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都市と農山漁村の交流を通じた 地域の活性化

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都市と農山漁村の交流を通じた 地域の活性化
名古屋大学 特別講義
都市と農山漁村の交流を通じた
地域の活性化
東海農政局 農村計画部長 宮﨑且
平成27年9月2日
目
次
1 農業・農村の現状と将来推計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
2 農業・農村の持つ多面的機能・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
3 都市と農村の交流のイメージ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
4 農村側から見た交流の必要性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
5 都市側から見た交流の必要性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
6 都市と農山漁村の交流等の政策上の位置づけ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
7 都市と農山漁村の交流を通じた地域活性化に関する支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
8 都市と農山漁村の交流を通じた地域活性化事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
1 農業・農村の現状と将来推計
○農業従事者の高齢化
①高齢化率(65歳以上)34.3%(H22)
②高齢化率は、この20年間で約15%増加
③基幹的農業従事者の平均年齢66.2歳
○農業所得の減少
①農業所得は3.2兆円(H22)
②この20年間で半減(6.1兆円・H2)
①中山間農業地域の人口は半減以上
○農村の今後の人口推計 (1,503万人 → 685万人)
②65歳以上の高齢化率は約45%に増加
(2010→2050)
(31% → 45%)
○無人化危惧集落数等
等の今後の推計
(2010→2050)
①集落人口が9人以下の無人化危惧集落数は、
約5倍に増加(3千集落 → 1万5千集落)
②高齢化率が5割以上の高齢化進行集落数は、
約2倍に増加(1万3千集落 → 2万4千集落)
1
出展:農林業センサス、農林水産政策研究所
2 農業・農村の持つ多面的機能
農業・農村は、食料の安定供給以外に、適正な農業生産活動を通じて国
土の保全、水資源のかん養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の
伝承などの様々な機能(多面的機能)が存在。
機能の種類
評価額(年間)
洪水防止機能
3兆4,988億円
河川流況安定機能
1兆4,633億円
地下水かん養機能
537億円
土壌浸食(流出)防止機能
3,318億円
有機性廃棄物分解機能
123億円
気候緩和機能
87億円
保健休養・やすらぎ機能
2兆3,758億円
注)日本学術会議の答申を踏まえ貨幣評価が可能な一部の機能について評価
2
3 都市と農山漁村の交流のイメージ
都市と農山漁村の交流
定
二地域居住
住
一時滞在
U・Iターン
グリーン・ツーリズム
空き家・
耕作放棄地
農作業体験
週末田舎暮らし
子供体験学習
滞在型市民農園
田んぼ・棚田
長期田舎暮らし
セカンドハウス
自然体験
農家民宿
レクリエーション
観光農園
体験農園
市民農園
体験型修学旅行
農産物直売所
農家レストラン
農産物加工所
3
援農ボランティア
郷土料理体験
郷土芸能体験
○グリーン・ツーリズムの実施例
田んぼ・棚田(オーナー制度による農作業体験等)
三重県熊野市では、丸山千枚田を後世に残すために平成
6年に全国初の千枚田条例を制定しました。
平成8年から、千枚田の一部を利用してオーナー制度の
運営を行い、現在では、千枚田7.2haのうちの約1.6haを
オーナー用として活用し、毎年100組を超える申し込みが
あり、田植えや稲刈り時期には数百人が来訪する等、地域
の活性化に貢献しています。
農家民宿(農作業・自然体験、レクリエーション等)
岐阜県高山市の農林漁家民宿おかあさん100選に認定
された宿で、お母さんが、地域の食材(野菜、山菜、川魚等)
を使った郷土料理でおもてなしをしています。
田植え・稲刈り・野菜収穫等の農作業体験、山菜やキノコ
採り等の自然体験、朴葉寿司作り・そば打ち体験等の郷土
料理体験、スキー・スノボー等のレクリエーションが体験でき
ることから、多くの都市住民が来訪しています。
4
観光農園(リンゴ狩り等のレクリエーション等)
みそらの
岐阜県高山市にある美空野ファーム(観光りんご園)
は、1年間に1本のリンゴの樹のオーナーとして、花見
から収穫まで、家族や友人等と自由に大自然の中で楽
しめます。
年間の管理料は、「フジ」の場合が2万1千6百円です。
また、リンゴ狩り農園も市内には多数あり、秋には多く
の観光客でにぎわう等、地域活性化に貢献しています。
体験農園(野菜づくり等の農作業体験等)
愛知県日進市のNPO法人「日進野菜塾」が開設した
農業体験農園です。
一般の市民農園と異なり、日進野菜塾が栽培する野
菜を決め、種、苗、肥料等を用意し、入園者は農業者の
指導の下で、管理を行うため、プロの農家の同等の作物
が収穫出来ます(練馬方式:相続税猶予対象)。
年間利用料は、1区画6万2千円ですが、入園者の交
流のため、各種のイベントも用意されています。
5
市民農園(農作業体験やレクリエーション等)
市民農園は、都市住民などが農作業を通じてリフレッ
シュや農業・農村への理解を深める等、多様な役割を
有しており、東海3県で、「市民農園整備促進法」及び
「特定農地貸付法」に基づく農園は、524カ所(H26.3)
で開設されています。
(注)農地法3条では、小規模な農地の所有・貸付け
制限しているため、市民農園整備の促進のため
平成元年、2年に上記の法制度を策定。
農産物直売所
農産物直売所は、都市住民が観光等のついでに、地
元産の新鮮な野菜等が安価で購入できると好評です。
愛知県大府市の「げんきの郷」が有名です。
一方、農家側は、販売による収入や地域雇用の増加
等の経済効果に加え、消費者と生産者や生産者同士の
交流が増え、「生きがい」や「やる気」等につながるなど、
地域の活性化に貢献しています。
6
農家レストラン等(郷土料理)
岐阜県中津川市にある「ちこり村バーバーズダイニ
ング」は、平成18年度から地元の旬の朝取り野菜を
使った料理を中心に、郷土料理などをバイキング形
式で提供しています。
レストランは、20代から60代の女性20人で運営さ
れており、郷土料理の伝承、農村女性の活躍の場の
確保、地元農作物の消費拡大等を通じて、地域の活
性化に貢献しています。
滞在型市民農園(週末田舎暮らし)
三重県津市美杉町にある「城山クラインガルテン」は、
小屋(ラウベ)と菜園を貸し出す「滞在型市民農園」で、
そのルーツはドイツと言われています。
小屋は、バス・トイレ・キッチン等が備えられ、長期滞在
も可能で、住み込みでの菜園づくり、週末の別荘等、アウ
トドアの拠点として利用可能です(年間利用料50万円、
27区画)。
また、利用者同士の交流や近隣の住民との交流のため
の祭り等のイベントも開催され、地域の活性化に貢献しています。
7
4 農村側からみた交流の必要性
○ 農山漁村では高齢化、後継者不足が深刻化しており、若い世代の就農を促進
するとともに、農業生産と加工・流通を組み合わせ、農家民宿・農家レストラン・
観光農園等により、6次産業化+交流の促進により収益を確保することが必要。
【全国と農家の高齢者割合の比較】
【農業経営体の6次産業化への取組】
40.0
35.0
30.0
25.0
2,500
農家の高齢者割合
34.3
農村は全国平
均の20年ほど
先行
2,000
28.0
1,500
20.0
15.0
5.0
1,492軒
1,248カ所
23.0
20.0
10.0
2,006軒
15.6
12.1
11.7
7.1
9.1
826カ所
1,000
17.4
500
全国の高齢者割合
農家民宿
農家レストラン
0
0.0
S45
S55
H2
H12
H17
H22
資料:農林水産省「世界農林業センサス」、総務省
「国政調査」
H22
H17
資料:農林水産省「世界農林業センサス」
8
H22
5 都市側から見た交流の必要性
1)グリーン・ツーリズム施設の利用者状況
都市住民が農村におけるグリーン・ツーリズム施設(農家民宿、公設施設等)への宿泊者数が増加傾向。
グリーン・ツーリズム施設への宿泊者数の推移
万人
1000
900
800
700
600
500
400
300
200
100
0
844 848
813
795
777
745
886 903 925
資料:農林水産省調べ(平成26(2014)年)
注:平成22(2010)年度の宿泊者数は被災3県(岩手、宮城、福島)を除いた数値
9
2) 消費者の農業・農村に対する意識・意向
消費者が「今後、農業・農村において関わりたいもの」として最も多い回答は、「地域農産物の積極的な購
入等により農業・農村を応援したい」で約9割、次いで「グリーン・ツーリズム等、積極的に農村を訪れたい」と
「市民農園などで農作業を楽しみたい」が約3割。
88.2
地域農産物の積極的な購入等により、農業・農村を応援したい
33.5
グリーン・ツーリズム等、積極的に農村を訪れたい
31.0
市民農園などで農作業を楽しみたい
17.9
援農ボランティア等、農村に出向いて農業・農村を応援したい
7.1
農業はしないが、農村に住みたい
5.8
(農村に移住することも含め)今後本格的に農業に参入したい
1.7
(農村以外への移住を含め)今後農業とは関わりたくない
7.3
その他
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
資料:農林水産省「食料・農業・農村及び水産業・水産物に関する意識・意向調査結果」(平成26(2014)年5月公表)
消費者モニタ-987人を対象として実施(回収率87.7%)
10
70.0
80.0
90.0 100.0
6 都市と農山漁村の交流等との政策上の位置づけ
1)第4次全国総合開発計画(昭和62年策定)
4全総においては、東京一極集中の課題を是正するため、「国土の均衡
ある発展のため、多極分散型国土の形成を目指す」とされており、その中
で、初めて農村が都市との交流で活性化を図るべきとの論調が示された。
第4次全国総合開発計画(抜粋)
2)都市と農山漁村との広域的交流
交流可能性の拡大、国民の行動領域の拡大を積極的に活用し、定住圏の広
がりを越えた都市と農山漁村との広域的交流を幅広く推進する。
活発な交流を通して地域の活性化を進め都市と農山漁村の国土における新た
な相互補完の関係を確立する。
都市住民が農山漁村の自然と親しめる長期滞在型のリゾート地域の整備や、
都市、農山漁村の相互理解を図る機会となる小中学校児童生徒の自然体験学
習、農山漁村での滞在学習、上下流域の地域間交流活動を地域社会との調和
を図りつつ促進する。
また、都市居住者の農山漁村における新たな住まい方や広域的交流を前提と
した退転職者、創作活動家等の農村漁村での居住(マルチハビテーション)に対
応した整備を促進する。
11
2)食料・農業・農村基本法等
○食料・農業・農村基本法において、「国は、都市と農村との間の交流や市民農園の
整備等の施策を講ずる」こととされている。
○食料・農業・農村基本計画において、農村の振興を図るための施策の一つに「都市
と農村の交流等」を進めることとしている。
食料・農業・農村基本法(平成11年法律第106号)
第36条 国は、国民の農業及び農村に対する理解と関心を深めるとともに、健康的で
ゆとりのある生活に資するため、都市と農村との間の交流の促進、市民農園の整備
の推進その他必要な施策を講ずるものとする。
食料・農業・農村基本計画(平成27年3月閣議決定)
3.農村の振興に関する施策
(3)多様な分野との連携による都市農村交流や農村への移住・定住等
① 観光、教育、福祉等との連携した都市農村交流
② 多様な人材の都市から農村への移住・定住
③ 多様な役割を果たす都市農業の振興
12
3)経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002
○「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」(骨太の方針)においても、
経済活性化戦略の方策として「都市と農山漁村の共生・対流を推進する」旨記載。
○都市と農山漁村の共生・対流を推進するため、副大臣PTを設置(H14.9)。
経済財政運営と構造改革に関する基本方針(平成14年6月閣議決定)
第2部 経済活性化戦略(抜粋)
2.6つの戦略、30のアクションプログラム
(4)産業発掘戦略
・・・平成14年度から、都市と農山漁村を双方向で行き交うライフス
タイルの実現に向け、・・・・特区手法を含め、都市と農山漁村の共生
・対流を推進する。
都市と農山漁村の共生・対流に関する副大臣PTの設置(平成14年9月)
都市と農山漁村の共生・対流を推進するため、内閣官房副長官を主査(現・安倍総理)
農林水産副大臣を副主査とし、総務省、文科省、厚労省、経産省、国交省、環境省の副
大臣をメンバーとして設置。
13
4)農林水産業・地域の活力創造プラン(抜粋)
(平成26年6月24日改訂 農林水産業・地域の活力創造本部決定)
Ⅲ 政策の展開方向
6.人口減少社会における農山漁村の活性化
高齢化や人口減少が都市に先駆けて振興している農山漁村においては、小規模集落が増加す
るなど集落機能が低下しつつある。・・・・・農林水産業の振興と地域の活性化を表裏一体で進めて
いく必要がある。・・・・・・
このため、「食」や福祉、教育、観光、まちづくり、環境等の分野において「交流」を軸に関係各府
省が連携して農山漁村の再生に取り組むとともに、基幹集落への機能集約と集落間のネットワー
ク化の推進等により生活条件などの定住環境を確保し、地域コミュニティを活性化する。・・・・併せ
て、地域活性化等に取り組んでいる優良事例を選定し全国へ発信することを通じて他地域への横
展開を図る。
<目標>
関係省庁との連携プロジェクトを展開し、2020年までに全国で交流人口を1,300万
人まで増加
〈展開する施策〉
①
②
③
④
⑤
⑥
農山漁村の人口減少等の社会的変化に対応した地域コミュニティ活性化の推進
福祉、教育、観光、まちづくりと連携した都市と農山漁村の交流等の推進
優良事例の横展開・ネットワーク化
消費者や住民のニーズを踏まえた都市農業の振興
歴史的景観、伝統、自然等の保全・活用を契機とした農山漁村活性化
鳥獣被害対策の推進
14
7 都市と農山漁村の交流を通じた地域活性化に関する支援
■法 律
農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律(H19制定)
(通称:「農山漁村活性化法」)
・農山漁村は、人口の減少や高齢化の進展等により活力が低下。
・一方で農山漁村には、自然、文化、歴史等が豊富にあり、都市住民の関心も高い。
・このため、農山漁村で短期、中長期に滞在・交流を促進することにより、農山漁村の活性化を
図るための措置を法で整備。
・法に基づき、県又は市町村が「活性化計画」を作成することにより、活性化計画に位置づけられ
た施設整備等を交付金で支援。
■予 算
①農山漁村活性化プロジェクト支援交付(主にハード対策)
・農山漁村における定住・地域間交流を促進するための生産基盤、農産物加工・販売施設、生活環境、地域間
交流拠点等の整備を支援
②都市農村共生・対流総合対策交付金(主にソフト対策)
・子どもの農山漁村宿泊体験や福祉農園の開設、空き家・廃校を活用した滞在型交流農園の整備等を進める
取組や人材の活用・育成等を関係省庁と連携して支援
③農村集落活性化支援事業(ソフト対策)
・地域住民が主体となった将来ビジョンづくりや、集落営農組織等を活用した集落間ネットワーク化により、
地域の維持・活性化を図る取組を支援
15
(1)農山漁村活性化プロジェクト支援交付金の支援メニュー
○農山漁村活性化法に基づき県・市町村が作成した定住・地域間交流の促進のための
活性化計画の実現に必要な施設整備を中心とした総合的な取組を支援
生産基盤及び施設
生活環境施設
地域間交流拠点
資源の有効利用等
農林漁業の振興のため生
産基盤・生産施設の整備
を支援
良好な生活の場である農
山漁村の生活環境整備を
支援
都市住民の一時的・短
期的滞在の為の交流拠
点の整備を支援
資源の有効利用を確保
するための施設の整備
を支援
味噌加工施設
農林水産物処理加工施設
柿の集出荷施設
浄水施設
簡易給排水施設
廃屋利用の一定期間宿泊施設
宿泊体験施設
廃校・廃屋等改修交流施設
農産物直売施設
木質
バイオマス
ボイラー
自然・資源活用施設
堆肥化施設
農林水産物集出荷貯蔵施設
農山漁村定住促進施設
地域連携販売力強化施設
リサイクル施設
区画整理、農業用用排水路、
育苗施設、農林水産物処理加
工・集出荷貯蔵、施設
等
簡易給排水施設、防災安全
施設、農山漁村定住促進施
設
等
廃校・廃屋等改修交流促
進施設、農林漁業体験施
設、地域連携販売力強化
施設
等
遊休農地解消支援、自
然・資源活用施設、リサ
イクル施設、集落拠点強
化施設
等
16
○農山漁村活性化プロジェクト支援交付金の各省連携施策
○重点対策として、各省連携プロジェクトを実施し、福祉・教育・観光等と連携した都市と
農山漁村の共生・対流等を推進
重点対策としての各省連携プロジェクト
子ども農山漁村交流プロジェクト
連携省庁
○子どもの農山漁村での宿泊による自然体験や農林漁業体験等を推
進
・受入側の宿泊体験施設・教育農園等の充実・整備
■文科省
■総務省
「農」と福祉の連携プロジェクト
連携省庁
○高齢者等を対象とした福祉農園の拡大・定着を推進
・高齢者の生きがい等を目的とする農園等の整備
■厚労省
空き家・廃校活用交流プロジェクト
連携省庁
○農山漁村に賦存する空き家・廃校等の地域資源の活用を推進
・田舎暮らし希望者の受け皿や集落拠点の核となる多機能な施設の
整備を支援
農観連携プロジェクト
○グリーン・ツーリズムと他の観光を組合せや、外国人旅行者を農山漁
村への呼び込みを推進
・農家民宿、伝統文化継承施設等の整備を支援 17
17
■総務省
■文科省
■厚労省
■国交省
連携省庁
■観光庁
「農山漁村活性化プロジェクト支援交付金」を活用した取組事例
佐久島クラインガルテン(愛知県西尾市佐久島)の取組
1 概要
① ≪概要・データ≫
・佐久島は、三河湾の中央、本土から4.7kmに位置する離島で人口は288人
・定住人口の減少と高齢化(高齢化率49%)が進む状況を踏まえ、都市住民と
の交流・定住促進に向け、農山漁村活性化プロジェクト支援交付金を活用し、
宿泊滞在型農業体験施設(佐久島クラインガルテン)を整備(平成24年4月
オープン)
・当施設は、ラウベ(簡易宿泊施設(全棟入居済み))10棟、菜園(約70㎡)
10区画、管理棟1棟、休憩施設兼バーベキュー場、多目的広場で構成
② ≪特徴的な取組≫
・離島のクラインガルテンとして、全国初
・年間契約(48万円)で、誰でも気軽に田舎暮らしが可能
・ラウベに滞在し、佐久島の豊かな自然を満喫しながら、年間を通じて、菜園で
野菜づくり、釣りや潮干狩りなどの農漁業体験が可能
クラインガルテンの全景
菜園で野菜づくり
18
(位置図)
交流人口の推移
(2) 都 市 農 村 共 生 ・ 対 流 総 合 対 策 交 付 金 【H25新規施策】
農村 の現状
消費者・都市住民のニーズ
・ 人口の減少・高齢化、集
落機能の低下
・ 農業所得の減少、生きが
いの喪失
・ 社会インフラの老朽化
・廃校等遊休資源の増加
都市農村
共生・対流
の取組を強
力に推進
いやし・やすらぎ、
新たなライフスタイル
のニーズ
所得・雇用、
活性化の必要
■ 都道府県からの助言、施策の
連携
■ 市町村が加わった事業実施
■ 団体が持つ地域マネジメントの
ノウハウの活用
19
◆ 農山漁村の活性化
■ 総務省
・人材の育成・活用等
■ 文部科学省
・教育分野における活用事例の情報提供等
■ 厚生労働省
・高齢者・障害者等の農園利用の促進等
■ 経済産業省
・生活条件確保に関する支援
■ 国土交通省
・「食」を核とした観光の推進等
地方自治体、
NPO等との連携
◆ 地域コミュニティの再生
各省との連携
◆ 農山漁村の雇用の増大
◆ 農林漁業者の所得の増大
◆ 交流人口の増大
都市農村共生・対流総合対策
交付金の創設
・ 付加価値の高い観光、教
育、健康づくり等のニーズの
増大
・ 東日本大震災を契機に地
域コミュニティの重要性の再
認識
・ ボランティア活動への積極
的な参加
・ 団塊世代や若い世代の農
山漁村への定住希望
都市農村共生・対流総合対策交付金の具体の内容
(旧小学校区単位)
+ 人材活用対策
集落連携推進対策
地域活性化や暮らしの安心の活動に必要な
体制整備、自立的活動の後押し
■活力アップ重点地域 (中山間地域、離島
など)
■自立発展可能地域
(平場農業地域
など)
● 子ども農山漁村交流
● 「食」を活用し観光と連携した グリーン・
ツーリズム
● 地域資源の活用やボランティアを取り
込んだグリーン・ツーリズム
● 農山漁村における 大学・企業等の研修
● 自然・景観を生かした 美しいむらづくり
● 「食」の提供などを通じた学校・企業等との
連携
● 集出荷などを通じた地域内外の連携
● ITを活用した消費者
とのネットワークづくり
● 定住・集住等の
環境整備
● 市民と連携した農業
被害の防止
● 「農」を活用した
医療・福祉との
連携
● 地域提案活動
○ 実施主体: 地域協議会、農業法人、NPO 等
○ 実施期間: 上限2年
○ 補助率: 定額
上限800万円/地区、中山間地域等の小規模・高齢化
集落を含む地区 上限900万円/地区
20
地域の手づくり活動の推進に必要
な人材の確保
● 外部人材・都市の若者の受入と
活用・育成
・外部人材や
都市の若者の
長期受入と活
動の支援、実
践研修の実施
○ 実施主体:
地域協議会、農業法人、NPO 等
○ 実施期間:上限3年
○ 補助率: 定額 (上限250万円/地区)
+ 施設等整備対策
地域の手づくり活動に必要な施設
の補修等
● 観光、教育、健康等の地域活性
化や暮らしの安心に必要な施設等
・ 空き家、
廃校等の
補修等
○ 実施主体:
地域協議会、農業法人、地域協議会
の構成員(市町村等) 等
○ 実施期間: 上限2年
○ 補助率: 1/2等
(上限2,000万円/地区 等)
(3)農村集落活性化支援事業【H27新規施策】
○ 集落機能の維持が困難になっている農村地域において、地域全体の存続を図るた
めの将来ビジョンを策定する取組や、集落間の連携等によってお互いの労働力不足を
補完する取組を支援。
事業実施主体: 地域協議会(市町村を含むこと)
1.住民が主体となった地域ビジョンづくりを支援
アドバイザーを活用した
ワークショップの開催
セミナーへの参加
や現地調査
魅力ある農山漁村に向けた
地域ビジョンの作成
2.地域の維持・活性化に必要なサービスの提供が可能な体制の構築及び活動の実践を支援
農産物の庭先出荷
サポート
農業資材の
購入サポート
21
地域農産物を活用した
特産物の販売サポート
(4) 「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」優良事例
○ 「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」とは、農山漁村が持つポテンシャルを引き出す
ことにより地域の活性化、所得向上に取り組んでいる優良事例を選定し、全国に発信
するもの。
○ 第1回の選定(平成26年5月)では、全国より251地区の応募(東海管内15地区)
○ 全国で23地区の優良事例が選定(東海管内からは、以下の2地区が選定)
○ 第2回目となる今年(平成27年)も、全国より683地区の応募(東海管内42地区)
○ 9月の優良事例選定後、10月以降に昨年同様、選定された各地区の代表者が集い、
安倍内閣総理大臣や林農林水産大臣の出席の下で、首相官邸での選定証授与式及び
交流会が開催される。
~「(株)篠島お魚の学校」~
愛知県南知多町の篠島で農林漁家民宿の活動を発展させ、平成22年に
体験加工施設「お魚の学校」をオープン。
子ども達への漁業体験や魚料理体験により魚食を通じた食育の推進を図る
と供に、6次産業化の認定を受け、特産品である、えび、しらす等を活用した
新商品の製造販売により地域の活性化に寄与しています。
子供達の魚料理体験
~「(有)せいわの里」~
平成15年に三重県多気町において、地元女性が中心となり組織を設立。
平成17年に地域農産物を提供し、加工品を製造・販売する農村レストラン
「まめや」を開店。農村レストラン等で総勢52人のスタッフを雇用するほか、
地域イベント等を含め、県内外より年間30万人程度が地域を訪れるなど、
地域の活性化に寄与しています。
22
大豆中心のバイキング料理
都市農村共生・対流総合対策交付金取組事例(平成25・26年の実績)
○ 都市と農山漁村の交流を通じた地域活性化事例
え な
おくやはぎ
【岐阜県恵那市「奥矢作移住定住促進協議会」の活性化の取組み】
○地域の空き家を活用し、移住希望者や古民家再生に興味を持っている人達などと一緒にリフォー
ム塾を開催し、空き家の再生と田舎暮らしに興味を持つ移住定住者の確保を実現。串原郷土館を
再生し、新たな交流拠点施設として活用。
○新旧住民の経験や知恵を活かし、様々な交流イベントや実践活動に取り組み地域資源を活用した
都市農村交流を展開。
【地区の現状】
【地区の課題】
○ 協議会が活動を行う「串原・上矢作地区」は、
恵那市南部に位置する中山間地域。
○ 人口減少とともに高齢化も進んでおり、65歳
以上の高齢化率が40%を超える地域。
○ 地区内の農業は、経営規模が零細で、主に水
稲を中心に、こんにゃく、トマト、栗等の生産を
行っているが、生産性、効率性も低く、個々の所
得も低い状態。
○ さらに、地区内では食料品を扱う店舗はほとん
どなく、高齢者の交通手段として、地域住民がボ
ランティアで移送サービスを実施。
○ 地区内の観光資源(くりはら温泉、奥矢作湖、
道の駅、串原郷土館等)には、年間約20~25万
人が訪れているが、施設のみ訪れることに止ま
り、人が循環しない。
○ 地域資源(田舎暮らし体験、古民家リフォーム
塾)を活用した都市農村交流を実施しているが、
交流人口増加に向け、更なる拡充が必要である。
○ 遊休農地の増加、高齢者の生活支援、空き家
の増加など課題も多い。
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【取組の概念図】
地域の現状と課題等を踏ま
え、以下の取組みを実施してい
る。
①新たな拠点づくり
②移住希望者への支援
③多彩な交流事業
環境づくり・移住
交流部会
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田舎暮らし読本
部会
地域産業部会
①新たな拠点づくり
【活動の概要・実績】
・ 「串原郷土館」一帯を奥矢作地域の新たな都市農村交流拠点として再生するため、
郷土館の収蔵品の調査・分類・データベース化を進め、展示内容を充実。
・ また、郷土館内に古民家カフェ(平成27年4月開設)や農産物直売所を運営できる
よう、建物内部の改装を実施。
つくってみてい
・ 郷土館周辺の大野公園や「チャレンジハウス創手味亭」(農産物加工体験施設)の
有効活用を図りながら、奥矢作の自然・文化・産業など郷土の魅力を発信・提供する
ための、新たな拠点づくりを推進。 ゆい すみか
・ 奥矢作レクリエーションセンターや「結の炭家」などの利用者が約4,400人(平成26年)。
・ 今後、古民家カフェ等のオープンで更なる都市農村交流が期待される。
串原郷土館の収蔵品調査の様子
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串原郷土館の外観と内部
②移住希望者への支援
【活動の概要・実績】
・ 人口減少と空き家対策を進める中、地域の空き家の活用を目的として、移住希望者
等により古民家を改修し、移住定住人口の増加に繋げるための「古民家リフォーム塾」
を平成21年から実施し、古民家再生は延べ13軒(平成26年)。
・ 地元大工とリフォーム塾参加者とが協働で、古民家の改修を実施しながらリフォーム
技術の習得(10講座開催、延べ137人参加)。
・ 奥矢作の田舎暮らしの知恵や経験をまとめた「田舎暮らし読本 おくやはぎで暮らす」
を作成し情報発信。
・ さらに、Iターン就農予定者への研修など、移住希望者への支援を実施した結果、2名
の移住定住者が就農(平成26年)。
・ リフォーム塾、移住希望者へのサポートの結果、移住定住者が延べ49名(平成26年)。
リフォーム塾の様子
就農支援の様子
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③多彩な交流事業
【活動の概要・実績】
・ 田舎暮らし体験ツアーを定期的に開催(「里山体験イベント」年4回、「里山ぼらん
てぃあ」毎月第2日曜日)し、食、遊び、農業、伝統(祭り)、里山保全、若者交流など
をテーマに地域住民と都市住民との交流を展開。
・ 若いスタッフが中心となりアイデア出しながら、各種イベント等の企画・運営を担う。
・ 体験イベントでは、「どんど焼き」や「へぼ(地蜂)とり」など、郷土に伝わる祭や食文
化を体験。
・ ボランティア活動では、古民家の整備から草刈り、里山の管理等を通して、地域の協
働作業に参加しながら地域住民との交流の場づくりを形成。
・ これら体験イベントに、延べ約150人が参加(平成26年)。
田舎暮らし体験ツアーの様子
里山ぼらんてぃあの様子
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都市農村共生・対流総合対策交付金取組事例(平成25・26年の実績)
○ 都市と農山漁村の交流を通じた地域活性化事例
ぐじょう
ぐじょう
いなか
【岐阜県郡上市「郡上・田舎の学校」の活性化の取組み】
○郡上市内の観光資源としての伝統行事、習慣等を地域活性化に繋げるため、小どもを中心とした
教育旅行(子ども農山漁村交流)を活動の目玉として事業展開。
○市内の観光案内人「紡ぎ人」、「まち歩き里歩き」を育成し、市外から訪れた子ども達の体験学習等
をサポート
【地区の現状】
【課題】
○ 郡上・田舎の学校は、「子ども農山漁村交流プ
ロジェクト」の受入協議会として、郡上市内の12
団体が結集して設立。
○ アルバイトスタッフとして若者を雇用し活動に
協力してもらっているが、年収等の経済的理由で
定住し続けることが困難となっている。
○ 市の観光の1つである冬季でのスキー客も平
成5年をピークに減少しており、新たな観光資源
の開発が急務となっている。
○ 郡上市内でグリーン・ツーリズムの活動が北部
と南部で分散し、市内全域の観光資源を生かしき
れていない。
○ 地域市の観光の目玉である「郡上踊り」の中心
地である八幡町へは多くの観光客が訪れるが、こ
の来客者を他の地域へ誘導したり、グリーン・ツー
リズムへの活動に繋げられない等、うまく連動して
いない。
○ 子ども農山漁村交流プロジェクトでの一定期間
の滞在により、市内全体の地域活性化が推進でき
るよう都会の学校、関係団体への普及活動が重
要。
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子ども農山漁村交流
【活動の取組】
・ 教育旅行プロジェクトチームによる活動展開として、月1回のプロジェクト会議を開
催し、市内観光エリアの作業分担と進捗状況の確認、市全体の活動状況を把握。
・ 観光案内人である「紡ぎ人」、「まち歩き里歩き」の人選、育成、雇用活動を展開し、
教育旅行構成スタッフを充実。
・ 地域別体験メニューの企画立案を行うため、現地調査、地域の代表者等との懇談
会を開催。
・ 地元観光会社と協力して、モニターツアーを実施し、都会の学校関係者等へのPR
活動を展開。
田植え体験
猟師体験トレッキング
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長良川ラフティング
【活動の実績】
・ 「紡ぎ人」、「まち歩き里歩き」のプロフィールを一覧リストブックとして作成し、学校
関係者へPRし、受入学校数が増加。
・ 「紡ぎ人」、「まち歩き里歩き」活動をすることにより、地域連携が広がり、地域一帯
となったイベント活動が実現し、子どもの交流人口が500人を達成。
・ 若いボランティアスタッフの活動を積極的に支援し、教育旅行の企画、体験メ
ニューへの意見、発想を反映したパンフレットを作成。
城下町交流散策
郡上踊り体験
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教育旅行専用「郡上まるごと弁当」
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