5-24 果実売場
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図 5-25 パイナップル 15 元/個(38 円)
図 5-26 場外市場
図 5-27 パッションフルーツ
図 5-28 レンブ 39 元/600g(100 円)
図 5-29 ドリアン
図 5-30 ナツメ 19 元/600g(48 円)
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図 5-31 西洋梨 10 元/個(25 円)
図 5-32 佛頭果 69 元/600g(176 円)
図 5-33 カキ 19 元/600g(48 円)
図 5-34 メロン
日本からの輸入 50 元/個(128 円)
図 5-35 パパイヤ 19 元/600g(48 円)
図 5-36 食堂の売店
ピーナッツとグワバ
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図 5-35 マンゴー
時期でなかったため,味わえず
図 5-35 リュウガン
安くて美味しい
6.印象
台湾で平地に位置する雲林県,南投県と南部の屏東県などで,ニンジン,ダイコン,ジャガイ
モ,タマネギの栽培や出荷方式,野菜市場を見ることができた。一部を見たに過ぎないが,多彩
な野菜や果実が通年生産されていた。中山間地や山地でも地域の特徴を生かした野菜,果実,花
きなどが生産されていると聞く。機会があれば訪ねてみたい。
野菜は通年栽培(ハクサイ,ダイコンなど)
,気象条件や土地条件により栽培が制限される野菜
(ドラゴンフルーツ,マンゴー,タマネギ,ジャガイモなど),多年性栽培(マコモ,パイナップ
ルやパパイヤなど)があり,多くの作目を組み合わせた栽培様式であった。生産組合や合作社に
よるタマネギやニンジンなどの大規模栽培(委託栽培)は一部に過ぎずなかったが,今後は徐々
に増加すると考えられる。野菜や果実の多品目栽培は,価格変動への対応や消費者ニーズに支え
られていると思われた。水田転作田で家鴨を飼う,檸檬やバナナを植えるしたたかな発想も垣間
見た。WTO の影響を受け,政府は農業振興を図っているが,農村のインフラまで手が届いていな
い。農村を遠くから見ると少し疲れているように見えるが,畑や市場には活気があった。また,
精神の中に道教が住んでいるように思われた。
野菜はサイズが大きい方が良く,高価とのことである。流通の規格,つまり荷姿,箱重量や 1
個サイズなどの区分は不明である。野菜で盛り上がった段ボール箱を見ると輸送時の傷や篭に入
った葉菜類の鮮度低下が気に懸る。値段が安いので農家所得や生計も気に懸る。
個人的な感覚であるが,野菜は美味しい。ナス,キャベツ,ハクサイ,ダイコン(台湾の方は
苦みがあり日本のダイコンが美味しいと言う)は F1 の多い日本の野菜とは異なる味覚で,子供の
頃と似た味がし,伝統野菜の魅力を感じる。マコモや金針菜,ピーナッツの黒金剛は格別である。
ゴボウやナガイモなどの根菜類は概して硬く,味も繊細さに欠けると思う。果実は季節性が強く,
美味しい時期に食せるのは良い。レンブ,ナツメは口がさっぱりし,リュウガンは疲れたときに
良い。朝食は毎日お粥を選んだ。甘く煮た大豆やピーナッツ,干しエビ,キュウリの漬物,ショ
ウガの千切りのトッピングは格別であった。
西螺市場や台北や台中の市場は活気があり,食材が溢れていた。店頭に並んだ食材を見て,入
るのをためらう屋台もあるが,香辛料の匂いと味に慣れれば,屋台はお腹も財布も満足である。
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