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参考資料1-2.米国における知的財産政策の情勢
参考資料1−2 米国における知的財産政策の情勢 「イノベーションと知財政策に関する研究会」のとりまとめの方向(案) 欧州 2008年米国大統領選挙 米国 1624 イギリス専売条例 1791 フランス特許法 プロパテント時代 現在行われている米国大統領選においても、特許の質の向上と特許制度の変革は 争点のひとつとなっている。 オバマ上院議員(民主党) 技術とイノベーションを通じ、全ての米国人を結びつけ、地位向上を図る 特許制度改革: 21世紀において国際競争力を確保するためには、適時に高品質な特許を生み出し ていくことが必要不可欠。特許の予見性(predictability)と明確性(clarity)を高めることで、イノベーショ ンを生み出す環境を整備していく。また、USPTOの体制を強化し、外部の研究者や技術者による特許 審 査 へ の 参 加 ( レ ビ ュ ー ) を 促 す こ と に よ っ て 、 イ ノ ベ ー シ ョ ンの 障 害 と な っ て い る 「 不 確 実 で (uncertainty)不毛な(wasteful)特許訴訟」を減らすことができる。 1790 連邦特許法 1802 Patent Office(米国特許庁)設立 1859 リンカーン演説、 プロパテント政策 1880 エジソン白熱灯特許 1973 ヨーロッパ特許条約 EPO(ヨーロッパ特許庁)設立 1885 専売特許条例 専売特許所設立 1974 コーエン・ボイヤー特許(DNA特許) 1979 貿易収支が赤字(競争力低下) プロパテント時代 1980 1980 1981 1982 1985 バイドール法 チャクラバティ判決(バイオ特許) ディーア判決(ソフトウェア特許) 連邦巡回区控訴裁判所設立 ヤングレポート(レーガン大統 領産業競争力委員会) プロパテント政策 1995 TRIPS協定発効(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定) 加盟国が遵守すべき知財保護の最低基準が明確化された。 (オバマ氏のWebページ等に掲載されている選挙公約から) 1998 2000 ロンドン・アグリーメント(未 発効)欧州特許の各国語への翻 訳を不要とするもの ステートストリート判決(ビジネスモデ ル特許) 2003 連邦取引委員会 「技術革新の促進のために:競争 と特許の適正なバランス」 2004 全米科学アカデミー 「21世紀の特許制度」 2004 競争力協議会 「イノベートアメリカ」 2006 eBay判決(差止判断の厳格化) ヒラリー・クリントン氏がアーカンソー州の弁護士だった時代、特許紛争や知財法の専門家として、 「全米で最も影響力のある弁護士100人」に選ばれたことがある。 現在の大統領選挙に向けた公約では、特許法の改革についてはスタンスを明確にしていない。 大統領選挙に向けた選挙スタッフの中には、民主党政権時にUSPTO長官だったディキンソン氏 (Todd Dickinson)がいる。ディキンソン氏は、米国のコミュニティ・パテント・レビューのプロジェクトの幹 部でもある。 日本 1967 WIPO(世界知的所有権機関)設立 1970 特許協力条約(PCT) また、有効性が疑わしい特許が行使された場合に、USPTOが特許の有効性について判断する、低 廉かつ適時の行政手続を導入することも目指す。 ヒラリー・クリントン上院議員(民主党) 2008年4月 特 許 庁 1940∼反トラスト法によるアンチパテ ント時代 こうした審査体制の充実により、USPTOは、出願人に対して多様な選択肢を提示することができるだ ろう。つまり、出願人が自らの発明は特に重要だと信じる場合、特許審査の過程で厳正な公衆によるレ ビューを受けることで、その後の裁判で特許無効となりにくい「金賞特許(gold-plated patent)」を取得 することができる、というものだ。 私が大統領を目指すに当たり、米特許法が権利者の正当な権利を保護するとともに、イノベーション や共同研究を阻害しないものとなるよう、公約する。 未定稿 2007 欧州委員会「欧州特許制度の改 善に関するビジョン」 EPO「知財制度の将来シナリオ」 英国財務省「ゴワーズ・レ ビュー」 1997 特許庁「21世紀の知的財産権 を考える懇談会報告書 ∼これ からは日本も知的創造時代∼」 2002 知的財産基本法成立 2003 知的財産戦略本部発足 2005 知的財産高等裁判所設立 2007 KSR判決(進歩性判断の適正化) 連邦特許法改正案を審議中 マケイン上院議員(共和党) 「特許の質を高め、訴訟を減らすためにも、特許制度は変わるべきだ」 (選挙戦のスピーチから。Business Week誌) 「私が大統領となれば、全力をあげて知的財産の保護に取り組むつもりだ。しかし、さらに重要なことは、 世界の全ての市場を「自由貿易」により開放することだ。」 (Arrington氏とのインタビューから) (出典) オバマ候補のwebページに掲載されている選挙公約 アーカンソー州の歴史 Election 08: Seeking a Tech President. BusinessWeek (2007/09/19) Michael Arrington (IT分野での著名ジャーナリスト)とのインタビュー。 TechCrunch社webページ (2007/11/12) 1990年代までは、米国企業にとって特許権を取得 特許権の範囲が不明確で、権利の基盤も不 することは理にかなっていた。しかし、特許権から得ら 確実。これらに起因する知財訴訟・紛争の増 れる利益よりも、特許権を取ることに伴う訴訟リスクが 大は、明らかに経済成長を阻害している。 上回ってしまっている。 ベッセン教授、ミューラー教授(ボストン大、2008年刊行予定の「Patent Failure」の草稿から) 特許制度は天才の炎に利益の油を注いだ。 エイブラハム・リンカーン 1 参考資料1−2 米国における知的財産政策の情勢 「イノベーションと知財政策に関する研究会」のとりまとめの方向(案) 未定稿 2008年4月 特 許 庁 特許法改正の動き 米国特許商標庁の大量増員 ■ 急増する出願に対応するため、審査官を大量増員 (2006年度は過去最高の1,218名の特許審査官採用)50 ■ 2007年9月7日下院通過、上院本会議審議待ち 米国 (万件) 五極外から米国への出願 40 米国特許審査官数の推移 韓・中から米国への出願 日欧から米国への出願 30 特許審査官 2002年度 3,489 2003年度 3,535 2004年度 3,681 2005年度 4,177 2006年度 4,779 米国の国内出願 20 10 −「先発明主義」から「先願主義」への移行(一部例外条項あり) −18か月出願公開(緩和策あり) −付与後異議申立制度(※)の導入 −損害賠償額の見直し −裁判管轄の制限 −出願時のサーチ添付義務、など。 ※付与後異議申立制度:特許が付与された後、第三者に対して一定期間、特許成立の判断 に対する異議の申立てを認める制度。現在、米国には存在しない。 0 -10 米国から日欧への出願 米国から韓・中への出願 米国から五極外への出願 -20 知的財産による経済とイノベーションの発展 ■ 経済報告において「知財法は米国・世界の経済成長を促す」と明記 最近の判例動向 ■ KSR事件最高裁判決(2007年4月) −大統領経済諮問委員会報告2006年版は、「経済における知 的財産の役割」と題し、全11章の一つとして新たに章立て。 −進歩性(※)の基準を明確化し、日欧の基準とより整合的となった。 ※過去になされた発明から、新たに発明をなすことが容易であったか否かという要件。 訴訟コストの増大 ■ 知財訴訟件数の急増 −地裁での特許訴訟件数は10年で54%増 グラフ.連邦地裁特許訴訟件数の推移 3,500 −「より明確でより強化された知的財産権は、米国経済の重要 な構成要素をなし、経済成長を促すもの。この制度は、排他 的な独占権を一定期間付与することにより、新たな発明をな したものに恩恵を与え、これにより技術革新を促すこととなる。 経済や技術の変化に応えることにより、知的財産法は、引き 続き米国ひいては世界の経済成長を促すこととなろう」と章を 結ぶ。 ■ 基礎研究の強化 −2008年1月の大統領一般教書演説では、「競争力強化法」が昨年施行されたにも 関わらず、十分な予算措置がなされていないことから、米国の競争力強化のため、 自然科学分野の基礎研究の予算を倍増することを議会に要請。 3,000 2,500 件 2,000 数 1,500 −iPS細胞のような革新的発見など、倫理的な医学研究について、昨年の大統領令 における支援拡大に引き続き、資金供出の拡大を求める。 1,000 模倣品対策の推進 500 0 1994 特許 1,617 1995 1996 1997Office 1998 2002 2003 C-2)から作成 2004 2005 出典:Administrative of the1999 United2000 States2001 Courts統計(Table 1,723 1,840 2,112 2,218 2,318 2,484 2,520 年度 ■ 高額化する賠償額・和解額 −ポラロイド対イーストマンコダック 特許訴訟 ・ 賠償額 9億950万ドル(1990年) −ルーセントテクノロジー対マイクロソフト 特許訴訟 ・ 陪審評決 15億2000万ドル(2007年) 2,700 2,814 3,075 2,720 2006 2,830 ■ STOP!イニシアティブ(2004年∼)のもと、USTR、商務省、司法省、国土安全保 障省、国務省による連邦政府横断の模倣品・海賊版対策に着手。 −STOP!イニシアティブの主な実績 ・省庁間調整役としての知的財産執行調整官ポスト新設(商務省) ・企業・個人のためのホットライン新設(米国特許商標庁) ・駐ブラジル、中国、エジプト、インド、タイ、ロシア大使館に知財専門家を配置 ・米国特許商標庁に設置されたアカデミーを通じ、途上国知的財産当局者等への啓 発活動 2