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⑥ ストップモーション方式
⑥ ストップモーション方式 1 方法と特徴 方 法 ビデオを活用し、授業の細部に即して授業を検討する授業研究の方法です。授業のビデ オを視聴し、ビデオを一時停止しながら参加者に発言していただき、必要に応じて議論し ます。 特 徴 授業研究では、授業参観の放課後に参加者で協議するものが多く、具体的な場面に即し た検討が行いづらい、大まかな印象で議論しがちになる、具体的な場面を取り上げてもそ の場面の記憶が他の人にはないなどということがあります。 授業について細かな分析を行い、授業の力量を高めるため、具体的な授業場面に即した 検討を行いやすくしたものが、ストップモーション方式です。 2 研究協議の展開例 ストップモーション方式の基本的な流れ ① 授業のビデオを視聴する。 ② 参加者の挙手等でビデオを止め、発言してもらう。(必要に応じて議論) ③ 「①」「②」を繰り返す。 ④ 明らかになった課題等のまとめを行う。 ストップモーション方式を行う上での留意点 Q どこで一時停止して議論するのかがつかめないのですが。 参加者が遠慮している場合には、司会者や主催者が積極的に口火を切っ てビデオをストップする。 授業の切り口がつかみにくく、発言しにくい場合は、授業者に意図を質 問するなどして、議論をスタートさせる。 Q 時間がかかりすぎるのですが。 早送りを多用する。 (教師が資料を配付したり、子どもがじっと考えたりしている場面など) 1単位時間まるごとではなく、5分から10分の一部の場面を集中して検討する。 Q 授業者を集中攻撃するようになってしまうのですが。 批判をするときには、代案を出すようにする。 教師の行動の良し悪しを評価しようとするのではなく、教師や子どもの 思考を明らかにすることを意識する。 - 40 - 3 具体的な実践の事例 授業を記録したビデオを見ながら授業研究を行います。 参加者が、気になったところで映像を止め、意見を述べたり、 授業者の意図を確認したりします。 授業 小学校6年 特別活動(学級活動) 議題「クラスのチームワークを発揮できる活動を考えよう」 時間 0 授業記録 ◎司会者 ○子ども ◇教師 ビデオSTART! ◎「今日の課題を発表します。」 STOP 1 クラスのチームワークを発揮 【参加者からの意見】 ・事前に考えを書かせることが、本当 できる活動を考えよう。 に効果的であったのだろうか。 ・事前に書いてしまったことで、話合 05 ◎「自分の考えを発表してください。 」 いを行っても意見の変容があまり見 ◇一人一人が自分の考えを発表できるよう られなかったのではないか。 に事前に作成した話合いカードを参考に 【授業者から】 意見を述べさせる。 ・子どもが自分に自信をもって発表す るためには必要であったと考える。 です。 20 ◎「友達の意見を参考にグループで話し合 STOP 2 い、意見をまとめましょう。」 ◇話合いに参加できるよう、机間指導を行 【参加者からの意見】 い、参加できていない児童に働きかける。 ・グループ化を図るより全体の場でよ り多くの子どもに自分の考えを発表 させる方がよかったのではないか。 30 ○グループの意見を1∼2に絞り、カード ・私は効果的であったと思う。グルー にまとめる。 プ内では生き生きと発表できる子ど もが多く見られた。 40 ◎「グループで決まった意見を発表しまし STOP 3 ょう。 」 ◇賛成、反対を出し合い、必要な活動を取 【参加者からの意見】 ・発表の仕方を教師が具体的に指導し 捨選択させる。 たことは、非常に効果的であった。 ◇必要に応じて聞き手に分かりやすい声の ・声の大きさなどはよかったが、もっ 大きさやスピードで発表するよう助言す と自信をもって発表させるための日 45 る。 常の手立てが大切であると感じた。 1 ストップモーション方式を用いることで、具体的な授業場面に即した検討を行 うことができ、それが授業者や参観者の力量の向上につながります。 - 41 -